JP4967260B2 - エンコーダ及びエンコーダ付回転支持装置 - Google Patents

エンコーダ及びエンコーダ付回転支持装置 Download PDF

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Description

この発明に係るエンコーダ及びエンコーダ付回転支持装置は、例えば自動車の車輪の回転速度、或は工作機械の主軸の回転速度や回転角度を検出する為に利用する。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、回転支持装置の一種である転がり軸受ユニットを使用する。又、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)を制御する為には、上記車輪の回転速度を検出する必要がある。この様な目的で車輪の回転速度を検出する為に従来から、各種構造のエンコーダ付転がり軸受ユニットが知られている。
図5〜6は、上述の様な目的で使用されるエンコーダ付転がり軸受ユニットの従来構造の1例として、特許文献1に記載されたものを示している。このエンコーダ付転がり軸受ユニットは、それぞれが回転輪であるハブ1及び内輪2と、静止輪である外輪3と、複数個の転動体4、4と、エンコーダ5とを備える。
このうちのハブ1の外周面の外端(軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向外側を言い、図1、5、6の左側。反対に軸方向に関して「内」とは、車両の幅方向中央側を言い、図1、5、6の右側。本明細書全体で同じ。)寄り部分には、車輪を支持固定する為の取付フランジ6を、同じく中間部には第一の内輪軌道7aを、同じく内端寄り部分にはこの第一の内輪軌道7aを形成した部分よりも外径寸法が小さくなった小径段部8を、同じく内端部には雄ねじ部9を、それぞれ形成している。又、上記内輪2は、外周面に第二の内輪軌道7bを有すると共に、上記小径段部8に外嵌している。この様な内輪2は、上記雄ねじ部9に螺合し、更に締め付けたナット10により、上記小径段部8の基端部に存在する段差面11に抑え付けている。
又、上記外輪3は、外周面に懸架装置に結合固定する為の結合フランジ12を、内周面に第一、第二の外輪軌道13a、13bを、それぞれ形成している。そして、これら第一、第二の各外輪軌道13a、13bと、上記第一、第二の各内輪軌道7a、7bとの間に、それぞれ複数個ずつの転動体4、4を設けている。尚、図示の例では、これら各転動体4、4として玉を使用しているが、重量の嵩む自動車用の転がり軸受ユニットの場合には、これら転動体としてテーパころを使用する場合もある。又、上記外輪3の内端部には、この外輪3の内端開口部を塞ぐカバー14を内嵌固定している。
又、前記エンコーダ5は、芯金15と、エンコーダ本体16とから成る。このうちの芯金15は、SPCCの如き軟鋼板等の磁性金属板にプレス加工を施す事により、断面L字形で全体を円環状に形成しており、円輪部17と、この円輪部17の内周縁部から軸方向片側(図5〜6の左側)に延出する状態で設けられた嵌合用円筒部18とを有する。又、上記エンコーダ本体16は、ゴム中にフェライト等の強磁性材の粉末を混入した材料(磁性ゴム)により、全体を円輪状に形成したもので、軸方向に着磁している。着磁方向は、円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させている。従って、上記エンコーダ本体16の軸方向両側面には、円周方向に関してS極とN極とが交互に且つ等間隔で配置されている。この様なエンコーダ本体16は、上記円輪部17の軸方向他側面(図5〜6の右側面)に、焼き付け、接着等により添着固定している。そして、この状態で、上記エンコーダ本体16の軸方向両側面のうち、上記円輪部17と反対側の側面(図5〜6の右側面)を、被検出面19としている。
上述の様なエンコーダ5は、上記被検出面19を軸方向内側に向けた状態で、上記嵌合用円筒部18を上記内輪2の内端部に、締り嵌めで外嵌している。又、上記エンコーダ5の被検出面19の円周方向一部に、上記カバー14に支持したセンサ20の検出面21を、軸方向に関して近接対向させている。
上述の様に構成するエンコーダ付転がり軸受ユニットの使用時、車輪と共に上記エンコーダ5が回転すると、上記センサ20の検出面21の直前部分を、このエンコーダ5の被検出面19を構成するS極とN極とが交互に通過する。この結果、上記センサ20の出力が周期的に変化する。この出力が変化する周波数は、上記車輪の回転速度に比例する。従って、このセンサ20の出力を図示しない制御器に送れば、ABSやTCSを適切に制御する事ができる。
ところで、上述した様な従来構造の第1例のエンコーダ5は、製造工場から、複数個ずつ軸方向に重ね合わせた状態で出荷される。但し、この場合、図7(A)に示す様に、複数個のエンコーダ5、5同士を軸方向に直接重ね合わせると、これら各エンコーダ5、5を構成する嵌合用円筒部18、18の先端縁(金属端縁)が、それぞれ軸方向に対向するエンコーダ5、5の被検出面19、19(磁性ゴムの表面)に直接接触する。この為、例えばエンコーダ付回転支持装置の組立作業時に、これら各エンコーダ5、5の中から一部のエンコーダ5を取り出すべく、図7(B)に示す様に、この一部の(図示の例では一番上の)エンコーダ5を、これに隣接する(図示の例では上から2番目の)エンコーダ5に対して径方向に動かした場合に、当該隣接するエンコーダ5の被検出面19が、当該一部のエンコーダ5を構成する嵌合用円筒部18によって傷付けられる可能性がある。この様にして各エンコーダ5、5の被検出面19、19が傷付いた場合には、運転時に回転速度検出の信頼性が悪化する可能性がある為、好ましくない。
これに対し、例えば図8に示す様に、上記各エンコーダ5、5同士の間にそれぞれ保護シート22、22を挟む事により、これら各エンコーダ5、5を構成する嵌合用円筒部18、18の先端縁を、それぞれ軸方向に対向するエンコーダ5、5の被検出面19、19に直接接触させない様にすれば、上述した様な不都合が発生する事を防止できる。ところが、この場合には、上記各エンコーダ5、5同士の間に上記各保護シート22、22を挟み込む作業、並びに、これら各保護シート22、22の使用後の始末が面倒となる。
又、上述した様な従来構造の第1例のエンコーダ5の場合には、芯金15の断面形状を単なるL字形としている為、この芯金15の剛性が低い。従って、図9(A)に示す様に、この芯金15を構成する嵌合用円筒部18を、図示しない回転体の外周面に圧入すべく、上記エンコーダ5の被検出面19を全周に亙り、図示しない圧入治具により軸方向に押圧した場合に、同図(B)に示す様に、上記芯金15を構成する円輪部17が変形する(この円輪部17が上記押圧方向に倒れる)可能性がある。この様に円輪部17が変形した場合には、上記被検出面19の位置が正規の位置からずれる為、やはり運転時に回転速度検出の信頼性が悪化する可能性がある。
これに対し、特許文献2には、図10に示す様なエンコーダ5aが記載されている。この従来構造の第2例のエンコーダ5aの場合には、芯金15aを構成する磁性金属板により、使用時にも他の部材に嵌合しない非嵌合用円筒部23を、円輪部17の外周縁部から、軸方向に関して嵌合用円筒部18と同方向(図10の左方向)に延出する状態で形成している。この様なエンコーダ5aの場合には、上記非嵌合用円筒部23を形成した分だけ、上記芯金15aの剛性を高める事ができる。この為、この芯金15aを構成する嵌合用円筒部18を回転体の外周面に圧入すべく、上記エンコーダ5aの被検出面19を全周に亙り押圧治具により軸方向に押圧した場合に、上記円輪部17を変形しにくくできる。
ところが、上述の様な従来構造の第2例のエンコーダ5aの場合には、上記非嵌合用円筒部23の軸方向寸法L23が小さい{具体的には、上記嵌合用円筒部18の軸方向寸法L18よりも小さい(L23<L18)}。この為、必ずしも上記芯金15aの剛性を十分に高められるとは言えない。この場合に、例えば、この芯金15aの肉厚を大きくすれば、この芯金15aの剛性を更に高める事ができる。但し、この様な構造を採用すると、素材となる磁性金属板に、プレスによる打ち抜き、折り曲げ等の加工を施す際に要する力が大きくなり、上記芯金15aの製造作業が面倒になる。又、上述した従来構造の第2例のエンコーダ5aの場合も、複数個ずつ軸方向に重ねて出荷する場合に、前述した従来構造の第1例のエンコーダ5の場合と同様の不都合を生じる。
特開2003−121454号公報 特開2002−228675号公報
本発明のエンコーダ及びエンコーダ付回転支持装置は、上述の様な事情に鑑み、エンコーダを構成する芯金の剛性を十分に高める事ができると共に、このエンコーダの製造作業を容易に行なう事ができ、しかも複数個のエンコーダ同士を軸方向に直接重ね合わせて出荷した場合でも、これら各エンコーダの被検出面が傷付くのを防止できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明のエンコーダ及びエンコーダ付転がり軸受ユニットのうち、請求項1に記載したエンコーダは、芯金と、エンコーダ本体とを備える。
このうちの芯金は、磁性金属板製で、円輪部と、この円輪部の内外両周縁部のうちの一方の周縁部から軸方向片側に延出する状態で設けられた、使用時に回転体に嵌合固定する為の嵌合用円筒部と、上記円輪部の他方の周縁部から軸方向片側に延出する状態で設けられた、使用時にも上記回転体に嵌合しない非嵌合用円筒部とを有する。
又、上記エンコーダ本体は、磁性材により円環状に造られて、上記円輪部の軸方向他側面に全周に亙り添着固定されると共に、この軸方向他側面に添着固定された部分のうち軸方向に関して上記円輪部と反対側の側面を、円周方向に関してS極とN極とを交互に配置した被検出面としている。
特に、請求項1に記載したエンコーダに於いては、上記非嵌合用円筒部の軸方向寸法を上記嵌合用円筒部の軸方向寸法以上の大きさとすると共に、上記エンコーダ本体を構成する磁性材を、ゴム中に強磁性材の粉末を混入して成るものとしている。そして、前記非嵌合用円筒部の先端縁及び内外両周面、上記エンコーダ本体を構成するゴムの一部により覆っている。
又、請求項2に記載したエンコーダ付回転支持装置は、静止側軌道を有する静止輪と、回転側軌道を有する回転輪と、これら静止側軌道と回転側軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、上記回転輪の周面に締り嵌めで嵌合したエンコーダとを備える。
特に、請求項2に記載したエンコーダ付回転支持装置に於いては、上記エンコーダが、上述した請求項1に記載したエンコーダである。
上述の様に構成する本発明のエンコーダの場合には、芯金の剛性を十分に高める事ができる。即ち、本発明のエンコーダの様に、芯金が、円輪部と、この円輪部の一方の周縁部から軸方向片側に向け延出した嵌合用円筒部と、同じく他方の周縁部から軸方向片側に向け延出した非嵌合用円筒部とを有するものである場合、この非嵌合用円筒部の軸方向寸法を大きくする程、上記芯金の剛性を高める事ができる。これに対し、本発明のエンコーダの場合には、上記非嵌合用円筒部の軸方向寸法を、上記嵌合用円筒部の軸方向寸法以上の大きさとしている。この為、上記芯金の剛性を十分に高める事ができる。従って、本発明のエンコーダの場合には、上記嵌合用円筒部を回転体の周面に圧入すべく、上記円輪部を軸方向に押圧した場合でも、この円輪部が変形する事を有効に防止できる。この結果、上記エンコーダを上記回転体に組み付けた状態で、このエンコーダの被検出面を、正規の位置に配置する事ができる。従って、回転速度検出の信頼性を良好にする事ができる。
尚、本発明のエンコーダを構成する芯金(断面コ字形の芯金)と、前述の図5〜9に示した従来構造の第1例のエンコーダ5を構成する芯金(断面L字形の芯金)15とを比較すると、両者の内径寸法及び外径寸法が互いに等しく、両者の肉厚が互いに等しい場合には、本発明の芯金の方が剛性を高くする事ができるのは勿論、本発明の芯金の肉厚を、従来構造の第1例の芯金の肉厚の75%程度の大きさにした場合でも、本発明の芯金の方が剛性を高くする事ができる。従って、本発明のエンコーダの場合には、重量の増大を抑えつつ、剛性の向上を図れる。
又、本発明のエンコーダの場合には、上述の様にして芯金の剛性を高めた場合でも、この芯金の肉厚を過度に大きくする必要はない。この為、素材となる磁性金属板に、打ち抜き、折り曲げ等の加工を施す際に要する力が小さくて済み、上記芯金をプレス加工により容易に造る事ができる。
又、本発明のエンコーダの場合には、製造工場からの出荷時に、複数個のエンコーダの軸方向の向きを互いに一致させた状態で、これら各エンコーダを軸方向に直接重ね合わせた場合でも、これら各エンコーダの被検出面には、軸方向に対向するエンコーダの非嵌合用円筒部の先端縁を覆うゴムのみが接触する。従って、上述の様に各エンコーダを軸方向に直接重ね合わせた状態で、その後、これら各エンコーダ同士が径方向に相対変位した場合でも、これら各エンコーダの被検出面が、軸方向に対向するエンコーダの嵌合用円筒部及び非嵌合用円筒部の先端部により傷付けられる事を防止できる。この結果、回転速度検出の信頼性を良好にする事ができる。
又、本発明のエンコーダの場合には、上記非嵌合用円筒部の先端縁及び内外両周面を覆うゴムを、エンコーダ本体を構成するゴムの一部としている為、上記非嵌合用円筒部の先端縁をゴムにより覆う作業が容易になると共に、この非嵌合用円筒部の先端縁から当該ゴムが脱落しにくくなる。
又、請求項2に記載したエンコーダ付回転支持装置の場合には、回転輪に締り嵌めで嵌合固定するエンコーダとして、上述の様な本発明のエンコーダを使用する。この為、回転速度検出の信頼性を良好にする事ができる。
[本発明に関する参考の第1例]
図1〜2は、本発明に関する参考の第1例を示している。尚、本参考例のエンコーダ及びエンコーダ付回転支持装置の特徴は、エンコーダ5bの芯金15bを構成する、非嵌合用円筒部23a部分の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図10に示した従来構造の第2例(転がり軸受ユニットの全体構造に就いては、前述の図5に示した従来構造の第1例)の場合と同様である為、重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本参考例の特徴部分を中心に説明する。
本参考例の場合、上記芯金15bを構成する非嵌合用円筒部23aの軸方向寸法L23a を、同じく嵌合用円筒部18の軸方向寸法L18と等しく(L23a =L18)している。これと共に、上記エンコーダ5bのエンコーダ本体16aを構成するゴムの一部により、上記非嵌合用円筒部23aの外周面及び先端縁(図1の左端縁)を、全周に亙り覆っている。即ち、本参考例の場合、上記エンコーダ本体16aは、上記芯金15bを構成する円輪部17の他側面(図1の右側面)に添着固定されて、この円輪部17と反対側の側面を被検出面19とした円輪部24と、上記非嵌合用円筒部23aの外周面を覆う円筒部25と、この非嵌合用円筒部23aの先端縁を覆う円環状の保護部26とから成る。本参考例の場合には、上述の様な寸法関係(L23a =L18)を採用し、且つ、上述の様な保護部26を設ける事により、上記芯金15bを構成する円輪部17の片側面(図1の左側面)から上記保護部26の先端面までの軸方向距離L26を、同じく円輪部17の片側面から上記嵌合用円筒部18の先端縁(図1の左端縁)までの軸方向距離L18よりも大きく(L26>L18)している。
上述の様に構成する本参考例のエンコーダ及びエンコーダ付回転支持装置の場合には、上記エンコーダ5bを構成する芯金15bの剛性を十分に高める事ができる。即ち、本参考例のエンコーダ5bの様に、上記芯金15bが、円輪部17と、この円輪部17の内周縁部から軸方向片側(図1の左側)に向け延出した嵌合用円筒部18と、同じく外周縁部から軸方向片側に向け延出した非嵌合用円筒部23aとを有するものである場合、この非嵌合用円筒部23aの軸方向寸法を大きくする程、上記芯金15bの剛性を高める事ができる。これに対し、本参考例のエンコーダ5bの場合には、上記非嵌合用円筒部23aの軸方向寸法L23a を、前述の図10に示した従来構造の第2例の場合(L23)に比べて、十分に大きくしている{上記嵌合用円筒部18の軸方向寸法L18と等しく(L23a =L18)している}。この為、上記芯金15bの剛性を十分に高める事ができる。従って、本参考例のエンコーダ5bの場合には、上記嵌合用円筒部18を内輪2の外周面に圧入(締り嵌めで外嵌)する際に、上記エンコーダ本体16aの一部を介して上記円輪部17を軸方向に(図1の右側に)押圧した場合でも、この円輪部17が変形する(図1の右側に倒れる)事を有効に防止できる。この結果、図1に示す様に、上記エンコーダ5bを上記内輪2に組み付けた状態で、上記エンコーダ本体16aの被検出面19を、正規の位置に配置する事ができる。従って、本参考例のエンコーダ付回転支持装置の場合には、回転速度検出の信頼性を良好にする事ができる。
尚、本参考例のエンコーダ5bを構成する芯金(断面コ字形の芯金)15bと、前述の図5〜9に示した従来構造の第1例のエンコーダ5を構成する芯金(断面L字形の芯金)15とを比較すると、両者の内径寸法及び外径寸法が互いに等しく、両者の肉厚が互いに等しい場合には、本参考例の芯金15bの方が剛性を高くする事ができる。更に、本参考例の芯金5bの肉厚を、例えば上記従来構造の第1例の芯金15の肉厚の75%程度の大きさにした場合でも、本参考例の芯金15bの方が剛性を高くする事ができる。従って、本参考例のエンコーダ5bの場合には、重量の増大を抑えつつ、剛性の向上を図れる。又、本参考例のエンコーダ5bの場合には、上述の様にして芯金15bの剛性を高めた場合でも、この芯金15bの肉厚を過度に大きくする必要はない。この為、素材となる磁性金属板に、打ち抜き、折り曲げ等の加工を施す際に要する力が小さくて済み、上記芯金15bをプレス加工により容易に(低コストで)造る事ができる。
又、本参考例のエンコーダ5bの場合には、製造工場からの出荷時、図2(A)に示す様に、複数個のエンコーダ5b、5bの軸方向の向きを互いに一致させた状態で、これら各エンコーダ5b、5bを軸方向に直接重ね合わせた場合でも、これら各エンコーダ5b、5bの被検出面19、19には、軸方向に対向するエンコーダ5bの非嵌合用円筒部23aの先端縁を覆う保護部(ゴム)26のみが接触する。従って、その後、図2(B)に示す様に、互いに隣接する一部(同図の上から1番目及び2番目)のエンコーダ5b、5b同士が径方向に相対変位した場合でも、一方(同図の上から2番目)のエンコーダ5bの被検出面19が、他方(同図の上から1番目)のエンコーダ5bの嵌合用円筒部18及び非嵌合用円筒部23aの先端部により傷付けられる事を防止できる。従って、この様な点からも、本参考例のエンコーダ付回転支持装置の場合には、回転速度検出の信頼性を良好にする事ができる。
[実施の形態の1例]
次に、図3は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、芯金15bを構成する非嵌合用円筒部23aの内周面も、エンコーダ本体16bを構成するゴムの一部により形成した第二の円筒部27により覆っている。本例の場合には、この様な第二の円筒部27を設ける事により、上記エンコーダ本体16bの一部である保護部26が、上記非嵌合用円筒部23aの先端縁から剥がれにくくしている。その他の部分の構成及び作用は、上述した参考の第1例の場合と同様である。
[本発明に関する参考の第2例]
次に、図4は、本発明に関する参考の第2例を示している。本参考例の場合には、芯金15cを構成する嵌合用円筒部18の内径寸法は変化させず、この芯金15cを構成する円輪部17a及び非嵌合用円筒部23bの外径寸法のみを大きくしている。そして、これに伴い、この円輪部17aの他側面に添着するエンコーダ本体16cの被検出面19の直径寸法を大きくして、回転速度検出の精度を向上できる様にしている。その他の部分の構成及び作用は、前述した参考の第1例の場合と同様である。
尚、上述した実施の形態では、芯金を構成する円輪部の内周縁部に嵌合用円筒部を、同じく外周縁部に非嵌合用円筒部を、それぞれ設けた構造に対して本発明を適用した。但し、本発明は、芯金を構成する円輪部の外周縁部に、回転体の内周面に嵌合する為の嵌合用円筒部を、同じく内周縁部に非嵌合用円筒部を、それぞれ設けた構造に対して適用する事もできる。
又、本発明を実施する場合、上述した実施の形態の様に、上記非嵌合用円筒部の先端縁を、上記エンコーダ本体を構成するゴムの一部により覆うので、この非嵌合用円筒部の先端縁をゴムにより覆う作業が容易になると共に、この非嵌合用円筒部の先端縁から当該ゴムが脱落しにくくなる。
尚、本発明のエンコーダ付回転支持装置は、前述の図5に示した回転支持装置(転がり軸受ユニット)に限らず、特許請求の範囲に記載された要件を満たす、各種の回転支持装置に適用できる。又、エンコーダと組み合わされるセンサの構造に関しても、図5に示した様なパッシブ型のものに限らず、ホール素子、磁気抵抗素子等の磁気検出素子を備えた、アクティブ型のものを使用する事もできる。
本発明に関する参考の第1例を示す、図6と同様の図。 複数のエンコーダを軸方向に直接重ね合わせた状態を示す断面図で、(A)は単に重ね合わせた状態を、(B)は一部のエンコーダが径方向に変位している状態を、それぞれ示している。 本発明の実施の形態の1例を示す半部断面図。 本発明に関する参考の第2例を示す半部断面図。 従来構造の第1例を示す断面図。 図5のA部拡大図。 複数のエンコーダを軸方向に直接重ね合わせた状態を示す断面図で、(A)は単に重ね合わせた状態を、(B)は一部のエンコーダが径方向に変位している状態を、それぞれ示している。 複数のエンコーダを保護シートを介して軸方向に重ね合わせた状態を示す断面図。 エンコーダを内輪に圧入する際の状態を示す半部断面図。 従来構造の第2例を示す、エンコーダの半部断面図。
1 ハブ
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5、5a、5b エンコーダ
6 取付フランジ
7a、7b 内輪軌道
8 小径段部
9 雄ねじ部
10 ナット
11 段差面
12 結合フランジ
13a、13b 外輪軌道
14 カバー
15、15a〜15c 芯金
16、16a〜16c エンコーダ本体
17、17a 円輪部
18 嵌合用円筒部
19 被検出面
20 センサ
21 検出面
22 保護シート
23、23a、23b 非嵌合用円筒部
24 円輪部
25 円筒部
26 保護部
27 第二の円筒部

Claims (2)

  1. 磁性金属板製で、円輪部と、この円輪部の内外両周縁部のうちの一方の周縁部から軸方向片側に延出する状態で設けられた、使用時に回転体に嵌合固定する為の嵌合用円筒部と、上記円輪部の他方の周縁部から軸方向片側に延出する状態で設けられた、使用時にも上記回転体に嵌合しない非嵌合用円筒部とを有する芯金と、磁性材により円環状に造られて、上記円輪部の軸方向他側面に全周に亙り添着固定されると共に、この軸方向他側面に添着固定された部分のうち軸方向に関して上記円輪部と反対側の側面を、円周方向に関してS極とN極とを交互に配置した被検出面としたエンコーダ本体とを備えたエンコーダに於いて、上記非嵌合用円筒部の軸方向寸法を上記嵌合用円筒部の軸方向寸法以上の大きさとすると共に、上記エンコーダ本体を構成する磁性材を、ゴム中に強磁性材の粉末を混入して成るものとし、且つ、前記非嵌合用円筒部の先端縁及び内外両周面、上記エンコーダ本体を構成するゴムの一部により覆った事を特徴とするエンコーダ。
  2. 静止側軌道を有する静止輪と、回転側軌道を有する回転輪と、これら静止側軌道と回転側軌道との間に転動自在に設けられた複数の転動体と、上記回転輪の周面に締り嵌めで嵌合したエンコーダとを備えたエンコーダ付回転支持装置に於いて、このエンコーダが請求項1に記載したエンコーダである事を特徴とするエンコーダ付回転支持装置。
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