JP4962736B2 - 二枚貝用保護構造体及びその構築方法 - Google Patents

二枚貝用保護構造体及びその構築方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4962736B2
JP4962736B2 JP2008063074A JP2008063074A JP4962736B2 JP 4962736 B2 JP4962736 B2 JP 4962736B2 JP 2008063074 A JP2008063074 A JP 2008063074A JP 2008063074 A JP2008063074 A JP 2008063074A JP 4962736 B2 JP4962736 B2 JP 4962736B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
bivalve
protective
water permeable
accommodation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008063074A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009213443A (ja
Inventor
義功 越川
昌宏 田中
忠史 日比野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kajima Corp
Hiroshima University NUC
Original Assignee
Kajima Corp
Hiroshima University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kajima Corp, Hiroshima University NUC filed Critical Kajima Corp
Priority to JP2008063074A priority Critical patent/JP4962736B2/ja
Publication of JP2009213443A publication Critical patent/JP2009213443A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4962736B2 publication Critical patent/JP4962736B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Description

本発明は、台風や波浪による環境変動の影響を受けにくい地中に二枚貝の生息場を形成する二枚貝用保護構造体及びその構築方法に関する。
干潟や砂浜などの沿岸域には多様な生物が生息している。例えば、潮汐に伴う海面の変動によって冠水と干出とを繰り返す干潟には底生生物と呼ばれる種々の生物が生息している。底生生物は、沿岸域の砂泥に生息する生物であって、砂泥の上を這い回ったり砂泥に穴を開けて巣穴を形成する生物である。底生生物の具体例としては、二枚貝、ゴカイ、カニが挙げられる。
このような底生生物が生息する沿岸域の環境を改善する技術として、例えば、特許文献1に記載の浸透柱が知られている。特許文献1の浸透柱は、感潮河川の潮汐を利用して河川に堆積した泥質及び河川水を浄化して河川環境を改善するものである。
特許第3899385号公報
ところで、アサリやハマグリなどの二枚貝は干潟の砂泥や海水を浄化する性質を有している。したがって、二枚貝を沿岸域に安定的に生息させることは、食料として重宝される二枚貝の供給量を確保するのみならず、周囲環境の浄化ひいては沿岸域の豊かな生態系の構築に寄与するものである。
二枚貝は、自己の水管を通じて底質表面の直上の環境水から有機懸濁物などの餌料と酸素とを摂取するため、通常、水管が延びる最大長の深さに生息している。例えば、アサリは底質表面下10〜15cmの深さに生息している。
しかしながら、近年、地球規模の気候変動が原因といわれる海水面の上昇や大型の台風によって、沿岸域の底質が侵食され、二枚貝が安定的に生息しにくくなりつつあることが懸念されている。また、沿岸域の海底表面は、台風などの影響以外にも、風、降雨、日照、浮遊ゴミなどの影響を受けやすく、環境変動が大きい。特に、冠水と干出を繰り返す潮間帯では、海底表面に海藻類やゴミが堆積すると、海底表面下に生息する二枚貝に供給される酸素が欠乏し、すべての二枚貝が死滅する場合もある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、環境変動の影響を受けにくい地中に二枚貝の生息場を形成することができる二枚貝用保護構造体及びその構築方法を提供することを目的とする。
本発明の二枚貝用保護構造体は、二枚貝の生息場をなす粒状物と共に二枚貝が収容される二枚貝収容層と、この二枚貝収容層よりも高い透水性を有し、下面が二枚貝収容層の上面と当接するように設けられる上部透水層と、この上部透水層上に設けられる保護層と、を備える。
本発明によれば、二枚貝の生息場を環境変動の影響を受けにくい地中に形成することができる。二枚貝収容層を地中の所定の深度に設け、これを上部透水層及び保護層を覆うことで、例えば、台風などの暴浪で侵食を受ける海底地盤変動面よりも深い部分に二枚貝を生息させることができる。
本発明の二枚貝用保護構造体は、二枚貝が収容される二枚貝収容層の上方に高い透水性を有する上部透水層を備えている。上部透水層を通じて二枚貝の生息に必要な酸素及び餌料(プランクトン等)を含む水が二枚貝に供給される。この上部透水層は、上記のように二枚貝に酸素及び餌料を含む水を供給する役割を担うと共に、二枚貝収容層の上面、すなわち、二枚貝収容層と上部透水層との界面が底質表面であると二枚貝に認識させるという役割も担っている。透水性に優れた上部透水層が二枚貝収容層の直上に存在することで、そこを底質表面と認識するので、通常は底質表面の近傍に生息する二枚貝を地中深くに埋没させた状態で定位させることができる。
本発明の二枚貝用保護構造体においては、上部透水層と保護層との間に配置され、保護層から上部透水層に砂や粘土などの土質材料又は海藻類の破片などの夾雑物が流入するのを防止する仕切層を更に備えることが好ましい。かかる構成を採用することにより、二枚貝収容層上に砂が流入することを抑制でき、二枚貝収容層と上部透水層との界面が不明確となることを防ぐことができる。このことにより、二枚貝が二枚貝収容層よりも上方に移動することが十分に抑制される。
上部透水層は、二枚貝収容層の粒状物間に形成される空隙よりも大きい空隙を有する部材で形成されることが好ましい。かかる構成を採用することにより、二枚貝は上部透水層の空隙内に水管を延ばし、そこから酸素及び餌料(プランクトン等)を含む水を摂取しやすいという利点がある。また、この上部透水層は、二枚貝が二枚貝収容層よりも上方に移動することを物理的に制限するものであってもよい。
二枚貝収容層は、当該二枚貝収容層よりも高い透水性を有する下部透水層上に設けられていることが好ましい。下部透水層が存在することで酸素及び餌料を豊富に含む水と共に、二枚貝の受精卵や浮遊幼生が外部から二枚貝収容層に供給されやすくなる。また、二枚貝収容層から外部に向けて二枚貝の受精卵や浮遊幼生を供給しやすくなる。
沿岸域の地中に敷設された二枚貝収容層は、その上面が当該沿岸域の最高水位よりも低い位置に設けられていることが好ましい。この場合、沿岸域の水位の変動によって、酸素及び餌料(プランクトン等)を豊富に含む水が二枚貝収容層に効率的に供給される。
本発明に係る二枚貝用保護構造体は、下記の本発明に係る構築方法によって構築できる。本発明に係る構築方法は、地表又は水底を掘削して凹部を形成する掘削工程と、凹部内に粒状物を充填して二枚貝収容層を敷設し、当該二枚貝収容層に二枚貝を収容させる二枚貝収容工程と、二枚貝収容層の表面上に、二枚貝収容層よりも高い透水性を有する上部透水層を敷設する上部透水層敷設工程と、前記凹部を埋め戻すように上部透水層上に保護層を敷設する保護層敷設工程と、を備える。
本発明に係る二枚貝用保護構造体の構築方法においては、保護層を敷設する前に、この保護層から上部透水層に夾雑物が流入するのを防止する仕切層を上部透水層の表面上に敷設する仕切層敷設工程を更に備えることが好ましい。
また、掘削工程で形成する凹部の底部に二枚貝収容層よりも高い透水性を有する下部透水層を敷設し、当該下部透水層上に二枚貝収容層を敷設してもよい。あるいは、二枚貝用保護構造体の構築予定位置の地下に存在する帯水層に到達する深度まで掘削して凹部を形成し、この凹部の底面上に二枚貝収容層を敷設してもよい。
本発明によれば、環境変動の影響を受けにくい地中に二枚貝の生息場を形成することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に示す二枚貝用保護構造体10は、海の沿岸域に構築されたものであり、海岸線に沿って掘削された掘削溝(凹部)15内に設けられている。この二枚貝用保護構造体10は、掘削溝15の底面をなす帯水層1上に、二枚貝収容層2、上部透水層3、仕切層4及び保護層5がこの順序で積層されてなる積層部10aを備えると共に、積層部10aの内部に新鮮な水が十分に供給されるように、積層部10aの陸側及び海側にそれぞれ設けられた陸側浸透柱10b及び海側浸透柱10cを備えている。浸透柱10b,10cは、地表面8a又は海底面8bから地下の帯水層1に至るように設けられている。
二枚貝収容層2は、二枚貝の生息場をなす粒状物と共に二枚貝7が収容されている。二枚貝収容層2の直上に高い透水性を有する上部透水層3が設けられているため、二枚貝収容層2内の二枚貝7は、二枚貝収容層2の上面2aが海底面である認識するので、二枚貝7が例えばアサリの場合、上面2a下10〜15cm程度の深さの位置に定位する。
二枚貝収容層2を形成し、二枚貝7の生息場をなす粒状物としては、砂泥を主成分とするものが好ましい。また、砂泥に礫や栄養分を添加して底質を調製し、これによって二枚貝収容層2を形成してもよい。
上部透水層3は、二枚貝収容層2よりも高い透水性を有し、下面が二枚貝収容層2の上面2aと当接するように設けられている。二枚貝7が水管を上部透水層3にまで延ばした際、水管の動きが阻害されないことが好ましく、かかる観点から、上部透水層3は内部に比較的大きな空隙を備える多孔質体で形成されることが好ましい。上部透水層3が高い透水性及び空隙率を有していることで、二枚貝7は酸素及び餌料(プランクトン等)を十分に摂取することができる。
上部透水層3を形成する材質としては、繊維材料からなる多孔質体が好ましく、具体的には、繊維材料が熱蒸着等で互いに接着し、これを成型することによって作製される多孔質体を例示できる。市販のものとしては、CPジオマット(商品名、チッソ株式会社製)を挙げることができる。このような多孔質体は、高い透水性及び空隙率を有するのに加え、上下方向からの圧縮力に対する耐性も有している。
仕切層4は、上部透水層3と後述する保護層5との間に配置されており、保護層5から上部透水層3に砂や粘土などの土質材料又は海藻類の破片などの夾雑物が流入するのを防いでいる。仕切層4を形成する材質としては、透水性を有している一方、夾雑物の通過を十分に防ぐことができるものであれば、特に限定されないが、例えば、不織布が挙げられる。複数枚の不織布を重ねて敷設することによって仕切層4を形成してもよい。
このような仕切層4を配置することで、二枚貝収容層2の上面2aに砂が堆積することを抑制でき、二枚貝収容層2内の二枚貝7が上部透水層3に向けて這い上がろうとすることを防止できる。二枚貝収容層2の上面2aを底質底面と二枚貝7に認識させ、自発的な這い上がりを行わない環境を保持することは、二枚貝7の成長の観点から重要である。
すなわち、上部透水層3を形成する多孔質体の空隙に砂が流入すると、二枚貝7は二枚貝収容層2の上面2aを底質底面と認識せず、二枚貝7は上部透水層3へと這い上がろうとする。二枚貝7が這い上がろうとしているにも関わらず、上部透水層3を形成する多孔質体の空隙の大きさが二枚貝7よりも小さければ、上部透水層3で二枚貝7の上方への移動が物理的に制限される。このような環境では、二枚貝7はストレスを受けて成長が阻害されるおそれがある。
保護層5は、掘削溝15を埋め戻すように仕切層4上に設けられる。この保護層5によって、地中に設置した二枚貝収容層2及びこれに収容されている二枚貝7、並びに、上部透水層3及び仕切層4が波浪や潮流から保護される。砂泥を主成分とする土質材料によって保護層5を形成することにより、図1に示すように、保護層5内にもアサリなどの二枚貝9を生息させることができる。なお、台風の暴浪などの影響から二枚貝7等を確実に保護するためには、地下水位の高さにもよるが、保護層5の層厚は0.5m以上であることが好ましく、0.5〜1.0mであることがより好ましい。
なお、保護層5内の二枚貝9は台風の暴浪などによって保護層5の一部が侵食されると、海に放出されてしまう可能性があるが、二枚貝収容層2内の二枚貝7は環境変動の影響を受けずに定住している。二枚貝収容層2内に定住している二枚貝7が産卵をすれば、潮汐に伴う地中の間隙水の移動によって、受精卵や浮遊幼生が近隣海域へと供給される。このため、上記のように保護層5が侵食され、海底面8bの生態系が破壊されても、稚仔の供給が円滑に進むため、生態系を早期に回復することができる。
浸透柱10b,10cは、地下の帯水層1と共に、二枚貝用保護構造体10の積層部10aを囲むように設けられている。浸透柱10b,10cを形成する材質としては、高い浸透性を有するものであれば特に限定されないが、砂、礫、砂利などの土質材料が挙げられる。あるいは、水質の改善作用を有する石炭灰などのアルカリ性固形粒体を用いてもよい。
次に、本実施形態に係る二枚貝用保護構造体10の構築方法について説明する。二枚貝用保護構造体10を構築するには、まず、二枚貝用保護構造体10の構築予定位置の地下に存在する帯水層1に到達する深度まで掘削して掘削溝15を形成する(掘削工程)。続いて、掘削溝15の陸側及び海側の側面にそれぞれ陸側浸透柱10b及び海側浸透柱10cをそれぞれ構築する。その後、掘削溝15の底面上に粒状物を敷設して二枚貝収容層2を形成し、そこに二枚貝7を収容させる(二枚貝収容工程)。
二枚貝7が収容された二枚貝収容層2の表面上に、上部透水層3を敷設し(上部透水層敷設工程)、上部透水層3の表面上に仕切層4を敷設する(仕切層敷設工程)。仕切層4を敷設後、掘削溝15を埋め戻すように仕切層4上に保護層5を敷設する(保護層敷設工程)。
なお、ここでは、帯水層1上に二枚貝収容層2を敷設する場合について説明したが、例えば、帯水層1の透水性が不十分であるといった場合には、帯水層1の代わりに人工的に下部透水層を敷設することが好ましい。帯水層1及び人工的に設ける下部透水層の透水性は、二枚貝収容層2と同等もしくはそれよりも高いことが好ましい。
(第2実施形態)
図2に示す二枚貝用保護構造体20は、満潮時と干潮時の潮位の差が大きい沿岸域に設けられており、潮位が所定の高さよりも高くなると海水が流入して貯留できる海水貯留槽25を具備する点以外は、第1の実施形態に係る二枚貝用保護構造体10と同一の構成である。図2に示す潮位MHWは、平均高潮位(MHW:Mean High Water)を意味する。
図2に示すように、二枚貝用保護構造体20の海水貯留槽25は、積層部10a及び陸側浸透柱10bよりも陸側の護岸構造体30に設けられている。海水貯留槽25は、上部に開口25aを備え、貯留した海水を排出するためのバルブ25bを下部に備えている。
貯留した海水を干潮時などにバルブ25bを開放して放出することで、積層部10aに海水を供給することができる。これにより、二枚貝7に酸素及び餌料を含む海水が供給され、二枚貝7が十分に成長することができる。また、地上から酸素を多く含む海水を放出することで、地中において接触酸化が生じ、底質の腐敗が防止されるため、二枚貝7の生息にとって好適な環境が十分に維持される。
以上、本発明に係る二枚貝保護構造体及びその構築方法の実施形態について詳しく説明したが、本発明は更に下記のような形態であってもよい。
例えば、上記実施形態では上部透水層3を形成する材質の好適な例として、繊維材料からなる多孔質体を挙げたが、鋼材を格子状に組んで形成され、鋼材で囲まれた大きな空隙を有するグレーチングを利用して上部透水層を敷設してもよい。
また、上記実施形態では保護層5が砂泥を主成分とするもので形成される場合を例示したが、砂泥の代わりに礫、砂利、岩などの土質材料によって保護層5を形成してもよい。例えば、岩で保護層5を形成した場合には、そこに二枚貝9を生息させることは困難となるが、砂泥で形成した場合と比較し、保護層5の侵食が抑制できるという利点がある。
更に、二枚貝収容層2を形成する粒状物が帯水層1に流出するのを防止する観点から、二枚貝収容層2と帯水層1との間に防砂層を更に敷設してもよい。かかる防砂層は、上記実施形態における仕切層4と同様の材質によって形成すればよい。
また、二枚貝用保護構造体10,20は、海岸の他に河川や湖沼の沿岸などに構築することもできるため、海水域に生息するアサリ、カガミガイ、ウバガイ、ハマグリなどの二枚貝に限らず、例えば、汽水域に生息するヤマトシジミ、イソシジミなどの二枚貝あるいは淡水域に生息するドブガイ、マツカサガイ、マシジミなどの二枚貝の保護構造体として適用することができる。
<評価実験>
(アサリの飼育実験)
本発明に係る二枚貝用保護構造体の性能を評価するため、アサリの飼育実験を行った。まず、アサリを20匹準備し、実験開始前の湿重量を測定した。また、下端の開口が透水性シートで覆われ、内部に砂などを充填できる2本のアクリル製パイプ(外径150mm)と、海水が収容された水槽とを準備した。
パイプA内に上記実施形態の積層部10aの構造を形成するため、下端の透水性シート上に二枚貝収容層、上部透水層、仕切層及び保護層をこの順序で形成した。一方、パイプB内には、上部層水層及び仕切層を設けずに、下端の透水性シート上に二枚貝収容層及び保護層のみをこの順序で形成した。
二枚貝収容層(層厚100mm)は中砂(中央粒径値500μm)を充填することで形成し、保護層(層厚100mm)は粗砂(中央粒径値1500μm)を充填することで形成した。また、上部透水層(層厚50mm)は、チッソ株式会社製のCPジオマット(商品名)を使用して形成し、仕切層は不織布を使用して形成した。なお、パイプA,B内に中砂を充填して二枚貝収容層をそれぞれ形成した後、双方の二枚貝収容層に10匹ずつのアサリを投入した。アサリの潜砂を確認した後、パイプAについては上部透水層、仕切層及び保護層の形成を行い、パイプBについては保護層の形成を行った。
上記のようにして準備したパイプA,Bを水槽内の海水に浸した。このとき、図3に示すように、水槽の水面が保護層の下面よりも高く、上面よりも低い位置となるようにパイプA,Bの高さを調整した。その後、パイプA,Bのそれぞれの上端開口から毎分1リットル/分で海水を供給し、アサリの飼育実験を開始した。図3は、飼育実験開始直後の状態を示しており、パイプA,Bのいずれにおいてもアサリは二枚貝収容層内に存在している。
飼育実験開始から4週間後にパイプA,B内からアサリを回収し、それぞれ投入した10匹のうち、実験終了時に生きている個体数をカウントした。また、生きているアサリについて、その湿重量を測定した。
(カガミガイの飼育実験)
カガミガイ(稚貝)を20匹準備し、実験開始前の湿重量を測定した。アサリの代わりにカガミガイをパイプA,Bの二枚貝収容層にそれぞれ投入したことの他は、上記のアサリの飼育実験と同様にして飼育実験を行った。
図4にアサリ及びカガミガイの飼育実験の結果(生残率、平均湿重量)を示す。同図に示す通り、パイプAの条件下では、アサリ及びカガミガイの双方ともに生残率100%であったのに対し、パイプBの条件下では、アサリ及びカガミガイの生残率はそれぞれ0%及び80%であった。パイプBの条件下においてアサリの全個体が死亡したのは、保護層の表面上には海水が存在しないにも関わらず、アサリが二枚貝収容層から保護層の間隙水面近傍にまで這い上がり、酸素及び餌料を十分に摂取できなかったことが原因と考えられる。これに対し、パイプAの条件下では、アサリが実験終了時に二枚貝収容層内から回収され、二枚貝収容層に定位していたことが確認された。また、湿重量も実験開始前と比較すると増加していることから、パイプA内の積層構造によれば、アサリの成長に好適な環境を提供し得ることが示された。
また、パイプA,Bから回収されたカガミガイの湿重量を比較すると、いずれも実験開始前よりも減少しているが、パイプA内で飼育されたカガミガイの方がその減少率が抑制されている。この結果から、パイプAの積層構造の方がパイプBの積層構造よりもカガミガイにとってストレスが少ない環境を提供し得ることが示された。
本発明に係る二枚貝用保護構造体の第1実施形態を示す断面図である。 本発明に係る二枚貝用保護構造体の第2実施形態を示す断面図である。 飼育実験に使用した実験装置を示す断面図である。 飼育実験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1…帯水層、2…二枚貝収容層、3…上部透水層、4…仕切層、5…保護層、7,9…二枚貝、10,20…二枚貝用保護構造体、15…掘削溝(凹部)

Claims (10)

  1. 二枚貝の生息場をなす粒状物と共に前記二枚貝が収容される二枚貝収容層と、
    前記二枚貝収容層よりも高い透水性を有し、下面が前記二枚貝収容層の上面と当接するように設けられる上部透水層と、
    前記上部透水層上に設けられる保護層と、
    を備えることを特徴とする二枚貝用保護構造体。
  2. 前記上部透水層と前記保護層との間に配置され、前記保護層から前記上部透水層に夾雑物が流入するのを防止する仕切層を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の二枚貝用保護構造体。
  3. 前記上部透水層は、前記二枚貝収容層の前記粒状物間に形成される空隙よりも大きい空隙を有する部材で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の二枚貝用保護構造体。
  4. 前記上部透水層は、前記二枚貝が前記二枚貝収容層よりも上方に移動することを物理的に制限するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二枚貝用保護構造体。
  5. 前記二枚貝収容層は、当該二枚貝収容層よりも高い透水性を有する下部透水層上に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の二枚貝用保護構造体。
  6. 沿岸域の地中に敷設された前記二枚貝収容層は、その上面が当該沿岸域の最高水位よりも低い位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の二枚貝用保護構造体。
  7. 地表又は水底を掘削して凹部を形成する掘削工程と、
    前記凹部内に粒状物を充填して二枚貝収容層を敷設し、当該二枚貝収容層に二枚貝を収容させる二枚貝収容工程と、
    前記二枚貝収容層の表面上に、前記二枚貝収容層よりも高い透水性を有する上部透水層を敷設する上部透水層敷設工程と、
    前記凹部を埋め戻すように前記上部透水層上に保護層を敷設する保護層敷設工程と、
    を備えることを特徴とする二枚貝用保護構造体の構築方法。
  8. 前記保護層を敷設する前に、前記保護層から前記上部透水層に夾雑物が流入するのを防止する仕切層を前記上部透水層の表面上に敷設する仕切層敷設工程を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の二枚貝用保護構造体の構築方法。
  9. 前記凹部の底部に前記二枚貝収容層よりも高い透水性を有する下部透水層を敷設し、当該下部透水層上に前記二枚貝収容層を敷設することを特徴とする請求項7又は8に記載の二枚貝用保護構造体の構築方法。
  10. 前記凹部は、前記二枚貝収容層を形成する位置よりも深い位置にある帯水層に到達する深度まで掘削されることを特徴とする請求項7又は8に記載の二枚貝用保護構造体の構築方法。
JP2008063074A 2008-03-12 2008-03-12 二枚貝用保護構造体及びその構築方法 Active JP4962736B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008063074A JP4962736B2 (ja) 2008-03-12 2008-03-12 二枚貝用保護構造体及びその構築方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008063074A JP4962736B2 (ja) 2008-03-12 2008-03-12 二枚貝用保護構造体及びその構築方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009213443A JP2009213443A (ja) 2009-09-24
JP4962736B2 true JP4962736B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=41186018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008063074A Active JP4962736B2 (ja) 2008-03-12 2008-03-12 二枚貝用保護構造体及びその構築方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4962736B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6866777B2 (ja) * 2017-06-08 2021-04-28 株式会社大林組 アサリ漁場

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03232440A (ja) * 1990-02-06 1991-10-16 Tokyu Constr Co Ltd 稚貝育成施設

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009213443A (ja) 2009-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN113557334A (zh) 湖泊恢复系统和方法
KR100993335B1 (ko) 망태를 이용하는 호안보호공 및 그 시공방법
JP5460778B2 (ja) 人工ヨシ原
Ferrari et al. Biogenic modifications of marine sediments and their influence on archaeological material
CN100445470C (zh) 一种用于岸边防护并有利于多种生物繁育的潜水丁坝系统
JP4787868B2 (ja) テラス構造付き護岸構造体
KR101231655B1 (ko) 복합형 어초 구조물, 이를 이용한 수생 동식물 보호용 구조물
JP4962736B2 (ja) 二枚貝用保護構造体及びその構築方法
JP4360645B2 (ja) 人工干潟の造成方法
JP2783775B2 (ja) 生態系を考慮した護岸構造物
KR101272219B1 (ko) 여울·수제 등에 적용 가능한 지하 매립형 인공 어초
JP3963430B2 (ja) 臨海湿地の育成方法及び臨海湿地
JP4885783B2 (ja) 管路構造物及びその複合体
KR100406917B1 (ko) 돌망태를 이용한 인공 어초
CN100535252C (zh) 海上高效养殖区建设方法
KR20120058693A (ko) 수생 동식물 보호용 구조물, 그 시공방법 및 이를 이용한 저수 구조물
JP3290166B2 (ja) 魚礁の構築方法
KR100451983B1 (ko) 자연식생형 유수천변구조
EP2312059B1 (en) Method for protecting coasts and the like
JP3991325B2 (ja) 干潟における干出抑制方法
De Pippo et al. Genesis and morphological evolution of Fusàro lagoon (Campania, southern Italy) in the Holocene
JP4353347B2 (ja) 閉鎖性水域の干潟造成方法
JP3026078U (ja) 人工漁場
KR200227406Y1 (ko) 돌망태를 이용한 인공 어초
JP2001107332A (ja) 人工干潟およびその造成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101025

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101025

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120306

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120313

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250