JP4968171B2 - 電子機器の筐体構造 - Google Patents

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Description

この発明は、防水機構を有する電子機器の筐体構造に関するものである。
携帯型の無線機や電話機などでは、狭いケースにキーボードや表示器などを取り付けるため、場所をとるボスを設けなければならないネジ止め箇所を減らし、係合リブでケースを固定する筐体構造が用いられている。
例えば、特許文献1の筐体構造では、図8のように、薄板状の係合リブ1をフロントケース2の内側の両側に設け、この係合リブ1と係合する係合爪3をリアケース4の内側の両側に形成している。また、係合リブ1は、板面に係合爪3を嵌入する開口穴5が設けてあって、前記爪3には、開口穴5への進退を容易にする傾斜面6が形成してある。そのため、図9のように、先端の嵌合突部7と嵌合爪8を係合して、フロントケース2とリアケース3を図9の矢印の方向に閉じて嵌合すると、係合リブ1の開口穴5に係合爪3が嵌入して係合する。したがって、リアケース4のネジ孔9からネジを挿入してフロントケース2のボス10にネジ止めすれば、ケースの組み立てが完了する。
一方、組み立てたケースを修理などで開ける場合は、ネジを取り外し、フロントケース2の一端を図9の矢印と逆方向に持ち上げて取り外す。すなわち、矢印と逆方向に持ち上げると、係合リブ1の開口穴5が係合爪3の傾斜面6に乗り上げ係合が解除できる。こうして係合を解除すると、リアケース4の嵌合爪8からフロントケース2の嵌合突部7が外れてフロントケース2が前進し、両者2、4を分離できるというものである。
このように係合リブ1が係合爪3の傾斜面6に沿って撓んで摺動するように形成することにより、係合リブ1と係合爪3との係合を解除してフロントケース2とリアケース4の開閉を容易にするとともに、前記ケース2、4が落下などの衝撃で簡単に開かないようにしたものである。
特開2000−332448号公報
しかしながら、上記の構造では、例えば、図9の破線で示すように、パッキン11を用いた防水機構を付与したものには使用できない問題がある。
すなわち、前記防水機構は、フロントケース2とリアケース4のいずれか一方の内側の周囲に溝12を設けてパッキン11を嵌入し、他方のケースの内側の周囲に前記溝12と嵌合する突部13を設けて、両ケース2、4を嵌め合わせる構造である。そのため、このものに、上記の筐体構造を適用した場合、図10のように、先端の嵌合突部7と嵌合爪8とを係合して、フロントケース2とリアケース4を嵌め合わせると、パッキン11は端から徐々に溝12に嵌るフロントケース2の突部13に押されるため、溝12から逃げてはみ出し、上手く溝12に収まらない。例えば、図10のものでは、パッキン11は右から左に徐々に突部に押されて、左端に弛んだ状態となる。このようにパッキンが弛むと、弛んだパッキン11は、ケースを閉めた際に反発して前記ケース2、4を開けようとする。このとき、前記ケース2、4を係合する係合爪3は、傾斜面6を設けて開け易くしているため簡単に開いてしまう。そのため、係合力を高めようと、傾斜面6を無くすと、今度は、分離しにくくなってしまう問題がある。
そこで、この発明の課題は、パッキンによる防水機構を備えたケースの開閉、特に、ケースの分離が容易にできるようにすることである。また、その際、パッキンが溝から逃げないようにして防水機構を備えたケースの組み立てが省スペースの係合リブを使ってできるようにする。しかも、ケースが落下などの衝撃で簡単に開いてしまわない強い係合力を得られるようにすることである。
上記の課題を解決するため、この発明では、周囲の溝にパッキンを嵌入したフロントケースあるいはリアケースと、周囲に突部を設けたリアケースあるいはフロントケースを対向させて嵌め合わせる防水機構を備えたケースの溝あるいは突部の内側に、前記溝あるいは突部に沿ってケースから垂直に突出した薄い板状の係合リブを設け、そのリブの板面に係止用の孔を設けるとともに、他方のケースの突部あるいは溝の内側に前記係合リブを嵌入するスリット状の貫通孔を設け、かつ、その貫通孔内に係合リブの孔に嵌る突起を設けるとともに、前記貫通孔を被う蓋部材を備えた構成を採用したのである。
このような構成を採用することにより、ケースの組み立ては、周囲の溝にバッキンを嵌めたフロントケースあるいはリアケースと周囲に突部を形成したリアケースあるいはフロントケースとを対向させて嵌合する。このとき、一方のケースから垂直に突出した係合リブは、他方のケースに形成した貫通孔に嵌入するようにする。こうすると、貫通孔に嵌入した係合リブの係止用の孔に貫通孔の突起が嵌り両ケースを係止して固定できる。このとき、フロントケースとリアケースを対向させて嵌合するので、溝のパッキンは突部に同時に押されることになり、溝から逃げることなく圧縮することができる。一方、組み立てたフロントケースとリアケースを分離する(開ける)場合は、他方のケースの貫通孔に、例えば、先端の細い(薄い)ドライバーなどを挿入して係合リブを「こじ」れば、突起との係合を解除できるので、ケースを分離することができる。なお、ケースの防水は、貫通孔に防水キャプなどの蓋部材を装着すればよい。
また、このとき、一方のケースが係合リブを設けたものとし、他方のケースが貫通孔を設けたものとして、前記他方のケースが、ケースの外面に凹部を設け、その周囲に溝を形成して、前記溝に第2のパッキンを嵌入した電池収納部を形成し、その収納部を被う蓋の周囲に前記溝に嵌合する突部を形成した蓋部材を着脱自在に取り付けたものであって、前記収納部の溝と凹部との間に前記貫通孔を配置するようにした構成を採用することができる。
このような構成を採用することにより、他方のケースが防水構造の電池収納部を有するときは、その収容部内に貫通孔を設けることで、貫通孔は、電池収納部の蓋によって防水できるので、防水キャップなどの装着は不要である。一方、組み立てたケースを分離する(開ける)場合は、電池収納部の蓋を外して露出した貫通孔に、例えば、先端の薄い(細い)ドライバーなどを挿入して係合リブを「こじ」れば、突起との係合を解除して両ケースを分離する(開ける)ことができる。
この発明は、上記のように構成することにより、防水機構を備えたケースの組み立てが省スペースの係合リブを使ってできるので、柔軟な部品配置ができる。そのため、デザインの自由度が得られる。また、例えば、「こじる」などの簡単な作業で突起との係合を外せば、簡単に係合リブとの係合が解除できてケースを開けることができるので、メンテナンス性にも優れている。
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、この形態の筐体構造を適用した縦長タイプの携帯式の無線機を示す。この無線機の筐体は、フロントケース20とリアケース21とからなっている。
フロントケース20は、図1のように、上部にディスプレイの取り付け部22を設け、下部にスピーカーの取り付け部23を設けて、そのディスプレイとスピーカーの取り付け部22、23のちょうど真ん中にキースイッチの取り付け部24を設けた構造となっている。一方、フロントケース20の内側(裏側)は、図2のように、前記ケース20の周縁の内側に内壁25を設けて、周縁と内壁25との間に溝26を形成し、その溝26にパッキン27を嵌入する構造となっている。また、溝26の内側(ここでは、内壁25の内側)には、ネジ止め用のボス28が四隅に設けてある。さらに、この上方と下方のボス28の真ん中に係合リブ29を対向して形成した構造となっている。
前記係合リブ29は、図3に示すような薄い板状のもので、板面には四角の係合用の孔29aを設けて、後述する貫通孔30の突起31と係合するようにしてある。また、この板状の係合リブ29は、直線状の溝26に沿って(ここでは内壁25に形成)、前記ケース20から垂直に突出させてある。そのため、係合リブ29は、フロントケース20内には殆ど張り出さないので、前記ケース20の幅一杯のキースイッチを使用することも可能であり、操作性の向上やデザイン上の自由度の向上を図れるようになっている。
一方、リアケース21は、図4に示すように、前記ケース21の外側のほぼ下半分を切り欠いて、その切り欠きに凹部35を設けて電池収納部36を形成し、その収納部36の凹部35に充電電池37を収容するようにしてある。また、前記収納部36を被う蓋部材38を着脱自在に取り付ける係止用のレバー39がリアケース21の後端に取り付けてあって、防水機構を構成する構造となっている。
すなわち、この防水機構は、凹部35の周囲に溝26aを設け、その溝26aに第2のパッキン27aを嵌入するとともに、前記パッキン27aを嵌入した溝26aに嵌合する突部34aを蓋の内側に設けた蓋部材38とで構成する。前記第2のパッキン27aは、リアケース21の外側から充電電池37が収納される凹部35に水が浸入することを防止するために配置したものである。この形態では、溝26aを凹部35から間隔を置いて設け、そのスペースに前述の係合リブ29を挿入する貫通孔30を設けている。また、この他、前記スペースには電極用の取り付け孔40やネジ止め用の貫通孔41を設けてある。
蓋部材38は、図4のように、先端に突起43を設けて、この突起43を前記切り欠きで形成した段差の穴44に嵌合し、一方、後端に段部45を設けて係止用のレバー39を係合するようになっている。この係止用のレバー39は、一端を軸によりリアケース21の後端に回動自在に取り付け、他端をフック状に折り曲げたもので、そのフック部分を前述のように蓋部材38の段部45に引っ掛け、蓋部材38を圧着するようになっている。
このリアケース21の内側(裏側)は、図2のように、周縁から少し内側のフロントケース20の溝26と対向する位置に突部34を形成した構造となっている。また、その突部34の内側には、ネジ止め用の孔50が四隅に設けてある。さらに、この上方と下方のネジ孔50のちょうど真ん中には、係合リブ29を嵌入するスリット状の貫通孔30を設けた構造となっている。
前記貫通孔30は、突部34の内側に形成して、前述のように電池収納部36の凹部35と溝26との間に貫通するようにしてある。また、この形態の場合、貫通孔30には、図3のような、コの字型のガイド30aを設け、前記ガイド30aと突部34で囲んだ貫通孔30の中に、突起31を形成してある。前記突起31は、後述のように、係合リブ29を貫通孔30に嵌入すると、前記リブ29の係合用の孔29aに嵌るようになっている。
なお、図中符合51は、ストラップを留める係止部である。また、符合52は、ベルトクリップ装着用のホルダーである。
この形態は、上記のように構成され、このケースの組み立ては、図2のように、フロントケース20の周囲の溝26にバッキン27を嵌め、パッキン27を嵌めたフロントケース20の内側(裏側)とリアケース21の内側(裏側)を対向させて嵌合する。この際、フロントケース20とリアケース21に基板や部品を装着して接続しておくことは当然である。例えば、フロントケース20にディスプレイ素子やキースイッチなどを取り付け、リアケース21に回路基板を取り付けて接続しておく。このとき、フロントケース20に係合リブ29を設けて省スペースを図ったことにより、キートップの大きなキースイッチを取り付けることができるので、操作性の改善を図ることができる。なお、この状態では、リアケース21の電池収納部36は蓋部材28を取り外した状態にしてある。
次に、フロントケース20とリアケース21を嵌合するのであるが、その際、フロントケース20から垂直に突出した係合リブ29は、リアケース21に形成した貫通孔30に嵌入する。ここでは、貫通孔30にコの字型のガイド30aを設けたので、嵌入は前記ガイド30に案内されて簡単にできる。すると、貫通孔30に嵌入した係合リブ29の係止用の孔29aには、図5のように、貫通孔30の突起30aが嵌り、両ケース20、21を係止して固定できる。このようにフロントケース20とリアケース21を対向させて嵌合するので、フロントケース20の溝26とリアケース21の突部34の嵌合が全周に亘ってほぼ同時に行われる。そのため、突部34によってパッキン27を均一に圧縮することができる。その結果、パッキン27が逃げて溝26からはみ出すことはなく、上手く溝26に収めた状態で圧縮できるので、規定の防水(シール)効果が得られる。
こうして、係合リブ29を係合させたことにより、係合リブ29を設けた前記ケース20,21の中央部分を固定して浮き上がりを防止することができたので、前記ケース20、21の四隅をネジ止めする。すなわち、係合したリアケース21の外面(嵌合したケースの背面)の四隅に設けたネジ孔50にネジを挿入して止める。
このように、フロントケース20とリアケース21の組み立てができると、次に、リアケース21の電池収納部36周囲の溝26aに第2のパッキン27aを嵌めたのち、電池収納部36に充電電池37を装着し、図6のように、蓋部材38を取り付ける。蓋部材38の取り付けは、蓋部材38の先端の突起43をリアケース21の段差の穴44に嵌め、後端の段部45に係止用のレバー39のフックを掛けて蓋部材38を圧着する。そして、蓋部材38の突部34aを電池収納部36の溝26aに嵌入して、第2のパッキン27aが溝26aから逃げないようにして取り付ける。こうして、蓋部材38を取り付けて電池収納部36の防水(シール)ができると、電池収納部36に設けた貫通孔30の防水も同時に完了する。すなわち、貫通孔30を電池収納部36に設けたことにより、貫通孔30は、電池収納部36を止水する第2のパッキン27aが嵌る溝26aの内側に形成されているので、貫通孔30用に新たに第3のパッキンを設ける必要がなく、充電池用37用のパッキンと貫通孔30用のパッキンとを兼用させることができる。そのため、コストが掛からず、しかも、充電池37を防水するための効果の高い防水機構を利用できるので、防水効果を高めることができる。
一方、修理などでフロントケース20とリアケース21を分離する(開ける)場合は、リアケース21の前記四隅のネジを緩めて取り外す。次に、電池収納部36の蓋部材38を取り外す。このとき、蓋部材38は、係止用のレバー39で留めてあるので、前記レバー39を外せば簡単に取り外すことができる。蓋部材38を取り外した電池収納部36には、図7のように、貫通孔30が露出するので、露出した貫通孔30に、例えば、先端の薄い(細い)ドライバー60などを挿入して係合リブ29を「こじ」て、突起31との係合を解除すると、係合リブ29との係合が解除できるので、簡単に、フロントケース20とリアケース21に分離(分解)して開けることができる。
ちなみに、図5のように、係合リブ29の先端を、切り欠いておくとドライバー60との係合が容易になるので好ましい。
このように、簡単な操作でフロントケース20とリアケース21に分離することができるので、メンテナンスが容易である。
また、このように、係合中は、「こじる」という操作をしなければ係合を解除できないので、例えば、落下などの衝撃で開かない強い係合力も得られるものである。
さらに、防水機構を備えたケースの組み立てが省スペースの係合リブ29を使ってできるので、柔軟な部品配置ができる。そのため、デザインの自由度が得られる。また、貫通孔30の突起31との係合を外せば係合リブとの係合が簡単に解除できてケースを開けることができるので、メンテナンス性にも優れている。
なお、この形態では、フロントケース20に係合リブ29を設け、リアケース21に貫通孔30を設けたものについて述べたが、これに限定されるものではない。フロントケース20に貫通孔30を設け、リアケース21に係合リブ29を設けたものについても同様に適用できることは当然である。
実施形態の斜視図 実施形態の内側の平面図 実施形態の作用説明図 実施形態の後部側の平面図 実施形態の要部の断面図 実施形態の後部側の平面図 実施形態の作用説明図 従来例の断面図 従来例の作用説明図 従来例の作用説明図
符号の説明
20 フロントケース
21 リアケース
26 溝
26a 溝
27 パッキン
27a 第2のパッキン
28 ボス
29 係合リブ
29a 係合用孔
30 貫通孔
31 突起
34 突部
34a 突部
35 凹部
36 電池収納部
38 蓋部材

Claims (2)

  1. フロントケースとリアケースとで構成され、前記フロントケースとリアケースのいずれか一方の内側の周囲に溝を設けてパッキンを嵌入し、他方の内側の周囲に前記溝と嵌合する突部を設けて、両ケースを対向させて嵌め合わせる電子機器の筐体構造であって、
    前記一方のケースの溝あるいは突部の内側に、溝あるいは突部に沿ってケースから垂直に突出した薄い板状の係合リブを設け、そのリブの板面に係止用の孔を設けるとともに、他方のケースの突部あるいは溝の内側に前記係合リブを嵌入するスリット状の貫通孔を設け、かつ、その貫通孔内に係合リブの孔に嵌る突起を設けるとともに、前記貫通孔を被う蓋部材を備えた電子機器の筐体構造。
  2. 上記一方のケースが係合リブを設けたものとし、
    上記他方のケースが貫通孔を設けたものとして、
    前記他方のケースが、ケースの外面に凹部を設け、その周囲に溝を形成して、前記溝に第2のパッキンを嵌入した電池収納部を形成し、その収納部を被う蓋の周囲に前記溝に嵌合する突部を形成した蓋部材を着脱自在に取り付けたものであって、前記収納部の溝と凹部との間に前記貫通孔を配置するようにした請求項1に記載の電子機器の筐体構造。
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