JP4965178B2 - 高空隙率土木・建築材料及び堤体用ドレーン材料 - Google Patents
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Description
一方、近年、コンクリートに代わる土木・建築材料として、耐酸性、機械的強度、遮水性等に優れる硫黄含有材料が多数提案され、利用されはじめている。
このような硫黄含有材料は、該材料中の硫黄又は改質硫黄の溶融温度が通常120℃以上であるため、120〜160℃程度に保持した溶融硫黄含有物を、所定の型枠に流し込み成型固化させることにより製造されている。また、硫黄含有材料を利用した多孔体として、特許文献2には、硫黄材料と骨材とを含み、透水性を示す連続空隙を有し、空隙率が5〜40容量%である多孔質硫黄材料が提案されている。
ところで、特許文献3には、下層路盤材や盛土材等の地盤材料として有用な石炭灰に特定割合の電炉還元スラグやベントナイトを添加した混合体に水分を加えて混練し、粒状体に加工した石炭灰粒状材が記載されている。
しかし、このような石炭灰粒状材と改質硫黄とを利用した空隙率に優れた土木・建築材料は従来知られていない。
本発明の別の課題は、改質硫黄と略球状の特定な石炭灰粒状材を利用した、河川等の堤体への浸透水を速やかに排水することが可能な高空隙率を有し、且つ高圧縮強度等の耐久性にも優れた堤体用ドレーン材を提供することにある。
本発明の高空隙率土木・建築材料又は堤体用ドレーン材料(以下、本発明の材料と総称する)は、特定の石炭灰粒状材の各々を、特定の改質硫黄含有流動材料によって、被覆、接着固化した、空隙率25〜50%、好ましくは30〜45%の構造体である。
本発明の材料に用いる特定の石炭灰粒状材は、石炭灰及び電気還元スラグを含む材料を、直径2〜50mm、好ましくは5〜30mmの略球状に成形した成形物である。特に、本発明のドレーン材料の場合には、石炭灰粒状材の直径は、5〜30mmがドレーン材料としての機能が発揮し易く好ましい。
本発明の材料において、各々の石炭灰粒状材の粒径は、空隙率を高くするためには略同程度の粒径とすることが好ましい。
電炉還元スラグは、石炭灰粒状材の製造に際して、脱水処理した状態で用いることができる他、各成分のバインダー機能を発揮させるために、電炉還元スラグ調製時に脱水処理した廃棄汚泥と共に用いることもできる。
石炭灰粒状材は、前記石炭灰、電炉還元スラグの他に、石炭灰粒状材の製造時における各成分の接着性を向上させるためにベントナイト等を含有させることもできる。
石炭灰粒状材において、前記ベントナイトを用いる場合の含有割合は、石炭灰100質量部に対して、通常1〜5質量部である。ベントナイトの含有割合が、石炭灰100質量部に対して1質量部未満では、ベントナイトの接着性作用が充分得られない恐れがある。一方、ベントナイトの含有割合が、石炭灰100質量部に対して5質量部を超える場合には、得られる石炭灰粒状材の強度が低下するおそれがある。
前記改質硫黄は、通常の硫黄、例えば、天然産又は、石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等を硫黄改質剤により重合したものであって、硫黄と硫黄改質剤との反応物である。
前記改質硫黄は、硫黄と硫黄改質剤とを溶融混合することにより得ることができる。この際、硫黄改質剤の使用割合は、硫黄と硫黄改質剤との合計量に対して、通常0.1〜30質量%、特に、1.0〜20質量%の割合が好ましい。
前記改質硫黄の調製にあたり、溶融混合方法は、例えば、硫黄と硫黄改質剤とを120〜160℃の範囲、硫黄が効率よく改質するように好ましくは130〜155℃、より好ましくは140〜155℃の範囲で溶融混合し、140℃における粘度が0.05〜3.0Pa・sになるまで滞留させる方法等により行うことができる。
微粉末としては、上記特定粒度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、粒経分布の調整が容易で均一なものを大量に入手しやすい点で、石炭灰、硅砂、シリカヒューム、石英粉、砂、ガラス粉末、前記石炭灰粒状材及び電気集塵灰からなる群より選択される1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
前記型枠の加熱装置は、熱源としては、例えば、型枠の周囲を被覆しうる被覆体内部に熱線ヒーター、面状発熱体、熱媒体流通機構を有するものが挙げられるがこれに限定されない。
前記冷却固化は、型枠全体の自然冷却又は強制冷却により行うことができる。この際、型枠内の改質硫黄が急激な冷却により表面等における不具合な収縮が生じないように、前記型枠が備える加熱装置を利用してその温度を段階的に徐々に下げることが好ましい。このような熱履歴は、型枠の容量、形態等に応じて適宜決定することができる。このような操作を行うことにより、目的とする本発明の材料を最終的に脱型して製造した場合の該材料の外表面を滑らかに仕上げることができる。
本発明の堤体用ドレーン材料は、新たな堤体の建設のみならず、堤体の改修にも利用することができる。
実施例1
(石炭灰粒状材の調製)
200メッシュ以下の石炭灰100質量部に、粉状化した電炉還元スラグ50質量部を添加し、更に、ベントナイト1.5質量部を混合して、直径約30mmの球形の成形物を1月自然乾燥させ、石炭灰粒状材を調製した。
(改質硫黄含有流動材料の調製)
密閉式撹拌混合槽中に、固体硫黄4.8kgを入れ、120℃で加温して溶解後130℃に保持した。続いて、常温のテトラヒドロインデン0.2kgをゆっくりと添加し、約10分間静かに撹拌して、温度が安定したことを確認してから、140℃まで昇温した。反応が開始され、次第に粘度が上昇し、約1時間で粘度が0.1Pa・sに達したところで硫黄改質を終了した。
次いで、得られた改質硫黄に、140℃に予熱した粒径50μm以下の石炭灰2.5kgを投入・攪拌して改質硫黄含有流動材料を調製した。
前記改質硫黄含有流動材料を130℃に保持した状態の中に、前記石炭灰粒状材10kgを投入し、該流動材料により各石炭灰粒状材を被覆するように1分間混合した。この作業は、改質硫黄含有流動材料が冷えないように、130℃に加温した恒温槽中で行った。続いて、底面が、余剰の改質硫黄含有流動材料のみを排出しうる5mmメッシュの金網で形成された、直径10cm、高さ20cmの円柱状の型枠2本を、予め100℃に加温し、振動をかけながら、前記改質硫黄含有流動材料で被覆した石炭灰粒状材を流し込んだ。この際、余剰の改質硫黄含有流動材料が、底面のメッシュから流れ出た。
型枠内に詰め込めずに上部に余った石炭灰粒状材は、型枠の上部開口の面一になるだけを残して破壊した。その後、放置して室温まで徐々に冷却して改質硫黄を冷却固化して直径10cm、高さ20cmの本発明の材料に係る検体を2本調製した。
得られた2本の検体(検体1及び2とする)材料について、空隙率を水量法により実測し、更に固化体の両端面を改質硫黄でキャッピングした後、一軸圧縮強さをJIS A1108に従って測定した。これらの結果を検体の見かけ比重と共に表1に示す。
実施例1における改質硫黄含有流動材料の代わりにセメントモルタルを用いて、ポーラスセメントコンクリートを調製した。即ち、セメントモルタル5kgに、実施例1と同様の石炭灰粒状材10kgを投入し、該流動材料により各石炭灰粒状材を被覆するように1分間混合した。続いて、底面が、余剰のセメントモルタルのみを排出しうる5mmメッシュの金網で形成された、直径10cm、高さ20cmの円柱状の型枠2本に、振動をかけながら、前記セメントモルタルで被覆した石炭灰粒状材を流し込んだ。この際、余剰のセメントモルタルが、底面のメッシュから流れ出た。
型枠内に詰め込めずに上部に余った石炭灰粒状材は、型枠の上部開口の面一になるだけを残して破壊した。その後、充分湿った環境下において7日間放置して、直径10cm、高さ20cmのポーラスセメントコンクリートの検体を2本を調製した。
得られた2本の検体(検体3及び4とする)について、空隙率を水量法により実測し、更に両端面を改質硫黄でキャッピングした後、一軸圧縮強さをJIS A1108に従って測定した。これらの結果を検体の見かけ比重と共に表1に示す。
Claims (3)
- 石炭灰100質量部と、電炉還元スラグ10〜100質量部とを含む、直径2〜50mmの石炭灰粒状材の各々を、粒径1mm以下の微粉末100質量部及び改質硫黄30〜400質量部を含む改質硫黄含有流動材料によって、被覆、接着固化した、空隙率25〜50%である高空隙率土木・建築材料。
- 石炭灰粒状材が、ベントナイトを1〜5質量部含む請求項1記載の土木・建築材料。
- 石炭灰100質量部と、電炉還元スラグ10〜100質量部とを含む、直径2〜50mmの石炭灰粒状材の各々を、粒径1mm以下の微粉末100質量部及び改質硫黄30〜400質量部を含む改質硫黄含有流動材料によって、被覆、接着固化した、空隙率25〜50%である堤体用ドレーン材料。
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