JP4967331B2 - フィルム光導波路およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光導波路に用いられる樹脂材料に関するものであり、特に、柔軟性を有するフィルム光導波路に用いられる樹脂材料に関するものである。
近年、高速で大容量のデータ通信が可能な光通信網が拡大している。今後、この光通信網は民生機器への搭載が予想されている。そして、特に、機器内の基板間をデータ伝送する用途として、現在の電気ケーブルと変わりなく使用することができる電気入出力の光データ伝送ケーブル(光ケーブル)が求められている。この光ケーブルとしては、フレキシブル性を考慮すると、フィルム型の光導波路を用いることが望ましい。
光導波路とは、屈折率の大きいコア部と、該コアの周囲に接して設けられる屈折率の小さいクラッド部とにより形成され、コア部に入射した光信号を該コア部とクラッド部との境界で全反射を繰り返しながら伝搬するものである。
従来、フィルム光導波路の材料として樹脂材料が用いられている。樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂の3種類が挙げられるが、成型速度の速い光硬化性樹脂を用いることが生産性の良さから好ましい。この光硬化性樹脂の中でも特に、重合速度の速いラジカル反応系の光硬化性樹脂材料を用いることが望ましい。このような光硬化性樹脂材料としては、具体的には、特許文献1および2に開示されているように、アクリル系樹脂材料、有機−無機混成材料およびUV硬化型エポキシ樹脂材料等が挙げられる。
また、従来、光導波路を製造する種々の方法が提案されており、例えば、特許文献3では、成膜された光硬化性の樹脂材料にマスクを通して露光しパターニングを行う手法が、特許文献4および5では金型を押し当てて樹脂部分を吸引する手法が、特許文献6では金型による複製法、などが開示されている。
特開平8−304644号公報(1996年11月22日公開) 特開2003−286346号公報(2003年10月10日公開) 特開平10−268152号公報(1998年10月9日公開) 特開2005−43652号公報(2005年2月17日公開) 特開2005−43748号公報(2005年2月17日公開) 特開2004−117585号公報(2004年4月15日公開)
ここで、光導波路に用いられる材料は、伝搬する光の損失ができるだけ小さく、厳しい外部環境に置かれても、その物理的な特性、特に光学特性が維持されなければならない。また、特に、屈曲性に富むフィルム光導波路を作製するためには、光導波路を低い弾性率を有する材料で構成する必要がある。
ところが、上記従来のフィルム光導波路に用いられる光硬化性樹脂材料では、クラッド部を低弾性(具体的には弾性率100MPa以下)で構成したとき、その低い弾性率を満たすために硬化物の架橋密度を低くしておく必要がある。この場合、重合による体積減少(硬化収縮)が小さくなるため、その比重も小さくなり、他の樹脂材料が浸透しやすい硬化物となる。また、クラッド部は、耐加水分解性を有する必要があるため、強い極性を持つ官能基(−OH基等)を有さない化学構造である必要がある。この場合、酸素分子の動きを縛る分子間力は働かず酸素透過性が高くなる。なお、合成樹脂の酸素透過性は、酸素分子の樹脂への溶解度係数と拡散係数との積であらわされる。一般に、分子中に強い極性基を有する化合物は酸素分子の溶解度が小さく、分子が動き難いので酸素透過性が低下する傾向がある。以上のことから、以下の問題点が生じる。
上述のように、クラッド部における気体の透過性が高くなるため、クラッド部中に空気中の酸素が透過し、コア部を同様に光硬化性樹脂材料で形成する際に、ラジカル反応系アクリレート樹脂に一般的に見られる空気中の酸素による硬化阻害を引き起こし、コア部とクラッド部との界面において未硬化部分が発生する。そして、クラッド界面におけるコア材料が重合され難くなるため、重合時の硬化収縮によってコア部の形状に歪みが生じるという問題点がある。
また、コア部を低分子量の樹脂材料で構成する場合には、低弾性なクラッド部に対してコア部を構成する樹脂材料を塗布する際に、コア部近傍のクラッド部に該樹脂材料が浸透して、コア部とクラッド部との界面が不均一になるインターミキシングが発生する。そして、インターミキシングが発生することによって、フィルム光導波路のコア部の形状が実際の設計寸法よりも小さくなったり、コア部とクラッド部との界面において荒れやうねりが生じるため、コア部およびクラッド部の屈折率差が変動し、光伝搬損失が増大するという問題点がある。
なお、コア部を高分子量の樹脂材料で構成する場合には、コア部を構成する樹脂材料の粘度も大きくなるため、生産性が低下するという問題点がある。
このように、従来用いられている光硬化性樹脂材料では、安定したコア部を容易に作製することが困難であるため、所望の光伝搬損失に対してばらつきが大きくなり、安定してフィルム光導波路を製造することが困難となる。
また、上記従来の光導波路を製造する方法では、フィルム光導波路の生産性の向上および低コスト化が困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光伝搬損失の増大を防ぐと共に、生産性に優れ、屈曲性に富むフィルム光導波路およびその製造方法を提供することである。
本発明のフィルム光導波路は、上記の課題を解決するために、光を伝搬するコア部と、該コア部を覆うクラッド部とを備えたフィルム光導波路において、上記コア部は、ポリエン−ポリチオール系樹脂組成物からなり、上記クラッド部は、上記コア部と異なる樹脂組成物からなることを特徴としている。
上記の構成によれば、コア部は、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物からなっている。
ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物とは、ラジカル反応系光硬化性樹脂材料の一種である。これにより、コア部はラジカル反応系の重合速度を持つため、表面硬化性に優れ、酸素による硬化阻害が発生しない。したがって、コア部とクラッド部との界面における硬化不良を防止することができるため、光伝搬損失の増大を防ぐことができる。
また、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物はチオール系のため、UV硬化性樹脂として代表的なアクリル系樹脂に対して、SP値(溶解度パラメータ)が離れており濡れ性が低い。そのため、コア部からクラッド部への浸透が起こり難い。特に、ポリエンとポリチオールとを予め反応させて得られるプレポリマーの場合、数百から数千の中程度の分子量を持ちながら、粘度は500cp程度と比較的低粘度であるため、生産性にも優れている。
このように、コア部をポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物で作製することによって、光伝搬損失の増大を防ぐと共に、生産性に優れ、屈曲性に富むフィルム光導波路を提供することができる。
また、本発明のフィルム光導波路は、上記記載のフィルム光導波路において、上記ポリエン化合物は、アリルアルコール誘導体、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類およびウレタンアクリレートを含む群の1種または2種以上からなると共に、
上記ポリチオール化合物は、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類を含む群の1種または2種以上からなることが好ましい。
これにより、さらに、コア部が高屈折率となり、曲げ放射損失を低減させることができる。
また、本発明のフィルム光導波路は、上記記載のフィルム光導波路において、上記ポリエン化合物はトリアリルイソシアヌレートからなり、上記ポリチオール化合物はトリメチロールプロパンからなることが好ましい。
これにより、さらに、コア部の耐熱性を向上させることができる。
また、本発明のフィルム光導波路は、上記記載のフィルム光導波路において、上記コア部における金属イオンの含有量が50ppm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、コア部における金属イオンの含有量が50ppm以下である。これにより、コア部を構成する材料の粘度を低くすることができ、また長期保存時にも増粘し難くなる。そのため、より安定したコア部を作製することができるため、フィルム光導波路における伝搬損失の増大を確実に防ぐことができる。
また、本発明のフィルム光導波路の製造方法は、光を伝搬するコア部と、該コア部を覆うクラッド部とを備えたフィルム光導波路の製造方法であって、上記クラッド部上に、上記コア部となる凹部を形成する工程と、上記凹部を有する上記クラッド部上に、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物を滴下する工程と、上記凹部内に上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物が充填するように、上記クラッド部上をスタンパにより押圧する工程と、上記凹部内に充填した上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程と、上記スタンパを上記クラッド部上から剥離する工程とを含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、コア部となる凹部を有するクラッド部に対して、ポリエン−ポリチオール系光硬化樹脂を滴下し、滴下されたクラッド部にスタンパにて押圧を加え、ポリエン−ポリチオール系光硬化樹脂を凹部に充填させる。そして、この状態で光硬化させスタンパを剥離することによって、光導波を製造する。
ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物は、ラジカル反応系光硬化性樹脂材料の一種であるため、コア部はラジカル反応系の重合速度を持つ。そのため、重合速度が速く、表面硬化性に優れているため、従来と比較してフィルム光導波路の生産性を向上させることができると共に、製造コストを低減することができる。
本発明のフィルム光導波路は、以上のように、上記コア部は、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物からなる構成である。
また、本発明のフィルム光導波路の製造方法は、光を伝搬するコア部と、該コア部を覆うクラッド部とを備えたフィルム光導波路の製造方法であって、上記クラッド部上に、上記コア部となる凹部を形成する工程と、上記凹部を有する上記クラッド部上に、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物を滴下する工程と、上記凹部内に上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物が充填するように、上記クラッド部上をスタンパにより押圧する工程と、上記凹部内に充填した上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程と、上記スタンパを上記クラッド部上から剥離する工程とを含む方法である。
これにより、コア部とクラッド部との界面における硬化不良を防止することができ、また、コア部を低粘度化することができる。
したがって、光伝搬損失の増大を防ぐと共に、生産性に優れ、屈曲性に富むフィルム光導波路およびその製造方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について、図1および図2を用いて以下に説明する。
図1に示すように、フィルム光導波路1とは、屈折率の大きいコア部2と、該コア部2の周囲に接して設けられる屈折率の小さいクラッド部3とにより形成され、コア部2に入射した光信号を該コア部2とクラッド部3との境界で全反射を繰り返しながら伝搬するものである。
本実施形態におけるフィルム光導波路1のコア部2は、ラジカル反応系光硬化性樹脂材料のポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物からなるものである。
上記ポリエンとは、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する多官能性の化合物をいう。ポリエンとしては、アリルアルコール誘導体、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類、ウレタンアクリレート及びジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アリルアルコール誘導体としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート、グリセリンジアリル
エーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル及びソルビトールジアリルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類の中で、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビ
トール等が挙げられる。
これらの中では、ポリチオールとの反応性の点を考慮すると、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートおよびマレイン酸ジアリルからなる群から選ばれる1種類以上のものが好ましく、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。
また、上記ポリチオールとは、1分子中に2個以上のチオール基を有する多官能性の化合物をいう。ポリチオールとしては、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類、脂肪族ポリチオール類及び芳香族ポリチオール類等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類の中で、メルカプトカルボン酸としては、トリスβメルカプトプロピオネート、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等が挙げられる。
脂肪族ポリチオール類及び芳香族ポリチオール類としては、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール及びキシレンジチオール等が挙げられる。
本実施形態のフィルム光導波路1において、上記ポリエンと上記ポリチオールとの質量比は、上記ポリエン中の炭素−炭素二重結合基と上記ポリチオール中のチオール基とのモル比が1:1となるように、20:75〜40:55であることが好ましい。上記質量比がこの範囲外である場合には、未反応部が発生する虞があり、その場合には不純物除去が必要となる。また、上記質量比は、35:60〜40:55であることがさらに好ましい。
本実施形態のフィルム光導波路1によれば、コア部2は、ラジカル反応系光硬化性樹脂材料のポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂材料を用いているおり、ラジカル反応系の重合速度を持つため生産性および表面硬化性に優れ、酸素による硬化阻害がなく、コア部とクラッド部との界面における硬化不良つまりインターミキシングが起こらない。
そして、インターミキシングの発生を防止することができるため、コア部とクラッドと間の密着性を高めることができ、また、コア部およびクラッド部の屈折率差の変動を抑制することができる。
また、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂材料においては、チオール系のため、UV硬化性樹脂として代表的なアクリル系樹脂に対してSP値が離れており、濡れ性が低く、クラッド部3への浸透が起こりにくい。特に、ポリエンとポリチオールとを予め反応させて得られるプレポリマーの場合には、数百から数千の中程度の分子量を持ちながら、粘度は500cp程度と比較的低粘度であるため、生産性に優れている。
なお、本実施形態におけるポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂材料において、ポリエンは、アリルアルコール誘導体、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類およびウレタンアクリレートを含む群の1種または2種以上からなると共に、ポリチオールは、メルカプトカルボン酸と多価アルコールとのエステル類を含む群の1種または2種以上からなることが好ましい。また、ポリエンはトリアリルイソシアヌレートからなり、ポリチオールはメルカプトカルボン酸とトリメチロールプロパンとのエステル類からなることがさらに好ましい。
ここで、本実施形態におけるコア部2は、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物が、1分子中に2個以上の炭素−炭素二重結合を有するポリエン化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物と、光重合開始剤とからなる光硬化性樹脂の硬化物にて構成されることが好ましい。これにより、光硬化が可能となる。
光重合開始剤としては、例えば以下の化合物を挙げることができる。
例えば、水素引き抜き型光重合開始剤として、ベンゾフェノン/N−メチルジエタノールアミン=25/75、ヒドロキシアルキルフェニルケトンオリゴマー/TPGDA=25/75、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン/4−メチルベンゾフェノン=80/20が挙げられる。
また、例えば、内部開裂型の光重合開始剤として、ベンゾインエーテル、α,α-ジトメトキシ−α−フェニルアセトフェノン(DMPA)、α,α−ジトキシアセトフェノン(DEAP)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1、ベンジルジメチルケタール、アシルホスフィンオキサイド(APO)、グリオキシエステル、チタノセン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。
なお、光重合開始剤の配合量は、コア部2全体の質量に対して、0.1%〜5%であることが好ましい。上記配合量が0.1%未満である場合には硬化不良が起こる虞があり、5%を越える場合には、硬化物が脆くなり、耐光性が弱くなる虞がある。
ここで、コア部2を構成する材料において、金属イオンの含有量が50ppm以下であることが好ましい。これにより、コア部2の粘度調製が容易となり、粘度を低くすることができる。そのため、より安定したコア部2を作製することができるため、フィルム光導波路1における光伝搬損失の増大を確実に防ぐことができる。
なお、金属イオンの含有量が50ppmを超えると粘度を調製し難くなるため、低粘度化し難く、長期保存時に増粘する可能性がある。
上記金属イオンの含有量を50ppm以下にする方法としては、例えば、キレート化剤を含有した水溶液により洗浄する方法、水で洗浄する方法、金属イオン除去フィルターや金属イオン捕捉材を用いる方法等が挙げられる。
また、本実施形態におけるフィルム光導波路1は、上記クラッド部3が比重1.2以下の樹脂組成物からなることが好ましい。
比重1.2以下の樹脂組成材料としては、例えば以下の材料が挙げられる。
例えば、プレポリマーとして、エポキシアクリレート、ポリオールポリアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。また、例えば、モノアクリレートとして、MANDA、TMPTA、DPHA、ABPE−4、REGDA等のモノマー材料が挙げられる。
上記記載のプレポリマーの中では、高分子材料であり架橋密度が低いアクリル系光硬化性樹脂材料、例えばウレタンアクリレートが好ましい。
ここで、本実施形態におけるフィルム光導波路1の製造方法について、図2(a)〜(c)を用いて以下に説明する。
まず、コア部2となる凹部4を有するクラッド部3に対して、ポリエン−ポリチオール系光硬化樹脂なる、コア部を構成する樹脂材料5(以下、コア樹脂5と表す)を滴下する(図1(a))。次に、コア樹脂5が滴下されたクラッド部3にスタンパ6にて押圧を加え、コア樹脂5を凹部4に充填させる(図1(b))。そして、この状態で光硬化させた後、スタンパ6を剥離する(図1(c))。
上記の製造方法によれば、コア樹脂5にラジカル反応系光硬化樹脂材料を使用しており、重合速度が速いため、熱硬化性樹脂やカチオン反応系光硬化性樹脂と比較してフィルム光導波路1の生産性を向上させることができると共に、製造コストを低減することができる。
上記実施形態におけるフィルム光導波路1において、コア部2をポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物で作製した場合に、インターミキシングが発生するか否か、および光伝搬損失の値を測定する実験を行った。なお、上記実施形態におけるフィルム光導波路1は、本実施例に限定されるものではない。
表1は、ポリエン−ポリチオールの質量比を変化させた場合のフィルム光導波路1における、曲げ損失、伝搬損失およびインターミキシングの発生の有無を測定した実験結果である。
なお、本実験において、クラッド部3はアクリル系光硬化樹脂材料のウレタンアクリレートを用いており、また曲げ損失(dB)はR=1.0mmの条件にて測定し、インターミキシングの有無はカットバック法により測定した。
Figure 0004967331
Case1は、フィルム光導波路1のコア部2を、ポリエンとしてトリアリルイソシアヌレート、ポリチオールとしてトリメチロールプロパン、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを質量比37.5:57.5:5で生成したものである。
上記Case1での実験結果は、曲げ損失が0.2dBであり、伝搬損失が0.1dB/cmより小さくなり、インターミキシングは発生しなかった。
Case2は、フィルム光導波路1のコア部2を、ポリエンとしてマレイン酸ジアリル、ポリチオールとしてトリスβメルカプトプロピオネート、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを質量比22.5:72.5:5で生成したものである。
上記Case2での実験結果は、曲げ損失が0.2dBであり、伝搬損失が0.1dB/cmより小さくなり、インターミキシングは発生しなかった。
比較例
表1におけるCase3は、従来のフィルム光導波路における実験結果である。具体的には、該フィルム光導波路のコア部2を、従来の光硬化性樹脂材料としてアクリル系樹脂材料、具体的にはO−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレートおよびエトキシ化フェニルアクリレート、重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを質量比95:5〜99.9:0.1で生成したものである。
上記Case3での実験結果は、曲げ損失が0.25dBであり、伝搬損失が0.25dB/cmであり、インターミキシングが発生した。
フレキシブルなフィルム光導波路による光伝送が可能となるため、携帯電話、ノートPC、PDA(携帯情報端末)、液晶TV、デスクトップモニタ、プリンタ、車載電装機器、サーバ、ルータ、試験機、その他民生機器および汎用機器等の基板間のデータ伝送ケーブルとして利用することができる。
本実施形態におけるフィルム光導波路の概略構成を示す斜視図である。 図2(a)〜(c)は上記フィルム光導波路の製造工程を示す側面図である。
1 フィルム光導波路
2 コア部
3 クラッド部
4 凹部
5 コア樹脂
6 スタンパ

Claims (5)

  1. 光を伝搬するコア部と、該コア部を覆うクラッド部とを備えたフィルム光導波路において、
    上記コア部は、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物からなり、
    上記クラッド部は、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂物以外の、アクリル系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ポリオール系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物のうちいずれかからなり、
    上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物は、ポリエン化合物としてのトリアリルイソシアヌレートと、ポリチオール化合物としてのトリメチロールプロパンとメルカプトカルボン酸とのエステル類とを含むことを特徴とするフィルム光導波路。
  2. 上記クラッド部は、光硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルム光導波路。
  3. 上記クラッド部が、比重1.2以下の樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルム光導波路。
  4. 上記クラッド部の樹脂材料は、エポキシアクリレート、ポリオールポリアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートのうちいずれかのプレポリマーからなることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム光導波路。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載のフィルム光導波路の製造方法であって、
    上記クラッド部上に、上記コア部となる凹部を形成する工程と、
    上記凹部を有する上記クラッド部上に、ポリエン化合物としてのトリアリルイソシアヌレートと、ポリチオール化合物としてのトリメチロールプロパンとメルカプトカルボン酸とのエステル類とを含む、ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物を滴下する工程と、
    上記凹部内に上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物が充填するように、上記クラッド部上をスタンパにより押圧する工程と、
    上記凹部内に充填した上記ポリエン−ポリチオール系光硬化性樹脂組成物を光硬化させる工程と、
    上記スタンパを上記クラッド部上から剥離する工程とを含むことを特徴とするフィルム光導波路の製造方法。
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