JP4963062B2 - Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法 - Google Patents

Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4963062B2
JP4963062B2 JP2006349693A JP2006349693A JP4963062B2 JP 4963062 B2 JP4963062 B2 JP 4963062B2 JP 2006349693 A JP2006349693 A JP 2006349693A JP 2006349693 A JP2006349693 A JP 2006349693A JP 4963062 B2 JP4963062 B2 JP 4963062B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
site
substrate
oxide thin
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006349693A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008156188A (ja
Inventor
智彦 中島
哲男 土屋
俊弥 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2006349693A priority Critical patent/JP4963062B2/ja
Publication of JP2008156188A publication Critical patent/JP2008156188A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4963062B2 publication Critical patent/JP4963062B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Description

本発明はAサイトが層状秩序化したペロブスカイト型Mn酸化物薄膜及びその製造法に関するものである。
IT関連技術を中心とした情報化社会の発展に伴い、膨大な大きさのデータを取り扱う必要に迫られている。中でも大容量のストレージデバイスの高性能化に対する需要が益々高まってきており、磁気・光ディスクメモリや様々な電子機器に搭載される不揮発メモリの開発が進められている。また高記録面密度を持つ磁気ディスクには読み取り装置である磁気ヘッドに高感度な磁気センサーが必要とされるため、今後のさらなる磁気ディスクの大容量化に対応するために磁場に対して大きな応答を示す材料の開発が期待されている。
ペロブスカイト型構造を有するマンガン酸化物は従来から非常に大きな磁気抵抗効果を示す物質として注目されていた。この大きな磁気抵抗はMn3+とMn4+が電荷整列した絶縁体相が磁場を印加することで金属化され、電気抵抗率が何桁も減少する現象(巨大磁気抵抗効果)を示す(特許文献1〜3、非特許文献1参照)。しかしながら、当初は室温以上で電荷整列を起こす物質が発見されていなかったために室温付近では磁気抵抗の大きな効率を得ることは出来ていなかった。
近年、室温巨大磁気抵抗材料のポテンシャルを持つ、電荷整列を室温以上起こす物質が発見された。非特許文献2に報告されているBi0.5Sr0.5MnO3や本発明者らによって発見されたRBaMn2O6(R:Y,希土類元素)である(非特許文献3)。これらの物質では室温よりもはるかに高い温度で電荷整列転移を示すために室温巨大磁気抵抗材料の候補材料として注目を浴びた。
しかしながらこれらの物質はその電荷整列が安定化されすぎているために数テスラ程度の磁場に対しては応答を示さず、室温での磁気抵抗効果は認められなかった。2005年になり本発明者らは、この問題を解決するためにRBaMn2O6に改良を加え、室温で巨大な磁気抵抗効果を示す物質Sm1-xLax+yBa1-yMn2O6を開発した。この物質の母物質であるSmBaMn2O6はペロブスカイト型構造のAサイト(Sm,Ba)を層状に規則配列させた構造を持っており、室温よりも高温の100℃付近で電荷整列を起こし絶縁体となる。しかしSmBaMn2O6の電荷整列相は非常に安定で磁場を9Tまで印加しても磁気抵抗効果は得られなかった。そこで、本発明者らは、この母物質にLaをドーピングし、結晶構造・静電ポテンシャルを乱すとともにキャリアコントロールを行ったSm1-xLax+yBa1-yMn2O6では、室温で非常に大きな磁気抵抗効率を得ることに成功した(非特許文献4)。
これら物質開発が進む中、デバイス応用のために必要不可欠な薄膜化は成功していなかった。前述した電荷整列相を室温以上で示し、室温巨大磁気抵抗材料の候補物質のひとつであるBi0.5Sr0.5MnO3については特許文献4に報告されるようにパルスレーザーデポジション(PLD)法を用いて薄膜化に成功している。しかし、唯一室温で電荷整列転移を数テスラの磁場によって金属化し巨大磁気抵抗効果を発現させることの出来るAサイト秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は得られていない。
近年、新たな酸化物薄膜の作製法として、紫外線パルスレーザを用いたある種の金属酸化物の製膜法が開発されており、PLD法などの物理蒸着法とは異なる製膜プロセスとして注目されている。この手法は塗布光照射法と呼ばれており、金属有機酸塩ないし有機金属化合物M(ただしM=Si、Ge、Sn、Pbの4b族元素、Cr、Mo、Wの6a族元素、Mn、Tc、Reの7a族元素:R=CH、C、C、Cなどのアルキル基、あるいはCHCOO、CCOO、CCOO、CCOOなどのカルボキシル基、あるいはCOのカルボニル基:m、nは整数)を可溶性溶媒に溶かし、あるいは液体のものはそのまま、該溶液を基板上に分散塗布した後、酸素雰囲気下でエキシマレーザを照射することを特徴とする、エキシマレーザによる金属酸化物および金属酸化物薄膜の製造方法である(特許文献5)。
塗布光照射法は、塗布熱分解(MOD)法として知られているような手法と異なり、高温下(500℃以上)で熱処理することなく基板上に金属酸化物を製造する方法であり、金属有機化合物(金属有機酸塩、金属アセチルアセトナト、 炭素数6以上の有機基を有する金属アルコキシド)を溶媒に溶解させて溶液状とし、これを基板に塗布した後に、乾燥させ、波長400nm以下のレーザ光を照射することにより基板上に金属酸化物を形成することを特徴とする金属酸化物の製造方法として知られている(特許文献6)。
ここでは、金属有機化合物を溶媒に溶解させて溶液状とし、これを基板に塗布した後に、乾燥させ、波長400nm以下のレーザ光、例えば、ArF、KrF、XeCl、XeF、Fから選ばれるエキシマレーザを用いて照射することにより基板上に金属酸化物を形成することを特徴とする金属酸化物の製造方法が記載され、波長400nm以下のレーザ光の照射を、複数段階で行い、最初の段階の照射は金属有機化合物を完全に分解させるに至らない程度の弱い照射で行い、次に酸化物にまで変化させることができる強い照射を行うことも記載されている。また、金属有機酸塩の金属が、鉄、インジウム、錫、ジルコニウム、コバルト、鉄、ニッケル、鉛、チタン、亜鉛から成る群から選ばれるものであることも知られている。
またさらに、La、MnおよびCa、SrもしくはBaの各酸化物の原料成分を含む前駆体塗布液を被塗布物の表面に塗布して成膜した後、被塗布物表面に形成された薄膜を結晶化させて、組成式(La1−x)MnO3−δ(M:Ca,Sr、Ba、0.09≦x≦0.50)で表わされる複合酸化物膜を形成する複合酸化物膜の製造方法において、前記前駆体塗布液を被塗布物の表面に塗布して成膜した後、被塗布物表面に形成された薄膜に対し波長が360nm以下である光を空気中で照射して薄膜を結晶化させることを特徴とする複合酸化物膜の製造方法が知られている(特許文献7参照)。
ここでは、被塗布物の表面に形成された薄膜に対して光を照射する光源が、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザ、XeFエキシマレーザ、YAGレーザの3倍波光またはYAGレーザの4倍波光が用いられ、被塗布物の表面に塗布される前駆体塗布液が、Laのアルカノールアミン配位化合物と、Mnのカルボン酸塩と、Mの金属またはアルコキシドとを、炭素数が1〜4である一級アルコール中で混合させ反応させて調整することが記載されている。
特許第2685721号(特開平8−133894号) 特許第2812913号(特開平9−249497) 特許第2812915号(特開平9−263495) 特開2005-200271号公報 特許2759125号明細書 特開2001-31417号公報 特開2000-256862号公報 Phys. Rev. B 60 (1999)9506. J . Appl. Phys. vol. 93(2003) 7370. J. Phys. Soc. Jpn. 71 (2002) 2843. J. Appl. Phys. 98 (2005) 46108.
これまで、室温巨大磁気抵抗材料であるAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物(RBaMn2O6)の薄膜化は成功していない。そこで本発明は、前述の塗布光照射法によって基板上に結晶化したAサイト秩序型ペロブスカイトMn酸化物の薄膜形成を可能にする製造方法を提供する。
上記目的を達成するために本発明はAサイト秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造において、塗布熱分解法における熱処理過程の一部を紫外光(レーザー)照射で置き換える。すなわち、金属有機化合物の溶液を支持体上に塗布及び乾燥工程(1)、有機成分の熱分解仮焼成工程(2)、Aサイト秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜への変換を行う本焼成工程(3)をへて製造する際に、工程(2)および工程(3)と並行してあるいは工程(2)の前に、紫外光(レーザ)、特に400nm以下の波長を照射することを特徴とするAサイト秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法である。これにより、薄膜材料の低温・高速製膜(熱処理時間の大幅な短縮)が可能になるとともに、マスクの使用や紫外光の照射位置を精密に制御することにより、素子に必要なパターニングを製膜と同時に行うことができる。
すなわち、本発明の特徴は、次のとおりである。
(1)基板上に組成式RBaMn2O6-d(RイオンとBaイオンはペロブスカイト型構造(AMnO3型)のAサイトを占め、層状に交互に規則配列した結晶構造を持つことを特徴とするAサイト層状秩序ペロブスカイト型マンガン酸化物(式中、RはY,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Tb,Hoの少なくとも1種類より選ばれる3価イオンであり、RとBaの比(R/Ba)は0.5〜2.0の範囲であり、R/Ba=1.0からずれた場合は多く入った方が、もう一方のサイトに固溶していても良く、さらに、BaはCaやSrによって一部置換されていても良く、MnサイトにはCrやRuの金属イオンが微量置換されていても良い。dは0〜1の範囲をとる。)から成る薄膜を形成させる方法において、上記物質の各構成元素を含む有機金属薄膜を基板上に塗布し、熱分解させてアモルファス化させた後、不活性気体中で、500℃〜800℃の温度に保持し、紫外レーザを照射しつつ、結晶化することを特徴とするAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
(2)有機金属薄膜が、Rの有機化合物の溶液、Baの有機化合物の溶液、Mnの有機化合物の溶液を混合した溶液を基板に塗布したものであり、有機化合物がβ−ジケトナト、長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸から選ばれる塩を用いた(1)に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
(3)有機が、炭素数2〜30の有機酸、炭素数6〜20ヒドロキシ有機酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸から選ばれる1種である(2)に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
(4)照射する紫外光が400nm以下のパルスレーザである(1)に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
(5)基板がSrTiO3基板であり、紫外レーザがフルエンス:130mJ/cm2以上の波長248nmの紫外線である、(1)ないし(3)のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
(6)予め有機金属薄膜に紫外ランプを照射した有機金属薄膜を用いる()に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
(7)紫外レーザ照射によって結晶化させた薄膜を空気中もしくは酸素雰囲気中、450〜600℃で熱処理することによって酸素欠損をなくすことを特徴とする(1)〜(4)、(6)のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
)基板が、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、酸化ランタンストロンチウムタンタルアルミニウム((LaxSr1-x)(AlxTa1-x)O3)、ネオジムガレート(NdGdO3)、石英ガラス、から選ばれる無機酸化物単結晶基板の1種、もしくはシリコン、金属から選ばれる金属基板の1種である(1)〜(4)、(6)、(7)のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
)基板上に酸化物及び金属薄膜を形成した基材上に形成されることを特徴とする()に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
本発明は、従来不可能であったAサイトが層状秩序したペロブスカイト型Mn酸化物を種々の基板上に製膜することを可能とする発明であり、一部の組成をとるものは室温で巨大磁気抵抗効果を示すため、磁気ヘッドへの応用が期待される。また本発明は低温で製造効率が良いため、大量生産にも適する特徴を持つ。
本発明においては、先駆体の有機膜の製造方法は、他の物理的手法(スパッタリング、MBE、レーザーアブレーション)、化学的手法(スプレー熱分解、CVD)でも代用できる。また、本発明では、酸化物がAサイト秩序型ペロブスカイトMn酸化物を形成する金属として、RBaMn2O6-d(RイオンとBaイオンはペロブスカイト型構造(AMnO3型)のAサイトを占め、層状に交互に規則配列した結晶構造を持つことを特徴とするAサイト層状秩序ペロブスカイト型マンガン酸化物。RはY, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Dy, Tb, Hoの少なくとも1種類より選ばれる3価イオンである。RとBaの比(R/Ba)はおおよそ0.5〜2.0の範囲であり、R/Ba=1.0からずれた場合は多く入った方が、もう一方のサイトに固溶していてもよい。またBaはCaやSrによって一部置換されていても良く、MnサイトにはCrやRu等の金属が微量置換されていても良い。dは0〜1の範囲をとる。)の金属組成で表される元素を含んだ先駆体膜を用いることが出来る。さらに本発明は、支持体として,ガラス基板、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ランタンアルミネート(LaAlO3酸化マグネシウム(MgO)、酸化ランタンストロンチウムタンタルアルミニウム((LaxSr1-x)(AlxTa1-x)O3)、ネオジムガレート(NdGaO3)、イットリウムアルミネート(YAlO3)単結晶、酸化アルミニウム(Al2O3) 、イットリア安定化ジルコニア((Zr,Y)O2, YSZ)基板から選ばれる1種等を用いることが出来る。また、本発明では、金属有機化合物が、β−ジケトナト、長鎖のアルコキシド(Cが6以上)、ハロゲンを含む有機酸塩から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Aサイトが層状秩序したペロブスカイト型Mn酸化物を形成する金属の有機化合物溶液を支持体上に塗布し、乾燥工程、仮焼成工程、本焼成工程の各工程で、紫外光を照射することを特徴とするAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法である。本発明で用いる紫外光としては、レーザ光を挙げることができる。
目的に応じて、所定の工程途中や各工程の前後を選ぶことが出来る。また、金属の有機化合物溶液を基板にスピンコートし、溶媒除去のため恒温槽中130℃で乾燥後、レーザチャンバ内の試料ホルダーに試料を装着し、室温でレーザ照射することもできる。
金属有機化合物を塗布し乾燥させた膜および本焼成初期膜のそれぞれに対してレーザ照射し、さらにこれらレーザ照射膜に対して適切な熱処理を施すことにより例えばSmBaMn2O6膜を作製した場合について述べると次の効果が確認された。
SmBaMn2O6膜を生成する金属有機化合物の溶液を支持体上に塗布、乾燥後、金属の有機化合物中の有機成分を500℃で熱分解させる仮焼成を行った後に、アルゴン気流中500℃程度の温度でレーザ光を照射することにより、Aサイトイオンが層状に規則配列したSmBaMn2O6-d(d ≒0.5)膜が生成することが判明した。得られた膜を500℃、酸素中で6時間程度熱処理することにより酸素欠損のないSmBaMn2O6が得られた。
従来の薄膜形成法では、図1(c)に示すようなAサイトイオンが固溶した結晶構造を持つ薄膜しか製造することが出来なかったが、本発明の製造方法によって、基板上に図1(a,b)に示すようなAサイトイオンが層状に規則配列したペロブスカイト型Mn酸化物薄膜を形成出来ることを確認した。
本発明の具体例を示し、さらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本発明の実施例で使用した基板は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、酸化ランタンストロンチウムタンタルアルミニウム((LaxSr1-x)(AlxTa1-x)O3)であり、原料溶液は、RBaMn2O6-d(RはY, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Dy, Tb, Ho)を構成する各金属イオンの2エチルヘキサン溶液またはナフテン酸溶液を用いた。紫外光照射は、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザを用いた。
2エチルヘキサン酸サマリウム溶液にナフテン酸バリウム溶液、ナフテン酸マンガン溶液を定比で混合した溶液(C1)を作成した。C1溶液をチタン酸ストロンチウム基板に4000rpm; 10秒間でスピンコートし、500℃で10分間加熱した。その後、基板温度を500℃に保ち、Ar気流中で248nmのパルスレーザをフルエンス:140mJ/cm2; 10Hz; 60分照射した。このようにして作製した膜について照射部のみ基板上にAサイトイオンであるSmとBaが層状秩序化したペロブスカイトMn酸化物薄膜がエピタキシャル成長した。図2に示したTEM像によりAサイトが層状に秩序化したエピタキシャル膜が得られていることが分かる。
実施例1において、レーザのフルエンス:150mJ/cm2で照射した場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、レーザのフルエンス:130mJ/cm2で照射した場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、照射繰り返し数を50Hzとした場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、照射繰り返し数を5Hzとした場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、基板温度を600℃とした場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、基板温度を700℃とした場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、Smの一部もしくは全てをLaに代えた場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1において、Baの一部をLaに代えた場合、照射部にのみAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が形成された。
実施例1〜9に示したAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜はどれも酸素が一部欠損しているが、得られた膜を500℃、酸素中で6時間程度熱処理することにより酸素欠損のないAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜が得られた。
(比較例1)
実施例1において、レーザのフルエンス:120mJ/cm2で照射した場合、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されず、Aサイトが固溶したSm0.5Ba0.5MnO3薄膜が得られた。
(比較例2)
実施例1において、レーザのフルエンス:100mJ/cm2で照射した場合、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されず、Aサイトが固溶したSm0.5Ba0.5MnO3薄膜が得られた。
(比較例3)
実施例1において、レーザー照射時の雰囲気を空気中としたところ、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されず、Aサイトが固溶したSm0.5Ba0.5MnO3薄膜が得られた。
(比較例4)
実施例1において、レーザ照射時の温度を400℃としたところ、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されなかった。
(比較例5)
実施例1において、仮焼成温度を250℃としたところ、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されなかった。
(比較例6)
実施例1において、レーザー照射の代わりに900℃、60分間焼成を行ったところ、Aサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されなかった。
(比較例7)
実施例10で紫外レーザー照射によって結晶化させた薄膜を空気中もしくは酸素雰囲気中で熱処理を行い酸素欠損の改善を試みたが、熱処理温度が400度以下では酸素欠損は改善されず、800℃以上ではAサイトの層状秩序が乱れた。
Aサイト秩序/無秩序型ペロブスカイトMn酸化物の結晶構造図 本発明の光照射膜のTEM像と電子線回折像

Claims (9)

  1. 基板上に組成式RBaMn2O6-d(RイオンとBaイオンはペロブスカイト型構造(AMnO3型)のAサイトを占め、層状に交互に規則配列した結晶構造を持つことを特徴とするAサイト層状秩序ペロブスカイト型マンガン酸化物(式中、RはY,La,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Tb,Hoの少なくとも1種類より選ばれる3価イオンであり、RとBaの比(R/Ba)は0.5〜2.0の範囲であり、R/Ba=1.0からずれた場合は多く入った方が、もう一方のサイトに固溶していても良く、さらに、BaはCaやSrによって一部置換されていても良く、MnサイトにはCrやRuの金属イオンが微量置換されていても良い。dは0〜1の範囲をとる。))から成る薄膜を形成させる方法において、上記物質の各構成元素を含む有機金属薄膜を基板上に塗布し、熱分解させてアモルファス化させた後、不活性気体中で、500℃〜800℃の温度に保持し、紫外レーザを照射しつつ、結晶化することを特徴とするAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  2. 有機金属薄膜が、Rの有機化合物の溶液、Baの有機化合物の溶液、Mnの有機化合物の溶液を混合した溶液を基板に塗布したものであり、有機化合物がβ−ジケトナト、長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸から選ばれる塩を用いた請求項1に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  3. 有機酸が、炭素数2〜30の有機酸、炭素数6〜20ヒドロキシ有機酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸から選ばれる1種である請求項2に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  4. 照射する紫外光が400nm以下のパルスレーザである請求項1に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  5. 基板がSrTiO3基板であり、紫外レーザがフルエンス:130mJ/cm2以上の波長248nmの紫外線である、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  6. 予め有機金属薄膜に紫外ランプを照射した有機金属薄膜を用いる請求項1に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  7. 紫外レーザ照射によって結晶化させた薄膜を空気中もしくは酸素雰囲気中、450〜600℃で熱処理することによって酸素欠損をなくすことを特徴とする請求項1〜4、6のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  8. 基板が、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、酸化ランタンストロンチウムタンタルアルミニウム((LaxSr1-x)(AlxTa1-x)O3)、ネオジムガレート(NdGdO3)、石英ガラス、から選ばれる無機酸化物単結晶基板の1種、もしくはシリコン、金属から選ばれる金属基板の1種である請求項1〜4、6、7のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
  9. 基板上に酸化物及び金属薄膜を形成した基材上に形成されることを特徴とする請求項8に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
JP2006349693A 2006-12-26 2006-12-26 Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法 Expired - Fee Related JP4963062B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006349693A JP4963062B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006349693A JP4963062B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008156188A JP2008156188A (ja) 2008-07-10
JP4963062B2 true JP4963062B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=39657541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006349693A Expired - Fee Related JP4963062B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4963062B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011016684A (ja) * 2009-07-08 2011-01-27 Hokkaido Univ 酸素貯蔵能に優れた酸素欠損ペロブスカイト型金属酸化物、該金属酸化物を含む排ガス浄化触媒及び機能セラミックス、及び、該金属酸化物を用いる方法及び装置
WO2011052518A1 (ja) * 2009-10-26 2011-05-05 株式会社村田製作所 抵抗素子、赤外線センサおよび電気機器
KR20130139854A (ko) 2010-12-09 2013-12-23 후지 덴키 가부시키가이샤 페로브스카이트형 망간 산화물 박막 및 그의 제조 방법
WO2012140971A1 (ja) 2011-04-14 2012-10-18 富士電機株式会社 ペロフスカイト型マンガン酸化物薄膜
US9006737B2 (en) 2012-01-20 2015-04-14 Fuji Electric Co., Ltd. Manganese oxide thin film and oxide laminate
WO2013108507A1 (ja) 2012-01-20 2013-07-25 富士電機株式会社 マンガン酸化物薄膜および酸化物積層体
KR101955581B1 (ko) 2017-05-15 2019-03-07 아주대학교산학협력단 Uv 및 청색광을 이용한 페로브스카이트 박막의 결정성 향상 방법

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01290576A (ja) * 1988-05-17 1989-11-22 Shibuya Kogyo Co Ltd 超伝導薄膜の製造方法
GB2347788A (en) * 1999-03-06 2000-09-13 Secr Defence Forming devices such as ferroelectric infra-red sensors by annealing
JP2000256862A (ja) * 1999-03-10 2000-09-19 Kansai Research Institute 複合酸化物膜の製造方法
JP4135856B2 (ja) * 2001-03-27 2008-08-20 独立行政法人産業技術総合研究所 ボロメータ用酸化物薄膜の製造方法
JP2003298021A (ja) * 2002-03-29 2003-10-17 Seiko Epson Corp 強誘電体薄膜の形成方法、強誘電体メモリならびに強誘電体メモリの製造方法、および半導体装置ならびに半導体装置の製造方法
JP5126950B2 (ja) * 2006-06-20 2013-01-23 Tdk株式会社 金属酸化物膜の製造方法、積層体、及び、電子デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008156188A (ja) 2008-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5740645B2 (ja) 配向ペロブスカイト酸化物薄膜
JP4963062B2 (ja) Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法
JP4258536B2 (ja) 結晶化金属酸化物薄膜の製造方法
Nakajima et al. UV-assisted nucleation and growth of oxide films from chemical solutions
JP5219109B2 (ja) 超電導材料の製造方法
JP4067563B2 (ja) 低リーク電流および低分極疲労を有する電子デバイスを製造するためのuv照射プロセス
US20050213282A1 (en) Method of producing perovskite film having (001) orientation and device including the film
US8557352B2 (en) Method of making a metal oxide film, laminates and electronic devices
JP2003142479A (ja) 半導体装置、エピタキシャル膜の製造方法、およびレーザアブレーション装置
JP2002284525A (ja) 特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液組成物、希土類超電導膜製造用溶液組成物、特定金属錯体の非結晶固形物、特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液の製造方法、希土類超電導膜製造用溶液の製造方法、及び超電導薄膜の形成方法。
JP5697085B2 (ja) 金属酸化物薄膜の製造方法
JP2007123873A (ja) CaOがドープされたp型のSrCu2O2薄膜の製造方法
JP4729766B2 (ja) 超電導酸化物材料の製造方法
JP5116016B2 (ja) 蛍光体薄膜の製造方法
JP2008198396A (ja) 超電導酸化物材料の製造方法
KR100918225B1 (ko) 형광체 박막의 제조 방법
WO2006103303A1 (es) Preparación de precursores metalorgánicos anhidros y su uso para la deposición y crecimiento de capas y cintas superconductoras
KR100346900B1 (ko) 옥탄용매내에분산되어있는금속폴리옥시알킬화전구물질용액,전구물질용액의제조방법및이전구물질용액을이용한집적회로용박막의제조방법
EP0877100B1 (en) Process for fabricating solid-solution of layered perovskite materials
JP4547540B2 (ja) イットリウムアルミネート単結晶上に配向した希土類123型超電導膜の製造方法
JP3186381B2 (ja) 配向性導電性薄膜の作製方法
JP3548802B2 (ja) 特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液組成物、希土類超電導膜製造用溶液組成物、特定金属錯体の非結晶固形物、特定の金属種に特定の配位子を配位させた金属錯体を含む溶液の製造方法、希土類超電導膜製造用溶液の製造方法、及び超電導薄膜の製造方法。
Van Bael et al. Aqueous precursor systems
JP2007308337A (ja) ネオジムガレート単結晶上に配向した希土類123型超電導膜の製造方法
Glinšek et al. Low-Temperature Processing

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090619

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110324

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120313

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120321

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees