JP4970345B2 - ディスクブレーキ - Google Patents

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Description

この発明は、自動車の制動に使用するディスクブレーキの改良に関する。特に、本発明は、制動解除時に両パッドを戻す、戻しばねの改良に関する。
自動車の制動を行う為に、ディスクブレーキが広く使用されている。ディスクブレーキによる制動時には、車輪と共に回転するロータの軸方向両側に配置された一対のパッドを、ピストンによりこのロータの両側面に押し付ける。この様なディスクブレーキとして従来から各種構造のものが知られているが、ロータの両側にピストンを、互いに対向する状態で設けた、対向ピストン型ディスクブレーキは、安定した制動力を得られる事から、近年使用例が増えている。特許文献1には、この様な対向ピストン型ディスクブレーキに関する発明が記載されている。
図17〜18は、上記特許文献1に記載された構造を示している。ディスクブレーキ1は、ロータ2を挟む位置にアウタボディ部3及びインナボディ部4から成るキャリパ5を設け、これら各ボディ部3、4内にアウタシリンダ6及びインナシリンダ7を、それぞれの開口部を上記ロータ2を介して互いに対向させた状態で設けている。そして、これらアウタシリンダ6及びインナシリンダ7内にアウタピストン8及びインナピストン9を、液密に、且つ上記ロータ2の軸方向(図17の上下方向、図18の左右方向)に関する変位自在に嵌装している。又、アウタパッド10及びインナパッド11は、上記ロータ2の外周縁よりも径方向外寄り部分で、上記アウタボディ部3とインナボディ部4との間に掛け渡された2本のパッドピン12、12にそれぞれ吊り下げられた状態で、上記ロータ2の軸方向に変位自在としている。この為に、上記両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の外周縁部にそれぞれ通孔を形成し、これら各通孔に上記各パッドピン12、12を緩く挿通している。
又、上記各パッドピン12、12と上記アウタパッド10及びインナパッド11との間に、パッドスプリング14を配置している。このパッドスプリング14は、それぞれが弾性を有する2枚の金属板15a、15bを交差させた状態で結合して成る。このうちの一方の金属板15aは、上記両パッド10、11同士の間に、上記ロータ2の円周方向(図17の左右方向)に配置される。これに対して他方の金属板15bは、これら両パッド10、11の上記ロータ2の円周方向に関してほぼ中央部に、上記ロータ2の軸方向に配置される。
又、上記一方の金属板15aは、上記ロータ2の円周方向に関して両端部を、径方向内方にそれぞれクランク状に折り曲げた折り曲げ部16、16とし、これら両折り曲げ部16、16を、上記各パッドピン12、12の径方向内側の外周面に係合させている。又、上記他方の金属板15bは、上記ロータ2の軸方向両端部を、それぞれ内側に折り返して弾性係合部17、17としている。そして、これら両弾性係合部17、17の径方向内側面を、上記両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の外周縁部で、上記ロータ2の円周方向に関してほぼ中央部に、弾性的に当接させている。
上述の様に構成されるディスクブレーキ1は、制動時には、前記アウタシリンダ6及びインナシリンダ7内に圧油を送り込み、前記アウタピストン8及びインナピストン9により、上記アウタパッド10及びインナパッド11のライニング18、18を、上記ロータ2の内外両側面に押し付ける。又、制動解除に伴って、上記パッドスプリング14を構成する上記両弾性係合部17、17から付与される弾力により、上記両パッド10、11を上記ロータ2の側面から引き離す(所定位置に戻す)。即ち、制動時に、これら両パッド10、11が軸方向に変位する事に伴い、これら両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の端縁が上記両弾性係合部17、17を押圧し、これら両弾性係合部17、17を弾性変形させる。そして、制動解除時には、これら両弾性係合部17、17の弾性復元力により、上記両パッド10、11が上記ロータ2の側面から離れる方向に力(戻し力)が作用する。
一方、非制動時には、上記両弾性係合部17、17により、上記両パッド10、11に対し径方向内方に向く弾力を付与して、これら両パッド10、11のプレッシャプレート13、13の外周縁部にそれぞれ形成した通孔の一部を、これら各通孔を挿通した前記各パッドピン12、12の外周面に押し付ける事により、上記両パッド10、11が、上記キャリパ5に対しがたつくのを防止する。
上述の特許文献1に記載された構造の場合、パッドスプリング14の両弾性係合部17、17が、両パッド10、11をロータ2の側面から引き離す、戻しばねとしての機能を有するが、これら両弾性係合部17、17による戻し力は、上記両パッド10、11のライニング18、18の摩耗量により変化する。即ち、これらライニング18、18の摩耗量の変化により、制動時の上記両パッド10、11の移動に伴う、プレッシャプレート13、13の端縁と上記両弾性係合部17、17との当接位置が変化する為、これら両弾性係合部17、17の弾性変形量が変化し、この弾性変形量に基づく上記戻し力も変化する。特に、上記ライニング18、18が摩耗していない初期状態と、これらライニング18、18の摩耗が大幅に進んだ状態とでは、上記当接位置が大きく変化する為、上記戻し力の変化も大きくなる。この様に、戻しばねによる戻し力が大きく変化する場合(安定しない場合)には、例えば、摩耗が大幅に進んだ状態で戻しばねの弾性変形量が大きくなる事により、この戻しばねがへたって、十分な戻し力を確保できなくなる可能性がある。この様に、戻しばねによる戻し力が不十分な場合、ライニングがロータの側面から十分に離れずに、このロータの回転に引き摺られる、引き摺りが生じる可能性がある。
又、特許文献2、3には、フローティングキャリパ型ディスクブレーキに関する構造が記載されている。これら各特許文献2、3に記載された構造の場合、線ばねにより両パッドをロータの側面から引き離す方向に力を付与しているが、上述の特許文献1に記載された構造と同様に、これら両パッドのライニングの摩耗量の変化に伴い、やはり、制動解除時に、これら両パッドを戻す力が大きく変化する。
特開平9−89018号公報 実開昭55−163548号公報 特許第3487030号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、両パッドのライニングの摩耗量に拘らず、戻しばねの戻し力を安定させる事ができる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のディスクブレーキは、1対のパッドと、キャリパと、戻しばねとを備える。
このうちの両パッドは、車輪と共に回転するロータを挟んで設けられている。
又、上記キャリパは、これら両パッドをこのロータの両側面に押し付けるピストンを備えている。
又、上記戻しばねは、非制動時に上記両パッドをこのロータの両側面から離す方向に付勢するものである。
特に、本発明のディスクブレーキに於いては、上記戻しばねを、主部と弾性片とから構成している。
このうちの主部は、それぞれのパッドを構成するプレッシャプレートの一部に、上記ロータの軸方向に所定以上の力が作用した場合にこの軸方向に相対変位可能に、所定の弾性力により組み付けている。
又、上記弾性片は、上記主部の先端部に設けられ、上記所定の弾性力に基づく、上記プレッシャプレートに対する上記主部の(上記ロータの軸方向に関する)保持力よりも弱い弾性力を有している。
更に、上記両パッドを互いに対向させた状態で、それぞれのパッドに組み付けた、上記各戻しばねの先端部同士が対向する。
そして、制動時には、上記各弾性片同士が弾性的に当接し、制動時の上記両パッドの軸方向の移動量が所定以上の場合に、上記主部の先端縁のうちの弾性片から外れた部分同士も当接して、上記各戻しばねがそれぞれのパッドに対して変位する。
一方、制動解除時には、上記各弾性片の弾性復元力により、これら両パッドを上記ロータの両側面から離れる方向に付勢する(戻し力を付与する)。
上述の戻しばねの主部は、上記ロータの軸方向に長い基板部と、この基板部のこの幅方向両端縁から互いに同じ方向に折り曲げた、やはり、軸方向に長い1対の弾性板部とから構成する。
そして、これら両弾性板部の基端部により、上記両パッドのプレッシャプレートの一部に形成した突出係合部を弾性的に挟持して、上記各戻しばねを上記各プレッシャプレートに組み付ける。
又、上記両弾性板部の先端縁を上記基板部の先端縁よりも突出させると共に、この基板部の先端縁に上記弾性片を、この弾性片の一部が上記両弾性板部の先端縁よりも突出する様に形成する。
そして、制動時の上記両パッドの移動量が所定以上の場合に、互いに対向する各戻しばねの各弾性板部の先端縁同士を当接させる。
又、上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、結合部材を設ける。
この結合部材は、上記両パッドのプレッシャプレートの一部同士に、上記各戻しばねを覆う様に掛け渡され、これら両パッド同士を、上記ロータの軸方向の変位可能に結合するものである。
尚、本明細書及び特許請求の範囲で「円周方向」とは、特に断らない限り、上記ロータの円周方向(=回転方向)を言い、同じく「軸方向」とは、このロータの軸方向を言い、同じく「径方向」とは、このロータの半径方向を言う。又、「回入側」とは、特に断らない限り、このロータの前進時の回入側を言い、同じく「回出側」とは、このロータの前進時の回出側を言う。
上述の様に構成する本発明のディスクブレーキの場合、両パッドのライニングの摩耗量に拘らず、戻しばねの戻し力を安定させる事ができる。即ち、これらライニングの摩耗量が所定量よりも大きい場合には、制動時の上記両パッドの移動量も多くなり、上記各戻しばねを構成する主部のうちの弾性板部の先端部同士が当接する。そして、上記両パッドの移動量に応じて、これら両パッドにそれぞれ配置した戻しばねが、これら両パッドに対し軸方向に変位する。この様に、本発明の場合には、上記ライニングの摩耗量に応じて上記各戻しばねの、上記両パッドに対する位置が調節される。この為、これら各戻しばねを構成する弾性片の弾性変形量が、上記摩耗量に拘らず、大きく変化する事がない。従って、これら各両弾性片の弾性復元力に基づく、戻し力が大きく変化する事を防止できる(戻し力を安定させる事ができる)。この様に戻し力を安定させる事ができれば、パッドとロータ側面とのクリアランスを一定にでき、引き摺りの発生防止効果を安定して得られる。
又、請求項2に記載した発明の場合には、両パッドを戻しばねと共に、結合部材により結合している為、これら両パッドの組み付け時に、これら両パッド及び戻しばねを一体(サブアッセンブリ)として扱え、組み付け作業が容易になる。又、上記両戻しばねを上記結合部材により覆っている為、これら両戻しばねが、ロータの径方向や円周方向にずれたり、或は、傾いたりしにくくなり、互いに安定した状態を維持し易くなる。そして、上記両パッドの移動量が多くなった場合に、上記各戻しばねを構成する主部の先端縁同士を、確実に当接させられる。この結果、上記両戻しばねの戻し力をより安定させる事ができる。
図1〜16は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例は、本発明を対向ピストン型ディスクブレーキに適用したものである。尚、本発明の特徴は、両パッド19、19のライニング18a、18aの摩耗量に拘らず、戻しばね20、20の戻し力を安定させるべく、これら両戻しばね20、20の形状を工夫した点にある。対向ピストン型ディスクブレーキの基本的構造及び作用は、前述の図17〜18に示した従来構造と同様である。この為、重複する部分に就いては、図示及び説明を、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合、上記両パッド19、19を吊り下げるパッドピン12を、1本としている。即ち、キャリパ5aを構成するアウタボディ部3aとインナボディ部4aとを、ロータ2(図17、18参照)の外径側で、このロータ2の円周方向に関する中央部よりも、前進時のこのロータ2の回入側(図2、5の左側、図3の右側)に寄った部分に、上記1本のパッドピン12を掛け渡す様に配置している。そして、上記両パッド19、19を構成するプレッシャプレート13a、13aの外周縁部で、やはり、上記ロータ2の円周方向に関する中央部よりも回入側に寄った部分に形成した通孔21、21に、上記パッドピン12を緩く挿通している。従って、上記両パッド19、19の回入側は、1本のパッドピン12により吊り下げられる状態となる。
又、本例の場合、上記アウタボディ部3a及びインナボディ部4aの回出側(図2、5の右側、図3の左側)の上記ロータ2の内径寄り部分に、図5に示す様に、このロータ2の回転方向に向けて湾曲する様に凹入した凹入部22を、それぞれ形成している。そして、これら各凹入部22の内周面をトルク受面23としている。これら各凹入部22の内周面は、単一の曲率中心を有し、中心軸が上記ロータ2の軸方向(図2の上下方向、図3、5の表裏方向、図4の左右方向)に存在する(このロータ2の中心軸と平行な)、部分円筒面としている。尚、上記各凹入部22の内周面は、この様な部分円筒面以外に、軸方向から見た形状が略コ字形、U字形等であっても良い。即ち、次述する突出部24の外周面が、上記各凹入部22の内周面に対し揺動変位が可能に係合する形状であれば良い。
一方、上記両パッド19、19を構成するプレッシャプレート13a、13aの回出側側縁部の上記ロータ2の内径寄り部分に、このロータ2の回転方向に向けて湾曲する様に突出した上記突出部24を、それぞれ形成している。そして、これら各突出部24の外周面を被トルク受部25としている。これら各突出部24の外周面は、上記各凹入部22とほぼ同一の曲率中心を有し、これら各凹入部22よりも曲率半径が僅かに小さい部分円筒面としている。又、上記両パッド19、19を上記キャリパ5aの所定位置にそれぞれ配置した状態で、上記部分円筒面の中心軸は、軸方向に配置される(ロータ2の中心軸と平行になる)。
又、本例の場合、上記両パッド19、19に、それぞれ前記戻しばね20、20を設けている。これら両戻しばね20、20は、図6〜11に示す様に、例えば、ステンレス鋼板等の弾性を有する金属板を所定の形状に打ち抜き、折り曲げる事により形成して成り、それぞれ、主部26と弾性片27とから構成している。このうちの主部26は、それぞれのパッド19、19を構成するプレッシャプレート13a、13aの回入側端部に、前記ロータ2の軸方向に所定以上の力が作用した場合にこの軸方向に変位可能に、所定の弾性力により組み付けている。
この為に本例の場合には、上記主部26を、全体が上記ロータ2の軸方向に長い、断面コ字形の樋状で、基板部28と、この基板部28のこのロータ2の円周方向両端縁から径方向内方に折れ曲がった、1対の弾性板部29、29とから構成している。そして、これら両弾性板部29、29の基端部により、上記両プレッシャプレート13a、13aの回出側端部に径方向外方に向けて突出する様に形成した突出係合部30を、所定の弾性力により、上記ロータ2の円周方向両側から弾性的に挟持している。これにより、上記両戻しばね20、20を、上記各プレッシャプレート13a、13aに、それぞれ組み付けている。
又、前記弾性片27は、上記主部26の先端部に設けられている。この弾性片27は、この主部26の基板部28の先端縁から突出した部分を径方向内方に折り曲げ、更に、その先端部を径方向外方に折り返す事により形成している。この様な弾性片27の(ロータ2の円周方向に関する)幅は、上記基板部28の両端部に設けた弾性板部29、29の間隔よりも小さい。又、この基板部28の先端縁は、これら両弾性板部29、29の先端縁よりも軸方向に凹んでいる。言い換えれば、これら両弾性板部29、29の先端縁を上記基板部28の先端縁よりも突出させている。この為、上記弾性片27の基端寄り部分は、上記両弾性板部29、29の先端部同士の間部分に位置する。但し、この弾性片27の自由状態では、図10、11に詳示する様に、この弾性片27の先端寄り部分が、上記両弾性板部29、29の先端縁よりも突出している。
又、上記弾性片27の(前記ロータ2の軸方向に関する)弾性力は、上記両弾性板部29、29が前記プレッシャプレート13a、13aの突出係合部30を挟持する、前記所定の弾性力に基づく、上記ロータ2の軸方向に関する保持力よりも弱くしている。従って、前記両戻しばね20、20に、上記弾性片27を弾性変形させる程度の力が軸方向に作用しても、上記両弾性板部29、29の弾性力に基づく保持力により、上記両戻しばね20、20が上記プレッシャプレート13a、13aに対し変位する事はない。
上述の様に、両パッド19、19に組み付けられた両戻しばね20、20は、図16に詳示する様に、これら両パッド19、19を互いに対向させた状態で、先端部同士が対向する。即ち、これら両パッド19、19のライニング18a、18aが摩耗していない初期(新品の)状態で、上記両戻しばね20、20の主部26の基端部を、上記プレッシャプレート13a、13aの突出係合部30に組み付ける。そして、この状態で、上記両戻しばね20、20の先端部同士は、それぞれの弾性片27が弾性変形しない(多少、弾性変形しても構わない)程度に接触した状態で対向する。これに対して、それぞれの両弾性板部29、29同士の間には、上記弾性片27のこれら両弾性板部29、29の先端縁からの突出量(弾性片27、27の先端部同士が弾性的に当接している場合には、弾性変形量を差し引いた量)に応じた隙間が存在する。
上記両戻しばね20、20は、上記ライニング18a、18aのそれぞれの摩耗量が所定量よりも少ない場合には、制動時に、互いに対向する、上記両弾性片27、27同士が弾性的に圧縮された状態で当接するが、上記各弾性板部29、29の先端縁同士は当接しない。そして、この状態で制動を解除した場合には、上記両弾性片27、27の弾性復元力により、上記両パッド19、19が、ロータ2の両側面から離れる方向に付勢される(戻し力が付与される)。
一方、上記ライニング18a、18aの摩耗量が所定量よりも多い場合には、制動時の上記両パッド19、19の移動量も多くなり、互いに対向する、上記両弾性片27、27が大きく弾性変形して、上記各弾性板部29、29の先端縁同士が当接する。この際、これら各弾性板部29、29が変形する事なく、上記両パッド19、19の移動量に応じて、上記両戻しばね20、20がこれら両パッド19、19に対し変位する。実際には、これら両戻しばね20、20に対し、これら両パッド19、19が互いに近づく方向に変位する。これにより、これら両戻しばね20、20の突出係合部30に対する組み付け位置が、基端部から軸方向中央側にずれる。この状態で制動を解除した場合にも、上述した場合と同様に、上記両弾性片27、27の弾性復元力により、上記両パッド19、19に戻し力が付与される。
尚、上述の様に、ライニング18a、18aが摩耗した状態で制動を解除した場合、上記両パッド19、19を押圧するピストンと、このピストンを嵌装するシリンダとの間に存在するシールリングの、ロータの軸方向に関する弾性変形による調整機能に基づき、これら両パッド19、19が、ロータ2の両側面から所定の間隔の位置までしか戻らない。即ち、上記ライニング18a、18aの摩耗量に応じて、上記両パッド19、19と上記ロータ2の両側面との間隔が自動的に調節される。この為、上記ライニング18a、18aの摩耗量に拘らず、非制動時の上記両パッド19、19と上記ロータ2の両側面との間隔は、ほぼ一定に保たれる。この様な間隔調整は、上記シールリングの弾性変形により行う他、シリンダ内に設けた自動間隔調整装置により行う場合もある。
従って、上記ライニング18a、18aが摩耗した場合、前記プレッシャプレート13a、13aが制動解除後に戻る位置は、上記ピストンの上記シリンダからの突出量が大きくなる程、新品時の位置よりも上記ロータ2の側面に近くなる。これに対して、上記両戻しばね20、20の上記両パッド19、19に対する組み付け位置のずれは、制動解除後も維持される。即ち、上記ライニング18a、18aが摩耗しても、非制動時に於ける、上記両戻しばね20、20の上記ロータ2に対する軸方向位置は殆ど変わらず、上記両パッド19、19の上記ロータ2に対する軸方向位置が変わる。そして、これら両パッド19、19とこのロータ2の両側面との間隔が、ほぼ一定に保たれる。この結果、次に制動を開始した場合に、上記両パッド19、19の軸方向の移動量は、ライニング18a、18aの摩耗前と殆ど変わらず、上記両戻しばね20、20の互いの軸方向に関する位置関係も変わらない為、これら両戻しばね20、20による戻し力をほぼ一定に保つ事ができる。
又、上述の説明からも明らかな様に、制動時に上記各弾性板部29、29の先端縁同士が当接する基準となる、ライニング18a、18aの摩耗の所定量とは、自由状態で、上記両戻しばね20、20をそれぞれ構成する、弾性片27の先端部が両弾性板部29、29の先端縁から軸方向に突出する量の2倍に(弾性片27の僅かな弾性変形等を考慮すると、必ずしも一致しない場合もあるが、ほぼ)一致するものである。従って、上記所定量は、上記弾性片27の上記両弾性板部29、29の先端縁からの突出量を規制する事により、設計的に定められる。
又、本例の場合、結合部材31を、前記両プレッシャプレート13a、13aの突出係合部30同士に、上記両戻しばね20、20を覆う様に掛け渡している。そして、上記両パッド19、19同士を、上記ロータ2の軸方向の変位可能に結合している。この様な結合部材31は、例えば、ステンレス鋼板等の金属板を所定の形状に打ち抜き、折り曲げる事により形成して成る。そして、上記ロータ2の円周方向に互いに対向する一対の側板部32a、32bと、これら両側板部32a、32bの径方向外端縁を連結する連結部33とを備える。
これら両側板部32a、32b及び連結部33は、上記ロータ2の軸方向に亙って形成されている。又、これら各部32a、32b、33の軸方向寸法は、上記両パッド19、19を所定位置に配置した状態(勿論、非制動状態、且つ、新品の状態)での、これら両パッド19、19の上記ロータ2と反対側の側面(プレッシャプレート13a、13aの両側面のうち、ライニング18a、18aと反対側の側面)同士の間隔とほぼ同じ寸法としている。又、上記両側板部32a、32bの回入側の側板部32bの径方向中間部に、回出側に突出する突部34を、この側板部32bの軸方向全体に亙って形成している。
上記結合部材31により上記両パッド19、19を結合する場合には、上記両側板部32a、32bと上記連結部33との両端部により、上記両プレッシャプレート13a、13aにそれぞれ形成した前記両突出係合部30、及び、これら両突出係合部30に固定した前記戻しばね20、20を覆う様に配置する。この際、上記両側板部32a、32bにより、上記両突出係合部30を、上記両戻しばね20、20の弾性板部29、29を介して、円周方向両側から弾性的に挟持する。但し、この弾性力は、上記結合部材31がこれら両突出係合部30に対し、円周方向にがたつかない程度として、制動時に上記両パッド19、19に軸方向に力が加わった場合に、上記両突出係合部30が上記両側板部32a、32bに対し円滑に変位可能としている。又、制動時に、上記戻しばね20、20が、上記両パッド19、19と共に変位、或は、前述した様に、ライニング18a、18aの摩耗が進んだ状態でこれら両パッド19、19に対し変位する際に、この変位を妨げる事もない様にしている。
又、上記結合部材31の両端部を上記両プレッシャプレート13a、13aの回入側端部にそれぞれ配置する際に、上記回入側の側板部32bに形成した前記突部34を、上記両突出係合部30の側縁部に形成した凹溝35にそれぞれ係合させる。これら凹溝35は、これら両突出係合部30の回入側の側縁部(両プレッシャプレート13a、13aの回入側の側縁部で径方向外寄り部分)に、軸方向に亙ってそれぞれ形成している。
上記突部34と凹溝35との係合は、上記結合部材31が上記両プレッシャプレート13a、13aに対し、径方向にがたつかない程度に、例えば、若干の隙間嵌めとして、制動時に上記両パッド19、19に軸方向に力が加わった場合に、上記両突出係合部30が上記側板部32bに対し円滑に変位可能としている。又、やはり、前記両戻しばね20、20が、上記両パッド19、19と共に変位、或は、これら両パッド19、19に対し変位する際に、この変位を妨げる事もない様にしている。これにより、上記結合部材31の両端部が、上記両プレッシャプレート13a、13aの回入側に形成した上記両突出係合部30に、径方向及び円周方向に脱落する事はないが、軸方向に相対変位可能に、それぞれ結合される。
尚、本例の場合、上記側板部32bの軸方向両側縁に係合片48、48を、この側板部32bの両側縁から回出側に折り曲げる様に形成している。これら両係合片48、48は、上記結合部材31の両端部を前記両プレッシャプレート13a、13aの回入側端部にそれぞれ配置した場合に、上記両戻しばね20、20の回入側の弾性板部29の基端縁と、上記両プレッシャプレート13a、13aの前記ロータ2と反対側の側面と近接対向する。そして、上記結合部材31及び上記両戻しばね20、20が、上記両パッド19、19から軸方向に脱落する事を防止する。
又、上記両プレッシャプレート13a、13aの前進時の回入側に形成した上記両突出係合部30は、後退時に制動した場合に、前記キャリパ5aの前進時の回入側(即ち、後退時の回出側)に設けたトルク受面23aと、上記結合部材31の側板部32bを介して当接する。即ち、上記両突出係合部30は、後退制動時に、被トルク受部25aとして機能する。従って、後退制動時に、これら両突出係合部30と上記トルク受面23aとが、上記側板部32bを介して強く当接し、異音が生じる可能性がある。この為、図示は省略するが、この側板部32bの上記トルク受面23aと対向する面に、ゴム等の弾性材を接着又はコーティングにより設ける事が好ましい。これにより、側板部32bと上記トルク受面23aとの間に弾性材が介在する為、後退制動時に、これら側板部32bとトルク受面23aとの当接に基づく、異音の発生を防止できる。
上述の様に、戻しばね20、20の基端部、及び、結合部材31の両端部を両パッド19、19の回入側端部に結合する場合には、先ず、上記両戻しばね20、20を、両弾性板部29、29の基端部の間隔を弾性的に広げつつ、両プレッシャプレート13a、13aの両突出係合部30に径方向外方から、或は、軸方向から配置する。次いで、上記結合部材31を、両側板部32a、32bの間隔を弾性的に広げつつ、上記両突出係合部30及び上記戻しばね20、20を覆う様に、径方向外方から配置する。この際、上記結合部材31に設けた突部34と、上記両突出係合部30に設けた凹溝35とを係合させる。尚、上記両戻しばね20、20を、予め、上記結合部材31内に配置した状態で、これら両部材20、31を上記両突出係合部30に組み付けても良い。
又、本例の場合、上記結合部材31の軸方向中間部に、前進時の回入側に向けて突出する舌片36を形成している。即ち、上記側板部32bと前記連結部33との連続部の軸方向中間部に透孔37を形成すると共に、この透孔37の上記側板部32b側の周縁部からこの透孔37内に突出した部分を回入側に折り曲げて、上記舌片36としている。この舌片36は、前記両パッド19、19との間(ほぼ中央)部分に存在し、前記キャリパ5aの外周面の一部に、引っ掛ける様に係合している。
即ち、このキャリパ5aの上記両パッド19、19を設置する部分の外周部のうち、回入側部分乃至円周方向中央部は、径方向に貫通した貫通孔38としている。そして、上記キャリパ5aの外周面のうち、この貫通孔38の回入側に存在する面に平坦面39を形成している。上記結合部材31の舌片36が、この平坦面39と係合した状態で、上記両パッド19、19が、上記キャリパ5a内の所定位置に配置される。
又、本例の場合、上記両パッド19、19を上記キャリパ5aの所定位置に配置した状態で、前記両プレッシャプレート13a、13aの各突出部24を、前記トルク受面23の各凹入部22内に、それぞれ配置している。そして、これら各突出部24の外周面をこれら各凹入部22の内周面に係合している。又、これら両周面同士の係合中心O(係合している面の中心)は、上記両パッド19、19と上記ロータ2の両側面との摩擦面中央部Pよりも、このロータ2の径方向内方に外れた位置としている。
又、この状態で、前記プレッシャプレート13a、13aに形成した通孔21、21内に前記パッドピン12を緩く挿通すると共に、このパッドピン12を前記アウタ、インナ両ボディ部3a、4aの径方向外側部分に掛け渡す様に支持している。又、上記各突出部24の外周面及び上記各凹入部22の内周面は、軸方向に存在する中心軸をそれぞれ有する部分円筒面である為、上記各突出部24は、上記各凹入部22内を軸方向に変位可能である。従って、上記両パッド19、19は、回入側を上記パッドピン12と上記各通孔21、21との係合により、回出側を上記各突出部24と上記各凹入部22との係合により、それぞれ上記キャリパ5aに軸方向の変位自在に支持される。
又、本例の場合、上記パッドピン12を、上記両パッド19、19の上記ロータ2の円周方向に関する中央部よりも、前進時のこのロータ2の回入側に配置している。この為、上記両パッド19、19の回出側を支持する上記各突出部24と各凹入部22との係合部と、同じく回入側を支持する上記パッドピン12との位置を、上記ロータ2の円周方向に関して離す事ができる。この結果、上記両パッド19、19の径方向のがたつきを、より効果的に防止できる。又、これら両パッド19、19が、径方向に傾斜したり、径方向に脱落する事も、効率良く防止できる。
又、上記キャリパ5aの上記両パッド19、19を設置する部分の外周部のうち、回出側部分に覆い部40を設け、上記両パッド19、19の外径側で回出側部分を覆う様にしている。これに対して、同じく回入側部分乃至円周方向中央部は、径方向に貫通した、前記貫通孔38としており、上記両パッド19、19を挿入自在としている。従って、本例の場合、上記キャリパ5a内に上記両パッド19、19を配置する場合には、次の様に行う。
先ず、図11〜14に示す様に、これら両パッド19、19にそれぞれ戻しばね20、20を組み付けると共に、これら両パッド19、19同士の間に結合部材31を掛け渡す。次に、この状態で、上記キャリパ5aの貫通孔38から上記覆い部40の内方に、正規の状態に対し図5の時計方向に傾斜させつつ潜り込ませる様に挿入する。そして、これら両パッド19、19の各突出部24を、前記各凹入部22内に配置し、これら各突出部24の外周面とこれら各凹入部22の内周面とを係合させる。
次いで、上記各突出部24の外周面とこれら各凹入部22の内周面との係合に基づいて(これら両周面の係合部を中心として)、上記両パッド19a、19を図5の反時計方向に回動させる。そして、上記結合部材31に設けた舌片36を上記キャリパ5aの平坦面39に係合する。これにより、上記両パッド19、19の傾きを正規の状態にする。この状態で、前記パッドピン12を、前記両プレッシャプレート13a、13aの各通孔21、21に挿通する。更に、次述するパッドスプリング14aを、上記キャリパ5aと上記両パッド19、19との間の所定位置に配置する事により、これら両パッド19、19を上記キャリパ5a内にがたつきなく配置する。
上記パッドスプリング14aは、ステンレス鋼材等の弾性を有する金属製の1本の線材を折り曲げる事により形成している。この様なパッドスプリング14aは、一対の抜け止め部41、41と、一対の付勢部42、42と、一対の弾性部43、43と、一対の支承部44、44とから構成される。このうちの両抜け止め部41、41は、上記パッドスプリング14aの長さ方向一端部(図2、5の左右方向右端部)に略矩形状に形成しており、上記パッドスプリング14aを前記キャリパ5a内に設置した状態で、前記覆い部40の内周側面と当接して、このパッドスプリング14aの回出側が上記キャリパ5a内から抜け出る事を防止するものである。
又、上記両付勢部42、42は、上記両抜け止め部41、41と連続した状態で、上記パッドスプリング14aの回出側に形成され、上記パッドスプリング14aを所定位置に配置した状態で、前記両プレッシャプレート13a、13aの外周縁部に形成した係合突部45、45に係合する。これら両係合突部45、45は、上記両プレッシャプレート13a、13aの外周縁部のうち、円周方向中央部よりも回出側に寄った部分に、径方向外方に突出する様に形成している。上記両付勢部42、42は、上記両係合突部45、45を、前進時の前記ロータ2の回出側に向かう方向(図5の矢印イ、ロ方向)に付勢している。但し、本例の場合、上記両付勢部42、42により付勢する力の作用線(図5の矢印ロの延長線)が、前記各突出部24の外周面と前記各凹入部22の内周面との係合部の中心Oから、前記ロータ2の径方向外方に外れている。
又、上記両弾性部43、43は、上記両抜け止め部41、41と上記両付勢部42、42との間に設けられ、これら両付勢部42、42に上記各係合突部45、45を付勢する力を付与する。即ち、上記両弾性部43、43は、上記両抜け止め部41、41の矩形状部分を含む様に形成されており、これら両付勢部42、42を上記各係合突部45、45に係合した状態で弾性変形し、弾性復元力によりこれら両付勢部42、42に付勢力を付与する。
又、上記両支承部44、44は、上記両抜け止め部41、41から上記両付勢部42、42とは反対側に延出された部分に形成されている。即ち、上記パッドスプリング14aの前記ロータ2の軸方向に関し両側に、上記両抜け止め部41、41と連続した状態で配置される、連続部46、46の回入側に寄った部分を径方向内方に折り曲げて段差部を形成し、この段差部を、上記両支承部44、44としている。これら両支承部44、44は、上記パッドスプリング14aを所定位置に配置した状態で、前記パッドピン12の外周面の回出側部分と係合する。そして、上記両弾性部43、43により上記両付勢部42、42に付与した付勢力の反力を支承する。
尚、本例の場合、これら両付勢部42、42により付勢する力の方向(矢印ロ方向)が、これら両付勢部42、42と前記各係合突部45、45との係合部と、上記パッドピン12と上記両支承部44、44との係合部とを結ぶ仮想直線(鎖線ハ)とほぼ一致している。従って、上記両付勢部42、42の付勢力の反力は、この仮想直線に沿ってこの付勢力の方向と反対方向に作用する。本例の場合、上記両支承部44、44は、上記両連続部46、46の一部を、上記仮想直線に対しほぼ直角な方向に折り曲げ、更に、上記パッドピン12の外周面に沿う様に湾曲させる事により形成している。そして、上記両支承部44、44の湾曲した部分を上記パッドピン12の外周面の回出側の周面にがたつきなく係合させ、上記仮想直線に沿って作用する反力を支承する様にしている。この結果、この反力を効率良く支承できる。
尚、図示の例の場合、上記両連続部46、46の一部で、前記ロータ2の円周方向に関し中央寄り部分に、U字型に折り曲げた部分が存在するが、これら各部分は、上記両プレッシャプレート13a、13aの外周面の円周方向中央部に形成した凹部47、47に対応する位置に形成している。上記U字型部分とこれら凹部47、47とは、前記両パッド19、19のライニング18a、18aの摩耗量を検出して、これら両パッド19、19の交換時期を知る為のウェアインジケータを設置する為に形成したものである。
上述の様に構成される本例の場合、非制動時に、前記パッドスプリング14aを構成する両付勢部42、42により、上記両プレッシャプレート13a、13aの係合突部45、45を、それぞれ回出側に付勢(弾性的に押圧)する事により、これら両プレッシャプレート13a、13aの被トルク受部25を前記回出側のトルク受面23に押し付けている。上記両付勢部42、42により付勢する力の作用線は、前述した様に、これら被トルク受部25とトルク受面23とをそれぞれ構成する、各突出部24の外周面と各凹入部22の内周面同士の係合中心から、上記ロータ2の径方向外方に外れている。この為、上記両付勢部42、42により付勢する力に基づき、前記両パッド19、19に、上記各突出部24の外周面と各凹入部22の内周面同士の係合部を中心としたモーメントが、図5の時計方向に生じる。
この様なモーメントに基づき、上記両パッド19、19が図5の時計方向に回動する傾向となり、上記両プレッシャプレート13a、13aに設けた通孔21、21の内径側周縁部が、図5の矢印ニで示す様に、前記パッドピン12の外周面に押し付けられる。この様に、上記各通孔21、21の内径側周縁部が上記パッドピン12の外周面に押し付けられる事により、上記両パッド19、19の径方向のがたつきを防止できる。又、上記両付勢部42、42の付勢力により、上記被トルク受部25が上記トルク受面23に押し付けられ、上記両パッド19、19の円周方向のがたつきを防止できる。本例の場合、上述の様に構成され、この様に作用する事により、上記両パッド19、19のがたつきを、効率良く防止できる。この結果、非制動時に、これら両パッド19、19ががたつく事により生じる異音を防止できる。
又、本例の場合、前記各突出部24の外周面と前記各凹入部22の内周面との係合中心Oが、上記両パッド19、19と前記ロータ2の両側面との摩擦面中央部Pから径方向内方に外れた位置に存在している為、制動時に、上記両周面同士の係合部を中心として、図5の時計方向にモーメントが作用する。本例の場合、上述した様に、非制動時に、上記両周面同士の係合に基づいて上記両パッド19、19を回動させる傾向とする方向は、これら両パッド19、19に、制動時に上記両周面同士の係合部を中心として作用するモーメントと同方向(図5の時計方向)である。即ち、予め、制動時に作用する上記モーメントの方向に、上記両パッド19、19を回動させる傾向としている。
この為、非制動時に、予め、これら両パッド19、19の被トルク受部25を、前記トルク受面23に当接させると共に、前記両プレッシャプレート13a、13aの各通孔21、21の内周縁部を前記パッドピン12の外周面に当接させる事ができる。従って、制動開始時に、上記モーメントにより、上記被トルク受部25とトルク受面23とが、或は、上記各通孔21、21の内周縁部とパッドピン12の外周面とが、勢い良く衝突する事を防止でき、クロンク音が生じる事を防止できる。又、本例の場合、制動時に上記両パッド19、19に作用するモーメントの方向と、上記パッドスプリング14aによりこれら両パッド19、19に付与するモーメントの方向とが同じである為、制動時にこれら両パッド19、19の姿勢が安定し、制動時に異音が生じる事を防止できる。
又、本例の場合、前述した様に、両パッド19、19を結合部材31により結合している。この為、これら両パッド19、19の組み付け時に、これら両パッド19、19を一体(サブアッセンブリ)として扱え、組み付け作業が容易になる。又、上記被トルク受部25とトルク受面23とを互いに揺動変位を可能に係合している為、上記両パッド19、19の組み付け性をより良好にできる。
即ち、前述した様に、上記結合部材31により結合した両パッド19、19をキャリパ5a内に進入させ、上記被トルク受部25である突出部24の外周面と上記トルク受面23である凹入部22の内周面とを係合させる。そして、この係合に基づいて、上記両パッド19、19を回動させ、上記結合部材31の舌片36を上記キャリパ5aの平坦面39に係合させる事により、上記両パッド19、19をこのキャリパ5a内の所定位置に配置する。この状態で、両プレッシャプレート13a、13aに設けた通孔21、21と、上記キャリパ5a側に設けたパッドピン12を挿通する為の挿通孔とが整合する。従って、このパッドピン12を、容易に、上記各通孔21、21に挿通しつつ、上記キャリパ5aの軸方向に掛け渡せる。又、この様に両パッド19、19をキャリパ5a内に配置する作業は、例えば、上記結合部材31を掴みながら行える為、作業性が良い。本例の場合、この様に、両パッド19、19の組み付け性が良好である為、製造コストの低減を図れる。
又、本例の場合、上記両パッド19、19のライニング18a、18aの摩耗量に拘らず、前記両戻しばね20、20の戻し力を安定させる事ができる。即ち、上記ライニング18a、18aの摩耗量が所定量よりも大きい場合には、制動時の上記両パッド19、19の移動量も多くなり、上記両戻しばね20、20を構成する各弾性板部29、29の先端部同士が当接する。そして、上記両パッド19、19の移動量に応じて、これら両パッド19、19にそれぞれ配置した戻しばね20、20が、これら両パッド19、19に対し軸方向に変位する。
この様に、本例の場合には、上記ライニング18a、18aの摩耗量に応じて上記両戻しばね20、20の、上記両パッド19、19に対する位置が調節される。この為、これら両戻しばね20、20を構成する弾性片27、27の弾性変形量が、上記摩耗量に拘らず、大きく変化する事がない。従って、これら両弾性片27、27の弾性復元力に基づく、戻し力が大きく変化する事を防止できる(戻し力を安定させる事ができる)。又、本例の場合、上記両戻しばね20、20を前記結合部材31により覆っている為、これら両戻しばね20、20が、ロータ2の径方向や円周方向にずれたり、或は、傾いたりしにくくなり、互いに安定した状態を維持し易くなる。そして、上記両パッド19、19の移動量が多くなった場合に、上記両戻しばね20、20を構成する各弾性板部29、29の先端縁同士を、確実に当接させられる。この結果、上記両戻しばね20、20の戻し力をより安定させる事ができる。
上述の実施の形態では、プレッシャプレート13a、13a側の被トルク受部25に突出部24を、キャリパ5a側のトルク受面23に凹入部22をそれぞれ形成しているが、これらの関係を逆にしても良い。即ち、被トルク受部側を凹入部と、トルク受面側を突出部としても良い。又、この場合、トルク受面をキャリパに固定したトルク受ピンの外周面としても良い。
又、上述の実施の形態では、両パッド19、19の回入側部分にのみ戻しばね20、20を組み付けているが、両パッドの形状やキャリパへの設置構造を変える事により、戻しばねの組み付け位置、更には組み付け個所の数を変える事もできる。例えば、両パッドの円周方向両端部にそれぞれ突出係合部を設け、これら各突出係合部に、上述の実施の形態と同様に戻しばねを配置するもできる。
又、上述の実施の形態の場合、両パッド19、19を支持するパッドピン12が1本である構造に、本発明を適用した場合に就いて説明したが、本発明は、このパッドピン12が複数本の構造に適用しても良い。
更に、上述の実施の形態の場合、本発明を対向ピストン型ディスクブレーキに適用した場合を示したが、本発明は、フローティングキャリパ型ディスクブレーキにも適用可能である。この場合、トルク受面は、キャリパを支持し、車体側に固定されるサポートに形成される。
本発明の実施の形態の1例を、外径側且つインナ側から見た斜視図。 同じくロータの外径側から見た正投影図。 同じくアウタ側から見た正投影図。 同じく図3の右側から見た正投影図。 図4のA−A断面図。 パッドに戻しばねを取り付けた状態を示す斜視図。 同じくロータの外径側から見た正投影図。 同じく図7の下側から見た正投影図。 同じく図8の右側から見た正投影図。 図7のB部拡大図。 図6の左下部拡大図。 結合部材により結合された一対のパッドを取り出して示す斜視図。 同じくロータの外径側から見た正投影図。 同じく図13の下側から見た正投影図。 同じく図14の右側から見た正投影図。 図12の左下部拡大図。 従来から知られているディスクブレーキの1例を、ロータの外径側から見た正投影図。 図17のC−C断面図。
符号の説明
1 ディスクブレーキ
2 ロータ
3、3a アウタボディ部
4、4a インナボディ部
5、5a キャリパ
6 アウタシリンダ
7 インナシリンダ
8 アウタピストン
9 インナピストン
10 アウタパッド
11 インナパッド
12 パッドピン
13、13a プレッシャプレート
14、14a パッドスプリング
15a、15b 金属板
16 折り曲げ部
17 弾性係合部
18、18a ライニング
19 パッド
20 戻しばね
21 通孔
22 凹入部
23、23a トルク受面
24 突出部
25、25a 被トルク受部
26 主部
27 弾性片
28 基板部
29 弾性板部
30 突出係合部
31 結合部材
32a、32b 側板部
33 連結部
34 突部
35 凹溝
36 舌片
37 透孔
38 貫通孔
39 平坦面
40 覆い部
41 抜け止め部
42 付勢部
43 弾性部
44 支承部
45 係合突部
46 連続部
47 凹部
48 係合片

Claims (2)

  1. 車輪と共に回転するロータを挟んで設けられた1対のパッドと、これら両パッドをこのロータの両側面に押し付けるピストンを備えたキャリパと、非制動時に上記両パッドをこのロータの両側面から離す方向に付勢する戻しばねとを備えたディスクブレーキに於いて、この戻しばねは、主部と弾性片とから成り、このうちの主部は、上記ロータの軸方向に長い基板部と、この基板部の幅方向両端縁から互いに同じ方向に折り曲げた、軸方向に長い1対の弾性板部とから構成され、これら両弾性板部の基端部により、上記両パッドのプレッシャプレートの一部に形成した突出係合部を弾性的に挟持して、上記各戻しばねを上記各プレッシャプレートに組み付けるもので、上記両弾性板部の先端縁を上記基板部の先端縁よりも突出させると共に、この基板部の先端縁に上記弾性片を、この弾性片の一部が上記両弾性板部の先端縁よりも突出する様に形成しており、上記各戻しばねの主部は、それぞれのパッドを構成するプレッシャプレートの一部に、上記ロータの軸方向に所定以上の力が作用した場合にこの軸方向に相対変位可能に、所定の弾性力により組み付けており、上記弾性片は、上記主部の先端部に設けられ、この所定の弾性力に基づく、上記プレッシャプレートに対する上記主部の保持力よりも弱い弾性力を有しており、上記両パッドを互いに対向させた状態で、それぞれのパッドに組み付けた上記各戻しばねの先端部同士が対向しており、制動時に、上記各弾性片同士が弾性的に当接し、制動時の上記両パッドの軸方向の移動量が所定以上の場合に、上記主部の先端縁のうちの弾性片から外れた部分である、互いに対向する上記各戻しばねの各弾性板部の先端縁同士も当接して、上記各戻しばねがそれぞれのパッドに対して変位するものであり、制動解除時に、上記各弾性片の弾性復元力によりこれら両パッドを上記ロータの両側面から離れる方向に付勢する事を特徴とするディスクブレーキ。
  2. 上記両パッドのプレッシャプレートの一部同士に、上記各戻しばねを覆う様に掛け渡され、これら両パッド同士を、上記ロータの軸方向の変位可能に結合する結合部材を設けた、請求項1に記載したディスクブレーキ。
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