以下、本発明を適用した多層セラミック基板の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本実施形態において、製造対象となる多層セラミック基板について説明する。本実施形態において、製造対象となる多層セラミック基板は、電子デバイス等を収容するためのキャビティ(凹部)を有する多層セラミック基板である。
図1は、キャビティを有する多層セラミック基板1の最も単純なモデル例を示すものであり、本例の場合、複数(ここでは13層)のセラミック層2〜14が積層一体化されている。これらセラミック層2〜14のうち、下の6層(セラミック層2〜7)については、キャビティ形成のための貫通孔が形成されていない平坦なセラミック層であり、これらの中で上層となるセラミック層7の上面7aの一部がキャビティの底部に臨み、キャビティの底面を構成することになる。
一方、前記セラミック層7上に積層される残りのセラミック層8〜14は、キャビティに対応してそれぞれ貫通孔が形成されており、これら貫通孔が連なることにより、キャビティ15が所定の空間として構成されている。本例の場合、キャビティ15が3箇所形成されている。各キャビティ15の開口形状は、例えば正方形であるが、これに限らず、長方形や長円形等、任意の形状とすることができる。各キャビティ15の開口寸法は任意であるが、例えば2mm角(開口面積2mm×2mm=4mm2)以下である場合に残渣の除去が難しくなることから、本発明を適用することの効果が大きい。また、図示はしていないが、各キャビティ15の底面には、電子デバイスを搭載するための導体パターンを設けてあることが通常であり、また放熱用のビアホール等が設けてある場合もある。
前述のようなキャビティ15を有する多層セラミック基板1は、複数のグリーンシートを積層し、これをプレスして積層体とした後、焼成することで作製するが、寸法精度を確保するために、焼成時の収縮を抑制する必要がある。また、それだけでは不十分であり、例えばプレス工程の際のキャビティ15の開口部の潰れや、キャビティ15の開口部周辺の盛り上がりによる変形を解消する必要がある。さらには、特にキャビティ15の開口寸法が小さい場合に、キャビティ15内の残渣の除去についても留意する必要がある。
そこで、本実施形態では、無収縮焼成方法を採用するとともに、キャビティに相当する空間内に埋め込み用グリーンシートを配した状態でプレス工程や焼成工程を行い、プレス時の潰れ等を解消するようにする。また、埋め込み用グリーンシートの焼成時における縮率を大きくすることで、キャビティ15の開口寸法が小さい場合にも、キャビティ15内の残渣(焼成物)を速やかに除去可能とする。以下、本実施形態の多層セラミック基板の製造プロセスについて説明する。
本実施形態の製造プロセスの工程フローを図2に示す。本実施形態の製造プロセスは、図2に示す通り、基本的には、積層体形成工程(ステップS1)と焼成工程(ステップS2)、焼成物除去工程(ステップS3)とを少なくとも有するものである。これらに加えて、収縮抑制シート除去工程(ステップS4)を有していても良い。積層体形成工程(ステップS1)には、グリーンシート形成工程(ステップS11)、複合グリーンシート形成工程(ステップS12)、キャビティ形成用グリーンシート形成工程(ステップS13)、ビアホール形成工程(ステップS14)、導体印刷工程(ステップS15)、積層工程(ステップS16)、及びプレス工程(ステップS17)が含まれる。
以下、各工程について説明すると、前述の多層セラミック基板を作製するには、先ず、積層体形成工程(ステップS1)における最初の工程であるグリーンシート形成工程(ステップS11)を行う。このグリーンシート形成工程(ステップS11)では、図3(a)に示すセラミックグリーンシート(基板用グリーンシートに相当する。)21と、図3(b)に示す収縮抑制材グリーンシート22とを形成する。これらセラミックグリーンシート21及び収縮抑制材グリーンシート22は、通常、プラスチックシート等の支持体23の表面に密着させて形成する。支持体23として使用するプラスチックシートは、表面が平滑なシートであれば如何なるものであっても良いが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シート等が好ましい。支持体23の厚さは、工程中に変形せず、且つ扱い易い厚さであることが好ましく、一般的には50〜150μmである。
前記セラミックグリーンシート21の作製方法としては、例えば、セラミック粉末と有機ビヒクルを混合してスラリー(誘電体ペースト)を調製し、これをドクターブレード法等のシート成形法により支持体23(PETシート等の樹脂シート)上に成膜する方法等を挙げることができる。作製する多層セラミック基板をガラスセラミック基板とする場合には、セラミック粉末に加えてガラス粉末を用い、これらを有機ビヒクルと混合したスラリーを使用すればよい。
なお、有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものであり、主としてテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール等の溶媒、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等のバインダ、ジ−n−ブチルフタレート等の可塑剤で構成される。その他、解こう剤、湿潤剤等を入れても良い。有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、例えば、バインダは1〜5質量%、溶剤は10〜50質量%とすればよい。
誘電体ペーストは、前述のように有機ビヒクルを含有する有機系塗料としてもよいし、水に水溶性バインダ、分散剤等を溶解させた水溶系塗料としてもよい。ここで、水溶系バインダは、特に限定されず、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョン等から適宜選択すればよい。
また、前記の通り、誘電体ペーストにはセラミック粉末が含まれるが、当該セラミック粉末を構成する誘電体磁器組成物の組成等は任意である。したがって、セラミック粉末の作製に当たっては、誘電体磁器組成物の組成に応じて原料(主成分及び副成分)を選択すればよい。この場合、原料である主成分や副成分の材料形態は特に限定されない。また、原料である主成分及び副成分としては、酸化物や、焼成により酸化物となる化合物が用いられる。なお、焼成により酸化物になる化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が例示される。勿論、原料として、酸化物と、焼成により酸化物になる化合物とを併用してもよい。原料中の各成分の含有量は、焼成後に前記誘電体磁器組成物の組成となるように決定すればよい。また、前記セラミック粉末の製法も任意であり、例えば液相合成法、あるいは固相法のいずれから得られた粉末であっても良い。
LTCC基板であるガラスセラミック基板を作製する場合には、前記の通りセラミック粉末(セラミック成分)とガラス粉末(ガラス成分)を併用するが、このときこれらガラス成分とセラミック成分は、目的とする比誘電率や焼成温度に基づいて適宜選択すればよい。具体的には、1000℃以下で焼成してガラスセラミック基板とすることが可能なアルミナ(セラミック成分:結晶相)と酸化ケイ素(ガラス成分:ガラス相)の組み合わせを例示することができる。その他、セラミックス成分としては、マグネシア、スピネル、シリカ、ムライト、フォルステライト、ステアタイト、コージェライト、ストロンチウム長石、石英、ケイ酸亜鉛、ジルコニア、チタニア等を用いることができる。ガラス成分としては、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸バリウムガラス、ホウケイ酸ストロンチウムガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、ホウケイ酸カリウムガラス等を用いることができる。ガラス成分は60〜80体積%とし、骨材であるセラミックス成分を40〜20体積%とすることが好ましい。ガラス成分が前記範囲を外れると複合組成物となり難く、強度及び焼結性が低下するからである。
一方、収縮抑制材グリーンシート22の作製方法も、前記セラミックグリーンシート21の作製方法と基本的には同様であるが、グリーンシートに含まれる成分が異なる。すなわち、収縮抑制材グリーンシート22は、セラミックグリーンシート21が焼結する温度では収縮し難い収縮抑制材料からなり、自身の収縮が抑制されたグリーンシートである。収縮抑制材料としては、石英、クリストバライト、若しくはトリジマイトの少なくとも一種を含む組成物等が使用可能である。あるいは、アルミナを含む組成物としても良い。
これらの収縮抑制材料は、セラミックグリーンシート21に含まれるセラミック成分やガラス成分の焼成温度では焼結しないか、あるいは一部しか焼結しないため、セラミックグリーンシート21の焼成温度では収縮が生じない。したがって、前記収縮抑制材料から構成される収縮抑制材グリーンシート22を、セラミックグリーンシート21と密着して積層すれば、セラミックグリーンシート21の焼成時の平面方向の収縮を抑制するように働く。
なお、収縮抑制材グリーンシート22の形成に際しては、前記収縮抑制材料(石英、クリストバライト、若しくはトリジマイトの少なくとも一種を含む組成物)に加えて焼結助剤を含有させてもよく、この場合にも同様の効果を得ることができる。焼結助剤を含有させた場合には、当該焼結助剤がセラミック成分やガラス成分の焼成温度で焼結するが、収縮抑制材料である石英、クリストバライト、若しくはトリジマイトの熱膨張係数がそれぞれ約20ppm/℃、約50ppm/℃、約40ppm/℃であり、セラミック成分やガラス成分に比べて大きいことから、焼結助剤が焼成後に収縮したとしても焼成前と焼成後の寸法変化が相殺され、セラミックグリーンシート21の収縮を抑制することができる。
焼結助剤を併用する場合、使用する焼結助剤としては、セラミック成分やガラス成分の焼結開始温度以下で軟化するか、液相を生成する酸化物を挙げることができる。前者を用いた場合は、焼結助剤が軟化することによって前記収縮抑制材料の粒子同士が結合するため焼結し、後者を用いた場合は、収縮助剤が液相を生成することによって前記収縮抑制材料の粒子表面が反応し、粒子同士が結合するため焼結することとなる。焼結助剤として用いられる酸化物としては、特に限定されるものではないが、珪酸鉛アルミガラス、珪酸鉛アルカリガラス、珪酸鉛アルカリ土類ガラス、ホウ珪酸鉛ガラス、ホウ珪酸アルカリガラス、ホウ酸アルミ鉛ガラス、ホウ酸鉛アルカリガラス、ホウ酸鉛アルカリ土類ガラス、ホウ酸鉛亜鉛ガラス等を挙げることができ、これらのうちの一種以上を選択して用いればよい。
また、焼結助剤としてアルカリ金属化合物を用いることも可能である。アルカリ金属化合物にはSiO2の焼結の進行を促す効果がある。したがって、石英、クリストバライト、及びトリジマイトの少なくとも一種を含む組成物にアルカリ金属化合物を添加すれば、セラミックグリーンシート21の焼成に伴って収縮抑制材グリーンシート22が焼結することとなる。ここで、アルカリ金属化合物は特に限定されないが、例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酸化リチウム、酸化カリウム等を挙げることができる。
さらに、収縮抑制材グリーンシート22に使用する材料として、トリジマイトと難焼結性の酸化物を含む組成物を用いることも可能である。トリジマイトは、組成の選択により焼結温度を種々変化させることができる材料である。ただし、トリジマイトは熱膨張係数が大きく、温度によっては熱膨張係数が40ppm/℃にも達する。このため、例えばガラスセラミック材料(約3〜10ppm/℃)との熱膨張差がありすぎて、セラミックグリーンシート21が焼結する前に剥れてしまうことがある。そこで、これを防ぐためにセラミックグリーンシート21の焼成温度で焼結しない酸化物を加えて熱膨張係数を調節し、セラミックグリーンシート21が焼結する前に剥れてしまうことを抑止する。セラミックグリーンシート21の焼成過程において焼結しない酸化物としては、特に限定されないが、例えば石英、溶融石英、アルミナ、ムライト、ジルコニア等を挙げることができる。
以上のようにしてセラミックグリーンシート21や収縮抑制材グリーンシート22を作製するが、これらセラミックグリーンシート21や収縮抑制材グリーンシート22の一層当たりの厚さは、後述するビア電極や内部電極の形成を考慮して、20μm〜300μm程度とすることが好ましい。
前記セラミックグリーンシート21及び収縮抑制材グリーンシート22の作製の後、複合グリーンシート形成工程(ステップS12)において、これらを利用して複合グリーンシート(セラミックグリーンシートと収縮抑制材グリーンシートとを組み合わせたグリーンシート)を作製する。ここで作製する複合グリーンシートは、キャビティの底面を構成する基板用グリーンシート(セラミックグリーンシート)の直上に積層される第1複合グリーンシートと、最上層の収縮抑制材グリーンシートとして積層される最上層複合グリーンシートである。
第1複合グリーンシート26を作製するには、図4(a)に示すように、先ず、前記グリーンシート形成工程(ステップS11)で作製したセラミックグリーンシート21に第1貫通孔24を設ける。第1貫通孔24は、例えばセラミックグリーンシート21を支持体23の表面に密着させたままの状態で、セラミックグリーンシート21の所定の部分をパンチャーの金型で打ち抜いて形成しても良く、レーザ光、マイクロドリル、パンチング等により形成しても良い。第1貫通孔24はキャビティ形状に対応して形成されるものであり、その形状は特に限定されず、例えば正方形であっても良く、長方形や円形等であっても良い。
次いで、グリーンシート形成工程(ステップS11)で作製した収縮抑制材グリーンシート22を、支持体23の上で前記第1貫通孔24と略同形状に切断し、第1嵌合シート25(収縮抑制材グリーンシート片に相当する。)とする。これをセラミックグリーンシート21の第1貫通孔24に嵌め込み、第1複合グリーンシート26を形成する。このとき、第1複合グリーンシート26を平坦なものとするために、セラミックグリーンシート21と第1嵌合シート25の厚さは同一とすることが好ましい。
最上層複合グリーンシート29の作製方法も先の第1複合グリーンシート26の作製方法と同様であるが、最上層複合グリーンシート29においては、図4(b)に示すように、収縮抑制材グリーンシート22に貫通孔を設け、ここにセラミックグリーンシート片を嵌め合わせる。すなわち、グリーンシート形成工程(ステップS11)で作製した収縮抑制材グリーンシート22に、キャビティの開口に応じた第2貫通孔27を設ける。第2貫通孔27の形成方法は、前述の第1貫通孔24と同じである。そして、グリーンシート形成工程(ステップS11)と同様の工程で作製したセラミックグリーンシートを支持体23の上で前記第2貫通孔27と略同形状に切断し、第2嵌合シート28とする。収縮抑制材グリーンシート22の第2貫通孔27に第2嵌合シート28を嵌め込み、支持体23から剥離して最上層複合グリーンシート29とする。なお、この場合にも、最上層複合グリーンシート29を平坦なものとするために、収縮抑制材グリーンシート22と第2嵌合シート28の厚さは同一とすることが好ましい。
前記第2嵌合シート28は、埋め込み用グリーンシートに該当するものであり、特にキャビティ15の開口寸法が小さい場合、焼成後に収縮抑制材グリーンシート22との分離が不十分となるおそれがある。埋め込み用グリーンシートの分離が不十分であると、残渣である焼成物の除去が難しくなり、製造歩留まりの低下を招く。そこで、本実施形態では、前記第2嵌合シート28の焼成後における縮率を、多層セラミック基板1を構成するセラミックグリーンシート21の縮率よりも大とし、焼成物が簡単に除去できるようにする。
この場合、第2嵌合シート28とセラミックグリーンシート21の縮率差が1%以上となるように設定することが好ましい。すなわち、第2嵌合シート28の縮率をS1、セラミックグリーンシート21の縮率をS2とした時に、[(S1−S2)/S2]×100で表される縮率差を1%以上とすることが好ましい。前記縮率差を1%以上とすることで、例えばキャビティ15の開口寸法が2mm角(開口面積2mm×2mm=4mm2)以下である場合にも、焼成後にキャビティ15内に残渣として残る焼成物を速やかに除去することが可能になる。
前記第2嵌合シート28の焼成後における縮率を、多層セラミック基板1を構成するセラミックグリーンシート21の縮率よりも大とするためには、例えば第2嵌合シート28を形成するためのセラミックグリーンシートに含まれるバインダ成分の比率をセラミックグリーンシート21に含まれるバインダ成分の比率よりも大としたり、あるいは第2嵌合シート28を形成するためのセラミックグリーンシートに含まれるセラミック成分やガラス成分として、セラミックグリーンシート21に含まれるセラミック成分やガラス成分よりも縮率の大きなものを用いればよい。
キャビティ形成用グリーンシート形成工程(ステップS13)では、最上層複合グリーンシート29と同様の手法により、前記セラミックグリーンシート21に貫通孔21aを形成し、セラミックグリーンシート21よりも焼成後における縮率が大きな埋め込み用グリーンシート片31aを前記貫通孔21aに挿入し、キャビティ形成用グリーンシート30とする。埋め込み用グリーンシート片31aには、先の第2嵌合シート28と同様のセラミックグリーンシートを打ち抜いたものを用いればよい。
図5は、前記キャビティ形成用グリーンシート30の作製プロセスを示すものである。キャビティ形成用グリーンシート30を作製するには、先ず、図5(a)に示すように、支持体23上に形成されたセラミックグリーンシート21を用意し、図5(b)に示すように、キャビティ15に対応して貫通孔21aを形成する。貫通孔21aは、例えば図6に示すように、パンチ41及びダイ42を用い、セラミックグリーンシート21を支持体23とともに打ち抜くことにより形成する。
次に、図5(c)に示すように、前記貫通孔21aを形成したセラミックグリーンシート21上に、セラミックグリーンシート21よりも焼成後における縮率が大きな埋め込み用グリーンシート31を重ね、図5(d)に示すように、埋め込み用グリーンシート31を前記貫通孔21aとほぼ同一形状に打ち抜き、埋め込み用グリーンシート片31aを貫通孔21a内に挿入する。前記埋め込み用グリーンシート31の打ち抜き及び埋め込み用グリーンシート片31aの貫通孔21a内への挿入も、図7に示すように、パンチ41及びダイ42を用いて行えばよい。
前記埋め込み用グリーンシート片31aの挿入の後、図5(e)に示すように余分な埋め込み用グリーンシート31を除去し、図5(f)に示すように支持体23も剥離除去する。さらに、図5(g)に示すように、支持基板43上に載置し、加圧及び加熱することにより、キャビティ形成用グリーンシート30を平坦化する。
以上により作製した第1複合グリーンシート26やキャビティ形成用グリーンシート30、さらにはキャビティの底面を構成するセラミックグリーンシートを含む基板形成用グリーンシート(セラミックグリーンシート21)等、焼成後に多層セラミック基板の各セラミック層を構成するセラミックグリーンシート(以下、これらを併せて「誘電体層シート」と称する。)には、ビアホールやビア電極、内部電極パターン等を形成する。
例えばビアホール形成工程(ステップS14)では、誘電体層シートにビア電極を形成するための孔であるビアホールを形成する。ビアホールは、レーザ光、マイクロドリル、パンチング等により形成する。誘電体層シートにレーザ光を照射すると、誘電体層シートのセラミック粉末やバインダ樹脂を昇華させることで孔をあけることができる。使用するレーザは、波長の短いUV−YAGレーザやエキシマレーザが好ましい。このようにレーザ光を使用してビアホールを形成すれば、ビアホールの径を容易に100μm以下にすることができる。また、マイクロドリルやパンチングは、レーザ光に比べビアホールの径を小さくすることは難しいが、低コストで加工できるというメリットがある。いずれにしても、これらの手法により形成されるビアホールに導電体ペーストを充填することで、微少なビア電極を精度良く形成できる。
導体印刷工程(ステップS15)では、ビアホール形成工程(ステップS14)で形成したビアホールに導電性ペーストを充填し、ビア電極を形成する。導電性ペーストとしては、例えば銅、銀、銀パラジウム、パラジウム、ニッケル等の金属粉末又は合金粉末を含有して、所定の流動性を有する粘度に調整されたビア電極ペーストを用いる。また、導体印刷工程(ステップS15)では、誘電体層シートの表面に内部電極パターンを所定のパターンで印刷する。内部電極パターンのペーストは前述の導電性ペーストと同様、例えば銅、銀、銀パラジウム、パラジウム、ニッケル等の金属粉末又は合金粉末を含有して、所定の流動性を有する粘度に調整された内部電極ペーストを用いる。内部電極ペーストとビア電極ペーストは異なる材料であっても良い。
なお、誘電体層シートの構成材料が耐還元性を有しており、導電材料に安価な卑金属を用いることもできるので、導電材料としてはニッケルあるいはニッケル合金を用いても良い。ニッケル合金としては、マンガン、クロム、コバルトおよびアルミニウムなどから選択される1種以上の元素とニッケルとの合金が好ましく、合金中におけるニッケルの含有量は95質量%以上であることが好ましい。なお、ビア電極及び内部電極パターンは、リン(P)などの各種微量成分を0.1質量%程度以下含有していても良い。内部電極パターンの厚さは用途に応じて適宜決定されるが、例えば、0.5μm〜5μm程度であることが好ましく、0.5μm〜2.5μm程度であればより好ましい。
ビア電極ペースト、あるいは内部電極ペーストは、誘電体ペーストと同様のビヒクルと混練して作製される。ビア電極ペースト或いは内部電極ペーストにおけるビヒクルの含有量は誘電体ペーストと同様に調整する。また、ビア電極ペースト或いは内部電極ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などの添加物を添加してもよい。その添加量は、合計で10質量%以下とすることが好ましい。
続いて、ビア電極ペースト或いは内部電極ペーストを誘電体層シートに印刷し、ビア電極或いは内部電極パターンを形成する。ビア電極は、ビア電極ペーストを例えば穴埋め印刷により充填して固化させることにより形成する。内部電極パターンは、例えば、セラミックグリーンシート21に内部電極ペーストをスクリーン印刷により所定のパターンで塗布することにより形成する。
前記により各誘電体層シートにビア電極や内部電極パターンを形成した後、積層工程(ステップS16)において作製した各シートを積層し、積層体32を形成する。積層体32の構成を図8に示す。また、この積層工程(ステップS16)から収縮抑制シート除去工程(ステップS4)までにおける積層体の構成を図9(a)から図9(d)に示す。なお、図9においては、1つのキャビティの近傍部分のみを示す。
前記積層工程(ステップS16)では、図9(a)に示すように、最下層から収縮抑制グリーンシート22、セラミックグリーンシート21、第1複合グリーンシート26、キャビティ形成用グリーンシート30、最上層複合グリーンシート29の順に積層する。なお、各シートは少なくとも1枚以上あれば良く、複数枚であっても良い。本例の場合、セラミックグリーンシート21を6枚積層し、その上に第1複合グリーンシート26及び6枚のキャビティ形成用グリーンシート30を積層している。したがって、これら13層が基板用グリーンシートに相当することになる。また、第1複合グリーンシート26及び6枚のキャビティ形成用グリーンシート30によってキャビティが形成される。
このようにして積層される積層体32の全体の厚さは、多層セラミック基板の小型化及び低背化の要求から、1mm以下であることが好ましい。また、積層体32のうち、キャビティを構成する部分となる6枚のキャビティ形成用グリーンシート30及び第1複合グリーンシート26)の積層高さ(キャビティの深さに相当する。)は、キャビティに収容する電子デバイスの寸法に合わせて設定する。
前記積層工程(ステップS16)の後、プレス工程(ステップS17)を行うが、このプレス工程(ステップS17)は、積層工程(ステップS16)で作製した積層体32を圧着する工程である。圧着は通常の上下パンチが平坦な金型に入れて行なう。圧着の条件は、圧着の圧力が30〜80MPaで、圧着時間は10分程度が好ましい。本実施形態では、積層体32の最上層面、最下層面がそれぞれ平坦面となっており、さらに、キャビティを形成する部分に切り込み31により分離された部分31aをそのまま残し、埋め込み用グリーンシートとしてこれを埋める形としているので、プレスを行なう際に均一に圧力をかけることができる。したがって、従来技術のようにキャビティの開口部が、付加する圧力で潰れて変形したり、損傷を生じたりすることはない。
なお、前述のプレス工程において、キャビティ部分とそれ以外の部分に均一に圧力を加えるためには、キャビティ内を埋める形で形成されている埋め込み用積層体部分と、それ以外の積層体部分(セラミックグリーンシート21の積層体部分)について、プレス時の縮率が近似していることが好ましい。具体的には、第1嵌合シート25、6枚の埋め込み用グリーンシート片31a及び第2嵌合シート28により構成される埋め込み用積層体部分のプレス時の縮率と、第1複合グリーンシート26と6枚のキャビティ形成用グリーンシート30を構成する7枚のセラミックグリーンシート21及び最上層複合グリーンシート29を構成する収縮抑制材グリーンシート22により構成される外側積層体部のプレス時の縮率の差が、5%以下であることが好ましい。これにより前記均一な加圧が可能となる。例えば、前記埋め込み用グリーンシート片31aを樹脂材料のみにより形成すると、埋め込み用積層体部分のプレス時の縮率がセラミックグリーンシート21等により構成される積層体部のプレス時の縮率より小さくなり過ぎ、均一な加圧が難しくなる。これに対して、埋め込み用積層体部分にセラミック材料を含むグリーンシートを用いることで、プレス時の縮率差を抑えることができ、均一な加圧が可能である。
次に、焼成工程(ステップS2)を行う。焼成工程(ステップS2)では、プレス工程(ステップS17)で圧着した積層体32を焼成する。なお、焼成に際しては、通常、作製した積層体32に対して脱バインダ処理を行うが、この場合の脱バインダ処理条件は通常のもので良い。脱バインダ処理を行った後、焼成を行い、積層焼成体34を形成する。焼成時の雰囲気は、特に限定されない。一般に、ビア電極及び内部電極パターンにニッケルあるいはニッケル合金等の卑金属を用いる場合には、還元性雰囲気とすることが好ましい。焼成温度は800℃〜1000℃とすることが好ましい。導体材料や抵抗材料を同時焼成することができ、このような多層セラミック基板は、高周波重畳モジュール、アンテナスイッチモジュール、フィルタモージュール等のLTCCモジュール用として使用することができる。
焼成工程(ステップS2)を施した積層焼成体34では、図9(b)に示すように、キャビティ形成用グリーンシート30の貫通孔30aの内側の部分(埋め込み用グリーンシート片30aが積層された部分)が、貫通孔30aの外側部分(セラミックグリーンシート21部分)から分離する。キャビティの開口寸法が小さい場合、特に上部に配されるキャビティ形成用グリーンシート30において、最上層複合グリーンシート29による拘束力によってセラミックグリーンシート21の収縮が抑えられ、貫通孔30aの内側部分と外側部分の分離が不十分になる傾向にあるが、本実施形態においては、埋め込み用グリーンシート片30aをセラミックグリーンシート21よりも焼成後の縮率が大きい材料により形成しているので、確実に分離することが可能である。
前述のように、第1嵌合シート25や第2嵌合シート28、これらの間に挟まれた部分(前記埋め込み用グリーンシート片30aが積層された部分)は、セラミックグリーンシート21等とは異なる収縮状態となり、キャビティ形成用グリーンシート30の貫通孔30aの内側の部分(埋め込み用グリーンシート片30aが積層された部分)は貫通孔30aの外側部分(セラミックグリーンシート21部分)から完全に分離される。また、底部においても、前記第1嵌合シート25が焼成により脆化しており、この部分での拘束力も弱くなっている。したがって、キャビティを埋めていた第1嵌合シート25や第2嵌合シート28、これらの間に挟まれた部分(埋め込み用グリーンシート片30aが積層された部分)は、僅かな刺激で脱落させることができ、これによりキャビティ35を形成することができる。なお、キャビティの形状が複雑な場合においても容易に埋め込み用グリーンシート片30aが積層された部分を脱落させることができる。
焼成物除去工程(ステップS3)において、前記第1嵌合シート25や第2嵌合シート28、これらの間に挟まれた部分(前記埋め込み用グリーンシート片30aが積層された部分)を除去してキャビティを形成した後、必要に応じて収縮抑制シート除去工程(ステップS4)を行う。収縮抑制シート除去工程(ステップS4)では、積層焼成体34の最上層のシート35や最下層のシート36(収縮抑制材グリーンシート22や最上層複合グリーンシート29の焼成物)を除去する。これらを除去する方法は、積層焼成体34を溶剤中で通常の超音波洗浄を行なうこととしても良く、積層焼成体34にウェットブラストを施すこととしても良い。ウェットブラストは、水に研磨剤を混合した液体をコンプレッサからの圧縮空気で加速させ、被加工物に吹きつけて、洗浄と表面処理を同時に行なう方法である。また、収縮抑制材グリーンシート22をトリジマイト−シリカ系やクリストバライト−シリカ系等の材料で形成した場合、焼成後、最上層のシート35と最下層のシート36の主要部分は自然剥離するので、僅かに残る部分を洗浄すれば良い。
以上の工程の他、必要に応じて切断工程、研磨工程等を行い、図1に示す多層セラミック基板1を得る。切断工程では、ダイヤモンドスクライブで分割しても良く、積層焼成体34が厚い場合はダイシング方式で切断しても良い。研磨工程は、例えばラッピングにより行なう。ラッピングは回転定盤に砥粒を含まず、加工液中に砥粒を含ませ、加工対象を砥ぐ加工法である。また、湿式バレルを用いる方法としても良い。
製造される多層セラミック基板1には、電子デバイス50が搭載されるが、この電子デバイス50を搭載した状態を図10に示す。図10に示すように、電子デバイス50は多層セラミック基板1のキャビティ15の中に収容される。電子デバイス50は、ボンディングワイヤ51で多層セラミック基板1に形成された電極(図示は省略する。)に接続される。電極は、多層セラミック基板1の表面に印刷された表面電極、ビア電極、さらには多層セラミック基板1の内部に印刷された内部電極等である。このように本実施形態の製造方法により作製される多層セラミック基板は、電子デバイスを多層セラミック基板の内部に収容でき、小型化及び低背化の要求を満足することができる。
(第2の実施形態)
先の実施形態では、最上層複合グリーンシート29の第2嵌合シート28の他、キャビティ形成用グリーンシート30の埋め込み用グリーンシート片31aについても、縮率を高くし、キャビティ内の焼成物を確実に分離するとともに、焼成物を簡単に除去できるようにしている。ただし、このようなプロセスを採用した場合、キャビティ形成用グリーンシート30を構成するセラミックグリーンシート21に別途形成した埋め込み用グリーンシート片31aを挿入する必要がある。
本実施形態は、縮率の高い埋め込み用グリーンシートの挿入を必要最小限にし、製造プロセスの簡略化を実現したものである。すなわち、本実施形態においては、図11に示すように、最上層複合グリーンシート29の第2嵌合シート28のみをセラミックグリーンシート21よりも焼成後の縮率が高いシートとし、キャビティ形成用グリーンシート30については、セラミックグリーンシート21の切断片21bをそのまま埋め込み用グリーンシート片として利用し、焼成物の除去を容易なものとしながら、工程の簡略化を図っている。
先にも述べたように、キャビティの開口寸法が小さい場合、特に上部に配されるキャビティ形成用グリーンシート30において、最上層複合グリーンシート29による拘束力によってセラミックグリーンシート21の収縮が抑えられ、埋め込み用グリーンシートと周囲のセラミックグリーンシート21の分離が不十分になる傾向にある。一方、最上層複合グリーンシート29から離れるにしたがって、最上層複合グリーンシート29による拘束力が低下し、セラミックグリーンシート21が収縮するので、十分に分離される傾向にある。そこで、最上層複合グリーンシート29の第2嵌合シート28のみをセラミックグリーンシート21よりも焼成後の縮率が高いシートとすれば、分離し難い部分での分離を確実なものとすることができ、焼成物を簡単に除去することが可能になる。
本実施形態においては、キャビティ形成用グリーンシート30の形成方法のみが第1の実施形態と異なり、その他の製造プロセスは第1の実施形態と同様である。
なお、縮率の高い埋め込み用グリーンシートの挿入は、前述の最上層複合グリーンシート29に限られるものではなく、種々変更することが可能である。例えば、前記最上層複合グリーンシート29に加えて、最も下層に配されるキャビティ形成用グリーンシート30にも縮率の高い埋め込み用グリーンシートを挿入してもよい。あるいは、最も上層に配されるキャビティ形成用グリーンシート30にも縮率の高い埋め込み用グリーンシートを挿入してもよい。さらには、複数のキャビティ形成用グリーンシート30に縮率の高い埋め込み用グリーンシートを挿入することも可能である。この場合、例えば複数枚おきに縮率の高い埋め込み用グリーンシートを挿入すればよい。
(第3の実施形態)
本実施形態は、焼失性シートを用いた例である。焼失性シートは、焼成により速やかに焼失し、キャビティ内の焼成物の除去がより簡単なものとなる。
図12は、第1の実施形態において焼失性シートを適用した例を示すものであり、図13は、第2の実施形態において焼失性シートを適用した例を示すものである。いずれも各グリーンシートを積層した状態を示す。いずれの場合にも、第1複合グリーンシート26において、第1嵌合シート25(収縮抑制材グリーンシート片に相当する。)上に焼失性シート片60が重ねて配された状態で貫通孔に挿入されており、焼失性シート片60上に埋め込み用グリーンシート片31aが重ねられている。
前記焼失性シート片60には、基板形成用グリーンシートやキャビティ形成用グリーンシート30を構成するセラミックグリーンシート21の焼成温度で焼失する材料、例えば樹脂材料等が用いられる。特に、セラミックグリーンシート21に含まれる有機バインダーと同一の材料を用いることが好ましい。焼失性シート片60にセラミックグリーンシート21に含まれる有機バインダーと同一の材料を用いれば、焼成の際に確実に前記焼失性シート片60が焼失する。なお、前記焼失性シート片60は、シート化したものを打ち抜くことにより形成してもよいし、例えば印刷法等により形成してもよい。
前記のように焼失性シート片60を第1嵌合シート25と埋め込み用グリーンシート片31aの間に介在させることで、埋め込み用グリーンシート片の焼成物をより簡単にキャビティ空間から除去することが可能となる。例えば、前記焼成物は、焼失性シート片60の焼失により底面においても第1嵌合シート25から分離され、例えば上下反転することで、容易に除去することが可能となる。
なお、本実施形態においても、第1複合グリーンシート26の形成方法のみが第1の実施形態や第2の実施形態と異なり、その他の製造プロセスは第1の実施形態や第2の実施形態と同様である。
(第4の実施形態)
本実施形態は、キャビティを多段形状(ここでは2段形状)で形成する場合に適用した実施形態である。図14に、キャビティを2段形状で形成する場合の積層体の積層構造の一例を示す。キャビティを2段形状で形成する場合、例えば図14に示すように、1段目キャビティに対応して開口寸法の大きな貫通孔が形成された第1キャビティ形成用グリーンシート70と、2段目キャビティに対応して開口寸法の小さな貫通孔が形成された第2キャビティ形成用グリーンシート80とを積層する。第1キャビティ形成用グリーンシート70と第2キャビティ形成用グリーンシート80は、いずれもセラミックグリーンシート21により形成されるものであり、それぞれ貫通孔内に挿入材が挿入されている。
前記積層に際して、最下層に収縮抑制材グリーンシート22を配し、最上層に最上層複合グリーンシート29を配することは、先の各実施形態の場合と同様である。また、2段目のキャビティの底面に対応して第1複合グリーンシート26を配し、2段目キャビティの底面に収縮抑制材グリーンシートにより形成された第1嵌合シート25を配することも同様である。キャビティを2段形状で形成する場合には、さらに、1段目のキャビティの底面に対応して、第2複合グリーンシート90を配する。この第2複合グリーンシート90は、セラミックグリーンシート21により形成されており、1段目のキャビティに対応して形成される貫通孔内に、前記2段目のキャビティの底面に対応して収縮抑制材グリーンシートにより形成された第3嵌合シート91が配されている。
例えば2段目のキャビティの開口寸法が2mm角以下である場合には、この2段目のキャビティを埋める埋め込み積層体部を焼成後の縮率がセラミックグリーンシート21よりも大きなグリーンシートとすることにより、焼成後のキャビティ内の焼成物の除去が容易なものとなる。具体的には、以上のように構成される積層体において、第2キャビティ形成用グリーンシート80及び第2複合グリーンシート90の貫通孔内に、セラミックグリーンシート21よりも焼成後の縮率の大きな埋め込み用グリーンシート片31aを挿入する。あるいは、図15に示すように、第2複合グリーンシート90の貫通孔内にセラミックグリーンシート21よりも焼成後の縮率の大きな埋め込み用グリーンシート片31aを挿入し、第2キャビティ形成用グリーンシート80にはセラミックグリーンシート21の切断片21bをそのまま埋め込み用グリーンシート片として挿入する。なお、いずれの場合にも、1キャビティ形成用グリーンシート70や最上層複合グリーンシート29の貫通孔には、セラミックグリーンシート21の切断片21bが挿入されている。
以上のように、キャビティを多段形状で形成する場合にも、開口寸法の小さなキャビティ部に縮率の高いグリーンシートを埋め込むことにより、キャビティ内の焼成物(残渣)を簡単に除去することが可能になる。
挿入材については種々変更が可能であり、例えば、図14及び図15に示す例では、開口寸法の小さな2段目のキャビティに対応する第2キャビティ形成用グリーンシート80及び第2複合グリーンシート90にのみ縮率の高いグリーンシートを挿入するようにしたが、1段目のキャビティに対応する第1キャビティ形成用グリーンシート70や最上層複合グリーンシート29にも縮率の高いグリーンシートを挿入するようにしてもよい。また、第3の実施形態のように、焼失性シートを介在させることも可能である。
1 多層セラミック基板、2〜14 セラミック層、15 キャビティ、21 セラミックグリーンシート、22 収縮抑制材グリーンシート、23 支持体、24 第1貫通孔、25 第1嵌合シート、26 第1複合グリーンシート、27 第2貫通孔、28 第2嵌合シート、29 最上層複合グリーンシート、30 キャビティ形成用グリーンシート、31 埋め込み用グリーンシート、31a 埋め込み用グリーンシート片、32 積層体、34 積層焼成体、41 パンチ、42 ダイ、43 支持基板、50 電子デバイス、51 ボンディングワイヤ、60 焼失性シート、70 第1キャビティ形成用グリーンシート、80 第2キャビティ形成用グリーンシート、90 第2複合グリーンシート