JP4969743B2 - 覆蓋パネル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の処理槽や貯留槽等の水面を覆うために用いられる覆蓋パネル装置に関し、特に、太陽電池モジュールを組み込むことにより、太陽光をエネルギー源として発電を行えるようにした覆蓋パネル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、浄水場においては、原水に凝集剤を添加して凝集・沈澱処理した後、この処理水を活性炭処理及び砂濾過処理する処理方法が採用されており、これらの処理は、それぞれ専用の処理槽において行うようにしている。
【0003】
ところで、これらの処理を行う処理槽は、通常、上部を解放したままのものが多く用いられており、このため、大気中の塵埃が処理槽内に侵入したり、処理槽内に太陽光が直接照射されることによって藻類が大量に発生することにより、処理水の処理工程に支障が生じたり、処理水の品質が低下するという問題があり、さらに、外部からの侵入者や飛来物に対する保安面等の安全対策の点等においても問題があった。
【0004】
一方、従来より、エネルギーの供給システムに関して、石油等の化石燃料の枯渇や環境汚染の問題が叫ばれ、水力、地熱、太陽光、風力といった再生可能なエネルギー源を用いたエネルギーの供給システムの開発が緊急の課題として要請されている。
そこで、特開平10−173212号公報に示されるように、フロートの上面に太陽電池モジュールを配設した覆蓋パネルを、水面に浮かべて覆蓋する覆蓋パネル装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の覆蓋パネル装置では、処理槽の水面上に覆蓋パネルを浮遊させることから、例えば台風等の荒天時に、風によって覆蓋パネルが舞い上がったり、波によって覆蓋パネル同士が干渉したりし、これにより、太陽電池モジュールが破損するという問題を有している。
【0006】
本発明は、上記従来の覆蓋パネル装置が有する問題点に鑑み、荒天時の風波によって覆蓋パネルが舞い上がったり干渉したりすることを防止し、太陽電池モジュールの破損を防止することができるとともに、収納も容易にできる覆蓋パネル装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の覆蓋パネル装置は、膨張・収縮可能なエアバッグにより構成したフロートの上面に太陽電池モジュールを配設した複数の覆蓋パネルを、少なくとも一方向に連なるように相互に連結した状態で、水面に浮かべて覆蓋する覆蓋パネル装置において、前記エアバッグを、該エアバッグの長手方向が覆蓋パネルの幅方向に向くように配設した膨張したときの外径が異なる複数のチューブを並列して構成するとともに、該並列した複数のチューブの上に各チューブに共通の太陽電池モジュールが配設されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
この覆蓋パネル装置は、エアバッグの空気を抜くことにより、覆蓋パネルを水中に沈降させたり、陸上に引き上げてもコンパクトに収納することが可能であり、これにより、荒天時の風波によって覆蓋パネルが舞い上がったり干渉したりすることを防止し、太陽電池モジュールの破損を防止することができるとともに、収納も容易にできる。
そして、天候の回復後は、エアバッグを再度膨張させることにより覆蓋パネルを水面に浮上させ、相互の連結により位置決めを行いながら、覆蓋パネルを元の覆蓋状態に容易に復帰させることができる。
【0009】
そして、太陽電池モジュールの角度を変え、日照角度に対応して、最適な角度で太陽光エネルギーを吸収することができる。
【0010】
この場合において、前記連なる覆蓋パネルのエアバッグの空気室を相互に連通することができる。
【0011】
これにより、一連の覆蓋パネルの膨張・収縮を同時に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の覆蓋パネル装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に、覆蓋パネル装置の参考例を示す。
【0014】
この覆蓋パネル装置は、フロートの上面に太陽電池モジュール2を配設した覆蓋パネル3を複数形成し、これら複数の覆蓋パネル3を、各種の処理槽4や貯留槽等の水面に正方行列状(図示省略)に浮かべて覆蓋する。
そして、この覆蓋パネル装置は、前記フロートを膨張・収縮可能な複数のエアバッグ1により構成するとともに、前後に連なる覆蓋パネル3のエアバッグ1の空気室を連通部11により相互に連通させている。
また、前後に連なる覆蓋パネル3同士は、エアバッグ1の両側に配設されたロープ5により相互に連結されている。
【0015】
太陽電池モジュール2は、薄板状又は可撓性のシート状のものからなり、沈降時の水圧に耐えるように完全防水が施されるとともに、防水コネクタ21を介して電気ケーブル22により電気的に相互に接続されている。
この太陽電池モジュール2は、例えば、面ファスナー(図示省略)等の適当な固定手段により、エアバッグ1の上面に着脱可能に設置することが好ましい。
【0016】
エアバッグ1は、例えば、繊維の表面を樹脂やゴムでコーティングしたシートを袋状に形成した袋体等からなり、図1(a)〜(c)に示すように、膨張時は所定厚みのマット状をなし、太陽電池モジュール2を安定して支持するとともに、図1(d)に示すように、収縮時にはシート状となって、自重と太陽電池モジュール2の重量によって水中に沈降させたり、陸上に引き上げてもコンパクトに収納することが可能である。
このエアバッグ1の膨張・収縮は、地上部に設置したコンプレッサー(図示省略)等により自在に行うことができる。
【0017】
次に、図2に、本発明の覆蓋パネル装置の一実施例を示す。
この覆蓋パネル装置は、参考例と同じように、フロートの上面に太陽電池モジュール2を配設した覆蓋パネル3を複数形成し、これら複数の覆蓋パネル3を、各種の処理槽4や貯留槽等の水面に正方行列状(図示省略)に浮かべて覆蓋する。
そして、この覆蓋パネル装置は、前記フロートを膨張・収縮可能な複数のエアバッグ1により構成するとともに、前後に連なる覆蓋パネル3のエアバッグ1の空気室を連通部11により相互に連通させている。
また、前後に連なる覆蓋パネル3同士は、エアバッグ1の両側に配設されたロープ5により相互に連結されている。
【0018】
この場合、エアバッグ1は、覆蓋パネル3の幅方向に配設された外径の異なる3本のチューブ1a〜1cにより構成されており、各チューブ1a〜1cの膨張の度合いを調節することにより、太陽電池モジュール2の角度を変え、日照角度に対応して、最適な角度で太陽光エネルギーを吸収することができる。
エアバッグ1を構成するチューブ1a〜1cは、図2(d)に示すように、収縮時にはシート状となって、自重と太陽電池モジュール2の重量によって水中に沈降させたり、陸上に引き上げてもコンパクトに収納することが可能である。
【0019】
太陽電池モジュール2は、チューブ1a〜1cの膨張の度合いによって、チューブ1a〜1c上を摺動することから、若干の移動が許容される状態で、固定用テープ6によりチューブ1a〜1c上に固定されている。
なお、エアバッグ1のその他の構成や、太陽電池モジュール2の構成は、参考例と同様であるため、同一符号を記すことにより詳しい説明を省略する。
【0020】
かくして、本発明の覆蓋パネル装置は、少なくとも一方向に連なる覆蓋パネル3を相互に連結するとともに、太陽電池モジュール2を支持するフロートを、膨張・収縮可能なエアバッグ1により構成したことから、エアバッグ1の空気を抜くことにより覆蓋パネル3を水中に沈降させたり、陸上に引き上げてもコンパクトに収納することが可能であり、これにより、荒天時の風波によって覆蓋パネル3が舞い上がったり干渉したりすることを防止し、太陽電池モジュール2の破損を防止することができるとともに、収納も容易にでき、さらに、天候の回復後は、エアバッグ1を再度膨張させることにより覆蓋パネル3を水面に浮上させ、相互の連結により位置決めを行いながら、覆蓋パネル3を元の覆蓋状態に容易に復帰させることができる。
【0021】
また、前後に連なる覆蓋パネルのエアバッグの空気室を相互に連通することにより、一連の覆蓋パネルの膨張・収縮を同時に行うことができる。
さらに、地上に引き上げた覆蓋パネル3は、エアバッグ1の空気を抜いて、図2(e)に示すように、蛇腹状に折り畳んでコンパクトに収納することができる。
【0022】
以上、本発明の覆蓋パネル装置について、各種の処理槽、貯留槽等の水面を覆うために用いられる覆蓋に適用する場合について説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その用途も、例えば、自然の湖沼に適用することを排除するものでない等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の覆蓋パネル装置によれば、エアバッグの空気を抜くことにより覆蓋パネルを水中に沈降させたり、陸上に引き上げてもコンパクトに収納することが可能であり、これにより、荒天時の風波によって覆蓋パネルが舞い上がったり干渉したりすることを防止し、太陽電池モジュールの破損を防止することができるとともに、収納も容易にでき、さらに、天候の回復後は、エアバッグを再度膨張させることにより覆蓋パネルを水面に浮上させ、相互の連結により位置決めを行いながら、覆蓋パネルを元の覆蓋状態に容易に復帰させることができる。
そして、太陽電池モジュールの角度を変え、日照角度に対応して、最適な角度で太陽光エネルギーを吸収することができる。
【0024】
また、前後に連なる覆蓋パネルのエアバッグの空気室を相互に連通することにより、一連の覆蓋パネルの膨張・収縮を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 覆蓋パネル装置の参考例を示し、(a)は覆蓋パネルを示す斜視図、(b)は同側面図、(c)は同正面図、(d)は空気を抜いた状態を示す正面図である。
【図2】 本発明の覆蓋パネル装置の一実施例を示し、(a)は覆蓋パネルを示す部分斜視図、(b)は同側面図、(c)は同正面図、(d)は空気を抜いた状態を示す正面図、(e)は空気を抜いて折り畳んだ状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エアバッグ(フロート)
11 連通部
1a〜1c チューブ
2 太陽電池モジュール
21 防水コネクタ
22 電気ケーブル
3 覆蓋パネル
4 処理槽
5 ロープ
6 固定用テープ

Claims (2)

  1. 膨張・収縮可能なエアバッグにより構成したフロートの上面に太陽電池モジュールを配設した複数の覆蓋パネルを、少なくとも一方向に連なるように相互に連結した状態で、水面に浮かべて覆蓋する覆蓋パネル装置において、前記エアバッグを、該エアバッグの長手方向が覆蓋パネルの幅方向に向くように配設した膨張したときの外径が異なる複数のチューブを並列して構成するとともに、該並列した複数のチューブの上に各チューブに共通の太陽電池モジュールが配設されるようにしたことを特徴とする覆蓋パネル装置。
  2. 前記連なる覆蓋パネルのエアバッグの空気室を相互に連通したことを特徴とする請求項1記載の覆蓋パネル装置。
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