インクジェット記録装置は、記録速度の向上のため、複数の記録素子を集積配列してなる記録ヘッドとして、インク吐出部としてのインク吐出口及び液路を複数集積したものを用い、さらにカラー対応として、複数個の前記記録ヘッドを備えたものが一般的である。
図1は前記記録ヘッドで記録紙面上を記録していく際のインクジェットプリンタ部の構成を示したものである。同図において、101はインクカートリッジである。これらはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクがそれぞれ詰め込まれたインクタンクと、102の同一の記録ヘッドより構成されている。この記録ヘッド上に配列する吐出口の様子をZ方向から示したものが図2であり、201、202は記録ヘッド102上に複数配列された吐出口である。再び図1に戻ると、103は紙送りローラで104の拍車とともに記録媒体Pを抑えながら図の矢印の方向に回転し、記録媒体PをY方向の副走査方向に随時送っていく。また105は給紙ローラであり記録媒体Pの給紙を行うとともに、103、104と同様、記録媒体Pを抑える役割も果たす。106は4つのインクカートリッジを支持し、記録とともにこれらを移動させるキャリッジである。キャリッジは、記録を行っていないとき、あるいは記録ヘッドの回復作業などを行うときには図の点線で示した位置のホームポジション(h)に待機する。
記録開始前、図の位置(ホームポジション)にあるキャリッジ106は、記録開始命令がくると、X方向の主走査方向に移動しながら、記録ヘッド102上の複数の吐出口201、202からインクを吐出して記録を行う。ホームポジションとは反対側に位置する記録媒体端部まで画像を形成するための記録が終了するとキャリッジは元のホームポジションに戻り、再びX方向への記録を繰り返す片方向記録を行う。また、高速印刷を行うために、+X方向の往路方向と−X方向の復路方向の両方から記録を行う双方向記録を行う。
このとき、上記4色の各吐出口列から吐出されるドットの記録位置にズレや往路方向と復路方向の両方から吐出されるドットの記録位置のズレが発生する場合がある。また、記録ヘッドの取り付け精度、製造バラツキが原因で吐出口列の主走査方向に対する傾きを引き起こす。こうした不具合が存在したままだと、記録媒体に対して傾斜したドットが印刷されてしまう。これを調整するために、ドットの記録位置調整(レジ調整)を行うことが知られている。
図2は、図1で説明した4色のインクの内ブラックインクを吐出するインク吐出口列Aとシアンインクを吐出するインク吐出口列Bの各1列のインク吐出口列で構成された2つの記録ヘッドを示す。記録ヘッドはインク吐出口数L=12個で、インク吐出口の間隔が1/600インチにより記録画素密度が600dpiになるように構成されている。インク吐出口201はインク吐出口列Aのインク吐出口n12を示し、同様にインク吐出口202はインク吐出口列Bのインク吐出口n1を示す。また、記録ヘッドからの吐出量は、1滴あたり約2plのインク滴が吐出可能なように構成されており、このインク滴を安定して吐出するための吐出周波数は30kHzで吐出速度は、約20m/秒となっている。この記録ヘッドを搭載したキャリッジの主走査方向への速度は、主走査方向にインク滴を1200dpi間隔に記録すると約25インチ/秒となる。
上記記録ヘッド102を用いて、2列の吐出口列間の記録位置のズレを調整する。図34は、図2のインク吐出口列Aとインク吐出口列Bの往路方向から吐出されるドットの2列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンであり、図4は、図34の0〜+2を拡大したものである。インク吐出口列Aから吐出されるドットの記録位置を基準として、インク吐出口列Bからの吐出タイミングを異ならせて往路で記録する。+方向は、吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。
この記録位置ズレを調整できる分解能は、1200dpiの約21μmであり、ドットの記録位置のズレを−3から+3の7段階のパターンの範囲内で調整することができる。
図4の+1は、インク吐出口列Aで記録する黒丸と、インク吐出口列Bで記録する白丸が重なって一本の線に見え、2列間のX方向のズレ量d2はほぼ0μmである。
+2は、インク吐出口列Aで記録する黒丸に対して、インク吐出口列Bで記録する白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素遅く、2列間のX方向のズレ量d1は約21μmである。0は、インク吐出口列Aで記録する黒丸に対してインク吐出口列Bで記録する白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素早く、2列間のX方向のズレ量は約21μmである。
図35は、前述したインク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレの調整について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップ4601において、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するための図34に示したチェックパターンを記録する。
ステップ4602において、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するための図34のチェックパターンから2列間のX方向のズレ量が最も少ない+1の番号を選択する。
ステップ4603において、選択された+1を記録位置調整値として記録装置本体のEEPROM(不揮発性メモリ、以後EEPROMと称する)に格納する。この格納された記録位置調整値を基に記録を行う。以上述べた記録位置調整に関しては、特許文献1がある。
特開平7−40551号公報
しかしながら、写真印刷に用いるインクジェット記録装置は、さらなる画質の向上のために小液滴化等により画質の向上をはかっている。そのため、記録ヘッドの製造バラツキや記録ヘッドを記録装置に取り付けたときの精度が重要となる。特に、図2に示した製造バラツキや記録ヘッドの取り付け精度による回転方向θの傾きによる記録媒体上の傾斜印刷を低減し、記録位置のズレを無くすことが求められている。
図7は、図2で説明した記録ヘッドに対して製造バラツキなどでインク吐出口列の回転方向θの傾きが異なる2つの記録ヘッドを示す。
インク吐出口列Aのインク吐出口n1は、インク吐出口n12に対して図7の+X方向に1200dpiで3dotの約63μm離れている。また、インク吐出口列Bのインク吐出口n1は、インク吐出口n12に対して図7の−X方向に1200dpiで3dotの約63μm離れている。
図10は、図7のインク吐出口列Aとインク吐出口列Bの往路方向から吐出されるドットの2列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンであり、図11は、図10の−3〜−1を拡大したものである。
インク吐出口列Aから吐出されるドットの記録位置を基準として、インク吐出口列Bの吐出タイミングを異ならせて往路で記録する。+方向は、吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。
調整分解能は、1200dpiの約21μmでドットの記録位置のズレを−3から+3の7段階のパターンの範囲内で調整することができる。
図10の−3から+3の7段階のパターンでズレ量が最も少ないパターンである−2は、インク吐出口列Aで記録する黒丸と、インク吐出口列Bで記録する白丸の2列間のX方向のズレ量d2は約63μmである。
−1は、インク吐出口列Aで記録する黒丸に対してインク吐出口列Bで記録する白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素遅く、2列間のX方向のズレ量d1は約84μmである。
−3は、インク吐出口列Aで記録する黒丸に対して、インク吐出口列Bで記録する白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素早く、2列間のX方向のズレ量は約84μmである。
以上、図2のように傾きθが無い記録ヘッドでは、最も少ない記録位置のズレ量が0μmであるのに対し、図7に示した傾きθを持つ記録ヘッドでは、最も少ない記録位置のズレ量でさえ63μmで記録位置のズレが大きくなり、画像劣化の原因となる。
図5(b)は、図7の記録ヘッドを用いて記録する場合に生じる回転方向θの傾きによる記録位置のズレを調整するためチェックパターンである。チェックパターンAはインク吐出口列Aの往路で記録し、図6はそれを拡大したものである。チェックパターンBはインク吐出口列Bの往路で記録し、図8はそれを拡大したものである。
図9は、図5(b)の傾斜印刷の調整で行われるインク吐出口列の分割について示したものである。インク吐出口群2401は、吐出口列Aの吐出口n1から吐出口n6および吐出口列Bの吐出口n1から吐出口n6に対応している。インク吐出口群2402は、吐出口列Aの吐出口n7から吐出口n12および吐出口列Bの吐出口n7から吐出口n12に対応している。インク吐出口群2403は、吐出口列Aのインク吐出口n1から吐出口n4および吐出口列Bの吐出口n1から吐出口n4に対応している。インク吐出口群2404は、吐出口列Aの吐出口n5から吐出口n8および吐出口列Bの吐出口n5から吐出口n8に対応している。インク吐出口群2405は、吐出口列Aの吐出口n9から吐出口n12および吐出口列Bの吐出口n9から吐出口n12に対応している。ノズル列を2分割した場合、基準となるインク吐出口群2401に対してインク吐出口群2402の吐出タイミングを異ならせて、往路で記録するものである。+方向は吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。
ノズル列を3分割した場合、インク吐出口群2403に対してインク吐出口群2404の吐出タイミングを異ならせて、往路で記録する。同様に、インク吐出口群2404に対してインク吐出口群2405の吐出タイミングを異ならせて往路で記録する。+方向は吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。
分割数調整分解能は、1200dpiの約21μmでドットの記録位置のズレを−2から+2の5段階のパターンの範囲内で調整することができる。
図6に示した0は、インク吐出口列Aを分割せずに記録し記録位置のズレ量d3は約84μmである。+1は、吐出口列Aを2分割し吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiで1画素遅く、インク吐出口列Aの記録位置のズレ量d4は約63μmである。+2は、吐出口列Aを3分割し吐出口群2403に対して吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiで1画素遅く、さらに基準となる吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiで2画素遅い。この時のインク吐出口列Aの記録位置のズレ量d5は約42μmである。−1は、吐出口列を2分割し吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiで1画素早く、インク吐出口列Aの記録位置のズレ量d2は約105μmである。−2は、吐出口列を3分割し吐出口群2403に対してインク吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiで1画素早く、さらに基準となる吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiで2画素早い。この時のインク吐出口列Aの記録位置のズレ量d2は約126μmである。
図8に示す0は、インク吐出口列Bを分割せずに記録したもので記録幅d3は約84μmである。+1は、吐出口列を2分割し吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiで1画素遅く、インク吐出口列Bの記録位置のズレ量d4は約105μmである。+2は、吐出口列を3分割し吐出口群2403に対して吐出口群2404で記録するタイミングが遅く、さらに基準となる図24の吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiで2画素遅い。この時のインク吐出口列Bの記録位置のズレ量d5は約126μmである。−1は、吐出口列を2分割し吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiで1画素早く、インク吐出口列Bの記録位置のズレ量d2は約63μmである。−2は、吐出口列を3分割し吐出口群2403に対してインク吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiで1画素早く、さらに基準となる図24の吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiで2画素早い。この時のインク吐出口列Bの記録位置のズレ量d1は約42μmである。
図15(a)は、図7の記録ヘッドを用いたインク吐出口列内の記録位置ズレ調整について説明するためのフローチャートである。まず、ステップ1501において、吐出口列A内のθ方向の記録位置ズレを調整するためのチェックパターンAを記録する。
ステップ1502において、吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図5のチェックパターンAから、最も記録位置のズレ量が少ない、つまり主走査方向に対するズレが少ない+2の番号を選択する。ステップ1503において、選択された+2を記録位置調整値Aとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ1504において、吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンBを記録する。ステップ1505において、吐出口列B内のθ方向の記録位置ズレを調整するための図5(a)のチェックパターンBから、最も記録位置のズレ量が少ない、つまり主走査方向に対するズレが少ない−2の番号を選択する。ステップ1506において、選択された−2の番号を記録位置調整値Bとして記録装置本体のEEPROMに格納する。
図12は、図7のインク吐出口列内Aとインク吐出口列内BのEEPROMに格納された記録位置調整値を反映させて往路で記録した、2列のインク吐出口列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンである。図13は、図12の0〜+2を拡大したものである。
インク吐出口列Aから吐出されるドットの記録位置を基準として、インク吐出口列Bからの吐出タイミングを異ならせて往路で記録する。+方向は、吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。
調整分解能は1200dpiの約21μmであり、ドットの記録位置のズレを−3から+3の7段階のパターンの範囲内で調整することができる。
図13に示す+1は、インク吐出口列Aで記録する黒丸と、インク吐出口列Bで記録する白丸が重なって、2列間のX方向のズレ量d2は約42μmである。+2は、インク吐出口列Aで記録する黒丸に対して、インク吐出口列Bで記録する白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素遅く、2列間のX方向のズレ量d1は約63μmである。0は、インク吐出口列Aで記録する黒丸に対して、インク吐出口列Bで記録する白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素早く、2列間のX方向のズレ量d3は約63μmである。
ここで、図15(b)は、図7の記録ヘッドを用いたインク吐出口列間の記録位置ズレ調整について説明するためのフローチャートである。ステップ1507において、θ方向の記録位置を調整する記録位置調整値Aと記録位置調整値Bに基づきインク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置ズレを調整するための図12のチェックパターンCを記録する。ステップ1508において、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置ズレを調整するための図12のチェックパターンCから、2列間のX方向のズレ量が最も少ない+1の番号を選択する。
ステップ1509において、選択された+1の番号を記録位置調整値Cとして記録装置本体のEEPROMに格納する。この格納された記録位置調整値を基に記録を行う。以上のように、記録装置、記録ヘッドの製造バラツキ及び記録ヘッドの取り付けバラツキによって生じる記録ドットの記録位置のズレによる画像劣化を低減することができる。
ところがこの方法では、最初にインク吐出口列内の記録位置のずれを調整するための記録位置調整値を各インク吐出口列毎に求める必要がある。そして、その調整値でインク吐出口列内の記録位置のズレを調整した状態で2列間の記録位置のズレを調整することになる。したがって、記録位置調整を二段階で行う必要があり、非常に使い勝手が悪い。本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、記録装置、記録ヘッドの製造バラツキ、記録ヘッドの取り付け精度による記録ドットの記録位置のズレによる画像劣化を防止する記録装置および記録時の記録位置ズレの調整方法を提供することである。さらには、各吐出口列内の記録位置調整値を反映させなくても、2列間の記録位置のズレを調整できる調整方法を提供する。
上述の課題を解決する本発明は、複数の吐出口が配列されることにより構成される第1吐出口列と第2吐出口列を有する記録ヘッドを前記第1、第2の吐出口列を構成する吐出口の配列方向と交差する走査方向に走査させながら前記記録ヘッドよりインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記第1吐出口列の一部の連続して配置される複数の吐出口と前記第1吐出口列の他部の連続して配置される複数の吐出口との相対的なインクの吐出タイミングを、前記第1の吐出口列の前記一部の複数の吐出口からの吐出タイミングを基準として前記第1の吐出口列の前記他部の複数の吐出口からの吐出のタイミングを変更することにより調整するための第1調整値を取得するための第1パターンと、前記第2吐出口列の一部の連続して配置される複数の吐出口と前記第2吐出口列の吐出口のうちの他部の連続して配置される複数の吐出口との相対的なインクの吐出タイミングを、前記第1の吐出口列の前記一部の複数の吐出口からの吐出タイミングを基準として前記第1の吐出口列の前記他部の複数の吐出口からの吐出タイミングを変更することにより調整するための第2調整値を取得するための第2パターンと、前記第1吐出口列の前記一部の連続して配置される複数の吐出口と前記第2吐出口列の前記一部の連続して配置される複数の吐出口との相対的なインクの吐出タイミングを調整するための第3調整値を取得するための第3パターンと、を記録ヘッドに記録させるパターン記録手段と、前記第1パターンと前記第2パターンと前記第3パターンとを記録した後に、前記第1パターンに基づいて前記第1調整値をメモリに格納することと、前記第2パターンに基づいて前記第2調整値をメモリに格納することと、前記第3パターンに基づいて前記第3調整値をメモリに格納することと、を行う制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、記録装置、記録ヘッドの製造バラツキ、記録ヘッドの取り付け精度による記録位置のズレによる画像劣化を低減することができる。さらには、各吐出口列内の記録位置調整値を反映させなくても、2列間の記録位置のズレを調整できる調整方法を提供することができる効果を有する。
(実施形態1)
図3は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。なお、本実施形態のインクジェット記録装置の機械的構成は図1に示したものと同様とする。メインバスライン305に対して夫々アクセスする画像入力部303、それに対応する画像信号処理部304、中央制御部CPU300といった印字データやファームウェアを制御する処理手段と、操作部306、回復系制御回路307、ヘッド温度制御回路314、ヘッド駆動制御回路315、主走査方向へのキャリッジ駆動制御回路316、副走査方向への紙送り制御回路317といったハード系処理手段とに大別される。CPU300は、通常ROM(読み出し専用メモリ)301とRAM(任意のアドレスにアクセスできるメモリ)302とEEPROM318を有し、入力情報に対して適正な記録条件を与えて記録ヘッド313を駆動して記録を行う。又、RAM302内には、予め記録ヘッドの回復タイミングチャートを実行するプログラムが格納されており、必要に応じて予備吐出条件等の回復条件を回復系制御回路307、記録ヘッド、保温ヒータ等に与える。回復系モータ308は、前述したような記録ヘッド313とこれに当接離間するクリーニングブレード309やキャップ310、吸引ポンプ311を駆動する。ヘッド駆動制御回路315は、記録ヘッド313のインク吐出用電気熱変換体の駆動条件を実行するもので、通常予備吐出や記録用インク吐出を記録ヘッド313に行わせる。
ちなみにヘッド駆動制御回路315は、CPU300の制御のもとに、記録ヘッドの各ノズル列毎、またはあるノズル列と他のノズル列(ノズル列間)との駆動タイミング調整の制御も行う。
一方、記録ヘッド313のインク吐出用の電気熱変換体が設けられている基板には、保温ヒータが設けられている場合もあり、記録ヘッド内のインク温度を所望設定温度に加熱調整することができる。又、ダイオードセンサ312は、同様に前記基板に設けられているもので、実質的な記録ヘッド内部のインク温度を測定するためのものである。ダイオードセンサ312も同様に、基板にではなく外部に設けられていても良く記録ヘッドの周囲近傍にあっても良い。
本発明の第1の実施形態では、図7に示したインク吐出口列が1列で構成された記録ヘッド2つを用いた場合について説明を行う。図5(a)(b)は、図7の記録ヘッドを用いて記録する場合に生じる回転方向θの傾きによる記録位置のズレと、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するためチェックパターンである。
また、図5(a)のチェックパターンAはインク吐出口列Aの往路で記録し、図5(b)のチェックパターンAの+2〜−2と同じパターンで、図6はそれを拡大したものである。
図5(a)のチェックパターンBはインク吐出口列Bの往路で記録し、図5(b)のチェックパターンBの+2〜−2と同じパターンで、図8はそれを拡大したものである。
チェックパターンAとチェックパターンBの調整分解能は、1200dpiの約21μmでドットの記録位置のズレを−2から+2の5段階のパターンの範囲内で調整することができる。
図5(a)のチェックパターンCは、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403と、インク吐出口列Bのθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403の往路で記録したものである。図21は図5のチェックパターンCの−2〜0を拡大したものである。吐出口列A内のθ方向のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403から吐出されるドットの記録位置を基準として、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403からの吐出タイミングを異ならせて往路で記録する。+方向は、吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。
図21に示す−1は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸と、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸が重なる。2列間のX方向のズレ量d2は約21μmである。0は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列B内のθ方向のズレ調整で用いた基準のインク吐出口群2403による白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素遅い。2列間のX方向のズレ量d1は約42μmである。−2は、インク吐出口列A内のθ方向のズレ調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403による白丸の記録タイミングが1200dpiで1画素早い。2列間のX方向のズレ量d3は約42μmである。チェックパターンCの調整分解能は、1200dpiの約21μmでドットの記録位置のズレを−3から+3の7段階のパターンの範囲内で調整することができる。
また、図14は、図7の記録ヘッドを用いた記録位置のズレの調整について説明するための本実施形態でのフローチャートである。
まず、ステップ1401において、図5の吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンAと、吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンBを記録する。さらにインク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するためチェックパターンCを記録する。ステップ1402において、吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図5のチェックパターンAから、最も記録位置のズレ量が少ない+2の番号を選択する。ステップ1403において、吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図5のチェックパターンBから、最も記録位置のズレ量が少ない−2の番号を選択する。ステップ1404において、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するためチェックパターンCから、最も記録位置のズレ量が少ない−1の番号を選択する。ステップ1405において、選択された+2を記録位置調整値Aとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ1406において、選択された−2の番号を記録位置調整値Bとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ1407において、選択された−1を記録位置調整値Cとして記録装置本体のEEPROMに格納する。
これら格納した記録位置調整値AからCを用いて、記録を行う。
以上、図7のインク吐出口列が回転方向の傾きθを持つ記録ヘッドでは、従来の記録位置調整方法では、最も少ない記録位置のズレ量が63μmとなっていた。対して本実施形態で説明した記録位置ズレの調整方法を用いると、最も少ない記録位置のズレ量が21μmとなり、記録位置のズレを低減することができる。このように、記録装置、記録ヘッドの製造バラツキ及び記録ヘッドの取り付けバラツキによって生じる記録ドットの記録位置のズレによる画像劣化を低減することができ、さらには、各吐出口列内の記録位置調整値を反映させなくても、2列間の記録位置のズレを調整できる調整方法を提供することができた。本実施形態では、図7に示したインク吐出口列が1列で構成された記録ヘッドを2つ備え、インク吐出口列Aはブラックインクを吐出し、インク吐出口列Bはシアンインクを吐出する場合について説明した。しかしこれに限定されるものではない。各インク吐出口列からマゼンタ、イエローなどの異なるインクを吐出する場合においても適用できる。また、本実施形態では約2plのインク滴を用いて説明したが、これに限定されるものではない。約2plよりも大きなインク滴でも、小さなインク滴でも良く、さらに色ごと、吐出口列ごとにインク滴の大きさを異ならせてもよい。
本実施形態における調整値の取得に関しては様様な手法がある。ユーザーがPCプリンタドライバを通して直接インクジェット記録装置本体に選択した値を手動で入力しても良い。光学センサー等でチェックパターンを読み取り、最も記録位置のズレ量が少ないパターンを検出し、検出されたパターンの値を自動で入力しても良い。また、すべてのチェックパターンは、吐出タイミングを変化させて記録する方法について説明したが、あらかじめ用意した複数の記録データを基に作成する場合も含む。上記チェックパターンは、記録装置内で作成してもよいし、記録データを生成するホスト装置内で作成してもよい。また、すべてのパターンを往路において記録する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、復路において記録する場合も含む。また、本実施形態では、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレを判別し、調整できる図5のチェックパターンA、Bや、インク吐出口列A、Bの2列間の記録位置のズレを判別し、調整できる図5のチェックパターンCを用いて説明した。これに限定されずインク吐出口列内の記録位置のズレや2列間の記録位置のズレを判別し、調整できるような他のパターンを用いてもよい。また、本実施形態では、図5のチェックパターンから記録位置調整値を選択した後、決定し、EEPROMに格納する順番をチェックパターンA、B、Cの順としたが、これに限定されるものではない。例えばチェックパターンB、C、Aの順番のように異なる順番でもよい。また、θ方向の記録位置のズレは、図7で説明したように記録ヘッド102の製造バラツキにより、インク吐出口列がθ方向へ傾くことで発生すると説明したが、これに限定されるものではなく、以下のような2つの場合についても同様の効果を得ることが出来る。図25(c)は、主走査方向の復路で、図2の記録ヘッド102のインク吐出口列Aから吐出されたドットが記録媒体3501に着弾した状態を模式的に示したものである。記録ドット3502は、インク吐出口列Aのインク吐出口n12から吐出され、記録ドット3503は、インク吐出口列Aのインク吐出口n1から吐出されて記録媒体3501に着弾する。図25(a)は、インクジェット記録装置本体への記録ヘッド102の取り付けバラツキに起因して、記録ヘッドが記録媒体面に対してZ方向に傾いた状態を示したものである。インク吐出口列Aのインク吐出口n12と記録媒体間の距離Z1は、インク吐出口列Aのインク吐出口n1と記録媒体間の距離Z2よりも長くなっている。この時、インク吐出口列Aから同時に吐出された記録ドット3502と3503は、インク吐出口と記録媒体までの距離が短い記録ドット3503が初めに記録媒体に着弾し、インク吐出口と記録媒体までの距離が長い記録ドット3502が最後に記録媒体に着弾する。そのため、記録媒体上に形成された記録ドット列は、θ方向に記録位置がずれる。また、図24(b)の矢印3504と矢印3505は、インク吐出口から吐出された記録ドットの吐出速度を示し、矢印の長さが記録ドットの吐出速度に比例している。インク吐出口列Aから同時に吐出された記録ドットは、インク吐出速度が速い記録ドット3505が初めに記録媒体に着弾し、インク吐速度が遅い記録ドット3504が最後に記録媒体に着弾する。そのため、主走査しながら記録すると、記録媒体上に形成された記録ドット列はθ方向に記録位置がずれる。本実施形態では、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群を、インク吐出口列Aのインク吐出口n1からn4またはインク吐出口列Bの吐出口n1からn4とした。しかしながら、図26および図27のようにインク吐出口列Aのインク吐出口n5からn8またはインク吐出口列Bのインク吐出口n5からn8としてもよい。図30は、インクジェット記録装置本体への記録ヘッド102の取り付けバラツキに起因して、記録ヘッド102がθ方向へ傾いた状態を示す図である。このように記録ヘッド102がθ方向へ傾いた状態で記録媒体へ記録を行った場合にも本実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
本実施形態で用いた2つの記録ヘッドのインク吐出口数とインク吐出口の間隔はそれぞれ等しい。しかし、図31のように2つの記録ヘッドのインク吐出口間隔が、インク吐出口列Aでは1/600インチ、インク吐出口列Bでは1/300インチと異なる場合においても、本実施形態を適用できる。すなわち、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いる基準となるインク吐出口群をインク吐出口列Aのn1からn4とインク吐出口列Bのn1からn4とするのである。また、図32のように2つの記録ヘッドのインク吐出口数が、インク吐出口列Aでは12個、インク吐出口列Bでは18個と異なる場合においても、本実施形態は適用できる。すなわち、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いる基準となるインク吐出口群をインク吐出口列Aのn1からn4とインク吐出口列Bのn1からn6とすることで同様の効果を得ることができる。
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態では、図16に示したインク吐出口列が2列で構成された記録ヘッドを2つ用いた場合について説明を行う。図16は、ブラックインクを吐出するインク吐出口列Aとシアンインクを吐出するインク吐出口列Bの2列で構成された記録ヘッド2601と、マゼンタインクを吐出するインク吐出口列Cとイエローインクを吐出するインク吐出口列Dの2列で構成された記録ヘッド2602の2つの記録ヘッドを示す。
記録ヘッドは、吐出口数L=12個で、吐出口の間隔が1/600インチにより記録画素密度が600dpiになるように構成されている。また、記録ヘッドからの吐出量は、1滴あたり約2plのインク滴が吐出可能なように構成されており、このインク滴を安定して吐出するための吐出周波数は30kHzで吐出速度は、約20m/秒となっている。この記録ヘッドを搭載したキャリッジの主走査方向への速度は、主走査方向にインク滴を1200dpi間隔に記録すると約25インチ/秒となる。図16の記録ヘッドは、製造バラツキによりインク吐出口列の回転方向θへ傾いている。記録ヘッド1601のインク吐出口列Aのインク吐出口n1は、インク吐出口n12に対して+X方向に1200dpiで3dotの約63μm離れている。記録ヘッド1601のインク吐出口列Bのインク吐出口n1は、インク吐出口n12に対して−X方向に1200dpiで2dotの約42μm離れている。記録ヘッド1602のインク吐出口列Cのインク吐出口n1は、インク吐出口n12に対して+X方向に1200dpiで2dotの約42μm離れている。記録ヘッド1602のインク吐出口列Dのインク吐出口n1は、インク吐出口n12に対して−X方向に1200dpiで3dotの約63μm離れている。また、図16に示したインク吐出口列Aからインク吐出口列Dに対して、2つ以上のインク吐出口群に分割した図は、図9と同じである。図19は、図16の記録ヘッドを用いて記録する場合に生じる回転方向θの傾きによる記録位置のズレを調整するためチェックパターンと、2列のインク吐出口列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンである。チェックパターンAは、インク吐出口列Aの往路で記録し、図5(b)のチェックパターンAの+2〜−2と同じで、図6はそれを拡大したものである。チェックパターンBは、インク吐出口列Bの往路で記録し、図8はそれを拡大したものである。チェックパターンBの+2〜−2が、図17のチェックパターンの+2〜−2に対応している。チェックパターンCは、インク吐出口列Cの往路で記録し、図19はそれを拡大したものである。チェックパターンCの+2〜−2が図19のチェックパターンの+2〜−2に対応している。チェックパターンDは、インク吐出口列Dの往路で記録し、図5(b)のチェックパターンBの+2〜−2と同じで、図8はそれを拡大したものである。チェックパターンA、B、C、Dの調整分解能は、1200dpiの約21μmでドットの記録位置のズレを−2から+2の5段階のパターンの範囲内で調整することができる。図8において、0はインク吐出口列Bを分割せずに記録し、記録位置のズレ量d3は約42μmである。
+1は吐出口列Bを2分割し、基準のインク吐出口群である図9の吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiの1画素遅く、インク吐出口列Aの記録位置のズレ量d4は約63μmである。+2は、吐出口列Bを3分割し、基準のインク吐出口群である図17の吐出口群2403に対して吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiの1画素遅い。さらに基準のインク吐出口群である図174の吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiの2画素遅い。この時のインク吐出口列Bの記録位置のズレ量d5は約84μmである。
−1は、吐出口列Bを2分割し、基準のインク吐出口群である吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiの1画素早く、インク吐出口列Bの記録位置のズレ量d2は約21μmである。−2は、吐出口列Bを3分割し、吐出口群2403に対してインク吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiの1画素早い。さらに基準のインク吐出口群である図24の吐出口群2401に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiの2画素早い。この時のインク吐出口列Bの記録位置のズレ量d2は約42μmである。図18の0は、インク吐出口列Cを分割せずに記録し、記録位置のズレ量d3は約42μmである。+1は、吐出口列Cを2分割し、吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiの1画素遅く、インク吐出口列Bの記録位置のズレ量d4は約21μmである。+2は、吐出口列Cを3分割し、吐出口群2403に対して吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiの1画素遅く、さらに吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiの2画素遅い。この時のインク吐出口列Bの記録位置のズレ量d5は約42μmである。−1は、吐出口列Cを2分割し、吐出口群2401に対して吐出口群2402で記録するタイミングが1200dpiの1画素早く、インク吐出口列Bの記録位置のズレ量d2は約63μmである。−2は、吐出口列Cを3分割し、吐出口群2403に対してインク吐出口群2404で記録するタイミングが1200dpiの1画素早く、さらに吐出口群2403に対して吐出口群2405で記録するタイミングが1200dpiの2画素早い。この時のインク吐出口列Bの記録位置のズレ量d2は約84μmである。
また、図19のチェックパターンEは、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403と、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2043の往路で記録したものである。図24(b)が図19のチェックパターンEの0〜−2を拡大したものである。同様にチェックパターンFは、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403と、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403の往路で記録したものである。図24(a)が図19のチェックパターンFの+1〜+3を拡大したものである。チェックパターンGは、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403と、インク吐出口列D内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403の往路で記録したものである。図22が図19のチェックパターンGの0〜+2を拡大したものである。+方向は、吐出タイミングを遅く、−方向は吐出タイミングを早くしている。チェックパターンE、F、Gの調整分解能は、1200dpiの約21μmでドットの記録位置のズレを−3から+3の7段階のパターンの範囲内で調整できる。
図24(b)の−1は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸と、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸が重なっている。2列間のX方向のズレ量は約21μmである。0は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸の記録タイミングが遅い。2列間のX方向のズレ量は約42μmである。
−2は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸の記録タイミングが早い。2列間のX方向のズレ量は約42μmである。
図24(a)の+2は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸と、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸が重なっている。2列間のX方向のズレ量は約21μmである。+3は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸の記録タイミングが遅い。2列間のX方向のズレ量は約42μmである。+1は、インク吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸の記録タイミングが早い。2列間のX方向のズレ量は約42μmである。
図22の+1は、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸と、インク吐出口列D内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸が重なっている。2列間のX方向のズレ量は約21μmである。+2は、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列D内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸の記録タイミングが遅い。2列間のX方向のズレ量は約42μmである。0は、インク吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する黒丸に対して、インク吐出口列D内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群2403で記録する白丸の記録タイミングが早い。2列間のX方向のズレ量は約42μmである。
また、図33は、図16の記録ヘッドを用いた記録位置のズレの調整について説明するための本実施形態でのフローチャートである。
まず、ステップ4001において、吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンAを記録する。同様に各吐出口列B、C、Dのθ方向の記録位置ずれのためのチェックパターンを記録する。さらに、吐出口列Aと吐出口列Bの記録位置のズレを調整するためのチェックパターンEを記録する。同様に、吐出口列AとC、吐出口列CとDとの間での記録位置のズレを調整するためのチェックパターンを記録する。
ステップ4002において、吐出口列A内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図19のチェックパターンAから最も記録位置のズレ量が少ない+2の番号を選択する。
ステップ4003において、吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図19のチェックパターンBから最も記録位置のズレ量が少ない−1の番号を選択する。
ステップ4004において、吐出口列C内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図19のチェックパターンCから最も記録位置のズレ量が少ない+1の番号を選択する。
ステップ4005において、吐出口列D内のθ方向の記録位置のズレを調整するための図19のチェックパターンDから最も記録位置のズレ量が少ない−2の番号を選択する。
ステップ4006において、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンEから2列間のX方向のズレ量が最も少ない−1の番号を選択する。ステップ4007において、インク吐出口列Aとインク吐出口列Cの2列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンFから2列間のX方向のズレ量が最も少ない+2の番号を選択する。ステップ4008において、インク吐出口列Cとインク吐出口列Dの2列間の記録位置のズレを調整するためのチェックパターンGから2列間のX方向のズレ量が最も少ない+1の番号を選択する。ステップ4009において、選択された+2を記録位置調整値Aとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ4010において、選択された−1の番号を記録位置調整値Bとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ4011において、選択された+1の番号を記録位置調整値Cとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ4012において、選択された−2の番号を記録位置調整値Dとして記録装置本体のEEPROMに格納する。
ステップ4013において、選択された−1の番号を記録位置調整値Eとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ4014において、選択された+2の番号を記録位置調整値Fとして記録装置本体のEEPROMに格納する。ステップ4015において、選択された+1の番号を記録位置調整値Gとして記録装置本体のEEPROMに格納する。これら格納した記録位置調整値AからGを用いて記録を行う。
以上のように、図16のインク吐出口列が傾きθを持つ記録ヘッドでは、従来の記録位置調整方法を用いると、最も少ない記録位置のズレ量が63μmとなっていた。しかし本実施形態で説明した記録位置ズレの調整方法を用いると、最も少ない記録位置のズレ量が21μmとなり、記録位置のズレを低減することができる。
このように、記録装置、記録ヘッドの製造バラツキ及び記録ヘッドの取付誤差によって生じる記録ドット位置のズレによる画像劣化を低減することができる。さらには、各吐出口列内の記録位置調整値を反映させなくても、2列間の記録位置のズレを調整できる調整方法を提供することができた。本実施形態では、図16に示したインク吐出口列が2列で構成された記録ヘッドを2つ備え、インク吐出口列Aはブラックインク、Bはシアンインク、Cはマゼンタインク、Dはイエローインクを吐出する場合について説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、レッド、ブルーなどの異なる色インクを吐出し、インク吐出口列が2列以上の記録ヘッドを2つ以上備えた場合においても本実施形態は適用できる。
また、本実施形態では約2plのインク滴を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、大小のインク滴でも良く、さらに色ごと吐出口列ごとに異なるインク滴の大きさにおいても本実施形態は適用可能である。本実施形態では、ユーザーがPCプリンタドライバを通して直接インクジェット記録装置本体に選択した値を手動で入力しても良い。光学センサー等でチェックパターンを読み取り、最も記録位置のズレ量が少ないパターンを検出し、検出されたパターンの値を自動で入力しても良い。
本実施形態では、すべてのチェックパターンは、吐出タイミングを変化させて記録する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、すべてのチェックパターンは、あらかじめ用意した複数の記録データを基に作成する場合も含む。上記チェックパターンは、記録装置内で作成してもよいし、記録データを生成するホスト装置内で作成してもよい。本実施形態では、すべてのパターンを往路において記録する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、復路において記録する場合も含む。
本実施形態では、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレを判別し、調整できる図19のチェックパターンAからDや、インク吐出口列AとB、インク吐出口列AとC、インク吐出口列CとDの2列間の記録位置のズレを判別し、調整できる図19のチェックパターンEからGを用いて説明した。しかし、インク吐出口列内の記録位置のズレや2列間の記録位置のズレを判別し、調整できる他のパターンを用いてもよい。本実施形態では、θ方向の記録位置のズレは、図19で説明したように記録ヘッド102の製造バラツキにより、インク吐出口列がθ方向へ傾くことで発生すると説明した。しかしこれに限定されるものではない。図23(c)は、主走査方向の復路で、図2の記録ヘッド102のインク吐出口列Aから吐出されたドットが記録媒体3501に着弾した状態を示したものである。記録ドット3502は、インク吐出口列Aのn12から吐出され、記録ドット3503は、インク吐出口列Aのn1から吐出されて記録媒体3501に着弾する。図23(a)は、インクジェット記録装置本体への記録ヘッド102の取り付けバラツキに起因して、記録ヘッドが記録媒体面に対してZ方向に傾いた状態を示したものである。インク吐出口列Aのインク吐出口n12と記録媒体間の距離Z1は、インク吐出口列Aのn1と記録媒体間の距離Z2よりも長くなっている。この時、インク吐出口列Aから同時に吐出された記録ドット3502と3503は、インク吐出口と記録媒体までの距離が短い記録ドット3503が初めに記録媒体に着弾する。そしてインク吐出口と記録媒体までの距離が長い記録ドット3502が最後に記録媒体に着弾するする。そのため記録媒体上に形成された記録ドット列は、θ方向に記録位置がずれる。
また、図35(b)の矢印3504と矢印3505は、インク吐出口から吐出された記録ドットの吐出速度を示し、矢印の長さが記録ドットの吐出速度に比例している。インク吐出口列Aから同時に吐出された記録ドットは、インク吐出速度が速い記録ドット3505が初めに記録媒体に着弾する。そしてインク吐速度が遅い記録ドット3504が最後に記録媒体に着弾する。そのため記録媒体上に形成された記録ドット列は、θ方向に記録位置がずれる。
本実施形態では、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いた基準のインク吐出口群をn1からn4としたが、これに限定されるものではない。図25および図26および図27および図28のように、インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いる基準のインク吐出口群を、インク吐出口列A、B、C、Dいずれかの吐出口n5からn8を用いてもよい。
本実施形態で用いた2つの記録ヘッドのインク吐出口数とインク吐出口の間隔はそれぞれ等しい。しかし、これに限定されるものではない。図32(a)のように2つの記録ヘッドのインク吐出口間隔が、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bでは1/600インチ、インク吐出口列Cとインク吐出口列Dでは1/300インチと異なる場合においても適用可能である。基準となるインク吐出口群をインク吐出口列Aのn1からn4、インク吐出口列Bのn1からn4、インク吐出口列Cのn1からn2、インク吐出口列Dのn1からn2としてもよい。また、図32(b)のように2つの記録ヘッドのインク吐出口数が、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bでは12個、インク吐出口列Cとインク吐出口列Dでは18個と異なる場合においても適用できる。インク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレの調整で用いる基準となるインク吐出口群をインク吐出口列Aとインク吐出口列Bのn1からn4とインク吐出口列Cとインク吐出口列Dのn1からn6としてもよい。
図20は、インクジェット記録装置本体への記録ヘッド102の取り付けバラツキに起因して、記録ヘッド102がθ方向へ傾いた状態を示している。このように記録ヘッド102がθ方向へ傾いた状態で記録媒体へ記録を行うと記録位置がずれる。ただし、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bから吐出された記録ドットは、θ方向に同じ量だけ傾いて記録媒体へ着弾するため、インク吐出口列A内とインク吐出口列B内のθ方向の記録位置のズレを調整する記録位置調整値は等しくなる。そのため、本実施形態で用いた図19の吐出口列B内の記録位置のズレを調整するチェックパターンBは、チェックパターンAで代用が可能である。同様に、本実施形態で用いた図19の吐出口列D内の記録位置のズレを調整するチェックパターンDは、チェックパターンCで代用が可能である。また、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bが同一チップ内にある場合は、インク吐出口列Aとインク吐出口列Bの距離は一意的に決まる。したがって本実施形態で用いた図19のインク吐出口列Aとインク吐出口列Bの2列間の記録位置のズレを調整するチェックパターンEについても必要がなくなる。同様に、インク吐出口列Cとインク吐出口列Dが同一チップ内にある場合は、インク吐出口列Cとインク吐出口列Dの距離は一意的に決まる。本実施形態で用いた図19のインク吐出口列Cとインク吐出口列Dの2列間の記録位置のズレを調整するチェックパターンGについても必要がなくなる。このように、同一チップや同一カートリッジ内のインク吐出口列内のθ方向の記録位置のズレが同じである場合は、ある1つのインク吐出口列を基準(代表)として記録位置調整値を求めても良い。又、各インク吐出口列間の距離が一意的に決まる場合は記録位置調整値を求めずに固定値としても良い。
(実施形態3)
本実施形態では、2種類のインク吐出口列のインク吐出口列間の駆動タイミングを調整するのに使用するインク吐出口が、少なくとも1種類のインク吐出口列はインク吐出口列の基準となるインク吐出口を含んでいる場合について説明する。
図36は、本実施形態を説明する記録ヘッドを示す。
記録ヘッドは、吐出口の間隔が1/600インチで吐出口数が18個の記録ヘッドAと吐出口の間隔が1/600インチで吐出口数が12個の記録ヘッドBからなる。
記録ヘッドAのインク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレの調整で用いるインク吐出口群は、n1からn6、n7からn12、n13からn18の3つとし、基準となるインク吐出口群をn1からn6とする。
記録ヘッドBのインク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレの調整で用いるインク吐出口群は、n1からn4、n5からn8、n9からn12の3つとし、基準となるインク吐出口群をn1からn4とする。
また、記録ヘッドAのインク吐出口n1と記録ヘッドBのインク吐出口n1は、記録媒体を搬送する副走査方向に、1/600インチで吐出口数4個分の4/600インチずれて配置されている。
記録ヘッドA、Bの各インク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレの調整については、前記実施例と同様に基準インク吐出口群に対して、非基準インク吐出口群の駆動タイミングをずらして調整を行う。駆動タイミングのずらし方は、前記実施例の様にデータをずらしても良いし、吐出パルスを加えるタイミングをオフセットさせても良い。
次に、記録ヘッドA、Bの各インク吐出口列間の記録位置のズレの調整について説明を行う。インク吐出口列間の記録位置のズレの調整で使用するインク吐出口は、記録ヘッドAが、基準インク吐出口群n1からn6を含むn1からn8までの8つのインク吐出口を使用する。記録ヘッドBは、前記記録ヘッドAと記録媒体を搬送する副走査方向が同じ位置にあたるn5からn12までの8つのインク吐出口を使用する。
図37は、本実施形態の記録ヘッドAとBのインク吐出口列間の記録位置のズレの調整をするためのチェックパターンを示す。黒丸は、記録ヘッドAのn1からn8までの8つのインク吐出口から吐出されたパターンを示し、白丸は、記録ヘッドBのn5からn12までの8つのインク吐出口から吐出されたパターンである。記録ヘッドAから吐出された黒丸のパターンを基準インク吐出口列として、記録ヘッドBから吐出される白丸のパターンを記録する駆動タイミングを主走査の往路方向にずらした3種類のチェックパターンを示す。黒丸と白丸からなるパターンの走査方向の幅が最も狭い幅d1のチェックパターンを記録した時の駆動タイミングの調整値+1をインク吐出口列間の記録位置調整値として記録装置本体のEEPROM等の記憶領域に格納する。
上記記録ヘッドA、Bの各インク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレの調整(説明文は前記実施例と同様のため省略)と、記録ヘッドA、Bの各インク吐出口列間の記録位置のズレの調整を前記記憶領域に格納された調整値+1を基に実施した状態で画像データの記録を行う。
以上の様に、記録ヘッドAとBからなる少なくとも2種類のインク吐出口列間の記録位置のズレを調整するのに使用するインク吐出口が、少なくともどちらか1種類(記録ヘッドA)のインク吐出口列に関しては、インク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレを調整するのに使用する基準となるインク吐出口を含んでいることで、前記実施例で説明したように効果がある。つまり、インク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレを調整した状態でのインク吐出口列間のズレ量を低減させることができる。
更に、本実施形態で説明した様にインク吐出口列内の回転方向θ方向の記録位置のズレを調整するのに使用する基準となるインク吐出口位置が記録媒体を搬送する副走査方向に異なる少なくとも2種類のインク吐出口列を備えた構成において、
インク吐出口列間の記録位置のズレを調整するのに使用するインク吐出口位置が記録媒体を搬送する副走査方向に同じ位置とすることで、各インク吐出口列のチェックパターンを同一記録走査で記録できるため、記録媒体を搬送させたときの搬送バラツキによる記録位置のズレの発生を防止できる。また、各インク吐出口列のチェックパターンを同一記録走査で記録できるため、記録位置をズレを調整する調整値を求めるためのチェックパターンの記録に要する時間短縮も可能となる。