JP2000246287A - 発電機能を有する湖沼等の富栄養化防止方法 - Google Patents

発電機能を有する湖沼等の富栄養化防止方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湖沼の水質改善に用いて好適な上に太陽光エ
ネルギを電気エネルギに変換して、電源としても使用で
きる発電機能を具えた湖沼等の富栄養化防止装置を提供
すること。 【解決手段】 富栄養化を防止すべき湖沼L等の水面
に、表面に太陽光発電パネル2を適宜数設置した浮力性
基板1を所要数浮上させて前記湖沼L等の水面を遮光す
ることによりその富栄養化を防止してアオコ等の発生を
抑制すると共に、前記太陽光発電パネル2において変換
された電気エネルギを所要個所に送電するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湖沼の水質を改善
するために該湖沼の水の富栄養化を防止できると共に太
陽光を利用して発電をも行うことのできる発電機能を有
する水質改善方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近時、湖沼においては、着生藻類やアオ
コなどの浮遊藻類が繁殖してその水質が悪化され、水
道,観光,レクリエ−ションなどに支障を来たしている
ことが広く知られており、特に、アオコの発生による水
の汚染が問題となっているが、それらの原因として、湖
沼の富栄養化にあることが指摘されている。即ち、湖沼
が富栄養化すると、糸状藻類などの着生藻類やアオコな
どの浮遊藻類が激増して湖沼の生態系が変化するからで
ある。
【0003】而して、湖沼の水質を改善する方法として
は、従来、種々の方法が提案され、実用に供されている
ものもあるが、未だ、充分に満足すべき効果を挙げてい
る方法は殆どない。
【0004】そこで、本発明の発明者は、先に、水質を
改善すべき湖沼等の水面の一部を所要遮光率で遮蔽する
ことにより湖沼の富栄養化を抑制し、藻類の増殖を抑え
て水質を改善する方法を発明し、本出願人により特許出
願中であるが、この先願発明において湖沼等の水面を遮
蔽する水質改善用遮光部材としては、適宜大きさの網状
部材の周縁等に浮体を取付けると共にその下部に着底用
重錘を装着した適宜数の索体を取付け、前記網状部材の
上面に光を遮蔽する光遮蔽部材を取付けたものなどが用
いられている。
【0005】上記先願発明の方法及び水質改善用遮光部
材は、主として水深が5m以下の比較的浅い小さい湖沼
の水面を所要遮光率で太陽光を遮蔽することに主眼が置
かれているため、遮光部材そのものは比較的小型のもの
が用いられるが、対象とする湖沼等の水質改善に役立っ
ている。
【0006】然し乍ら、その後の研究により、アオコな
どの浮遊藻類が発生するのは、深い湖沼であっても表層
の5〜6mであって、下層の水との混合は起こらないこ
と、従って、大きくて深い湖沼であっても所要遮光率に
より太陽光を遮蔽すれば、湖沼の富栄養化を防止できて
アオコなどの浮遊藻類やプランクトンの発生を抑制でき
ることが判明した。しかし、大きな湖沼において、上記
の方法を実施するには大量の遮光部材が必要となり、経
済的に問題がある。
【0007】そこで、本発明においては、遮光する太陽
光を利用することにより、経済性を高めるようにした。
即ち、太陽光はそのエネルギを電気エネルギに変換する
ことができるので、遮光部材として、太陽光エネルギを
電気エネルギに変換する大型の太陽光発電パネルを用い
れば、特に水深や大きさに関係なく、湖沼の水面を遮光
し、該湖沼の富栄養化を防止してアオコなどの浮遊藻類
の発生を抑制することにより、水質を改善できる上に、
太陽光発電パネルにより太陽光エネルギを電気エネルギ
に変換して、これを所要個所に送電したり、蓄電池に蓄
え、必要に応じて利用することが可能となるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述のような
観点から、湖沼の深さや大きさに関係なく、該湖沼の水
質改善に用いて好適な上に太陽光エネルギを電気エネル
ギに変換して、電源としても使用できる発電機能を有す
る湖沼等の富栄養化防止方法を提供することを、その課
題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的としてなされた本発明水質改善発電方法の構成
は、富栄養化を防止すべき湖沼等の水面に、表面に太陽
光発電パネルを適宜数設置した浮力性基板を所要数浮上
させて、前記湖沼等の水面を遮光することによりその富
栄養化を防止すると共に、前記太陽光発電パネルにおい
て変換された電気エネルギを所要個所に送電するように
することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態例を図に
より説明する。図1は本発明の実施の一例の側面図、図
2は別例の斜視図、図3は本発明方法を実施している状
態の遠景図である。
【0011】図1において、1a〜1dは浮力性基板、2は
該浮力性基板1a〜1cの上面に適宜数設置した太陽光発電
パネル、3は浮力性基板1dの上面に配備し前記浮力性基
板1a〜1cに設置した太陽光発電パネル2が太陽光エネル
ギを変換した電気エネルギを蓄える蓄電器、4は太陽光
発電パネル2と蓄電器3を結ぶ配線で、上記浮力性基板
1a〜1dを連結固定し、両側の浮力性基板1a,1dの下部外
側に移動防止用の重錘WやアンカーAを鋼索5等を介し
て取付け、該重錘WやアンカーAを湖Lの底に着床させ
て、浮力性基板1a〜1dの連結体が大きく移動するのを防
止するようにしてあり、以上により本発明方法を実施す
る装置の一例を構成する。なお、上記例においては、浮
力性基板を4個用いたが、その数はこれに限られないこ
と勿論である。
【0012】上記のように構成される装置は、これを水
の富栄養化を防止すべき湖L上に所要の遮光率を得られ
るだけ浮上配備しておけば、湖Lの水面が遮光されて水
の富栄養化を防止し、アオコやプランクトンなどの浮遊
藻類の発生を抑制して水質を改善することができるばか
りでなく、太陽光発電パネル2が太陽光エネルギを電気
エネルギに変換し、この電気エネルギを配線4を通して
蓄電器3に蓄えることができる。そして、蓄電器3に蓄
えられた電気エネルギは、湖水浄化施設におけるエアレ
イションに用いたり、噴水などの環境美化施設における
夜間照明などに用いることが可能である。
【0013】また、図2に示すものは、浮力性基板1に
大型のものを用い、大量の電気エネルギを得られるよう
にしたもので、浮力性基板1の大きさは矩形状等でその
上面に太陽光発電パネル2を配備すると共に外周縁部に
は人が釣り等を楽しむことのできるスペ−ス11を有する
浮島状とし、その湖Lの護岸LA側に固定壁12を突設して
該固定壁12から湖底に位置固定杭6を打ち込んで浮力性
基板1を回転可能に固定してあり、この浮力性基板1の
適宜数をそれらの湖L側をロ−プ等の連結索7を介し適
宜間隔を置いて連結する一方、前記連結索7の両端部を
方向制御装置8に接続関連させて、太陽光発電パネル2
が適切な太陽光の向きに向くように制御できるようにな
っている。9は各太陽光発電パネル2の出力側に連結し
た集電用ケ−ブルで、この集電用ケ−ブル9の適宜の個
所に送電線を10を接続し、電力会社その他所要個所に送
電できるようになっている。なお、この例においては、
浮力性基板1を5個設置したが、その数は5個に限られ
ないこと、上記の例と同様である。
【0014】上記のように構成される装置を水の富栄養
化を防止すべき湖L上に所要の遮光率を得られるだけ浮
上配備しておけば、湖Lの水面が遮光されて水の富栄養
化を防止し、アオコなどの浮遊藻類の発生を抑制して、
水質を改善することができるばかりでなく、太陽光発電
パネル2が太陽光エネルギを電気エネルギに変換して集
電用ケ−ブル9に出力し、この出力された電気エネルギ
を送電線10から電力会社その他所要の個所に送電するの
である。勿論、前例と同様に、蓄電器に蓄えておき、必
要に応じて送電するようにしてもよい。
【0015】また、浮力性基板1は、上述のように、大
型で浮島状をなし、その外周縁部にスペ−ス11を設けた
から、湖Lの護岸から離れた位置に浮上配備しておいて
も、人が舟により浮力性基板1上に渡ってこのスペ−ス
11を利用できるので、釣りを楽しむようなことも可能で
ある。
【0016】なお、本発明において、水の富栄養化を防
止するために湖沼等の水面を遮光する遮光率は、富栄養
化により発生,成育するアオコや藻類などの種類により
異なるので、湖沼ごとに適切な数値が適用される。
【0017】
【発明の効果】本発明は上述のとおりであって、富栄養
化を防止すべき湖沼等の水面に、表面に太陽光発電パネ
ルを適宜数設置した浮力性基板を所要数浮上させて前記
湖沼等の水面を遮光することによりその富栄養化を防止
すると共に、前記太陽光発電パネルにおいて変換された
電気エネルギを所要個所に送電するようにしたから、湖
沼等の富栄養化を防止してアオコなどの浮遊藻類の発生
を抑制しながら発電することができ、発電された電力は
電力会社に送電したり、湖水浄化施設や環境美化施設な
どに用いられるので、極めて便利であり、富栄養化防止
コストの低減を図ることができる。
【0018】また、表面に太陽光発電パネルを設置した
浮力性基板は、これを大型で浮島状に形成すると共にそ
の外周縁部に適宜のスペ−スを取るようにすれば、この
スペ−スを利用して人が釣りなどを楽しむことも可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一例の側面図。
【図2】本発明装置の別例の斜視図。
【図3】本発明方法を実施している状態の遠景図。
【符号の説明】
L 湖 LA 湖の護岸 W 重錘 1,1a〜1d 浮力性基板 11 スペ−ス 12 固定壁 2 太陽光発電パネル 3 蓄電器 4 配線 5 鋼索 6 位置固定杭 7 連結索 8 方向制御装置 9 集電用ケ−ブル 10 送電線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 富栄養化を防止すべき湖沼等の水面に、
    表面に太陽光発電パネルを適宜数設置した浮力性基板を
    所要数浮上させて、前記湖沼等の水面を遮光することに
    よりその富栄養化を防止すると共に、前記太陽光発電パ
    ネルにおいて変換された電気エネルギを所要個所に送電
    するようにすることを特徴とする発電機能を有する湖沼
    等の富栄養化防止方法。
  2. 【請求項2】 表面に太陽光発電パネルを設置した浮力
    性基板は、その複数個を連結固定し、その両側下部に移
    動防止用の重錘を装着した請求項1に記載の湖沼の富栄
    養化防止方法。
  3. 【請求項3】 表面に太陽光発電パネルを設置した浮力
    性基板は、これを浮島状に形成し、その個々を適宜間隔
    を置いてそれらの一側を回転可能に固定し、同じく他側
    をロ−プ等の連結部材により連結すると共に該連結部材
    の両端部を方向制御装置に関連させた請求項1に記載の
    湖沼等の富栄養化防止方法。
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