JP4962500B2 - 有機トランジスタ素子、その製造方法、有機発光トランジスタ及び発光表示装置 - Google Patents

有機トランジスタ素子、その製造方法、有機発光トランジスタ及び発光表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機トランジスタ素子、その製造方法、有機発光トランジスタ及び発光表示装置に関し、更に詳しくは、有機半導体層上に設ける電極をウエットエッチングするのと同時に有機半導体層をドーピングして製造された有機トランジスタ素子等に関するものである。
有機EL(Organic Electroluminesence)素子は、素子構造が単純で、薄型・軽量・大面積・低コストな次世代ディスプレイの発光素子として期待されており、近年その研究が盛んに行われている。
有機EL素子を駆動するための駆動方式としては、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を用いたアクティブマトリックス方式の電界効果型トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)が動作速度や消費電力の点で有効と考えられている。一方、薄膜トランジスタを構成する半導体材料については、シリコン半導体や化合物半導体等の無機半導体材料についての研究のほか、近年、有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタ(有機TFT)についての研究が盛んに行われている。こうした有機半導体材料は次世代の半導体材料として期待されているが、無機半導体材料に比べて電荷移動度が低く抵抗が高いという問題点がある。
一方、電界効果型トランジスタについて、その構造を縦型にした縦型FET構造の静電誘導型トランジスタ(SIT:Static Induction Transistor)は、トランジスタのチャネル幅を短くできること、表面の電極全体を有効利用できるために高速応答や大電力化が可能となること、さらに、界面の影響が受け難くなること等のメリットがある。
近年、静電誘導型トランジスタ(SIT)が備える前記の特長を活かし、このSIT構造と有機EL素子構造とを複合させた有機発光トランジスタの開発が検討されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1,2を参照)。図13は、非特許文献1に記載の、SIT構造と有機EL素子構造とを複合させた有機発光トランジスタの一例を示す断面構成図である。この有機発光トランジスタ101は、図13に示すように、ガラス基板102上に、透明導電膜からなるソース電極103、スリット状のゲート電極105が埋め込まれた正孔輸送層104、発光層106、ドレイン電極107がこの順に設けられた縦型FET構造をなしている。この複合型の有機発光トランジスタ101は、正孔輸送層104の内部にスリット状のショットキーゲート電極105を埋め込んだ構造であり、正孔輸送層104とゲート電極105とがショットキー接合し、これにより正孔輸送層104に空乏層が形成される。この空乏層の広がりはゲート電圧によって変化するので、そのゲート電圧(ソース電極103とゲート電極105との間に印加する電圧)を変化させてチャネル幅を制御し、ソース電極103とドレイン電極107との間の印加電圧を制御して電荷の発生量を変化させている。
また、図14は、特許文献2に記載の、ボトムコンタクト型のFET構造と有機EL素子構造とを複合させた有機発光トランジスタの一例を示す断面構成図である。この有機発光トランジスタ111は、図14に示すように、基体112上に、補助電極113と絶縁層118が積層され、その絶縁層118上に陽極115が形成され、その絶縁層上にその陽極115を覆うように発光材料層116が形成され、その上に陰極117が形成されている。陽極115上には、正孔を陽極115から発光材料層116に通過させるが、電子が発光材料層116から陽極115に通過するのを防ぐための陽極バッファ層119が形成されている。この有機発光トランジスタ111においても、補助電極113と陽極115との間の印加電圧を変化させてチャネル幅を制御し、陽極115と陰極117との間の印加電圧を制御して電荷の発生量を変化させている。
工藤一浩、「有機トランジスタの現状と将来展望」、応用物理、第72巻、第9号、第1151頁〜第1156頁(2003年) 特開2003−324203号公報(請求項1) 特開2002−343578号公報(図23)
有機半導体材料を用いたトランジスタ(有機FETと言うこともある。)においては、キャリア移動度をより高める研究がなされているが、その移動度は素子構造や製造プロセスに大きく依存している。例えば、有機FETの素子構造は、ソース−ドレイン電極と有機半導体層との位置関係によりトップコンタクト型とボトムコンタクト型とに大別され、一般的にはボトムコンタクト型よりもトップコンタクト型の方がキャリア移動度が高い。そのため、トップコンタクト型の有機FETについての検討が行われているが、有機半導体層上に形成するソース−ドレイン電極をウエットエッチング法でパターン形成すると、無機半導体に対してはあまり問題にならなかった有機半導体へのエッチングダメージやエッチャント汚染が起こり、有機半導体層のキャリア移動度が低下してしまうという問題があった。そこで、このトップコンタクト型の有機FETにおいては、従来、ウエットエッチング法でパターン形成は行われず、マスク蒸着法でパターン形成されている。
しかしながら、トップコンタクト型の有機FETにおけるマスク蒸着法でのパターン形成は、使用するシャドウマスクの位置合わせが煩雑であると共に、高精度な電極パターンを形成しようとする場合にはシャドウマスクの寸法精度が要求される寸法精度に追いつかず、パターン形成された電極の寸法にバラツキが生じ、その結果トランジスタ特性にバラツキが生じるという問題があった。また、近年の大面積の表示パネルに有機FETを適用しようとした場合、大面積のシャドウマスクを使用すると、シャドウマスクにうねりが生じてしまうという問題も生じた。
一方、ボトムコンタクト型の有機FETでは、上述のキャリア移動度の問題があるものの、ゲート絶縁膜上にソース−ドレイン電極を形成するので、ウエットエッチング法等の微細加工プロセスで高精度で形成でき、その上に有機半導体層を形成することから、高密度集積化に有利であるという利点がある。
また、上述した非特許文献1及び特許文献1,2に記載のSIT構造と有機EL素子構造とを複合化させた有機発光トランジスタでは、例えば図14で説明すれば、陽極115と陰極117との間に一定電圧(−Vd1<0)を印加すると、陰極117に対向する陽極115面で多くの正孔が発生し、その正孔が陰極117に向かう電荷(正孔)の流れが起こる。この際、より大きな電荷の流れを得るため(すなわち、より大きな輝度を得るため)、V=−Vd2≪−Vd1なる電圧を陽極115と陰極117との間に印加すると、補助電極113と陽極115との間の印加電圧(V)を制御しても、陽極115と陰極117との間の電荷の発生とその流れが支配的になり、電荷発生量を制御できず発光量の制御が難しいという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、構造上キャリア移動度が高くなるトップコンタクト型の有機FETの製造において、電極のパターン形成を有機半導体層上に高精度で形成して高密度集積化を実現でき、かつ特性に優れた有機トランジスタ素子の製造方法、及び陽極と陰極との間の電流制御を容易にした発光型の有機トランジスタ素子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高密度集積化を実現できかつ特性に優れた有機トランジスタ素子及び発光型の有機トランジスタ素子を提供すること、並びに、有機発光トランジスタ及び発光表示装置を提供することにある。
本発明者らは、有機半導体層上にソース−ドレイン電極をパターン形成するトップコンタクト型の有機FETの研究を重ねている過程で、エッチング液に含まれる成分を工夫すれば、有機半導体へのエッチングダメージやエッチャント汚染を起こさず、しかもキャリア移動度を高めることも可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の有機トランジスタ素子の製造方法は、有機半導体層上に又は有機半導体層を挟むように、所定のパターンにウエットエッチングされた電極が設けられてなる有機トランジスタ素子の製造方法であって、前記電極を所定のパターンにウエットエッチングする工程において、エッチング液が前記有機半導体層のドーパントを含み、当該エッチング液で前記電極をウエットエッチングするのと同時に前記ドーパントを前記有機半導体層にドーピングすることを特徴とする。
この発明によれば、電極を所定のパターンにウエットエッチングする工程において、エッチング液が有機半導体層のドーパントを含み、そのエッチング液で電極をウエットエッチングするのと同時にドーパントを有機半導体層にドーピングするので、(i)ウエットエッチング法により電極を高精度でパターン形成でき、高密度集積化を実現できる、(ii)有機半導体層へのエッチングダメージやエッチャント汚染を起こすことなく、有機半導体層のキャリア移動度の低下を抑制し又はキャリア移動度を向上させることができる、(iii)電極の高精度エッチングと有機半導体層へのドーピングを同時に行うことができ、効率的な製造を実現できる、という作用効果を奏する。
また、上記課題を解決するための本発明の発光型の有機トランジスタ素子の製造方法は、補助電極と絶縁膜がその順に設けられた基板を準備する工程と、前記絶縁膜上に有機半導体層を設ける工程と、前記有機半導体層上に又は前記有機半導体層を挟むように第1電極層を設ける工程と、前記第1電極層上に所定の大きさの電荷注入抑制層を設ける工程と、前記電荷注入抑制層をエッチングマスクとして前記第1電極層をウエットエッチングし、所定のパターンの第1電極を設ける工程と、前記電荷注入抑制層及び前記有機半導体層上に発光層を設ける工程と、前記発光層上に第2電極を設ける工程とを少なくとも有し、前記所定のパターンの第1電極を設ける工程において、エッチング液が前記有機半導体層のドーパントを含み、当該エッチング液で前記第1電極層をウエットエッチングするのと同時に前記ドーパントを前記有機半導体層にドーピングすることを特徴とする。
この方法で製造される発光型の有機トランジスタ素子は、第1電極と第2電極との間に一定電圧が印加されると共に補助電極と第1電極との間に可変電圧が印加されて発光量の制御が行われるが、この発明も上記有機トランジスタ素子と同様に、電極を所定のパターンにウエットエッチングする工程において、エッチング液が有機半導体層のドーパントを含み、そのエッチング液で電極をウエットエッチングするのと同時にドーパントを有機半導体層にドーピングするので、(i)ウエットエッチング法により電極を高精度でパターン形成でき、高密度集積化を実現できる、(ii)有機半導体層へのエッチングダメージやエッチャント汚染を起こすことなく、有機半導体層のキャリア移動度の低下を抑制し又はキャリア移動度を向上させることができる、(iii)電極の高精度エッチングと有機半導体層へのドーピングを同時に行うことができ、効率的な製造を実現できる、という作用効果を奏する。
さらに、この発明によれば、第1電極上に所定の大きさの電荷注入抑制層を設けるので、製造された発光型の有機トランジスタ素子が有する第1電極と第2電極との間に一定電圧が印加された場合、第1電極の上面での電荷(正孔又は電子)の発生を抑制できると共に、第2電極に向かう電荷の流れを抑制できる。第1電極で発生する電荷は電荷注入抑制層が設けられていない小面積の両端面で発生し、発生した電荷はその両端部に接する電荷注入層に効率的に注入されて第2電極に向かうことになるので、第1電極と第2電極との間に一定電圧を印加した場合での第1電極−第2電極間の電流値を抑制できる。その結果、補助電極と第1電極との間に印加する電圧を制御することにより、第1電極−第2電極間に流れる電流を制御して発光量を制御することができる。
上記本発明の有機トランジスタ素子の製造方法において、前記ドーパントが前記有機半導体層を酸化又は還元することを特徴とする。
この発明によれば、ドーパントが有機半導体層を酸化又は還元するので、酸化された有機半導体層では正孔が増え、還元された有機半導体層では電子が増える。その結果、有機半導体層中のキャリア密度が上昇して有機半導体層の抵抗を下げることができる。なお、有機半導体層の酸化は、酸化作用を有するドーパントをドーピングすることにより行うことができ、有機半導体層の還元は、還元作用を有するドーパントをドーピングすることにより行うことができる。
上記本発明の有機トランジスタ素子の製造方法において、前記有機半導体層が、電荷注入材料、電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層であることを特徴とする。
この発明によれば、有機半導体層を電荷注入材料、電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層とすれば、有機半導体層上に電極を形成するトップコンタクト型の有機FETなどを、種々の機能素子として製造できる。
上記課題を解決するための本発明の有機トランジスタ素子は、基板上に設けられた有機半導体層と、前記有機半導体層上に又は前記有機半導体層を挟むように所定のパターンで設けられたソース−ドレイン電極とを有する有機トランジスタ素子であって、前記ソース−ドレイン電極が、前記有機半導体層のドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、当該エッチング液で前記ソース−ドレイン電極をエッチングするのと同時に前記ドーパントが前記有機半導体層の少なくとも表面層にドーピングされてなることを特徴とする。
この発明によれば、ソース−ドレイン電極が、有機半導体層のドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、そのエッチング液でソース−ドレイン電極をエッチングするのと同時にドーパントが有機半導体層の少なくとも表面層(ソース−ドレイン電極に接する側の表面層)にドーピングされてなるので、その有機トランジスタ素子は、(i)高精度でパターン形成されたソース−ドレイン電極を有し、高密度集積化を実現できる、(ii)キャリア移動度の低下が抑制され又はキャリア移動度が向上した有機半導体層を有し、トランジスタ特性を良好なものとすることができる、という作用効果を奏する。
また、上記課題を解決するための本発明の発光型の有機トランジスタ素子は、基板と、当該基板上に設けられた補助電極と、当該補助電極上に設けられた絶縁膜と、当該絶縁膜上に設けられた有機半導体層と、当該有機半導体層上に又は当該有機半導体層を挟むように所定のパターンで設けられた第1電極と、当該第1電極上に所定の大きさで設けられた電荷注入抑制層と、当該電荷注入抑制層及び前記有機半導体層上に設けられた発光層と、当該発光層上に設けられた第2電極とを有する有機トランジスタ素子であって、前記第1電極が、前記有機半導体層のドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、当該エッチング液で前記第1電極をエッチングするのと同時に前記ドーパントが前記有機半導体層の少なくとも表面層にドーピングされてなることを特徴とする。
この発光型の有機トランジスタ素子は、第1電極と第2電極との間に一定電圧が印加されると共に補助電極と第1電極との間に可変電圧が印加されて発光量の制御が行われるが、この発明も上記有機トランジスタ素子と同様に、第1電極が有機半導体層のドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、そのエッチング液で第1電極をエッチングするのと同時にドーパントが有機半導体層の少なくとも表面層(第1電極に接する側の表面層)にドーピングされてなるので、その発光型の有機トランジスタ素子は、(i)高精度でパターン形成された第1電極を有し、高密度集積化を実現できる、(ii)キャリア移動度の低下が抑制され又はキャリア移動度が向上した有機半導体層を有し、トランジスタ特性を良好なものとすることができる、という作用効果を奏する。
さらに、この発明によれば、第1電極上に所定の大きさの電荷注入抑制層が設けられているので、第1電極と第2電極との間に一定電圧が印加された場合、第1電極の上面での電荷(正孔又は電子)の発生を抑制できると共に、第2電極に向かう電荷の流れを抑制できる。第1電極で発生する電荷は電荷注入抑制層が設けられていない小面積の両端面で発生し、発生した電荷はその両端部に接する電荷注入層に効率的に注入されて第2電極に向かうことになるので、第1電極と第2電極との間に一定電圧を印加した場合での第1電極−第2電極間の電流値を抑制できる。その結果、補助電極と第1電極との間に印加する電圧を制御することにより、第1電極−第2電極間に流れる電流を制御して発光量を制御することができる。
上記本発明の有機トランジスタ素子において、前記表面層が酸化又は還元されていることを特徴とする。
この発明によれば、ドーパントにより有機半導体層の表面層が酸化又は還元されているので、酸化された表面層では正孔が増え、還元された表面層では電子が増える。その結果、有機半導体層中のキャリア密度が上昇して有機半導体層の抵抗を下げることができる。なお、有機半導体層の酸化は、酸化作用を有するドーパントをドーピングすることにより行うことができ、有機半導体層の還元は、還元作用を有するドーパントをドーピングすることにより行うことができる。
上記本発明の有機トランジスタ素子において、前記有機半導体層が、電荷注入材料、電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層であることを特徴とする。
この発明によれば、有機半導体層を電荷注入材料、電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層とすれば、有機半導体層上に電極等を形成するトップコンタクト型の有機FETなどを、種々の機能素子として適用できる。
また、上記課題を解決するための本発明の有機発光トランジスタは、上記本発明の発光型の有機トランジスタ素子と、当該有機トランジスタ素子が備える第1電極と第2電極との間に一定電圧を印加する第1電圧供給手段と、当該有機トランジスタ素子が備える第1電極と補助電極との間に可変電圧を印加する第2電圧供給手段とを有することを特徴とする。
この発明によれば、上記本発明の発光型の有機トランジスタ素子を有すると共に、第1電圧供給手段と第2電圧供給手段とを有するので、第1電極と第2電極との間に一定電圧を印加すると共に第1電極と補助電極との間に可変電圧を印加することができる。その結果、高密度集積化を実現できると共に良好なトランジスタ特性を有する発光型の有機トランジスタ素子に対し、制御された電圧により電荷量を鋭敏に変化させることができ、第1電極−第2電極間に流れる電流を制御して発光量を制御することができる。
また、上記課題を解決するための本発明の発光表示装置は、複数の発光部をマトリクス状に配置した発光表示装置であって、前記複数の発光部の各々は、上記本発明の発光型の有機トランジスタ素子を有することを特徴とする。
この発明によれば、高密度集積化を実現できかつ特性に優れた本発明の発光型の有機トランジスタ素子を用いた大面積の発光表示装置を提供することができる。
本発明の有機トランジスタ素子及びその製造方法並びに発光型の有機トランジスタ及びその製造方法によれば、(i)ウエットエッチング法により電極を高精度でパターン形成でき、高密度集積化を実現できる、(ii)有機半導体層へのエッチングダメージやエッチャント汚染を起こすことなく、有機半導体層のキャリア移動度の低下を抑制し又はキャリア移動度を向上させることができる、(iii)電極の高精度エッチングと有機半導体層へのドーピングを同時に行うことができ、効率的な製造を実現できる、という作用効果を奏する。また、有機半導体層を電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層とすれば、有機半導体層上にソース−ドレイン電極等を形成するトップコンタクト型の有機FETを、種々の機能素子として製造でき、応用することができる。特に、本発明においては、ドーパントで酸化された有機半導体層では正孔が増え、ドーパントで還元された有機半導体層では電子が増えるので、有機半導体層中のキャリア密度が上昇して有機半導体層の抵抗を下げることができる。
また、本発明の有機発光トランジスタによれば、第1電極と第2電極との間に一定電圧を印加すると共に第1電極と補助電極との間に可変電圧を印加することができるので、高密度集積化を実現できると共に良好なトランジスタ特性を有する発光型の有機トランジスタ素子に対し、制御された電圧により電荷量を鋭敏に変化させることができ、第1電極−第2電極間に流れる電流を制御して発光量を制御することができる。このように、第1電極と補助電極との間に可変電圧を流して行う電流制御は、上記のように、有機半導体層を酸化又は還元させることにより有機半導体層の正孔又は電子が増し、その結果、有機半導体層のキャリア密度が上昇して抵抗が下がるので、電極間に印加するゲート電圧を可変させた場合に、キャリアの移動を制御することが可能となる。
また、本発明の発光表示装置によれば、高密度集積化を実現できかつ特性に優れた本発明の発光型の有機トランジスタ素子を用いた大面積の発光表示装置を提供することができる。
本発明は、構造上キャリア移動度が高くなるトップコンタクト型の有機FETの製造において、電極のパターン形成を有機半導体層上に高精度で形成して高密度集積化を実現でき、かつ特性に優れた有機トランジスタ素子の製造方法、及び陽極と陰極との間の電流制御を容易にした、有機EL素子構造と縦型FET構造とを有する電界効果型の有機発光トランジスタ素子の製造方法を提供することができ、また、高密度集積化を実現できかつ特性に優れた有機トランジスタ素子及び発光型の有機トランジスタ素子を提供することができ、さらに、有機発光トランジスタ及び発光表示装置を提供することができる。
以下、本発明の有機トランジスタ素子、その製造方法、有機発光トランジスタ及び発光表示装置について図面を参照しつつ説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[有機トランジスタ素子の製造方法]
最初に、本発明の有機トランジスタ素子の製造方法について説明する。図1は、本発明の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程フローである。本発明の有機トランジスタ素子の製造方法は、図1に示すように、有機半導体層14上に又は有機半導体層14を挟むように所定のパターンにウエットエッチングされた電極15s,15dが設けられてなる有機トランジスタ素子10の製造方法であって、その特徴は、電極15s,15dを所定のパターンにウエットエッチングする工程において、エッチング液が有機半導体層14のドーパントを含み、そのエッチング液で電極15s,15dをウエットエッチングするのと同時にドーパントを有機半導体層14にドーピングすることにある。以下、本発明に係る製造方法と得られた有機トランジスタ素子の構成について、図1の工程順に説明する。
図1(A)は、基板11上にゲート電極12を形成する工程である。基板11は、特に限定されるものではなく、積層する各層の材質等により適宜決めることができ、例えば、Al等の金属、ガラス、石英又は樹脂等の各種の材料からなるものを用いることができる。この基板11は、透明でも半透明でも不透明でもよく、その目的に応じて選定することができる。
ゲート電極12は、基板11上に所定のパターンで設けられ、例えば、金属、導電性酸化物、導電性高分子等の材料が用いられ、具体的には、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜、金、クロムのような仕事関数の大きな金属、Al、Agのような一般的な金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。このゲート電極12は基板11上に設けられるが、基板11とゲート電極12との間にはバリア層や平滑層等(いずれも図示しない)が設けられていてもよい。
ゲート電極12は、上記の電極材料で形成された単層構造の電極であってもよいし、複数の電極材料で形成された積層構造の電極であってもよい。ゲート電極12は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセス又は塗布により形成され、その膜厚は使用する材料等によっても異なるが、例えば10nm〜1000nm程度であることが好ましい。ゲート電極12のパターニング方法は特に限定されず、例えば、(i)マスクを設けて真空蒸着等を行うことにより所定のパターンのゲート電極12を基板11上に直接形成するマスク蒸着法や、(ii)基板11上にゲート電極材料を層状に形成した後、フォトレジストを行って所定のパターンにレジスト膜を形成し、露出した電極材料をドライ又はウエットエッチングすることにより、所定のパターンのゲート電極12を基板11上に形成するフォトレジスト法や、(iii)塗布型の電極材料をインクジェット等の方法により所定のパターンのゲート電極12を基板11上に直接形成する塗布法、等を挙げることができる。
図1(B)は、基板11上のゲート電極12を覆うように絶縁膜13を設ける工程である。絶縁膜13は、ゲート電極12上に設けられるものであり、SiO、SiN、A1等の無機材料や、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等の有機材料や、一般的に使用されている市販のレジスト材料で形成できる。この絶縁膜13は、上記の材料で形成された単層構造の絶縁膜であってもよいし、複数の材料で形成された積層構造の絶縁膜であってもよい。
特に本発明においては、製造コストや製造容易性の観点から、一般的に使用されているレジスト材料を好ましく用いることができ、スクリーン印刷法、スピンコート法、キャスト法、引き上げ法、転写法、インクジェット法等やフォトリソグラフ法により所定のパターンに形成できる。なお、上記の無機材料からなる絶縁膜13については、CVD法等の既存パターンプロセスを用いて形成できる。絶縁膜13の厚さは薄いほど好ましいが、薄すぎるとゲート電極12とソース−ドレイン電極15s,15dとの間の漏れ電流が大きくなり易いので、通常、0.001〜5.0μm程度であることが好ましい。
図1(C)は、絶縁膜13上に有機半導体層14を設ける工程である。有機半導体層14は、絶縁膜13上に設けられるものであり、ペンタセンやポリチオフェン等の有機半導体材料を、真空蒸着やスピンコート法等の方法を適用して形成することができる。この有機半導体層14は、単層構造であってもよいし、複数の材料で形成された積層構造であってもよい。有機半導体層14の厚さは、通常、10〜500nm程度であることが好ましい。
図1(D)は、有機半導体層14上に電極層15を設ける工程である。この電極層15は、パターニング後にソース電極15sとドレイン電極15dになるものであり、絶縁膜13上に層状に設けられる。電極層材料としては、電極層15が接する有機半導体層14の構成材料とオーミック接触を形成する金属であって、上記のゲート電極12と同様の電極材料を挙げることができるが、好ましくは、金、クロムのような仕事関数の大きな金属材料や、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子が挙げられる。特に、Au、Ag、Al等やZnS、ZnSe等の蒸着膜又はスパッタ膜は、成膜時に有機半導体層14にダメージを与え難いので好ましい。
この電極層15は、有機半導体層14上に直接設けることもできるが、好ましくは、電荷注入効率の観点から有機半導体層14上に電荷注入層等の層を介して設けることが好ましい。また、電極層形成時に有機半導体層14に加わるダメージを軽減するための保護層(図示しない)を電極層15と接触させる必要があるところ以外の有機半導体層14上に設けてもよい。
電極層15は、上記の電極材料で形成された単層構造の電極であってもよいし、複数の電極材料で形成された積層構造の電極であってもよい。電極層15は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセス又は塗布により形成され、その膜厚は使用する材料等によっても異なるが、例えば10nm〜1000nm程度であることが好ましい。
図1(E)は、電極層15上に所定のパターンのエッチングマスク16を形成する工程である。エッチングマスク16としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を挙げることができる。無機絶縁膜の形成材料としては、例えば、SiO、SiN、A1等の無機絶縁材料を挙げることができ、有機絶縁膜の形成材料としては、例えば、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルフェノール、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等を挙げることができる。こうしたエッチングマスク16は、単層構造であっても積層構造であってもよい。エッチングマスク16は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセス又は塗布により形成され、その膜厚は使用する材料等によっても異なるが、例えば0.001μm〜10μm程度であることが好ましい。
本願では、エッチングマスク16を、入手が容易で、成膜や精度のよいパターニングが容易な絶縁材料で形成することが好ましく、特に光照射により除去可能となる感光性材料からなる膜、より具体的にはポジ型又はネガ型のレジスト膜とすることが好ましい。このうち、ポジ型の感光性材料を用いた場合には、その感光性材料を電極層15上に設けた後に露光マスクを用いて露光することにより、露光されたポジ型の感光性材料のみを容易且つ寸法精度よく除去することができる。エッチングマスク16は、電極層15を所定のパターンにエッチングすることができる寸法で形成されていればよい。
図1(F)は、電極層15を所定のパターンにウエットエッチングする工程である。本発明では、ウエットエッチングに用いるエッチング液が有機半導体層14のドーパントを含んでいる。こうしたエッチング液で電極層15をウエットエッチングすることにより、有機半導体層14上に又は有機半導体層14を挟むようにソース−ドレイン電極15s,15dをパターニングすることができる。本発明は、エッチング液でソース−ドレイン電極15s,15dをウエットエッチングするのと同時にドーパントを有機半導体層14にドーピングするので、(i)ウエットエッチング法によりソース−ドレイン電極15s,15dを高精度でパターン形成でき、高密度集積化を実現できる、(ii)有機半導体層14へのエッチングダメージやエッチャント汚染を起こすことなく、有機半導体層14のキャリア移動度の低下を抑制し又はキャリア移動度を向上させることができる、(iii)ソース−ドレイン電極15s,15dの高精度エッチングと有機半導体層14へのドーピングを同時に行うことができ、効率的な製造を実現できる、という作用効果を奏する。
本発明において、エッチング液に含まれるドーパントは、エッチングの際に同時に有機半導体層14を酸化又は還元する。ドーパントには酸化作用を有するものと還元作用を有するものとがあるが、酸化作用を有するドーパントを含むエッチング液でエッチングした場合、有機半導体層14は酸化して正孔が増える。一方、還元作用を有するドーパントを含むエッチング液でエッチングした場合、有機半導体層14は還元して電子が増える。いずれの場合であっても、有機半導体層14中のキャリア密度が上昇して有機半導体層14の抵抗を下げることができる。
用いられるエッチング液は、有機半導体層14の種類に応じて適当なものが選択され、例えば、混酸(塩酸、硫酸等の混合液)、ヨウ素溶液等のエッチング液を挙げることができる。また、エッチング液に含有させるドーパントは、ドーピング相手となる有機半導体層14の種類によって適当なものが選択され、例えば、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF、AsF、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。
なお、後述の実施例では、チオフェン系高分子からなる有機半導体層14に対して、ヨウ素を酸化作用を有するドーパントとして含むヨウ素系のエッチング液を用いているが、それ以外でも、例えば、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IF等のハロゲン、PF、AsF、SbF、BF、BC1、BBr、SO等のルイス酸、HF、HC1、HNO、HSO、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOH等のプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸等の有機酸、FeCl、FeOCl、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoCl、WF、WCl、UF、LnCl(Ln=La、Ce、Nd、Pr、等のランタノイドとY)等の遷移金属化合物、Cl、Br、I、ClO 、PF 、AsF 、SbF 、BF 、スルホン酸アニオン等の電解質アニオン等を挙げることができ、また、還元作用を有するドーパントとしては、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb等の希土類金属、アンモニウムイオン、R4P、R4As、R3S、アセチルコリン等をあげることができる。
なお、エッチングによって形成するソース−ドレイン電極15s,15dのパターンは、例えば、ライン幅が1〜500μm程度でラインピッチが1〜500μm程度の櫛形パターンや、格子幅が1〜500μm程度で格子ピッチが1〜500μm程度の格子形パターン等を挙げることができるが、櫛形パターンや格子形パターンに限定されず、菱形や円形等の各種のパターンで形成できるし、その線幅やピッチも特に限定されず、また、各線幅やピッチがそれぞれ同じ幅でなくてもよい。
最後に、図1(G)に示すように、必要に応じ、所定のパターンのエッチングマスク16を除去するが、この工程は任意である。エッチングマスク16を除去しない場合、エッチングマスク16は、得られた有機トランジスタ素子10を集積化する際における、電極(ソース−ドレイン電極)の絶縁膜として作用させることができる。エッチングマスク16の除去には、有機半導体層14やソース−ドレイン電極15s,15dにダメージを与えない媒体が用いられる。例えば、エッチングマスク16が無機絶縁膜である場合には、ドライエッチング等が用いられ、エッチングマスク16が有機絶縁膜である場合には、有機絶縁膜に対して溶解性のある液体(例えば、フォトレジストであれば現像液や剥離液)等が用いられる。
以上のようにして得られた有機トランジスタ素子10は、図1(G)に示すように、トップコンタクト型の有機FET素子であり、基板11と、基板11上に設けられたゲート電極12と、ゲート電極12を覆うように設けられた絶縁膜13と、絶縁膜13上に設けられた有機半導体層14と、有機半導体層14上にパターン形成されたソース−ドレイン電極15s,15dとを少なくとも有している。
[発光型の有機トランジスタ素子の製造方法]
次に、発光型の有機トランジスタ素子の製造方法について説明する。図2は、本発明の発光型の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程フローである。この発光型の有機トランジスタ素子20と、図1の方法で得られた有機トランジスタ素子との大きな違いは、ゲート電極12が補助電極22として作用し、ソース−ドレイン電極15s,15dが第1電極25Aとして作用すると共に、電荷注入抑制層26、発光層27及び第2電極28を有する点にある。
すなわち、図2に示す発光型の有機トランジスタ素子20の製造方法は、補助電極22と絶縁膜23がその順に設けられた基板21を準備する工程と、絶縁膜23上に有機半導体層24を設ける工程と、有機半導体層24上に又は有機半導体層24を挟むように第1電極層25を設ける工程と、第1電極層25上に所定の大きさの電荷注入抑制層26を設ける工程と、電荷注入抑制層26をエッチングマスクとして第1電極層25をウエットエッチングし、所定のパターンの第1電極25Aを設ける工程と、電荷注入抑制層26及び有機半導体層24上に発光層27を設ける工程と、発光層27上に第2電極28を設ける工程とを少なくとも有する方法であり、その特徴は、所定のパターンの第1電極25Aを設ける工程において、エッチング液が有機半導体層24のドーパントを含み、そのエッチング液で第1電極層25をウエットエッチングするのと同時にドーパントを有機半導体層24にドーピングすることにある。以下、本発明に係る製造方法と得られた発光型の有機トランジスタ素子の構成について、図2の工程順に説明するが、図1の構成と重複するものについては、適宜その説明を省略する。
図2(A)は、基板21上に補助電極22を形成する工程である。基板21については、図1(A)で示した基板11と同様であるのでここではその説明を省略する。なお、発光型の有機トランジスタ素子20においては、有機EL素子の基板として一般的に用いられている各種のものを用いることが好ましく、例えば、用途に応じてフレキシブルな材質や硬質な材質等からなるものが選択される。具体的には、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等の材質からなる基板を挙げることができる。基板21の形状としては、枚葉状でも連続状でもよく、具体的な形状としては、例えばカード状、フィルム状、ディスク状、チップ状等を挙げることができる。
補助電極22についても、図1(A)で示したゲート電極12と同様であるのでここではその説明を省略する。
図2(B)は、基板21上の補助電極22を覆うように絶縁膜23を設ける工程である。絶縁膜23についても、図1(B)で示した絶縁膜13と同様であるのでここではその説明を省略する。なお、発光型の有機トランジスタ素子20がボトムエミッション構造である場合には、この絶縁層23は発光層27よりも下側に位置するので、透明又は半透明になっていることが好ましく、トップエミッション構造である場合には、透明又は半透明の必要はない。
図2(C)は、絶縁膜23上に有機半導体層24を設ける工程である。有機半導体層24は、絶縁膜13上に設けられるものであり、発光型の有機トランジスタ素子20においては、主に電荷注入層として作用する層であり、必要に応じて電荷注入物質や発光材料を含んでいても構わない。したがって、この有機半導体層24は、電荷注入機能を有する材料で少なくとも形成されていることが好ましく、例えば、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ポリアセン系等の化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン等の誘導体、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン等を挙げることができる。この有機半導体層24は、単層構造であってもよいし、複数の材料で形成された積層構造であってもよい。有機半導体層24の厚さは、通常、10〜500nm程度であることが好ましい。
図2(D)は、有機半導体層24上に第1電極層25を設ける工程である。この第1電極層25は、パターニング後に第1電極25Aになるものであり、絶縁膜23上に層状に設けられる。この第1電極層25についても、図1(D)で示した電極層15と同様であるのでここではその説明を省略する。
第1電極25Aを陰極とする場合の形成材料としては、アルミ、銀等の単体金属、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類、LiF等のアルカリ金属類の合金のような仕事関数の小さな金属等を挙げることができる。また、第1電極25Aを陽極とする場合の形成材料としては、その陽極と接する有機層(有機半導体層24又は発光層27)の構成材料とオーミック接触を形成する金属であって補助電極22や上記陰極に用いられる電極材料と同様の電極材料を挙げることができるが、好ましくは金、クロムのような仕事関数の大きな金属材料や、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子が挙げられる。
また、発光型の有機トランジスタ素子20がボトムエミッション構造である場合には、発光層27よりも下側に位置する第1電極25Aは、透明又は半透明になっていることが好ましく、その透明材料としては、上記の透明導電膜、金属薄膜、導電性高分子膜を用いることができる。なお、下側とは、本発明で示す図を平面視したときの形態について、その上下方向における下側を意味している。
図2(E)は、第1電極25A上に所定のパターンの電荷注入抑制層26を形成する工程である。この電荷注入抑制層26は、図1(E)の説明においてはエッチングマスク16として機能するものであり、上記同様、無機絶縁膜や有機絶縁膜を挙げることができる。無機絶縁膜や有機絶縁膜の形成材料については、上記のエッチングマスク16と同様であるのでここではその説明を省略する。
図2(F)は、第1電極層25を所定のパターンにウエットエッチングする工程である。このウエットエッチングについても、図1(F)で示したものと同様、ウエットエッチングに用いるエッチング液が有機半導体層24のドーパントを含んでいる。こうしたエッチング液で第1電極層25をウエットエッチングすることにより、有機半導体層24上に又は有機半導体層24を挟むように第1電極25Aをパターニングすることができる。本発明は、上記有機トランジスタ素子と同様に、電極を所定のパターンにウエットエッチングする工程において、エッチング液が有機半導体層24のドーパントを含み、そのエッチング液で電極をウエットエッチングするのと同時にドーパントを有機半導体層24にドーピングするので、(i)ウエットエッチング法により電極を高精度でパターン形成でき、高密度集積化を実現できる、(ii)有機半導体層24へのエッチングダメージやエッチャント汚染を起こすことなく、有機半導体層のキャリア移動度の低下を抑制し又はキャリア移動度を向上させることができる、(iii)電極の高精度エッチングと有機半導体層へのドーピングを同時に行うことができ、効率的な製造を実現できる、という作用効果を奏する。
ドーパントの作用効果は上記同様であるが、図2に示す態様において、第1電極25Aが陰極である場合には、ドーパントとしては酸化作用を有するものを用いて有機半導体層14を酸化させることが好ましく、第1電極25Aが陽極である場合には、ドーパントとしては還元作用を有するものを用いて有機半導体層14を還元させることが好ましい。なお、ドーパントの種類等については上記と同様のものを用いることができる。
用いられるエッチング液や、エッチングによって形成する第1電極25Aのパターンについては、図1(F)で示したものと同様であるのでここではその説明を省略する。
この工程でエッチングされた第1電極25A上には、その第1電極25Aとほぼ同じ大きさからなる電荷注入抑制層26が形成されているが、その電荷注入抑制層26は、第2電極28に対向する第1電極25Aの上面で発生して第2電極28に向かう電荷(正孔又は電子。以下同じ。)の流れを抑制するように作用する。
この電荷注入抑制層26は、少なくとも、第2電極28に対向する第1電極25A上面に設けられ、且つ、第1電極25Aのエッヂ部25aが電荷注入層12に接するように構成される。こうした要件を満たすためには、電荷注入抑制層26は、第1電極25A上に平面視で同じ大きさで設けられていることが好ましいが、その第1電極25Aよりも大きい態様で設けられていてもよい。なお、本願でいう「同じ大きさ」とは、大きさが厳密に一致する場合を含むほか、作用効果が共通する程度の大きさまで含む意味で用いている。
図2(G)は、電荷注入抑制層26及び有機半導体層24上に発光層27を設ける工程である。発光層27は、少なくとも発光材料を含有し、必要に応じて電荷輸送材料や電荷注入材料を有する層のことであるが、本発明では、発光層の単層構造のみではなく、発光層と電荷注入層とからなる2層構造のもの、発光層と電荷注入層と電荷輸送層とからなる3層構造のもの等を挙げることができる。発光層27は、素子の構成や構成材料の種類等に応じ、適切な厚さ(例えば0.1nm〜1μmの範囲内)で形成される。なお、発光層27は積層構造である場合の各層の厚さが厚すぎる場合には、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になって発光効率が悪くなることがあり、各層の厚さが薄すぎる場合には、ピンホール等が発生して電界を印加しても十分な輝度が得られないことがある。
発光層27の形成材料としては、有機EL素子の発光層として一般的に用いられている材料であれば特に限定されず、例えば色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料等を挙げることができる。
色素系発光材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。また、金属錯体系発光材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等、又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。また、高分子系発光材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙げることができる。
発光層27中には、発光効率の向上や発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤等の添加剤を添加するようにしてもよい。ドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。
電荷注入材料としては、例えば、発光層27の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、ポリアセン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの誘導体等を挙げることができる。
また、第2電極28の発光層27側には、第2電極用の電荷注入層を設けてもよい。例えば第2電極28を陰極とした場合における電荷(電子)注入層(図11の符号29Bを参照)の形成材料としては、発光層27の発光材料に例示した化合物の他、アルミニウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、及びアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を挙げることができる。
第1電極25Aを陽極とした場合における電荷(正孔)輸送層(図11の符号29Aを参照)の形成材料としては、フタロシアニン、ナフタロシアニン、ポリフィリン、オキサジアゾール、トリフェニルアミン、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、ピラゾリン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、スチルベン、ペンタセン、ポリチオフェン若しくはブタジエン、又はこれらの誘導体等、正孔輸送材料として通常使用されるものを用いることができる。また、電荷輸送層の形成材料として市販されている、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P AI4083、水溶液として市販。)等も使用することができる。電荷輸送層は、こうした化合物を含有した電荷輸送層形成用塗液を用いて形成される。なお、これらの電荷輸送材料は、上記の発光層27内に混ぜてもよいし、上記の電荷注入層内に混ぜてもよい。
また、図示しないが、電荷輸送層を発光層27の第2電極28側に設けてもよい。例えば第2電極28を陰極とした場合における電荷(電子)輸送層の形成材料としては、アントラキノジメタン、フルオレニリデンメタン、テトラシアノエチレン、フルオレノン、ジフェノキノンオキサジアゾール、アントロン、チオピランジオキシド、ジフェノキノン、ベンゾキノン、マロノニトリル、ニジトロベンゼン、ニトロアントラキノン、無水マレイン酸若しくはペリレンテトラカルボン酸、又はこれらの誘導体等、電子輸送材料として通常使用されるものを用いることができる。電荷(電子)輸送層は、こうした化合物を含有した電荷輸送層形成用塗液を用いて形成される。なお、これらの電荷輸送材料は、上記の発光層27内に混ぜてもよいし、上記の電子注入層内に混ぜてもよい。また、電荷輸送層を発光層27の第1電極25A側に設けてもよい。
なお、上述した発光層27中には、必要に応じてオリゴマー材料又はデンドリマー材料の発光材料若しくは電荷輸送注入材料を含有させてもよい。また、有機層を構成する各層は、真空蒸着法によって成膜するか、あるいは、それぞれの形成材料をトルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒に溶解又は分散させて塗布液を調整し、その塗布液を塗布装置等を用いて塗布又は印刷等することで形成される。
発光層27は、上述したような各種の積層態様に応じて、発光層形成材料、電荷注入層形成材料、電荷輸送層形成材料等を隔壁により区分けされた所定の位置に形成される。なお、隔壁(図示しない。)は、発光型有機トランジスタ素子を有する発光表示装置の平面上に発光色毎に区分けする領域を形成するものである。隔壁材料としては、従来、隔壁材料として使用されている各種の材料、例えば、感光性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。隔壁の形成手段としては、採用される隔壁材料に適した手段で形成でき、例えば、厚膜印刷法を用いたり、感光性レジストを用いたパターニングにより形成したりすることができる。
図2(H)は、発光層27上に第2電極28を設ける工程である。この第2電極28は、発光層27上に層状に設けられる。第2電極28を陰極とする場合の形成材料としては、第2電極28が接する発光層27の構成材料とオーミック接触を形成する金属であって、図2(D)で説明した第1電極25Aと同様、アルミ、銀等の単体金属、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類、LiF等のアルカリ金属類の合金のような仕事関数の小さな金属等を好ましく挙げることができる。また、第2電極28を陽極とする場合の形成材料としては、その陽極と接する発光層27の構成材料とオーミック接触を形成する金属であって補助電極22や上記陰極に用いられる電極材料と同様の電極材料を挙げることができるが、好ましくは金、クロムのような仕事関数の大きな金属材料や、ITO(インジウム錫オキサイド)、酸化インジウム、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SnO、ZnO等の透明導電膜、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子が挙げられる。
第2電極28は、上記の電極材料で形成された単層構造の電極であってもよいし、複数の電極材料で形成された積層構造の電極であってもよい。第2電極28は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の真空プロセス又は塗布により形成され、その膜厚は使用する材料等によっても異なるが、例えば10nm〜1000nm程度であることが好ましい。
この有機トランジスタ素子がトップエミッション構造である場合には、発光層27よりも上側に位置する第2電極28は、透明又は半透明になっていることが好ましい。透明材料としては、上記の透明導電膜、金属薄膜、導電性高分子膜を用いることができる。なお、上側とは、本発明で示す図を平面視したときの形態について、その上下方向における上側を意味している。
以上のようにして得られた発光型の有機トランジスタ素子20は、図2(H)に示すように、有機EL素子構造と縦型FET構造とを有する電界効果型の有機発光トランジスタ素子であり、基板21と、基板21上に設けられた補助電極22と、補助電極22上に設けられた絶縁膜23と、絶縁膜23上に設けられた有機半導体層24と、有機半導体層24上に又は有機半導体層24を挟むように所定のパターンで設けられた第1電極25Aと、第1電極25A上に所定の大きさで設けられた電荷注入抑制層26と、電荷注入抑制層26及び有機半導体層24上に設けられた発光層27と、発光層27上に設けられた第2電極28とを有している。第1電極25Aは、有機半導体層24のドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、そのエッチング液で第1電極25Aをエッチングするのと同時にドーパントが有機半導体層24の少なくとも表面層にドーピングされている。
図3は、図2の発光型の有機トランジスタ素子20での電荷の流れを概念的に示す説明図である。本発明の発光型の有機トランジスタ素子20は、第1電極25Aのエッヂ部25aが電荷注入作用を有する層(例えば発光層27)に接する構造であり、具体的には図3に示すように、電荷注入作用を有する層(発光層27)と第1電極25Aのエッヂ部25aとが接触しており、第1電極25Aと補助電極22との間に印加されるゲート電圧Vによって電荷(正孔又は電子)が発生し、その電荷は、第1電極25Aと第2電極28との間に印加されるドレイン電圧Vによって第1電極25Aから第2電極28に向かって運ばれる。本発明においては、第1電極25Aと第2電極28との間に一定の電界(ドレイン電圧V)を印加した場合、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加するゲート電圧Vを可変させることにより、電荷の発生量が制御され、その結果、その電荷が発光層27に運ばれ、第2電極28から供給された電荷と再結合して発光する発光量が制御される。
こうした制御は、第1電極25A上に電荷注入抑制層26を設けたことにより実現し、図3に示すように、第1電極25Aと第2電極28との間に一定電圧(ドレイン電圧V)を印加した場合、第1電極25Aの上面で発生して第2電極28に向かう電荷の流れが電荷注入抑制層26の存在により抑制される。その結果、電荷は電荷注入抑制層26で覆われていない小面積のエッヂ部25a(端部)で発生して第2電極28に向かうことになるので、第1電極25Aと第2電極28との間に一定電圧(ドレイン電圧V)が印加された場合での第1電極−第2電極間の電流値を抑制できる。その結果、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加する電圧(ゲート電圧V)を制御して電荷の発生をアシストすることにより、第1電極25Aでの電荷の発生量を制御して発光量を制御することができる。特に本発明においては、ドーパントの作用により有機半導体層24中のキャリア密度が上昇して有機半導体層の抵抗を下げるので、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加する電圧(ゲート電圧V)を制御して電荷の発生をアシストすることが容易となり、第1電極25Aでの電荷の発生量を制御して発光量を制御することが容易となる。
[その他の構成]
上記の発光型の有機トランジスタ素子20においては、第1電極25Aを陽極とし、第2電極28を陰極として構成してもよいし、第1電極25Aを陰極とし、第2電極28を陽極として構成してもよい。第1電極25Aと第2電極28とが何れの極性を持つものであっても、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加する電圧を制御して電荷量を鋭敏に変化させることができ、第1電極−第2電極間に流れる電流を制御して発光量を制御することができる。なお、第1電極25Aが陽極で第2電極28が陰極である場合には、第1電極25Aに接するように正孔注入層29A(図3を参照)が設けられていることが好ましく、第2電極28の接する側に電荷注入層が設けられる場合にはその電荷注入層は電子注入層29B(図11を参照)であることが好ましい。一方、第1電極25Aが陰極で第2電極28が陽極である場合には、第1電極25Aに接する側に電子注入層が設けられ、第2電極28の接する側に電荷注入層が設けられる場合にはその電荷注入層は正孔注入層であることが好ましい。
また、上記のように、第1電極25Aが陰極である場合には、ドーパントとしては酸化作用を有するものを用いることが好ましく、第1電極25Aが陽極である場合には、ドーパントとしては還元作用を有するものを用いることが好ましい。
図4は、補助電極22(ゲート電極12)と第1電極25A(ソース−ドレイン電極15s,15d)のオーバーラップについて説明する模式断面図である。図2に示した発光型の有機トランジスタ素子20の例で説明すれば、有機トランジスタ素子20を上方から平面視した場合、補助電極22と第1電極25Aが、幅dだけオーバーラップするように形成することができる。こうしたオーバーラップは、素子の歩留まりを向上すると共に再現性を向上させるという効果があるので、少なくとも図4に示すように、多少でもオーバーラップしていることが好ましい。なお、図3のように一部のみがオーバーラップしていてもよいが、補助電極22を広い面積で形成することにより、第1電極25Aと補助電極22が完全に重なっていることが好ましい。
図5は、エッチング液中のドーパントが有機半導体層24にドープした領域を示す模式断面図である。図2に示した発光型の有機トランジスタ素子20の例で説明すれば、第1電極25Aが、ドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられるので、そのエッチング液で第1電極層25をエッチングして第1電極25Aを形成するのと同時に、有機半導体層24の少なくとも表面層は、ドーパントがドープしたドープ領域31となる。ここで、「少なくとも」としたのは、図5に示すような表面層がドープ領域31となっている場合の他、第1電極25Aの下を含む有機半導体層14の表面層から絶縁膜23の界面付近までドーパントがドープしたドープ領域31となっている場合を含むことを意味している。こうしたドープ領域31が有機半導体層24に形成されるので、得られた有機トランジスタ素子は、(i)高精度でパターン形成された第1電極25A(又はソース−ドレイン電極15s,15d)を有し、高密度集積化を実現できる、(ii)キャリア移動度の低下が抑制され又はキャリア移動度が向上した有機半導体層24を有し、トランジスタ特性を良好なものとすることができる、という作用効果を奏する。
本発明の発光型の有機トランジスタ素子20は、トップエミッション型の発光トランジスタ素子であってもよいし、ボトムエミッション型の発光トランジスタ素子であってもよく、いずれの形態にするかによって、構成される層の光透過性が設計される。なお、本願で示す発光型の有機トランジスタ素子20の断面構成図は、トランジスタの一画素(一ピクセル)を示している。したがって、この画素毎に所定の発光色を発光する発光層を形成することにより、カラーディスプレイ等の発光表示装置を形成することができる。
[有機発光トランジスタ及び発光表示装置]
次に、本発明の有機発光トランジスタ及び発光表示装置について説明するが、以下により限定されるものではない。本発明の有機発光トランジスタは、上述した本発明の発光型の有機トランジスタ素子20がシート状基板の上にマトリクス配置されたものであり、上記本発明の発光型の有機トランジスタ素子20と、その有機トランジスタ素子20が備える第1電極25Aと第2電極28との間に一定電圧(ドレイン電圧V)を印加する第1電圧供給手段と、その有機トランジスタ素子20が備える第1電極25Aと補助電極22との間に可変電圧(ゲート電圧V)を印加する第2電圧供給手段とを有する。
図6及び図7は、本発明の発光型の有機トランジスタ素子20を構成する電極配置の例を示す平面図である。図6は、第1電極25Aと電荷注入抑制層26とからなる積層構造体30を櫛形に形成した場合の配置図であり、図7は、その積層構造体30を格子状に形成した場合の配置図である。電極配置は、図6及び図7に示すように、平面視で上下方向に延びる補助電極22と、その補助電極22に直交するように一方の側から延びる積層構造体30(第1電極25A)と、その補助電極22に直交すると共に積層構造体30と重なるように他方の側から延びる第2電極28とからなるように配置されている。図7では、X方向の積層構造体30xとY方向の積層構造体30yで格子を構成している。なお、図6及び図7は一例である。
また、本発明の発光表示装置は、複数の発光部をマトリクス状に配置した発光表示装置であって、その複数の発光部の各々が、上記本発明の発光型の有機トランジスタ素子20を有している。図8は、本発明の発光型の有機トランジスタ素子20を内蔵した典型的な発光表示装置の一例を示す概略図であり、図9は、発光表示装置内の各画素(単位素子)180として設けられた本発明の発光型の有機トランジスタ素子20を有する有機発光トランジスタの一例を示す回路概略図である。この発光表示装置は、各画素(単位素子)180が1つのスイッチングトランジスタを有する例を示している。
図9に示す各画素180は、縦横に配列された第一スイッチング配線187と第二スイッチング配線188とに接続されている。第一スイッチング配線187及び第二スイッチング配線188は、図8に示すように、電圧制御回路164に接続され、その電圧制御回路164は、画像信号供給源163に接続されている。なお、図8及び図9中の符号186はグランド配線であり、符号189は定電圧印加線である。
図9において、第一スイッチングトランジスタ183のソース193aは、第二スイッチング配線188に接続され、ゲート194aは、第一スイッチング配線187に接続され、ドレイン195aは、有機発光トランジスタ140の補助電極22及び電圧保持用コンデンサ185の一方の端子に接続されている。また、電圧保持用コンデンサ185の他方の端子は、グランド186に接続されている。有機発光トランジスタ140の第2電極28は、グランド186に接続され、有機発光トランジスタ140の第1電極25Aは、定電圧印加線189に接続されている。
次に、図9に示す回路の動作について説明する。第一スイッチング配線187に電圧が印加されると、第一スイッチングトランジスタ183のゲート194aに電圧が印加される。これにより、ソース193aとドレイン195aとの間に導通が生じる。この状態において、第二スイッチング配線188に電圧が印加されると、ドレイン195aに電圧が印加され、電圧保持用コンデンサ185に電荷が貯えられる。これにより、第一スイッチング配線187又は第二スイッチング配線188に印加する電圧をオフにしても、有機発光トランジスタ140の補助電極22に、電圧保持用コンデンサ185に貯えられた電荷が消滅するまで電圧が印加され続ける。有機発光トランジスタ140の第1電極25Aに電圧が印加されることにより、第1電極25Aと第2電極28との間が導通し、定電圧供給線189から有機発光トランジスタ140を通過してグランド186に電流が流れ、有機発光トランジスタ140が発光する。
図10は、発光表示装置内の各画素(単位素子)181として設けられた本発明の発光型の有機トランジスタ素子を有する有機発光トランジスタの他の一例を示す回路概略図である。この発光表示装置は、各画素(単位素子)181が2つのスイッチングトランジスタを有する例を示している。
図10に示す各画素181は、図9の場合と同様、縦横に配列された第一スイッチング配線187と第二スイッチング配線188とに接続されている。第一スイッチング配線187及び第二スイッチング配線188は、図8に示すように、電圧制御回路164に接続され、その電圧制御回路164は、画像信号供給源163に接続されている。なお、図10中の符号186はグランド配線であり、符号209は電流供給線であり、符号189は定電圧印加線である。
図10において、第一スイッチングトランジスタ183のソース193aは、第二スイッチング配線188に接続され、ゲート194aは、第一スイッチング配線187に接続され、ドレイン195aは、第二スイッチングトランジスタ184のゲート194b及び電圧保持用コンデンサ185の一方の端子に接続されている。また、電圧保持用コンデンサ185の他方の端子は、グランド186に接続され、第二スイッチングトランジスタのソース193bは、電流源191に接続され、ドレイン195bは、有機発光トランジスタ140の補助電極22に接続されている。有機発光トランジスタ140の第2電極28は、グランド186に接続され、有機発光トランジスタ140の第1電極25Aは、定電圧印加線189に接続されている。
次に、図10に示す回路の動作について説明する。第一スイッチング配線187に電圧が印加されると、第一スイッチングトランジスタ183のゲート194aに電圧が印加される。これにより、ソース193aとドレイン195aとの間に導通が生じる。この状態において、第二スイッチング配線188に電圧が印加されると、ドレイン195aに電圧が印加され、電圧保持用コンデンサ185に電荷が貯えられる。これにより、第一スイッチング配線187又は第二スイッチング配線188に印加する電圧をオフにしても、第二スイッチングトランジスタ184のゲート194bに、電圧保持用コンデンサ185に貯えられた電荷が消滅するまで電圧が印加され続ける。第二トランジスタ184のゲート194bに電圧が印加されることにより、ソース193bとドレイン195bとの間が導通し、定電圧印加線189から有機発光トランジスタ140を通過してグランドに電流が流れ、有機発光トランジスタ140が発光する。
図8に示す画像信号供給源163は、例えばそれに内蔵又は接続されている画像情報メディアに記録されている画像情報を再生する装置や、入力された電気磁気的な情報を電気信号に変換する装置からもたらされる電気信号を、電圧制御装置164が受け取れる電気信号形態に変換して、電圧制御装置164に送る。電圧制御装置164は、画像信号供給源163からもたらされた電気信号を更に変換し、どの画素180,181をどれだけの時間発光させるかを計算し、第一スイッチング配線187及び第二スイッチング配線188に印加する電圧、時間、及びタイミングを決定する。これにより、画像情報に基づき発光表示装置は、所望の画像を表示できるようになる。なお、近接した微小画素ごとに、赤を基調にする色、緑を基調にする色、及び青を基調にする色のRGB三色が発光できるようにすると、カラー表示の画像表示装置を得ることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)
補助電極22としての厚さ100nmのITO膜付きのガラス基板21上に、絶縁膜23としてポジ型のPVP系レジスト(東京応化工業株式会社製、商品名:TMR−P10)をスピンコート法により300nmの厚さで成膜した。次に、絶縁膜23上に、電荷注入材料であるポリ3ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、商品名:Poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)をインクジェット法で塗布し、活性層である有機半導体層24を厚さ50nm形成した。その後、その有機半導体層24上に、真空蒸着法により第1電極層25(陽極)としてのAu層(厚さ30nm)を一様に成膜し、その後、上記と同じPVP系のレジスト(東京応化工業株式会社製、商品名:TMR−P10)をスピンコート法により塗布した。次に、マスクを用いた露光、現像を行って50μmの幅d1で厚さ300nmの電荷(正孔)注入抑制層26を形成した。
次に、エッチング液として、エッチャントとしてのヨウ化カリウム及びドーパントとしてのヨウ素を含有させた金エッチング液(関東化学社製、AURUM101)を用いて第1電極層25をエッチングして第1電極25Aを形成した。エッチングは、第1電極25Aのエッヂ部25aが電荷注入抑制層26のエッヂ部とほぼ同じになるようにエッチングした。その後、電荷注入能と電荷輸送能を有する電荷(正孔)輸送層27Aとしてのα−NPDを有機半導体層24及び電荷注入抑制層26を覆うようにして真空蒸着により成膜し、電荷注入抑制層26の上面からの厚さが40nmとなるように形成した。さらに、発光層27としてのAlq(厚さ60nm)/電子注入層29BとしてのLiF(厚さ1nm)/第2電極28としてのAl(厚さ100nm)をその順で真空蒸着により積層して、図11の形態からなる実施例1の発光型の有機トランジスタ素子を作製した。
得られた発光型の有機トランジスタ素子の第1電極25Aと第2電極28との間にマイナス10Vの電圧(ドレイン電圧V)を印加しながら、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加する電圧(ゲート電圧V)を変化させた。図12は、そのときに得られた輝度の変化を示すグラフである。この結果から、マイナス10Vのドレイン電圧Vの印加時において、ゲート電圧Vを可変させると、約マイナス10Vからプラス側で輝度を約0にすることができた。こうした結果は、ゲート電圧Vの可変による輝度制御が可能であるということがいえる。なお、輝度の測定は、MINOLTA社製の輝度計(商品名:CS−100A)を用い、室温、大気下の測定条件で行った。
上記の結果は次のように説明できる。すなわち、この実施例1では、エッチング液中のヨウ素は、チオフェン系高分子からなる有機半導体層24に対して酸化作用を有するドーパントとして作用する。有機半導体層14には、エッチング液で第1電極25Aをウエットエッチングするのと同時に前記のドーパントがドーピングされる。ドーピングされたドープ領域31は有機半導体層14の表面層であり、そのドープ領域31は2次イオン質量分析装置(SIMS)で分析することにより計測することができる。本実施例のドープ領域31は、第1電極25Aの下を含む有機半導体層14の表面層から絶縁膜の界面付近までドーパントであるヨウ素が確認された。本実施例では、ドープ領域31で有機半導体層14を酸化させることができ、有機半導体層14の正孔を増やすことができる。こうした正孔の増加は有機半導体層14のキャリア密度を上昇させることができるので、抵抗が下がり、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加するゲート電圧Vを可変させるよって、キャリアの移動を制御することが可能となる。
(比較例1)
補助電極22としての厚さ100nmのITO膜付きのガラス基板21上に、絶縁膜23としてポジ型のPVP系レジスト(東京応化工業株式会社製、商品名:TMR−P10)をスピンコート法により300nmの厚さで成膜した。次に、絶縁膜23上に、電荷注入材料であるポリ3ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、商品名:Poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)をインクジェット法で塗布し、活性層である有機半導体層24を厚さ50nm形成した。その後、その有機半導体層24上に、マスクを用いた真空蒸着法により第1電極25A(陽極)としてのAu(厚さ30nm)を成膜した後、第1電極25Aを覆うようにしてポジ型のレジスト(東京応化工業株式会社製、商品名:TMR−P10)をスピンコート法により塗布した。次に、第1電極25Aと同じ大きさになるように、マスクを用いた露光、現像を行って50μmの幅d1で厚さ300nmの電荷(正孔)注入抑制層26を第1電極25A上のみに形成した。
その後、電荷注入能と電荷輸送能を有する電荷(正孔)輸送層27Aとしてのα−NPDを有機半導体層24及び電荷注入抑制層26を覆うようにして真空蒸着により成膜し、電荷注入抑制層26の上面からの厚さが40nmとなるように形成した。さらに、発光層27としてのAlq(厚さ60nm)/電子注入層29BとしてのLiF(厚さ1nm)/第2電極28としてのAl(厚さ100nm)をその順で真空蒸着により積層して、図11と同様の形態からなる比較例1の発光型の有機トランジスタ素子を作製した。
得られた発光型の有機トランジスタ素子の第1電極25Aと第2電極28との間にマイナス10Vの電圧(ドレイン電圧V)を印加しながら、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加する電圧(ゲート電圧V)を変化させた。図12は、そのときに得られた輝度の変化を示すグラフである。この結果から、マイナス10Vのドレイン電圧Vの印加時において、ゲート電圧Vを可変させても、実施例1のような輝度のON/OFF制御はできなかった。なお、輝度の測定は、実施例1と同じである。
上記の結果は次のように説明できる。すなわち、この比較例2では、ドーパントを含むエッチング液を用いないので、ドーパントによる有機半導体層14の酸化を起こさない。そのため、上記の実施例1とは異なり、有機半導体層14の正孔は増えず、キャリア密度を上昇させることができない。その結果、補助電極22と第1電極25Aとの間に印加するゲート電圧Vを可変させても、キャリアの移動を制御することが難しいことになる。
本発明の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程フローである。 本発明の発光型の有機トランジスタ素子の製造方法の一例を示す工程フローである。 図2の発光型の有機トランジスタ素子での電荷の流れを概念的に示す説明図である。 補助電極(ゲート電極)と第1電極(ソース−ドレイン電極)のオーバーラップについて説明する模式断面図である。 エッチング液中のドーパントが有機半導体層にドープした領域を示す模式断面図である。 本発明の発光型の有機トランジスタ素子を構成する電極配置の一例を示す平面図である。 本発明の発光型の有機トランジスタ素子を構成する電極配置の他の一例を示す平面図である。 本発明の発光型の有機トランジスタ素子を内蔵した発光表示装置の一例を示す概略図である。 発光表示装置内の各画素(単位素子)として設けられた本発明の発光型の有機トランジスタ素子を有する有機発光トランジスタの一例を示す回路概略図である。 発光表示装置内の各画素(単位素子)として設けられた本発明の発光型の有機トランジスタ素子を有する有機発光トランジスタの他の一例を示す回路概略図である。 実施例1及び比較例1の発光型の有機トランジスタ素子を示す模式断面図である。 実施例1及び比較例1の発光型の有機トランジスタ素子で得られた輝度の変化を示すグラフである。 SIT構造と有機EL素子構造とを複合させた従来の有機発光トランジスタの一例を示す断面構成図である。 SIT構造と有機EL素子構造とを複合させた従来の発光トランジスタの他の例を示す断面構成図である。
符号の説明
10 有機トランジスタ素子
20 発光型の有機トランジスタ素子
11,21 基板
12 ゲート電極
13,23 絶縁膜
14,24 有機半導体層
15 電極層
15s ソース電極
15d ドレイン電極
15A 第1電極
16 エッチングマスク
22 補助電極
25 第1電極層
25A 第1電極
25a エッジ部
26 電荷注入抑制層
27 発光層
27A 電荷(正孔)輸送層
28 第2電極
29A 電荷(正孔)注入層
29B 電荷(電子)注入層
30 積層構造体
31 検出されたドープ領域
140 有機トランジスタ
163 画像信号供給源
164 電圧制御回路
180,181 画素
183 第一スイッチングトランジスタ
184 第二スイッチングトランジスタ
185 電圧保持用コンデンサ
186 グランド配線
187 第一スイッチング配線
188 第二スイッチング配線
189 定電圧印加線
193a 第一スイッチングトランジスタのソース
193b 第二スイッチングトランジスタのソース
194a 第一スイッチングトランジスタのゲート
194b 第二スイッチングトランジスタのゲート
195a 第一スイッチングトランジスタのドレイン
195b 第二スイッチングトランジスタのドレイン
209 電流供給線
ゲート電圧
ドレイン電圧

Claims (8)

  1. 有機半導体層上に又は有機半導体層を挟むように、所定のパターンにウエットエッチングされた電極が設けられてなるトップコンタクト型の有機トランジスタ素子の製造方法であって、
    前記電極を所定のパターンにウエットエッチングする工程において、エッチング液が前記有機半導体層を酸化させて正孔を増やすドーパント又は前記有機半導体層を還元させて電子を増やすドーパントを含み、当該エッチング液で前記電極をウエットエッチングするのと同時に前記ドーパントを前記有機半導体層にドーピングすることを特徴とする有機トランジスタ素子の製造方法。
  2. 補助電極と絶縁膜がその順に設けられた基板を準備する工程と、前記絶縁膜上に有機半導体層を設ける工程と、前記有機半導体層上に又は前記有機半導体層を挟むように第1電極層を設ける工程と、前記第1電極層上に所定の大きさの電荷注入抑制層を設ける工程と、前記電荷注入抑制層をエッチングマスクとして前記第1電極層をウエットエッチングし、所定のパターンの第1電極を設ける工程と、前記電荷注入抑制層及び前記有機半導体層上に発光層を設ける工程と、前記発光層上に第2電極を設ける工程とを少なくとも有する発光型の有機トランジスタ素子の製造方法であって、
    前記所定のパターンの第1電極を設ける工程において、エッチング液が前記有機半導体層を酸化させて正孔を増やすドーパント又は前記有機半導体層を還元させて電子を増やすドーパントを含み、当該エッチング液で前記第1電極層をウエットエッチングするのと同時に前記ドーパントを前記有機半導体層にドーピングすることを特徴とする発光型の有機トランジスタ素子の製造方法。
  3. 前記有機半導体層が、電荷注入材料、電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層である、請求項1又は2に記載の有機トランジスタ素子の製造方法。
  4. 基板上に設けられた有機半導体層と、前記有機半導体層上に又は前記有機半導体層を挟むように所定のパターンで設けられたソース−ドレイン電極とを有するトップコンタクト型の有機トランジスタ素子であって、
    前記ソース−ドレイン電極が、前記有機半導体層を酸化させて正孔を増やすドーパント又は前記有機半導体層を還元させて電子を増やすドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、当該エッチング液で前記ソース−ドレイン電極をエッチングするのと同時に前記ドーパントが前記有機半導体層の少なくとも表面層にドーピングされてなることを特徴とする有機トランジスタ素子。
  5. 基板と、当該基板上に設けられた補助電極と、当該補助電極上に設けられた絶縁膜と、当該絶縁膜上に設けられた有機半導体層と、当該有機半導体層上に又は当該有機半導体層を挟むように所定のパターンで設けられた第1電極と、当該第1電極上に所定の大きさで設けられた電荷注入抑制層と、当該電荷注入抑制層及び前記有機半導体層上に設けられた発光層と、当該発光層上に設けられた第2電極とを有する発光型の有機トランジスタ素子であって、
    前記第1電極が、前記有機半導体層を酸化させて正孔を増やすドーパント又は前記有機半導体層を還元させて電子を増やすドーパントを含むエッチング液でエッチングすることにより設けられたものであり、当該エッチング液で前記第1電極をエッチングするのと同時に前記ドーパントが前記有機半導体層の少なくとも表面層にドーピングされてなることを特徴とする発光型の有機トランジスタ素子。
  6. 前記有機半導体層が、電荷注入材料、電荷輸送材料ないし発光材料を含む有機層である、請求項4又は5に記載の有機トランジスタ素子。
  7. 請求項に記載の有機トランジスタ素子と、当該有機トランジスタ素子が備える第1電極と第2電極との間に一定電圧を印加する第1電圧供給手段と、当該有機トランジスタ素子が備える第1電極と補助電極との間に可変電圧を印加する第2電圧供給手段とを有することを特徴とする有機発光トランジスタ。
  8. 複数の発光部をマトリクス状に配置した発光表示装置であって、前記複数の発光部の各々は、請求項4〜6のいずれかに記載の有機トランジスタ素子を有することを特徴とする発光表示装置。
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