以下、本発明にかかる実施形態を説明する。図1に示すように、連続鋳造設備1は、溶融金属である溶鋼H0を貯留するタンディッシュ2、タンディッシュ2の底部からモールド3(鋳型)に溶鋼H0を注入する注入ノズル4、モールド3から引き出される鋳片H1を通過させる鋳片通路5、及び、鋳片H1の端部を保持してモールド3から鋳片通路5に引き出すダミーバー6を備えている。
鋳片通路5は、モールド3から下方に向かって略鉛直に設けられた鉛直路5a、鉛直路5aの下端部から下方に向かうに従い次第に前方(図1においては右側)に向かうように略円弧状に湾曲した湾曲路5b、及び、湾曲路5bの前端部から前方に向かって略水平に設けられた水平路5cを有しており、鋳片H1及びダミーバー6を鋳片通路5に沿った所定の通過方向D1(鉛直路5aにおいては鉛直方向、湾曲路5bにおいては湾曲した方向、水平路5cにおいては水平方向)に通過させるように構成されている。また、図2に示すように、鋳片H1の長さ方向を通過方向D1に向け、鋳片H1の幅方向を通過方向D1に対して略垂直な方向(幅方向D2、水平方向)に向け、鋳片H1の厚さ方向を通過方向D1及び幅方向D2対して略垂直な方向(厚さ方向D3)に向けた状態で、鋳片H1を通過させるようになっている。
鋳片通路5の厚さ方向D3における両側には、鋳片通路5内の鋳片H1をガイドするロール群11(第一のロール群)、ロール群12(第二のロール群)が設けられている。即ち、鋳片通路5は、ロール群11、12の間に形成されている。ロール群11は、鋳片H1の裏面(水平路5cにおいて下側となる面)側をガイドするように、即ち、鋳片通路5の裏側(鉛直路5aにおいては鉛直路5aの後側、湾曲路5bにおいては湾曲路5bの外周側、水平路5cにおいては水平路5cの下側)に設けられている。ロール群12は、鋳片H1の表面(水平路5cにおいて上側となる面)側をガイドするように、即ち、鋳片通路5の表側(鉛直路5aにおいては鉛直路5aの前側、湾曲路5bにおいては湾曲路5bの内周側、水平路5cにおいては水平路5cの上側)に設けられている。
裏側のロール群11は、複数のロール13(第一のロール)を備えている。ロール13は、通過方向D1において鋳片通路5の裏側に沿って一列に並べて設けられている。図2に示すように、各ロール13は、それぞれ略円柱状をなし、中心軸13aを幅方向D2に向けた状態で取り付けられている。さらに、各ロール13(外周面13b)は、中心軸13a(回転中心軸)を中心として回転可能になっている。各ロール13の両端部は、図示しない軸受部(ベアリング)によってそれぞれ回転可能に保持されている。
なお、通過方向D1において隣り合うロール13の回転中心間(中心軸13aの間)の距離G1(ロールピッチ、図1参照)は、必ずしも等間隔ではなく、例えば鋳片通路5の下流側ほど広くなっている。即ち、鉛直路5aでは狭い間隔に、水平路5cでは鉛直路5aよりも広い間隔になっている。
表側のロール群12は、複数のロール14(第二のロール)を備えている。ロール14は、通過方向D1において鋳片通路5の表側に沿って一列に並べて設けられている。図2に示すように、各ロール14は、ロール13と同様に、それぞれ略円柱状をなし、中心軸14aを幅方向D2に向けた状態で取り付けられている。即ち、裏側のロール13と表側のロール14は、互いに略平行に設けられており、互いに対向するロール13とロール14の間のロール間隔(厚さ方向D3における外周面13bと外周面14bとの間の間隔)は、幅方向D2において一定になっている。各ロール14(外周面14b)は、中心軸14a(回転中心軸)を中心として回転可能になっている。各ロール14の両端部は、図示しない軸受部によってそれぞれ回転可能に保持されている。
なお、表側のロール14は、厚さ方向D3において裏側の各ロール13に対して鋳片通路5を挟んで対向する位置に、それぞれ1つずつ対応させて設けられている。従って、通過方向D1において隣り合う表側のロール14の回転中心間(中心軸14aの間)の距離G2(ロールピッチ、図1参照)も、必ずしも等間隔ではなく、例えば鋳片通路5の下流側ほど広くなっている。即ち、鉛直路5aでは狭い間隔に、水平路5cでは鉛直路5aよりも広い間隔になっている。
また、裏側のロール13と表側のロール14は、鋳片H1が鋳片通路5を通過する際、鋳片H1の裏面と表面によってそれぞれ押され、互いに離隔する方向に、僅かに移動するようになっている。つまり、鋳片H1が鋳片通路5を通過していない状態のロール間隔G3は、鋳片H1の厚さよりも僅かに小さい寸法に設定されており、鋳片H1が通過する際のロール間隔G4は、鋳片H1の厚さに合わせて広がり、鋳片H1の厚さと同一になるように設定されている。
ダミーバー6は、図1に示すように、複数のリンク部材21を長さ方向(鋳片通路5の通過方向D1)において一列に繋ぎ合わせた構造になっている。リンク部材21の端部同士の間には、連結部材22がそれぞれ備えられている。各リンク部材21の端部と連結部材22は、ダミーバー6の幅方向(鋳片通路5の幅方向D2)に向けられた連結軸23によってそれぞれ連結されている。即ち、各リンク部材21、連結部材22は、連結軸23を中心としてそれぞれ個別に回転することができる。かかる構成により、ダミーバー6は、長さ方向における複数の部分で屈曲自在になっている。ダミーバー6の基端部には、鋳片H1の端部を結合させるダミーバーヘッド25が設けられている。なお、ダミーバー6の厚さ(各リンク部材21、各連結部材22の厚さ)は、ロール間隔G3、G4よりも小さい寸法になっている。
次に、表側のロール14の回転異常を検出するロール回転異常検出装置30について説明する。図3は、ロール回転異常検出装置30の平面図(厚さ方向D3から見た図)を示し、図4は、ロール回転異常検出装置30の背面図(通過方向D1において上流側から見た図)を示している。図5は、ロール回転異常検出装置30の側面図(幅方向D2から見た図)を示している。
図3及び図4に示すように、ロール回転異常検出装置30は、2つの検出ユニット31A、31Bを備えている。検出ユニット31A、31Bは、ダミーバー6の幅方向(鋳片通路5の幅方向D2)において、ダミーバー6の両側にそれぞれ設けられている。また、検出ユニット31Aと検出ユニット31Bは、ダミーバー6を中心として互いに左右対称な、実質的に同一の構造になっている。
検出ユニット31A、31Bは、支持シャフト32の両端部に取り付けられている。支持シャフト32は、複数のリンク部材21のうち1つに設けられた支持穴部35に、中心軸をダミーバー6の幅方向に向けた状態で通されている。かかる支持穴部35内において、支持シャフト32は、リンク部材21に対してダミーバー6の厚さ方向(鋳片通路5の厚さ方向D3)において所定の範囲内でスライド移動できるように、つまり、ダミーバー6に対して裏側(ロール13側)と表側(ロール14側)との間で移動可能に取り付けられている。そして、この支持シャフト32の一端部に検出ユニット31A(後述する装置本体41)が取り付けられ、他端部に検出ユニット31B(装置本体41)が取り付けられている。即ち、各検出ユニット31A、31Bは、支持シャフト32と一体的に、ダミーバー6に対してダミーバー6の厚さ方向に、ロール13側とロール14側との間でスライドできるように取り付けられている。
検出ユニット31Aと検出ユニット31Bは実質的に同一の構造であるため、以下では検出ユニット31Aについてのみ、詳細に説明する。図3及び図4に示すように、検出ユニット31Aは、支持シャフト32を介してダミーバー6(リンク部材21)によって保持された装置本体41を備えている。装置本体41は、ダミーバー6の幅方向においてリンク部材21の縁部に対して隣接する位置に設けられ、支持シャフト32の端部に固定されている。
装置本体41の裏側(裏側のロール13に向けられる側、図4及び図5においては下面側)には、装置本体41に対して固定された固定部材42が設けられている。一方、装置本体41の表側(表側のロール14に向けられる側、図4及び図5においては上面側)には、ロール回転異常検出装置30の厚さ方向(鋳片通路5の厚さ方向D3に向けられる方向)において装置本体41に対して所定の範囲内で移動可能な可動部材43が設けられている。装置本体41の内部には、可動部材43を厚さ方向において装置本体41の外側(ロール14側)に移動させるように付勢する付勢部材45、及び、可動部材43を厚さ方向において装置本体41の内部側(ロール14から離隔させる方向)に移動させる移動機構46が設けられている。さらに、装置本体41には、可動部材43(後述する第二のロール当接面72)に対してロール回転異常検出装置30の長さ方向(通過方向D1)に沿った方向に加えられる摩擦力を検出する摩擦力検出機構51(第二の摩擦力検出機構)と、ロール間隔G4を検出するロール間隔検出機構52A、52Bが設けられている。
固定部材42は、略長方形の平板状に形成されている。固定部材42の裏面(図4及び図5においては下面)は、ロール13の外周面13bに当接する第一のロール当接面71となっている。
可動部材43は、略長方形の平板状に形成されており、表面(図4及び図5においては上面)側が装置本体41の表面から外側(ロール14側)に突出した状態で、裏面(図4及び図5においては下面)側が装置本体41の内部に保持された状態で取り付けられている。また、可動部材43は、付勢部材45の付勢力によって、装置本体41の外側に突出するように付勢されているが、装置本体41の内部の形状により、ロール回転異常検出装置30の厚さ方向における移動範囲が規制されている。さらに、可動部材43は、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において、装置本体41と移動機構46に対して所定の範囲内で僅かにスライド移動できるようになっているが、付勢部材45の弾性力によって、ダミーバー6の先端部側(ダミーヘッド23の反対側)に戻るように付勢されている。
可動部材43の表面は、ロール14の外周面14bに当接する第二のロール当接面72となっている。なお、図示の例では、第一のロール当接面71と第二のロール当接面72は、ロール回転異常検出装置30の厚さ方向に対して略垂直に、互いに略平行に設けられた平面であり、また、ロール回転異常検出装置30の厚さ方向からみて、互いに重なる位置に設けられている。
上記の第一のロール当接面71と第二のロール当接面72は、図4及び図5に示すように、ダミーバー6及びロール回転異常検出装置30を鋳片通路5に通過させる際に、厚さ方向D3において互いに対向する側に配置されているロール13の外周面13b、ロール14の外周面14bに対して、それぞれ鋳片通路5側から当接させられるようになっている。このようにすると、検出ユニット31Aが通過方向D1に対して傾くことを防止でき、鋳片通路5内に理想的な姿勢で通過させ、ロール14の回転異常の検出を精度良く行えるようになる。
なお、図5に示すように、第一のロール当接面71は、裏側の2つのロール13に対して同時に当接可能であることが望ましい。第二のロール当接面72は、表側の2つのロール14に対して同時に当接可能であることが望ましい。換言すれば、ロール回転異常検出装置30の長さ方向における第一のロール当接面71の長さL1(即ち、通過方向D1における長さ)は、裏側のロール13の回転中心間の距離G1よりも長く形成されていることが望ましく、ロール回転異常検出装置30の長さ方向における第二のロール当接面72の長さL2は、表側のロール14の回転中心間の距離G2よりも長く形成されていることが望ましい。このようにすると、第一のロール当接面71を裏側の2つのロール13の外周面13bに架け渡し、かつ、第二のロール当接面72を表側の2つのロール14の外周面14bに架け渡した状態で、検出ユニット31Aを安定的に保持できる。即ち、検出ユニット31Aが鋳片通路5の通過方向D1に対して傾くこと(ロール回転異常検出装置30の長さ方向が通過方向D1に対してずれること)や、検出ユニット31Aが鋳片通路5の厚さ方向D3に対して傾くこと(ロール回転異常検出装置30の厚さ方向が厚さ方向D3に対してずれること)を、より確実に防止できる。
より好ましくは、第一のロール当接面71は、裏側の3つのロール13に対して同時に当接しないことが望ましく、第二のロール当接面72は、表側の3つのロール14に対して同時に当接しないことが望ましい。つまり、第一のロール当接面71の長さL1は、裏側のロール13の回転中心間の距離G1の2倍よりも短く形成されている(G1<L1<2G1である)ことが望ましい。また、第二のロール当接面72の長さL2は、表側のロール14の回転中心間の距離G2の2倍よりも短く形成されている(G2<L2<2G2である)ことが望ましい。このようにすると、例えば鋳片通路5の湾曲路5bにおいても、また、鉛直路5aや水平路5cにおいてロール13、14の位置ずれがある場合などにおいても、第一のロール当接面71と第二のロール当接面72を、各ロール13、14に対して確実に当接させやすくなる。
即ち、第一のロール当接面71が裏側の3つのロール13に対して同時に当接可能な大きさ、第二のロール当接面72が表側の3つのロール14に対して同時に当接可能な大きさであると、図6に示すように、ロール13が一平面上に並んでいない場合や、ロール14が一平面上に並んでいない場合に、隣り合うロール13、14に対して第一のロール当接面71や第二のロール当接面72が均等に当接しなくなるおそれがある(図6において点線で示した状態)。この場合、ロール間隔G3を所望のロール間隔G4に押し広げることができず、また、第二のロール当接面72に与えられる摩擦力を適切に検出できなくなり、ロール14の回転状態を正確に検出できないことが考えられる。また、第一のロール当接面71や第二のロール当接面72が長すぎると、ロール13、14に対して第一のロール当接面71や第二のロール当接面72が引っ掛かりやすくなり、ロール回転異常検出装置30を円滑に移動させにくくなるおそれもある。これに対し、第一のロール当接面71が裏側の3つのロール13に対して同時に当接しない大きさ、第二のロール当接面72が表側の3つのロール14に対して同時に当接しない大きさであれば、ロール13が一平面上に並んでいない場合や、ロール14が一平面上に並んでいない場合にも、図6において実線及び一点鎖線で示すように、隣り合うロール13、14に対して第一のロール当接面71や第二のロール当接面72を確実に当接させやすくなり、鋳片通路5におけるロール回転異常検出装置30の移動も、円滑に行えるようになる。
さらに、裏側のロール13のアライメントを検出するアライメント計(裏側の隣り合う2本のロール13の間にアングルバーを架け渡し、アングルバーの傾斜角度を検出することにより、裏側のロール13のアライメントを測定する機構)が、例えば検出ユニット31A、31Bの間においてダミーバー6に備えられていることがあるが、そのような場合は、アライメント計のアングルバーが当接するロール13と第一のロール当接面71が当接するロール13が互いに同じになるようにすることが好ましい。そうすれば、ロール回転異常検出装置30の検出精度とアライメント計の検出精度が悪化することを防止できる。そのためには、上記のように、第一のロール当接面71は、裏側の2つのロール13に対して同時に当接し、3つのロール13に対して同時に当接しない長さであることが望ましい。
なお、前述のように、距離G1は、鋳片通路5の上流側と下流側で異なる値になっているが、第一のロール当接面71の長さL1は、最も大きい距離G1よりも長い寸法であれば良く、また、より好ましくは、最も小さい距離G1の2倍よりも短い寸法であれば良い。即ち、第一のロール当接面71は、鋳片通路5全体に亘って、1つ又は2つのロール13に対して当接する大きさ、より好ましくは、3つ以上のロール13に対して同時には当接しない大きさであれば良い。同様に、距離G2は、鋳片通路5の上流側と下流側で異なる値になっているが、第二のロール当接面72の長さL2は、最も大きい距離G2よりも長い寸法であれば良く、また、より好ましくは、最も小さい距離G2の2倍よりも短い寸法であれば良い。即ち、第二のロール当接面72は、鋳片通路5全体に亘って、1つ又は2つのロール14に対して当接する大きさ、より好ましくは、3つ以上のロール14に対して同時には当接しない大きさであれば良い。
図7は、付勢部材45と移動機構46の構造を示している。付勢部材45は、図示の例ではコイルバネであり、一端部は装置本体41の内部に支持され、他端部は可動部材43に接続されており、装置本体41と可動部材43との間でロール回転異常検出装置30の厚さ方向において圧縮された状態で保持されている。即ち、厚さ方向に弾性力が働くように設けられている。また、図示の例では、付勢部材45は、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において可動部材43の両端部側にそれぞれ2個ずつ設けられており、各端部側においては、2個の付勢部材45がロール回転異常検出装置30の幅方向(幅方向D2)に並べて設けられている(図3参照)。即ち、合計で4つの付勢部材45が設けられている。なお、本実施形態において、付勢部材45は、第一のロール当接面71と第二のロール当接面72を互いに離隔させるように付勢する当接面付勢部材として機能する。
移動機構46は、図示の例では油圧シリンダ機構であり、シリンダ本体46aと、ピストンロッド46bとを備えている。シリンダ本体46aは、装置本体41の内部に対して固定されている。ピストンロッド46bは、装置本体41に対してロール間隔検出装置30の厚さ方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。ピストンロッド46bの先端部は、可動部材43に取り付けられている。即ち、シリンダ本体46aを駆動させることにより、ピストンロッド46bを伸縮させることで、可動部材43を装置本体41に対して厚さ方向に移動させる構成となっている。シリンダ本体46aの駆動は、後述する制御ユニット101によって制御される。また、図示の例では、移動機構46は、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において2つ並べて設けられている。なお、本実施形態において、移動機構46は、第一のロール当接面71と第二のロール当接面72を互いに近接させる動力を与える当接面移動機構として機能する。
摩擦力検出機構51は、可動部材43のダミーバーヘッド25側に設けられている。図8に示すように、摩擦力検出機構51は、加圧力(荷重)を電圧値として検出するロードセル81と、ロードセル81のロードボタン81aを押圧するボタン押圧部82とを備えている。ロードセル81は、装置本体41の内部に設けられており、ロードボタン81aを可動部材43(可動部材43のダミーバーヘッド25側の端部)に向けた状態で備えられている。一方、ボタン押圧部82は、可動部材43のダミーバーヘッド25側の端部に形成された切り欠き部に設けられている。ロードボタン81aとボタン押圧部82は、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において互いに対向するように備えられている。ロードセル81の検出値は、後述するデータ処理ユニット102に送信されるようになっている。
なお、可動部材43に対して外力が与えられていない状態(即ち、第二のロール当接面72に対して摩擦力が加えられていない状態)では、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において、ロードボタン81aとボタン押圧部82の間に、所定間隔の隙間83(クリアランス)が形成されるようにしても良い。このようにすると、ロードボタン81aに対して過剰な加圧力が加えられることを抑制でき、ロードセル81が故障することを防止できる。また、可動部材43が装置本体41に対して長さ方向に移動していない状態と移動した状態(即ち、ロール14の回転の有無)を、明確に判別できるようになる。なお、隙間83の大きさは、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において例えば約3mm程度であっても良い。
図3に示すように、ロール間隔検出機構52A、52Bは、ロール回転異常検出装置30の幅方向において固定部材42、可動部材43に隣接した位置に設けられている。また、ロール回転異常検出装置30の長さ方向において並べて設けられている。
ロール間隔検出機構52A、52Bとしては、公知の間隔検出機構を用いることができる。図9に示す例では、ロール間隔検出機構52A、52Bは、裏側のロール13の外周面13bに対して接触する第一の接触体91、表側のロール14の外周面14bに対して接触する第二の接触体92、及び、装置本体41に対する第一の接触体91の変位量及び装置本体41に対する第二の接触体92の変位量を測定する変位計93をそれぞれ備えている。
第一の接触体91は、装置本体41の裏側に設けられており、頂部(図9においては下端部)が第一のロール当接面71よりも外側(ロール13側)に突出した状態で、また、基部(図9においては上端部)が装置本体41の内部に保持された状態で取り付けられている。装置本体41の内部には、第一の接触体91を厚さ方向において装置本体41の外側に移動させるように付勢する第一の接触体付勢部材95が設けられている。図示の例では、第一の接触体付勢部材95はコイルバネであり、変位計93と第一の接触体91との間で圧縮された状態で保持されている。かかる第一の接触体付勢部材95により、第一の接触体91は装置本体41の外側(ロール13側)に突出するように付勢されているが、装置本体41の内部の形状により、ロール回転異常検出装置30の厚さ方向における移動範囲が規制されている。
第二の接触体92は、装置本体41の表側に設けられており、頂部(図9においては上端部)が第二のロール接触面52よりも外側(ロール14側)に突出した状態で、基部(図9においては下端部)が装置本体41の内部に保持された状態で取り付けられている。また、装置本体41の内部には、第二の接触体92を厚さ方向において装置本体41の外側に移動させるように付勢する第二の接触体付勢部材96が設けられている。図示の例では、第二の接触体付勢部材96はコイルバネであり、変位計93と第二の接触体92との間で圧縮された状態で保持されている。かかる第二の接触体付勢部材96により、第二の接触体92は装置本体41の外側(ロール14側)に突出するように付勢されているが、装置本体41の内部の形状により、ロール回転異常検出装置30の厚さ方向における移動範囲が規制されている。
変位計93は、装置本体41に対する厚さ方向における第一の接触体91の変位量、及び、装置本体41に対する厚さ方向における第二の接触体92の変位量を測定することができる。変位計93の検出値は、後述するデータ処理ユニット102に送信されるようになっている。
以上のような装置本体41、固定部材42、可動部材43、摩擦力検出機構51、ロール間隔検出機構52A、52B等が、他方の検出ユニット31Bにも備えられており、検出ユニット31Aと実質的に同一に構成されている。
さらに、図3に示すように、ロール回転異常検出装置30は、各検出ユニット31A、31Bに設けられている移動機構46の制御を行う制御ユニット101と、各検出ユニット31A、31Bに設けられているロードセル81と変位計93のデータを処理するデータ処理ユニット102とを備えている。また、制御ユニット101に対して電圧を供給するバッテリー103、データ処理ユニット102に対して電圧を供給するバッテリー104を備えている。
図示の例では、制御ユニット101とデータ処理ユニット102は、検出ユニット31A、31Bと支持シャフト32が取り付けられているリンク部材21に対してダミーバー6の先端部側に隣接しているリンク部材21に取り付けられている。また、制御ユニット101とデータ処理ユニット102は、リンク部材21を挟んで互いに対向する位置に設けられている。一方、バッテリー103、104は、制御ユニット101とデータ処理ユニット102が取り付けられているリンク部材21に対してダミーバー6の先端部側に隣接しているリンク部材21に取り付けられている。また、リンク部材21を挟んで互いに対向する位置に設けられている。
データ処理ユニット102は、検出ユニット31A、31Bに対して配線等を介して電気的に接続されており、ロール回転異常検出装置30が各ロール13、14の間を通過する際に検出されるロードセル81の検出値、ロール間隔検出機構52Aの検出値、ロール間隔検出機構52Bの検出値を記録するようになっている。
次に、以上のように構成された連続鋳造設備1とロール回転異常検出装置30の作用について説明する。先ず、連続鋳造が開始される前の連続鋳造設備1において、モールド3からタンディッシュ2及び注入ノズル4を取り外し、ロール回転異常検出装置30を備えたダミーバー6を、図示しない移動装置を用いて、ダミーバー6の先端部からモールド3を通じて鋳片通路5内に挿入させる。ダミーバー6(ロール回転異常検出装置30)は、ダミーバー6(ロール回転異常検出装置30)の長さ方向、幅方向、厚さ方向をそれぞれ鋳片通路5の通過方向D1、幅方向D2、厚さ方向D3に合わせた状態で鋳片通路5内に挿入される。
なお、ダミーバー6をモールド3に挿入する際、ロール回転異常検出装置30においては、制御ユニット101の制御により、各検査ユニット31A、31Bの移動機構46を駆動させ、可動部材43を装置本体41側に引き入れた状態にする。即ち、移動機構46が駆動していない状態では、可動部材43は、付勢部材45の弾性力により、装置本体41から突出した状態になり、第一のロール当接面71から第二のロール当接面72までの厚さは、モールド3や鋳片通路5を通過しにくい寸法(ロール間隔G3、G4よりも大きい値)になっている。そのため、移動機構46の駆動により、付勢部材45の弾性力に抗して、可動部材43を装置本体41側に引き入れることで、第一のロール当接面71から第二のロール当接面72までの厚さを小さくし、モールド3を通過しやすい状態にする。ロール回転異常検出装置30がモールド3を通過して、鋳片通路5に導入されたら、移動機構46の駆動を停止させる。すると、付勢部材45の弾性力によって、可動部材43が装置本体41から突出し、第一のロール当接面71はロール13に対して厚さ方向D3に押し付けられ、第二のロール当接面72はロール14に対して厚さ方向D3に押し付けられた状態になる。
こうして、ダミーバー6及びロール回転異常検出装置30を鋳片通路5に挿入し、ダミーバー6の基端部(ダミーバーヘッド25)をモールド3に配置した状態にして、ダミーバー6を静止させる。次に、タンディッシュ2及び注入ノズル4をモールド3に接続し、タンディッシュ2内に溶鋼H0を供給する。そして、タンディッシュ2から注入ノズルを通じて、モールド3に溶鋼H0を注入し、モールド3において溶鋼H0を冷却し、凝固させる。これにより、ダミーバーヘッド25に鋳片H1の端部が形成される。
次に、ダミーバー6を図示しない移動装置によって、通過方向D1に沿って、鋳片通路5の上流側から下流側に向かって移動させる。すると、鋳片H1がダミーバーヘッド25に引っ張られ、鋳片通路5内に引き出される。鋳片通路5に引き出された鋳片H1は、ダミーバー6の移動に伴って鋳片通路5を通過し、さらに冷却される。鋳片通路5において、ダミーバー6と鋳片H1は、裏側の各ロール13と表側の各ロール14によってガイドされながら、所定の通過方向D1に沿って下流側に移動する。裏側の各ロール13は、鋳片H1の移動に伴って、所定の回転方向D4にそれぞれ回転させられ、表側のロール14は、鋳片H1の移動に伴って、所定の回転方向D5(ロール13の回転方向D4に対して逆方向)にそれぞれ回転させられる。こうして、モールド3において溶鋼H0を凝固させながら、ダミーバー6によって鋳片H1を連続的に引き出すことにより、細長い平板状の鋳片H1を鋳造することができる。
ところで、上記のように鋳片H1を形成する間、ロール回転異常検出装置30は、ダミーバー6と共に鋳片通路5内を移動する。そして、各検出ユニット31A、31Bに設けられている摩擦力検出機構51の検出値に基づいて、表側の各ロール14の回転状態を検査することができる。また、各ロール間隔検出機構52A、52Bの検出値より、ロール間隔G4を検査することができる。
検出ユニット31Aは、裏側のロール13の外周面13bに対して第一のロール当接面71を当接させ、表側のロール14の外周面14bに対して第二のロール当接面72を当接させながら、通過方向D1に移動する。検出ユニット31Bは、ダミーバー6を挟んで検出ユニット31Aに対して対向する位置において、検出ユニット31Aの第一のロール当接面71が当接しているロール13と同一のロール13の外周面13bに対して第一のロール当接面71を当接させ、検出ユニット31Aの第二のロール当接面72が当接しているロール14と同一のロール14の外周面14bに対して第二のロール当接面72を当接させながら、検出ユニット31Aと一体的に、通過方向D1に移動する(図4参照)。
前述のように、各検出ユニット31A、31Bにおいて、第一のロール当接面71と第二のロール当接面72は、付勢部材45の付勢力により、互いに離隔させられ、ロール13、14に対してそれぞれ厚さ方向D3に押し付けられるようにして当接させられる。ロール13、14は、第一のロール当接面71、第二のロール当接面72によって互いに離隔する方向に押されて僅かに移動する。即ち、ロール間隔は、鋳片H1が通過する際のロール間隔G4に押し広げられる。こうして、ロール13、14に対して鋳片H1が通過する際に鋳片H1から与えられる加圧力と同様の加圧力を与えることにより、鋳片H1が通過する際のロール14の回転状態を適切に検出することができる。また、第一のロール当接面71、第二のロール当接面72をそれぞれロール13、14に対して当接させることで、各検出ユニット31A、31Bを各ロール13、14の間に確実に保持することができ、各検出ユニット31A、31Bの姿勢が通過方向D1に対してずれることを防止できる。
各検出ユニット31A、31Bが互いに対向する一対のロール13とロール14との間を通過して、当該ロール13、14の上流側から下流側に移動する際、裏側のロール13は、図5に示したように、各検出ユニット31A、31Bの第一のロール当接面71の移動に従動するようにして、回転方向D4に回転する。表側のロール14は、正常に回転できる状態であれば、各検出ユニット31A、31Bの第二のロール当接面72の移動に従動するようにして、回転方向D5に回転する。即ち、第二のロール当接面72と表側のロール14の外周面14bとの間に働く摩擦力は、非常に小さい値であり、第二のロール当接面72(可動部材43)は、通過方向D1においては装置本体41に対して殆ど移動させられない。そのため、ボタン押圧部82はロードボタン81aから離隔したままになり(図8において一点鎖線で示した状態)、ロードセル81において加圧力が検出されることはない。あるいは、ボタン押圧部82がロードボタン81aに接触したとしても、ロードセル81において検出される加圧力は、非常に小さい値である。
一方、表側のロール14が正常に回転できない状態(回転異常状態)になっていると、回転異常状態のロール14は、第二のロール当接面72の移動に対して円滑に従動できず、所定の回転方向D5に回転しない状態、または、回転速度が遅い状態になる。この場合、第二のロール当接面72とロール14の外周面14bとの間に働く摩擦力が、上記の正常な回転状態のときと比較して強くなる。従って、第二のロール当接面72(可動部材43)は、装置本体41に対して通過方向D1とは逆方向に、付勢部材45の弾性力に抗して移動させられる。すると、ボタン押圧部82によってロードボタン81aが押圧され(図8において二点鎖線で示した状態)、ロードセル81において加圧力(所定の基準値より高い電圧値)が検出される。
また、各検出ユニット31A、31Bのロール間隔検出機構52A、52Bが互いに対向するロール13とロール14との間を通過する際、図10に示すように、第一の接触体91は、裏側のロール13の外周面13bによって押され、第一の接触体付勢部材95の弾性力に抗して、装置本体41側に押し込まれる。第二の接触体92は、表側のロール14の外周面14bによって押され、第二の接触体付勢部材96の弾性力に抗して、装置本体41側に押し込まれる。こうして各ロール13、14によって与えられた第一の接触体91の変位量、第二の接触体92の変位量が、変位計93において検出され、データ処理ユニット102に送信される。
このように、摩擦力検出機構51、ロール間隔検出機構52A、52Bによる検出を行う際、前述のように、各検出ユニット31A、31Bは、第一のロール当接面71、第二のロール当接面72によって、それぞれ理想的な姿勢に保持されている。即ち、第二のロール当接面72に対して通過方向D1に沿った方向に与えられる摩擦力を、ロードセル81によって適切に検出できる。また、第一の接触体91、第二の接触体92をそれぞれ厚さ方向D3に沿って変位させることができ、厚さ方向D3における第一の接触体91の変位量、第二の接触体92の変位量を適切に検出できる。
特に、第一のロール当接面71の長さL1は、距離G1よりも長く形成されており、第一のロール当接面71は、隣り合う裏側の2つのロール13に対して同時に当接することができる(図5参照)。この場合、第一のロール当接面71は、厚さ方向D3に対して垂直な姿勢(通過方向D1に対して平行な姿勢)に維持されながら、上流側のロール13から下流側のロール13へと、円滑に受け渡される。また、第二のロール当接面72の長さL2は、距離G2よりも長く形成されており、第二のロール当接面72は、隣り合う表側の2つのロール14に対して同時に当接することができる。この場合、第二のロール当接面72は、厚さ方向D3に対して垂直な姿勢に維持されながら、上流側のロール14から下流側のロール14へと、円滑に受け渡される。以上のように、第一のロール当接面71を裏側の2つのロール13に対して同時に当接させ、かつ、第二のロール当接面72を表側の2つのロール14に対して同時に当接させながら、各検出ユニット31A、31Bを鋳片通路5に通過させることにより、ロール回転異常検出装置30をさらに安定した状態で保持できる。即ち、検出ユニット31A、31Bが通過方向D1や厚さ方向D3に対して傾くことを、より確実に防止できる。
なお、第一の接触体91、第二の接触体92がロール13、14に対してそれぞれ接触するとき(第一の接触体91の変位量、第二の接触体92の変位量を検出するとき)に、第一のロール当接面71が必ず2つのロール13に当接し、第二のロール当接面72が必ず2つのロール14に当接する状態(図10参照)になるようにすれば、ロール間隔検出機構52A、52Bが厚さ方向D3に対して傾斜することを確実に防止でき、厚さ方向D3における第一の接触体91の変位量、第二の接触体92の変位量を精度良く検出できる。
また、ダミーバー6(リンク部材21)が通過方向D1に対して捩れた姿勢になろうとした場合でも、第一のロール当接面71、第二のロール当接面72をそれぞれロール13、14に対して当接させることで、ロール回転異常検出装置30の姿勢が通過方向D1に対して捩れることを抑制できる。さらに、本実施の形態では、リンク部材21がロール13側又はロール側14に向かって移動した場合でも、支持シャフト32及び各検出ユニット31A、31Bをリンク部材21に対して相対的に厚さ方向D3に移動させることができる。これにより、各検出ユニット31A、31Bから各ロール13、14に対して与えられる加圧力を適切な値に維持することができ、また、各検出ユニット31A、31Bを鋳片通路5内において円滑に移動させることができる。即ち、ダミーバー6のガタつきがロール回転異常検出装置30や各ロール13、14に与える影響を、支持シャフト32のスライドにより軽減することができる。
例えば図11に示すように、リンク部材21が裏側のロール13から離れて表側のロール14側に移動しようとした場合には、支持シャフト32及び検出ユニット31A、31Bがリンク部材21に対して相対的に裏側のロール13側に向かって移動することにより、各検出ユニット31A、31Bの第一のロール当接面71が裏側のロール13から離隔すること(第一のロール当接面71から裏側のロール13に対して与えられる加圧力が弱くなること)、及び、各検出ユニット31A、31Bの第二のロール当接面72から表側のロール14に対して与えられる加圧力が過剰に強くなることを防止できる。また、リンク部材21が表側のロール14から離れて裏側のロール13側に移動した場合には、支持シャフト32及び検出ユニット31A、31Bがリンク部材21に対して相対的に表側のロール14側に向かって移動することにより、各検出ユニット31A、31Bの第一のロール当接面71から裏側のロール13に対して与えられる加圧力が強くなること、及び、各検出ユニット31A、31Bの第二のロール当接面72から表側のロール14に対して与えられる加圧力が弱くなることを防止できる。
さらに、リンク部材21の両側に検出ユニット31A、31Bを設け、一本のロール13に対してリンク部材21の両側において第一のロール当接面71をそれぞれ当接させ、また、一本のロール14に対してリンク部材21の両側において第二のロール当接面72をそれぞれ当接させることで、各検出ユニット31A、31Bをよりバランスよく支持することができる。また、ロール回転異常検出装置30が幅方向D2に対して傾斜することも、効果的に防止できる。
こうして、ロール回転異常検出装置30は、各摩擦力検出機構51、ロール間隔検出機構52A、52Bによる検出を行いながら通過方向D1に移動し、データ処理ユニット102には、各検出ユニット31A、31Bから送信されたロードセル81の検出値、及び、変位計93の検出値がそれぞれ記録される。このデータ処理ユニット102に記録されたロードセル81の検出値に基づいて、各ロール14が正常に回転するか否かを判断することができる。即ち、ロール回転異常検出装置30が一対のロール13、14の間を通過するときに、ロードセル81によって電圧が検出されなかった(または、検出された電圧が小さかった)場合は、第二のロール当接面72に摩擦力が働かず、可動部材43が装置本体41に対して移動しなかった、つまり、ロール14が正常に回転したと判断できる。一方、ロードセル81によって所定の基準値以上の電圧が検出された場合は、第二のロール当接面72に摩擦力が働き、可動部材43が装置本体41に対して移動した、つまり、ロール14が正常に回転しなかったと判断できる。
以上説明したように、かかるロール回転異常検出装置30によれば、第一のロール当接面71を裏側のロール13に対して確実に当接させ、また、第二のロール当接面72を表側のロール14に対して確実に当接させることができる。これにより、ロール回転異常検出装置30が通過方向D1(鋳片通路5)に対して傾くことを防止でき、ロール回転異常検出装置30を鋳片通路5内に理想的な姿勢で通過させ、ロール14の回転異常、ロール間隔G4等を精度良く検出することができる。特に、第一のロール当接面71を2つのロール13に架け渡し、かつ、第二のロール当接面72を2つのロール14に架け渡した状態で検出ユニット31A、31Bを保持することで、ロール回転異常検出装置30が通過方向D1に対して傾くことを、より確実に防止できる。例えばダミーバー6が捩れた姿勢になろうとした場合でも、ロール回転異常検出装置30が通過方向D1に対して傾くことを防止して、ロール14の回転異常、ロール間隔G4等を精度良く検出できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば以上の実施形態では、ロール回転異常検出装置30は、2つの検出ユニット31A、31Bを備える構成としたが、検出ユニットの個数は2つに限定されず、例えば1つであっても良い。この場合も、第一のロール当接面71、第二のロール当接面72をそれぞれロール13、14に対して当接させることで、ロール回転異常検出装置30がロール13、14に対して傾くことを好適に防止できる。ただし、以上の実施形態のように、2つの検出ユニット31A、31Bをダミーバー6を挟んで両側に備える構成にすれば、バランスが良くなり、ロール回転異常検出装置30をさらに安定した状態で保持することが可能である。
また、各検出ユニット31A、31Bに設けられている固定部材42、可動部材43、付勢部材45、移動機構46、摩擦力検出機構51、ロール間隔検出機構52A、52B等の配置や個数等も、以上の実施の形態に示したものには限定されない。例えばロール間隔検出機構は、各検出ユニット31A、31Bに1個ずつ設けても良い。
以上の実施形態では、装置本体41にロードセル81を設け、可動部材43にボタン押圧部82を設けた構成としたが、勿論、装置本体41にボタン押圧部82を設け、可動部材43にロードセル81を設けた構成としても良い。
さらに、以上の実施形態では、ロードボタン81aとボタン押圧部82との間に隙間83を設けるとしたが、隙間83は必ずしも設けなくても良い。この場合も、ロールの回転異常を検出することが可能である。即ち、例えばロードセル81の検出値が低い場合は、第二のロール当接面14に加えられる摩擦力が小さく、ロール14が正常に回転する状態と判断できる。また、ロードセル81の検出値が高い場合は、第二のロール当接面14に加えられる摩擦力が大きく、ロール14が正常に回転しない状態と判断できる。
また、以上の実施形態では、摩擦力検出機構51の検出値のみからロール14の回転状態を判断する方法を説明したが、摩擦力検出機構51の検出値とロール間隔検出機構52A、52Bの検出値とに基づいて、ロール14の回転状態を判断するようにしても良い。例えば、ロール14が正常に回転する場合に得られるロードセル81の検出値と変位計93の検出値との関係(変化特性)、及び、ロール14が回転しない場合に得られるロードセル81の検出値と変位計93の検出値との関係を予め調査しておき、かかる関係を例えばデータ処理ユニット102に記憶させておく。そして、これらの関係と、実際に検出されたロードセル81の検出値と変位計93の検出値との関係を比較することにより、ロール14が正常に回転しているか否かを、データ処理ユニット102によって自動的に判定できるようにしても良い。
以上の実施形態では、装置本体41の表側に可動部材43と摩擦力検出機構51(第二の摩擦力検出機構)を設け、表側のロール14の回転異常のみを検出する構成としたが、勿論、装置本体41の裏側に可動部材と第一のロール当接面71に加えられる摩擦力を検出する摩擦力検出機構(第一の摩擦力検出機構)を設け、かかる摩擦力検出機構の検出値に基づいて、裏側のロール13の回転異常を検出する構成としても良い。また、第一の摩擦力検出機構と第二の摩擦力検出機構を共に設け、裏側のロール13の回転異常と表側のロール14の回転異常を同時に検出できるようにしても良い。
例えば図12に示すように、固定部材42に代えて、可動部材111を設け、この可動部材111の裏面を、第一のロール当接面71としても良い。さらに、可動部材111を装置本体41の外側(裏側のロール13側)に向かって突出させる付勢部材112、可動部材43を厚さ方向において装置本体41の内部側(裏側のロール13から離隔させる方向)に移動させる移動機構113、第一のロール当接面71に対して通過方向D1に沿った方向に加えられる摩擦力を検出する摩擦力検出機構114(第一の摩擦力検出機構)等を設ければ良い。なお、付勢部材112、移動機構113、摩擦力検出機構114としては、例えば以上の実施の形態に示した付勢部材45、移動機構46、摩擦力検出機構51とそれぞれ同様の構成を用いることができる。このような構成により、表側のロール14の回転状態と同様に、裏側のロール13の回転状態も検出することができる。即ち、摩擦力検出機構114のロードセル81において摩擦力が検出されない(あるいは検出された摩擦力が小さい)場合は、裏側のロール13が正常に回転可能であり、摩擦力検出機構114のロードセル81において摩擦力が検出された(あるいは検出された摩擦力が大きい)場合は、裏側のロール13が正常に回転できない状態であると判断できる。また、この場合も、ロール13、14に対して第一のロール当接面71、第二のロール当接面72をそれぞれ当接させることにより、ロール回転異常検出装置30が通過方向D1に対して傾くことを防止しながら、第一の摩擦力検出機構114による摩擦力の検出、第二の摩擦力検出機構51による摩擦力の検出等を正確に行い、各ロール13、14の回転異常を精度良く検出できる。
以上の実施形態では、鋳片通路5は鉛直路5a、湾曲路5b、水平路5cを有する通路(垂直曲げ型)であるとしたが、鋳片通路5の構成はかかるものに限定されず、例えば鉛直路5aを備えず、湾曲路5bと水平路5cを有する通路(湾曲型)、鉛直路5aのみを備える通路(垂直型)等であっても良い。そのような鋳片通路においても、本実施形態にかかるロール回転異常検出装置30によれば、ロールの回転異常を精度良く検出できる。