以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る検査評価システムが適用された、実装基板の開発業務フローの一例を説明するための図である。
図示するように、実装基板の開発業務は、例えば、方式設計プロセスS1、生産設計プロセスS2、および製造・検査プロセスS3の順に実施される。方式設計プロセスS1は、搭載部品の部品調査S11と、実装基板の回路設計S12と、を有する。また、生産設計プロセスS2は、プリント基板のパターン設計S21と、実装基板のCAM(Computer Aided Manufacturing)設計S22と、を有する。そして、製造・検査プロセスS3は、プリント基板の基板製造S31と、プリント基板の物理テストS32と、実装基板の基板組立S33と、実装基板の物理テストS34と、実装基板の目視確認S35と、実装基板の機能テストS36と、を有する。
プリント基板の物理テストS32は、プリント基板が正しく製造されたか否かを検査するテストであり、例えば撮像データを画像処理して外観を検査する外観テストS321、移動式のプローブを用いて導通を検査するフライングプローブテストS322を有する。また、実装基板の物理テストS34は、実装基板が正しく製造されたか否かを検査するテストであり、例えば外観テストS341、固定式の治具を用いて導通を検査するインサーキットテストS342、フライングプローブテストS343を有する。そして、実装基板の機能テストS36は、実装基板が正しく機能(動作)するか否かを検査するテストであり、例えば装置テストS361、装置検査S362を有する。装置テストS361は、装置の開発、改造時等において設計者が動作確認するために実施されるテストであり、通常、量産時には実施されない。一方、装置検査S362は、量産時を含め毎回実施されるテストである。
また、図示するように、本実施の形態に係る検査評価システムは、検査評価装置1と、設計ガイド端末2と、検査ガイド端末3と、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343を実施するための複数のテスタ(試験機)4と、これらの装置1〜4間を相互接続するLAN5と、を有する。
テスタ4は、担当のテストを実施して、その結果であるテストログを内蔵もしくは外付けの記憶装置41に記憶する。また、記憶装置41に記憶されたテストログは、検査評価装置1からのテストログ抽出要求に従い読み出されて、検査評価装置1へ送信される。ここで、テストログは、例えば、担当のテストを識別するためのテストIDと、検査対象物を識別するための検査品IDと、このテストにより状態を検査した検査対象物の各部位の情報および検査結果(OK「○」かNG「×」か)と、を有する。
設計ガイド端末2は、例えば回路設計S12の設計部門に設置され、物理テストS32、S34において状態が確認されなかった部位(未確認部位)として扱うべき部位の情報を、この部位に対する物理テストのための設計変更のアドバイス(設計ガイド端末向けアドバイス)とともに、検査評価装置1から取得して出力し、ユーザに提示する。
検査ガイド端末3は、例えば機能テストS36の検査部門に設置され、物理テストS32、S33における未確認部位として扱うべき部位の情報を、この部位に対する動作確認を要求するメッセージ、すなわち、この部位に対する機能テストに関するアドバイス(検査ガイド端末向けアドバイス)とともに、検査評価装置1から取得して出力し、ユーザに提示する。
そして、検査評価装置1は、テスタ4から取得した物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343のテストログに基づいて、物理テストS32、S34における未確認部位として扱うべき部位を特定する。そして、特定した部位の情報を、この部位に対する設計ガイド端末向けアドバイスとともに、設計ガイド端末2に送信し表示する。また、特定した部位の情報を、この部位に対する検査ガイド端末向けアドバイスとともに、検査ガイド端末3に送信し表示する。
図2は、検査評価装置1の概略機能構成図である。
図示するように、検査評価装置1は、ネットワークインターフェース部11と、演算部12と、記憶部13と、を有する。
ネットワークインターフェース部11は、検査評価装置1をLAN5に接続するためのインターフェースである。
記憶部13は、テストログ記憶部131と、検査状態記憶部132と、総合評価決定テーブル記憶部133と、評価結果記憶部134と、アドバイス記憶部135と、CAD/CAMデータ記憶部136と、を有する。
テストログ記憶部131には、検査対象物毎に、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343のテストログが記憶される。
図3(A)は、テストログ記憶部131の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、テストログ記憶部131には、検査対象物を識別するための検査品ID毎に、テーブル1310が記憶される。また、テーブル1310には、自テーブル1310に対応する検査対象物に対して実施されたテストのテストログのレコード1311が記憶される。テストログのレコード1311は、テストを識別するためのテストIDを登録するフィールド1312と、このテストが実施された検査対象物の部位毎に設けられた、当該部位を特定するための部位情報および当該部位に対する検査結果を登録するフィールド1313と、を有する。また、フィールド1313は、実装品を識別する実装品IDを登録するサブフィールド13131と、この実装品のピン番号を登録するサブフィールド13132と、この実装品IDおよびピン番号により特定される部位に対するテストの検査結果(OK「○」かNG「×」か)を登録するフィールド13133と、を有する。
検査状態記憶部132には、検査対象物毎に、検査対象物の予め定められた各部位(以下、検査対象部位と呼ぶ)について、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343で状態を確認できたか否かを示す検査状態(「確認済」または「未確認」)が記憶される。
図3(B)は、検査状態記憶部132の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、検査状態記憶部132には、検査対象物の検査品ID毎に、テーブル1320が記憶される。また、テーブル1320には、自テーブル1320に対応する検査対象物について、検査対象部位毎に検査状態のレコード1321が記憶される。検査状態のレコード1321は、検査対象部位の部位情報を登録するフィールド1322と、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343毎に設けられ、対応するテストにより検査対象部位の状態を確認できたか否かを示す検査状態を登録するフィールド1323と、を有する。フィールド1322は、実装品を識別する実装品IDを登録するサブフィールド13221と、この実装品のピン番号を登録するサブフィールド13222と、を有する。また、各フィールド1323は、デフォルトでは「未確認」に設定されている。
総合評価決定テーブル記憶部133は、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343の検査状態が取り得る値(「確認済」および「未確認」のいずれか)の組み合わせ毎に、この組み合わせの場合に、検査対象部位の状態を確認済みとして扱うべきか、それとも未確認として扱うべきかを示す総合評価情報が記憶されている。
図4(A)は、総合評価決定テーブル記憶部133の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、総合評価決定テーブル記憶部133には、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343の検査状態が取り得る値の組み合わせ毎に、総合評価情報のレコード1330が登録されている。総合評価情報のレコード1330は、フィールド1331と、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343毎に設けられた、検査状態を登録するフィールド1332と、総合評価情報を登録するフィールド1333と、を有する。フィールド1331には、各フィールド1332の検査状態が示す値の組み合わせ(以下、ケースと呼ぶ)を識別するためのケースIDが登録される。なお、どのケースのときに総合評価情報を「確認済」とし、「未確認」とするかは、例えば検査部門に属するユーザの経験則、ノウハウ等に基づいて決定される。
評価結果記憶部134には、検査対象物毎に、各検査対象部位の総合評価結果が登録される。
図4(B)は、評価結果記憶部134の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、評価結果記憶部134には、検査対象物の検査品ID毎に、テーブル1340が記憶される。また、テーブル1340には、自テーブル1340に対応する検査対象物の各検査対象部位の総合評価結果のレコード1341が記憶される。総合評価結果のレコード1341は、検査対象部位の部位情報を登録するフィールド1342と、この検査対象部位に適用される総合評価結果を登録するフィールド1343と、この検査対象部位に適用される総合評価結果に対応するケースのケースID(この検査対象部位の総合評価結果の根拠となったレコード1330のフィールド1331に登録されているケースID)を登録するフィールド1344と、を有する。また、フィールド1342は、実装品を識別する実装品IDを登録するサブフィールド13421と、この実装品のピン番号を登録するサブフィールド13422と、を有する。
アドバイス記憶部135には、検査対象部位を未確認部位として扱うべきケース(検査対象部位に適用される総合評価結果が「未確認」である場合に、この総合評価結果に対応するケース)毎に、検査対象部位に対するアドバイスが登録されている。
図5(A)は、アドバイス記憶部135の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、アドバイス記憶部135は、検査対象部位を未確認部位として扱うべきケース毎に、検査対象部位に対するアドバイスのレコード1350が登録されている。レコード1350は、上述のケースIDを登録するフィールド1351と、設計ガイド端末向けアドバイスを登録するフィールド1352と、検査ガイド端末向けアドバイスを登録するフィールド1353と、を有する。フィールド1352には、フィールド1351に登録されているケースIDが示すケース(総合評価決定テーブル記憶部133において、そのケースIDを含むレコード1330の各フィールド1332に登録されている各テストの検査状態の組み合わせ)の場合に、検査対象部位が正しく製造されているか否かを検査する物理テストを実施するためのアドバイスが設計ガイド端末向けアドバイスとして登録され、フィールド1353には、この場合に検査対象部位が正しく機能しているか否かを検査する機能テストを実施するためのアドバイスが検査ガイド端末向けアドバイスとして登録されている。
CAD/CAMデータ記憶部136には、各検査対象物のCAD/CAMデータが登録されている。また、CAD/CAMデータ記憶部136には、検査対象物毎に、少なくとも、各検査対象部位のパターン接続先の部位情報が登録されている。
図5(B)は、CAD/CAMデータ記憶部136の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、CAD/CAMデータ記憶部136には、少なくとも、検査対象物の検査品ID毎に、テーブル1360が記憶される。また、テーブル1360には、自テーブル1360に対応する検査対象物の各検査対象部位のパターン接続先のレコード1361が登録されている。レコード1361は、検査対象部位に接続された信号経路(パターン)の信号名を登録するフィールド1362と、検査対象部位の部位情報および座標情報を登録するフィールド1363と、この信号経路を介してこの検査対象部位と接続する部位(パターン接続先)の部位情報および座標情報(接続先部位情報)を登録するフィールド1364と、を有する。フィールド1363は、実装品を識別する実装品IDを登録するサブフィールド13631と、この実装品のピン番号を登録するサブフィールド13632と、この実装品IDおよびピン番号により特定される検査対象部位の座標情報(x,y)を登録するサブフィールド13633と、を有する。同様に、フィールド1364は、実装品を識別する実装品IDを登録するサブフィールド13641と、この実装品のピン番号を登録するサブフィールド13642と、この実装品IDおよびピン番号により特定される検査対象部位の座標情報(x,y)を登録するサブフィールド13643と、を有する。
演算部12は、テストログ抽出部121と、検査状態特定部122と、総合評価情報検索部123と、未確認部位情報出力部124と、を有する。
テストログ抽出部121は、評価対象の検査対象物(以下、評価対象物と呼ぶ)について、ネットワークインターフェース部11を介して、各テスタ4にこの評価対象物の検査品IDを含むテストログ抽出要求を通知して、各テスタ4からこの評価対象物のテストログを取得し、これらのテストログのレコード1311を、この検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310に登録する。
検査状態特定部122は、評価対象物について、この評価対象物の検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310内の各レコード1311に基づいて、この検査品IDに対応付けられて検査状態記憶部132に記憶されているテーブル1320内の各レコード1321の各フィールド1323を更新する。
総合評価情報検索部123は、評価対象物について、この評価対象物の検査品IDに対応付けられて検査状態記憶部132に記憶されているテーブル1320内のレコード1321毎に、このレコード1321に登録されている物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343の検査状態が取り得る値の組み合わせに対する総合評価結果を、総合評価決定テーブル記憶部133に登録されている各レコード1330に基づいて判断する。そして、この総合評価結果のレコード1341を、この検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340に登録する。
未確認部位情報出力部124は、評価対象物について、この評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340のなかから、フィールド1343に総合評価結果として「未確認」が登録されているレコード1341を特定する。そして、このレコード1341により特定される未確認部位の情報を、この未確認部位の接続先部位情報およびアドバイスとともに、ネットワークインターフェース部11を介して、設計ガイド端末2または検査ガイド端末3に、メール、ワークフロー等を用いて送信し表示する。
図6は、検査評価装置1の動作を説明するためのフロー図である。
このフローは、演算部12が、ネットワークインターフェース部11を介して設計ガイド端末2または検査ガイド端末3から、評価対象物の検査品IDを含むガイド要求を受信することにより開始する。
先ず、検査状態特定部122は、設計ガイド端末2または検査ガイド端末3から受信したガイド要求に含まれている評価対象物の検査品IDを特定する(S401)。
次に、検査状態特定部122は、評価対象物の検査品IDに対応付けられてCAD/CAMデータ記憶部136に記憶されているテーブル1360に基づいて、評価対象物の検査対象部位を特定する。具体的には、このテーブル1360内の各レコード1361のフィールド1363に登録されている部位情報により特定される部位を検査対象部位に特定する。そして、検査状態特定部122は、検査状態記憶部132に、テーブル1320を評価対象物の検査品IDに対応付けて登録する。また、このテーブル1320に、評価対象物の各検査対象部位のレコード1321を登録する。このテーブル1320の各レコード1321について、フィールド1322には、このレコード1321に対応する検査対象部位の部位情報を登録し、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343に対応するフィールド1323には、デフォルトとして検査状態「未確認」を登録する(S402)。
次に、テストログ抽出部121は、ネットワークインターフェース部11を介して、各テスタ4に、評価対象物の検査品IDを含むテストログ抽出要求を通知して、各テスタ4から、この評価対象物のテストログを取得し、これらのテストログのレコード1311を、この検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310に登録する(S403)。
次に、検査状態特定部122は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて検査状態記憶部132に記憶されているテーブル1320内の各レコード1321に対して、次の処理を実施する。
処理対象のレコード1321を第1注目レコード1321とする。
先ず、検査状態特定部122は、評価対象物の検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310から未選択のレコード1311を選択し、このレコード1311を第1対象レコード1311とする。
次に、検査状態特定部122は、第1対象レコード1311の何れかのフィールド1313に、第1注目レコード1321のフィールド1322に登録されている部位情報と同じ部位情報が登録されているか否かを調べる。同じ部位情報が登録されているならば、このフィールド1313のサブフィールド13133に登録されている検査結果がOK「○」であるか否かをさらに調べる。そして、検査結果OK「○」が登録されているならば、第1注目レコード1321から、第1対象レコード1311のフィールド1312に登録されているテストIDに対応するフィールド1323を特定し、このフィールド1323に登録されている検査状態を「未確認」から「確認済」に変更する。
それから、検査状態特定部122は、評価対象物の検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310のなかに、未選択のレコード1311があるか否かを調べ、未選択のレコード1311があるならば、このレコード1311を新たな第1対象レコード1311にして、上記の処理を繰り返す。
これにより、評価対象物の各検査対象部位について、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343の検査状態を更新する(S404)。
次に、総合評価情報検索部123は、評価結果記憶部134に、評価対象物の検査品IDに対応付けてテーブル1340を登録するとともに、評価対象物の検査品IDに対応付けられて検査状態記憶部132に記憶されているテーブル1320内の各レコード1321に対して、次の処理を実施する。
処理対象のレコード1321を第2注目レコード1321とする。
先ず、総合評価情報検索部123は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340に新たなレコード1341を追加し、この追加したレコード1341のフィールド1342に、第2注目レコード1321のフィールド1322に登録されている部位情報を登録する。
次に、総合評価情報検索部123は、第2注目レコード1321の各フィールド1323に登録されている検査状態が示す値の組み合わせをキーにして、その組み合わせの検査状態が各フィールド1332に登録されているレコード1330を総合評価決定テーブル記憶部133から検索し、この検索したレコード1330を第2対象レコード1330とする。
次に、総合評価情報検索部123は、第2対象レコード1330のフィールド1333、1331に登録されている総合評価情報、ケースIDを、評価結果記憶部134のテーブル1340に新たに追加した上記レコード1341のフィールド1343、1344に登録する。
これにより、評価対象物の各検査対象部位の総合評価結果を判定する(S405)。
次に、未確認部位情報出力部124は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340のなかから、フィールド1343に登録されている総合評価結果が「未確認」のレコード1341を検索する。そして、検索したレコード1341の各々に対して、次の処理を実施する。
処理対象のレコード1341を第3注目レコード1341とする。
先ず、未確認部位情報出力部124は、第3注目レコード1341のフィールド1342に登録されている部位情報をキーにして、評価対象物の検査品IDに対応付けられてCAD/CAMデータ記憶部136に記憶されているテーブル1360から、フィールド1363に同じ部位情報が登録されているレコード1361を検索する。そして、検索したレコード1361のフィールド1364に登録されている接続先部位情報を、第3注目レコード1341のフィールド1342に登録されている部位情報により特定される未確認部位のパターン接続先として特定する(S406)。
次に、未確認部位情報出力部124は、ガイド要求の送信元が設計ガイド端末2であるならば(S407で「設計ガイド端末」)、S408に進み、検査ガイド端末3であるならば(S407で「検査ガイド端末」)、S410に進む。
S408において、未確認部位情報出力部124は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340のなかから検索した、フィールド1343に登録されている総合評価結果が「未確認」のレコード1341各々について、このレコード1341のフィールド1344に登録されているケースIDをキーにして、それと同じケースIDがフィールド1351に登録されているレコード1350をアドバイス記憶部135から検索する。そして、検索したレコード1350のフィールド1352に登録されている設計ガイド端末向けアドバイスを特定する。
それから、未確認部位情報出力部124は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340のなかから検索した、フィールド1343に登録されている総合評価結果が「未確認」のレコード1341各々について、このレコード1341のフィールド1342、1343、1344に登録されている部位情報、総合評価結果、ケースIDを含む未確認部位情報を、このレコード1341についてS406で検索したレコード1361のフィールド1362、1364に登録されている信号名、接続先部位情報、およびこのレコード1341についてS408で特定した設計ガイド端末向けアドバイスとともに、ネットワークインターフェース部11を介して設計ガイド端末2に送信し表示する(S409、S409a)。
一方、S410において、未確認部位情報出力部124は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340のなかから検索した、フィールド1343に登録されている総合評価結果が「未確認」のレコード1341各々について、このレコード1341のフィールド1344に登録されているケースIDをキーにして、それと同じケースIDがフィールド1351に登録されているレコード1350をアドバイス記憶部135から検索する。そして、検索したレコード1350のフィールド1353に登録されている検査ガイド端末向けアドバイスを特定する。
それから、未確認部位情報出力部124は、評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340のなかから検索した、フィールド1343に登録されている総合評価結果が「未確認」のレコード1341各々について、このレコード1341のフィールド1342、1343、1344に登録されている部位情報、総合評価結果、ケースIDを含む未確認部位情報を、このレコード1341についてS406で検索したレコード1361のフィールド1362、1364に登録されている信号名、接続先部位情報、およびこのレコード1341についてS410で特定した検査ガイド端末向けアドバイスとともに、ネットワークインターフェース部11を介して検査ガイド端末3に送信し表示する(S411、S411a)。
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
本実施の形態では、予め定められた複数のテストS321〜S322、S341〜S343が取り得るケース(各テストにおける、検査対象部位の状態を確認できたか否かを示す検査状態の取り得る値の組み合わせ)毎に、この検査対象部位を確認済部位として扱うべきか、それとも未確認部位として扱うべきかを示す総合評価情報が記憶された総合評価決定テーブル記憶部133を有する。そして、総合評価情報検索部123は、検査対象部位各々について、これらのテストS321〜S322、S341〜S343の実際の検査状態が示す値の組み合わせに対応するケースの総合評価情報を総合評価決定テーブル記憶部133から検索し、未確認部位情報出力部124は、総合評価情報に基づき未確認部位として扱うべきと総合評価された検査対象部位の情報を未確認部位の情報として出力する。
したがって、本実施の形態によれば、複数のテストS321〜S322、S341〜S343の総合評価により、状態の未確認部位として扱うべき検査対象部位を迅速に特定することができる。状態の未確認部位として扱うべき検査対象部位を予め特定しておくことにより、検査対象物の量産時において、不良が発生した場合に、検査対象物のどこが確認できていないかを前もって知ることができるので、不良箇所の迅速な解析に役立つ。
また、本実施の形態において、未確認部位情報出力部124は、未確認部位として扱うべき検査対象部位の情報とともに、この検査対象部位が正しく製造されているか否かを検査するための物理テストに関するアドバイスを設計ガイド端末2に出力する。このため、本実施の形態によれば、未確認部位に対する物理テストのための回路設計の設計変更の必要性をユーザに通知することができる。
また、本実施の形態において、未確認部位情報出力部124は、未確認部位として扱うべき検査対象部位の情報とともに、この検査対象部位が正しく機能するか否かを検査するための機能テストに関するアドバイスを検査ガイド端末3に出力する。このため、本実施の形態によれば、未確認部位の動作確認の必要性をユーザに通知することができる。
また、本実施の形態では、状態の未確認部位として扱うべきケース(複数のテストS321〜S322、S341〜S343の検査状態が示す値の組み合わせ)毎に、検査対象部位に対するアドバイスを記憶するアドバイス記憶部135を有する。そして、未確認部位情報出力部124は、未確認として扱うべき検査対象部位の情報とともに、この検査対象部位を状態未確認として扱うべき判断の根拠となったケース(各テストS321〜S322、S341〜S343における、この検査対象部位の検査状態の組み合わせに合致したケース)に対応するアドバイスを出力する。
したがって、本実施の形態によれば、総合評価で状態の未確認部位として扱うべきとなった根拠に応じたアドバイスを出力することができる。例えば、フライングプローブテストS322、S343で状態を確認できなかったことを理由に、状態の未確認部位として扱うべきと総合評価された検査対象部位に対しては、テストパッドの追加といった、フライングプローブテストS322、S343を実施できるようにするためのアドバイスを出力することができる。また、インサーキットテストS342で状態を確認できなかったことを理由に、状態の未確認部位として扱うべきと総合評価された検査対象部位に対しては、バウンダリースキャン回路、テストパッドの追加といった、インサーキットテストS342を実施できるようにするためのアドバイスを出力することができる。また、外観テストS321、S341で状態を確認できなかったことを理由に、状態の未確認部位として扱うべきと総合評価された検査対象部位に対しては、実装部品の移動といった、外観テストS321、S341を実施できるようにするためのアドバイスを出力することができる。
また、本実施の形態では、検査対象物のCAD/CAMデータが記憶されたCAD/CAMデータ記憶部136を有する。そして、未確認部位情報出力部124は、CAD/CAMデータ記憶部136を用いて、未確認部位として扱うべき検査対象部位のパターン接続先を特定し、未確認部位として扱うべき検査対象部位を、この特定したパターン接続先の部位情報とともに出力する。したがって、本実施の形態によれば、物理テストS32、S34および機能テストS36の実施対象領域の把握が容易になる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
例えば、上記の実施の形態では、設計ガイド端末2または検査ガイド端末3からのガイド要求をトリガとして、図6に示す検査評価装置1の動作フローが開始される場合を例に取り説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、検査評価装置1に検査対象物各々の検査品IDを登録しておくことで、検査対象物各々について、図6のS401〜S406を予め実施して、評価結果記憶部134に検査対象物各々のテーブル1340を登録しておく。そして、設計ガイド端末2または検査ガイド端末3からのガイド要求を受信した場合に、このガイド要求に含まれている検査品IDにより特定される評価対象物について、図6のS407〜S411を実施して、ガイド要求の送信元に、この評価対象物の未確認部位の情報を送信する。
このようにすることで、評価対象物の未確認部位の情報をより迅速に、ガイド要求の送信元に送信することができる。
また、例えば、上記の実施の形態において、オープン、ショート、定格といった複数の状態の各々について未確認部位として扱うべき検査対象部位を特定できるようにしてもよい。
この場合、テストログ記憶部131には、図7(A)に示すように、検査品IDおよび状態種別(オープン、ショート、定格等)の組み合わせ毎に、テーブル1310Aが記憶される。テーブル1310Aには、自テーブル1310Aに対応する検査対象物に対して実施された、自テーブル1310Aに対応する状態種別のテストのテストログのレコード1311が記憶される。テストログのレコード1311は、図3(A)に示すテストログのレコード1311と同様である。そして、テストログ抽出部121は、評価対象物について、ネットワークインターフェース部11を介して、各テスタ4に、この評価対象物の検査品IDを含むテストログ抽出要求を通知して、各テスタ4から、この評価対象物のテストログを状態種別毎に取得し、これらのテストログのレコード1311を、状態種別毎に、この状態種別および評価対象物の検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310Aに登録する。
また、検査状態記憶部132には、図7(B)に示すように、検査品IDおよび状態種別(オープン、ショート、定格等)の組み合わせ毎に、テーブル1320Aが記憶される。テーブル1320Aには、自テーブル1320Aに対応する検査対象物について、検査対象部位毎に、自テーブル1320Aに対応する状態種別のテストにおける検査状態のレコード1321が記憶される。検査状態のレコード1321は、図3(B)に示す検査状態のレコード1321と同様である。そして、検査状態特定部122は、状態種別毎に、この状態種別および評価対象物の検査品IDに対応付けられてテストログ記憶部131に記憶されているテーブル1310Aの各レコード1311に基づいて、この状態種別および評価対象物の検査品IDに対応付けられて検査状態記憶部132に記憶されているテーブル1320Aの各レコード1321の各フィールド1323を更新する。
また、総合評価決定テーブル記憶部133には、図8(A)に示すように、状態種別(オープン、ショート、定格等)毎に、テーブル1334が記憶される。テーブル1334には、自テーブル1334に対応する状態種別について、物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343の検査状態が取り得る値の組み合わせ(ケース)毎に、総合評価情報のレコード1330が登録される。総合評価情報のレコード1330は、図4(A)に示す総合評価情報のレコード1330と同様である。
また、評価結果記憶部134には、図8(B)に示すように、検査品IDおよび状態種別(オープン、ショート、定格等)の組み合わせ毎に、テーブル1340Aが記憶される。テーブル1340Aには、自テーブル1340Aに対応する検査対象物について、検査対象部位毎に、自テーブル1340Aに対応する状態種別の検査状態の総合評価結果のレコード1341が登録される。総合評価結果のレコード1341は、図4(B)に示す総合評価結果のレコード1341と同様である。そして、総合評価情報検索部123は、状態種別毎に、この状態種別および評価対象物の検査品IDに対応付けられて検査状態記憶部132に記憶されているテーブル1320A内のレコード1321毎に、このレコード1321に登録されている物理テストS32、S34の各テストS321〜S322、S341〜S343の検査状態が取り得る値の組み合わせに対する総合評価結果を、この状態種別に対応付けられて総合評価決定テーブル記憶部133に記憶されているテーブル1334の各レコード1330に基づいて判断する。そして、この総合評価結果のレコード1341を、この状態種別および評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340Aに登録する。
また、アドバイス記憶部135には、図9に示すように、状態種別(オープン、ショート、定格等)毎に、テーブル1354が記憶される。テーブル1354には、自テーブル1354に対応する状態種別について検査対象部位を未確認部位として扱うべきケース毎に、検査対象部位に対するアドバイスのレコード1350が登録されている。アドバイスのレコード1350は、図5(A)に示すアドバイスのレコード1350と同様である。そして、未確認部位情報出力部124は、状態種別毎に、この状態種別および評価対象物の検査品IDに対応付けられて評価結果記憶部134に記憶されているテーブル1340Aのなかから、総合評価結果が「未確認」のレコード1341を特定する。また、このレコード1341のフィールド1344に登録されているケースIDをキーとして、この状態種別に対応付けられてアドバイス記憶部135に記憶されているテーブル1354のなかからレコード1350を検索する。そして、このレコード1341により特定される未確認部位の情報を、検索したレコード1350に登録されているアドバイス、およびCAD/CAMデータ記憶部136に記憶されているこの未確認部位のパターン接続先の部位情報とともに、ネットワークインターフェース部11を介して、設計ガイド端末2または検査ガイド端末3に送信する。
また、上記の実施の形態において、アドバイス記憶部135およびCAD/CAMデータ記憶部136を検査評価装置1に設ける代わりに、設計ガイド端末2および検査ガイド端末3に設けるようにしてもよい。そして、検査評価装置1において、未確認部位情報出力部124が、評価結果記憶部134に記憶されている未確認部位の情報(検査品ID、部位情報、ケースID)を設計ガイド端末2または検査ガイド端末3に送信し、これを受けて、設計ガイド端末2および検査ガイド端末3のそれぞれが、未確認部位情報出力部124の代わりに、CAD/CAMデータ記憶部136に記憶されているCAD/CAMデータを用いてこの未確認部位情報の検査品IDおよび部位情報に対応するパターン接続先を特定するとともに、この未確認部位情報のケースIDに対応するアドバイスをアドバイス記憶部135から検索して、この未確認部位のパターン接続先の部位情報、および、このアドバイスを、未確認部位の部位情報とともに出力するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態において、図2に示す検査評価装置1の機能構成は、CPUと、メモリと、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置と、NIC(Network Interface Card)とを備えた汎用のコンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。また、設計ガイド端末2、検査ガイド端末3、およびテスタ4も、同様に、汎用のコンピュータを用いることができる。
1:検査評価装置、2:設計ガイド端末、3:検査ガイド端末、4:テスタ、5:LAN、11:ネットワークインターフェース部、12:演算部、13:記憶部、121:テストログ抽出部、122:検査状態特定部、123:総合評価情報検索部、124:未確認部位情報出力部、131:テストログ記憶部、132:検査状態記憶部、133:総合評価決定テーブル記憶部、134:評価結果記憶部、135:アドバイス記憶部、136:CAD/CAMデータ記憶部