JP2982609B2 - 連続鋳造設備のロール間隔測定方法およびその装置 - Google Patents

連続鋳造設備のロール間隔測定方法およびその装置

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JP2982609B2 JP6054116A JP5411694A JP2982609B2 JP 2982609 B2 JP2982609 B2 JP 2982609B2 JP 6054116 A JP6054116 A JP 6054116A JP 5411694 A JP5411694 A JP 5411694A JP 2982609 B2 JP2982609 B2 JP 2982609B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は連続鋳造設備のロール
間隔測定方法および装置に係り、特に鋳片の移送に先行
して移送するダミーバーに設けた一対の距離センサが検
出する距離情報に基づいてロール間隔を算出する連続鋳
造設備のロール間隔測定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造の操業に際しては、鋳型から引
き抜かれる鋳片を挟持して所定経路に沿って移送するロ
ール群の鋳片の厚み方向に対向して配置されるロール対
のロール間隔を適正に保つロール管理が最重点課題の一
つである。
【0003】連続鋳造設備には、鋳型からの鋳片の引抜
き経路に沿って、内側ロール群および外側ロール群が対
向して並設されており、これらロール群の対向するロー
ル間隔が所定の範囲に保たれていない場合、製品として
得られる鋳片に形状不良、内部割れ等の種々の不都合が
生じたり、ロール間隔の異常が検出されずに放置される
場合には異常が生じているロール対に近接する他のロー
ル対の負荷が増大し、近接するロール対にも異常が誘発
されて操業停止を招く場合ある。
【0004】このように、連続鋳造設備の操業において
は、各ロール対のロール間隔の管理が重要となるが、配
置されるロール対の数は数十から数百となるので、おの
おののロール対のロール間隔を常に管理することは工数
ならびに費用の面から容易でない。
【0005】そこで、連続鋳造の操業に先立ち、鋳型の
擬似底として挿入されるダミーバーを用いてロール間隔
の管理をするロール間隔測定装置が従来から知られてい
る。従来のロール間隔測定装置は、特開平4−0155
10号公報および特開平4−33758号公報に開示さ
れているように、ダミーバーにロール間隔測定装置を配
設し、ダミーバーが各ロール対を通過する毎にロール間
隔測定装置でロール間隔を検出するよう構成されたもの
は知られている。
【0006】まず、特開平4−015510号公報に開
示されたロール間隔測定装置について説明する。図7に
従来のロール間隔測定装置の一実施例を示す。図7にお
いて、ダミーバー31にボルトナット37で取付けられ
たロール間隔測定装置30は、上下方向に突出したシリ
ンダ32a、32bを備え、シリンダ32a、32bの
先端に検出ヘッド33a、33bが設けられている。シ
リンダ32a、32bはスプリング34a(および図示
しない34b)により上下突出方向に付勢されており、
ダミーバー31の移送時に検出ヘッド33a、33bが
それぞれ、上側ロールLa、下側ロールLbの外周に接
触して押付けられ、押付け力が付与されるよう構成され
る。
【0007】また、ロール間隔測定装置30には、変位
計35a(および図示しない35b)が内蔵され、変位
検出ロッド36a(および図示しない36b)をシリン
ダ32a、32bと接続し、上側ロールLa、下側ロー
ルLbの外周により押付けられて生じるシリンダ32
a、32bの上下方向の変位量を変位計35a(および
図示しない35b)で検出可能とし、変位計35a(お
よび図示しない35b)で検出した変位量に基づいてロ
ール間隔測定装置30の基準位置から検出ヘッド33
a、33bの先端(ロールLa、ロールLbの外周)ま
での距離が測定できるよう構成されている。
【0008】次に、特開平4−33758号公報に開示
されたロール間隔測定装置(測定方法も含む)について
説明する。このロール間隔測定装置(測定方法も含む)
は、ロール対配列と測定装置の相対座標系を2段に配置
された距離計から検出される距離情報に基づいてロール
間隔を検出するよう構成されたもので、ロールキャビテ
ィ内を移動するダミーバー、または専用測定治具等の移
動体に、非接触式の距離計をロール対の各ロールに対向
させて一対、移動方向にも一対配置させるとともに、移
動体の傾斜を検出する傾斜計を配置させ、二対の距離計
によりロール対の外周までの距離を同時に、かつ連続的
に測定して距離最小値を求め、距離最小値近辺の距離測
定近似値を、傾斜計からの傾斜角とロール径により補正
し、ロール間隔値が得られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−01551
0号公報に開示されたロール間隔測定装置は、図8の対
向した一対のロール間隔測定の説明図に示すように、ロ
ール対の上側ロールLaと下側ロールLbの中心を結ぶ
中心線Yと、ダミーバー31の移送方向の中心線Xが垂
直の関係にある(a)図の場合には、図7に示す検出ヘ
ッド33a、33bを介してロール間隔測定装置30が
検出する変位量は、真のロール間隔に対応した値となる
が、ダミーバー31が傾斜し、移送方向の中心線X′が
中心線Xから傾斜角θを有する(b)図の場合には、検
出ヘッド33a、33bを介してロール間隔測定装置3
0が検出する変位量は、真のロール間隔に対応した値に
ならない場合がある。なお、ダミーバー31が複数のロ
ール対で構成された経路を移送される時、(b)図のよ
うな傾斜角θを有する状態で移送されることが多い。
【0010】このように、対向したロール対のロール間
隔を近似値で検出すると、本来は正常なロール間隔であ
るのに、近似値が異常と判断され、確認のために操業を
停止させてしまい操業能率を低下させたり、反対に、本
来は異常なロール間隔であるのに、近似値を正常と判断
して製品不良を発生したり、他の正常なロールに異常を
招く課題がある。
【0011】また、特開平4−33758号公報に開示
されたロール間隔測定装置(測定方法も含む)は、ダミ
ーバー、または移動体に傾斜があっても真のロール間隔
に極めて近い近似値が得られるが、複数個の変位計およ
び傾斜計を必要とし、ダミーバー、または移動体に搭載
しなければならず、また、複雑で高度な演算や処理を必
要とする課題がある。
【0012】この発明はこのような課題を解決するため
なされたもので、その目的は一対の距離センサを用いて
ロール対までの最小距離を測定し、比較的簡単な演算で
ダミーバーの傾斜角を考慮した補正によりロール間隔を
演算し、製品品質の向上および操業能率の改善を図るこ
とができる実用的な連続鋳造設備のロール間隔測定方法
および装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明に係る連続鋳造設備のロール間隔測定方法は、
一対の距離センサのそれぞれが対向するロール対を通過
する際にそれぞれのロールまでの最小距離となる測定点
間のダミーバーの移送距離、ロール半径の2倍と一対の
距離センサが検出するロール対の最小距離の和とを加算
した距離、およびロール半径の2倍とロール間隔とを加
算した距離をそれぞれ一辺とする直角三角形を形成し、
直角三角形からロール間隔を算出することを特徴とす
る。
【0014】また、この発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定方法は、一対の距離センサのそれぞれが対向
するロール対を通過する際にそれぞれのロールまでの最
小距離を検出する時間差と、ダミーバーの移送方向に隣
り合うロール間のロール間設計ピッチと、一対の距離セ
ンサの一方が隣り合うロール間を通過する際にそれぞれ
のロールまでの最小距離を検出する時間差とからダミー
バーの移送距離を求めてロール間隔を算出することを特
徴とする
【0015】さらに、この発明に係る連続鋳造設備のロ
ール間隔測定方法は、ダミーバーの移送速度と、一対の
距離センサのそれぞれが対向するロール対を通過する際
にそれぞれのロールまでの最小距離を検出する時間差と
からダミーバーの移送距離を演算してロール間隔を算出
することを特徴とする。
【0016】また、この発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定装置は、一対の距離センサが検出する任意の
対向したロール対の距離情報および距離情報検出に対応
する経過時間を記憶する距離/時間データ記憶手段と、
距離/時間データ記憶手段のデータから最小値情報およ
び対応する経過時間を選定するデータ選定手段と、最少
値情報と経過時間、および任意の対向したロール対に近
接したロール間の経過時間に基づいて任意の対向したロ
ール対のロール間隔を算出する演算手段と、演算手段が
演算したロール間隔に基づいて任意の対向したロール対
のロール間隔の調整を判断する判定手段とを備えたこと
を特徴とする。
【0017】さらに、この発明に係る連続鋳造設備のロ
ール間隔測定装置は、判定手段に、任意の対向したロー
ル対のロール間隔許容値を記憶する許容値記憶手段と、
ロール間隔許容値とロール間隔を比較する比較手段と、
比較手段の比較情報に基づきロール対のロール間隔の調
整の有無を判定して判定情報を出力する調整判定手段を
設けたことを特徴とする。
【0018】
【作用】この発明に係る連続鋳造設備のロール間隔測定
方法は、一対の距離センサのそれぞれが対向するロール
対を通過する際にそれぞれのロールまでの最小距離とな
る測定点間のダミーバーの移送距離、ロール半径の2倍
とロール対の最小距離の和とを加算した距離、およびロ
ール半径の2倍とロール間隔とを加算した距離をそれぞ
れ一辺とする直角三角形を形成するので、三平方の定理
によりロール間隔を算出することができる。
【0019】また、この発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定方法は、対向するロール対のそれぞれのロー
ルまでの最小距離を検出する時間差と、ロール間設計ピ
ッチと、隣り合うロール間のそれぞれのロールまでの最
小距離を検出する時間差とからダミーバーの移送距離を
算出できるので、このダミーバーの移送距離に基づいて
請求項1の直角三角形を形成し、ロール間隔を算出する
ことができる。
【0020】さらに、この発明に係る連続鋳造設備のロ
ール間隔測定方法は、ダミーバーの移送速度と、一対の
距離センサのそれぞれが対向するロール対を通過する際
にそれぞれのロールまでの最小距離を検出する時間差と
からダミーバーの移送距離を算出できるので、このダミ
ーバーの移送距離に基づいて請求項1の直角三角形を形
成し、ロール間隔を算出することができる。
【0021】この発明に係る連続鋳造設備のロール間隔
測定装置は、距離/時間データ記憶手段と、データ選定
手段と、演算手段と、判定手段とを備え、一対の距離セ
ンサが検出する対向したロール対の距離情報、および距
離情報検出に対応する経過時間を記憶し、この中から最
少値情報や対応する経過時間、および近接するロール間
の経過時間を選定し、これらのデータに基づいて傾斜角
を算出し、傾斜角を用いて最小値情報を補正して真のロ
ール間隔を演算するので、演算した真のロール間隔から
任意の対向したロール対のロール間隔の調整を判断する
ことができる。
【0022】また、この発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定装置は、判定手段に、許容値記憶手段と、比
較手段と、調整判定手段を設け、真のロール間隔を予め
記憶されたロール間隔許容値と比較し、比較結果に対応
した判定情報を出力するので、ロール間隔の調整を判定
することができる。
【0023】
【実施例】以下、この発明の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図1はこの発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定方法の説明図である。図1において、La
(N)、Lb(N)は、連続鋳造設備のロール群のそれ
ぞれN番目の上側ロール、下側ロールを表し、La(N
+1)、Lb(N+1)はそれぞれ(N+1)番目の上
側ロール、下側ロールを表す。上側ロールLaの半径r
とした円の中心をOA、下側ロールLbの半径r′とし
た円の中心をOBとし、OA、OBを通る直線をYとす
る。一方、ロールLa−Lb間を移送されるダミーバー
(図7の31参照)の移送方向の中心線をXとし、中心
線Xと直線Yは直交しているものとする。
【0024】ダミーバーに配置された一対の距離センサ
(例えば、図7の変位計35a、35b)は、中心線X
上にロールLa(Lb)の厚み(奥行)方向に並べて配
置され、ダミーバーの移動とともに、中心線Xからロー
ルLaおよびロールLbの外周までの距離(変位量に対
応)を連続的に検出する。一対の距離センサ(変位計)
が直線Xと直線Yとの交点に在る場合、距離センサ(変
位計)の検出するロールLaおよびロールLbの外周ま
での距離(変位量)は、最小値(変位量は最大値)
i、lOとなり、(li+lO)がロールLaおよびロー
ルLbまでの真のロール間隔となる。
【0025】次に、ダミーバーの中心線X′が中心線X
に対して傾斜角θだけ傾いた場合、一対の距離センサが
検出するロールLaおよびロールLbの外周までの最小
距離(最大変位量)は、それぞれロールLa、ロールL
bの中心OA、OBから中心線X′に引いた垂線との交点
A、BからロールLa、ロールLbの外周までの距離L
IM、LOMとなり、一対のセンサが最小距離LIMを検出し
てからLOMを検出するまでのダミーバーが移動する中心
線X′上の距離はA点−B点間の距離(L)となる。ま
た、一対の距離センサが最小距離LIM、LOMを検出する
経過時間を、それぞれt01、t02とすると、経過時間t
01とt02の偏差が時間差t0(=t02−t01)となる。
【0026】一対の距離センサの内、ロールLb(N番
目)の最小距離LOMを検出したセンサがロールLb(N
+1番目)の最小距離LCM(円の中心OCとC点の直線
上でC点からロールLbの外周までの距離)を検出する
経過時間をt03とすると、経過時間t02、t03間の偏差
が時間差T(t03−t02)となる。
【0027】図2に距離センサ(変位計)が検出する距
離(変位)の時間特性図を示す。一対の変位計がロール
La、Lb(N番目)およびロールLb(N+1番目)
を検出する時間tと変位量LKの関係を示す。一対の変
位計は、任意時間t0KでロールLa、Lb(N番目)の
外周までの距離LI、LOに対応した変位量を検出し、経
過時間t01でロールLa(N番目)の最小距離LIMに対
応した最大変位量を検出し、経過時間t02でロールLb
(N番目)の最小距離LOMに対応した最大変位量を検出
する。最小距離LIOに対応した最大変位量と最小距離L
IMに対応した最大変位量の検出時間(経過時間)t02
01の偏差が時間差t0(=t02−t01)となる。
【0028】また、時間t02でロールLb(N番目)の
最小距離LOMに対応した最大変位量を検出した変位計
が、ロールLb(N+1番目)の最小距離LCM対応した
最大変位量の検出時間(経過時間)がt03であり、検出
時間t03、t02の偏差が時間差T(=t03−t02)とな
る。
【0029】図1において、ロールLb(N番目)とロ
ールLb(N+1番目)の円の中心OB−OC間をロール
間設計ピッチLSとし、ロール間設計ピッチLSとB−C
点間の距離を等しいとみなしてダミーバーの移送速度v
Tを数1から求める。また、数1に示すダミーバーの移
送速度vTは、ダミーバーを移送させるロールの予め設
定されたロール回転数から直接求めてもよい。
【0030】
【数1】
【0031】中心線X′上のA−B点間の距離Lは、数
1の移送速度vTと一対の距離センサが最小距離LIM
OMを検出する経過時間t01、t02の時間差t0(=t
02−t01)から数2で求める。
【0032】
【数2】
【0033】次に、傾斜角θは、直線Yと線分OA−A
とが形成する角、直線Yと線分OB−Bとが形成する角
に等しいため、線分OB−Bを中心線X′に沿って平行
移動し、線分OA−Aの延長線上に線分A−Dを形成し
て直角三角形OADOBを構成すると、数3が成立する。
【0034】
【数3】
【0035】数3より、真のロール間隔(li+lO)は
数4で表わされる。
【0036】
【数4】
【0037】また、直角三角形OADOBを用いて、ta
nθ、およびcosθとtanθの関係は数5で表され
る。
【0038】
【数5】
【0039】数5の関係式を数4に代入して整理するこ
とにより、真のロール間隔(li+lO)は、数2で算出
したA−B点間の距離L、ロール半径r(=r′)、一
対の距離センサが検出する最小距離LIM、LOMを用いて
数6で表すことができる。
【0040】
【数6】
【0041】また、直角三角形OADOBのぞれぞれの辺
の長さは、L、(LIM+LOM+2r)、(li+lO+2
r)なので、三平方の定理を用いて数7が得られ、数7
より数6に示す真のロール間隔(li+lO)を算出でき
る。
【0042】
【数7】
【0043】このように、この発明に係る連続鋳造設備
のロール間隔測定方法は、まず、ダミーバー移送速度を
演算し、次に、ダミーバー移送距離を演算し、続いてダ
ミーバー移送距離、2倍ロール半径とロール対の最小距
離の和とを加算した距離、および2倍ロール半径と真の
ロール間隔とを加算した距離をそれぞれ一辺とする直角
三角形を形成するので、直角三角形から単純な演算によ
り未知数である真のロール間隔を算出する方法を提供す
ることができる。
【0044】図3はこの発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定装置の全体構成図である。図3において、ロ
ール間隔測定装置1は、一対のセンサ部2A、2Bを備
えた距離センサ2と、距離/時間データ記憶手段3と、
データ選定手段4と、演算手段5と、判定手段6とから
構成する。なお、表示装置7は判定手段6からの判定信
号に基づいてロール間隔測定装置1の判定結果からロー
ル間隔が適切が否かを可視的または可聴的に表示する。
【0045】距離センサ2が搭載されたダミーバー8
は、移送方向に所定の間隔で複数の屈曲節8a、8b、
…、8iを備え、複数の対向する上側ロールLa、下側
ロールLbで構成されるロール群9の経路内を移送さ
れ、それぞれのロール対を通過する際に距離センサ2の
センサ部2A、2Bがそれぞれ上側ロールLa、下側ロ
ールLbの距離を検出し、センサ信号をロール間隔測定
装置1に送る。
【0046】なお、距離センサ2は、非接触型のセンサ
または接触型の変位計など用途に合せて選定する。ま
た、距離センサ2は移動するダミーバー8に搭載される
ので、センサ信号は距離センサ2とロール間隔測定装置
1の間で無線で送ってリアルタイムで処理するよう構成
したり、ロール間隔測定装置1の距離/時間データ記憶
手段3をダミーバー8に搭載し、センサ信号をフロッピ
ーディスクに一旦保存してバッチ処理を行うよう構成し
てもよい。
【0047】図4はこの発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定装置の要部ブロック構成図である。図4にお
いて、ロール間隔測定装置1は、距離センサ2、距離/
時間データ記憶手段3、データ選択手段4、演算手段
5、判定手段6を備える。距離センサ2は上側ロールL
aまでの距離を検出する上側ロールセンサ2A、および
下側ロールLbまでの距離を検出する下側ロールセンサ
2Bを備え、それぞれ検出した距離に対応したアナログ
の電気信号Li、Loを距離/時間データ記憶手段3に
提供する。
【0048】距離/時間データ記憶手段3は、A/Dコ
ンバータ11、距離/時間記憶部12、タイミング発生
部13を備え、A/Dコンバータ11は距離センサ2か
ら提供される検出距離に対応したアナログの電気信号L
i、Loをタイミング発生部13からのタイミング信号
Iにより、時間間隔tI毎にディジタル変換し、アナロ
グ信号Li、Loに対応したディジタル信号LI、LO
距離/時間記憶部12に送出する。
【0049】距離/時間記憶部12はRAM等のメモリ
およびカウンタ等から構成し、タイミング信号tIでデ
ィジタル信号LI、LOをメモリに書込み、それぞれのデ
ィジタル信号LI、LOを書込んだ経過時間tOKをカウン
タで計時し、ディジタル信号LI、LOと経過時間tOK
組合せデータの形で記憶する。また、距離/時間記憶部
12は、メモリに記憶したディジタル信号LI、LOと経
過時間tOKを順次読出し、データ選択手段4に出力す
る。
【0050】データ選択手段4は、データ比較部14お
よび最小値選定部15を備え、データ比較部14は距離
/時間記憶部12から順次提供されるディジタル信号L
I、LOと経過時間tOKの組合せデータのうち、ディジタ
ル信号LI、LOのそれぞれで大小を比較する。例えば、
経過時間tOK1のディジタル信号LI、LOのそれぞれが
I1、LO1で、経過時間tOK2のディジタル信号LI、L
OのそれぞれがLI2、LO2の場合、データ比較部14
は、LI1とLI2、およびLO1のLO2の大小比較を行い、
小さい値を比較基準値として対応する経過時間とともに
保存する。例えば、ディジタル信号LI1、LO2が小さい
場合、ディジタル信号LI1と経過時間tOK1、およびデ
ィジタル信号LO2と経過時間tOK2の組合せデータを保
存する。
【0051】また、データ比較部14は、保存した比較
基準値と経過時間の組合せデータと次に距離/時間記憶
部12から提供されるディジタル信号LI、LO(例え
ば、経過時間tOK3のディジタル信号LI3、LO3)を比
較して小さい値を比較基準値として対応する経過時間と
ともに保存する。
【0052】このようにして、データ比較部14は、図
2に示すN番目の上下ロールLa、Lbの最小距離に対
応するディジタル信号LI、LOの最小値LIM、LOMと対
応する経過時間tO1、tO2を決定し、最小値選定部15
に供給する。また、データ比較部14は、図2に示すN
番目の上下ロールLa、Lbの最小距離(および経過時
間)の決定が終了すると、順次(N+1)、(N+
2)、…、番目の上下ロールLa、Lbの最小距離(お
よび経過時間)を決定する。例えば、(N+1)番目の
下ロールLbの最小距離に対応するディジタル信号LC
の最小値LCMおよび経過時間tO3を決定する。
【0053】最小値選定部15は、データ比較部14で
決定された任意の上下ロールLa、Lbのそれぞれ最小
距離に対応したディジタル信号の最小値と経過時間を保
存するとともに、真のロール間隔(li+lo)演算に必
要な最小値と経過時間の組合せデータを演算手段5に提
供する。例えば、N番目の真のロール間隔(li+lo
演算の場合、演算手段5に提供される最小値と経過時間
の組合せデータは、(LIM、tO1)、(LOM、tO2)、
(LCM、tO3)となる。
【0054】演算手段5は、最小値選定部15から提供
される最小値と経過時間の組合せデータ(LIM
O1)、(LOM、tO2)、(LCM、tO3)に基づき、図
1に説明した方法によりN番目の上下ロールLa、Lb
の真のロール間隔(li+lo)を演算し、判定手段6に
出力する。
【0055】図5にこの発明に係る演算手段の要部ブロ
ック構成図を示す。図5において、演算手段5は、ロー
ルピッチ移送時間演算部16、ロール間設計ピッチ記憶
部17、移送速度演算部18、センサ検出距離演算部1
9、ロール半径記憶部20、傾斜角演算部21、ロール
間隔演算部22を備える。
【0056】ロールピッチ移送時間演算部16は減算器
等で構成し、最小値選定部15から提供されるN番目お
よび(N+1)番目の経過時間tO2およびtO3の偏差を
演算してロールピッチ移送時間T(=tO3−tO2)を移
送速度演算部18に出力する。移送速度演算部18は除
算器等で構成し、ROM等のメモリに予め設定してある
ロール間設計ピッチLSを読出してロールピッチ移送時
間T(=tO3−tO2)との間でダミーバーの移送速度v
T(数1参照)を演算し、センサ検出距離演算部19に
移送速度vTを提供する。
【0057】センサ検出距離演算部19は減算器、乗算
器等を備え、N番目の経過時間tO1、tO2および移送速
度vTに基づいて図4の上ロールセンサ2Aが最小値L
IMを検出してから下ロールセンサ2Bが最小値LOMを検
出するまでにダミーバーが移動するセンサ検出距離L
(図1の線分A−B間の距離で数2参照)を演算し、演
算結果を傾斜角演算部21に提供する。
【0058】傾斜角演算部21は、センサ検出距離L、
データ選定手段4の最小値選定部15が選定した最小値
IM、LOM、およびROM等のメモリに予め記憶してあ
る上下ロールの半径r、r′(r=r′とする)に基づ
いてダミーバーの傾斜角θの余弦値cosθ(数5参
照)を演算し、演算結果をロール間隔演算部22に出力
する。ロール間隔演算部22は、余弦値cosθの演算
値から真のロール間隔(li+lo) を演算(数6参
照)し、演算結果を判定手段6に提供する。シーケンス
部23は順序回路で構成し、シーケンス信号Sを発生し
て予めプログラムされた順序に従って演算手段5を構成
する全ての演算機能ブロックの動作順序を制御する。
【0059】以上、N番目の上下ロールLa、Lbの真
のロール間隔(li+lo)の演算について説明したが、
演算手段5は任意の一対のロールLa、Lbの真のロー
ル間隔についても、上記説明に準じて算出することがで
きる。
【0060】判定手段6はコンパレータ等の比較回路、
メモリ回路等を備え、演算手段5で算出した真のロール
間隔(li+lo)と予め設定してある許容値を比較し
て、許容値範囲内か否かを判定し、判定信号HOを出力
する。
【0061】図6にこの発明に係る判定手段の一実施例
ブロック構成図を示す。図6において、判定手段6は、
比較手段25、許容値記憶手段26、調整判定手段27
を備え、比較手段25は演算手段5で演算した真のロー
ル間隔(li+lo)と、許容値記憶手段26に設定した
許容値PS(下限値PSm、上限値PSM)を比較し、例え
ば、真のロール間隔(li+lo)が許容値PS内の場合
は無信号、真のロール間隔(li+lo)が許容値PS
超える場合には異常データDHを出力するよう構成す
る。異常データDHは、異常のあるロール対の番号(例
えば、N番目)、および許容値PSと真のロール間隔
(li+lo)の偏差等の情報が含まれるよう形成する。
【0062】調整判定手段27は、異常データDHに基
づいて調整を要するロール群のロール番号(例えば、N
番目)および真のロール間隔(li+lo)の調整距離
(例えば、±lx)等の調整データを含む判定信号HO
表示装置7に出力する。
【0063】なお、判定信号HOはロール群の全ての真
のロール間隔(li+lo)データを出力するよう構成し
たり、異常のあるロール番号のGO/NO判定信号を出
力するよう構成してもよい。
【0064】表示装置7は、ディスプレイやプリンタ等
で構成された可視表示手段7Aや音声合成手段や報知音
発生手段で構成された可聴表示手段7Bを備え、判定手
段6からの判定信号HOに対応し、調整データや全ての
真のロール間隔(li+lo)データを可視表示したり、
音声で調整データを発生したり、報知音でGO/NO判
定を知らせるよう構成する。
【0065】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明に係る連続
鋳造設備のロール間隔測定方法は、一対の距離センサの
それぞれが対向するロール対を通過する際にそれぞれの
ロールまでの最小距離となる測定点間のダミーバーの移
送距離、ロール半径の2倍とロール対の最小距離の和と
を加算した距離、およびロール半径の2倍とロール間隔
とを加算した距離をそれぞれ一辺とする直角三角形を形
成し、三平方の定理によりロール間隔を算出することが
できるので、単純な演算により連続鋳造設備のロール間
隔を正確に求めることができる。
【0066】また、この発明に係る連続鋳造設備のロー
ル間隔測定装置は、距離/時間データ記憶手段と、デー
タ選定手段と、演算手段と、判定手段とを備え、一対の
距離センサが検出したロール対の距離情報の中から最小
値を検出し、比較的単純な演算からダミーバーの傾斜に
よる誤差を解消し、ロール間隔を正確に検出できるの
で、ロール間隔の異常発生の判定および異常誤認の回避
を確実に実行することができる。
【0067】さらに、この発明に係る連続鋳造設備のロ
ール間隔測定装置は、判定手段に許容値記憶手段、比較
手段、調整判定手段を設け、検出したロール間隔が許容
値を超えると異常判定し、調整を促すことができるの
で、連続鋳造設備の保守、調整を容易にして効率アップ
を図ることができる。
【0068】よって、単純構成および単純演算でロール
間隔の異常を正確に判定し、保守、調整の効率アップが
図れる実用的な連続鋳造設備のロール間隔測定方法およ
びその装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る連続鋳造設備のロール間隔測定
方法の説明図
【図2】距離センサ(変位計)が検出する距離(変位)
の時間特性図
【図3】この発明に係る連続鋳造設備のロール間隔測定
装置の全体構成図
【図4】この発明に係る連続鋳造設備のロール間隔測定
装置の要部ブロック構成図
【図5】この発明に係る演算手段の要部ブロック構成図
【図6】この発明に係る判定手段の一実施例ブロック構
成図
【図7】従来のロール間隔測定装置の一実施例
【図8】対向した一対のロール間隔測定の説明図
【符号の説明】
1…ロール間隔測定装置、2…距離センサ、2A…上ロ
ールセンサ、2B…下ロールセンサ、3…距離/時間デ
ータ記憶手段、4…データ選定手段、5…演算手段、6
…判定手段、7…表示装置、8…ダミーバー、8a〜8
i…屈曲節、9…ロール群、11…A/Dコンバータ、
12…距離/時間記憶部、13…タイミング発生部、1
4…データ比較部、15…最小値選定部、16…ロール
ピッチ移送時間演算部、17…ロール間設計ピッチ記憶
部、18…移送速度演算部、19…センサ検出距離演算
部、20…ロール半径記憶部、21…傾斜角演算部、2
2…ロール間隔演算部、25…比較手段、26…許容値
記憶手段、27…調整判定手段、La…上ロール、Lb
…下ロール、Li,Lo…距離に対応したアナログの電
気信号、LIM,LOM…最小距離信号、LS…ロール間設
計ピッチ、OA,OB,OC…ロール中心、T…ロールピ
ッチ移送時間、(li+lO)…真のロール間隔、r,
r′…上下ロールの半径、tO1,tO2,tO3…経過時
間、vT…ダミーバーの移送速度、θ…傾斜角。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−108105(JP,A) 特開 昭53−12355(JP,A) 特開 平5−87702(JP,A) 特開 平3−86360(JP,A) 特開 昭50−14538(JP,A) 実開 昭63−5403(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/16 104 B22D 11/08 G01B 5/14 G01B 21/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型から引き抜かれる鋳片を挟持して所
    定経路に沿って移送する複数の対向したロール対におけ
    るロール間隔を、前記鋳片に先行して移送されるダミー
    バーの移送方向中心線に対向して設けられた一対の距離
    センサが検出する距離情報に基づいて算出する連続鋳造
    設備のロール間隔測定方法において、 前記一対の距離センサのそれぞれが対向するロール対を
    通過する際にそれぞれのロールまでの最小距離となる測
    定点間のダミーバーの移送距離、ロール半径の2倍と前
    記一対の距離センサが検出する前記ロール対の最小距離
    の和とを加算した距離、および前記ロール半径の2倍と
    ロール間隔とを加算した距離をそれぞれ一辺とする直角
    三角形を形成し、この直角三角形から前記ロール間隔を
    算出することを特徴とする連続鋳造設備のロール間隔測
    定方法。
  2. 【請求項2】前記一対の距離センサのそれぞれが対向す
    るロール対を通過する際にそれぞれのロールまでの最小
    距離を検出する時間差と、前記ダミーバーの移送方向に
    隣り合うロール間のロール間設計ピッチと、前記一対の
    距離センサの一方が前記隣り合うロール間を通過する際
    にそれぞれのロールまでの最小距離を検出する時間差と
    から前記ダミーバーの移送距離を求めて前記ロール間隔
    を算出することを特徴とする請求項1記載の連続鋳造設
    備のロール間隔測定方法。
  3. 【請求項3】 ダミーバーの移送速度と、前記一対の距
    離センサのそれぞれが前記対向するロール対を通過する
    際に、それぞれのロールまでの最小距離を検出する時間
    差とから前記ダミーバーの移送距離を演算して前記ロー
    ル間隔を算出することを特徴とする請求項1記載のロー
    ル間隔測定方法。
  4. 【請求項4】 鋳型から引き抜かれる鋳片を挟持し所定
    経路に沿って移送する複数の対向したロール対のロール
    間隔を、前記鋳片に先行して移送されるダミーバーの移
    送方向中心線に対向して設けられた一対の距離センサが
    検出する距離情報に基づいて算出する連続鋳造設備のロ
    ール間隔測定装置において、 前記一対の距離センサが検出する任意の対向したロール
    対の前記距離情報およびこの距離情報検出に対応する経
    過時間を記憶する距離/時間データ記憶手段と、この距
    離/時間データ記憶手段のデータから最少値情報および
    対応する経過時間を選定するデータ選定手段と、前記最
    少値情報と前記経過時間、および前記任意の対向したロ
    ール対に近接したロール間の前記経過時間に基づいて前
    記任意の対向したロール対の真のロール間隔を算出する
    演算手段と、この演算手段が演算した真のロール間隔に
    基づいて前記任意の対向したロール対のロール間隔の調
    整を判断する判定手段とを備えたことを特徴とする連続
    鋳造設備のロール間隔測定装置。
  5. 【請求項5】 前記判定手段に、前記任意の対向したロ
    ール対のロール間隔許容値を記憶する許容値記憶手段
    と、前記ロール間隔許容値と真のロール間隔を比較する
    比較手段と、この比較手段の比較情報に基づきロール対
    のロール間隔の調整の有無を判定して判定情報を出力す
    る調整判定手段を設けたことを特徴とする請求項4記載
    の連続鋳造設備のロール間隔測定装置。
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