JP4964793B2 - シトルリン含有飲食品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、異臭発生を抑制したシトルリン含有飲食品及びその製造方法に関する。さらに詳細には、酸味料若しくはpH調整剤を用いてシトルリンの分解物に由来する異臭の発生を抑制したシトルリン含有飲食品及びその製造方法に関する。
シトルリンは、蛋白質を構成しない遊離のアミノ酸であり、スイカ等のウリ科植物、中でもアフリカのカラハリ砂漠に自生する野生スイカに多く含まれている。このシトルリンには、血管拡張、動脈硬化防止、冷え性改善、精力増強、アンモニア解毒等の種々の効果があると言われている。また、最近では、活性酸素消去能力を有することが報告されている(特許文献1参照)。
特開2006−89487号公報
このような効能が期待され、既に米国ではサプリメント原料として、欧州ではシトルリンマレート(L−シトルリン・リンゴ酸塩)が疲労回復のOTC(Over The Counter Drug:一般用医薬品)として流通しており、海外市場での実績は豊富である。
物性面では、加工適性が高く、風味が良い等の特長を併せ持つことから、様々な商品への配合が可能であると言える。
このシトルリンが、わが国の厚生労働省による2007年4月の食薬区分改正で化学物質として唯一、非医薬品リストに新規収載され、同年8月に食品としての利用が解禁された。これにより、今後は食品分野での適用が増加するものと考えられる。
しかしながら、現時点では、食品としての利用が解禁されて間もないこともあり、シトルリンを食品素材として活用した具体的な報告はほとんどなされていない。よって、シトルリン含有食品を製造するに際し、シトルリンの特性が与える影響については未知な部分が多いと言える。
本発明は、以上のような事情の下でなされたものであり、シトルリンの特性を考慮したシトルリン含有飲食品の提供を目的とする。
本発明者らは、シトルリンを配合した飲食品に関して鋭意研究を重ねた。その結果、シトルリンを含有する飲食品は、その製造工程若しくは保存中にシトルリンが分解し、その分解物が異臭を発生する場合があることを見出した。さらに、その異臭が発生した飲食品のpHを酸味料若しくはpH調整剤によって酸性域にすることで、異臭の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
請求項1記載のシトルリン含有飲食品は、シトルリンの分解物による異臭発生抑制のために、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量の酸味料若しくはpH調整剤を配合したことを特徴とする。
本発明者らの研究によれば、シトルリン含有飲食品は、製造工程若しくは保存中にシトルリンが分解して異臭が生じる場合がある。シトルリンは、下記化学式(1)に表されるような構造を有していることから、熱やUV等により分解しやすく、その分解物は塩基性を示すと考えられる。このため、本発明では、シトルリン含有飲食品のpHを、酸味料若しくはpH調整剤を用いて酸性域にしたので、シトルリンの分解物の揮発を抑え、不快な臭いを抑制することができる。
Figure 0004964793
請求項2記載のシトルリン含有飲食品では、前記酸味料若しくはpH調整剤は、アジピン酸、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、二酸化炭素、乳酸塩、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩又はこれらの任意の混合物である。
請求項3記載のシトルリン含有飲食品では、前記酸味料若しくはpH調整剤はフィチン酸であることを特徴とする。
シトルリンの分解物由来の不快な臭いは、シトルリン含有飲食品のpHを酸性域にすることで抑制できるところ、上記の酸味料若しくはpH調整剤によれば、飲食品のpHを酸性域に容易に調整することができる。特に、酸味料若しくはpH調整剤としてフィチン酸を用いた場合には、少量で飲食品のpHを酸性域にさせることができる。さらに、フィチン酸は、酸味をあまり感じさせない食品添加物であるので、味覚的に長期多量の摂取に適した飲食品とすることができる。
請求項4記載のシトルリン含有飲食品では、前記飲食品中のシトルリンの配合量が0.025質量%以上であることを特徴とする。
本発明によれば、飲食品中のシトルリンの配合量は0.025質量%以上であることが望ましい。0.025質量%以上のシトルリンを配合すると、シトルリンの分解物由来の不快な臭いが感じられる場合があるので(詳細は実施例1にて後述)、本発明の効果を十分に発揮することができる。
請求項5記載のシトルリン含有飲食品の製造方法は、シトルリンが分解に晒される状況下に置かれたときに飲食品のpHを酸性域に調整することを特徴とする。
請求項6記載のシトルリン含有飲食品の製造方法では、前記酸性域は、シトルリンの分解物による異臭発生を抑制可能なpHであることを特徴とする。
本発明によれば、シトルリンが分解に晒される状況下に置かれたときに、飲食品のpHを、シトルリンの分解物による異臭発生を抑制可能な酸性域に調整するので、飲食品の製造条件に応じて適宜、異臭に対処できる。
請求項7記載のシトルリンの分解物による異臭の発生を調整する方法は、シトルリン含有飲食品の製造工程において、pHを調整することを特徴とする。
本発明によれば、シトルリン含有飲食品はpHを上げることで異臭が生じるが、その後、pHを下げることでその異臭を抑制できる。このように、シトルリンの分解により異臭が生じても、摂食直前にpHを調整することで不快な臭いを解消することもできる。
請求項8記載のシトルリン含有組成物の保存性を改善する方法は、シトルリン含有組成物のpHを酸性域に調整することを特徴とする。
本発明によれば、シトルリン含有組成物が、夏場の高温条件下や直射日光に晒される条件下で保存されていた場合であっても、組成物のpHを酸性域に調整することにより、シトルリンの分解物による異臭の発生を抑制でき、保存性を改善することができる。
請求項9記載のシトルリン含有組成物の保存性を改善する方法では、シトルリン含有組成物は、飲食品、化粧品、又は医薬品であることを特徴とする。
シトルリンは、加工適性が高く、風味が良い等の特長を有するので、様々な商品への配合できると推測される。このため、本発明の保存性を改善する方法は、飲食品、化粧品、又は医薬品に適用することができる。
請求項10記載のシトルリン含有飲料の異臭発生抑制剤は、シトルリン含有飲料のpHを酸性域に調整する、酸味料若しくはpH調整剤を主成分とし、且つシトルリン含有飲料の異臭の発生を抑制する旨の表示が付されたことを特徴とする。
本発明は、酸味料若しくはpH調整剤の新たな用途、すなわち、シトルリン含有飲料の異臭発生抑制剤としての新たな用途を見出してなされた発明である。この異臭発生抑制剤は、酸味料若しくはpH調整剤を主成分とし、且つシトルリン含有飲料の異臭の発生を抑制する旨の表示が付されていることから、従来の酸味料若しくはpH調整剤と物として区別できる。
請求項11記載の方法は、シトルリン含有組成物のpHを酸性域に調整する、酸味料若しくはpH調整剤をシトルリンの分解による異臭発生の抑制剤の製造のために使用することを特徴とする。
本発明は、シトルリン含有飲料の異臭発生抑制剤という、酸味料若しくはpH調整剤の新たな用途に基づき、酸味料若しくはpH調整剤の新たな使用方法を提供するものである。従って、本発明によれば、シトルリンの分解による異臭発生の抑制剤の製造のために、酸味料若しくはpH調整剤を使用するという新たな使用方法を提供できる。
本発明によれば、シトルリンを含有する飲食品は、製造工程若しくは保存中にシトルリンが分解し、その分解物が異臭を生じる場合があることが初めて示された。かかる異臭は、飲食品のpHを酸味料若しくはpH調整剤によって酸性域にすることで抑制できる。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
本発明において「シトルリン含有飲食品」とは、シトルリンを配合した飲料及び食品を意味する。具体的には、シトルリンは下記の化学式(1)で示される。
Figure 0004964793
本発明に係る飲料は、ミネラルウォーター、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料、抹茶飲料、穀物茶飲料、乳飲料、果汁飲料、又は野菜汁飲料等のノンアルコール飲料に限られず、ビール、ワイン、ウィスキー、ブランデー、清酒、梅酒、発泡酒、焼酎、又は、カクテル類等のアルコール飲料であってもよい。特に、ミネラルウォーター、コーヒー飲料、茶系飲料、乳飲料等のpHが中性域の飲料が、本発明の異臭抑制効果が顕著に発揮されることから好ましい。
本発明に係る飲料の充填容器は、特に限定されるものではなく、飲料に通常用いられるものであれば目的に応じて任意に選択することができる。例えば、缶、ガラス瓶、紙パック、PETボトル等が挙げられる。特に、UVの影響を受けやすいガラス瓶、PETボトル等の透明容器が、本発明の異臭抑制効果が顕著に発揮されることから好ましい。
また、本発明に係る食品は、人間が日常生活で摂取するもののうち、飲料(液体を主体とするもの)以外のものを広く包括する概念である。例えば、菓子類(スナック菓子、クッキー等の焼菓子、チョコレート、ガム、キャンディ等)、デザート類(プリン、ゼリー、ムース、ヨーグルト、アイスクリーム等)のような嗜好食品のほか、麺類(そば、うどん、ラーメン、パスタ等)、シリアルフーズ(コーンフレーク、オートミール等)のような主食に準ずるもの、調味食品(レトルトスープ、レトルトカレー、レトルトシチュー等)、農産加工品(ジャム等)、乳油食品(スプレッド類、チーズ類)、健康食品(プロテイン、ファイバー等)、カロリー調整食品等が挙げられる。さらに、治療又はその補助のための食品も挙げられる。
上記飲食品は、かかる製品形態にするために、それぞれの目的に応じて他の栄養素成分、甘味料、香料、着色剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、安定化剤、酸化防止剤等の食品添加物を併せて用いることができる。
本発明における「異臭発生抑制のために、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量」は、シトルリン含有飲食品の保存により生じたシトルリンの分解物の量によって相対的に定まる概念である。よって、一概に定めることはできず、シトルリンの配合量や酸味料若しくはpH調整剤の種類に応じて適宜設定するものである。例えば、製品を摂取する際にシトルリンの分解物に由来する不快な臭いを感知しない程度の量であれば、本発明の目的は達せられる。
なお、「異臭発生抑制のために、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量」の一例を挙げると、配合量が0.18質量%のシトルリン含有水溶液を121.1℃、30分加熱殺菌処理した場合、フィチン酸は0.05質量%以上あればよい。
本発明における「シトルリン含有飲食品」は、0.025質量%以上のシトルリンを配合することが好ましい。0.025質量%以上配合すると、シトルリンの分解物由来の不快な臭いが感じられる場合があり(詳細は実施例1にて後述)、本発明の効果を十分に発揮することができるからである。上限は、飲食品として問題なく摂取できる量であれば、特に限定されない。なお、本発明におけるシトルリンの水に対する溶解性は、5℃の条件下で5.7質量%、50℃の条件下では24.2質量%であるので、溶解性の観点からは上記濃度が飲料における配合量の上限と考えられる。また、食品としてのシトルリン摂取量は、800mg/日が推奨されていることから、この量を1日に摂取できるように飲食品に配合することが好ましい。例えば、シトルリン800mgを配合した100mLの金属缶飲料を調製すると、1日に1本摂取すればよい。ところで、シトルリンを飲食品に多量に配合した場合には若干の苦味等を生じることが想定されるが、フレーバーや甘味料等を配合することで味覚的に問題なく摂取できる。
本発明における「酸性域」は、シトルリンの分解物に由来する不快な臭いを感知しない酸性のpH域を意味する。好ましくはシトルリンの等電点であるpH5.9以下であり、より好ましくは5.6以下である。これにより、シトルリンの分解物に由来する異臭が揮発しにくくなり、結果として不快な臭いが抑制されると推測される。
本発明における「酸味料若しくはpH調整剤」は、好ましくはアジピン酸、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、二酸化炭素、乳酸塩、氷酢酸、フィチン酸、フマル酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩又はこれらの任意の混合物を挙げることができるが、これらに限定されず、シトルリン含有飲食品のpHを上記酸性域にできるものであればよい。すなわち、上記以外の酸味料若しくはpH調整剤を用いたり、上記記載のものと併用してもよい。
この中でもフィチン酸が特に好ましい。これによれば、少量で飲食品のpHを酸性域にすることができる。さらに、フィチン酸は、酸味をあまり感じさせないので他の食品添加物や果汁によって味の変化を付けやすく、味覚の異なる多種類の飲食品を製造することができる。これにより、味覚的に飽きることなく、継続的にシトルリンを摂取できる。
本発明の製造方法における「シトルリンが分解に晒される状況下に置かれたとき」とは、シトルリン含有飲食品が、熱、UV等に晒される状況を意味し、例えば、殺菌工程等が挙げられる。かかる条件下に置かれたときに飲食品のpHを酸性域にすれば、異臭を抑制できる。
本発明における「シトルリン含有組成物」は、シトルリンが配合できる組成物を意味する。具体的には、飲食品、化粧品、又は医薬品が挙げられるが、これらに限定されない。シトルリンは、加工適性が優れているので、様々な商品への配合できると考えられる。
本発明における「旨の表示が付された」とは、シトルリン含有組成物が飲料である場合には、飲料用容器にその旨が付されたことを意味する。具体的には、ガラス瓶、金属缶、紙容器、PETボトルのような剛性容器に限定されず、抽出口付きのスタンドパック等の軟包装容器であってもよい。食品である場合には、食品自体、包装資材、包装容器等に付されたことを意味する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<実施例1>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を0.03g/L〜2.0g/Lの範囲内で配合したシトルリン含有水溶液(酸味料若しくはpH調整剤は未配合)を調製後、121.1℃の温度条件下で30分加熱殺菌処理した。そして、得られたシトルリン含有水溶液の異臭について、20名のパネリストによる官能評価をおこなった。その結果を表1に示す。

Figure 0004964793
表1の結果より、シトルリンを0.25g/L(0.025質量%)以上配合した水溶液では、加熱殺菌処理によるシトルリンの分解物由来の不快な臭いが感じられる場合があることが明らかとなった。
<実施例2>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、60℃の温度条件下で10日間保存した。保存後のシトルリン含有水溶液のpHは7.96であった。この溶液(以下、「シトルリン含有アルカリ性水溶液」とする)20mLに塩化ナトリウム(関東化学社製)10g、及びジクロロメタン(関東化学社製)1mLを添加して得られた溶液をGC−MS分析のための試料とした。
<比較例1>
また、比較例としてシトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸を1.2g/L、クエン酸ナトリウムを0.6g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、60℃の温度条件下で10日間保存した。保存後のシトルリン含有水溶液のpHは3.95であった。この溶液(以下、「シトルリン含有酸性水溶液」とする)20mLに塩化ナトリウム10g、及びジクロロメタン1mLを添加して得られた溶液をGC−MS分析のための試料とした。
パネリストによる臭いの官能評価の結果、シトルリン含有アルカリ性水溶液では異臭が感じられたが、シトルリン含有酸性水溶液では感じられなかった。次に、ガスクロマトグラフ質量分析(以下、「GC−MS分析」と略す)をおこなった。具体的には、以下の条件にて測定した。ガスクロマトグラムを図1に示し、図1における保持時間7.45分のピークの質量スペクトルを図2に示す。
<GC−MS分析条件>
機器:アジレント・テクノロジー社製GC6890N、MSD5973
カラム:DB−WAX、0.25mm×30m×0.25μm(J&W社製)
昇温プログラム:40℃(5分間保持)→3℃/分→180℃
注入口温度:240℃
検出器温度:230℃
キャリアガス:ヘリウム(1.6mL/分)
注入量:2μl(注入モード:スプリットレス法)
捕捉モード:SCAN(2.29Scan/sec)
Scan Mass Range:29〜350amu
シトルリン含有アルカリ性水溶液をGC−MS分析した結果、保持時間7.45分にピークが検出された。これに対して、シトルリン含有酸性水溶液では検出されなかった。また、保持時間7.45分のピークの質量スペクトルから、検出されたピークはシトルリンの分解物に由来する異臭成分のものであると考えられる。
<実施例3>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を0.9g/L、フィチン酸(筑野食品工業社製)を1.0g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、121.1℃の温度条件下で30分加熱殺菌処理した(実施例4〜10、比較例2〜5も同様の条件にて保存)。上記のようにして得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前(これを初期とし、以下の実施例及び比較例も同様とする)及び加熱殺菌処理後のpHを堀場製作所製のカスタニーLABpHメーターを用いて測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について官能評価した。具体的には、シトルリン、酸味料等の配合量を変化させ、それぞれの水溶液について、20名のパネリストによって異臭の有無を評価してもらうものである。
<実施例4>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を0.9g/L、フィチン酸を1.0g/L、クエン酸ナトリウム(三栄源エフエフアイ株式会社製)を0.2g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<実施例5>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を0.9g/L、フィチン酸を1.0g/L、クエン酸ナトリウムを0.4g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<実施例6>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を0.9g/L、フィチン酸を1.0g/L、クエン酸ナトリウムを0.6g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<実施例7>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸(三栄源エフエフアイ社製)を1.8g/L、クエン酸ナトリウムを0.5g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<実施例8>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸を1.2g/L、クエン酸ナトリウムを0.6g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<実施例9>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸を1.0g/L、クエン酸ナトリウムを0.8g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<実施例10>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸を0.8g/L、クエン酸ナトリウムを1.0g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<比較例2>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を0.9g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<比較例3>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<比較例4>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸ナトリウムを1.2g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
<比較例5>
シトルリン(和光純薬工業(株)製「L−シトルリン」)を1.8g/L配合したシトルリン含有水溶液を調製後、実施例3と同様の条件で加熱殺菌処理した。実施例3と同様に、得られたシトルリン含有水溶液について、加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpHを測定した。また、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液について異臭の有無を官能評価した。
実施例3〜10、比較例2〜5の加熱殺菌処理前及び加熱殺菌処理後のpH測定結果、官能評価結果を表2に示す。
Figure 0004964793
比較例2、3及び5の結果から、シトルリン含有水溶液の加熱殺菌処理により生じたシトルリンの分解物は塩基性であると考えられる。
比較例3及び5の結果から、シトルリンの供給先の相違による分解及び異臭の発生の違いは無いと考えられる。
実施例3〜10、比較例2〜5の結果から、加熱殺菌処理後のシトルリン含有水溶液のpHが酸性域であれば異臭が感知されないことが明らかとなった。
<実施例11>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸を1.2g/L、クエン酸ナトリウムを0.6g/L配合した、保存後に異臭が発生していない水溶液(pH3.6)に水酸化ナトリウムを添加し、pH9.72に調整した。その結果、異臭が確認された。
<実施例12>
シトルリン(協和発酵(株)製「発酵シトルリン協和」)を1.8g/L、クエン酸三ナトリウムを1.2g/L配合した、保存後に異臭が発生している水溶液(pH7.6)にクエン酸を添加し、pH2.91に調整した。その結果、異臭の抑制が確認された。
この結果から、異臭がすでに発生した場合であっても、飲料のpHを酸性域にすることで異臭を抑制できることが明らかとなった。
シトルリン分解物由来の異臭成分のガスクロマトグラムを示す図である。 シトルリン分解物由来の異臭成分の質量スペクトルを示す図である。

Claims (9)

  1. シトルリンの分解物による異臭発生抑制のために、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量の酸味料若しくはpH調整剤を配合し
    前記酸味料若しくはpH調整剤はフィチン酸であるシトルリン含有飲食品。
  2. 前記飲食品へのシトルリンの配合量が0.025質量%以上である、請求項1記載のシトルリン含有飲食品。
  3. シトルリンが分解に晒される状況下に置かれたときには、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量のフィチン酸を用いて飲食品のpHを酸性域に調整する工程を含むシトルリン含有飲食品の製造方法。
  4. 前記酸性域は、シトルリンの分解物による異臭発生を抑制可能なpHである、請求項記載のシトルリン含有飲食品の製造方法。
  5. シトルリン含有飲食品の製造工程において、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量のフィチン酸を用いてpHを調整することにより、シトルリンの分解物による異臭の発生を調整する方法。
  6. シトルリン含有組成物のpHを、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量のフィチン酸を用いて酸性域に調整することにより、シトルリン含有組成物の保存性を改善する方法。
  7. 前記シトルリン含有組成物は、飲食品、化粧品、又は医薬品である、請求項記載のシトルリン含有組成物の保存性を改善する方法。
  8. シトルリン含有飲料のpHを酸性域に調整する、飲食品のpHを酸性域にするのに十分な量のフィチン酸を主成分とし、且つシトルリン含有飲料の異臭の発生を抑制する旨の表示が付された異臭発生抑制剤。
  9. フィチン酸をシトルリンの分解による異臭発生の抑制剤の製造のために使用する方法。
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