JP2008156188A - Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法 - Google Patents
Aサイト層状秩序化型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】基板上に形成された組成式RBaMn2O6-d(RイオンとBaイオンはペロブスカイト型構造(AMnO3型))のAサイトを占め、層状に交互に規則配列した結晶構造を持つことを特徴とするAサイト層状秩序ペロブスカイト型マンガン酸化物(式中、RはY, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Dy, Tb, Hoの少なくとも1種類より選ばれる3価イオンであり、さらに、BaはCaやSrによって一部置換されていても良く、MnサイトにはCrやRu等の金属イオンが微量置換されていても良い。) から成る薄膜を形成させる方法において、上記物質の各構成元素を含む有機金属薄膜を、熱分解してアモルファス化させた後、不活性気体中で、500℃〜800℃の温度に保持し、紫外レーザを照射して結晶化させることを特徴とするAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
ここでは、金属有機化合物を溶媒に溶解させて溶液状とし、これを基板に塗布した後に、乾燥させ、波長400nm以下のレーザ光、例えば、ArF、KrF、XeCl、XeF、F2から選ばれるエキシマレーザを用いて照射することにより基板上に金属酸化物を形成することを特徴とする金属酸化物の製造方法が記載され、波長400nm以下のレーザ光の照射を、複数段階で行い、最初の段階の照射は金属有機化合物を完全に分解させるに至らない程度の弱い照射で行い、次に酸化物にまで変化させることができる強い照射を行うことも記載されている。また、金属有機酸塩の金属が、鉄、インジウム、錫、ジルコニウム、コバルト、鉄、ニッケル、鉛、チタン、亜鉛から成る群から選ばれるものであることも知られている。
ここでは、被塗布物の表面に形成された薄膜に対して光を照射する光源が、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、XeClエキシマレーザ、XeFエキシマレーザ、YAGレーザの3倍波光またはYAGレーザの4倍波光が用いられ、被塗布物の表面に塗布される前駆体塗布液が、Laのアルカノールアミン配位化合物と、Mnのカルボン酸塩と、Mの金属またはアルコキシドとを、炭素数が1〜4である一級アルコール中で混合させ反応させて調整することが記載されている。
Aサイトが層状秩序したペロブスカイト型Mn酸化物を形成する金属の有機化合物溶液を支持体上に塗布し、乾燥工程、仮焼成工程、本焼成工程の各工程で、紫外光を照射することを特徴とするAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜の製造方法である。本発明で用いる紫外光としては、レーザ光を挙げることができる。
目的に応じて、所定の工程途中や各工程の前後を選ぶことが出来る。また、金属の有機化合物溶液を基板にスピンコートし、溶媒除去のため恒温槽中130℃で乾燥後、レーザチャンバ内の試料ホルダーに試料を装着し、室温でレーザ照射することもできる。
SmBaMn2O6膜を生成する金属有機化合物の溶液を支持体上に塗布、乾燥後、金属の有機化合物中の有機成分を500℃で熱分解させる仮焼成を行った後に、アルゴン気流中500℃程度の温度でレーザ光を照射することにより、Aサイトイオンが層状に規則配列したSmBaMn2O6-d(d ≒0.5)膜が生成することが判明した。得られた膜を500℃、酸素中で6時間程度熱処理することにより酸素欠損のないSmBaMn2O6が得られた。
実施例1において、レーザのフルエンス:120mJ/cm2で照射した場合、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されず、Aサイトが固溶したSm0.5Ba0.5MnO3薄膜が得られた。
実施例1において、レーザのフルエンス:100mJ/cm2で照射した場合、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されず、Aサイトが固溶したSm0.5Ba0.5MnO3薄膜が得られた。
実施例1において、レーザー照射時の雰囲気を空気中としたところ、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されず、Aサイトが固溶したSm0.5Ba0.5MnO3薄膜が得られた。
実施例1において、レーザ照射時の温度を400℃としたところ、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されなかった。
実施例1において、仮焼成温度を250℃としたところ、照射部にAサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されなかった。
実施例1において、レーザー照射の代わりに900℃、60分間焼成を行ったところ、Aサイト層状秩序型ペロブスカイトMn酸化物薄膜は形成されなかった。
実施例10で紫外レーザー照射によって結晶化させた薄膜を空気中もしくは酸素雰囲気中で熱処理を行い酸素欠損の改善を試みたが、熱処理温度が400度以下では酸素欠損は改善されず、800℃以上ではAサイトの層状秩序が乱れた。
Claims (11)
- 基板上に形成された組成式RBaMn2O6-d(RイオンとBaイオンはペロブスカイト型構造(AMnO3型)のAサイトを占め、層状に交互に規則配列した結晶構造を持つことを特徴とするAサイト層状秩序ペロブスカイト型マンガン酸化物(式中、RはY, La, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Dy, Tb, Hoの少なくとも1種類より選ばれる3価イオンであり、RとBaの比(R/Ba)は0.5〜2.0の範囲であり、R/Ba=1.0からずれた場合は多く入った方が、もう一方のサイトに固溶していても良く、さらに、BaはCaやSrによって一部置換されていても良く、MnサイトにはCrやRu等の金属イオンが微量置換されていても良い。dは0〜1の範囲をとる。) から成る薄膜を形成させる方法において、上記物質の各構成元素を含む有機金属薄膜を基板上に塗布し、熱分解させてアモルファス化させた後、不活性気体中で、500℃〜800℃の温度に保持し、紫外レーザを照射しつつ、結晶化することを特徴とするAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 有機金属薄膜が、Rの化合物の有機溶液、Baの化合物の有機溶液、Mnの化合物の有機溶液を混合した溶液を基板に塗布したものであり、有機化合物がβ−ジケトナト、長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸から選ばれる塩を用いた請求項1に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 有機溶液が、炭素数2〜30の有機酸、炭素数6〜20ヒドロキシ有機酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸から選ばれる1種である請求項2に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 照射する紫外光が400nm以下のパルスレーザである請求項1に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- SrTiO3基板に請求項3に記載した有機金属溶液を塗布し、熱分解させた後、不活性気体中でフルエンス:130mJ/cm2以上の波長248nmの紫外線を照射する、請求項1又は請求項2に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 有機金属薄膜を、熱分解してアモルファス化し、レーザ照射時にAサイト無秩序相が安定相として出現しない450〜1000℃程度の温度に保持してArやN2、He気流中または真空中などの還元雰囲気下で紫外レーザを照射することによって結晶化することを特徴とする請求項1に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 予め有機金属薄膜に紫外ランプを照射した有機金属薄膜を用いる請求項6に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 有機金属薄膜を室温で周波数10Hz以上とフルエンス30mJ/cm2以下の紫外レーザにより照射後、フルエンス30mJ/cm2以上のレーザ光を複数のフルエンスで照射することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 紫外レーザ照射によって結晶化させた薄膜を空気中もしくは酸素雰囲気中、450〜600℃で熱処理することによって酸素欠損をなくすことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 基板が、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ランタンアルミネート(LaAlO3)、酸化ランタンストロンチウムタンタルアルミニウム((LaxSr1-x)(AlxTa1-x)O3)、ネオジムガレート(NdGdO3) 、石英ガラス、から選ばれる無機酸化物単結晶基板の1種、もしくはシリコン、金属から選ばれる金属基板の1種である請求項1〜9のいずれかに記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
- 基板上に異種の酸化物及び金属薄膜を形成した基材上に形成されることを特徴とする請求項10に記載したAサイト層状秩序型ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法。
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