JP2008198960A - 圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法 - Google Patents

圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】振動板の凹部の表面に形成された圧電層を容易に除去することのできる、圧電アクチュエータの製造方法を提供する。
【解決手段】まず、振動板30の上面の、圧力室14と対応する位置に凹部40を形成する。次に、振動板30の凹部40に、振動板30よりも弾性率が低く、且つ、流動性を有する充填材50を充填する。そして、振動板30の上面に圧電層31を形成した後に、振動板30、圧電層31、及び、充填材50を含む積層体60を、充填材50の熱分解温度以上に加熱する。これにより、充填材50を熱分解させて、その表面の圧電層31とともに除去する。
【選択図】図7

Description

本発明は、圧電アクチュエータの製造方法、及び、液体移送装置の製造方法に関する。
従来から、ノズルからインクを噴射するインクジェットヘッドとして、圧電材料層に電界が作用したときの圧電変形(圧電歪)を利用してインクに噴射圧力を付与する、圧電アクチュエータを備えたものが知られている。
例えば、特許文献1に記載のインクジェットヘッドの圧電アクチュエータは、流路ユニットに形成された複数の圧力室を覆う金属製の振動板と、この振動板の上面に配置された圧電層と、圧電層の上面の、複数の圧力室と対向する領域にそれぞれ配置された複数の個別電極とを有する。そして、この圧電アクチュエータは、圧電層上面の個別電極と圧電層の下側に位置する共通電極としての振動板との間に所定の駆動電圧が印加されたときの、圧電層の収縮によって振動板に撓み変形を生じさせるように構成されている。そして、この振動板の変形に応じて圧力室の容積が変化することにより、圧力室内のインクに噴射圧力が付与されることになる。
また、この特許文献1の圧電アクチュエータにおいては、振動板の上面に凹部(溝)が形成されている。この凹部としては、圧力室と対向する領域に形成されたものや、圧力室と対向しない外側領域に形成されたものが開示されている。そして、この凹部を含む振動板の上面全域にエアロゾルデポジション法(AD法)等を用いて圧電材料の粒子を堆積させることで圧電層を形成する。すると、凹部内においてはその周囲の平坦な領域よりも粒子が堆積しにくいために、振動板の凹部が形成された領域において圧電層が局所的に薄くなる。その結果、凹部が形成された領域において、振動板と圧電層の両方の厚み、即ち、圧電アクチュエータの剛性が局所的に低下している。
振動板の凹部が圧力室と対向する領域に配置されている場合には、この圧力室と対向する領域において振動板が変形しやすくなる。つまり、所望の変形量(即ち、圧力室の容積変化量)を得るために必要な駆動電圧を低減することが可能となる。また、振動板の凹部が、隣接する圧力室の間の領域に配置されている場合には、これら隣接する圧力室間において、振動板の変形が相互に伝播することによる圧力変動(クロストーク)が抑制される。
特開2006−96034号公報
圧力室と対向する領域における振動板の変形を促進して駆動電圧を低減する、あるいは、隣接する圧力室の間のクロストークを抑制するという観点からは、凹部が形成されている領域の圧電アクチュエータの剛性を一層低下させるために、凹部の表面には圧電層が形成されていないことが好ましい。しかし、前記特許文献1の圧電アクチュエータにおいては、凹部内に堆積する圧電材料の量は、凹部以外の平坦な領域よりも少なくなるものの、多少は堆積してしまう。また、凹部に形成された圧電層を、レーザー等を用いて除去することは可能であるが、必要な領域の圧電層をも除去してしまうことがないように、高い加工精度で除去を行う必要があることから、このような工程が増えることにより製造コストが増大する。
本発明の目的は、振動板の凹部の表面に形成された圧電層を容易に除去することのできる、圧電アクチュエータの製造方法を提供することである。
第1の発明の圧電アクチュエータは、変形許容部を備えた基材の一表面に前記変形許容部を覆うように接合される振動板と、前記振動板の、前記基材との接合面と反対側に位置する積層面に配置される圧電層と、前記圧電層の一方の面に配置される第1電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置される第2電極と、を含む圧電アクチュエータの製造方法であって、
前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部と対応する位置に凹部を形成する凹部形成工程と、前記振動板の前記凹部に、所定温度以上で熱分解する材料からなり、流動性を有する充填材を充填する充填工程と、前記振動板の前記積層面に前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、前記振動板、前記圧電層、及び、前記充填材を含む積層体を前記所定温度以上に加熱することにより、前記充填材を熱分解させてその表面の圧電層とともに除去する除去工程とを備えていることを特徴とするものである。
本発明の圧電アクチュエータの製造方法においては、振動板の凹部に、所定温度以上で熱分解する充填材を充填してから、振動板の積層面に圧電層を形成する。そして、振動板、圧電層、及び、充填材を含む積層体を、前記所定温度(充填材の熱分解温度)以上に加熱する。これにより、凹部に充填された充填材を熱分解させて、充填材を消散させるとともに、充填材を覆っていた、凹部と対向する領域の圧電層を吹き飛ばす。従って、凹部と対向する領域の圧電層を容易に除去することができる。
また、充填材として流動性を有するものを使用するため、充填材の凹部への充填を容易に行える。さらに、予め振動板に凹部を形成してそこに充填材を充填するため、流動性を有する充填材を、圧電層を除去したい所定の領域に定在させることができる。
第2の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1の発明において、前記除去工程において、前記積層体を、前記所定温度よりも高い、前記圧電層のアニール温度以上に加熱することを特徴とするものである。
圧電層の形成方法によっては、形成された圧電層中の材料粒子径が小さい、あるいは、格子欠陥が存在する等の原因により、振動板を変形させるのに必要な圧電特性が得られない場合がある。このような場合には、圧電特性を向上させるために、圧電層を所定のアニール温度まで加熱する熱処理(アニール処理)を行う。ここで、本発明においては、除去工程において、圧電層、振動板、及び、充填材を含む積層体を、充填材の熱分解温度よりも高い、圧電層のアニール温度以上に加熱する。そのため、圧電層のアニール処理と、充填材及びその表面の圧電層の除去とを、同時に行うことができ、圧電アクチュエータの製造工程を短縮することが可能になる。
第3の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、少なくとも前記変形許容部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とするものである。このように、振動板の変形許容部と対向する領域に凹部を形成し、振動板に圧電層を形成した後に、凹部の表面の圧電層を除去することで、変形許容部と対向する領域において振動板が変形しやすくなるため、駆動電圧を低減することが可能となる。
第4の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第3の発明において、前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部の周縁部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とするものである。この場合、凹部が形成されていない、変形許容部の中央部と対向する領域に圧電層が形成される。従って、この圧電層を挟むように第1電極と第2電極とを配置することによって、圧電層が形成された中央部領域は、圧電層が自ら収縮して振動板に変形を生じさせる駆動領域となる。一方、凹部が形成されている、変形許容部の周縁部と対向する領域においては圧電層が除去されることから、この領域は、前記駆動領域により生じた振動板の変形に応じて従動的に変形する従動領域となる。
第5の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第3の発明において、前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部の中央部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とするものである。この場合、凹部が形成されていない、変形許容部の周縁部と対向する領域に圧電層が形成される。従って、この圧電層を挟むように第1電極と第2電極とを配置することによって、圧電層が形成された周縁部領域は、圧電層が自ら収縮して振動板に変形を生じさせる駆動領域となる。一方、凹部が形成されている、変形許容部の中央部と対向する領域においては圧電層が除去されることから、この領域は、前記駆動領域により生じた振動板の変形に応じて従動的に変形する従動領域となる。
第6の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記基材は、複数の前記変形許容部とこれら複数の変形許容部を隔てる隔壁部とを有するものであり、前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、少なくとも前記隔壁部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とするものである。このように、振動板の隔壁部と対向する領域に凹部を形成し、振動板に圧電層を形成した後に、凹部の表面の圧電層を除去することで、隔壁部で隔てられる2つの変形許容部間において振動板の変形が伝播しにくくなることから、クロストークが抑制される。
第7の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記振動板が金属材料からなるものであり、さらに、前記第1電極が、常に所定の基準電位に保持される一方で、前記第2電極が、前記基準電位とこの基準電位とは異なる所定の駆動電位の、2種類の電位のうちの一方が選択的に付与されるものであり、
前記凹部形成工程において前記振動板の前記積層面に前記凹部を形成した後に、前記積層面に前記凹部を覆うように絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層の表面の前記凹部と対向しない領域に、前記第1電極を形成する第1電極形成工程と、前記圧電層形成工程において前記絶縁層の表面に前記第1電極を覆うように前記圧電層を形成した後に、前記圧電層の前記振動板と反対側の面の、前記第1電極と対向する領域に前記第2電極を形成する第2電極形成工程とを有することを特徴とするものである。
振動板が金属材料からなる場合には、エッチングにより凹部を容易に形成することができる。しかし、凹部の表面の圧電層は除去工程において除去されることから、凹部の表面が露出したままだと、導電性の振動板の凹部表面と、圧電層の振動板と反対側に配置された第2電極との間で短絡が生じてしまう虞がある。しかし、本発明においては、振動板の積層面に凹部を覆うように絶縁層を形成するため、振動板と第2電極間の短絡が確実に防止される。また、圧電層の振動板側の面に配置される第1電極は、振動板を覆う絶縁層により、導電性を有する振動板とは絶縁されることになる。さらに、この第1電極は圧電層により覆われるため、第1電極と第2電極間の短絡も防止される。
第8の発明の液体移送装置の製造方法は、圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、この流路ユニットの一表面に配置される圧電アクチュエータとを有し、前記圧電アクチュエータが、前記流路ユニットの一表面に前記圧力室を覆うように接合される振動板と、前記振動板の、前記流路ユニットとの接合面と反対側の積層面に配置される圧電層と、前記圧電層の一方の面に配置される第1電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置される第2電極とを含む、液体移送装置の製造方法であって、
前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部と対応する位置に凹部を形成する凹部形成工程と、前記振動板の前記凹部に、所定温度以上で熱分解する材料からなり、流動性を有する充填材を充填する充填工程と、前記振動板の前記積層面に前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、前記振動板、前記圧電層、及び、前記充填材を含む積層体を前記所定温度以上に加熱することにより、前記充填材を熱分解させてその表面の圧電層とともに除去する除去工程とを備えていることを特徴とするものである。
本発明の液体移送装置の製造方法においては、振動板の凹部に、所定温度以上で熱分解する充填材を充填してから、振動板の積層面に圧電層を形成する。そして、振動板、圧電層、及び、充填材を含む積層体を、充填材の熱分解温度以上に加熱する。これにより、凹部に充填された充填材を熱分解させるとともに、その表面の圧電層を吹き飛ばすことから、凹部と対向する領域の圧電層を容易に除去することができる。つまり、より一層の駆動電圧の低減とクロストークの抑制を実現可能な、圧電アクチュエータを容易に製造することができる。
また、充填材として流動性を有するものを使用するため、充填材の凹部への充填を容易に行える。さらに、予め振動板に凹部を形成してそこに充填材を充填するため、流動性を有する充填材を、圧電層を除去したい所定の領域に定在させることができる。
本発明によれば、振動板の凹部に充填材を充填してから圧電層を形成し、その後、充填材を熱分解させることにより、充填材を覆っている圧電層を吹き飛ばすことで、凹部と対向する領域の圧電層を容易に除去することができる。また、充填材として流動性を有するものを使用するため、充填材の凹部への充填を容易に行える。さらに、予め振動板に凹部を形成してそこに充填材を充填するため、流動性を有する充填材を、圧電層を除去したい所定の領域に定在させることができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、液体移送装置として、記録用紙にインクを噴射して記録するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。
まず、本実施形態のインクジェットヘッド2を備えたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向に移動可能なキャリッジ1と、このキャリッジ1に設けられ、記録用紙Pに対してインクを噴射するシリアル型のインクジェットヘッド2と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ3を備えている。
インクジェットヘッド2は、キャリッジ1と一体的に図1の左右方向へ移動しつつ、図示しないインクカートリッジから供給されたインクを、その下面に配置されたノズル20(図2〜図5参照)から記録用紙Pに対してインクを噴射する。また、搬送ローラ3は、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する。そして、インクジェットプリンタ100は、インクジェットヘッド2のノズル20から記録用紙Pへインクを噴射させながら、搬送ローラ3により記録用紙Pを前方へ搬送させることで、記録用紙Pに所望の画像や文字等を記録するように構成されている。
次に、インクジェットヘッド2について詳細に説明する。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド2は、ノズル20及び圧力室14を含むインク流路が形成された流路ユニット4と、圧力室14内のインクに圧力を付与することにより、流路ユニット4のノズル20からインクを噴射させる圧電アクチュエータ5とを備えている。
まず、流路ユニット4について説明する。図4、図5に示すように、流路ユニット4はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができるようになっている。また、ノズルプレート13は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。
図2〜図5に示すように、4枚のプレート10〜13のうち、最も上方に位置するキャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14がプレート10を上下に貫通する孔により形成されている。そして、図5に示すように、隣接する圧力室14は隔壁部10aにより隔てられている。また、複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に千鳥状に2列に配列されている。そして、複数の圧力室14は上下両側から後述する振動板30とベースプレート11によりそれぞれ覆われている。さらに、各圧力室14は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。
図3、図4に示すように、ベースプレート11の、平面視で圧力室14の両端部と重なる位置には、それぞれ連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、平面視で、2列に配列された圧力室14の連通孔15側の部分と重なるように、紙送り方向に延びる2つのマニホールド17が形成されている。これら2つのマニホールド17は、後述の振動板30に形成されたインク供給口18に連通しており、図示しないインクタンクからインク供給口18を介してマニホールド17へインクが供給される。さらに、マニホールドプレート12の、平面視で複数の圧力室14のマニホールド17と反対側の端部と重なる位置には、複数の連通孔16にそれぞれ連なる複数の連通孔19が形成されている。
さらに、ノズルプレート13の、平面視で複数の連通孔19に重なる位置には、複数のノズル20がそれぞれ形成されている。図2に示すように、複数のノズル20は、紙送り方向に沿って2列に配列された複数の圧力室14の、マニホールド17と反対側の端部とそれぞれ重なるように配置されている。つまり、複数のノズル20は、複数の圧力室14とそれぞれ対応して千鳥状に2列に配列されている。
そして、図4に示すように、マニホールド17は連通孔15を介して圧力室14に連通し、さらに、圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット4内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路21が複数形成されている。
次に、圧電アクチュエータ5について説明する。図2〜図5に示すように、圧電アクチュエータ5は、複数の圧力室14を覆うようにキャビティプレート10の上面に配置された振動板30と、この振動板30の上面(積層面)を覆う絶縁層37と、絶縁層37で覆われた振動板30の上面に配置された圧電層31と、この圧電層31の下面(絶縁層37と圧電層31の間)に配置された共通電極34(第1電極)、及び、圧電層31の上面に配置された複数の個別電極32(第2電極)とを備えている。
振動板30は、平面視で略矩形状の金属板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。図4、図5に示すように、この振動板30は、キャビティプレート10の上面に複数の圧力室14を覆うように配設された状態で、その下面(接合面)がキャビティプレート10の隔壁部10aに接合されている。尚、振動板30が接合されるキャビティプレート10が本願発明の基材に相当し、また、キャビティプレート10に形成された圧力室14が本願発明の変形許容部に相当する。
この振動板30の上面には、複数の圧力室14とそれぞれ対応する位置に複数の凹部40が形成されている。具体的には、各凹部40は、周方向の一部において分断されたほぼ環状(C字状)の溝である。そして、凹部40は、振動板30の上面の、圧力室14の周縁部と対向する領域において、連通孔15と対向する領域を除いて、圧力室14の略全周に亙って延びている。また、図3に示すように、この凹部40の外周形状は圧力室14の外周形状よりも一回り大きく、凹部40は、平面視で、対応する圧力室14の縁を含むように形成されている。つまり、凹部40の内側部分は圧力室14と対向する領域に配置されるとともに、凹部40の外側部分は圧力室14と対向しない領域に配置されている。
絶縁層37は、振動板30の上面全域に形成されており、複数の凹部40の表面もこの絶縁層37により被覆されている。後ほど詳述するが、圧電アクチュエータ5の製造工程においては、絶縁層37が形成された後に圧電層31の熱処理が行われるため、絶縁層37には、耐熱温度の高い絶縁性材料が使用される。このような絶縁性材料として、例えば、アルミナやジルコニア等の絶縁性セラミックス材料を用いることができる。
圧電層31は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなる。この圧電層31は、絶縁層37が形成された振動板30の上面に、複数の圧力室14を覆うように形成されている。但し、圧電層31は、振動板30の複数の凹部40の表面には形成されていない。言い換えれば、圧電層31に、複数の凹部40にそれぞれ対応した複数の貫通孔41が形成されることによって、複数の圧力室14の中央部と対向する領域に、複数の貫通孔41にそれぞれ囲まれた複数の駆動部38が配置された構造が実現されている。尚、圧力室14の一端部(連通孔15側の端部)と対向する領域において凹部40が分断されているが、この凹部40を分断している部分の表面には圧電層31(連結部39)が形成されている。つまり、圧電層31は、複数の圧力室14にそれぞれ対応する複数の駆動部38が、複数の連結部39を介して互いに繋がった構造を備えている。
共通電極34は、絶縁層37の表面(即ち、圧電層31の下面)に配置されており、絶縁層37によって導電性の振動板30の上面と絶縁されている。この共通電極34は、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。この共通電極34は、少なくとも複数の圧力室14の全てと対向するように形成されている。但し、共通電極34は、振動板30の凹部40と対向する領域には形成されていない。また、前述したように、複数の凹部40と対向する領域以外に圧電層31が形成されることによって、共通電極34は圧電層31に完全に覆われており、露出していない。尚、この共通電極34は、図示しないドライバICと接続され、このドライバICを介して基準電位であるグランド電位に常に保持されている。
複数の個別電極32は、圧電層31の複数の駆動部38の上面にそれぞれ配置されている。各個別電極32は、圧力室14よりも一回り小さい略楕円形の平面形状を有する主電極部32aと、この主電極部32aの一端部から圧電層31の上面に沿って延びる接点部32bとを有する。主電極部32aは、圧電層31の上面の、圧力室14(駆動部38)の略中央部と対向する領域に配置されている。一方、接点部32bは、駆動部38に連なる連結部39の上面において、主電極部32aの長手方向一端部から主電極部32aの長手方向に沿って引き出されており、圧力室14と対向しない領域まで延びている。尚、これら複数の個別電極32も、共通電極34と同様、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。
複数の個別電極32の接点部32bは、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)を介して、図示しないドライバICと接続されている。そして、複数の個別電極32は、ドライバICから、グランド電位と、このグランド電位とは異なる所定の駆動電位の、2種類の電位の何れか一方が選択的に付与されるように構成されている。
次に、インク噴射時における圧電アクチュエータ5の作用について説明する。複数の個別電極32に対して、ドライバICから選択的に駆動電圧が印加されると、駆動電位が印加された個別電極32の主電極部32aと、グランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極34の電位が互いに異なった状態となることから、個別電極32と共通電極34の間に挟まれた圧電層31の駆動部38に厚み方向の電界が生じる。そして、圧電層31の分極方向と電界の方向とが同じ場合には、圧電層31はその分極方向である厚み方向に伸びて水平方向に収縮し、この圧電層31の収縮変形に伴って、振動板30の圧力室14と対向する部分が圧力室14側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室14の容積が減少することからその内部のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル20からインクの液滴が噴射される。
ここで、前述したように、振動板30の上面の、圧力室14の中央部と対向する領域には、共通電極34と個別電極32に挟まれた駆動部38が配置されていることから、この領域は、個別電極32に駆動電位が付与されたときに駆動部38が自ら収縮して振動板30に変形を生じさせる駆動領域となっている。一方、振動板30の上面の、駆動領域の周囲領域(圧力室14の周縁部と対向する領域)は、駆動部38の収縮によって振動板30が従動的に変形する従動領域となる。そして、この従動領域において、振動板30に凹部40が形成され、さらに、凹部40の表面には圧電層31が配置されていない。つまり、従動領域において、圧電アクチュエータ5の剛性が局所的に低下している。
このように、従動領域における圧電アクチュエータ5の剛性が低下していると、駆動部38が水平方向に収縮したときに、圧力室14と対向する領域において振動板30が変形しやすくなる。逆に言えば、振動板30に所定以上の変形を生じさせるのに必要な駆動電圧(個別電極32と共通電極34間の電圧)を低減して、圧電アクチュエータ5の消費電力を低下させることが可能となる。
また、駆動部38の周囲領域における圧電アクチュエータ5の剛性が低下していると、ある圧力室14に対向する駆動部38が収縮したときに、その収縮に応じて振動板30に生じた変形が、隣接する圧力室14へ伝播しにくくなる。つまり、隣接する圧力室14間におけるクロストークが抑制される。
次に、本実施形態のインクジェットヘッド2の製造方法について、図6、図7を参照して説明する。まず、振動板30の上面の、キャビティプレート10と接合されたときに複数の圧力室14の周縁部と対向することとなる領域に、複数の凹部40を形成する(凹部形成工程)。ここで、本実施形態においては、振動板30は金属材料からなるため、エッチングにより複数の凹部40を容易に形成することができる。
一方で、流路ユニット4を構成するプレートのうちの、キャビティプレート10、ベースプレート11、及び、マニホールドプレート12に、圧力室14やマニホールド17等のインク流路を構成する孔を形成する。これらのプレート10〜12も振動板30と同様に金属材料からなるため、エッチングによりインク流路を構成する孔を容易に形成することができる。
そして、図6(a)に示すように、振動板30、キャビティプレート10、ベースプレート11、及び、マニホールドプレート12の4枚のプレートを積層して接合する。この接合工程においては、例えば、積層したプレートを所定温度(例えば、1000℃)以上に加熱しながら加圧することにより、4枚のプレートを金属拡散接合により接合することができる。あるいは、4枚のプレートを耐熱性の高いセラミックス接着剤で接合してもよい。
次に、図6(b)に示すように、振動板30の上面に、複数の凹部40を覆うように絶縁層37を形成する(絶縁層形成工程)。ここで、アルミナやジルコニア等の絶縁性セラミックス材料を用いる場合には、エアロゾルデポジション法(AD法)や、スパッタ法、あるいは、化学蒸着法(CVD法)等により、セラミックス材料の粒子を振動板30の上面に堆積させることにより、絶縁層37を形成することができる。
そして、図6(c)に示すように、絶縁層37の表面に、複数の圧力室14の全てと対向するように共通電極34を形成する(共通電極(第1電極)形成工程)。但し、この共通電極34は、振動板30の複数の凹部40と対向する領域には形成しない。この共通電極34は、スクリーン印刷、蒸着法、スパッタ法などにより形成することができる。
次に、図7(a)に示すように、絶縁層37で覆われた凹部40に、流動性を有する充填材50を充填する(充填工程)。ここで、流動性充填材50としては、熱分解温度が、後述する圧電層31の熱処理温度(アニール温度:650〜900℃)よりも十分低いものを使用する。例えば、エポキシ系樹脂(未硬化の状態、熱分解温度約400℃)、フッ素系樹脂(未硬化の状態、熱分解温度約600℃)などを用いることができる。
ここで、充填材50として流動性を有する材料を使用することで、凹部40への充填作業を容易に行うことができるようになる。例えば、図7(a)のように、ディスペンサ51を用いて充填材50を凹部40に注入することができる。あるいは、図8に示すように、ブレード52等を用いて充填材50を絶縁層37の表面に塗布することで、凹部40内に充填材50を充填することも可能である。
さらに、振動板30の上面の、圧力室14と対応する領域に予め凹部40を形成し、この凹部40に流動性の充填材50を充填することによって、流動性を有する充填材50を凹部40内に定在させることができ、充填材50が所定の充填領域外に流れ出すのを防止できる。尚、充填材50は、少なくともその充填時に流動性を発現するものであればよく、凹部40への充填後も流動性を有する必要は特にない。
その後、図7(b)に示すように、絶縁層37で覆われた振動板30の上面に、複数の圧力室14、及び、複数の凹部40内の充填材50表面を覆うように、圧電層31を形成する(圧電層形成工程)。ここで、圧電層31は、エアロゾルデポジション(AD)法、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法、水熱合成法などにより形成することができる。
ところで、AD法等により圧電層31を形成した場合に、圧電層31中に、粒子の微細化や格子欠陥等が生じていると、そのままでは、振動板30を変形させるのに必要な圧電特性は得られない。そこで、このような場合には、圧電材料の粒子結晶を成長させるとともに結晶中の格子欠陥を修復して、圧電特性を向上させるために、圧電層31、振動板30、及び、プレート10〜12を含む積層体60を所定のアニール温度以上に加熱して、圧電層31に対して熱処理(アニール処理)を施す。
尚、圧電材料単体としての圧電特性の向上という観点からはアニール温度は高いほうがよいが、あまりにも高い温度にすると、金属製の振動板30に含まれる元素の拡散が促進されて、絶縁層37を越えて圧電層31まで到達する。そして、そのような元素が拡散してくることによって逆に圧電層31の圧電特性が低下する。そこで、アニール温度は、振動板30に含まれる元素の圧電層31への拡散を抑制できる温度に設定される。具体的には、アニール温度は650〜900℃とする。
ここで、振動板30の凹部40に充填されている充填材50の熱分解温度は、上述した圧電層31のアニール温度よりも低くなっている。そのため、圧電層31にアニール処理を施すために、圧電層31、振動板30、及び、プレート10〜12を含む積層体60を650〜900℃まで加熱すると、充填材50が熱分解し、充填材50が消散することになる。そして、充填材50を消散させることによって、図7(c)に示すように、充填材を覆っていた、凹部40と対向する領域の圧電層31を吹き飛ばして除去する(除去工程)。これにより、圧力室14の中央部と対向する、凹部40に囲まれた領域に残留した圧電層31が、駆動部38となる。
その後、図7(d)に示すように、複数の圧力室14及び共通電極34と対向する、圧電層31の複数の駆動部38の上面に、複数の個別電極32を形成する(個別電極(第2電極)形成工程)。これら複数の個別電極32は、スクリーン印刷、蒸着法、スパッタ法などにより形成することができる。
最後に、合成樹脂製のノズルプレート13に複数のノズル20をレーザー加工等で形成した後に、このノズルプレート13をマニホールドプレート12の下面に接着剤等で接合する。
尚、ノズルプレート13を、流路ユニット4を構成する他の3枚のプレート10〜12と同様に、ステンレス鋼等の金属材料で形成してもよい。この場合には、ノズルプレート13の耐熱温度が圧電層31のアニール温度よりも高いため、ノズルプレート13を圧電層形成工程よりも前にマニホールドプレート12に接合してもよい。例えば、図6(a)に示すプレート接合工程において、プレート10〜12及び振動板30と、ノズルプレート13を一度に接合してもよい。
以上説明したインクジェットヘッド2の製造方法によれば、次のような効果が得られる。
振動板30の凹部40に充填材50を充填してから、振動板30の上面に圧電層31を形成した後、振動板30、圧電層31、及び、充填材50を含む積層体60を、充填材50の熱分解温度以上に加熱する。これにより、凹部40に充填された充填材50を熱分解させて、充填材50を消散させるとともに、充填材50を覆っている圧電層31を吹き飛ばすため、凹部40と対向する領域の圧電層31を容易に除去することができる。従って、より一層の駆動電圧の低減とクロストークの抑制を実現可能な、圧電アクチュエータ5を容易に製造することができる。
また、充填材50として、その熱分解温度が圧電層31のアニール温度よりも低いものを使用することで、圧電層31のアニール処理と同時に、充填材50とその表面の圧電層31の除去を行うことができ、圧電アクチュエータ5の製造工程を短縮することが可能となる。
振動板30の上面の、複数の凹部40を覆うように絶縁層37を形成するため、複数の凹部40において振動板30の上面が露出しない。従って、導電性の振動板30と駆動電位が付与される個別電極32間の、短絡が確実に防止される。また、圧電層31の下側の共通電極34は、絶縁層37によって導電性を有する振動板30とは絶縁されることになる。さらに、共通電極34は圧電層31により覆われて露出しないため、共通電極34と個別電極32間の短絡も防止される。
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]振動板の凹部を形成する領域は、圧力室の周縁部と対向する領域に限られるものではない。
例えば、図9に示すように、振動板30Aの上面の、圧力室14の周縁部と対向する領域から、隣接する別の圧力室14の周縁部と対向する領域まで、隔壁部10aを跨ぐように凹部40Aを形成してもよい(変更形態1)。この場合には、凹部40Aに充填材を充填してから圧電層31Aを形成した後、充填材の熱分解温度以上に加熱することで、圧力室14の周縁部及び隔壁部10aと対向する領域の圧電層31Aを除去できる。従って、圧力室14の周縁部と対向する領域(従動領域)における圧電アクチュエータの剛性を低下させることで、駆動電圧を低減できる。それに加えて、隔壁部10aと対向する領域における圧電アクチュエータの剛性をも低下させることで、この隔壁部10aで隔てられる2つの圧力室14の間における、振動板30Aの変形伝播(クロストーク)を、より効果的に抑制することができる。
また、振動板の上面の、圧力室と対向する領域に凹部を形成する必要は必ずしもない。例えば、駆動電圧の低減よりもクロストークの抑制を優先的に実現する必要がある場合には、図10に示すように、クロストークに最も大きな影響を及ぼす、振動板30Bの上面の隔壁部10aと対向する領域にのみ凹部40Bを形成し、この凹部40Bと対向する領域の圧電層31を除去するようにしてもよい(変更形態2)。
また、前記実施形態では、圧電層の駆動部が圧力室の中央部と対向する領域に配置されており、この領域が駆動領域となっている。しかし、駆動部(駆動領域)の位置が異なれば、駆動部の変形に応じて従動的に変形する従動領域の位置も異なることから、凹部を形成すべき位置も必然的に変化する。
例えば、図11、図12に示すように、振動板30Cの上面の、圧力室14の周縁部と対向する領域に、圧電層31Cの一部である環状の駆動部38Cが形成され、この駆動部38Cの上面に環状の個別電極32Cが配置される場合には、圧力室14の周縁部と対向する領域が駆動領域となり、圧力室14の中央部と対向する領域が従動領域となる。このような圧電アクチュエータを製造する場合には、まず、振動板30Cの上面の、圧力室14の中央部と対向する従動領域に凹部40Cを形成する。そして、凹部40Cに充填材を充填してから、圧電層31Cを形成した後に充填材を熱分解により消散させることで、圧力室14の中央部と対向する領域の圧電層31Cを除去して、圧力室14の周縁部と対向する駆動領域の圧電層31C(駆動部38C)を形成すればよい(変更形態3)。
2]図13に示すように、金属材料からなる振動板30を常にグランド電位に保持させることによって、この振動板30の上面を、複数の個別電極32と対向する共通電極(第1電極)として使用することができる(変更形態4)。この場合には、共通電極を別に形成する工程が不要になり、また、圧電アクチュエータの構成が簡単になる。尚、当然ながら、この変更形態3においては、前記実施形態とは異なり、共通電極としての振動板30の上面を絶縁層37で覆う必要はない。しかし、凹部40の表面には圧電材料の粒子が堆積しないため、凹部40の導電性表面は露出することになり、凹部40表面と個別電極32との間で短絡が生じる虞がある。そこで、この短絡を防止するために、振動板30の上面のうち、凹部40の表面のみが絶縁層で被覆されていてもよい。
3]図14に示すように、常にグランド電位(基準電位)に保持される共通電極34が圧電層31の上面に配置され、グランド電位と駆動電位の何れか一方が選択的に付与される個別電極32が絶縁層37の表面に形成されて、圧電層31の下面(圧電層31と絶縁層37との間)に配置されてもよい(変更形態5)。
4]圧電層のアニール処理は常に必要とされるわけではなく、圧電層の形成方法によっては、所望の圧電特性が確保できるためにアニール処理が不要となる場合もある。また、圧電層は、圧電材料からなるグリーンシートを焼成して得られた圧電シートを振動板に接合することによって形成することも可能であるが、この場合には振動板に接合した後の熱処理は不要である。さらに、他の製造工程の関係上、アニール処理とは別に充填材を除去する工程を行った方がよい場合もある。
従って、圧電層のアニール処理を行うか否かに関係なく、圧電層、振動板、及び、充填材を含む積層体を、充填材の熱分解温度以上に加熱して、充填材とその表面の圧電層を除去する工程を個別に行ってもよい。
5]振動板は金属板である必要は必ずしもなく、駆動部の収縮に応じてユニモルフ変形が可能な程度の剛性を有するものであれば、金属以外の材料(例えば、アルミナやジルコニア等のセラミックス材料、あるいは、シリコン等)で形成されたものを使用することもできる。この場合、振動板に凹部40を形成する方法としては、超音波加工が最も望ましい。
以上、本発明の実施の形態として、圧力室内のインクに噴射圧力を付与する、インクジェットヘッドの圧電アクチュエータに本発明を適用した例を挙げて説明したが、本発明の適用対象は、これに限られるものではない。例えば、マイクロ総合分析システム(μTAS)内部で薬液や生化学溶液等の液体を移送する液体移送装置、マイクロ化学システム内部で溶媒や化学溶液等の液体を移送する液体移送装置等の、液体移送アクチュエータとしての圧電アクチュエータにも本発明を適用することができる。
さらに、本発明の適用対象は、インクなどの液体に圧力を付与するためのアクチュエータに限られない。即ち、基材の変形許容部において振動板の変形を許容しつつ、振動板の変形部分により種々の対象物を押圧駆動するアクチュエータなど、液体移送以外の用途に用いられる圧電アクチュエータにも本発明を適用することが可能である。
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 インクジェットヘッドの平面図である。 図2の一部拡大図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3のV-V線断面図である。 インクジェットヘッドの製造方法の前半工程を示す図であり、(a)はプレート接合工程、(b)は絶縁層形成工程、(c)は共通電極形成工程、をそれぞれ示す。 インクジェットヘッドの製造方法の後半工程を示す図であり、(a)は充填工程、(b)は圧電層形成工程、(c)は除去工程、(d)は個別電極形成工程とノズルプレートの接合工程、をそれぞれ示す。 充填工程の別の形態を示す図である。 変更形態1のインクジェットヘッドの図5相当の断面図である。 変更形態2のインクジェットヘッドの図5相当の断面図である。 変更形態3のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 図11のXII-XII線断面図である。 変更形態4のインクジェットヘッドの図5相当の断面図である。 変更形態5のインクジェットヘッドの図5相当の断面図である。
符号の説明
2 インクジェットヘッド
4 流路ユニット
5 圧電アクチュエータ
10a 隔壁部
14 圧力室
30,30A,30B,30C 振動板
31,31A,31C 圧電層
32,32C 個別電極
34 共通電極
37 絶縁層
40,40A,40B,40C 凹部
50 充填材
60 積層体

Claims (8)

  1. 変形許容部を備えた基材の一表面に前記変形許容部を覆うように接合される振動板と、前記振動板の、前記基材との接合面と反対側に位置する積層面に配置される圧電層と、前記圧電層の一方の面に配置される第1電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置される第2電極と、を含む圧電アクチュエータの製造方法であって、
    前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部と対応する位置に凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記振動板の前記凹部に、所定温度以上で熱分解する材料からなり、流動性を有する充填材を充填する充填工程と、
    前記振動板の前記積層面に前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記振動板、前記圧電層、及び、前記充填材を含む積層体を前記所定温度以上に加熱することにより、前記充填材を熱分解させてその表面の圧電層とともに除去する除去工程と、
    を備えていることを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
  2. 前記除去工程において、前記積層体を、前記所定温度よりも高い、前記圧電層のアニール温度以上に加熱することを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  3. 前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、少なくとも前記変形許容部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  4. 前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部の周縁部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  5. 前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部の中央部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  6. 前記基材は、複数の前記変形許容部とこれら複数の変形許容部を隔てる隔壁部とを有するものであり、
    前記凹部形成工程において、前記振動板の前記積層面の、少なくとも前記隔壁部と対向する領域に前記凹部を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  7. 前記振動板が金属材料からなるものであり、
    さらに、前記第1電極が、常に所定の基準電位に保持される一方で、前記第2電極が、前記基準電位とこの基準電位とは異なる所定の駆動電位の、2種類の電位のうちの一方が選択的に付与されるものであり、
    前記凹部形成工程において前記振動板の前記積層面に前記凹部を形成した後に、前記積層面に前記凹部を覆うように絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
    前記絶縁層の表面の前記凹部と対向しない領域に、前記第1電極を形成する第1電極形成工程と、
    前記圧電層形成工程において前記絶縁層の表面に前記第1電極を覆うように前記圧電層を形成した後に、前記圧電層の前記振動板と反対側の面の、前記第1電極と対向する領域に前記第2電極を形成する第2電極形成工程と、
    を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  8. 圧力室を含む液体流路が形成された流路ユニットと、この流路ユニットの一表面に配置される圧電アクチュエータとを有し、
    前記圧電アクチュエータが、前記流路ユニットの一表面に前記圧力室を覆うように接合される振動板と、前記振動板の、前記流路ユニットとの接合面と反対側の積層面に配置される圧電層と、前記圧電層の一方の面に配置される第1電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置される第2電極とを含む、液体移送装置の製造方法であって、
    前記振動板の前記積層面の、前記変形許容部と対応する位置に凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記振動板の前記凹部に、所定温度以上で熱分解する材料からなり、流動性を有する充填材を充填する充填工程と、
    前記振動板の前記積層面に前記圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記振動板、前記圧電層、及び、前記充填材を含む積層体を前記所定温度以上に加熱することにより、前記充填材を熱分解させてその表面の圧電層とともに除去する除去工程と、
    を備えていることを特徴とする液体移送装置の製造方法。
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