JP4970157B2 - 用紙のカール発生防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷機及び複写機等の画像形成装置に備えられる用紙のカール発生防止装置に関する。
画像形成装置、たとえば孔版印刷機のインクとして、従来、オイル成分を含んだウォータインオイル型のエマルジョンインクを主として使用しているが、昨今では、上記ウォータインオイル型のインクに代えて、オイル成分が0又は略0の水性インクを使用することが提案されている(たとえば特許文献1等)。すなわち、オイル成分を略0とすることにより、臭いの発生を抑制して環境への影響を減らし、かつ、乾燥効率を向上させている。
ところが、水性インクを用いると、前記利点が得られる反面、印刷後、インク水分が用紙表面から急速に浸潤することにより、用紙の巻き込み現象、すなわちカール現象が急速に発生する。
図25はカール現象の過程を具体的に示しており、印刷用紙Pは、印刷中は、最上段(A1)に示すように平面状態であるが、印刷後、印刷用紙Pの印刷面Paがインクの浸潤で伸びることにより、第2段(A2)に示すように左右両端部が印刷面(上面)Pa側と反対側に丸く反り返り、更に、第3段(A3)に示すように、印刷用紙P全体が印刷面Pa側に向けて凸状となる逆U字状に変形する。なお、図25のように、左右両端部がカールする印刷用紙Pは、主として紙繊維が前後方向(たとえば搬送方向)に延びている用紙であり、紙繊維が左右方向(搬送方向と直交する方向)に延びる印刷用紙では、印刷後、主として、前後端部がカールする。ちなみに、図25の(A1)〜(A3)に示す印刷用紙PのU字状の変化は、上面にラッカーコーティングが為されたような用紙では短時間で顕著に現れ、たとえば印刷後、1秒〜数秒間で変形する。
図25の第2段(A2)又は第3段(A3)のように変形した状態又は変形途中の状態で印刷用紙Pが紙受け台上に排出されると、図26に示すように、落下方式で印刷用紙Pを積載する際、印刷用紙Pの左右両端部を内側に巻き込んだ状態で積載され、印刷用紙Pの揃えが悪くなると共に印刷用紙Pの品質も低下する。勿論、印刷用紙Pの積載面の高さを一定に保つことも困難になる。
また、印刷後、殆ど時間を置かずに用紙を紙受け台100上に積載してゆく構造では、インクの乾燥が十分でないため、積載時に隣り合う印刷用紙Pにインクの裏写りが生じ、用紙を汚すことすことが多い。
用紙のカールの発生を防止するために、従来、図27及び図28に示すようなカール発生防止装置が開発されている(特許文献2)。図27はカール発生防止装置の平面図であり、画像形成された用紙Pの搬送経路の途中に、搬送方向Fと直交するように水平に延びる前後一対のガイド部材201,202を備え、両ガイド部材201,202間に、最も用紙幅の短い用紙Pの幅Wよりも短い長さL1の溝状の吸引口204が形成されている。図28は図27のXXVIII-XXVIII断面拡大図であり、両ガイド部材201,202は、前後方向に対向する円弧形ガイド面201a,202aを有しており、両円弧形ガイド面201a,202a間の下方に前記溝状の吸引口203が形成され、該吸引口203は吸引装置204に連通している。
画像形成後、チェーングリッパー等により搬送始端部が把持された用紙Pは、両ガイド部材201,202上を通過中、吸引口203でエア吸引されることにより、両円弧形ガイド面201a,202aに密着しつつV字状に変形され、これにより、カールの発生が防止されている。
特開2005−272513号公報 特開2002−226117号公報
しかし、図27及び図28に示す従来のカール発生防止装置では、上述のように、搬送方向Fと直交する方向に延びる吸引口204で吸引することにより、搬送中の用紙Pを連続的にV字状に変形させる構成なので、変形させるための時間が短く、十分にカールの発生を防止することは困難である。即ち、前側のガイド部材201aを通過した後に、再度カールする可能性があり、十分にカールを除去できない。
本件出願の発明者は、印刷用紙の特性に関し、図25の第3段(A3)のように印刷用紙Pが逆U字状のカールした後、数十秒経つと、今度は第4段(A4)に示すように、平面状態に戻るように印刷用紙の左右端部が上向きにカールすることに着目し、この特性を利用して、印刷直後のカールの発生を確実に防止できる用紙のカール発生防止装置を提供しようとしたものである。
上記課題を解決するため、本願請求項1に係る発明は、画像形成部で画像形成されて排出される用紙の排出位置に、前記用紙の四隅をそれぞれ下方へ吸引する吸引口を有するエア吸引機構を備え、該吸引口からの吸引作用により、上記排出位置における用紙を所定時間、平面状態に維持するように構成されていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の用紙のカール発生防止装置において、前記排出位置において所定時間平面状態に維持された用紙を、次工程の用紙処理装置へ搬送する搬送機構を備えている。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の用紙のカール発生防止装置において、前記次工程の用紙処理装置は、用紙を積層状態で載置する紙受け装置である。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の用紙のカール発生防止装置において、前記次工程の用紙処理装置は、用紙をU字状に湾曲させるU字形成ガイド装置である。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の用紙のカール発生防止装置において、前記用紙の排出位置において、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構を備えている。
請求項6に係る発明は、画像形成部で画像形成されて排出される用紙の排出位置から、所定距離だけ用紙を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送中の用紙の四隅をそれぞれ下方へ吸引する吸引口を有するエア吸引機構とを備え、該吸引口からの吸引作用により、平面状態に維持しつつ搬送機構により搬送するように構成されている。

請求項7記載の発明は、請求項6記載の用紙のカール発生防止装置において、前記搬送機構は、次工程の用紙処理装置まで用紙を搬送するように構成されている。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の用紙のカール発生防止装置において、前記次工程の用紙処理装置は、用紙を積層状態で載置する紙受け装置である。
請求項9記載の発明は、請求項7記載の用紙のカール発生防止装置において、前記次工程の用紙処理装置は、用紙をU字状に湾曲させるU字形成ガイド装置である。
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9記載のいずれかに記載の用紙のカール発生防止装置において、前記搬送機構により搬送中の用紙に、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構を備えている。
(1)請求項1又は6記載の発明によると、画像形成後の用紙の四隅を、排出位置において所定時間だけ下方へ吸引することにより、用紙を平面状態に維持し、又は、画像形成後の用紙の四隅を、下方へ吸引することにより、用紙を平面状態に維持しつつ、排出位置から、所定距離だけ搬送するので、用紙自身の特性により前記図25の第4段(A4)に示すように平面状に戻る時間を稼ぐことができ、用紙のカールの発生を抑制し、平面状態に癖付けすることができる。特に、用紙のカール現象は、四隅部分に急速に生じるが、この四隅部分を吸引することにより、用紙全体を吸引しなくとも、用紙を効率良く平面状態に維持できるのである。
また、用紙の全体を吸引するのではなく、最もカールし易い四隅を吸引することにより、平面状態に維持するので、吸引用のファン等の消費電力等を節約することができる。
さらに、請求項6記載の発明では、排出位置から搬送しつつ、用紙四隅を吸引して用紙を平面状態に癖付けするので、画像形成の処理速度を向上させることができる。
(2)請求項2又は請求項7記載の発明によると、カールの発生を抑制し、平面状態に癖付けした後の用紙を、次工程の処理装置に搬送するので、次工程の処理が安定する。
(3)請求項3又は請求項8記載の発明によると、カールを除去した後の用紙を積載することになるので、綺麗に揃えた状態に、用紙を積載することができる。
(4)請求項4又は9記載の発明によると、用紙の四隅の吸引作用によっては十分にカールを除去しきれない場合でも、U字ガイドにて用紙のカール方向と反対方向に腰付けして、たとえば紙受け装置等に排出することができる。
(5)請求項5又は10記載の発明によると、画像形成後の用紙に対し、上方からエアを吹き付けると共に四隅を下方に吸引するので、用紙にしわが生じることなく、綺麗に平面状態に形成することができる。
[第1の実施の形態]
図1〜図4は本発明によるカール発生防止装置を孔版印刷機に備えた例であり、これらの図面に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
(印刷機の全体の概要)
図1は本発明によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の側面略図であり、説明の都合上、用紙供給側(図面の左側)を「後方」と称し、用紙搬送側、すなわち用紙排出側(図面の右側)を「前方」と称して、以下説明する。図1において、印刷機本体1には、後端部に給紙装置2が設けられ、前端部に紙受け装置兼カール発生防止装置3が設けられ、上側に画像読取装置4が設けられている。
印刷機本体1内には、前後方向の概ね中間部に、画像形成部として印刷ユニット5が設けられ、該印刷ユニット5の後上方には製版装置6が設けられ、印刷ユニット5の前上方には排版装置7が設けられ、印刷ユニット5の前方には、紙受け装置兼カール発生防止装置3が設けられている。また、印刷ユニット5と給紙装置2との間には一対のタイミングローラ18が設けられている。
印刷ユニット5は、インク供給ローラ10が内接すると共に矢印R方向に回転駆動する印刷用版胴11と、該印刷用版胴11に下方から当接自在に対向する上下方向移動可能な押圧ローラ12と、から構成され、印刷用版胴11と押圧ローラ12との間で印刷用紙Pの上面に印刷する。使用するインクとしては、主として、オイル成分が0又は略0の水性インクが使用されるが、従来のウォータインオイル型のインクの使用も可能である。
製版装置6は、マスターロール13と、該マスターロール13から供給される孔版原紙Nを製版するサーマルヘッド14及びプラテンローラ15等とを備えており、マスターロール13からの孔版原紙Nをサーマルヘッド14等で製版し、所定寸法に切断した後、印刷用版胴11の表面に供給する。
排版装置7は、引込みローラ16及び巻取りローラ17等を備えており、印刷用版胴11に装着された使用済みの孔版原紙Nを取り外し、引込みローラ16で排版装置内部に引き込み、排版ローラ17で巻き取る。
給紙装置2は、給紙台23を備えると共に、該給紙台23の前端部に、給紙ローラ19及び捌き板20を備えており、給紙台23上に積載されている印刷用紙Pを、上から一枚ずつタイミングローラ18に供給する。
上下一対のタイミングローラ18は、印刷用版胴11の駆動と同期して適宜タイミングで回転し、印刷用紙Pを印刷ユニット5へ送り込む。
(紙受け装置兼カール発生防止装置3)
図2は、印刷ユニット5と紙受け装置兼カール発生防止装置(以下、単に「カール発生防止装置」という)3の側面略図であり、カール発生防止装置3は、エア吸引機構として、水平な用紙載置面31aを有する吸引ボックス31と、該吸引ボックス31に連通して吸引ボックス31内を吸引する吸引ファン32と、を備えている。用紙載置面31aには、用紙ストパー35が前後方向位置調節自在に上方に突出している。
図3は、吸引ボックス31の平面拡大図であり、吸引ボックス31の用紙載置面31aには、各種大きさの用紙P1,P2,P3の排出位置における用紙四隅に対応する位置に、それぞれ吸引口34が形成され、各用紙P1、P2、P3の四隅をそれぞれ下方に吸引するように構成されている。各吸引口34の具体的な配置は、用紙搬送方向Fと反対側(後側)に形成された6個の吸引口34は同一の前後方向位置X1に揃えられ、用紙搬送方向F側に形成された6個の吸引口34の前後方向の位置は、各用紙P1、P2,P3の前後方向の長さに応じて相違している。また、各吸引口34は、用紙幅方向の中心線O1に対し左右対称に配置されている。
図4は吸引口34の平面拡大図であり、吸引口34は、多数の小孔を円形に配列することにより構成されている。
(作用)
孔版印刷機全体の作用は、既に個々の装置の説明箇所で説明しているので、ここでは、最大の大きさの印刷用紙P1が、図1の印刷ユニット5から排紙された後の作用を説明する。
(1)図2において、印刷時、用紙ストッパー35は、印刷される用紙の大きさに応じて、所定の前後方向位置に調節されている。印刷ユニット5において印刷用紙P1の上面に画像が印刷され、印刷後、カール発生防止装置3の用紙載置面31a上に排出された用紙P1は、用紙前端が用紙ストッパー35に当接することにより、所定の排出位置に停止する。
(2)続いて、図3において、上記用紙P1の四隅に対応する四つの各吸引口34により、用紙P1の四隅を下方に吸引し、所定時間、たとえば10秒〜20秒間、用紙載置面31a上で平面状に維持する。これにより、用紙P1は、用紙自身の特性により前記図25の第4段(A4)に示すように平面状に戻り、カールの発生が防止され、かつ、平面状に癖付けされる。
(3)平面状に戻った用紙P1は、たとえば操作者によって用紙載置面31aから取り出される。
該実施の形態のように、印刷後の用紙Pを、所定時間、排出位置において維持する構成は、A3サイズ又はそれ以上の大きさのを印刷する場合に適している。
[第1の実施の形態の変形例]
図5及び図6は、第1の実施の形態における吸引ボックス31の変形例である。吸引ボックス31の平面図である図5において、用紙四隅の吸引口34は、排出位置における各種大きさの用紙P1,P2,P3の各四隅を通過するように延びる長円形状に形成されている。
図6は吸引口34の平面拡大図であり、吸引口34は、多数の小孔を長円形状に配列することにより構成されている。
[第2の実施の形態]
図7乃至図9は、本発明によるカール発生防止装置の第2の実施の形態である。図7はカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の側面略図であり、印刷ユニット5の前方にカール発生防止装置3を備え、該カール発生防止装置3の前方に、次工程の用紙処理装置として、紙受け装置8を備えている。図8はカール発生防止装置の側面略図であり、カール発生防止装置3は、前記第1の実施の形態と同様、吸引ボックス31及び吸引ファン32からなるエア吸引機構を備えているが、これに加え、用紙を次工程の紙受け装置8まで搬送する搬送機構を備えている。該搬送機構は、前後の回転輪22と、該回転輪22間に巻き掛けられた搬送ベルト21とから構成されている。その他の構造は第1の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。ただし、用紙ストッパー35は、次工程への搬送時に邪魔にならないように、用紙載置面31aから下方に退くことができるように構成されている。
図9は図8のカール発生防止装置3の平面図であり、搬送機構の搬送ベルト21は、たとえば搬送方向Fと平行に複数本が配置されており、また、用紙幅方向の中心部には、搬送中における用紙の左右幅中心部分を、搬送に対して大きな抵抗に為らない程度の弱い吸引力で吸引する中央吸引口39が形成されている。
(作用)
(1)図5において、印刷ユニット5で印刷用紙Pの上面に画像が印刷され、印刷後、カール発生防止装置3の用紙載置面31a上に排出された用紙Pは、用紙前端が用紙ストッパー35に当接することにより、所定の排出位置で停止する。
(2)続いて、図9において、使用された用紙Pの四隅に対応する四つの各吸引口34により、印刷用紙Pの四隅を下方に吸引し、所定時間、たとえば10秒〜20秒間、用紙載置面31a上で平面状に維持する。これにより、用紙Pは、用紙自身の特性により前記図25の第4段(A4)に示すように平面状に戻り、カールの発生が防止され、かつ、平面状に癖付けされる。
(3)次に、図8のストッパー35を用紙搬送経路から下方に退け、搬送機構を駆動することにより、上記平面状の用紙Pを、図9の中央の吸引口39により弱い力で下方に吸引しつつ、図8の紙受け装置8まで搬送し、紙受け装置8上に積載する。
該実施の形態にように、平面状に癖付けした後の用紙を紙受け装置8へ搬送することにより、用紙を安定した状態で積載することができる。
[第3の実施の形態]
図10は本発明によるカール発生防止装置の第3の実施の形態であり、たとえば多色刷りの印刷機等に適用される。図10において、カール発生防止装置3の次工程の用紙処理装置として、前工程の印刷ユニット5とは別の彩色の第2の印刷ユニット37を配置している。その他の構成は前記図7乃至9の第2の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ番号を付している。
(作用)
作用は、基本的に第2に実施の形態と同様であるが、カール発生防止装置3で平面状に癖付けされ用紙Pは、第2の印刷ユニット37に搬送され、上面が別の色により印刷される。
[第3の実施の形態の変形例]
図11は第3の実施の形態の変形例であり、用紙を両面印刷する孔版印刷機に適用される。カール発生防止装置3と第2の印刷ユニット37との間に、用紙反転装置38と、ベルト式搬送装置41を順次備えている。
(作用)
作用は、基本的に第3の実施の形態と同様であるが、カール発生防止装置3から排出された用紙Pは、用紙反転装置38により反転された後、搬送装置41により搬送され、第2の印刷ユニット37に供給され、用紙Pの裏面が印刷される。
[第4の実施の形態の変形例]
図12乃至図17は、本発明によるカール発生防止装置の第4の実施の形態であり、カール発生防止装置3の側面略図である側面略図を示す図12において、前記図7乃至図9で説明した第2の実施の形態の構造に加え、カール発生防止装置3の搬送機構を前方に延設し、該延設部分上にU字形成ガイド装置50を配置している。その他の構造は第2の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ部品番号を付してある。
図13は、U字形成ガイド装置50の拡大斜視図であり、ガイド装置50は、搬送ベルト21の上面(用紙搬送面)に沿って配置された左右一対の持ち上げガイド部51と、各持ち上げガイド部51の左右方向の両側にそれぞれ立設された絞り込みガイド部52と、から構成されている。
持ち上げガイド部51は、側面視において、搬送ベルト21の上面に略一致する高さの後端51aから前方に向けて所定角度をもって高くなっており、最も高い前端51bは、搬送ベルト21の前端部の略直上に位置している。絞り込みガイド部52は、持ち上げガイド部51の前端51bよりもさらに高く形成されており、その高さは、持ち上げガイド部51の前端51bの高さのたとえば3〜5倍程度に設定されている。絞り込みガイド部52の後端52aは持ち上げガイド部51の後端51aよりさらに後方に位置し、絞り込みガイド部52の前端52bは持ち上げガイド部51の前端51bと同じ前方位置まで至っているが、該前端52bからさらに前方に延びる延長部53を一体に有している。該延長部53は紙受け装置8の前後方向の中央部付近まで前方に延びており、延長部53の下半部は切欠き54により切り欠かれている。
持ち上げガイド部51は、搬送方向Fと直角な垂直断面が三角形状に形成されており、後端51aから前端51bに行くに従い、断面が次第に拡大すると共に左右幅の中央側へと変位している。すなわち、左右の持ち上げガイド部51は、両持ち上げガイド部51の左右方向の間隔が、前方に行くに従い狭くなるように、平面視で「ハ」の字状に配置されている。
絞り込みガイド部52は、垂直面に対して左右幅の中央部側へ傾くように形成されると共に、両絞り込みガイド部52の左右方向の間隔が、前方に行くに従い狭くなるように、平面視で「ハ」の字状に配置され、延長部53では更に狭くなるように形成されている。
(作用)
作用は、基本的に第2に実施の形態と同様であるが、カール発生防止装置3で平面状に癖付けされ用紙Pは、さらにU字形成ガイド装置50によりU字状に変形され、紙受け装置8に放出される。
図14乃至図17は、ガイド装置50により印刷用紙Pが次第にU字状に変形する様子を順次示した図であり、それぞれ図13の矢印XIV近傍、矢印XV近傍、矢印XVI近傍、矢印XVII近傍の垂直断面を前方から見た図である。これらの図によりガイド装置50の作用を説明する。
(1)図14は、絞り込みガイド部52間に印刷用紙Pの前端部が入り込んだ当初の状態を示しており、印刷用紙Pが略平面上に維持された状態で搬送され、印刷用紙Pの左右両端部の下側への反り返りが防止されている。
(2)図15は印刷用紙Pが図14の状態から前進し、印刷用紙Pの前端部が持ち上げガイド部51の後端部まで到達した状態を示しており、印刷用紙Pの左右両端部が、持ち上げガイド部51により上方に持ち上げ始められている。
(3)図16は印刷用紙Pが図15の状態から前進し、印刷用紙Pの前端部が持ち上げガイド部51の前後方向の中央部付近まで到達した状態を示しており、印刷用紙Pの左右両端部は、持ち上げガイド部51によりさらに上方に持ち上げられると共に、左右の絞り込みガイド部52により、左右方向の中央部側へ絞り込み始められる。
(4)図17は印刷用紙Pが図16の状態から前進し、印刷用紙Pの前端部が持ち上げガイド部51の前端51bの近傍まで到達した状態を示しており、印刷用紙Pの左右両端部は、持ち上げガイド部51によりさらに上方に持ち上げられると共に、左右の絞り込みガイド部52によりさらに左右方向の中央部側へ絞り込まれ、前方から見て略U字状に変形している。
(5)図17の状態からさらに前進すると、図13において、下開きハに字状の延長部53から、下方に放出される。
該実施の形態は、用紙の特性等により、用紙四隅の吸引作用のみでは十分にカールを除去できないような用紙を使用する場合に適している。
[第5の実施の形態]
図18は、本発明によるカール発生防止装置の第5の実施の形態であり、前記図1乃至図4の第1の実施の形態の構造に加え、排出位置の用紙Pに対し、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構40を備えている。その他の構造は第1の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ部品番号を付してある。
本実施の形態によると、上方から用紙の略全体にエアを吹き付けることにより、用紙Pにしわがよるのを防止でき、用紙Pを、より確実に平面状に維持することができる。
本実施の形態は、たとえば薄くてしわの寄りやすい用紙に適している。
[第6の実施の形態]
図19は、本発明によるカール発生防止装置の第6の実施の形態であり、前記図7乃至図9の第2の実施の形態の構造に加え、排出位置の用紙Pに対し、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構40を備えている。その他の構造は第2の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ部品番号を付してある。
本実施の形態によると、前記第5の実施の形態と同様、上方から用紙Pの略全体にエアを吹き付けることにより、用紙Pにしわがよるのを防止でき、用紙Pを、より確実に平面状に維持することができる。
[第7の実施の形態]
図20及び図21は、本発明によるカール発生防止装置の第6の実施の形態であり、これまで説明した実施の形態が、排出位置で所定時間停止している用紙の四隅を吸引する構成であるのに対し、本実施の形態及びこれ以降で説明する実施の形態は、画像形成後の用紙を、排出位置から搬送しつつ、四隅を吸引する構成となっている。
図20はカール発生防止装置3の側面略図であり、前記図1等で説明した孔版印刷機のカール発生防止装置と同様に、印刷ユニット5の前方にカール発生防止装置3が配置されている。該カール発生防止装置3は、水平な用紙搬送面31bを有する吸引ボックス31と、該吸引ボックス31に連通して吸引ボックス31内を吸引する吸引ファン32と、を備えると共に、前後の回転輪22及び該回転輪22に巻き掛けられた搬送ベルト21からなる搬送機構を備えている。
吸引ボックス31及び搬送機構の用紙搬送方向Fの設置長さは、図7等の用紙停止方式のカール発生防止装置に比べて長く設定されており、たとえば、少なくとも印刷される用紙の搬送方向長さの1.5倍から3倍程度に設定されている。すなわち、所定距離だけ搬送することにより、用紙を停止せずに、用紙を平面状態に維持する時間を稼ぐことができるようになっている。
図21は吸引ボックス31の平面拡大図であり、吸引口34は、排出位置における各種大きさの用紙P1、P2、P3の左右の端縁に沿って、搬送方向Fに所定間隔をおいて多数配列されている。すなわち、排出位置から所定距離だけ用紙P1,P2又はP3が搬送されている間、いずれの大きさの用紙P1,P2又はP3に対しても、略常時、用紙の四隅が下方に吸引されるように構成されている。なお、図1等の用紙停止方式で備えていた用紙ストッパーは備えられていない。
(作用)
(1)図20において、印刷ユニット5で印刷用紙Pの上面に画像が印刷された後の用紙、たとえば、最も小さい用紙P3は、カール発生防止装置3の用紙搬送面31b上の後端部の排出位置に排出される。
(2)図21において、用紙P3が搬送面31b上の排出位置に排出されると、用紙P3の四隅は、吸引ボックス31の用紙P3に対応する四つの各吸引口34により下方に吸引されると同時に、搬送ベルト21により搬送方向Fに搬送される。
搬送中、用紙四隅が順次前方の吸引口34により下方に吸引されることにより、用紙P3は搬送面31b上で平面状に維持される。したがって、この搬送中に、用紙P3は、用紙自身の特性により前記図25の第4段(A4)に示すように平面状に戻り、カールの発生が防止され、かつ、平面状に癖付けされる。
該実施の形態のように、搬送しつつ、用紙四隅の吸引により平面状に維持する構成であると、印刷速度を増速し、印刷効率を向上させることができる。
[第8の実施の形態]
図22は、本発明によるカール発生防止装置の第8の実施の形態であり、前記第7の実施の形態のように用紙を搬送しつつ用紙四隅を吸引する方式において、カール発生防止装置3の前方に、次工程の処理装置として紙受け装置8を備えている。その他の構造は第7の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ符号を付してある。
[第9の実施の形態]
図23は、本発明によるカール発生防止装置の第9の実施の形態であり、前記図22第8の実施の形態の構造に加え、カール発生防止装置3上を搬送中の用紙Pに対し、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構40を備えている。その他の構造は第8の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ部品番号を付してある。
本実施の形態によると、上方から用紙Pの略全体にエアを吹き付けることにより、用紙Pにしわがよるのを防止でき、用紙Pを、より確実に平面上に維持することができる。
本実施の形態は、たとえば薄くてしわの寄りやすい用紙に適している。
[第10の実施の形態の変形例]
図24は、本発明によるカール発生防止装置の第10の実施の形態であり、前記図22で説明した第8の実施の形態の構造に加え、カール発生防止装置3の搬送機構を前方に延設し、該延設部分にU字形成ガイド装置50を配置している。その他の構造は第8の実施の形態と同様であり、同じ部品には同じ部品番号を付してある。
U字形成ガイド装置50は、前記図13〜図17で説明したU字形成ガイド装置と同じ構成となっている。
本実施の形態は、たとえば薄くてしわの寄りやすい用紙に適している。
[その他の実施の形態]
(1)第7乃至第10の実施の形態のように、用紙を搬送しつつ、用紙四隅を下方に吸引する方式において、図21のように搬送方向Fに沿って多数の円形の吸引口34を配設する代わりに、搬送方向Fに長い長孔を形成することも可能である。
(2)本発明が備えられる画像形成装置は、孔版印刷機には限定されず、画像形成部として、印刷ドラム等からなる印刷ユニットの代わりに、インクジェットノズルヘッドを備えたインクジェット印刷機の紙受け装置や、複写機等にも適用可能である。
本発明の第1の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の側面略図である。 図1の孔版印刷機の要部を示す側面略図である。 図1のカール発生防止装置の吸引ボックスの平面拡大図である。 図3の吸引ボックスの吸引口の平面拡大詳細図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例を示す吸引ボックスの平面図である。 図5の吸引ボックスの吸引口の平面拡大詳細図である。 本発明の第2の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の側面略図である。 図7の孔版印刷機の要部を示す側面略図である。 図7のカール発生防止装置の吸引ボックスの平面拡大図である。 本発明の第3の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 本発明の第3の実施の形態の変形例を示す孔版印刷機の要部の側面略図である。 本発明の第4の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 図12のU字形成ガイド装置の斜視図である。 図13のU字形成ガイド装置の矢印XIV近傍における垂直断面前面図である。 図13のU字形成ガイド装置の矢印XV近傍における垂直断面前面図である。 図13のU字形成ガイド装置の矢印XVI近傍における垂直断面前面図である。 図13のU字形成ガイド装置の矢印XVII近傍における垂直断面前面図である。 本発明の第5の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 本発明の第6の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 本発明の第7の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 図20のカール発生防止装置の吸引ボックスの平面拡大図である。 本発明の第8の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 本発明の第9の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 本発明の第10の実施の形態によるカール発生防止装置を備えた孔版印刷機の要部の側面略図である。 印刷後の用紙のカール現象の過程を示す断面図である。 紙受け装置にカールされた用紙が積載された状態を示す断面図である。 従来例の平面図である。 図27の縦側断面拡大図である。
符号の説明
3 カール発生防止装置
5 印刷ユニット(画像形成部の一例)
8 紙受け装置(次工程の用紙処理装置の一例)
21、22 搬送ベルト、回転輪(搬送機構)
31、32 吸引ボックス、吸引ファン(エア吸引機構)
34 吸引口
40 エア吹き付け機構
50 U字形成ガイド装置

Claims (10)

  1. 画像形成部で画像形成されて排出される用紙の排出位置に、前記用紙の四隅をそれぞれ下方へ吸引する吸引口を有するエア吸引機構を備え、該吸引口からの吸引作用により、上記排出位置における用紙を所定時間、平面状態に維持するように構成されていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  2. 請求項1記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記排出位置において所定時間平面状態に維持された用紙を、次工程の用紙処理装置へ搬送する搬送機構を備えていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  3. 請求項2記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記次工程の用紙処理装置は、用紙を積層状態で載置する紙受け装置であることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  4. 請求項2記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記次工程の用紙処理装置は、用紙をU字状に湾曲させるU字形成ガイド装置であることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記用紙の排出位置において、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構を備えていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  6. 画像形成部で画像形成されて排出される用紙の排出位置から、所定距離だけ用紙を搬送する搬送機構と、該搬送機構により搬送中の用紙の四隅をそれぞれ下方へ吸引する吸引口を有するエア吸引機構とを備え、前記搬送機構により搬送しつつ、前記吸引口からの吸引作用により平面状態に維持するように構成されていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  7. 請求項6記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記搬送機構は、次工程の用紙処理装置まで用紙を搬送するように構成されていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  8. 請求項7記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記次工程の用紙処理装置は、用紙を積層状態で載置する紙受け装置であることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  9. 請求項7記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記次工程の用紙処理装置は、用紙をU字状に湾曲させるU字形成ガイド装置であることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
  10. 請求項7乃至9記載のいずれかに記載の用紙のカール発生防止装置において、
    前記搬送機構により搬送中の用紙に、上方からエアを吹き付けるエア吹き付け機構を備えていることを特徴とする用紙のカール発生防止装置。
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