JP4963451B2 - 金属製品の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属製品に高い疲労強度を付与するために、これを加工する方法に関する。
気候変動枠組条約によれば、人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度を著しく増加させ、地表及び地球の大気を全体として温暖化することとなり、自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼしている、と認識され、温室効果ガスの濃度を安定化させることが、この条約の究極的な目的となっている。
このような背景から、自動車には燃費向上が強く望まれ、これに応えるべく自動車に軽合金製の部品が広く使用されるようになった。そして、近年、更に軽量化すべく軽合金製部品には薄肉化が求められ、その結果、薄肉化しても長期信頼性を発揮し得るように、高い疲労強度を軽合金製部品に付与する手段が必要となった。
尚、かかる観点より、自動車の軽合金製部品の改善要望に応えようとする技術を開示した先行文献は、存在しないようであるが、後述する加工材の衝突に係る先行文献としては、特許文献1を挙げることが出来る。
特開2004−176707号公報
本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その課題は、軽合金製部品を含む金属製品に対し、高い疲労強度を付与し得る手段を提供することにある。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記課題を解決し得ることが見出された。
先ず、本発明によれば、金属製品の被処理面に、その被処理面に対向する面が円弧面になるように、且つ、比重が2〜10で径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体を含んで構成される加工材が存在するようにして、閉空間を形成し、被処理面の面方向と平行な方向に、又は、被処理面の面方向となす角度が30°以内となる方向に、揺動をさせ、被処理面に、加工材の衝突をさせる金属製品の加工方法が提供される。
被処理面の面方向と平行な方向に揺動をさせる場合、揺動の方向と、被処理面の面方向とが、なす角度は0(零)°である。即ち、本発明に係る金属製品の加工方法は、揺動の方向と、被処理面の面方向とが、なす角度が0〜30°になるように、揺動をさせるものである。
金属製品の被処理面に比重が2〜10で径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体を含んで構成される加工材が存在するようにして閉空間を形成し、とは、揺動を始める前に、金属製品の被処理面に、加工材が存在する閉空間が形成されていることを意味する。例えば、金属製品の被処理面に閉空間を形成し、その閉空間に比重が2〜10で径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体を含んで構成される加工材を投入してもよい。即ち、閉空間を形成した後で、その閉空間を一旦開け、加工材を投入して閉じる手段を採用することが出来る。本発明に係る金属製品の加工方法において、肝要なことは、揺動を始める前に、金属製品の被処理面に、加工材が存在する閉空間が形成されていることである。換言すれば、本発明に係る金属製品の加工方法は、被処理面に閉空間が形成され、その閉空間に加工材が存在する(投入された)、金属製品を揺動する方法である。
金属製品の被処理面にその被処理面に対向する面が円弧面になるように閉空間を形成し、とは、閉空間が、金属製品の被処理面と、その被処理面に対向する円弧面と、を含む面で形成されることを意味する。即ち、金属製品の被処理面自体が、閉空間を形成する一の面になっている。閉空間は、加工材が飛び出さない程度に閉じた空間であればよく、密閉空間でなくてもよい。
加工材を特定する多面体の径は、多面体の中心を通り多面体の外面と外面とを結ぶ距離の最大値と最小値の平均とする。揺動とは、一定の揺れ動きを意味し、一の軌道上の周期的な往復運動を指す。これは振動と重なる概念である。
本発明に係る金属製品の加工方法は、上記揺動をさせる方向が、鉛直方向である場合に好適に用いられる。
本発明に係る金属製品の加工方法は、加工対象となる金属製品が、サポートビーム、シートバックフレーム、フライホイールハウジング、ディファレンシャルキャリア、フロントサブフレームからなる群から選ばれる自動車用部品である場合に、好適に用いられる。
サポートビームとは、エアバッグ式のサスペンションを備えた大型トラックに使用される部品である。シートバックフレームとは、自動車のシートの背もたれ部を構成するフレームである。フライホイールハウジングとは、フライホイールのハウジングであり、特にトラック用のフライホイールハウジングに、本発明に係る金属製品の加工方法は好適に使用される。ディファレンシャルキャリアは、ディファレンシャルギアのキャリアである。フロントサブフレームは、車軸の上側に位置する自動車の足回り部品である。これらの自動車用部品は、全て部分的あるいは全体的に疲労強度を向上させ、薄肉化、軽量化することが求められているものである。
本明細書において、金属製品とは、金属からつくった品物を意味し、金属製品には、完成品や部品、あるいは最終製品や中間製品又は仕掛品を含むものとする。又、金属製品には軽合金製品が含まれる。この軽合金製品にかかる軽合金とは、アルミニウム合金、マグネシウム合金等を指す。例えば、アルミニウム合金として鋳造用のAC4C、AC4CH、AC4B、AC4D、AC2A、AC2B、AC3A(日本工業規格(JIS)に基づく記号)等を例示することが出来る。マグネシウム合金としては、AZ91、AM60等を例示することが出来る。
本発明に係る金属製品の加工方法は、金属製品の被処理面に、その被処理面に対向する面が円弧面になるように、閉空間を形成し、その閉空間に、加工材を投入し、被処理面の面方向と平行な方向に、又は、被処理面の面方向となす角度が30°以内となる方向に、揺動をさせ、被処理面に、加工材の衝突をさせる方法であるので、加工材を金属製品の被処理面に衝突させることにより、被処理面の表面層に圧縮残留応力を付与し、金属製品の疲労強度を向上させることが可能である。従って、本発明に係る金属製品の加工方法を施した金属製品は、そうしていないものに比して、より薄肉化することが出来、薄肉化しても、長期信頼性を発揮し得る。尚、本明細書において、表面層とは表面及び表層を意味する。表層とは表面を除き、表面の近傍を示す。
本発明に係る金属製品の加工方法は、金属製品の被処理面に閉空間を形成し、加工材を投入して、揺動をさせるものであるから、特に、金属製品の一部分の疲労強度を向上させるのに、好適な方法である。
圧縮残留応力を付与し疲労強度を向上させ、特に対象が一部分である場合に好適、という点で、本発明に係る金属製品の加工方法は、従来知られたショットピーニング法と共通する。しかし、具体的手段は全く異なる。本発明に係る金属製品の加工方法は、ショットピーニング法のようにショットを投射するものではない。投射装置は不要である。又、加工材は閉空間内で運動するので、ショットピーニング法のように投射したショットの処理は必要ない。
本発明に係る金属製品の加工方法は、金属製品の被処理面に閉空間を形成し、加工材を投入して、揺動をさせるものであるので、ショットピーニング法に比して、比重が大きく重い加工材を、あるいは径の大きな加工材を、簡便に利用することが出来る。そのため、効率よく、圧縮残留応力の付与、疲労強度の向上を図ることが出来る。又、付与される圧縮残留応力や、疲労強度の向上の程度も、ショットピーニング法より大きくなり得る。
衝突という作用に基づく点で、本発明に係る金属製品の加工方法は、従来知られたバレル研磨法と共通する。しかし、具体的手段は全く異なる。本発明に係る金属製品の加工方法は、バレル研磨法のように被処理体(金属製品)全体を研磨剤(加工材)と一緒に閉空間に入れて、揺動をさせるものではない。本発明に係る金属製品の加工方法では、揺動装置を必要とするが、金属製品が大きなものであっても、対応する揺動装置は、バレル研磨法のように全体を囲う必要はないから、バレル研磨装置に比して、より小さな装置で対応出来る。
本発明に係る金属製品の加工方法では、被処理面の面方向と平行な方向に揺動をさせ、被処理面に加工材の衝突をさせる。衝突という作用を発現するためには、被処理面の面方向と垂直な方向に揺動をさせ、その揺動方向に往復運動する加工材を、被処理面に垂直に衝突をさせることが一般的であると考えられる。しかし、本発明に係る金属製品の加工方法では、揺動方向と被処理面の面方向とが平行であってよい。これは、加工材が投入される閉空間において、金属製品の被処理面に対向する面が円弧面になっているからである。閉空間を形成する面のうち被処理面以外の面に円弧面が存在することにより、被処理面の面方向と平行な方向に揺動をさせたときに、加工材は、円弧面によって、閉空間の中で回転運動をするようになり、金属製品の被処理面に、連続して、均一に衝突する。円弧面が存在しないと、加工材は、揺動の方向、即ち、被処理面の面方向と平行な方向に往復運動をするだけであり、圧縮残留応力が効率よく付与されるように、被処理面に加工材の衝突をさせることは困難である。円弧面が存在することにより、加工材は、円弧面に沿って回転運動をするようになり、被処理面への衝突を繰り返す。回転運動をした加工材が均一に金属製品の被処理面に衝突をし、効率よく圧縮残留応力を付与し易くなるという観点から、金属製品の被処理面は、平面であることが好ましい。
本発明に係る金属製品の加工方法では、揺動方向と被処理面の面方向とがなす角度が30°以内であってよい。このように、角度が小さい場合でも、加工材は、円弧面によって、閉空間の中で回転運動をするようになり、金属製品の被処理面に、連続して、均一に衝突する。円弧面が存在せず、揺動方向と被処理面の面方向とがなす角度が小さい場合には、揺動方向と被処理面の面方向とが平行な場合(角度が0°の場合)よりは、加工材は被処理面に衝突をするようになるものの、加工材が回転運動をしないため、効率よく衝突をさせることは難しい。
円弧面は、金属製品の被処理面に対向する面として設けられる必要があるが、既述の通り、円弧面は、加工材を閉空間の中で効率よく回転運動をさせるように設けられるものであるから、それが可能な円弧面が存在する限り、閉空間を形成する面であって金属製品の被処理面以外の面が、全て円弧面である必要はない。加工材が円弧面に沿って滑らかに回転運動をするようになるためには、円弧面は、揺動の方向に平行であって且つ金属製品の被処理面に垂直な面(断面)において円弧が現れるように、設けられることが好ましい。換言すれば、金属製品の被処理面に垂直な面(断面)において円弧が現れる当該面(断面)の方向に、揺動をすることが好ましい。
既述のように、衝突という作用を発現するためには、被処理面の面方向と垂直な方向に揺動をさせることが一般的であると考えられる。ところが、この一般的な方法の場合、被処理面の面方向を水平にして、それに垂直な鉛直方向に加工材が往復運動するように、揺動を鉛直方向にさせる必要がある。そうしない場合、例えば、被処理面の面方向を鉛直にして、それに垂直な水平方向に加工材を往復運動させると、加工材は一定の比重(質量)を有することから、重力によって、加工材が金属製品の被処理面の下側のみに集中して衝突をしてしまい、加工材を金属製品の被処理面全体に、均一に、衝突をさせることが出来ない。又、重力によって、加工材が、金属製品の被処理面の下側に集中して衝突をする結果、加工材どうしが無駄に衝突してエネルギーを損失するので、効率よく加工材を金属製品の被処理面に衝突をさせることが出来ない。本発明に係る金属製品の加工方法では、円弧面によって加工材が回転運動をして被処理面へ衝突をするので、加工材を金属製品の被処理面に均一に衝突をさせる上で、被処理面の面方向は水平に限定されない。本発明に係る金属製品の加工方法において、被処理面の面方向を鉛直にして、それに平行な鉛直方向に揺動をさせることは、好ましい態様である。
本発明に係る金属製品の加工方法は、サポートビーム、シートバックフレーム、フライホイールハウジング、ディファレンシャルキャリア、フロントサブフレームからなる群から選ばれる自動車用部品を、好適に加工し得るので、これら自動車部品に圧縮残留応力を付与し、疲労強度を向上させることが可能である。従って、本発明に係る金属製品の加工方法を施した自動車部品は、そうしていないものに比して、より薄肉化することが出来、薄肉化しても、長期信頼性を発揮し得る。薄肉化により自動車は軽量になるので、自動車の燃費を向上させ、温室効果ガスの濃度低減に寄与する。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
図1A、図1B、及び図1Cは、本発明に係る金属製品の加工方法の一の実施形態を示す断面図である。図1Aは、揺動をさせる前の状態を表しており、図1B及び図1Cは、揺動中の状態を表している。図1A、図1B、及び図1Cにおいて、矢印S1は鉛直方向を示している。図2、図3、及び図4は、加工対象となる金属製品の一例である自動車部品を示す斜視図であり、図2はサポートビーム、図3はシートバックフレーム、図4はディファレンシャルキャリアを、それぞれ表している。図2、図3、及び図4において、矢印は外力がかかる方向を示しており、各自動車部品においては、この外力がかかる場所の疲労強度を高める必要がある。
本発明に係る金属製品の加工方法を行うために、先ず、加工対象となる自動車部品の被処理面を特定する。ここでは、例えば、AC4CH合金製のサポートビーム(図2を参照)を金属製品1とし、外力がかかる場所を被処理面1aとする。そして、別途、治具2を用意する。この治具2は、円弧面2aで形成された主凹部7と、それとは別に加工材5を収容するための副凹部6を備える。
金属製品1の被処理面1aに、加工材5を副凹部6に収容した治具2を被せて固定すると、被処理面1aに対向する面が円弧面2aになった閉空間8が形成される(図1Aを参照)。円弧面2aは、被処理面1aに対向して設けられた面であり、揺動の方向(矢印S1の方向)に平行であって且つ被処理面1aに垂直な断面(この断面が図1A、図1B、及び図1Cに示される断面である)において円弧が現れるように設けられた面である。
この状態から、被処理面1aを鉛直方向に立てたまま、その面方向と平行な鉛直方向(矢印S1の方向)に、金属製品1を揺動させる。そうすると、副凹部6に収容された加工材5は、揺動によって、副凹部6から閉空間8へ飛び出し(図1Bを参照)、被処理面1aに衝突をして、被処理面1aを加工する。具体的には、被処理面1aに対向する面が円弧面2aになった閉空間8が形成された金属製品1及び治具2を鉛直方向に揺動をさせると、加工材5は、閉空間8の中で、円弧面2aに沿って、一定の間隔を持った集まりとして、回転運動をするようになり、金属製品1の被処理面1aに、均一に衝突する(図1Cを参照)。
加工材5が金属製品1の被処理面1aに衝突することによって、金属製品1の被処理面1aの表面層に圧縮残留応力が付与され、金属製品1の疲労強度を向上させる。加工材5は、元々、閉空間8を構成する主凹部7の下側に位置する副凹部6に収容されていたのであり、鉛直方向に揺動をする際には、閉空間8へ飛び出し、回転運動をして金属製品1の被処理面1aに衝突をするが、揺動を終えると、重力で自然と元の位置、即ち副凹部6に収容された状態に戻る。
尚、図1A〜図1Cに示される、鉛直方向の揺動に伴って閉空間8の中で生じる加工材5の回転運動は、発明者の視覚を通じた観察による一のモデルである。治具2の側面を透明部材で構成して、揺動中の閉空間8の中を観察したところ、概ね、既述の回転運動を見ることが出来た。一方で、金属製品1の被処理面1aの残留応力を測定したところ、概ね均一な大きさで付与されていた。
図5は、金属製品1の被処理面1aに、本発明に係る金属製品の加工方法を施したときの、被処理面1aの位置毎に、残留応力と表面からの深さとの関係を示したグラフである。図5において、下とは被処理面1aの(図中の)下側部分、中とは被処理面1aの(図中の)中央部分、上とは被処理面1aの(図中の)上側部分を意味する。又、未処理とは、本発明に係る金属製品の加工方法を施す前の状態における残留応力と表面からの深さとの関係を指す。図5より、被処理面1aの何れの部分でも、概ね同等に残留応力が付与されていることがわかる。尚、本例においては、比重7.8で径がφ12mmの鋼球を加工材5として使用し、揺動条件は、振動数10Hz、揺れ幅60mm、揺動時間3分とした。
図1A〜図1Cに示した回転運動のモデルから考察すると、被処理面1aの(図中の)下側の方が加工材5の衝突の力が大きく、上側の方では加工材5がずれて動くので衝突の力が小さいようにも思える。しかし、上記残留応力測定の結果から、加工材5は一定の間隔を持った集まりとしては回転運動をしているように見えるが、個々の加工材5は、(図中の)上側の方でも下側と同様に被処理面1aに確実に衝突をしているものと推察される。
本発明に係る金属製品の加工方法を行うために、被処理面1aに閉空間8が形成された金属製品1を揺動させる手段は、限定されるものではない。例えば、原動機で揺動にかかる動力(回転運動)を発生させ、その回転運動を、クランクによって往復運動に変換する装置を例示することが出来る。
加工材5は、比重が2〜10で径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体が少なくとも含まれるものである。加工材5の比重は、金属製品1の被処理面1aの表面層に効率よく圧縮残留応力を付与するという観点から、好ましくは5〜10である。又、加工材5は、径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体が、加工材5全体の70体積%以上を占めることが好ましい。
加工材5としては、例えば金属球又はセラミック球を含むものが好ましく採用される。金属球又はセラミック球を単独で用いてもよく混合して用いてもよい。金属球として鋼球、ステンレス球が例示され、セラミック球としてジルコニア球、アルミナ球が例示される。比重、硬度、コストの観点より、より好ましい金属球は鋼球であり、より好ましいセラミック球はジルコニア球である。
加工材5の投入量は、閉空間8の容積に対し、体積比で概ね5%以上30%以下であることが好ましい。加工材5が閉空間8の中で自由に動き、加工材5が金属製品1の被処理面1aに衝突し易くするためである。
揺動の条件は、揺動にかかる振動数が、3Hz以上30Hz以下であることが好ましい。揺動にかかる振動数は、より好ましくは、5Hz以上20Hz以下、特に好ましくは8Hz以上15Hz以下である。尚、振動数とは時間あたり繰り返される揺動の回数を指し、単位はヘルツ(Hz)である。
揺動にかかる揺動時間は、10秒以上3分以下であることが好ましい。より好ましい揺動時間は20秒以上2分以下である。又、揺動をさせる場合の揺れ幅は、概ね10mm以上120mm以下であることが好ましい。より好ましい揺れ幅は20mm以上100mm以下であり、特に好ましい揺れ幅は30mm以上80mm以下である。
本発明に係る金属製品の加工方法は、あらゆる金属製品に対し、圧縮残留応力を付与し、疲労強度を向上させる手段として利用することが可能である。特に、軽合金製の自動車部品に圧縮残留応力を付与し、疲労強度を向上させ、薄肉化・軽量化を実現するための手段として、本発明に係る金属製品の加工方法は好適に利用される。
本発明に係る金属製品の加工方法の一の実施形態を示す断面図であり、揺動をさせる前の状態を表す図である。 本発明に係る金属製品の加工方法の一の実施形態を示す断面図であり、揺動中の状態を表す図である。 本発明に係る金属製品の加工方法の一の実施形態を示す断面図であり、揺動中の状態を表す図である。 本発明に係る金属製品の加工方法が加工対象とする金属製品の一例を示す斜視図であり、サポートビームを表す図である。 本発明に係る金属製品の加工方法が加工対象とする金属製品の一例を示す斜視図であり、シートバックフレームを表す図である。 本発明に係る金属製品の加工方法が加工対象とする金属製品の一例を示す斜視図であり、ディファレンシャルキャリアを表す図である。 本発明に係る金属製品の加工方法の効果を示すグラフであり、金属製品の被処理面の位置毎の、残留応力と表面からの深さとの関係を示したグラフである。
符号の説明
1 金属製品、1a 被処理面、2 治具、2a 円弧面、5 加工材、6 副凹部、7 主凹部、8 閉空間。

Claims (3)

  1. 金属製品の被処理面に、その被処理面に対向する面が円弧面になるように、且つ、比重が2〜10で径がφ5mm以上φ20mm以下の球状体又は多面体を含んで構成される加工材が存在するようにして、閉空間を形成し、
    前記被処理面の面方向と平行な方向に、又は、前記被処理面の面方向となす角度が30°以内となる方向に、揺動をさせ、
    前記被処理面に、前記加工材の衝突をさせる金属製品の加工方法。
  2. 前記揺動をさせる方向が、鉛直方向である請求項1に記載の金属製品の加工方法。
  3. 加工対象となる金属製品が、サポートビーム、シートバックフレーム、フライホイールハウジング、ディファレンシャルキャリア、フロントサブフレームからなる群から選ばれる自動車用部品である請求項1又は2に記載の金属製品の加工方法。
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