JP4970526B2 - 支持体付き銅箔積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この時の積層体をプレスする圧力は、一般に40kg/cm2、温度は180°C程度が用いられている。
この場合、プリプレグシート8は銅箔7よりも一回り小さめのものが使用されている。なぜならば、銅箔7と同じ大きさのプリプレグシート8を用いた場合、積層時に軟化した樹脂が流動し銅箔シートの外に押し出され、その部分の上下積層シートがつながって積層ブロックと化してしまい、積層後の解体が困難になるからである。
このCACはアルミニウム製シート11と銅箔12とをエポキシ系接着剤13により接着し一体化されている。
1)CACの製造時に、アルミニウム製シートと銅箔の接着に使用する接着材として2液性エポキシ樹脂を用いているが、この接着材は硬化に時間がかかる(4〜5時間)ため、生産性が悪く、コストアップの原因となっている。
しかし、接着材が硬化するまでの間、平置きしておくことは生産性が著しく低下する主原因となっている。
以上から、CACは必ずしも最適なものではなく、品質やコストからいくつかの問題を抱えていた。
本願発明においては下記に示すように、積層工程において、そのヒートサイクルから、「250°C以上の耐熱性を有する接着剤」が必要と考えているので、特許文献1の接着剤では、接着剤としての機能を保持することができない。
この特許文献2の実施例で、170°Cで90分間プレスしたと記載されているが、このような温度条件では、接着が剥がれてしまう虞が多分にある。本願発明は、この170°Cの温度では不十分である。
上記の通り、特許文献1及び特許文献2では、本願発明の接着剤としての機能を保持することができない。
1.銅箔シートとアルミニウム製支持体とを、接着力0.05N/mm以下の接着剤を介して剥離可能に接着した構造を有することを特徴とする支持体付き銅箔積層体
2.耐熱易剥離接着剤であることを特徴とする上記1記載の支持体付き銅箔積層体
3.銅箔シートとアルミニウム製支持体とを、耐熱易剥離接着剤を介して剥離可能に接着した構造を有することを特徴とする支持体付き銅箔積層体
4.接着剤が250°C以上の耐熱性を有することを特徴とする上記1〜3のそれぞれに記載の支持体付き銅箔積層体
5.アルミニウム製支持体の全面又は一部に接着力0.05N/mm以下の接着剤を塗布した後、銅箔シートを剥離可能に接着することを特徴とする支持体付き銅箔積層体の製造方法
6.耐熱易剥離接着剤であることを特徴とする上記5記載の支持体付き銅箔積層体の製造方法
7.アルミニウム製支持体の全面又は一部に耐熱易剥離接着剤を塗布した後、銅箔シートを剥離可能に接着することを特徴とする支持体付き銅箔積層体の製造方法
8.接着剤が250°C以上の耐熱性を有することを特徴とする上記5〜7のそれぞれに記載の支持体付き銅箔積層体の製造方法、を提供する。
この接着剤をディピング又はドクターブレード法などにより、アルミニウム製支持体の全面又は一部にシリコン系耐熱易剥離接着剤を塗工し、乾燥硬化させる。
このように接着剤を塗工した表面は、銅箔シートを接着した場合でも容易に剥離可能であり、また繰返し接着性を生じる。この接着及び剥離の容易性を理解する意味で例を挙げると、事務用品の繰返し着脱可能なポストイット(商品名)に類似している。
全面に塗工する場合には、接着剤の塗工幅や接着剤の塗工位置を正確にコントロールする必要がないので、作業性は大幅に向上する。
接着剤の塗工及び硬化には、一般的なキャスティング装置を使用できるので生産性がよく、コストダウンが可能であるという特徴を有する。また、接着剤はこのようにして、すでに硬化しているので、ラミネート後に製品を積み重ねても、上記従来技術のCACで見られたアルミニウム製支持体上で銅箔が滑り、位置ずれを起こすという問題もなくなる。
また、圧延によって製造されたアルミニウム製支持体は通常、表面粗度Ra(中心線平均粗さ)が0.3μm程度になり、積層後にこの粗度の転写の問題が発生するが、接着剤がこれを緩衝し、積層後の銅箔表面に圧延アルミニウム製支持体の粗面が転写することもなくなる。
圧延により製造したアルミニウム製支持体(アルミ板:厚さ0.4mm)の両面の全面に、ディップ法によりシリコン系耐熱易剥離粘着剤を塗工し、乾燥及び硬化させた後、常温でゴムローラーラミネーターを用いて、その両面に厚さは18μmの銅箔(S面側)を接着した。このときの接着層の厚さは30μmであった。
次に、アルミニウム製支持体よりも縦横10mmサイズの小さいプリプレグシート(0.2mmt)を準備し、図2に示す様にホットプレスにセットして、180℃、1時間、40Kg/cm2のプレスを行ない、その後アルミニウム板を剥離することで銅箔2枚をコア基板の両面に接合した形の、一般に4層板と呼ばれる銅貼り積層板を作製した。
なお、積層体の最上部および最下部にはアルミニウム製支持体の片側のみに銅箔を貼り付けたものを用いた。
積層後のアルミニウム製支持体と銅箔は、シリコン接着材と銅箔の間で容易に剥離することができた。このときの接着強度は0.05N/mmであった。
圧延により製造したアルミニウム製支持体(アルミ板:厚さ0.4mm) 両面に、ドクターブレード法により非シリコン系耐熱易剥離粘着材を、前記両面の各2辺に幅10ミリに塗工し、乾燥及び硬化した後、ゴムローラーラミネーターを用いて、アルミニウム製支持体両面に厚さは9μmの銅箔(S面側)を接着した。このときの接着層厚は10μmであった。
次に、同様にアルミニウム製支持体よりも縦横10mmサイズの小さいプリプレグシート(0.2mmt)を準備し、図2に示す様にホットプレスにセットして、180℃、1時間、40Kg/cm2のプレスを行ない、その後アルミニウム板を剥離することで銅箔2枚をコア基板の両面に接合した形の、一般に4層板と呼ばれる銅貼り積層板を作製した。
なお、積層体の最上部および最下部にはアルミニウム製支持体の片側のみに銅箔を貼り付けたものを用いた。積層後のアルミニウム製支持体と銅箔は、シリコン接着材と銅箔の間で容易に剥離することができた。
1)アルミニウム製支持体と銅箔の接着に使用する粘着材としてシリコン系1液接着材を用いているので、その塗工及び硬化には一般的なキャスティング装置を使用することが可能である。このため、乾燥硬化時間が短くなり、生産性が向上し、単位時間あたりの生産能力が15%アップした。
2) 前記接着剤はキャスティング装置を用いて既に塗工、硬化しているため、ラミネート接着した製品を積み重ねても、アルミニウム製支持体上を銅箔が滑ることがなく、銅箔とアルミニウム製支持体の間にズレが生じて不良品となることがない。したがって、製品を積み重ねることができるので占有面積が80%減少し、これによるコスト低減効果があった。
3) アルミニウム製支持体と銅箔の接着に使用する粘着材は、アルミニウム製支持体全面に塗工できるので、一般的なキャスティング装置またはディッピング装置により効率よく塗工及び硬化することが可能になり、接着剤塗工におけるタクトタイムが20%削減でき、生産性が向上した。
4)一般的にアルミニウム製支持体は圧延よって製造されるが、その際にアルミニウム製支持体に生じる表面粗度(中心線平均粗さ)Raは0.3μm程度であり積層後に転写の問題が生じるが、接着面全面に本発明を用いればアルミニウム製支持体の表面の粗さはシリコン粘着材によって緩衝(カバー)されることから、積層後の銅箔表面に粗面が転写することがなくなった。これにより、積層工程後の転写によるプリント基板の不良品発生が30%減少した。
したがって、本願発明はプリント回路基板作製に有用である。
2、7、12: 銅箔
3、13: 接着剤
5: コア基板(プリント回路基板)
6、10: ホットプレス
4、8: プリプレグシート
9: 中間板(ステンレス)
11: アルミニウム支持シート板
Claims (3)
- アルミニウム製支持体の全面又は縁辺部にシリコン系耐熱易剥離接着剤を塗工し、この接着剤を乾燥・硬化させて支持体付き銅箔を製作し、次にこの作製した支持体付き銅箔とプリプレグとを積層しホットプレスした工程の後に、前記アルミニウム支持体と銅箔を0.05N/mm以下で剥離できるように、アルミニウム支持体と銅箔との間の前記接着剤の接着強度を0.05N/mm以下とすることを特徴とする支持体付き銅箔積層体の製造方法。
- シリコン系耐熱易剥離接着剤として、シリコンゴムに添加剤を混合して接着強度を調整したシリコン系耐熱易剥離接着剤を使用することを特徴とする請求項1記載の支持体付き銅箔積層体の製造方法。
- 接着剤が250°C以上の耐熱性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の支持体付き銅箔積層体の製造方法。
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