JP4957701B2 - 液体移送装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電層をエアロゾルデポジション法により形成する液体移送装置の製造方法に関する。
従来から、液体を移送する液体移送装置として、圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、圧力室を覆う振動板及び振動板の圧力室と反対側の面に配置された圧電層を有し、圧力室内のインクに圧力を付与するように構成された圧電アクチュエータとを有するものが知られている。このようなインクジェットヘッドには、流路ユニットまたは振動板に外部からインクが供給されるインク供給口や、インクが吐出されるノズルなど液体流路に連通する開口が形成されている。
ここで、圧電アクチュエータの圧電層を成膜する方法としては、従来から様々な方法が知られているが、その中でもエアロゾルデポジション法(AD法)により成膜する方法が知られている。AD法とは、圧電材料の粒子とキャリアガスとを含んだエアロゾルを高速で振動板に噴きつけて圧電材料の粒子を堆積させて圧電層を形成する方法である。このAD法による成膜において、振動板が薄いと、高速で噴きつけたエアロゾルが振動板に衝突する際の衝突エネルギーによって振動板が変形するおそれがある。したがって、振動板を変形させないためには、振動板の剛性を高める必要がある。しかし、振動板の剛性を高めると、インクを吐出するための圧電アクチュエータの駆動において、振動板の変形が小さくなり、その結果インク吐出に必要な圧力をインクに付与することができなくなる。そこで、振動板自体は、変形しやすいように比較的剛性が低いものとして構成し、振動板にエアロゾルを噴きつける際には、あらかじめ振動板に流路ユニットを接合して剛性を高めることが行われている。
例えば、特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、圧電アクチュエータを製造する際に、圧力室を覆うように流路ユニットの上面にステンレス材料などからなる振動板を接合し、その振動板の上面に、エアロゾルデポジション法(AD法)により圧電層を形成している。
特開2006−054442号公報(図3)
しかしながら、振動板に噴きつけられた圧電材料の粒子の一部は、振動板に堆積せずに、液体流路に連通する開口から液体流路内に侵入して残存してしまい、この残存した粒子によって流路詰まりが生じることが発明者によって知見された。例えば、特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、圧電材料の粒子が流路の一部であるノズルに詰まると吐出不良になることが考えられる。また、残存した粒子が液体と混ざることで液体の性質が変化するなどの不具合が生じることも発明者によって知見された。
そこで、本発明の目的は、エアロゾルデポジション法による圧電層形成工程時に振動板に堆積しない圧電材料の粒子が液体流路内に侵入することを防止した液体移送装置の製造方法を提供することである。
本発明の液体移送装置の製造方法は、圧力室を含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体の一表面に少なくとも前記圧力室を覆うように配置された振動板及び前記振動板の前記圧力室と反対側に配置された圧電層を含んだ圧電アクチュエータと、を備えた液体移送装置の製造方法であって、前記振動板と前記流路構造体とを積層して接合する接合工程と、前記流路構造体と前記振動板の少なくとも一方に形成され前記液体流路に連通する開口を開口封止部材で封止する開口封止工程と、前記接合工程及び前記開口封止工程の後、前記振動板の前記圧力室と反対側の面に、エアロゾルデポジション法により圧電材料の粒子とキャリアガスとを含んだエアロゾルを噴きつけて前記圧電材料の粒子を堆積させて、圧電層を形成する圧電層形成工程と、前記圧電層形成工程の後、前記開口封止部材を除去する除去工程と、を備えている。
本発明の液体移送装置の製造方法によると、振動板と流路構造体を接合して、液体流路に連通する開口を封止した後、エアロゾルデポジション法により圧電層を形成しているため、圧電層形成工程において振動板に噴きつけられたものの、振動板に堆積しなかった圧電材料の粒子が開口から液体流路内に侵入することを防止することができる。
また、前記圧電層形成工程の後、前記開口封止部材が熱分解または気化する温度よりも高いアニール処理温度で前記圧電層を加熱するアニール処理工程をさらに備えており、前記除去工程は、前記アニール処理工程と同時に行うことが好ましい。開口封止部材は、アニール処理温度よりも熱分解温度あるいは沸点が低いため、アニール処理工程で分解または融解され、開口から除去される。このアニール処理工程と除去工程が同時に行われるため、製造工程を簡略化することができる。
さらに、前記開口は、外部から前記液体流路に液体が流入するときに通過する流入孔であり、前記アニール処理温度よりも融点が高い材料で形成され、複数の孔を有するフィルタで前記流入孔を覆う流入孔覆設工程をさらに備えており、前記開口封止工程において、前記フィルタの前記複数の孔を前記開口封止部材で封止することが好ましい。流入孔がアニール処理温度まで加熱しても融解しないフィルタで覆われていることで、フィルタを開口封止部材を設けるための基材として用いることができ、容易に流入孔を封止することができる。
加えて、前記開口封止工程において、前記フィルタに液体状の前記材料を塗布して固化させることで前記複数の孔を封止することが好ましい。これによると、フィルタに液体状の材料を塗布して固化させるだけで、容易に且つ簡単に開口を封止することができる。また、フィルタ上に薄膜のフィルムなどを貼る場合に比べて、液体を塗布することでシール性が高まる。
また、前記フィルタは、多孔質フィルタであることが好ましい。これによると、複数の孔に入り込んだ液体状の材料を保持しやすいため、開口を封止しやすい。
さらに、前記フィルタ及び前記振動板は金属材料からなり、前記流路構造体は、金属材料からなる複数枚のプレートが積層されて構成されており、前記接合工程において、前記フィルタと前記振動板と当該複数枚のプレートとを積層状態で金属拡散接合によって接合することが好ましい。これによると、流路構造体形成時に振動板及びフィルタを接合することができる。したがって、フィルタの接合工程が別工程として必要なく、製造工程を簡略化することができる。
また、前記流入孔は、前記振動板の前記圧電層が形成された面、または、前記流路構造体の前記振動板と接合される面に形成されている場合には、流入孔は、エアロゾルデポジション法により圧電材料の粒子が噴きつけられる面と同じ側の面にある。そのため、振動板に噴きつけられた圧電材料の粒子が液体流路内に侵入しやすい。このような構成において、開口封止工程において開口を封止する必要性が高くなる。
エアロゾルデポジション法による圧電層形成工程時に飛散する圧電材料の粒子が液体流路内に侵入することを防止することができる。
次に、本発明の好適な実施形態について説明する。本実施形態は、インク流路内においてインクをノズルまで移送しつつ、ノズルからインクを吐出する液体移送装置としてのインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。
まず、このインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタについて説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向(走査方向)に往復移動可能なキャリッジ2と、このキャリッジ2の下面に設けられ、記録用紙Pに対してインクを吐出するシリアル型のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ3などを有している。
インクジェットプリンタ100は、キャリッジ2とともにインクジェットヘッド1を走査方向に往復移動させながら、インクジェットヘッド1のノズル20(図2〜図4参照)から記録用紙Pへインクを吐出させて、記録用紙Pに所定の画像や文字などを記録するとともに、画像などが記録された記録用紙Pを搬送ローラ3により前方へ排出する。
次に、インクジェットヘッド1について説明する。図2は、インクジェットヘッドの平面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図3のA―A線断面図である。図2〜図4に示すように、インクジェットヘッド1は、多数のノズル20や圧力室14を含むインク流路が形成された流路ユニット4と、この流路ユニット4の上面に配置され、圧力室14内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ5とを有している。
まず、流路ユニット4について説明する。流路ユニット4は、上層から順にキャビティプレート41、ベースプレート42、アパーチャプレート43、2枚のマニホールドプレート44,45、ダンパープレート46、カバープレート47、及び、ノズルプレート48の、平面視で同じ外形を有する計8枚のプレート41〜48が積層状態で接合されている。
8枚のプレート41〜48のうち、最下層のノズルプレート48は、ポリイミドなどの合成樹脂材料で形成され、残り7枚のプレート41〜47は、それぞれ、後述するアニール処理温度よりも融点が高いステンレス板などの金属プレートとなっている。プレート41〜47の各プレート間は、金属拡散により互いに接合されている。また、プレート47,48間は、接着剤により互いに接合されている。
8枚のプレート41〜48のうち、最上層に位置するキャビティプレート41には、複数の圧力室14が厚み方向に貫通して形成されている。各圧力室14は、走査方向を長手方向とする略楕円状の平面形状を有し、その上側に後述する振動板31と下側のベースプレート42とが積層されたときに、圧力室14が形成される。複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。
ベースプレート42には、圧力室14の長手方向の両端部にそれぞれ連通する貫通孔15,16が形成されている。アパーチャプレート43には、ベースプレート42の貫通孔15に連通するとともに圧力室14の長手方向に沿って延び、平面視で後述するマニホールド流路17と重なる位置にハーフエッチングにより形成された絞り流路52と、貫通孔16に連通する貫通孔58が形成されている。
2枚のマニホールドプレート44,45には、紙送り方向に延在し、それぞれマニホールド流路17の一部をなすマニホールド形成孔17a,17bが、圧力室14の列に対応して形成されている。そして、これら2つのマニホールド形成孔17a,17bが上下に重なった状態で、アパーチャプレート43とダンパープレート46によって上下両側から塞がれることにより、マニホールド流路17が紙送り方向に2列形成されている。
これら2列のマニホールド流路17は、平面視で、2列に配列された圧力室14のマニホールド形成孔17a,17b側の部分と重なるように、紙送り方向に延びている。これら2列のマニホールド流路17は、後述する振動板31に形成されたインク供給口18に連通しており、図示しないインクタンクからインク供給口18を介してマニホールド流路17へインクが供給される。マニホールド流路17に供給されたインクは、複数の圧力室14へ供給される。つまり、マニホールド流路17は、複数の圧力室14にインクを共通に供給する共通インク室となっている。さらに、2枚のマニホールドプレート44,45には、アパーチャプレート43の貫通孔58に連なる貫通孔59,60がそれぞれ形成されている。
ダンパープレート46の下面の、平面視でマニホールド流路17とそれぞれ重なる位置には、ハーフエッチングにより凹部61が形成されている。つまり、ダンパープレート46は、凹部61が形成された部分において厚みが局所的に薄くなっており、この薄肉部分が、マニホールド流路17内のインクの圧力変動を減衰させるダンパー部として働く。また、ダンパープレート46には、マニホールドプレート45の貫通孔60に連なる貫通孔62が形成されている。カバープレート47には、ダンパープレート46の貫通孔62に連通する貫通孔63が形成されている。
8枚のプレート41〜48のうち、最下層に位置するノズルプレート48には、カバープレート47の貫通孔63に連通するノズル20が形成されている。図2に示すように、複数のノズル20は、紙送り方向に2列配列された複数の圧力室14のマニホールド流路17と反対側の端部とそれぞれ重なるように配置されて、紙送り方向に2列のノズル列を構成している。
以上説明した8枚のプレート41〜48が積層した状態で接合されることにより、流路ユニット4内に、後述する振動板31に形成されるインク供給口18に連通するマニホールド流路17から分岐して絞り流路52及び圧力室14を経由してノズル20に至るインク流路が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ5について説明する。図4に示すように、圧電アクチュエータ5は、振動板31、圧電層32及び複数の個別電極33を有している。
振動板31は、流路ユニット4を構成する8枚のプレート41〜48と同様の外形であり、7枚のプレート41〜47と同様にステンレス板などの金属プレートとなっている。この金属製の振動板31は、キャビティプレート41の上面に配置されており、図示しない位置で接地されグランド電位に保持されている。また、振動板31の紙送り方向一端(図2の下方)には、図示しないインクタンクからインクが供給され、マニホールド流路17に連通したインク供給口18(流入孔)が形成されている。
振動板31の上面には、インク供給口18を覆うように、フィルタ72が配置されている。フィルタ72は、7枚のプレート41〜47と同様に、ステンレス板やなどの金属材料からなる多孔質フィルタである。金属材料からなる多孔質フィルタとは、例えば、スポンジのような複数の穴を含んだ材料が金属材料から形成されており、この金属材料をフィルタとして用いたものである。金属材料からなる多孔質フィルタは、例えば、溶融金属にガスを吹き込み、気孔を生成させることで形成する(ガスインジェクション法)などの方法で製造される。フィルタ72は、金属拡散接合により振動板31に接合されている。フィルタ72は、インクタンクからインク流路に供給されるインク内のゴミや異物がインク流路に侵入するのを防止する。
圧電層32は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料を含む層であり、振動板31の上面(圧力室14と反対側)に、複数の圧力室14にまたがって連続的に配置されている。また、圧電層32は、予めその厚み方向に分極されている。
複数の個別電極33は、圧力室14より一回り小さい略楕円形の平面形状を有し、圧電層32の上面であって、平面視で複数の圧力室14の略中央部と重なる位置に配置されている。個別電極33は、白金、パラジウム、金、銀などの導電性材料からなる。個別電極33の長手方向に関するノズル20と反対側の端部は、走査方向に圧力室14と対向しない部分まで延びており、その先端部が、図示しないFPCに接続される接続端子となっている。個別電極33には、図示しないドライバICによりFPCを介して駆動電位が付与される。
ここで、圧電アクチュエータ5のインク吐出時における作用について説明する。あるノズル20からインクを吐出させる場合には、このノズル20に連通する圧力室14に対応する個別電極33に、ドライバICから駆動電位が付与される。すると、駆動電位が付与された個別電極33とグランド電位に保持されている振動板31との間に電位差が生じ、両者に挟まれた圧電層32に厚み方向に平行な電界が発生する。この電界の方向は、圧電層32の分極方向と一致するので、厚み方向に分極された圧電層32は、電界の方向と直交する水平方向に収縮する(圧電横効果)。これによって、振動板31の圧力室14と対向する部分が圧力室14側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室14の容積が減少することになり、その内部のインクの圧力が上昇し、圧力室14に連通するノズル20からインクが吐出される。
次に、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。図5はインクジェットヘッドの製造方法を示す図であり、(a)は各プレート、振動板及びポーラスフィルタの接合工程、(b)は開口封止工程、(c)は圧電層形成工程、(d)はアニール処理工程、(e)は積層体及びノズルプレートの接合工程である。なお、図5において、流路ユニット内のインク流路は簡略化して表している。
まず、流路ユニット4を構成するプレートのうちの金属プレートである、キャビティプレート41、ベースプレート42、アパーチャプレート43、2枚のマニホールドプレート44,45、ダンパープレート46、カバープレート47に圧力室14やマニホールド流路17などのインク流路を構成する厚み方向に貫通した孔を形成する。また、振動板31に厚み方向に貫通したインク供給口18を形成する。これらのプレート41〜47及び振動板31は、金属材料からなるため、エッチングによりインク流路を構成する厚み方向に貫通した孔を容易に形成することができる。また、アパーチャプレート43に絞り流路52、及び、ダンパープレート46に凹部61をハーフエッチングにより形成する。
そして、図5(a)に示すように、インク供給口18を覆うように振動板31上にフィルタ72を載置した後(流入孔覆設工程)、フィルタ72と、振動板31と、流路ユニット4の一部を構成する7枚のプレート41〜47とを積層して接合する(接合工程)。7枚のプレート41〜47を振動板31に接合していることで、後述するAD法によるエアロゾルの高速での噴きつけにおいても、エアロゾルの衝突エネルギーで振動板31が大きく変形することはない。7枚のプレート41〜47は、接合されて積層体81(流路構造体)を構成する。この接合工程においては、積層したプレートを所定温度(例えば、1000℃)以上に加熱しながら加圧して金属拡散接合により接合する。
その後、図5(b)に示すように、熱分解温度が500℃程度のポリイミド樹脂などのシール剤を揮発性の溶剤に溶かして液体状にした上で、フィルタ72の上面に滴下して、滴下したポリイミド樹脂をブレードなどでフィルタ72の全面に塗布する。すると、ポリイミド樹脂は、フィルタ72の複数の孔に入り込むとともに、フィルタ72の上面に膜を形成する。そして、溶剤を揮発させることで、フィルタ72の複数の孔に入り込んだポリイミド樹脂が固化するとともに、フィルタ72上にポリイミド樹脂が固化した封止膜73が形成され、インク供給口18が封止される(開口封止工程)。このとき、フィルタ72は、網目状のフィルタではなく、ポーラス金属や多孔質焼結金属などからなる多孔質フィルタであるため、複数の孔に入り込んだポリイミドの液体樹脂を保持する力が強い。したがって、フィルタ72上に容易に封止膜73を形成することができ、インク供給口18を封止しやすい。
次に、図5(c)に示すように、振動板31の上面に、複数の圧力室14を覆うように、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料を用いて、エアロゾルデポジション法(AD法)により圧電材料の粒子を振動板31上に堆積させることにより圧電層32を形成する(圧電層形成工程)。
AD法は、振動板31及び積層体81をチャンバー70内のステージ71上に振動板31が上方になるように載置する。そして、チャンバー70内を真空にして、チャンバー70と圧電層32を形成する粒子と気体(キャリアガス)との混合物(エアロゾル)が封入された図示しないエアロゾル室との間の気圧差により、エアロゾル室に連通するノズル74からエアロゾルを振動板31に噴きつけて、粒子を高速で振動板31に衝突させるとともに、ステージ71を水平方向に往復移動させることにより振動板31上に圧電材料の粒子を堆積させる成膜法である。
AD法により圧電層32を形成した場合に、振動板31に噴きつけられたエアロゾルに含まれる粒子の一部は、振動板31に堆積せずに、インク供給口18から圧力室14などのインク流路内に侵入してしまうことが考えられる。インク流路内に粒子が残存したまま、インクジェットヘッド1を完成させてしまうと、残存した粒子によって流路詰まりやインク吐出時にノズル20詰まりなどが生じるおそれがある。また、残存した粒子がインクと混ざることでインクの性質が変化するなどの不具合を生じるおそれがある。
そこで、インク供給口18の上面に配置されたフィルタ72の上面に封止膜73を形成するとともに、フィルタ72の複数の孔にポリイミド樹脂を入り込ませて固化させることで、インク供給口18を封止してインク流路内に粒子が侵入するのを防止することができる。
次に、AD法により圧電層32を形成した場合に、圧電層32中に粒子の微細化や格子欠陥などが生じていると、振動板31を変形させるのに必要な圧電特性を得られない。そこで、図5(d)に示すように、圧電材料の粒子結晶を成長させるとともに結晶中の格子欠陥を修復して、圧電特性を向上させるために、圧電層32、振動板31、フィルタ72、及び、プレート41〜47を所定のアニール処理温度(例えば、650〜900℃)に加熱して、圧電層32に対して熱処理を施す(アニール処理工程)。このとき、ポリイミド樹脂の熱分解温度はアニール処理温度よりも低く、500℃程度であるため、封止膜73を形成するポリイミド樹脂及びフィルタ72の複数の孔に入り込んだポリイミド樹脂はアニール処理工程において分解され、開口から除去される。このように、アニール処理工程とインク供給口18を封止するポリイミド樹脂の除去工程が同時に行われるため、製造工程を簡略化することができる。
この後、図5(e)に示すように、合成樹脂製のノズルプレート48に複数のノズル20をレーザ加工などで形成した後に、積層体81を構成するカバープレート47の下面にこのノズルプレート48を接着剤などで接合する。なお、ノズルプレート48を、流路ユニット4を構成する他の7枚のプレート41〜47と同様にステンレス鋼などの金属材料で形成してもよく、その場合には、ノズルプレート48とカバープレート47とを金属拡散接合により接合してもよい。さらに、7枚のプレート41〜47をまとめて金属拡散接合するときに、ノズルプレート48も積層させて一緒に接合させてもよい。
その後、圧電層32上の複数の圧力室14と対向する領域に、複数の個別電極33をそれぞれ形成する。複数の個別電極33は、スクリーン印刷、蒸着法、スパッタ法などにより一度に形成し、インクジェットヘッド1が完成する。
以上、説明したインクジェットヘッド1の製造方法によると、インク流路に連通するインク供給口18が封止膜73及びフィルタ72の複数の孔に入り込んで固化したポリイミド樹脂で封止されているため、圧電層形成工程において堆積しなかった圧電材料の粒子がインク流路内に侵入することを防止することができる。
また、本実施形態にように、インク供給口18が振動板31の圧電層32が形成された面に形成されていると、AD法により振動板31に噴きつけられたエアロゾルに含まれる粒子がインク流路内に侵入しやすい。このような構成において、開口封止工程においてインク供給口18を封止する必要性が高くなる。
さらに、振動板31とプレート41〜47を金属拡散接合する際に、フィルタ72も共に接合するため、別にフィルタ接合工程が必要なく、製造工程を簡略化することができる。インク供給口18がアニール処理温度まで加熱しても融解しないフィルタ72で覆われていることで、このフィルタ72を開口封止部材を設けるための基材として用いることができ、容易にインク供給口18を封止することができる。したがって、フィルタ72は、インクタンクとインク流路との間のフィルタとしてだけでなく、封止膜73を容易に形成するための部材としても機能する。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
本実施形態においては、フィルタ72上に封止膜73を形成するとともに、フィルタ72の複数の孔に入り込んで固化したポリイミド樹脂でインク供給口18を封止していたが、インク供給口18の上面にフィルタ72が載置されていない場合には、インク供給口18をフィルムなどでシールするだけでもよい。ただし、振動板31に金属拡散接合されたフィルタ72上に封止膜73を形成するとともに、フィルタ72の複数の孔に入り込んで固化したポリイミド樹脂でインク供給口18を封止する方がシール性が高く好ましい。
また、インク供給口18を含むインク流路の一部に粘度などの封止部材を詰めるなどしてインク供給口18を封止してもよい。このとき、除去工程において、この封止部材である粘度は溶融させるか、あるいは、インク供給口18から取り出すなどして除去すればよい。
また、本実施形態においては、揮発性の溶剤に溶かして液体状にした封止剤の溶剤を揮発させて封止剤を固化させていたが、空気中の水分等と反応して固化する接着剤等やUV硬化性の封止剤であってもよく、インク供給口18を封止可能であれば、いかなる材料で封止膜を形成してもよい。
また、インク供給口18を封止する封止剤としては、ポリイミド樹脂に限らず、アニール処理温度で熱分解する材料であればよい。また、ポリイミド樹脂のようにアニール処理温度で熱分解する材料に限らず、アニール処理工程で気化する材料であってもよい。
また、インク供給口18の封止部材が、アニール処理工程で熱分解や気化するような材料でない場合には、圧電層形成工程後に、アニール処理工程とは別工程で封止部材の除去工程を行えばよい。例えば、金属プレートを封止部材として接着剤などでインク供給口18を覆うようにして接着して、封止し、圧電層形成工程後に剥ぎ取ってもよい。
また、本実施形態においては、圧電アクチュエータ5で、圧電層32の上面に複数の個別電極33が配置され、圧電層32の下面に共通電極を兼ねた振動板31が配置されていたが、圧電層32の下面に振動板31との間に絶縁層を挟んで共通電極が配置されているとともに、圧電層32の上面に複数の個別電極33が配置されていてもよい。
振動板31が流路ユニット4を構成する各プレート41〜48よりも小さく、少なくとも圧力室14を覆うような外形である場合などには、インク流路に連通するインク供給口は、例えば、流路ユニット4を構成する各プレート41〜48のうち、最も上層に位置するキャビティプレート41でもよいし、流路ユニット4の側面や底面など任意の位置に形成されていてもよい。
また、本実施形態においては、開口封止工程において封止する開口をインク供給口18としているが、開口はこれに限られず、インク流路に連通するすべての開口に適用されるべきである。
また、以上では、圧力室内のインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法に本発明を適用したが、これに限られない。例えば、ノズルからインク以外の液体を吐出する液体吐出ヘッドなど、圧力室内の液体に圧力を付与することによって圧力室を含む液体移送流路内の液体を移送する液体移送装置の製造方法に本発明を適用することも可能である。
本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 インクジェットヘッドの平面図である。 図2の部分拡大図である。 図3のA―A線断面図である。 インクジェットヘッドの製造方法を示す図であり、(a)は各プレートの接合工程、(b)は圧電層形成工程、(c)は個別電極形成工程、(d)は各積層体の接合工程である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
4 流路ユニット
5 圧電アクチュエータ
14 圧力室
31 振動板
32 圧電層
81 積層体
100 インクジェットプリンタ

Claims (7)

  1. 圧力室を含む液体流路が形成された流路構造体と、前記流路構造体の一表面に少なくとも前記圧力室を覆うように配置された振動板及び前記振動板の前記圧力室と反対側に配置された圧電層を含んだ圧電アクチュエータと、を備えた液体移送装置の製造方法であって、
    前記振動板と前記流路構造体とを積層して接合する接合工程と、
    前記流路構造体と前記振動板の少なくとも一方に形成され前記液体流路に連通する開口を開口封止部材で封止する開口封止工程と、
    前記接合工程及び前記開口封止工程の後、前記振動板の前記圧力室と反対側の面に、エアロゾルデポジション法により圧電材料の粒子とキャリアガスとを含んだエアロゾルを噴きつけて前記圧電材料の粒子を堆積させて、圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記圧電層形成工程の後、前記開口封止部材を除去する除去工程と、を備えていることを特徴とする液体移送装置の製造方法。
  2. 前記圧電層形成工程の後、前記開口封止部材が熱分解または気化する温度よりも高いアニール処理温度で前記圧電層を加熱するアニール処理工程をさらに備えており、
    前記除去工程は、前記アニール処理工程と同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置の製造方法。
  3. 前記開口は、外部から前記液体流路に液体が流入するときに通過する流入孔であり、
    前記アニール処理温度よりも融点が高い材料で形成され、複数の孔を有するフィルタで前記流入孔を覆う流入孔覆設工程をさらに備えており、
    前記開口封止工程において、前記フィルタの前記複数の孔を前記開口封止部材で封止することを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置の製造方法。
  4. 前記開口封止工程において、前記フィルタに液体状の前記材料を塗布して固化させることで前記複数の孔を封止することを特徴とする請求項3に記載の液体移送装置の製造方法。
  5. 前記フィルタは、多孔質フィルタであることを特徴とする請求項4に記載の液体移送装置の製造方法。
  6. 前記フィルタ及び前記振動板は金属材料からなり、
    前記流路構造体は、金属材料からなる複数枚のプレートが積層されて構成されており、
    前記接合工程において、前記フィルタと前記振動板と当該複数枚のプレートとを積層状態で金属拡散接合によって接合することを特徴とする請求項5に記載の液体移送装置の製造方法。
  7. 前記流入孔は、前記振動板の前記圧電層が形成された面、または、前記流路構造体の前記振動板と接合される面に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の液体移送装置の製造方法。
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