本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)について説明する。
図1に蛍光表示管装置10のブロック図を示す。蛍光表示管装置10は、1チップマイコン20、ドライバ30、蛍光表示管(VFD)40を有して構成されている。1チップマイコン20は、中央演算装置(CPU)21、シリアルコントローラ22、タイマカウンタ23、クリスタル発振回路24を有して構成されている。
CPU21は、いずれも図示しない、演算部、ラム(RAM)、ロム(ROM)を備えており、演算部はROMに格納されたプログラムに従って演算を実行する部分であり、RAMはCPU21で取り扱うデータを一時的に格納するものである。また、CPU21は、シリアルコントローラ22およびタイマカウンタ23と接続されており、CPU21で処理した結果が、シリアルコントローラ22に送出され、CPU21によってタイマカウンタ23の初期設定がなされる。ここで、本実施形態の要部は、シリアルコントローラ22からタイマカウンタ23にクロック信号CKを入力する構成を採用している点であるが、クロック信号CKが入力されたタイマカウンタ23の作用と併せて詳細に後述する。
ここで、ROMは、例えば、マスクROMとされており、VFD40を変更した場合には、1チップマイコン20のシリアルコントローラ22およびタイマカウンタ23を変更することなく、このROMの内容を変更することによって、容易に様々なVFDに適用させることができる。そのために、ゲートアレイを制御装置に採用する場合にはすべてのハードウエアを個々のVFDにあわせて変更しなければならない事情に較べ、1チップマイコンを採用する場合には、プログラムの仕様が決定後に、このROMの部分のみを変更することによって、より短期間に1チップマイコンのIC化が可能となる。さらに、このROMをマスクROMではなくフラッシュROMとする場合にはさらに、開発終了から製造までの時間の短縮を図ることができる。
シリアルコントローラ22は、シリアルデータSDおよびクロック信号CKを発生して出力する機能を有するハードウエアであり、シリアルデータSDはCPU21において生成されたパラレルの表示データをシリアルデータとするものである。シリアルデータの内容は、いずれもがシリアルデータであるアノードデータとグリッドデータから構成されている。アノードデータはアノード電極をどのように駆動するかについての情報であり、グリッドデータはグリッド電極をどのように駆動するかについてのデータである。
タイマカウンタ23は、シリアルコントローラ22からクロック信号CKが供給されることによって、ラッチ信号LATとブランク信号BLKとを出力する。ここで、ラッチ信号LATはシリアルデータSDの区切りを示す信号であり、ブランク信号BLKはVFD40の表示(発光)を開始するタイミングを示す信号である、すなわち、ラッチ信号LATによって、後述するドライバ30は、表示データに応じた表示をVFD40の所定位置におこなうためのアノード駆動信号31およびグリッド駆動信号32を発生させることができ、VFD40を発光させるか否かをブランク信号BLKによって制御できるものである。また、シリアルデータSDの1シリアルデータ分の最後の1ビットと、ラッチ信号LATおよびブランク信号BLKとの位置関係(位相)の同期は、CPU21がおこなうシリアルコントローラ22およびタイマカウンタ23の初期設定によって設定される。そして、一旦、設定された後のVFD40に表示の動作中においては、この位相の同期状態は維持される。
クリスタル発振回路24は一定周波数の信号を発振する発振器であり、このクリスタル発振回路24からの発振信号は、マスタークロックとしてCPU21に供給されるとともに、シリアルコントローラ22に供給され、シリアルコントローラ22に配されたハードウエアで構成される分周器によってより低い周波数に分周され、後述するクロック信号CKをシリアルコントローラ22が出力することができるようになされている。
ドライバ30は、シリアルインターフェイス回路(図示しない)と複数の高電圧駆動器(図示しない)とから構成されている。蛍光表示管40は、真空管技術を応用した表示素子であり、図示しないカソード電極から飛び出した電子が、図示しないグリッド電極により制御され、図示しないアノード電極に塗布された蛍光体に衝突して発光し、色々な表示を行うものである。ここで、複数のアノード電極の各々は相互に平行に配され、また、複数のグリッド電極の各々は相互に平行に配されている。そして、複数のアノード電極と複数のグリッド電極とは、略、直交するようにされており、ドライバ30は、VFD40の複数のアノード電極の各々および複数のグリッド電極の各々に電圧を印加するようになされている。このようなVFD40の構造およびドライバ30によるドライブの方式は、いずれも、周知の技術である。
ホスト機器からの蛍光表示管装置10に対する制御の指令はCPU21に入力される。CPU21は、この指令に応じて、予め、定められた手順(プログラム)にしたがって、シリアルコントローラ22を制御する。ここで、シリアルコントローラ22の制御は割込み処理とされている。すなわち、CPU21は、シリアルコントローラ22を所定時間毎に制御する。これによって、その所定時間に同期して、シリアルデータSDをドライバ30に送出する。そして、ドライバ30は、シリアルデータSDを解読して、アノード駆動信号31とグリッド駆動信号32とを得て、これをVFD40に送出する。この結果として、割込み処理がされる所定時間毎にVFD40の蛍光体の発光として表示される画像の内容が変化することとなる。
このようにして、VFD40の発光を制御する割込み処理は、常時おこなわれるものであるので、CPU21として比較的に低価格な比較的に低速度仕様のものを採用する場合には、CPU21は、この割込み処理以外の他の処理をおこなう余裕は殆どないこととなる。すなわち、他の処理によって、割込み処理を定期的におこなうことが阻害され、不定期となる場合には、例えば、VFD40の表示が視覚的にちらついて認識されるという不具合が生じる。
従来の技術においては、CPU21がタイマカウンタ23を頻繁に制御していたが、本実施形態においては、従来の技術とは異なり、シリアルコントローラ22が生成するクロック信号CKによってタイマカウンタ23を制御する構成を採用している。これによって、CPU21は、従来おこなっていた割込み処理以外の他の処理であるタイマカウンタ23の制御等の処理を頻繁におこなうことはなく、負担を軽減している。つまり、本実施形態では、CPU21は、タイマカウンタ23の初期設定をするのみであり、この初期設定は、蛍光表示管装置10に電源を投入した直後など、特殊な場合におこなわれるので、タイマカウンタ23における処理がCPU21における割込み処理の負担となることはなく、CPU21が低速度で処理をおこなう場合においても、蛍光表示管装置10の動作は良好なものとなる。
図2および図3は、シリアルコントローラ22から出力されるシリアルデータSDおよびクロック信号CKと、タイマカウンタ23から出力されるラッチ信号LATおよびブランク信号BLKとを示し、これらの各々の信号の相互の時間関係を示すタイミングチャートである。ここで、シリアルデータSDは、アノードデータADとグリッドデータGDとから構成されるが、シリアルデータSDに替えて、アノードデータADとグリッドデータGDとの2本に別けてドライバ30に入力される場合もある。本実施形態の以下の説明では、シリアルデータSDは、アノードデータADとグリッドデータGDとを含むものとして構成されているものとして説明をおこなう。
図2は、1グリッドデータおよび1アノードデータの組み合わせからなるデータとしてのシリアルデータSDの1シリアルデータ分におけるタイミングチャートを示すものである。シリアルデータSDに替えてグリッドデータGDとアノードデータADとの2つに分ける場合には、図2は1シリアルデータ分に替えて、1グリッドデータ分または1アノードデータ分におけるタイミングチャートを示すものとなる。
図2に示すタイミングチャートについて説明をする。シリアルデータSDは、グリッドデータGDに続いてアノードデータADが続くものであっても、アノードデータADに続いてグリッドデータGDが続くものであってもいずれでも良いものである。ラッチ信号LATは1シリアルデータ分の区切りを示すための同期信号であり、ブランク信号BLKはVFD40を蛍光させるか否かを設定する信号である。クロック信号CKはシリアルデータSDの1ビット分の区切りを示すための同期信号であるとともに、ラッチ信号LATおよびブランク信号BLKに同期した信号である。
図3に示すタイミングチャートについて説明をする。図3は、図2に示すタイミングチャートをVFD40の1画面の範囲まで拡大して1画面分のタイミングチャートを示すものである。図3に示すタイミングチャートは図2に示すタイミングチャートを1画面の範囲に拡大したものであり、基本的な各々の信号の相互の関係は図2におけるものと変わるものではない。
図2、図3に示すようにして、1シリアルデータ分のデータを順次、ドライバ30で加工して、順次、ドライバ30からアノード駆動信号、グリッド駆動信号を出力して、VFD40に1画面分の表示をおこなう。この1画面分の表示の内容は、上述したようにホスト機器からの指令に応じてCPU21で表示データが生成され、VFD40に表示される内容は、この表示データに応じたものとされている。
図4は、ホスト機器からの指令に従い、図1に示す蛍光表示管装置10の各部でおこなわれる1シリアルデータ分の処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU21でおこなわれるソフトウエア処理のフローと、シリアルコントローラ22、タイマカウンタ23でおこなわれるハードウエア処理のフローとをあわせて示すものである。CPU21でおこなうソフトウエア処理には、種々の処理があるが、図4にソフトウエア処理として示すものは、本実施例との関係で重要な処理であるホスト機器からの指令に応じて、CPU21が表示データとしてのアノードデータADとグリッドデータGDとを生成して、CPU21がシリアルコントローラ22に出力をする処理を示す(ステップST101)。この処理はCPU21ではメイン処理としておこなわれ、割込み処理を行う以外の時間は常時、CPU21で繰り返しおこなわれる処理である。そして、アノードデータADとグリッドデータGDとは上述したようにして、シリアルコントローラ22からドライバ30にシリアルデータSDとして送られ、さらに、VFD40の複数のアノードの各々を駆動する各々のアノード駆動信号31、VFD40の複数のグリッドの各々を駆動する各々のグリッド駆動信号32とされるものである。
図4に示すハードウエア処理の内容を説明する。シリアルコントローラ22は、クロック信号CKを出力する(ステップST201)。クロック信号CKはシリアルデータSDの1ビットに同期するものである。
また、タイマカウンタ23では、ステップST202においてクロック信号CKをカウントした結果を用いてブランク信号BLKをON(オン)(図2、図3では紙面の上のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST203)。ブランク信号BLKをONとするタイミングである場合には、ブランク信号BLKをONとしてタイマカウンタ23から出力する(ステップST204)。ステップST203における判断結果が、ブランク信号BLKをONとするタイミングでない場合には、ブランク信号BLKをOFF(オフ)(図2、図3では紙面の下のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST205)。ブランク信号BLKをOFFとするタイミングである場合には、ブランク信号BLKをOFFとしてタイマカウンタ23から出力する(ステップST206)。このようにして、ブランク信号BLKとクロック信号CKとを同期させることができる。ここで、ブランク信号BLKをONするとは、VFD40の表示をする機能を開始するように、ブランク信号BLKの極性を設定することをいうものである。また、ブランク信号BLKをOFFするとは、次のブランク信号BLKのONに備えて、ブランク信号BLKの極性をONの状態に対して反転させることをいうものである。
また、タイマカウンタ23では、ステップST202においてクロック信号CKをカウントした結果を用いてラッチ信号LATをON(図2、図3では紙面の上のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST207)。ラッチ信号LATをONとするタイミングである場合には、ラッチ信号LATをONとしてタイマカウンタ23から出力する(ステップST208)。ステップST207における判断結果が、ラッチ信号LATをONとするタイミングでない場合には、ラッチ信号LATをOFF(図2、図3では紙面の下のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST209)。ラッチ信号LATをOFFとするタイミングである場合には、ラッチ信号LATをOFFとしてタイマカウンタ23から出力する(ステップST210)。このようにして、ラッチ信号LATとクロック信号CKとを同期させることができる。ここで、ラッチ信号LATをONするとは、1シリアルデータ分の区切りを示す機能を開始するように、ラッチ信号LATの極性を設定することをいうものである。また、ラッチ信号LATをOFFするとは、次のラッチ信号LATのONに備えて、ラッチ信号LATの極性をONの状態に対して反転させることをいうものである。
上述した、フローにおける特徴点は、ブランク信号BLKおよびラッチ信号LATの制御をシリアルコントローラ22からクロック信号CKを供給されるタイマカウンタ23でおこなう点であり、CPU21の負担にはならない点である。この点が従来の技術として後述する図9に示す処理と大きく異なる点である。本実施形態においてはCPU21のタイマカウンタ23に対する処理は、例えば、電源の投入後における初期設定として、ブランク信号BLKおよびラッチ信号LATのパルス幅の設定等であり、蛍光表示管装置10が動作開始し、表示データを刻々処理してVFD40に表示する過程では、CPU21においてタイマカウンタ23に関する処理を原則的におこなうことはないので、CPU21の処理負担は軽減される。例外としては、例えば、ホスト機器から、ブランク信号BLKおよびラッチ信号LATのパルス幅の設定の変更の指令がある場合には動作開始後にCPU21がタイマカウンタ23を制御することとなる。また、ブランク信号BLKおよびラッチ信号LATのパルス幅の設定は、後述するようにカウンタによってONのタイミングとOFFのタイミングとを設定することによっておこなわれる。
図5は、1画面分のデータを処理するフローチャートである。1画面分の出力を終えたか否かを判断する(ステップST301)。ここで、1画面分の処理を終了したか否かはタイマカウンタ23でクロック信号CKをカウントすることによりおこなわれる。そして、所定のカウント数に達したら出力データをVFDの次の画面の先頭の新しいデータであるとして、出力データを先頭のものとする(ステップST302)。
図6は、CPU21がおこなうタイマカウンタ23の初期設定の処理を説明するフローチャートである。タイマとして機能させるかカウンタとして機能させるかを設定する(ステップST401)。本実施形態ではカウンタとして機能するように設定される。出力設定第1カウンタが一定カウント後(出力設定第1所定数をカウント後)、出力信号をON(図2、図3では紙面の上のレベル)するように設定する。出力信号1は本実施形態では、ラッチ信号LATとしている(ステップST402)。また、出力設定第2カウンタが一定カウント後(出力設定第2所定数をカウント後)、出力信号2がONするように設定する(ステップST403)。出力信号2は本実施形態では、ブランク信号BLKとしている。また、出力設定第3カウンタが一定カウント後(出力設定第3所定数をカウント後)、出力信号3がOFFするように設定する(ステップST404)。出力信号3は本実施形態では、特に、アサインしていない。ここで、出力設定第1カウンタは出力設定第1所定数をカウント後に出力信号をONとし、出力設定第2カウンタは出力設定第2所定数をカウント後に出力信号2をONとし、出力設定第3カウンタは出力設定第3所定数をカウント後に出力信号3をOFFとするように設定したが、出力設定第1カウンタないし出力設定第3カウンタのいずれについても、出力信号の極性をONまたはOFFのいずれに設定するかは、CPU21から任意に設定できるものである。すなわち、出力設定第1カウンタないし出力設定第3カウンタは、その各々が、各々の所定数をカウントした直後に、それ以前がONであればOFF、それ以前がOFFであればONと、出力信号1ないし出力信号3の各々の出力信号の極性をそれ以前の極性に対して反転させる。
ここで、カウントした直後とは、出力信号1ないし出力信号3を送出するためのハードウエアの時間遅れも直後の概念に含まれるものである。また、出力設定カウンタである、出力設定第1カウンタ、出力設定第2カウンタ、出力設定第3カウンタの各々の出力設定カウンタのカウントスタートのタイミングは、リセットカウンタによって決定される。すなわち、このリセットカウンタがクロック信号CKの数をカウントして、常時、一定の周期で、上述したすべての出力設定カウンタに対してリセット信号(出力設定カウンタリセット信号)を供給してリセットのタイミングを定める。このために、出力設定第1カウンタないし出力設定第3カウンタの設定カウント数を異なる値に設定する場合、出力設定第1カウンタないし出力設定第3カウンタが、各々の所定数をカウント直後から得られる出力信号である出力信号1ないし出力信号3の各々の極性をONまたはOFFのいずれの極性に設定する場合であっても、各々の出力設定カウンタがシリアルデータSDの1シリアルデータ分の周期に同期して動作するようになされる。ここで、シリアルデータSDの位相とリセットカウンタのリセットのタイミングとは予め、位相関係が設定されており、1シリアルデータ分の最後の1ビットデータに同期して、リセットカウンタのリセットがなされる。シリアルデータSDの位相とリセットカウンタのリセットのタイミングとはCPU21から設定するようにすることもできる。
出力保持カウンタは、出力設定カウンタが出力設定所定数のカウントを終了した直後にカウントを開始し、出力保持カウンタに設定される出力保持所定数のカウントを終了時(オーバーフロー時)に出力信号を反転させるカウンタである。例えば、出力信号1および出力信号2については、オーバーフロー時に各々の出力信号をOFF(図2、図3では紙面の下のレベル)とする。すなわち、出力保持カウンタは、出力保持第1カウンタないし出力保持第3カウンタから構成され、出力保持第1カウンタによって制御される出力信号1は、出力設定第1カウンタに同期(出力設定第1カウンタが出力設定第1所定数のカウントを終了することに同期)してONとされ、出力保持第1所定数をカウントした直後にOFFとされる(ステップST405)。出力信号1は上述したように、ラッチ信号LATとしている。また、出力保持第2カウンタによって制御される出力信号2は、出力設定第2カウンタに同期(出力設定第2カウンタが出力設定第2所定数のカウントを終了することに同期)してONとされ、出力保持第2所定数をカウント後にOFFとされる(ステップST406)。出力信号2は上述したように、ブランク信号BLKとしている。また、出力保持第3カウンタによって制御される出力信号3は、出力設定第3カウンタに同期(出力設定第3カウンタが出力設定第3所定数のカウントを終了することに同期)してOFFとされ、出力保持第3所定数をカウント後にONとされる(ステップST407)。すなわち、出力保持第1カウンタないし出力保持第3カウンタは、その各々の所定数をカウントした直後に出力信号1ないし出力信号3の各々の極性を反転する。
ここで、カウントした直後とは、出力信号1ないし出力信号3を送出するためのハードウエアの時間遅れも直後の概念に含まれるものである。また、出力保持第1所定数ないし出力保持第3所定数の各々は、出力信号1ないし出力信号3によって制御されるハードウエアの動作を確実にするためのONまたはOFFの状態を保持する時間に対応して、各々のカウント数の設定がなされるものである。上述の初期設定の内容はホスト機器からCPU21にコマンドを送ることによって自由に設定できるので、汎用性、適応性を高いものとできる。すなわち、出力保持第1所定数のカウント数に対応した時間が、ラッチ信号LATがONとなるパルス幅であり、出力保持第2所定数のカウント数に対応した時間が、ブランク信号BLKがONとなるパルス幅である。また、出力保持第3所定数のカウント数に対応した時間が、出力信号3がOFFとなるパルス幅である。
図7は、図6で示すタイマカウンタ23の初期設定の処理の後におこなう、タイマカウンタ23の処理を説明するフローチャートである。まず、出力保持カウンタがオーバーフローしているか否かを判断する(ステップST501)。出力保持第1カウンタがオーバーフローしている場合には、出力信号1(本実施形態ではラッチ信号LAT)をOFFとし(ステップST502)、出力保持第2カウンタがオーバーフローしている場合には、出力信号2(本実施形態ではブランク信号BLK)をOFFとし(ステップST503)、出力保持第3カウンタがオーバーフローしている場合には、出力信号3をONとする(ステップST504)。
出力保持カウンタがオーバーフローしていない場合には、出力信号1がONタイミング(出力設定第1カウンタが出力設定第1所定数をカウントした後のONの時間)であるか否かを判断して(ステップST505)、出力信号1がONタイミングである場合には出力信号1をONとする(ステップST506)。出力信号1がONタイミングである場合ではない場合または、ステップST506における処理をした後に、出力信号2がONタイミング(出力設定第2カウンタが出力設定第2所定数をカウントした後のONの時間)であるか否かを判断して(ステップST507)、出力信号2がONタイミングである場合には出力信号2をONとする(ステップST508)。出力信号2がONタイミングである場合ではない場合または、ステップST508における処理をした後に、出力信号3がOFFタイミング(出力設定第3カウンタが出力設定第3所定数をカウントした後のOFFの時間)であるか否かを判断して(ステップST509)、出力信号3がOFFタイミングである場合には出力信号3をOFFとする(ステップST510)。出力信号1がOFFタイミングである場合ではない場合または、ステップST510における処理をした後に、処理は終了する。
図8は、このようにして出力されたタイマカウンタ23からの出力を示すものである。図8の上段から順に、クロック信号CK(clock)、出力信号1(OUT1:本実施形態ではラッチ信号LAT)、出力信号2(OUT2:本実施形態ではブランク信号BLK)、出力信号3(OUT3:本実施形態では未使用)、出力信号4(OUT4:本実施形態では未使用)の各々を示すものである。出力信号3はラッチ信号LATおよびブランク信号BLKよりも遅れて信号が変化する信号であり、出力信号4はブランク信号BLKと出力3とのORの信号である。このように、タイマカウンタ23に配された、いずれもがハードウエアで構成されたカウンタである1または複数の出力設定カウンタおよび1または複数の出力保持カウンタのカウント値を設定することによって、プログラマブルに、各々がONまたはOFFとなる自由なタイミングを有する出力信号を生成することができる。また、AND回路、OR回路を組み合わせて、各々の出力信号のAND、ORを得るようにして、各々の出力信号を組み合わせた信号を得ることもできる。
図9ないし図11を参照して、従来の1チップマイコンを用いる場合の処理および従来の1チップマイコンから得られる信号を、本実施形態におけるものと比較する比較例として示す。
図9は、従来の蛍光表示管装置10の各部でおこなわれる1シリアルデータ分の処理を示すフローチャートであり、図4に示す本実施形態における処理に対応するものである。このフローチャートは、CPU21でおこなわれるソフトウエア処理のフローを示すものである。
CPU21でおこなうソフトウエア処理には、種々の処理があるが、図9では、図4に示す処理と対応する部分について記載されている。ソフトウエア処理としては、ホスト機器からの指令に応じて表示データであるアノードデータとグリッドデータとを生成して、シリアルコントローラ22と一部において同様な機能を有するシリアルコントローラに出力する(ステップST601)。表示データを生成する処理はCPUではメイン処理としておこなわれ、割込み処理を行う以外の時間は常時、CPUで繰り返しおこなわれる処理である。
次に、CPUは、シリアルコントローラに出力するデータ数をカウントした結果を用いてブランク信号BLKと同様の機能を有するブランク信号をON(図2、図3では紙面の上のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST602)。ブランク信号をONとするタイミングである場合には、ブランク信号をONとする(ステップST603)。ブランク信号をONとするタイミングでない場合には、ブランク信号をOFF(図2、図3では紙面の下のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST604)。ブランク信号をOFFとするタイミングである場合には、ブランク信号をOFFとする(ステップST605)。
次にラッチ信号LATと同様の機能を有するラッチ信号をON(図2、図3では紙面の上のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST606)。ラッチ信号をONとするタイミングである場合には、ラッチ信号をONとする(ステップST607)。ラッチ信号をONとするタイミングでない場合には、ラッチ信号をOFF(図2、図3では紙面の下のレベル)とするタイミングであるか否か判断する(ステップST608)。ラッチ信号をOFFとするタイミングである場合には、ラッチ信号をOFFとする(ステップST609)。
図10は、従来技術における1画面分のデータを処理するフローチャートである。図10に示す処理は図5に示す処理に対応するものであり、図5に示す処理はタイマカウンタ23に設けられたハードウエアで処理されるのに対して、図10に示す処理はCPUにおいて処理がされる点が異なるものである。CPUは1画面分の出力を終えたか否かを判断する(ステップST701)。1画面分の出力を終えたとCPUが判断した場合には出力データを先頭のものとする(ステップST702)。このようにして、複数の条件分岐の処理を従来においてはCPUでおこなうのでCPUの負担は、本実施形態におけると較べて格段に大きなものであった。
図11は、上述した従来の技術によって得られる各々の信号を示すものである。本実施形との比較を容易とするために、各々の信号の信号名は、本実施形態と同じ名称を付して、クロック信号CK(clock)、出力信号1(OUT1:ラッチ信号LAT)、出力信号2(OUT2:ブランク信号BLK)の各々を示すものである。図11では、このようにして出力信号1(ラッチ信号LAT)、出力信号2(ブランク信号BLK)を得ることができる。
上述したようにして、本実施形態の蛍光表示管装置では、ゲートアレイを採用する場合における、開発期間が長期となる問題点、仕様の変更等の適応性が悪いという問題点を、1チップマイコンを用い解決することができる。さらに、この1チップマイコンでは、CPUにおけるソフトウエア処理はホスト機器からの指令に基づき表示データを生成するメインルーチンの処理と、この生成された表示データを所定の時間毎にインターフェイスに出力する割込み処理のみをおこなうこととして、処理負担を軽減して、処理速度が遅い低価格の1チップマイコンを用いることができる。また、この1チップマイコンに汎用的なタイマカウンタ機能を有するハードウエアを組み込むことによって、適用性をさらに高めることができる。
この結果、このような1チップマイコンを用いる蛍光表示管装置においては、蛍光表示管装置の価格を低価格とできるのみならず、部品点数を少なくし、部品点数を少なくした結果としての品質の確保、基板面積を小さくできる効果に加えて、CPUが本来的に有する適応力の高さを有するようにできる。適応力の高さに関しては、設計開発段階における適応力の高さのみならず、例えば、ソフトウエア処理で、VFDの点灯処理を2回のうち1回を休止して、輝度の階調を50%とする等の制御も容易におこなうことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施形態は必要に応じて変更することができるものである。
10 蛍光表示管装置、20 1チップマイコン、21 CPU、22 シリアルコントローラ、23 タイマカウンタ、24 クリスタル発振回路、30 ドライバ、31 アノード駆動信号、32 グリッド駆動信号、40 蛍光表示管、BLK ブランク信号、SD シリアルデータ、CK クロック信号、LAT ラッチ信号