デジタルテレビジョン放送の普及に伴い、復調回路の研究は盛んに行われている。近年、該復調回路としては、共に上記Low−IF周波数(または、上記ベースバンド周波数)を有する2種類の信号であって、2種類の該信号における、周波数が互いに略同一であると共に位相が互いに異なる信号を取り扱うものが開発されている。即ち、該復調回路としては例えば、受信信号の同相成分を示すI信号と、該受信信号の直交成分を示すQ信号と、からなるIQ信号を取り扱うものが開発されている。
つまり、従来、復調回路の周波数特性は、30MHz〜60MHz周辺にあるのが一般的であったが、近年では、各国または各地域での放送に適応するために、様々な周波数特性を有する復調回路が開発されている。
これに伴い、受信装置では、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給する構成が求められる。
具体的に、上記受信装置では、1個の受信装置により、IF周波数が30MHz〜60MHz程度となる信号と、上記ベースバンド周波数を有する信号または上記Low−IF周波数を有する信号と、のいずれかを選択して出力することが可能な構成が求められる。該構成によれば、1個の受信装置により、周波数特性が30MHz〜60MHz周辺にある復調装置と、周波数特性が上記ベースバンド周波数または上記Low−IF周波数にある復調装置と、に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能となるため、各国または各地域での放送に適応可能なテレビジョン放送用のチューナを実現する場合において都合がよい。
ここで、図5に示す、特許文献1に開示されている受信装置は、復調回路の周波数特性に拘らず、周波数変換器411および412による周波数変換で得られた、IF周波数が30MHz〜60MHz程度となる信号を出力する構成である。つまり、特許文献1に開示されている受信装置は、上記ベースバンド周波数を有する信号または上記Low−IF周波数を有する信号を出力することができない。
従って、特許文献1に開示されている受信装置では、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することができないという問題が発生する。
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能となる受信装置、チューナ、およびテレビジョン受像機を提供することにある。
本発明の参考に係る受信装置は、入力されたアナログ信号を、第1の周波数へと周波数変換する第1の周波数変換器と、上記第1の周波数へと周波数変換されたアナログ信号を、該第1の周波数を有するデジタル信号である第1デジタル信号へと変換して、該第1デジタル信号を出力するアナログ‐デジタル変換器と、入力された上記第1デジタル信号を、上記第1の周波数と異なる第2の周波数へと周波数変換して、該周波数変換されたデジタル信号を第2デジタル信号として出力する第2の周波数変換器と、入力されたデジタル信号を、アナログ信号へと変換して、外部に出力するデジタル‐アナログ変換器と、を備える受信装置であって、上記第1デジタル信号が上記デジタル‐アナログ変換器に入力される第1の場合と、上記第2デジタル信号が該デジタル‐アナログ変換器に入力される第2の場合と、を切り替える切替回路を備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、切替回路は、第1の周波数を有する第1デジタル信号がデジタル‐アナログ変換器に入力される第1の場合と、第2の周波数を有する第2デジタル信号がデジタル‐アナログ変換器に入力される第2の場合と、を切り替える。なお、第1の周波数と第2の周波数とは、互いに異なる。これにより、デジタル‐アナログ変換器は、第1の場合において第1デジタル信号をアナログ信号に変換して外部に出力する一方、第2の場合において第2デジタル信号をアナログ信号に変換して外部に出力することとなる。つまり、デジタル‐アナログ変換器から外部に出力される信号は、第1の場合においては第1の周波数を有するアナログ信号となる一方、第2の場合においては第2の周波数を有するアナログ信号となる。
よって、本発明に係る受信装置は、1個の受信装置により、第1の周波数を有するアナログ信号と、第2の周波数を有するアナログ信号と、のいずれかを選択して出力することが可能となる。従って、本発明に係る受信装置は、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能となる。
また、本発明の参考に係る受信装置は、上記切替回路は、上記第2の周波数変換器の入力端に、配線自身の一端が接続されている配線と、上記デジタル‐アナログ変換器の入力端と、上記配線の他端または上記第2の周波数変換器の出力端と、を接続するスイッチと、を備え、上記スイッチは、上記第1の場合において、上記デジタル‐アナログ変換器の入力端と、上記配線の他端と、を接続するものであり、かつ、上記第2の場合において、上記デジタル‐アナログ変換器の入力端と、上記第2の周波数変換器の出力端と、を接続するものであることを特徴としている。
上記の構成によれば、切替回路に備えられたスイッチは、第1の場合において、デジタル‐アナログ変換器の入力端と、配線の他端と、を接続し、かつ、第2の場合において、デジタル‐アナログ変換器の入力端と、第2の周波数変換器の出力端と、を接続する。ここで、スイッチは、デジタル‐アナログ変換器の入力端と、配線の他端または第2の周波数変換器の出力端と、を接続するものである。これは換言すれば、スイッチは、第1の場合において、デジタル‐アナログ変換器の入力端と、第2の周波数変換器の出力端と、の間の経路を開放し、かつ、第2の場合において、デジタル‐アナログ変換器の入力端と、配線の他端と、の間の経路を開放するということである。
第1の場合においては、第1デジタル信号が、第2の周波数変換器の入力端から、配線の一端、配線の他端、およびデジタル‐アナログ変換器の入力端を順次介して、デジタル‐アナログ変換器に入力される。つまり、第1の場合においては、第1デジタル信号が、第2の周波数変換器を通過することなく、即ち、第2デジタル信号へと変換されることなく、デジタル‐アナログ変換器に入力される。
一方、第2の場合においては、第1デジタル信号が、第2の周波数変換器の入力端から、第2の周波数変換器の出力端、およびデジタル‐アナログ変換器の入力端を順次介して、デジタル‐アナログ変換器に入力される。つまり、第2の場合においては、第1デジタル信号が、第2の周波数変換器を通過して、即ち、第2デジタル信号へと変換されて、デジタル‐アナログ変換器に入力される。
上記の構成によれば、第2の場合において、第2の周波数変換器による周波数変換に係る処理を省略することができるため、消費電力を低減することができる。
本発明の参考に係る受信装置は、上記第2の周波数変換器は、上記第1デジタル信号に対して、三角関数に基づく演算を実施することで、該第1デジタル信号を、上記第2の周波数へと周波数変換する演算変換回路であり、上記切替回路は、上記演算変換回路における上記演算の内容を、該演算変換回路に出力する周波数変換情報に応じて制御する演算内容制御回路であり、上記第2の場合において、上記周波数変換情報は、上記第1デジタル信号を、上記第2の周波数へと周波数変換する旨の情報であることを特徴としている。
上記の構成によれば、演算変換回路は、第2の場合において、第1デジタル信号に対して、三角関数に基づく演算を実施することにより、該第1デジタル信号を、第2デジタル信号へと変換することができる。つまり、演算内容制御回路は、該演算の内容を、周波数変換情報に応じて制御することで、第1の場合と第2の場合とを切り替える切替回路となる。また、演算変換回路は、該演算の実施により、該第1デジタル信号を、該第2デジタル信号へと変換する第2の周波数変換器となる。
また、本発明に係る受信装置は、上記デジタル‐アナログ変換器から出力されたアナログ信号を復調する復調回路における周波数特性に応じて、上記第1の周波数および第2の周波数の少なくとも一方が、所望の周波数に設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1の周波数および第2の周波数の少なくとも一方は、デジタル‐アナログ変換器から出力されたアナログ信号を復調する復調回路回路の周波数特性に応じて、該復調回路が所望する周波数に設定されている。そのため、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することを、確実に実施することができる。
また、本発明に係る受信装置は、上記第1の周波数を有する各信号は、ダイレクトコンバージョン方式により周波数変換された信号、または、Low−IF(Low-Intermediate Frequency)方式により周波数変換された中心周波数が2〜4MHzとなる信号であることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1の周波数を有する各信号は、ダイレクトコンバージョン方式により周波数変換された、中心周波数が0Hzとなる信号、または、Low−IF方式により周波数変換された、中心周波数が2MHz〜4MHzとなる信号である。これらのいずれかの信号を、アナログ‐デジタル変換器により、アナログ信号からデジタル信号へと変換して得られた第1デジタル信号は、各種信号処理に好適である。即ち、上記ダイレクトコンバージョン方式、または、Low−IF方式により周波数変換された結果、得られた第1デジタル信号に対して、各種信号処理を行う回路は、低周波のデジタル回路により実現可能となるため、受信装置の動作を安定させることができ、かつ、該回路の選択度を向上させることができる。即ち、高性能な回路ブロックを構成することができる。
また、本発明に係る受信装置は、上記第1の周波数変換器を複数個備え、複数個の上記第1の周波数変換器から出力される信号は、周波数が互いに略同一であると共に、位相が互いに異なる信号であることを特徴としている。
上記の構成によれば、周波数が互いに略同一であると共に、位相が互いに異なる複数の信号を用いて信号を処理することで、イメージ妨害の除去を比較的簡単に実施することができる。
また、本発明に係る受信装置は、上記第1の周波数変換器と上記アナログ‐デジタル変換器との間に、上記第1の周波数へと周波数変換されたアナログ信号から雑音成分を除去するアナログフィルタをさらに備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、イメージ妨害の除去を、第1デジタル信号に対する信号処理の過程で、即ち、デジタル回路で実施することができるため、イメージ妨害除去比を比較的大きく設定することができ、比較的大きなイメージ妨害除去効果を得ることができる。
また、本発明に係る受信装置は、入力されたデジタル信号から、イメージ周波数成分を除去するイメージ妨害除去フィルタをさらに備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、イメージ妨害除去フィルタにより、イメージ周波数成分を除去することができるため、大きなイメージ妨害除去効果を得ることができる。
ところで、一般的に受信装置では、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号を除去する必要がある。そして、大きな該除去効果を得るためには、急峻なフィルタ特性(自身に入力された信号の周波数に対する減衰特性)を有するSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタを使用することが多い。なお、該SAWフィルタは通常、受信装置外部に設けられるものである。
ここで、SAWフィルタに匹敵する程度に大きな該除去効果を有するフィルタ回路を、受信装置を備えた集積回路内に実現した場合には、該受信装置に外付けされる部品の点数を削減することが可能となり、さらには、該削減に伴う低コスト化が期待できる。
上記フィルタ回路をアナログフィルタとして構成することは、フィルタ次数の増大を引き起こすため好ましくない。一方、該フィルタ回路をデジタルフィルタとして構成した技術としては、特許文献2に開示された技術が存在する。特許文献2に開示された技術では、デジタル回路において、FIR(Finite-duration Impulse-Response:有限インパルス応答)型のフィルタを用いることで、SAWフィルタを省略している。
しかしながら、特許文献2に開示された技術のように、SAWフィルタに匹敵する程度に大きな該除去効果を有するフィルタ回路を、FIR型のフィルタを用いて実現した場合、該FIR型のフィルタにおけるフィルタ次数は大きくなるため、回路面積および消費電力が増大してしまうという問題が発生する。
そこで、本発明に係る受信装置は、上記の問題を解決するために、上記アナログ‐デジタル変換器と上記第2の周波数変換器との間に、上記第1デジタル信号から雑音成分を除去するデジタルフィルタをさらに備え、上記デジタルフィルタは、上記第1デジタル信号から、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号を除去するチャンネル選択フィルタを備え、上記チャンネル選択フィルタは、IIR(Infinite-duration Impulse-Response:無限インパルス応答)型のフィルタであることを特徴としている。上記デジタルフィルタは、上記チャンネル選択フィルタからの信号に発生する、群遅延特性の劣化を補正する群遅延補正回路を備えていてもよい。
上記の構成によれば、SAWフィルタに匹敵する程度に大きな、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号の除去効果を有するチャンネル選択フィルタを、アナログ‐デジタル変換器と第2の周波数変換器との間で、即ち、デジタル回路で実現する場合、該チャンネル選択フィルタは、IIRフィルタにより実現することで、FIRフィルタにより実現する場合よりも、小さなフィルタ次数で実現可能となる。結果、IIR型のチャンネル選択フィルタは、デジタル回路の回路規模の増大を抑制することができる。
ここで、チャンネル選択フィルタは、SAWフィルタに匹敵する程度に大きな隣接チャンネル抑圧効果を有するフィルタであり、かつそのフィルタ特性は、非常に急峻な特性が求められる。こうしたチャンネル選択フィルタを、IIR型のフィルタにより実現する場合、該チャンネル選択フィルタからのデジタル信号では、群遅延特性の劣化に起因した信号波形の歪みが発生する。
そこで、チャンネル選択フィルタからの信号に発生する群遅延特性の劣化を補正する群遅延補正回路を設け、チャンネル選択フィルタからのデジタル信号における群遅延特性を補正することで、フィルタ特性が急峻なIIR型のチャンネル選択フィルタを使用する場合に、群遅延特性の劣化を抑制することができる、即ち、該群遅延特性を緩やかなものとすることができる。結果、信号波形の上記歪みを低減させることができる。
また、本発明に係る受信装置は、上記アナログ‐デジタル変換器は、ΔΣ型であることを特徴としている。
上記の構成によれば、アナログ回路において、アナログフィルタのフィルタ次数を削減することができる。一般に、受信装置に設けられたΔΣ型のアナログ‐デジタル変換器は、サンプリング周波数が高く設定されることで、受信装置に入力されたアナログ信号に重畳する雑音成分が、隣接するチャンネルの信号に対して、十分に高い(または、十分に低い)周波数となる。これにより、該雑音成分を除去するアナログフィルタにおけるフィルタ次数は、低減することができる。
また、本発明に係る受信装置は、上記第1デジタル信号から、折り返し雑音成分を除去するデシメーションフィルタをさらに備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、アナログ‐デジタル変換器における、第1デジタル信号への変換処理に起因して、該第1デジタル信号に発生する雑音成分、いわゆる、折り返し雑音成分を除去することが可能となる。
また、本発明に係る受信装置は、上記デジタル‐アナログ変換器は、複数の出力端子を有しており、かつ、複数の上記出力端子のいずれか1つから、アナログ信号が外部に出力されることを特徴としている。
上記の構成によれば、複数の出力端子から外部に信号を出力することで、1個の受信装置により、自身に後段にそれぞれ接続された、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号を供給することが可能となる。
また、本発明に係る受信装置は、上記第1の場合において使用される出力端子の後段には、上記第1の周波数を有する信号成分を通過させるアナログフィルタを備え、上記第2の場合において使用される出力端子の後段には、上記第2の周波数を有する信号成分を通過させるアナログフィルタを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1の場合において使用される出力端子から第1の周波数を有する信号成分を確実に取り出せると共に、第2の場合において使用される出力端子から第2の周波数を有する信号成分を確実に取り出せるため、1個の受信装置により、自身に後段にそれぞれ接続された、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号を確実に供給することが可能となる。
また、本発明に係るチューナは、受信装置と、上記受信装置のデジタル‐アナログ変換器から出力されたアナログ信号を復調する復調回路と、を備えることを特徴としている。また、本発明に係るテレビジョン受像機は、上記本発明に係るチューナを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能となるチューナ、および、テレビジョン受像機の実現が可能である。
以上のとおり、本発明に係る受信装置は、入力されたアナログ信号を、第1の周波数へと周波数変換する第1の周波数変換器と、上記第1の周波数へと周波数変換されたアナログ信号を、該第1の周波数を有するデジタル信号である第1デジタル信号へと変換して、該第1デジタル信号を出力するアナログ‐デジタル変換器と、入力された上記第1デジタル信号を、上記第1の周波数と異なる第2の周波数へと周波数変換して、該周波数変換されたデジタル信号を第2デジタル信号として出力する第2の周波数変換器と、入力されたデジタル信号を、アナログ信号へと変換して、外部に出力するデジタル‐アナログ変換器と、を備える受信装置であって、上記第1デジタル信号が上記デジタル‐アナログ変換器に入力される第1の場合と、上記第2デジタル信号が該デジタル‐アナログ変換器に入力される第2の場合と、を切り替える切替回路を備え、上記第2の周波数変換器は、上記第1デジタル信号に対して、三角関数に基づく演算を実施することで、該第1デジタル信号を、上記第2の周波数へと周波数変換する演算変換回路であり、上記切替回路は、上記演算変換回路における上記演算の内容を、該演算変換回路に出力する周波数変換情報に応じて制御する演算内容制御回路であり、上記第2の場合において、上記周波数変換情報は、上記第1デジタル信号を、上記第2の周波数へと周波数変換する旨の情報であり、上記アナログ‐デジタル変換器と上記第2の周波数変換器との間に、上記第1デジタル信号から雑音成分を除去するデジタルフィルタをさらに備え、上記デジタルフィルタは、上記第1デジタル信号から、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号を除去するチャンネル選択フィルタを備え、上記チャンネル選択フィルタは、IIR型のフィルタである構成である。
従って、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路に対して、各復調回路が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能となるという効果を奏する。
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す受信装置10は、入力端子11、利得が可変である低雑音増幅器12、周波数変換器(第1の周波数変換器)13、アナログフィルタ14、AD変換器15、デシメーションフィルタ16、チャンネル選択フィルタ17、群遅延補正回路18、周波数変換器(第2の周波数変換器)19、スイッチ(切替回路)21、およびDA変換器22を備える構成である。
具体的に、図1に示す受信装置10は、入力端子11、低雑音増幅器12、周波数変換器13、アナログフィルタ14、AD変換器15、デシメーションフィルタ16、チャンネル選択フィルタ17、および群遅延補正回路18が、この順で直列接続されている。群遅延補正回路18の出力端子18aは、周波数変換器19の入力端に接続されている。
また、周波数変換器19の出力端は、スイッチ21の端子21bに接続されている。また、周波数変換器19の入力端(具体的に、群遅延補正回路18の出力端子18aと周波数変換器19の入力端との間)からは、配線(切替回路)27が、スイッチ21の端子21aまで伸びている。即ち、配線27は、一端が周波数変換器19の入力端に接続されており、他端がスイッチ21の端子21aに接続されている。さらに、スイッチ21の端子21cは、DA変換器22の入力端に接続されている。
ここで、図1に示す受信装置10のうち、AD変換器15の一部(デジタル信号を取り扱う部分)、デシメーションフィルタ16、チャンネル選択フィルタ17、群遅延補正回路18、周波数変換器19、スイッチ21、およびDA変換器22の一部(デジタル信号を取り扱う部分)は、デジタル信号を取り扱うデジタル回路部(デジタル回路)20を構成している。即ち、デシメーションフィルタ16、チャンネル選択フィルタ17、群遅延補正回路18は、デジタルフィルタである。
DA変換器22は、複数個の出力端子22aおよび22bを有している。そして、出力端子22aには、アナログフィルタ23および出力端子25が、出力端子22bには、アナログフィルタ24および出力端子26が、それぞれこの順で直列接続されている。
図1に示す受信装置10では、受信した信号に対する各種信号処理を簡便に実施するために、以下の動作が為される。
例えば図示しないアンテナが受信したアナログ信号(受信信号)が、受信装置10前段の図示しないフィルタ回路を介して、受信装置10の入力端子11から入力されると、受信装置10はまず、低雑音増幅器12により、該受信信号を増幅して、周波数変換器13に出力する。
周波数変換器13は、低雑音増幅器12から入力されたアナログ信号の周波数を、上記各種信号処理に好適な周波数(第1の周波数)へと変換して、アナログフィルタ14に出力する。
ここで、図5に示す受信装置の場合と同じく、「各種信号処理に好適な周波数」、即ち、本発明に係る第1の周波数とは例えば、ダイレクトコンバージョン方式により周波数変換された信号(ベースバンド信号)が有する、IF周波数が0Hzとなる周波数(ベースバンド周波数)、または、Low‐IF(低IF)方式により周波数変換された信号が有する、IF周波数が2MHz〜4MHz周辺となる周波数(Low−IF周波数)であるが、これに限定されない。該第1の周波数は、復調回路41および/または42(図2参照)が有する周波数特性に応じて、任意の周波数(所望の周波数)に適宜設定可能である。
なお、周波数変換器13としては例えば、入力された信号を、図示しない局部発振回路で生成された局部発振成分と混合することで、該信号に対する周波数変換を実施する、周知の乗算器が使用可能である。
また、入力端子11から周波数変換器13までの間には、周波数変換器13による周波数変換が為される前の上記アナログ信号から、所望の周波数成分を取り出すための、トラッキングフィルタ等の図示しないフィルタ回路(アナログフィルタ)がさらに挿入されていてもよい。
アナログフィルタ14は、周波数変換器13から入力された信号から、妨害波となる不要な周波数成分を除去して、即ち、妨害信号を抑圧して、AD変換器15に出力する。これにより、イメージ妨害の除去を、デジタル回路部20で実施することができるため、イメージ妨害除去比を比較的大きく設定することができ、比較的大きなイメージ妨害除去効果を得ることができる。
AD変換器15は、アナログフィルタ14から入力されたアナログ信号を、デジタル信号へと変換して、デシメーションフィルタ16に出力する。このAD変換器15から出力されるデジタル信号は、本発明に係る第1デジタル信号である。
ここで、AD変換器15としては例えば、周知のAD変換器が使用可能である。具体的に、該AD変換器は例えば、ΔΣ型(デルタシグマ型)のAD変換器、または、パイプライン型のAD変換器が挙げられる。以下の説明では、便宜上、本発明に係るAD変換器として、オーバーサンプリング方式を採用したΔΣ型のAD変換器を使用する場合について説明を行う。
なお、AD変換器15の前段には、アナログフィルタ14から入力された信号を増幅するための、利得が可変である図示しない増幅器を含む図示しない増幅回路がさらに挿入されていてもよい。
デシメーションフィルタ16は、AD変換器15から入力されたデジタル信号から、AD変換器15における上記変換に起因して発生する妨害信号、即ち、折り返し雑音成分を除去して、チャンネル選択フィルタ17に出力する。
換言すれば、デシメーションフィルタ16は、入力されたデジタル信号のクロック率を低減するものである。AD変換器15として、オーバーサンプリング方式のΔΣ型のAD変換器を使用する場合、該クロック率は通常、該オーバーサンプリング処理の実施のため、比較的高い周波数に設定されているが、デシメーションフィルタ16を設けることで、その周波数を低減することが可能となる。該周波数を低減することで、受信装置全体では、低消費電力化に貢献できる。このような、デシメーションフィルタ16としては例えば、AD変換器15から入力されたデジタル信号に対するデシメーションにより発生した、折り返し雑音成分(該デジタル信号の周波数を、ある周波数で折り返した結果発生した雑音成分)を低減させるようなフィルタ特性を有する、周知のローパスフィルタが使用される。即ち、デシメーションフィルタ16としては例えば、入力された信号における、デシメーションにより信号帯域に折り返される周波数領域を低減するフィルタ特性を有する、周知のローパスフィルタが使用される。
但し、AD変換器15が、オーバーサンプリング方式のAD変換器でない場合、例えば、パイプライン型のAD変換器である場合、デシメーションフィルタ16は省略可能である。
チャンネル選択フィルタ17は、デシメーションフィルタ16から入力されたデジタル信号から、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号を除去して、即ち、隣接チャンネル抑圧を行って、群遅延補正回路18に出力する。
ここで、チャンネル選択フィルタ17としては、IIR型のフィルタが使用されるのが好ましい。
SAWフィルタに匹敵する程度に大きな隣接チャンネル抑圧効果を有するチャンネル選択フィルタ17をデジタル回路部20で実現する場合、チャンネル選択フィルタ17は、IIRフィルタにより実現することで、FIRフィルタにより実現する場合よりも、小さなフィルタ次数で実現可能となる。結果、IIR型のチャンネル選択フィルタ17は、デジタル回路部20の回路規模の増大を抑制することができる。
ここで、チャンネル選択フィルタ17は、SAWフィルタに匹敵する程度に大きな隣接チャンネル抑圧効果を有するフィルタであり、かつそのフィルタ特性は、図4に示すとおり、デシメーションフィルタ16からのデジタル信号が有する周波数帯域(最大周波数が約8MHz)から、所定の周波数(250kHz程度)以上離れた周波数における信号成分を約50dB減衰するだけの、非常に急峻な特性が求められる。こうしたチャンネル選択フィルタ17を、IIR型のフィルタにより実現する場合、該チャンネル選択フィルタ17から出力されるデジタル信号では、群遅延特性の劣化に起因した信号波形の歪みが発生する。
そこで、群遅延補正回路18を設け、チャンネル選択フィルタ17から出力されるデジタル信号における群遅延特性を補正することで、フィルタ特性が急峻なIIR型のチャンネル選択フィルタ17を使用する場合に、群遅延特性の劣化を抑制することができる、即ち、該群遅延特性を緩やかなものとすることができる。結果、信号波形の上記歪みを低減させることができる。
群遅延補正回路18は、チャンネル選択フィルタ17から入力されたデジタル信号に発生する群遅延を補正して、出力端子18aから出力する。
なお、群遅延補正回路18としては例えば、周知のデジタルフィルタが使用可能である。
群遅延補正回路18の出力端子18aから出力されるデジタル信号は、スイッチ21の切替状態に応じて、周波数変換器19または配線27を介して、DA変換器22に入力される。
ここで、スイッチ21は、c接点動作を行う周知のスイッチ回路により構成されている。そして、スイッチ21は、端子21cが端子21aと接続する場合(第1の場合)と、端子21cが端子21bと接続する場合(第2の場合)と、を、後述する第1の制御信号に応じて切り替えるものである。
スイッチ21において、端子21cが端子21aと接続する場合は、DA変換器22の入力端と、配線27(配線27の他端)と、が接続される。またこのとき、DA変換器22の入力端と、周波数変換器19の出力端と、の間の経路は開放される。このとき、群遅延補正回路18の出力端子18aから出力されるデジタル信号は、配線27、およびDA変換器22の入力端を順次通じて、DA変換器22に出力される。即ち、該デジタル信号は、周波数変換器19による周波数変換が行われない状態で、DA変換器22に出力される。
なお、群遅延補正回路18の出力端子18aから出力されるデジタル信号は、AD変換器15から出力されたデジタル信号に対して、デシメーションフィルタ16、チャンネル選択フィルタ17、および群遅延補正回路18により、雑音成分が除去されたデジタル信号に過ぎない。つまり、群遅延補正回路18の出力端子18aから出力されるデジタル信号の周波数は、上述した、各種信号処理に好適な周波数となっている。従って、この場合DA変換器22には、周波数変換器13で周波数変換された、上記各種信号処理に好適な周波数を有するデジタル信号が入力される。
一方、スイッチ21において、端子21cが端子21bと接続する場合は、DA変換器22の入力端と、周波数変換器19の出力端と、が接続される。換言すれば、周波数変換器19は、群遅延補正回路18およびDA変換器22と直列接続される。またこのとき、DA変換器22の入力端と、配線27(配線27の他端)と、の間の経路は開放される。このとき、群遅延補正回路18の出力端子18aから出力されるデジタル信号は、周波数変換器19に出力される。周波数変換器19は、該デジタル信号の周波数を、IF周波数が例えば30MHz〜60MHz程度(第2の周波数)となる信号へと変換して、DA変換器22に出力する。従って、この場合DA変換器22には、周波数変換器19で周波数変換された、IF周波数が30MHz〜60MHz程度となるデジタル信号が入力される。
なお、周波数変換器19としては例えば、周波数変換器13と同じく、自身に入力された信号を、図示しない局部発振回路で生成された局部発振成分と混合することで、該信号に対する周波数変換を実施する、周知の乗算器が使用可能である。また、本発明に係る第2の周波数は、上記30MHz〜60MHzのIF周波数に限定されず、復調回路41および/または42(図2参照)が有する周波数特性に応じて、任意の周波数(所望の周波数)が適宜設定可能である。
また、スイッチ21の切り替え動作を制御するべく、スイッチ21に供給する第1の制御信号は、その信号形態が特に限定されず、第1の制御信号の信号状態(信号レベル等)に応じて、スイッチ21における、端子21cが端子21aと接続する場合と、端子21cが端子21bと接続する場合と、の、切り替えが可能な信号でさえあれば、どのような信号が使用されても構わない。
ここで、上記第1の制御信号の信号形態の一例としては、高レベルの信号と低レベルの信号とからなるロジック信号が考えられる。該ロジック信号を使用するときは例えば、受信装置10内に設けられた、または、受信装置10に外部接続された、図示しないロジック回路から出力される該ロジック信号のレベルを、受信装置10外部から、ハードウェアもしくはソフトウェアにより人為的に制御し、該ロジック信号のレベルが所定の閾値を超えた(即ち、該ロジック信号が高レベルとなった)ときには、スイッチ21において、端子21cと端子21aとを接続させる一方、該ロジック信号のレベルが該閾値以下となった(即ち、該ロジック信号が低レベルとなった)ときには、スイッチ21において、端子21cと端子21bとを接続させるようにすればよい。
DA変換器22は、群遅延補正回路18または周波数変換器19から入力されたデジタル信号を、アナログ信号へと変換して、出力端子22aまたは出力端子22bから出力する。
ここで、DA変換器22は、出力するアナログ信号を、出力端子22aから出力する状態と、出力端子22bから出力する状態と、を、第二の制御信号に応じて切り替える機能を有するものである。
また、複数の出力端子22aおよび22bのいずれか1つが使用可能となるように制御するための、第2の制御信号は、その信号形態が特に限定されず、第2の制御信号の信号状態(信号レベル等)に応じて、複数の出力端子22aおよび22bのいずれか1つを選択することが可能な信号でさえあれば、どのような信号が使用されても構わない。ここで、上記第2の制御信号の信号形態の一例としては、上記ロジック信号の信号レベルと所定の閾値との比較結果に応じて、複数の出力端子22aおよび22bにおける、イネーブル/ディゼーブルを切り替える形態が考えられる。なお、該ロジック信号の信号レベルの制御については、第1の制御信号の場合と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、第1の制御信号と第2の制御信号とは、同じ信号が使用されてもよいし、異なる信号が使用されてもよい。
なお、図1に示す受信装置10は、いわゆるスーパーヘテロダイン方式の受信装置を想定している。但し、図1に示す受信装置10に係る、配線およびスイッチを備える構成は、スーパーヘテロダイン方式の受信装置の他にも、ダイレクトコンバーション方式の受信装置にも適用可能である。ダイレクトコンバーション方式の場合は、図1に示す受信装置10の構成において、周波数変換器13、アナログフィルタ14、AD変換器15、デシメーションフィルタ16、チャンネル選択フィルタ17、群遅延補正回路18、周波数変換器19、スイッチ21および、配線27により構成される回路(受信回路)を、低雑音増幅器12とDA変換器22との間に、該受信回路に対して並列接続すればよい。そして、並列接続された該受信回路で処理される各信号は、周波数が互いに略同一であると共に、位相が互いに異なる信号(I信号およびQ信号)となる。
なお、図1に示す受信装置10における、アナログフィルタ23および24以降の段の詳細な説明については、後述する。
図3は、本発明の別の実施形態に係る受信装置の構成を示すブロック図である。
図3に示す受信装置100は、入力端子11、利得が可変である低雑音増幅器12、周波数変換器(第1の周波数変換器)131および132、アナログフィルタ141および142、AD変換器151および152、デシメーションフィルタ161および162、チャンネル選択フィルタ171および172、イメージ除去・群遅延補正回路180、CORDIC演算回路(COordinate Rotation DIgital Computer)191、およびDA変換器22を備える構成である。また、イメージ除去・群遅延補正回路180は、上記群遅延補正回路18(図1参照)に対応する群遅延補正回路181と、イメージ除去・群遅延補正回路180自身に入力されたデジタル信号から、イメージ周波数成分を除去するイメージ妨害除去フィルタ182と、を備える構成である。また、図3に示す受信装置100は、いわゆるダイレクトコンバーション方式の受信装置である。
具体的に、図3に示す受信装置100は、入力端子11および低雑音増幅器12が、この順で直列接続されている。低雑音増幅器12の図示しない出力端には、周波数変換器131と周波数変換器132とが並列接続されている。
周波数変換器131には、アナログフィルタ141、AD変換器151、デシメーションフィルタ161、およびチャンネル選択フィルタ171が、この順で直列接続されている。周波数変換器132には、アナログフィルタ142、AD変換器152、デシメーションフィルタ162、およびチャンネル選択フィルタ172が、この順で直列接続されている。
ここで、周波数変換器131および132はいずれも、周波数変換器13(図1参照)に対応する構成および機能を有する部材である。また、アナログフィルタ141および142は、アナログフィルタ14(図1参照)に対応する構成および機能を有する部材である。また、AD変換器151および152は、AD変換器15(図1参照)に対応する構成および機能を有する部材である。また、デシメーションフィルタ161および162は、デシメーションフィルタ16(図1参照)に対応する構成および機能を有する部材である。また、チャンネル選択フィルタ171および172は、チャンネル選択フィルタ17(図1参照)に対応する構成および機能を有する部材である。
つまり、周波数変換器131、アナログフィルタ141、AD変換器151、デシメーションフィルタ161、およびチャンネル選択フィルタ171の直列回路は、図1に示す受信装置10における、周波数変換器13、アナログフィルタ14、AD変換器15、デシメーションフィルタ16、およびチャンネル選択フィルタ17の直列回路と同一の構成および機能を有する。同様に、周波数変換器132、アナログフィルタ142、AD変換器152、デシメーションフィルタ162、およびチャンネル選択フィルタ172の直列回路は、図1に示す受信装置10における、周波数変換器13、アナログフィルタ14、AD変換器15、デシメーションフィルタ16、およびチャンネル選択フィルタ17の直列回路と同一の構成および機能を有する。
チャンネル選択フィルタ171および172はいずれも、イメージ除去・群遅延補正回路180に接続されている。
イメージ除去・群遅延補正回路180の出力端子181aおよび182aは共に、CORDIC演算回路191に接続されている。CORDIC演算回路191は、DA変換器22に接続されている。
ここで、図3に示す受信装置100のうち、AD変換器151および152の一部(デジタル信号を取り扱う部分)、デシメーションフィルタ161および162、チャンネル選択フィルタ171および172、イメージ除去・群遅延補正回路180、CORDIC演算回路191、およびDA変換器22の一部(デジタル信号を取り扱う部分)は、デジタル信号を取り扱うデジタル回路部(デジタル回路)20を構成している。即ち、デシメーションフィルタ161および162、チャンネル選択フィルタ171および172、イメージ除去・群遅延補正回路180は、デジタルフィルタとして構成されている。
なお、DA変換器22以降の段の構成は、図1に示す受信装置10と同じであるため、詳細な説明を省略する。
図3に示す受信装置100では、受信した信号に対する各種信号処理を簡便に実施するために、以下の動作が為される。
例えば図示しないアンテナが受信したアナログ信号(受信信号)が、受信装置100前段の図示しないフィルタ回路を介して、受信装置100の入力端子11から入力されると、受信装置100はまず、低雑音増幅器12により、該受信信号を増幅して、周波数変換器131と周波数変換器132とに出力する。
周波数変換器131は、低雑音増幅器12から入力された信号の周波数を、上記各種信号処理に好適な周波数(第1の周波数)へと変換して、アナログフィルタ141に出力する。周波数変換器132は、低雑音増幅器12から入力された信号の周波数を、上記各種信号処理に好適な周波数(第1の周波数)へと変換して、アナログフィルタ142に出力する。
なお、周波数変換器131、132としては例えば、周波数変換器13と同じく、自身に入力された信号を、図示しない局部発振回路で生成された局部発振成分と混合することで、該信号に対する周波数変換を実施する、周知の乗算器が使用可能である。
また、周波数変換器131、132からそれぞれ出力される信号は、周波数が互いに略同一であると共に、位相が互いに異なる信号、より具体的に、位相が互いに90°異なる信号である、同相成分を示すI信号および直交成分を示すQ信号であるのが好ましい。
また、図1に係る周波数変換器13と同じく、入力端子11から周波数変換器131および/または132までの間には、トラッキングフィルタ等の図示しないフィルタ回路(アナログフィルタ)がさらに挿入されていてもよい。
アナログフィルタ141は、周波数変換器131から入力された信号から、妨害波となる不要な周波数成分を除去して、即ち、妨害信号を抑圧して、AD変換器151に出力する。アナログフィルタ142は、周波数変換器132から入力された信号から、妨害波となる不要な周波数成分を除去して、即ち、妨害信号を抑圧して、AD変換器152に出力する。
AD変換器151は、アナログフィルタ141から入力されたアナログ信号を、デジタル信号へと変換して、デシメーションフィルタ161に出力する。AD変換器152は、アナログフィルタ142から入力されたアナログ信号を、デジタル信号へと変換して、デシメーションフィルタ162に出力する。
AD変換器151および152としては例えば、ΔΣ型(デルタシグマ型)のAD変換器、または、パイプライン型の、周知のAD変換器が使用されるが、ここでは、上述したとおり、オーバーサンプリング方式を採用したΔΣ型のAD変換器を使用する場合について説明を行う。また、図1に係るAD変換器15と同じく、AD変換器151および/または152の前段には、利得が可変である図示しない増幅器を含む図示しない上記増幅回路がさらに挿入されていてもよい。
デシメーションフィルタ161は、AD変換器151から入力されたデジタル信号から、上記アナログ信号からデジタル信号への変換に起因して発生する妨害信号、即ち、折り返し雑音成分を除去して、チャンネル選択フィルタ171に出力する。デシメーションフィルタ162は、AD変換器152から入力されたデジタル信号から、上記アナログ信号からデジタル信号への変換に起因して発生する妨害信号、即ち、折り返し雑音成分を除去して、チャンネル選択フィルタ172に出力する。
チャンネル選択フィルタ171は、デシメーションフィルタ161から入力されたデジタル信号から、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号を除去して、即ち、隣接チャンネル抑圧を行って、イメージ除去・群遅延補正回路180に出力する。チャンネル選択フィルタ172は、デシメーションフィルタ162から入力されたデジタル信号から、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの信号を除去して、即ち、隣接チャンネル抑圧を行って、イメージ除去・群遅延補正回路180に出力する。
ここで、図1に係るチャンネル選択フィルタ17と同じく、チャンネル選択フィルタ171および172としては、IIR型のフィルタが使用されるのが好ましい。SAWフィルタに匹敵する程度に大きな隣接チャンネル抑圧効果を有するチャンネル選択フィルタ171および172をデジタル回路部20で実現する場合、チャンネル選択フィルタ171および172は、IIRフィルタにより実現することで、FIRフィルタにより実現する場合よりも、小さなフィルタ次数で実現可能となる。そのため、デジタル回路部20の回路規模の増大を抑制することができる。
チャンネル選択フィルタ171および172から入力されたデジタル信号がそれぞれ入力されると、イメージ除去・群遅延補正回路180は、群遅延補正回路181において、該デジタル信号に発生する群遅延を補正すると共に、イメージ妨害除去フィルタ182において、該デジタル信号から、イメージ周波数成分を除去した後、該デジタル信号を出力端子181aおよび182aから出力する。なお、周波数変換器131、132からそれぞれ出力される信号が、周波数が互いに略同一であると共に、位相が互いに異なる信号である場合、出力端子181aおよび182aからそれぞれ出力される信号も同様に、周波数が互いに略同一であると共に、位相が互いに異なる信号となる。
イメージ除去・群遅延補正回路180の出力端子181aおよび182aから出力されたデジタル信号は共に、CORDIC演算回路191に入力される。
CORDIC演算回路191は、入力されたデジタル信号に対して三角関数に基づく演算を実施することで、該デジタル信号の周波数を変換することができる公知の回路である。このCORDIC演算回路191は、該演算および周波数変換を実施するCORDIC周波数変換部(演算変換回路)192と、自身が出力する周波数変換情報に応じてCORDIC周波数変換部192における該演算の内容を制御する周波数変換制御部(演算内容制御回路)193と、を備える構成である。
ここで、CORDIC演算回路191で行われる処理について説明する。なお、CORDIC演算回路191の具体的な回路構成、および、CORDIC演算回路191による周波数変換に係る演算の仕組みは、公知の技術であり、当業者であれば実施可能なものであるため、ここでは概略のみの説明を行い、詳細な説明を省略する。
周波数変換制御部193は、自身に入力される、周波数情報Fsおよび位相情報θに基づいて、周波数変換情報を生成して、該周波数変換情報をCORDIC周波数変換部192に出力する。
CORDIC周波数変換部192は、周波数変換制御部193から入力された周波数変換情報に基づいて、イメージ除去・群遅延補正回路180の出力端子181aおよび182aからCORDIC演算回路191へと出力されるデジタル信号に対して三角関数に基づく演算を実施することで、該デジタル信号の周波数を変換する。
ここで、上記各種信号処理に好適な周波数を有するデジタル信号をDA変換器22に入力したい場合(第1の場合)、上記周波数変換情報は、CORDIC周波数変換部192による上記周波数変換(または、周波数変換に係る演算そのもの)を省略する旨指示する情報となる。
一方、IF周波数が例えば30MHz〜60MHz程度となるデジタル信号をDA変換器22に入力したい場合(第2の場合)、上記周波数変換情報は、CORDIC周波数変換部192により、上記周波数変換を実施する旨指示する情報となる。
上記の構成によれば、CORDIC演算回路191は、IF周波数が例えば30MHz〜60MHz程度となるデジタル信号をDA変換器22に入力したい場合において、イメージ除去・群遅延補正回路180の出力端子181aおよび182aから出力されるデジタル信号に対して、三角関数に基づく演算を実施することにより、該デジタル信号の周波数を変換して、出力することができる。
つまり、CORDIC周波数変換部192は、三角関数に基づく上記演算の内容に応じて、第1の場合と第2の場合とで出力するデジタル信号の周波数を切り替える機能と、該第2の場合における該演算の実施により、入力されたデジタル信号を周波数変換して出力する機能と、を兼備するものであると言える。
DA変換器22は、CORDIC演算回路191から入力されたデジタル信号を、アナログ信号へと変換して、出力端子22aまたは出力端子22bから出力する。ここで、DA変換器22は、上述した第2の制御信号に応じて、該変換により得られたアナログ信号を、出力端子22aから出力する状態と、出力端子22bから出力する状態と、を切り替える機能を有するものである。
なお、図3に示す受信装置100における、アナログフィルタ23および24以降の段の詳細な説明については、後述する。
図2は、受信装置10または100、およびその後段の回路の構成、即ち、本発明に係るチューナの構成を示すブロック図である。
受信装置10または100の出力端子25には、復調回路41が接続されている。また、受信装置10または100の出力端子26には、復調回路42が接続されている。
アナログフィルタ23は、DA変換器22(図1または図3参照)の出力端子22aから入力されたアナログ信号から、妨害波となる不要な周波数成分を除去して、出力端子25から復調回路41へと出力する。アナログフィルタ24は、DA変換器22(図1または図3参照)の出力端子22bから入力されたアナログ信号から、妨害波となる不要な周波数成分を除去して、出力端子26から復調回路42へと出力する。
復調回路41および42としてはいずれも、第1および/または第2の周波数を取り扱う周知の復調回路が使用可能である。ここでは、一例として、復調回路41が、第1の周波数としての上記ベースバンド周波数または上記Low−IF周波数を有する信号を取り扱うアナログテレビジョン放送用の周知の復調装置であり、復調回路42が、第2の周波数としてのIF周波数が例えば30MHz〜60MHz程度となる信号を取り扱うデジタルテレビジョン放送用の周知の復調装置であるものとする。
DA変換器22は、上記ベースバンド周波数または上記Low−IF周波数を有するデジタル信号を、アナログ信号へと変換して出力する場合、上述した第2の制御信号により、該アナログ信号が、出力端子22aのみから出力される。出力端子22aから出力された該アナログ信号は、アナログフィルタ23および出力端子25を介して、復調回路41に供給される。なお、このときアナログフィルタ23のフィルタ特性は、アナログテレビジョン放送の受信に好適な特性に適宜設定しておく、つまり、アナログフィルタ23は、上記ベースバンド周波数または上記Low−IF周波数を有する信号成分を通過させることができるものを使用する。復調回路41では、供給された信号を映像信号および音声信号に復調して、図示しないテレビジョン受像機によりアナログテレビジョン放送を実施する。
一方、DA変換器22は、IF周波数が例えば30MHz〜60MHz程度となるデジタル信号を、アナログ信号へと変換して出力する場合、上述した第2の制御信号により、該アナログ信号が、出力端子22bのみから出力される。出力端子22bから出力された該アナログ信号は、アナログフィルタ24および出力端子26を介して、復調回路42に供給される。なお、このときアナログフィルタ24のフィルタ特性は、デジタルテレビジョン放送の受信に好適な特性に適宜設定しておく、つまり、アナログフィルタ24は、30MHz〜60MHz程度の周波数を有する信号成分を通過させることができるものを使用する。復調回路42では、供給された信号を映像信号および音声信号に復調して、図示しないテレビジョン受像機によりデジタルテレビジョン放送を実施する。
なお、図2に示すチューナは、1つの受信装置により、アナログテレビジョン放送およびデジタルテレビジョン放送の両方を受信するという用途に好適な構成である。即ち、図2に示す、受信装置10または100およびその後段の回路では、DA変換器22に2つの出力端子22aおよび22bを設け、その各々の後段に復調回路41および42を接続し、復調回路41と復調回路42とに、互いに異なる周波数を有する信号を供給する構成を採用することで、上記用途に好適な構成としている。
しかしながら、図2に示すチューナの用途は、上記に限定されず、例えば、1つの受信装置10または100により、アナログテレビジョン放送またはデジタルテレビジョン放送のみを受信する用途も考えられる。こうした用途に好適な構成とする場合は、図2に示す、受信装置10または100およびその後段の回路において、DA変換器22の出力端子22aまたは22b、およびその後段に接続される回路を省略すればよい。これにより、受信装置10または100後段の復調装置(復調装置41または42)としては、その周波数特性が、30MHz〜60MHz程度の周波数に適応したものであっても、上記ベースバンド周波数または上記Low−IF周波数に適応したものであっても、使用可能となる。
受信装置10は、1個の受信装置により、IF周波数が30MHz〜60MHz程度となる信号と、上記ベースバンド周波数を有する信号または上記Low−IF周波数を有する信号と、が選択的に出力可能な構成である。該構成によれば、1個の受信装置10により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路41および42に適応可能となるため、各国または各地域での放送に適応可能なテレビジョン放送用のチューナを実現する場合において都合がよい。
結果、受信装置10は、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路41および42が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能になるという効果を奏する。
また、周波数変換器19を通じて得られたデジタル信号を必要としない場合、受信装置10では、スイッチ21を、端子21cと端子21aとを接続する状態とすることで、周波数変換器19における周波数変換処理を省略することができるため、低消費電力の受信装置が実現可能となる。
受信装置100は、1個の受信装置により、IF周波数が30MHz〜60MHz程度となる信号と、上記ベースバンド周波数を有する信号または上記Low−IF周波数を有する信号と、が選択的に出力可能な構成である。該構成によれば、1個の受信装置100により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路41および42に適応可能となるため、各国または各地域での放送に適応可能なテレビジョン放送用のチューナを実現する場合において都合がよい。
結果、受信装置100は、1個の受信装置により、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路41および42が所望する周波数の信号をそれぞれに供給することが可能になるという効果を奏する。
また、CORDIC演算回路191を用いた構成では、IF周波数が30MHz〜60MHz程度となるデジタル信号と、上記ベースバンド周波数または上記Low−IF周波数を有するデジタル信号と、の両方のデジタル信号を出力することができる。CORDIC演算回路191を用いた周波数変換回路は、周波数変換器19(図1参照)を省略することが可能である。さらに、周波数変換器19を使用する場合には、設定したい出力周波数を生成するために必要なROM(Read-Only Memory)または図示しないPLL(Phase Lock Loop)を省略することが可能であるため、デジタル回路部20およびPLLの回路面積を小さくすることができる。
そして、図2に示す、受信装置10または100およびその後段の回路は、本発明に係るチューナとして好適である。これにより、周波数特性が互いに異なる複数の復調回路41および42に対して、各復調回路41、42が所望する周波数の信号を供給することが可能となるチューナが実現可能となる。
復調回路41および42の周波数特性において、IF周波数は、上述したとおり、30MHz〜60MHz程度が一般的であるが、厳密に該IF周波数は、各国または各地域で使用される図示しない復調器によって異なる。例えば、日本における該復調器のIF周波数は、57MHz程度であるが、中国における該復調器のIF周波数は、35MHz程度であったり、アメリカ合衆国おける該復調器のIF周波数は、44MHzであったりする。
第1の周波数と異なる第2の周波数として、IF周波数が30MHz〜60MHz程度の周波数を設定したい場合、図1に示す受信装置10を用いる場合は、第1の制御信号によって、周波数変換器19における周波数変換処理が実施できるように、スイッチ21を、端子21cと端子21bとが接続された状態とし、各国または各地域で使用するために第2の周波数を所望の周波数に設定すればよいし、図3に示す受信装置100を用いる場合は、CORDIC演算回路191により、DA変換器22に対して、第1の周波数を有する信号を出力するか、それとも、所望の周波数に設定された第2の周波数を有する信号を出力するか、を選択すればよい。
近年の技術革新により、復調回路としては、主に1/f雑音のために従来難しいとされていた、受信する信号におけるチャンネル帯域の中央が0Hzとなるベースバンド信号を取り扱う(即ち、Zero‐IF帯域に対応した)復調回路、さらには、上記Low‐IF周波数の信号を取り扱う復調回路が開発されている。本実施の形態において、受信装置10および100では、第1の周波数が、該Zero‐IF周波数または該Low‐IF周波数に設定されているため、復調回路が、Zero‐IF周波数の信号を取り扱うシステム、または、Low‐IF周波数の信号を取り扱うシステムである場合、第1の制御信号によって、これらの信号を選択的に出力する構成とすることで、各復調回路41および42が所望する周波数の信号を供給することが可能となる。
次に、SAWフィルタ並みの大きな隣接チャンネル抑圧を持つフィルタを半導体基板上に形成するために、本発明に係るチャンネル選択フィルタは、デジタル回路として構成し、かつ、IIR型フィルタとするのが好ましい。一般に、IIR型フィルタは、FIR型フィルタと比較して、同じフィルタ特性を持たせるために必要なフィルタ次数を小さくすることができる。具体的に、図4に示すフィルタ特性を必要とする場合、IIR型のフィルタの次数は、FIR型のフィルタのそれと比較して、概ね1/10程度のフィルタ次数とすることができるため、回路面積の縮小および低消費電力化に好適である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。