JP2004189538A - 多孔質硫黄資材、その製造方法、該資材を用いたブロック及び構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】透水性を有する連続空隙を有する多孔質体であっても高強度を示し、かつ海中で使用した際に実質的に中性のため、構造及び材質の両面において生物の育成に優れ、劣化し難い多孔質硫黄資材等を提供すること。
【解決手段】本発明の多孔質硫黄資材は、硫黄等からなる硫黄材料と骨材とを含み、該硫黄材料の含有割合が骨材100質量部に対して5〜25質量部、該骨材が、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含み、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の多孔質硫黄資材は、硫黄等からなる硫黄材料と骨材とを含み、該硫黄材料の含有割合が骨材100質量部に対して5〜25質量部、該骨材が、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含み、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木建設用の資材として有用であり、特に、生物対応コンクリート護岸ブロック、緑化コンクリート擁壁、透水性コンクリート舗装や、人工漁礁等の海洋構造物等に利用可能な、透水性を有すると共に優れた強度を示す、硫黄を利用した多孔質硫黄資材、その製造方法及び該資材を用いたブロック並びに構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、生物対応コンクリート護岸ブロック、緑化コンクリート擁壁、透水性コンクリート舗装等に利用されている多孔質(ポーラス)コンクリートは、基本的には透水性を示す連続空隙を有するコンクリートであるため、その圧縮強度が低く、高いものでも10Nmm2未満、通常は3Nmm2程度であり、壊れ易く、実際に利用する場合にはその用途に応じて高強度化が必要である。
そこで、細骨材及び粗骨材の混合割合等を工夫したり、セメントモルタル分、あるいは細骨材を含まないセメントペーストの成分組成や各種添加剤の検討、更には、得られる多孔質コンクリートの空隙への添加剤の工夫等が種々成されており、最近では、圧縮強度が18Nmm2以上のものも開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、多孔質コンクリートは、通常のコンクリートと異なりセメント量が極めて少ないため、その強度発現は通常のコンクリートと同様ではなく、種々の技術開発がなされている。
また多孔質コンクリートは、セメントを使用するため、水中においてアルカリ分(pH=12〜13の高アルカリ)を溶出する。このため、水中で利用する場合、該アルカリ分の溶出を抑制するために灰汁抜き等が行われることがある。しかし、このような処理が行われた場合でも製品内部からのアルカリ分の溶出は抑えることができず、海洋構造物への使用が困難である。
更に、セメントを使用したコンクリート構造物は、海水中の硫化塩、マグネシウム塩、塩素等の作用により徐々に劣化が進むことが知られており、この点から多孔質コンクリートを海洋構造物に使用することは困難である。
ところで、セメントを配合しない硫黄を利用した建築資材も種々提案されているが、透水性を示す連続空隙を有する多孔質体のものについては提案されていない。また、水中における生物生息用ブロックとして、硫黄を含むブロックが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、該ブロックは、空隙率が低く、透水性を示す連続空隙を有する多孔質体ではない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−199776号公報
【特許文献2】
特開2001−48618号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透水性を有する連続空隙を有する多孔質体であっても高強度を示し、かつ水中、特に海中で使用した際に実質的に中性のため、構造及び材質の両面において生物の育成に優れ、劣化し難い多孔質硫黄資材、その製造方法、該資材を用いたブロックや構造物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明によれば、硫黄及び/又は改質硫黄からなる硫黄材料と骨材とを含み、該硫黄材料の含有割合が骨材100質量部に対して5〜25質量部であり、該骨材が、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含み、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%であることを特徴とする多孔質硫黄資材が提供される。
また本発明によれば、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含む骨材100質量部と、硫黄及び/又は改質硫黄からなる硫黄材料5〜25質量部とを含む資材原料を準備する工程(A)と、溶融状態の前記硫黄材料と前記骨材とを含む資材原料を120〜160℃で溶融混合する工程(B)と、工程(B)で調製した、硫黄材料が溶融状態である資材原料を型枠に導入して冷却固化する工程(C)とを含むことを特徴とする前記多孔質硫黄資材の製造方法が提供される。
更に本発明によれば、前記多孔質硫黄資材を備えたブロック又は構造物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の多孔質硫黄資材は、硫黄材料と骨材とを特定割合で含む、透水性を示す連続空隙を有する特定空隙率の資材である。
前記硫黄材料は、硫黄及び/又は改質硫黄からなる。該硫黄としては、通常の硫黄単体で、天然産又は、石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等が挙げられる。
前記改質硫黄は、硫黄変性剤により硫黄を重合したものであって、硫黄と硫黄変性剤との反応物が好ましい。硫黄変性剤としては、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラハイドロインデン(THI)、若しくはシクロペンタジエンと、そのオリゴマー(2〜5量体混合物)、ジペンテン、ビニルトルエン、ジシクロペンテン等のオレフィン化合物類の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
前記DCPDとして、シクロペンタジエンの単体、2〜5量体を主体に構成される混合物を用いることもできる。該混合物としては、DCPDの含有量が70質量%以上、好ましくは85質量%以上のものが挙げられ、また、いわゆるジシクロペンタジエンと称する市販品の多くを使用することができる。
前記THIとして、THIの単体、若しくはTHIと、シクロペンタジエンの単体、シクロペンタジエン及びブタンジエンの重合物、シクロペンタジエンの2〜5量体からなる群より選択される1種又は2種以上を主体に構成されるものとの混合物を用いることもできる。該混合物中のTHIの含有量は、通常50質量%以上、好ましくは65質量%以上である。該混合物としては、いわゆるテトラハイドロインデンと称する市販品やエチルノルボルネンの製造プラントから排出される副生成油の多くが使用できる。
【0007】
前記改質硫黄は、硫黄と硫黄変性剤とを溶融混合することにより得ることができる。この際、硫黄変性剤の使用割合は、硫黄と硫黄変性剤との合計量に対して、通常0.01〜30質量%、特に、0.1〜20質量%の割合が好ましい。
前記溶融混合は、例えばインターナルミキサー、ロールミル、ドラムミキサー、ポニーミキサー、リボンミキサー、ホモミキサー、スタティックミキサー等を用いて行うことができ、特に、スタティックミキサーのようなラインミキサーの使用が好ましい。該スタティックミキサーは、一般的には、流体の流路(例えば管)の中に邪魔板を設けて流れを分割し、流線を変更することにより流体を混合する装置である。該スタティックミキサーは1枚以上、好ましくは4〜32枚のねじり羽根エレメントを管内に配設したものが挙げられる。
前記ラインミキサーの使用により、均質な改質硫黄の製造が可能となり、改質硫黄の生産性が向上し、かつ硫黄変性剤の使用量が少量でも硫黄を十分改質することが可能となる。また、該ラインミキサーの使用により、硫黄変性剤が溶融硫黄の熱によって蒸発ロスしてしまうのが抑制できるので、この場合は、硫黄変性剤の使用割合が、硫黄と硫黄変性剤との合計量に対して0.1〜10質量%においても効果的に硫黄の性能を改善することができる。
【0008】
本発明の多孔質硫黄資材において、難燃性、遮水性、耐硫黄酸化細菌性等の性質改善は、含有される改質硫黄を製造する際に用いる硫黄変性剤の使用割合に関係し、通常は使用量が多いほどそれぞれの性能が改善される。硫黄と硫黄変性剤との合計量に対して、約30質量%の硫黄変性剤を使用すると前記各性能の改善効果は飽和し、それ以上では変化は少なく、0.01質量%未満では改質硫黄を用いることによる十分な強度改善がなされない恐れがあるので好ましくない。
改質硫黄の製造を、例えば、前記ラインミキサーを用いて行う場合は、ラインミキサー中で硫黄と硫黄変性剤とを120〜160℃の範囲で溶融混合し、140℃における粘度が0.05〜3.0Pa・sになるまで滞留させる方法等が好ましい。ラインミキサー内の溶融混合温度は、硫黄が効率よく変性するように通常130〜155℃、特に140〜155℃が好ましい。
ラインミキサー内で生じる硫黄と硫黄変性剤との初期反応は、硫黄と硫黄変性剤とが反応することで変性硫黄前駆体が生成する発熱反応である。このためラインミキサー内では急激な発熱が生じないことを確認しながら連続撹拌しラインミキサー内で120〜160℃まで次第に温度上昇させることが好ましい。
ラインミキサー内で硫黄と硫黄変性剤とを反応させる際は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量が150〜500の改質硫黄前駆体を生成させ、反応系中において前記改質硫黄前駆体を0.01〜45質量%、特に1〜40質量%生成させることが好ましい。
前記分子量の測定は、硫黄変性剤を加えた硫黄を二硫化炭素やトルエン等に溶かし、GPCにより行うことができる。その測定は、例えば、クロロホルム溶媒を使用し室温において、1ml/分の流速で、二硫化炭素1質量/Vol%濃度試料溶液を、UV254Nm検出器を用い、ポリスチレンで測定した検量線により行うことができる。
【0009】
前記ラインミキサーの流速及び圧力は、管の径、製造量に応じて適宜設定できるが、好ましくは、流速0.1cm/秒〜100cm/秒程度の流速(時間ならば1秒から30分)及び圧力の組合せにより設定することができる。
なお、硫黄と硫黄変性剤とが反応を開始し、改質硫黄前駆体が生成した後では、硫黄変性剤が蒸発する問題はないので、該反応開始後であればラインミキサーを使用しなくてもよく、ラインミキサーを通過したものを、ドラムミキサーやホールディング管に導入、滞留し、改質硫黄前駆体と溶融硫黄を重合反応させて高分子量化してもよい。
前記ドラムミキサーやホールディング管の内部における滞留時間は、管の径、製造量に応じて適宜設定できるが、好ましくは、1分〜1時間程度である。
ホールディング管の滞留時間は、硫黄変性剤の使用量と溶融温度により異なる。
硫黄改質のための反応終了時期は、溶融物の粘度により決定できる。例えば、140℃における粘度が0.05〜3.0Pa・sの範囲が好ましいが、得られる多孔質硫黄資材の強度や製造工程の作業性の観点から、140℃における粘度が0.05〜2.0Pa・sの範囲が総合的に最適である。
【0010】
改質硫黄は、バッチ式によっても製造できるが、ラインミキサーを使用して連続的に製造すれば、同程度(350〜550)の平均分子量の改質硫黄を得た場合でも、ラインミキサーを用いた場合には、改質硫黄の分子量分布を通常200〜3000、好ましくは200〜2500とし、バッチ式製造に比べて分子量分布が狭い改質硫黄を製造することができる。このような改質硫黄は、本発明の多孔質硫黄資材の製造に有利である。
【0011】
前記硫黄材料は、硫黄及び/又は改質硫黄からなるが、改質硫黄の割合が高いか、実質的に改質硫黄のみの使用が得られる多孔質硫黄資材の強度及び耐久性等をより改善し得る点から好ましい。
本発明の多孔質硫黄資材において、前記硫黄材料の含有割合は、後述する骨材100質量部に対して、5〜25質量部、好ましくは5.3〜25質量部である。5質量部未満では、得られる多孔質硫黄資材の強度が十分でなく、25質量部を超えると、所望の連続空隙及び空隙率の確保が困難である。
【0012】
本発明の多孔質硫黄資材に含まれる骨材は、骨材として使用可能であれば特に限定されないが、一般にコンクリートで用いられる骨材、例えば、天然石、砂、砂利、れき、硅砂、鉄鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、金属製造時に生成する副生物、石炭灰、燃料焼却灰、溶融スラグ類及びこれらの混合物等からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。また、シリカ、アルミナ、石英粉、石英質岩石、粘土鉱物、活性炭、ガラス粉末やこれらと同等の有害物質を含有しない無機系、有機系等の骨材も使用可能である。
本発明の多孔質硫黄資材においては、骨材として産業廃棄物を使用した場合でも、前述の硫黄材料により無害化することが可能である。
【0013】
前記骨材は、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量部、好ましくは90〜100質量部含み、通常、粒径1.2mm以下の細骨材0〜20質量部、好ましくは0〜10質量部と、前記粗骨材とからなる。前記粗骨材の配合割合が80質量部未満では、所望の透水性の連続空隙や、特定の空隙率が得られない。このような骨材の粒径調整は公知技術が利用でき、例えば篩等で調整することができる。
【0014】
本発明の多孔質硫黄資材には、更に曲げ強度を高め、パネルやタイル等に用いる際に資材自体を薄型化、軽量化する等のために、繊維質充填材等を含有させることができる。
繊維質充填材としては、例えば、カーボンファイバー、グラスファイバー、鋼繊維、アモルファス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維又はこれらの混合物等が挙げられる。
繊維質充填材の繊維径は、材質により異なるが通常5μm〜1mmが好ましい。繊維形態は、短繊維、連続繊維いずれでも良いが、短繊維の場合の繊維長は2〜30mmの均一分散が容易な長さが好ましい。連続繊維としては、骨材が通過できるような隙間を空けた格子状であれば良く、織構造又は不織布構造のいずれでも良い。
繊維質充填材を配合する場合の配合割合は、得られる多孔質硫黄資材中に通常0.5〜10体積%、特に1〜7体積%が好ましい。
【0015】
本発明の多孔質硫黄資材には、靭性を高めるため等に、繊維状粒子、薄片状粒子等を配合することもできる。
繊維状粒子としては、平均長さ1mm以下のウォラスナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。薄片状粒子としては、平均粒度1mm以下のマイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。繊維状粒子及び/又は薄片状粒子を配合する場合の配合割合は、多孔質硫黄資材中に通常35質量%以下、特に10〜25質量%が好ましい。
本発明の多孔質硫黄資材には、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、上記以外にも必要に応じて他の成分が配合されていても良い。
【0016】
本発明の多孔質硫黄資材は、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%、好ましくは10〜35容量%である。ここで、透水性を示す連続空隙の有無は、水が通過するか否かで判断する。また、空隙率は、成型体の密度と材料(硫黄と骨材)それぞれ単身の密度を基にして算出した値である。
本発明の多孔質硫黄資材は、通常、10MNmm2以上の強度、好ましくは10〜40MNmm2程度の強度を発揮することができる。
【0017】
本発明の多孔質硫黄資材を製造するには、例えば、前記骨材と、前記硫黄材料とを特定割合で含む資材原料と準備する工程(A)と、前記資材原料を特定温度で溶融混合する工程(B)と、工程(B)で調製した、特定の資材原料を冷却固化する工程(C)とを含む本発明の製造方法等により得ることができる。
【0018】
工程(A)においては、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%を含む骨材100質量部と、硫黄及び/又は改質硫黄からなる前記硫黄材料5〜25質量部とを含む資材原料を準備する。骨材には、粒径1.2mm以下の細骨材0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%含まれていても良い。
【0019】
工程(B)において、溶融状態の前記硫黄材料は、前述のように調製することができ、工程(B)に必要な量をその都度調整することができる他、120〜140℃で保存できる保温機能を備えた貯蔵タンク等に保存し、骨材等と混合する量を適宜供給することもできる。例えば、硫黄材料をバッチ式で製造した後、前記貯蔵タンクにおいて硫黄材料を溶融状態で次のロット製造まで一時保存することができる。
工程(B)において、資材原料の溶融混合は、溶融状態の硫黄材料、特に改質硫黄を含む硫黄材料の140℃における粘度を0.05〜3.0Pa・sの範囲内に維持しながら溶融混合することが好ましい。前記改質硫黄を含む硫黄材料の粘度は、硫黄の重合進行により時間と共に上昇するので、取り扱いが容易で好ましい最適粘度範囲とすることが好ましい。該粘度が0.05Pa・s未満では、得られる多孔質硫黄資材の強度が低下し、改質硫黄による改質効果が不十分となるので好ましくない。一方、粘度が高くなるに従い、強度改善効果も高くなるが、3.0Pa・sを超えると溶融混合における撹拌が困難となり、作業性が著しく悪化するので好ましくない。
工程(B)において、資材原料の溶融混合にあたっては、資材原料のいずれの材料も、混合時の温度低下を避けるために予熱しておくことが好ましい。硫黄材料及び骨材は120〜155℃程度に予熱し、混合機も120〜155℃の温度に予熱しておくことが好ましい。
【0020】
前記溶融混合は、予熱した各材料をほぼ同時に混合機に投入し、通常120〜160℃、好ましくは130〜140℃の温度で5〜30分間混合することにより行うことができる。溶融混合温度が160℃以下であって、より高温の方が改質硫黄の流動性が高く、混合効率も高くなって短時間で終了するが、高温では改質硫黄の硬化反応が進行し易い。低温では流動性が低下する代りに、改質硫黄の硬化反応の進行が遅くなる。従って、溶融混合時のより好ましい温度範囲としては、混合機を130〜140℃で予熱しておき、130〜140℃の温度で混合することが望ましい。この場合、骨材の予熱範囲は130〜140℃、改質硫黄を含む硫黄材料の予熱範囲は125〜140℃が好ましい。
前記溶融混合の時間は、硫黄の重合による高粘度化、更には硬化を避けるため製造物の性状が許す範囲で極力短時間で行うことが望ましい。
但し、混合時間が短かすぎると資材原料が十分混合されず、得られる多孔質硫黄資材が連続相とならず、均一なポーラス状とならない恐れがある。従って、得られる多孔質硫黄資材が、好ましくは完全な連続相となり均一なポーラス状となるように、得られる多孔質硫黄資材の性能を考慮して混合時間を適宜決定することが好ましい。
前記溶融混合に用いる混合機は、混合が十分に行えるものであれば特に限定されず、好ましくは固液撹拌用が使用できる。例えば、インターナルミキサー、ロールミル、ボールミル、ドラムミキサー、スクリュー押出し機、パグミル、ポエーミキサー、リボンミキサー、ニーダー等が使用できる。
【0021】
次に、工程(C)においては、工程(B)で調製した、硫黄材料が溶融状態である資材原料を型枠に導入して冷却固化する。
前記冷却固化は、公知の成型法、例えば、型枠に流し込み冷却固化し、任意の形状にすることにより行うことができる。型枠の形状としては、パネル型、タイル型、ブロック型等が挙げられるがこれらに限定されない。
前記冷却固化時の成型には、適宜振動を加えたり、超音波を照射しながら成型してもよい。
【0022】
本発明の多孔質硫黄資材は、所望形状の成型体として、ブロックをはじめ各種構造物として利用することができる。例えば、タイル、ブロック、パネル材、床材、漁礁、護岸資材、藻場造成用資材等として利用できる。また、道路用製品として、歩道境界ブロック、平板、インターロッキングブロック等に、建築用製品として、漁礁、消波ブロック、防波ブロック、植生ブロック等に、土木施工用材料として、土留用壁、擁壁、L型用壁、矢板等に使用できる。
これら用途において、多孔質硫黄資材を成型物全部に使用する必要は必ずしもなく、表面部分に使用しても目的を果たすことができる。例えば、コンクリート製護岸壁面に当該多孔質硫黄資材を配置してもよい。他の用途、例えば、タイル、ブロック、パネル材、床材、壁材等においても同様にコンクリートと組み合わせて二層構造にしても良いし、更にコンクリートを多孔質硫黄資材で挟むような三層構造や多層構造にしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明の多孔質硫黄資材は、従来のポーラスコンクリートと異なり、硫黄材料を用いるので、透水性を示す連続空隙を有する多孔質であっても高強度であり、しかも水中、特に海中で使用した際に実質的に中性のため、構造及び材質の両面において生物の育成に優れ、かつ劣化し難く、従来のポーラスコンクリートが採用されている各用途に加え、海中構造物にも極めて有用である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。なお、例中で作製した各多孔質硫黄資材や成型物について、以下に示す方法に従い測定及び評価を行なった。これらの結果を表1及び図1に示す。
圧縮強度:JIS A 1108
人工海水浸漬試験:JSTM C 7401「溶液浸漬によるコンクリートの耐薬品性試験方法」(人工海水)
実海域試験:約3〜4mの海域に4ヶ月浸漬して行った。
空隙率:成型体の密度と材料(硫黄と骨材)それぞれ単身の密度を基にして算出した。
透水性を有する連続空隙の有無:水が成型体を通過するか否かで判断した。
骨材の粒度調整:事前にJISふるいを用いて調整した。
(改質硫黄の製造)
密閉式撹拌混合槽中に、固体硫黄95kgを入れ、120℃で加温して溶解後、130℃に保持した。続いて、約50℃に加熱溶解したジシクロペンタジエン5kgをゆっくりと添加し、約10分間静かに撹拌して、初期反応による温度上昇が収束することを確認してから、140℃まで昇温した。反応が開始され、次第に粘度が上昇し、約1時間で粘度が0.1Pa・sに達したところで直ちに加熱を停止し、適当な型又は容器に流し込んで室温で冷却し、改質硫黄を得た。
【0025】
(骨材の調整)
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ68kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ12kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が15質量%となるように調整して骨材(A−1)を製造した。
また珪砂をふるいにより粒径1.2mm超にふるいわけ、石炭灰をふるいにより粒径1.2mm以下にふるいわけ、粒径1.2mm超の珪砂68kg及び粒径1.2mm以下の石炭灰12kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が15質量%となるように調整した骨材(A−2)を製造した。
高炉スラグをふるいにより分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグのみからなる骨材(A−3)を製造した。
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ60kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ20kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が25質量%となるように調整して骨材(B)を製造した。
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ62.4kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ17.6kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が22質量%となるように調整して骨材(C)を製造した。
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ67.2kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ12.8kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が16質量%となるように調整して骨材(D)を製造した。
【0026】
実施例 1
140℃に予熱した骨材(A−1)67.2kgと、改質硫黄12.8kgを130℃に再加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで冷却し、検体を2個作製した。この検体を成型物(A−1)とする。
【0027】
実施例 2
骨材(A−2)66.4kgを140℃で予熱した骨材と、硫黄13.6kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(A−2)とする。
【0028】
実施例 3
140℃に予熱した骨材(A−3)67.2kgと、改質硫黄6.72kgを130℃に再加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで冷却し、検体を2個作製した。この検体を成型物(A−3)とする。
【0029】
比較例 1
骨材(B)80kgを140℃で予熱した骨材と、改質硫黄20kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(B)とする。
【0030】
比較例 2
骨材(C)64kgを140℃で予熱した骨材と、改質硫黄16kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(C)とする。
【0031】
比較例 3
骨材(D)76.8kgを140℃で予熱した骨材と、改質硫黄3.2kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(D)とする。
【0032】
比較例 4
セメント12.4kg、砂31.4kg、砂利34.4kg、水5.7kgを混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで、打設後に28日間養生して検体を2個作製した。この検体を成型物(E)とする。
【0033】
比較例 5
セメント15.9kg、砂利(5〜10mm)58.4kg、水5.8kgを混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで、打設後に28日間養生して検体を2個作製した。この検体を成型物(F)とする。
【0034】
【表1】
表1の結果より、実施例品は優れた強度と藻類繁殖性が得られた。
【0035】
実施例 4
骨材(A−1)と改質硫黄とを、改質硫黄の配合割合を10質量%、12質量%、14質量%又は16質量%に代えた以外は実施例1と同様な方法により、多孔質硫黄の成型体を製造し、各圧縮強度を測定した。改質硫黄の配合割合が10質量%の成型体を成型体(10)、12質量%の成型体を成型体(12)、14質量%の成型体を成型体(14)、16質量%の成型体を成型体(16)とし、透水性を有する連続空隙の有無及び空隙率の結果と共に圧縮強度の結果を表2に示す。また、得られた各成型体の写真を図1に示す。
【0036】
【表2】
表2より、各成型体の圧縮強度は10〜40MNm2を示しており優れた強度を有することが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で調製した各成型体を示す写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木建設用の資材として有用であり、特に、生物対応コンクリート護岸ブロック、緑化コンクリート擁壁、透水性コンクリート舗装や、人工漁礁等の海洋構造物等に利用可能な、透水性を有すると共に優れた強度を示す、硫黄を利用した多孔質硫黄資材、その製造方法及び該資材を用いたブロック並びに構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、生物対応コンクリート護岸ブロック、緑化コンクリート擁壁、透水性コンクリート舗装等に利用されている多孔質(ポーラス)コンクリートは、基本的には透水性を示す連続空隙を有するコンクリートであるため、その圧縮強度が低く、高いものでも10Nmm2未満、通常は3Nmm2程度であり、壊れ易く、実際に利用する場合にはその用途に応じて高強度化が必要である。
そこで、細骨材及び粗骨材の混合割合等を工夫したり、セメントモルタル分、あるいは細骨材を含まないセメントペーストの成分組成や各種添加剤の検討、更には、得られる多孔質コンクリートの空隙への添加剤の工夫等が種々成されており、最近では、圧縮強度が18Nmm2以上のものも開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、多孔質コンクリートは、通常のコンクリートと異なりセメント量が極めて少ないため、その強度発現は通常のコンクリートと同様ではなく、種々の技術開発がなされている。
また多孔質コンクリートは、セメントを使用するため、水中においてアルカリ分(pH=12〜13の高アルカリ)を溶出する。このため、水中で利用する場合、該アルカリ分の溶出を抑制するために灰汁抜き等が行われることがある。しかし、このような処理が行われた場合でも製品内部からのアルカリ分の溶出は抑えることができず、海洋構造物への使用が困難である。
更に、セメントを使用したコンクリート構造物は、海水中の硫化塩、マグネシウム塩、塩素等の作用により徐々に劣化が進むことが知られており、この点から多孔質コンクリートを海洋構造物に使用することは困難である。
ところで、セメントを配合しない硫黄を利用した建築資材も種々提案されているが、透水性を示す連続空隙を有する多孔質体のものについては提案されていない。また、水中における生物生息用ブロックとして、硫黄を含むブロックが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、該ブロックは、空隙率が低く、透水性を示す連続空隙を有する多孔質体ではない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−199776号公報
【特許文献2】
特開2001−48618号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透水性を有する連続空隙を有する多孔質体であっても高強度を示し、かつ水中、特に海中で使用した際に実質的に中性のため、構造及び材質の両面において生物の育成に優れ、劣化し難い多孔質硫黄資材、その製造方法、該資材を用いたブロックや構造物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明によれば、硫黄及び/又は改質硫黄からなる硫黄材料と骨材とを含み、該硫黄材料の含有割合が骨材100質量部に対して5〜25質量部であり、該骨材が、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含み、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%であることを特徴とする多孔質硫黄資材が提供される。
また本発明によれば、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含む骨材100質量部と、硫黄及び/又は改質硫黄からなる硫黄材料5〜25質量部とを含む資材原料を準備する工程(A)と、溶融状態の前記硫黄材料と前記骨材とを含む資材原料を120〜160℃で溶融混合する工程(B)と、工程(B)で調製した、硫黄材料が溶融状態である資材原料を型枠に導入して冷却固化する工程(C)とを含むことを特徴とする前記多孔質硫黄資材の製造方法が提供される。
更に本発明によれば、前記多孔質硫黄資材を備えたブロック又は構造物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の多孔質硫黄資材は、硫黄材料と骨材とを特定割合で含む、透水性を示す連続空隙を有する特定空隙率の資材である。
前記硫黄材料は、硫黄及び/又は改質硫黄からなる。該硫黄としては、通常の硫黄単体で、天然産又は、石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等が挙げられる。
前記改質硫黄は、硫黄変性剤により硫黄を重合したものであって、硫黄と硫黄変性剤との反応物が好ましい。硫黄変性剤としては、例えば、ジシクロペンタジエン(DCPD)、テトラハイドロインデン(THI)、若しくはシクロペンタジエンと、そのオリゴマー(2〜5量体混合物)、ジペンテン、ビニルトルエン、ジシクロペンテン等のオレフィン化合物類の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
前記DCPDとして、シクロペンタジエンの単体、2〜5量体を主体に構成される混合物を用いることもできる。該混合物としては、DCPDの含有量が70質量%以上、好ましくは85質量%以上のものが挙げられ、また、いわゆるジシクロペンタジエンと称する市販品の多くを使用することができる。
前記THIとして、THIの単体、若しくはTHIと、シクロペンタジエンの単体、シクロペンタジエン及びブタンジエンの重合物、シクロペンタジエンの2〜5量体からなる群より選択される1種又は2種以上を主体に構成されるものとの混合物を用いることもできる。該混合物中のTHIの含有量は、通常50質量%以上、好ましくは65質量%以上である。該混合物としては、いわゆるテトラハイドロインデンと称する市販品やエチルノルボルネンの製造プラントから排出される副生成油の多くが使用できる。
【0007】
前記改質硫黄は、硫黄と硫黄変性剤とを溶融混合することにより得ることができる。この際、硫黄変性剤の使用割合は、硫黄と硫黄変性剤との合計量に対して、通常0.01〜30質量%、特に、0.1〜20質量%の割合が好ましい。
前記溶融混合は、例えばインターナルミキサー、ロールミル、ドラムミキサー、ポニーミキサー、リボンミキサー、ホモミキサー、スタティックミキサー等を用いて行うことができ、特に、スタティックミキサーのようなラインミキサーの使用が好ましい。該スタティックミキサーは、一般的には、流体の流路(例えば管)の中に邪魔板を設けて流れを分割し、流線を変更することにより流体を混合する装置である。該スタティックミキサーは1枚以上、好ましくは4〜32枚のねじり羽根エレメントを管内に配設したものが挙げられる。
前記ラインミキサーの使用により、均質な改質硫黄の製造が可能となり、改質硫黄の生産性が向上し、かつ硫黄変性剤の使用量が少量でも硫黄を十分改質することが可能となる。また、該ラインミキサーの使用により、硫黄変性剤が溶融硫黄の熱によって蒸発ロスしてしまうのが抑制できるので、この場合は、硫黄変性剤の使用割合が、硫黄と硫黄変性剤との合計量に対して0.1〜10質量%においても効果的に硫黄の性能を改善することができる。
【0008】
本発明の多孔質硫黄資材において、難燃性、遮水性、耐硫黄酸化細菌性等の性質改善は、含有される改質硫黄を製造する際に用いる硫黄変性剤の使用割合に関係し、通常は使用量が多いほどそれぞれの性能が改善される。硫黄と硫黄変性剤との合計量に対して、約30質量%の硫黄変性剤を使用すると前記各性能の改善効果は飽和し、それ以上では変化は少なく、0.01質量%未満では改質硫黄を用いることによる十分な強度改善がなされない恐れがあるので好ましくない。
改質硫黄の製造を、例えば、前記ラインミキサーを用いて行う場合は、ラインミキサー中で硫黄と硫黄変性剤とを120〜160℃の範囲で溶融混合し、140℃における粘度が0.05〜3.0Pa・sになるまで滞留させる方法等が好ましい。ラインミキサー内の溶融混合温度は、硫黄が効率よく変性するように通常130〜155℃、特に140〜155℃が好ましい。
ラインミキサー内で生じる硫黄と硫黄変性剤との初期反応は、硫黄と硫黄変性剤とが反応することで変性硫黄前駆体が生成する発熱反応である。このためラインミキサー内では急激な発熱が生じないことを確認しながら連続撹拌しラインミキサー内で120〜160℃まで次第に温度上昇させることが好ましい。
ラインミキサー内で硫黄と硫黄変性剤とを反応させる際は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量が150〜500の改質硫黄前駆体を生成させ、反応系中において前記改質硫黄前駆体を0.01〜45質量%、特に1〜40質量%生成させることが好ましい。
前記分子量の測定は、硫黄変性剤を加えた硫黄を二硫化炭素やトルエン等に溶かし、GPCにより行うことができる。その測定は、例えば、クロロホルム溶媒を使用し室温において、1ml/分の流速で、二硫化炭素1質量/Vol%濃度試料溶液を、UV254Nm検出器を用い、ポリスチレンで測定した検量線により行うことができる。
【0009】
前記ラインミキサーの流速及び圧力は、管の径、製造量に応じて適宜設定できるが、好ましくは、流速0.1cm/秒〜100cm/秒程度の流速(時間ならば1秒から30分)及び圧力の組合せにより設定することができる。
なお、硫黄と硫黄変性剤とが反応を開始し、改質硫黄前駆体が生成した後では、硫黄変性剤が蒸発する問題はないので、該反応開始後であればラインミキサーを使用しなくてもよく、ラインミキサーを通過したものを、ドラムミキサーやホールディング管に導入、滞留し、改質硫黄前駆体と溶融硫黄を重合反応させて高分子量化してもよい。
前記ドラムミキサーやホールディング管の内部における滞留時間は、管の径、製造量に応じて適宜設定できるが、好ましくは、1分〜1時間程度である。
ホールディング管の滞留時間は、硫黄変性剤の使用量と溶融温度により異なる。
硫黄改質のための反応終了時期は、溶融物の粘度により決定できる。例えば、140℃における粘度が0.05〜3.0Pa・sの範囲が好ましいが、得られる多孔質硫黄資材の強度や製造工程の作業性の観点から、140℃における粘度が0.05〜2.0Pa・sの範囲が総合的に最適である。
【0010】
改質硫黄は、バッチ式によっても製造できるが、ラインミキサーを使用して連続的に製造すれば、同程度(350〜550)の平均分子量の改質硫黄を得た場合でも、ラインミキサーを用いた場合には、改質硫黄の分子量分布を通常200〜3000、好ましくは200〜2500とし、バッチ式製造に比べて分子量分布が狭い改質硫黄を製造することができる。このような改質硫黄は、本発明の多孔質硫黄資材の製造に有利である。
【0011】
前記硫黄材料は、硫黄及び/又は改質硫黄からなるが、改質硫黄の割合が高いか、実質的に改質硫黄のみの使用が得られる多孔質硫黄資材の強度及び耐久性等をより改善し得る点から好ましい。
本発明の多孔質硫黄資材において、前記硫黄材料の含有割合は、後述する骨材100質量部に対して、5〜25質量部、好ましくは5.3〜25質量部である。5質量部未満では、得られる多孔質硫黄資材の強度が十分でなく、25質量部を超えると、所望の連続空隙及び空隙率の確保が困難である。
【0012】
本発明の多孔質硫黄資材に含まれる骨材は、骨材として使用可能であれば特に限定されないが、一般にコンクリートで用いられる骨材、例えば、天然石、砂、砂利、れき、硅砂、鉄鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、金属製造時に生成する副生物、石炭灰、燃料焼却灰、溶融スラグ類及びこれらの混合物等からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。また、シリカ、アルミナ、石英粉、石英質岩石、粘土鉱物、活性炭、ガラス粉末やこれらと同等の有害物質を含有しない無機系、有機系等の骨材も使用可能である。
本発明の多孔質硫黄資材においては、骨材として産業廃棄物を使用した場合でも、前述の硫黄材料により無害化することが可能である。
【0013】
前記骨材は、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量部、好ましくは90〜100質量部含み、通常、粒径1.2mm以下の細骨材0〜20質量部、好ましくは0〜10質量部と、前記粗骨材とからなる。前記粗骨材の配合割合が80質量部未満では、所望の透水性の連続空隙や、特定の空隙率が得られない。このような骨材の粒径調整は公知技術が利用でき、例えば篩等で調整することができる。
【0014】
本発明の多孔質硫黄資材には、更に曲げ強度を高め、パネルやタイル等に用いる際に資材自体を薄型化、軽量化する等のために、繊維質充填材等を含有させることができる。
繊維質充填材としては、例えば、カーボンファイバー、グラスファイバー、鋼繊維、アモルファス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維又はこれらの混合物等が挙げられる。
繊維質充填材の繊維径は、材質により異なるが通常5μm〜1mmが好ましい。繊維形態は、短繊維、連続繊維いずれでも良いが、短繊維の場合の繊維長は2〜30mmの均一分散が容易な長さが好ましい。連続繊維としては、骨材が通過できるような隙間を空けた格子状であれば良く、織構造又は不織布構造のいずれでも良い。
繊維質充填材を配合する場合の配合割合は、得られる多孔質硫黄資材中に通常0.5〜10体積%、特に1〜7体積%が好ましい。
【0015】
本発明の多孔質硫黄資材には、靭性を高めるため等に、繊維状粒子、薄片状粒子等を配合することもできる。
繊維状粒子としては、平均長さ1mm以下のウォラスナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。薄片状粒子としては、平均粒度1mm以下のマイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。繊維状粒子及び/又は薄片状粒子を配合する場合の配合割合は、多孔質硫黄資材中に通常35質量%以下、特に10〜25質量%が好ましい。
本発明の多孔質硫黄資材には、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、上記以外にも必要に応じて他の成分が配合されていても良い。
【0016】
本発明の多孔質硫黄資材は、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%、好ましくは10〜35容量%である。ここで、透水性を示す連続空隙の有無は、水が通過するか否かで判断する。また、空隙率は、成型体の密度と材料(硫黄と骨材)それぞれ単身の密度を基にして算出した値である。
本発明の多孔質硫黄資材は、通常、10MNmm2以上の強度、好ましくは10〜40MNmm2程度の強度を発揮することができる。
【0017】
本発明の多孔質硫黄資材を製造するには、例えば、前記骨材と、前記硫黄材料とを特定割合で含む資材原料と準備する工程(A)と、前記資材原料を特定温度で溶融混合する工程(B)と、工程(B)で調製した、特定の資材原料を冷却固化する工程(C)とを含む本発明の製造方法等により得ることができる。
【0018】
工程(A)においては、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%を含む骨材100質量部と、硫黄及び/又は改質硫黄からなる前記硫黄材料5〜25質量部とを含む資材原料を準備する。骨材には、粒径1.2mm以下の細骨材0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%含まれていても良い。
【0019】
工程(B)において、溶融状態の前記硫黄材料は、前述のように調製することができ、工程(B)に必要な量をその都度調整することができる他、120〜140℃で保存できる保温機能を備えた貯蔵タンク等に保存し、骨材等と混合する量を適宜供給することもできる。例えば、硫黄材料をバッチ式で製造した後、前記貯蔵タンクにおいて硫黄材料を溶融状態で次のロット製造まで一時保存することができる。
工程(B)において、資材原料の溶融混合は、溶融状態の硫黄材料、特に改質硫黄を含む硫黄材料の140℃における粘度を0.05〜3.0Pa・sの範囲内に維持しながら溶融混合することが好ましい。前記改質硫黄を含む硫黄材料の粘度は、硫黄の重合進行により時間と共に上昇するので、取り扱いが容易で好ましい最適粘度範囲とすることが好ましい。該粘度が0.05Pa・s未満では、得られる多孔質硫黄資材の強度が低下し、改質硫黄による改質効果が不十分となるので好ましくない。一方、粘度が高くなるに従い、強度改善効果も高くなるが、3.0Pa・sを超えると溶融混合における撹拌が困難となり、作業性が著しく悪化するので好ましくない。
工程(B)において、資材原料の溶融混合にあたっては、資材原料のいずれの材料も、混合時の温度低下を避けるために予熱しておくことが好ましい。硫黄材料及び骨材は120〜155℃程度に予熱し、混合機も120〜155℃の温度に予熱しておくことが好ましい。
【0020】
前記溶融混合は、予熱した各材料をほぼ同時に混合機に投入し、通常120〜160℃、好ましくは130〜140℃の温度で5〜30分間混合することにより行うことができる。溶融混合温度が160℃以下であって、より高温の方が改質硫黄の流動性が高く、混合効率も高くなって短時間で終了するが、高温では改質硫黄の硬化反応が進行し易い。低温では流動性が低下する代りに、改質硫黄の硬化反応の進行が遅くなる。従って、溶融混合時のより好ましい温度範囲としては、混合機を130〜140℃で予熱しておき、130〜140℃の温度で混合することが望ましい。この場合、骨材の予熱範囲は130〜140℃、改質硫黄を含む硫黄材料の予熱範囲は125〜140℃が好ましい。
前記溶融混合の時間は、硫黄の重合による高粘度化、更には硬化を避けるため製造物の性状が許す範囲で極力短時間で行うことが望ましい。
但し、混合時間が短かすぎると資材原料が十分混合されず、得られる多孔質硫黄資材が連続相とならず、均一なポーラス状とならない恐れがある。従って、得られる多孔質硫黄資材が、好ましくは完全な連続相となり均一なポーラス状となるように、得られる多孔質硫黄資材の性能を考慮して混合時間を適宜決定することが好ましい。
前記溶融混合に用いる混合機は、混合が十分に行えるものであれば特に限定されず、好ましくは固液撹拌用が使用できる。例えば、インターナルミキサー、ロールミル、ボールミル、ドラムミキサー、スクリュー押出し機、パグミル、ポエーミキサー、リボンミキサー、ニーダー等が使用できる。
【0021】
次に、工程(C)においては、工程(B)で調製した、硫黄材料が溶融状態である資材原料を型枠に導入して冷却固化する。
前記冷却固化は、公知の成型法、例えば、型枠に流し込み冷却固化し、任意の形状にすることにより行うことができる。型枠の形状としては、パネル型、タイル型、ブロック型等が挙げられるがこれらに限定されない。
前記冷却固化時の成型には、適宜振動を加えたり、超音波を照射しながら成型してもよい。
【0022】
本発明の多孔質硫黄資材は、所望形状の成型体として、ブロックをはじめ各種構造物として利用することができる。例えば、タイル、ブロック、パネル材、床材、漁礁、護岸資材、藻場造成用資材等として利用できる。また、道路用製品として、歩道境界ブロック、平板、インターロッキングブロック等に、建築用製品として、漁礁、消波ブロック、防波ブロック、植生ブロック等に、土木施工用材料として、土留用壁、擁壁、L型用壁、矢板等に使用できる。
これら用途において、多孔質硫黄資材を成型物全部に使用する必要は必ずしもなく、表面部分に使用しても目的を果たすことができる。例えば、コンクリート製護岸壁面に当該多孔質硫黄資材を配置してもよい。他の用途、例えば、タイル、ブロック、パネル材、床材、壁材等においても同様にコンクリートと組み合わせて二層構造にしても良いし、更にコンクリートを多孔質硫黄資材で挟むような三層構造や多層構造にしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明の多孔質硫黄資材は、従来のポーラスコンクリートと異なり、硫黄材料を用いるので、透水性を示す連続空隙を有する多孔質であっても高強度であり、しかも水中、特に海中で使用した際に実質的に中性のため、構造及び材質の両面において生物の育成に優れ、かつ劣化し難く、従来のポーラスコンクリートが採用されている各用途に加え、海中構造物にも極めて有用である。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。なお、例中で作製した各多孔質硫黄資材や成型物について、以下に示す方法に従い測定及び評価を行なった。これらの結果を表1及び図1に示す。
圧縮強度:JIS A 1108
人工海水浸漬試験:JSTM C 7401「溶液浸漬によるコンクリートの耐薬品性試験方法」(人工海水)
実海域試験:約3〜4mの海域に4ヶ月浸漬して行った。
空隙率:成型体の密度と材料(硫黄と骨材)それぞれ単身の密度を基にして算出した。
透水性を有する連続空隙の有無:水が成型体を通過するか否かで判断した。
骨材の粒度調整:事前にJISふるいを用いて調整した。
(改質硫黄の製造)
密閉式撹拌混合槽中に、固体硫黄95kgを入れ、120℃で加温して溶解後、130℃に保持した。続いて、約50℃に加熱溶解したジシクロペンタジエン5kgをゆっくりと添加し、約10分間静かに撹拌して、初期反応による温度上昇が収束することを確認してから、140℃まで昇温した。反応が開始され、次第に粘度が上昇し、約1時間で粘度が0.1Pa・sに達したところで直ちに加熱を停止し、適当な型又は容器に流し込んで室温で冷却し、改質硫黄を得た。
【0025】
(骨材の調整)
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ68kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ12kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が15質量%となるように調整して骨材(A−1)を製造した。
また珪砂をふるいにより粒径1.2mm超にふるいわけ、石炭灰をふるいにより粒径1.2mm以下にふるいわけ、粒径1.2mm超の珪砂68kg及び粒径1.2mm以下の石炭灰12kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が15質量%となるように調整した骨材(A−2)を製造した。
高炉スラグをふるいにより分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグのみからなる骨材(A−3)を製造した。
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ60kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ20kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が25質量%となるように調整して骨材(B)を製造した。
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ62.4kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ17.6kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が22質量%となるように調整して骨材(C)を製造した。
高炉スラグをふるいにより粒径1.2mm超と粒径1.2mm以下とで分別し、粒径1.2mm超の高炉スラグ67.2kg及び粒径1.2mm以下の高炉スラグ12.8kgからなり、粒径1.2mm以下の細骨材が16質量%となるように調整して骨材(D)を製造した。
【0026】
実施例 1
140℃に予熱した骨材(A−1)67.2kgと、改質硫黄12.8kgを130℃に再加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで冷却し、検体を2個作製した。この検体を成型物(A−1)とする。
【0027】
実施例 2
骨材(A−2)66.4kgを140℃で予熱した骨材と、硫黄13.6kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(A−2)とする。
【0028】
実施例 3
140℃に予熱した骨材(A−3)67.2kgと、改質硫黄6.72kgを130℃に再加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで冷却し、検体を2個作製した。この検体を成型物(A−3)とする。
【0029】
比較例 1
骨材(B)80kgを140℃で予熱した骨材と、改質硫黄20kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(B)とする。
【0030】
比較例 2
骨材(C)64kgを140℃で予熱した骨材と、改質硫黄16kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(C)とする。
【0031】
比較例 3
骨材(D)76.8kgを140℃で予熱した骨材と、改質硫黄3.2kgを130℃に加熱して溶解した溶解物とを、140℃に保った混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これを直径5cm、高さ10cmの円柱型に流し込んで冷却し、検体を作製した。この検体を成型物(D)とする。
【0032】
比較例 4
セメント12.4kg、砂31.4kg、砂利34.4kg、水5.7kgを混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで、打設後に28日間養生して検体を2個作製した。この検体を成型物(E)とする。
【0033】
比較例 5
セメント15.9kg、砂利(5〜10mm)58.4kg、水5.8kgを混練機内にほぼ同時に投入した。続いて10分間混練し、これをW46cm×D55cm×H6cmの板状型に流し込んで、打設後に28日間養生して検体を2個作製した。この検体を成型物(F)とする。
【0034】
【表1】
表1の結果より、実施例品は優れた強度と藻類繁殖性が得られた。
【0035】
実施例 4
骨材(A−1)と改質硫黄とを、改質硫黄の配合割合を10質量%、12質量%、14質量%又は16質量%に代えた以外は実施例1と同様な方法により、多孔質硫黄の成型体を製造し、各圧縮強度を測定した。改質硫黄の配合割合が10質量%の成型体を成型体(10)、12質量%の成型体を成型体(12)、14質量%の成型体を成型体(14)、16質量%の成型体を成型体(16)とし、透水性を有する連続空隙の有無及び空隙率の結果と共に圧縮強度の結果を表2に示す。また、得られた各成型体の写真を図1に示す。
【0036】
【表2】
表2より、各成型体の圧縮強度は10〜40MNm2を示しており優れた強度を有することが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で調製した各成型体を示す写真である。
Claims (8)
- 硫黄及び/又は改質硫黄からなる硫黄材料と骨材とを含み、該硫黄材料の含有割合が骨材100質量部に対して5〜25質量部であり、該骨材が、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含み、透水性を示す連続空隙を有し、且つ空隙率が5〜40容量%であることを特徴とする多孔質硫黄資材。
- 骨材が、粒径1.2mm以下の細骨材0〜20質量%と、粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%とからなることを特徴とする請求項1記載の多孔質硫黄資材。
- 改質硫黄が、硫黄と硫黄変性剤との反応物であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質硫黄資材。
- 骨材が、天然石、砂、砂利、れき、硅砂、鉄鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、金属製造時に生成する副生物、石炭灰、燃料焼却灰、溶融スラグ類及びこれらの混合物からなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の多孔質硫黄資材。
- 繊維質充填材を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の多孔質硫黄資材。
- 粒径1.2mm超の粗骨材80〜100質量%を含む骨材100質量部と、硫黄及び/又は改質硫黄からなる硫黄材料5〜25質量部とを含む資材原料を準備する工程(A)と、
溶融状態の前記硫黄材料と前記骨材とを含む資材原料を120〜160℃で溶融混合する工程(B)と、
工程(B)で調製した、硫黄材料が溶融状態である資材原料を型枠に導入して冷却固化する工程(C)とを含むことを特徴とする請求項1記載の多孔質硫黄資材の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項記載の多孔質硫黄資材を備えたブロック。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の多孔質硫黄資材を備えた構造物。
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JP2006306634A (ja) * | 2005-04-26 | 2006-11-09 | Nippon Oil Corp | 貝殻粉砕物を主成分とする多孔質改質硫黄固化体及び土木・建築用構造物 |
JP2007008094A (ja) * | 2005-07-01 | 2007-01-18 | Nippon Oil Corp | 改質硫黄固化体打設装置 |
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-
2002
- 2002-12-11 JP JP2002359230A patent/JP2004189538A/ja active Pending
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