JP2008080517A - 液滴吐出装置用ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板のスリットと桁部のスリットとについて高精度の位置合わせの必要がなく、さらに位置ずれの大きい場合でもそれらの接合部分の剛性に差が発生せず、さらに隣接クロストークを大幅に低減する。
【解決手段】複数枚のプレート材および振動板15が接合されて流路ユニット11が構成され、前記プレート材のうち前記振動板に隣接するキャビティプレートに、圧力室14Aaとなる複数のキャビティが配列状態で形成され、振動板15の上側に圧電層12Aが形成されている。圧力室14Aaの配列方向において隣り合う圧力室14Aaの間に位置する桁部14Abは、振動板15側の部分の幅寸法W1より反振動板側の部分の幅寸法W2が小さく形成されるとともに、振動板15側の部分の中央部に、凹溝部14Abaが形成されている。
【選択図】図6
【解決手段】複数枚のプレート材および振動板15が接合されて流路ユニット11が構成され、前記プレート材のうち前記振動板に隣接するキャビティプレートに、圧力室14Aaとなる複数のキャビティが配列状態で形成され、振動板15の上側に圧電層12Aが形成されている。圧力室14Aaの配列方向において隣り合う圧力室14Aaの間に位置する桁部14Abは、振動板15側の部分の幅寸法W1より反振動板側の部分の幅寸法W2が小さく形成されるとともに、振動板15側の部分の中央部に、凹溝部14Abaが形成されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、インクジェットプリンタ用ヘッドなどの液滴吐出装置用ヘッドおよびその製造方法に関するものである。
近年、インクジェットプリンタにおいては、ヘッドの小型化、ノズルの高密度化、多チャンネル化が進みつつ、コストダウンが図られている。
ヘッドが小型化するにつれ、1チャンネル(つまり1つの圧力室となる1つのキャビティ)当たりに利用できるアクチュエータ部の面積は減少する傾向にある。その一方、必要とされる、インク滴の大きさについては変更がなく、各チャンネルにおいて従来と同等の吐出圧力の発生が要求されている。そのため、隣接するキャビティ間の桁部の幅寸法(キャビティの配列方向における寸法)を小さくして、少しでもアクチュエータ部の面積を大きくとるよう工夫しているのが現状である。
しかしながら、隣接するキャビティ間の桁部の幅寸法を小さくすると、前記桁部の剛性が減少することになるので、隣接チャンネルへのクロストークの影響が大きくなる。
そのようなクロストークの影響を軽減するために、桁部、振動板および圧電素子にスリットを設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3152260号公報(段落0008,0009および図1)
特許文献1記載の技術では、前記桁部および振動板にスリットを設けたのち、それらを接合するので、振動板のスリットと桁部のスリットとの位置合わせ精度が高くないと、前記振動板と前記桁部との間での接合がうまくなされず、前記キャビティからのリークが発生するおそれがある。
この発明は、インクジェットプリンタ用ヘッドなどの液滴吐出装置用ヘッドにおいて、振動板のスリットと桁部のスリットとについて高精度の位置合わせの必要がなく、隣接チャンネルへのクロストークの影響を大幅に低減することを目的とする。
請求項1の発明は、複数枚のプレート材および振動板が接合されて流路ユニットが構成され、前記プレート材のうち前記振動板に隣接するキャビティプレートに、圧力室となる複数のキャビティが配列状態で形成され、前記振動板の上側に圧電層が形成されている液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記配列方向において隣り合う前記キャビティの間に位置する桁部は、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さく形成されるとともに、前記振動板側の部分の中央部に、凹溝部が形成されていることを特徴とする。ここで、複数のキャビティの配列状態は、一列に配列されていても複数列に配列されていてもよい。「幅寸法」とは、複数のキャビティの配列方向における前記桁部の長さを意味する。
このようにすれば、キャビティの配列方向において隣り合う前記キャビティの間に位置する桁部のうち振動板側の部分の幅寸法を大きくすることで、前記振動板の前記キャビティに対する位置合わせに高い精度が必要なくなる。
また、前記振動板側の部分の中央部に、凹溝部を設けていることで桁部が変形しやすくなり、前記圧力室からのインクの吐出時における、前記圧力室の変形効率がアップし、高い吐出圧力を得やすい。
請求項2に記載のように、請求項1の液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記複数枚のプレート材および振動板は金属製であり、それらが金属拡散接合により接合されて流路ユニットとされている場合に特に有効である。
この場合、金属拡散接合時における加圧荷重が、前記桁部の中央部ではなく、前記凹溝部の左右両側部分つまり前記キャビティ近傍に集中するので、キャビティプレートの各キャビティの周囲と振動板との間において安定した接合が可能となり、キャビティから吐出圧力がリークするおそれがなくなる。
請求項3に記載のように、請求項1または2の液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記キャビティプレートは、エッチングにより前記キャビティが貫通穴として形成され、前記貫通穴の振動板側の開口面積を、それとは反対側の開口面積より小さくすることで、前記桁部が、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さく形成されている構成とすることが望ましい。
このようにすれば、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さく形成される請求項1の桁部を、エッチングを利用して、簡単かつ安価に製造することができる。
請求項4に記載のように、請求項3の液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記凹溝部が、エッチングにより形成されたものであることが望ましい。
このようにすれば、圧力室となる複数のキャビティと、それらキャビティの間の桁部に設ける凹溝部とをともにエッチングで一緒に形成できるので、複数のキャビティ凹溝部を有するキャビティプレートを容易に製造することができる。
請求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれかの液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記凹溝部の幅寸法は、前記桁部のうち反振動板側の部分の幅寸法より小さく形成されていることが望ましい。
このようにすれば、接合時において加圧荷重が、凹溝部の左右両側部分(つまりキャビティ近傍)に集中するが、それらの部分に対応する、桁部の反振動板側の部分が反振動板側のプレート材に対し安定して押圧されるので、その荷重を、桁部は座屈することなく、受け止めることができる。
請求項6に記載のように、請求項1〜5のいずれかの液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記振動板は、前記凹溝部に対応してスリットが形成され、そのスリットの幅よりも前記凹溝部の幅が大きいことが望ましい。
このようにすれば、桁部の凹溝部の幅が振動板のスリットの幅より広いので、振動板が桁部に対し少し位置がずれて接合されることになっても、必要な接合面積は確保され、凹溝部両側の接合部分の剛性に差が発生しにくい。よって、変形が安定し、クロストークの影響を回避する上で有利である。
請求項7に記載のように、請求項1〜6のいずれかの液滴吐出装置用ヘッドにおいて、前記圧電層は、超微粒子材料を被処理面に高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法により前記振動板上に形成される構成とすることができる。
このようにすれば、キャビティ間にスリットが形成される圧電層を簡単に製造することができ、クロストークの影響を回避する上で有利である。
請求項8に記載のように、複数枚のプレート材および振動板が接合されて流路ユニットが構成され、前記プレート材のうち前記振動板に隣接するキャビティプレートに、圧力室となる複数のキャビティが配列状態で形成され、前記振動板の上側に圧電層が形成されている液滴吐出装置用ヘッドの製造方法において、前記キャビティプレートに、前記配列方向において隣り合う前記キャビティの間に位置する桁部を、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さくなるように形成するとともに、前記桁部の、前記振動板側の部分の中央部に、凹溝部を形成し、前記振動板およびキャビティプレートの下側に残りのプレート材を重ねて、金属拡散接合により接合して流路ユニットを形成することを特徴とする。
このようにすれば、キャビティの間に位置する桁部においては、金属拡散接合時における加圧荷重がキャビティ近傍に集中するので、安定した接合が可能となる。
請求項9に記載のように、請求項8の液滴吐出装置用ヘッドの製造方法において、前記流路ユニットを形成した後、前記振動板の上側に前記圧電層を、超微粒子材料を被処理面に高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法により形成する構成とすることができる。
このようにすれば、エアロゾルデポジション法を利用することで、キャビティ間にスリットが形成される圧電層を簡単に製造することができる。
請求項10に記載のように、請求項8または9の液滴吐出装置用ヘッドの製造方法において、前記キャビティプレートは、複数枚のプレート材にて形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、キャビティプレートを複数枚のプレート材で形成することで、振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さい桁部、つまりキャビティ(圧力室)を有するキャビティプレートを精度よく形成することができる。
請求項11に記載のように、請求項8〜10のいずれかに記載の液滴吐出装置用ヘッドの製造方法において、前記キャビティおよび凹溝部は、エッチングにて形成される構成とすることができる。
このようにすれば、振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さい桁部、つまりキャビティ(圧力室)を有するキャビティプレートを簡単かつ安価に製造することができる。
以上のように構成したから、本発明は、圧力室となるキャビティの配列方向において隣り合う前記キャビティの間に位置する桁部を、振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さくなるように形成するとともに、前記振動板側の部分の中央部に、凹溝部を形成しているので、振動板側の部分の幅寸法を大きくすることで振動板のキャビティに対する位置合わせに高い精度の必要をなくすことができ、また、桁部に凹溝部を設けることで桁部を変形しやすくして、変形効率をアップさせるので、高い吐出圧力を得る上で有利である。
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
図1(a)は本発明に係るインクジェットプリンタの概略構成を示す概略構成図、図1(b)は本発明に係る流路ユニット、アクチュエータユニットおよびフレキシブルケーブル(COP)の関係を示す説明図である。
本発明に係るインクジェットプリンタ1は、図1(a)に示すように、インクカートリッジ(図示せず)が搭載されるキャリッジ2の下面に、記録用紙P(記録媒体)に記録するためのインクジェットプリンタ用ヘッド3(以下、単にプリンタ用ヘッドという)が設けられている。キャリッジ2は、プリンタフレーム4内に設けられるキャリッジ軸5とガイド板(図示せず)とによって支持され、記録用紙Pの搬送方向Aと直交する方向Bにおいて往復移動する構成とされている。
図示しない給紙部からA方向に搬送される記録用紙Pは、プラテンローラ(図示せず)とプリンタ用ヘッド3との間に導入されて、プリンタ用ヘッド3から記録用紙Pに向けて噴射されるインクにより所定の記録がなされ、その後排紙ローラ6にて排紙される。
また、図1(b)および図2に示すように、プリンタ用ヘッド3は、流路ユニット11と、アクチュエータユニット12とを下側から順に備え、アクチュエータユニット12の上面に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線板13(信号線)が設けられている。
流路ユニット11は、複数枚のプレート部材からなる積層体14を含む。その積層体14の上側には、後述する振動板15が設けられる一方、下側には、ノズル16aを有するノズルプレート16およびノズル16aに対応して貫通穴17aを有するスペーサプレート17を貼り合わせてなるプレートアッセンブリ18が一体に貼り付けられている。そして、振動板15の上側に、アクチュエータユニット12が設けられている(図1(b)参照)。また、図2(a)に示すように、流路ユニット11の開口11aには、インク内に含有される塵埃などを捕獲するためのフィルタ19が設けられる。ノズルプレート16は、(積層体14を構成する)後述のキャビティプレート14Aの1つの圧力室14Aaについて、1つのノズル16aがそれぞれ設けられた高分子合成樹脂プレート(例えばポリイミド)である。ノズル16aは、高分子合成樹脂プレートにエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
この積層体14は、図3(a)に示すように、上側から順にキャビティプレート14A、ベースプレート14B、アパチャープレート14C、2枚のマニホールドプレート14D,14E、およびダンパープレート14Fがそれぞれ重ねられたものである。これら6枚のプレート14A〜14Fは、各ノズル16a毎に個別にインク流路が形成されるように、互いに位置合わせして積層されている。この積層体14の上に、さらに振動板15が重ねられて金属拡散接合され、図3(b)に示すように一体化され、流路ユニット11とされる。なお、ノズルプレート16およびスペーサプレート17も金属プレートとして、これらも、積層体14や振動板15と一緒に金属拡散接合するようにしてもよい。
図4および図5に示すように、キャビティプレート14Aは、矩形状の金属プレートで、そのプレート長手方向に、圧力室14Aaとなる複数列のキャビティが配列状態で形成されている。これら複数の圧力室14Aa(キャビティ)は、後述するように、エッチングにより、プレート厚さ方向に貫通する貫通穴として形成されている。複数の圧力室14Aa(キャビティ)を塞ぐ状態でキャビティプレート14Aの上面に振動板15が接合されている。
ベースプレート14Bは、マニホールド14Da,14Ea(共通インク室)から各圧力室14Aaへの連通穴14Baおよび各圧力室14Aaから各ノズル16aへの連通穴14Bbがそれぞれ設けられた金属プレートである。アパチャープレート14Cには、それの上面に凹部通路として、各圧力室14Aaとマニホールド14Da,14Eaとを連通する連通路21が形成されるとともに、マニホールド14Da,14Eaから各圧力室14Aaへの連通穴14Caおよび各圧力室14Aaからノズル16aへの連通穴14Cbがそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート14D,14Eは、マニホールド14Da,14Eaに加えて、各圧力室14Aaから各ノズル16aへの連通穴14Db,14Ebがそれぞれ設けられた金属プレートである。ダンパープレート14Fは、下面に凹部として形成されるダンパー室14Faのほか、各圧力室14Aaを各ノズル16aに連通する連通穴14Fbが設けられた金属プレートである。
アクチュエータユニット12は、図2(a)および図6(a)に示すように、振動板15上に形成された圧電層12Aと、この圧電層12Aの上側に各圧力室14Aaに対応して形成された複数の個別表面電極12Bとを備えている。これら複数の個別表面電極12Bは、平面視で圧力室14Aaよりも一回り小さい長円形状を有し、対応する圧力室14Aaの中央部に重なる位置に夫々形成されている。なお、周知のように、圧電層12Aの表面において、各個別表面電極12Bについては各個別表面電極12Bに夫々連なる複数の端子部12Baが形成され、これら複数の端子部12Baが、フレキシブルプリント配線板13を介してドライバIC(図示省略)と電気的に接続されており、ドライバICから端子部12Baを介して複数の個別表面電極12Bに対して選択的に駆動電圧が供給される構成とされている。
振動板15は、複数の個別表面電極12Bに対向して配置され、個別表面電極12Bとキャビティプレート14Aとの間の圧電層12Aに電界を作用させる共通電極を兼ねている。圧電層12Aは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなり、その厚さ方向に分極している。個別表面電極12Aは、Ag−Pd系等の金属材料からなるものであり、駆動信号が供給されるフレキシブルプリント配線板13の信号線により、図示しないドライバICに接続されている。他方、内部共通電極として機能する振動板15は常にグランド電位に保たれている。
したがって、個別表面電極12Bの電位をグランド電位より高い電位とすることで、圧電層12Aに対してその分極方向に電界が印加される。電界が印加された圧電層12Aは、活性層として、圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。一方、振動板15は、電界の影響を受けないため自発的には縮まないので、上層の圧電層12Aと下層の振動板15との間で分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなり、振動板15がキャビティプレート14Aに固定されていることと相俟って、圧電層12Aおよび振動板15は圧力室14Aaに向かって凸となるように変形しようとする(ユニモルフ変形)。このため、圧力室14Aaの容積が低下して、インクの圧力が上昇し、ノズル16aからインクが噴射される。その後、個別表面電極12Bを内部共通電極(振動板15)と同じ電位に戻すと、圧電層12Aおよび振動板15は元の形状になって圧力室14Aaの容積が元の容積に戻るので、インクをマニホールド14Da,14Eaから吸い込む。
上述したように、本実施の形態では、振動板15を流路ユニット11の上側に設けているので、ユニモルフ変形による優れた噴射効率を実現することができる。
続いて、本発明の特徴点である、圧力室14Aaの配列方向において隣り合う圧力室14Aa(キャビティ)の間に位置する桁部14Abの構造について説明する。
図6(b)(c)に示すように、圧力室14Aaの間に位置する桁部14Abは、振動板15側の部分の幅寸法W1より反振動板15側の部分の幅寸法W2が小さく形成されるとともに、振動板15側の部分の中央部に、凹溝部14Abaが形成されている。
キャビティプレート14Aには、前述したように、エッチングにより圧力室14Aaが貫通穴として形成されるので、そのエッチングの際に前記貫通穴の振動板15側の開口面積を、それとは反対側の開口面積より小さくすることで、桁部14Abが、振動板15側の部分の幅寸法W1より反振動板15側の部分の幅寸法W2が小さく形成されている。このことは、圧力室14Aaの振動板15側の開口面積が、それとは反対側の開口面積より小さくなっていることを意味する。この圧力室14Aaがエッチングで形成される際に、凹溝部14Abaもエッチングにより一緒に形成される。そして、凹溝部14Abaの幅寸法W3は、桁部14Abのうち反振動板側の部分の幅寸法W2より小さく形成されている。これにより、凹溝部14Abaの両側において、厚さ方向に延びる中実部分が存在することになり、金属拡散接合する際に、その接合による加圧荷重が前記中実部分で受け止められ、桁部は座屈することなく、安定して接合される。つまり、図6(c)に一点鎖線で囲む部分で強固に接合される。
また、振動板15には、凹溝部14Abaに対応してスリット15aが形成されている。スリット15aの幅W4よりも凹溝部14Abaの幅W3が大きくなっており、振動板15の、圧力室14Aa(キャビティ)に対する位置合わせに高い精度が必要なくなる構成とされている。
上記ヘッド3によれば、桁部14Abに凹溝部14Abaが形成されているので、図7(a)に示すように、変形しやすくなる。つまり、例えば図7(b)に示すように圧力室の配列方向において隣り合う圧力室間に位置する桁部101を、振動板15側の部分の幅寸法W1より反振動板側の部分の幅寸法W2が小さくなるように形状を工夫することにより、振動板15にスリット15aを設けるだけの桁部102の場合(図7(c)参照)よりも、振動板15の変形を大きくすることができるが、さらに桁部15に凹溝部15Abaを形成することで、さらに変形を大きくさせることができるようにしているのである。
ここで、この実施の形態のインクジェットヘッド1では、複数の圧力室14Aaが平面に沿って密集して配置されており、ある圧力室14Aaに対向する個別表面電極12Bに駆動電圧が印加されて、この圧力室14Aaと重なる位置の圧電層12Aおよび振動板15が変形したときに、この変形が隣接する圧力室14Aaに重なる圧電層12Aおよび振動板15に伝播してしまう現象、いわゆる、クロストークが生じやすい。しかし、前述のように、平面視で圧力室14Aaの間の桁部14Abおよび振動板15には、凹溝部14Abaおよびスリット15aがそれぞれ形成されている。よって、ある圧力室14Aaに重なる圧電層12Aおよび振動板15の変形が、隣接する他の圧力室14Aaに重なる圧電層12Aおよび振動板15に伝播しにくくなるため、クロストークを確実に抑制することができる。
次に、インクジェットヘッド1の製造方法について説明する。
(工程1)
まず、積層体14を構成するプレート14A〜14Fと振動板15とを金属拡散接合により一体に接合する。ここで、振動板15やプレート14A〜14Fはステンレス鋼等の金属材料からなるため、エッチングやプレス加工等により簡単にスリット15a、貫通穴(圧力室14Aa)、凹溝部14Abaを形成することができる。また、この振動板15は、複数の個別表面電極12Bと対向して圧電層12Aに電界を生じさせる共通電極を兼ねているため、振動板15とは別に共通電極を設ける必要がなく、アクチュエータユニット12の構成が簡単になる。
(工程2)
次に、振動板15の、積層体14と反対側の面に圧電層12Aを形成する。ここで、この圧電層12Aの形成においては、エアロゾルデポジション法(AD法)を用い、超微粒子材料(PZTの粒子)を振動板15の被処理面(表面)に高速で衝突させて堆積させることにより、圧電層を振動板15上に形成する。このとき、振動板15のスリット15aおよび桁部14Abの凹溝部14Abaが形成された領域においては、圧電層12Aが形成されることはない。つまり、AD法を用いて圧電層12Aを形成する際に、振動板15のスリット15aおよび桁部14Abの凹溝部14Abaの内面では成膜に寄与しない微粒子の跳ね返りの割合が大きくなるために、これらの内面においては、振動板15の他の表面と比較して粒子が堆積しにくくなるからである。
(工程1)
まず、積層体14を構成するプレート14A〜14Fと振動板15とを金属拡散接合により一体に接合する。ここで、振動板15やプレート14A〜14Fはステンレス鋼等の金属材料からなるため、エッチングやプレス加工等により簡単にスリット15a、貫通穴(圧力室14Aa)、凹溝部14Abaを形成することができる。また、この振動板15は、複数の個別表面電極12Bと対向して圧電層12Aに電界を生じさせる共通電極を兼ねているため、振動板15とは別に共通電極を設ける必要がなく、アクチュエータユニット12の構成が簡単になる。
(工程2)
次に、振動板15の、積層体14と反対側の面に圧電層12Aを形成する。ここで、この圧電層12Aの形成においては、エアロゾルデポジション法(AD法)を用い、超微粒子材料(PZTの粒子)を振動板15の被処理面(表面)に高速で衝突させて堆積させることにより、圧電層を振動板15上に形成する。このとき、振動板15のスリット15aおよび桁部14Abの凹溝部14Abaが形成された領域においては、圧電層12Aが形成されることはない。つまり、AD法を用いて圧電層12Aを形成する際に、振動板15のスリット15aおよび桁部14Abの凹溝部14Abaの内面では成膜に寄与しない微粒子の跳ね返りの割合が大きくなるために、これらの内面においては、振動板15の他の表面と比較して粒子が堆積しにくくなるからである。
このように、AD法を用いることにより、振動板15のスリット15aおよび桁部14Abの凹溝部14Abaの部分には圧電層12Aが形成されないため、クロストークをより確実に抑制できる。
(工程3)
このように、振動板15の表面に圧電層12Aを形成した後に、圧電層12Aに十分な圧電特性を確保させるためのアニール処理を行い、その次に、圧電層12Aの表面の、平面視で複数の圧力室14Aaに夫々重なる領域に、スクリーン印刷法、蒸着法あるいはスパッタ法等を用いて複数の個別表面電極12Bを形成する。そして、最後に、合成樹脂製のプレートアッセンブリ18(ノズルプレート16、スペーサプレート17)を積層体14の下面に接合して、インクジェットプリンタ用ヘッド3の製造を完了する。
(工程3)
このように、振動板15の表面に圧電層12Aを形成した後に、圧電層12Aに十分な圧電特性を確保させるためのアニール処理を行い、その次に、圧電層12Aの表面の、平面視で複数の圧力室14Aaに夫々重なる領域に、スクリーン印刷法、蒸着法あるいはスパッタ法等を用いて複数の個別表面電極12Bを形成する。そして、最後に、合成樹脂製のプレートアッセンブリ18(ノズルプレート16、スペーサプレート17)を積層体14の下面に接合して、インクジェットプリンタ用ヘッド3の製造を完了する。
前記実施の形態では、キャビティプレート14Aを1枚の金属プレートで構成し、エッチングにより所望の形状の桁部14Abを形成するようにしているが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば図8に示すように、キャビティプレート14A’を、2枚の金属プレート14AA,14AB(あるいは複数枚の金属プレート)を金属拡散接合により接合して形成することで、所望の形状の桁部14Ab’を精度よく形成する構成とすることも可能である。この場合、上側の金属プレート14AAに、凹溝部に相当する開口14Aba’が形成される。
なお、本発明は、インクを吐出するインクジェットヘッドに限られるものではなく、液体を吐出するヘッドであれば適用できるものである。
1 インクジェットプリンタ
3 プリンタ用ヘッド
11 流路ユニット
12A 圧電層
12B 個別表面電極
14A キャビティプレート
14Aa 圧力室(キャビティ)
14Ab 桁部
14Aba 凹溝部
14AA,14AB 金属プレート
15 振動板
15a スリット
3 プリンタ用ヘッド
11 流路ユニット
12A 圧電層
12B 個別表面電極
14A キャビティプレート
14Aa 圧力室(キャビティ)
14Ab 桁部
14Aba 凹溝部
14AA,14AB 金属プレート
15 振動板
15a スリット
Claims (11)
- 複数枚のプレート材および振動板が接合されて流路ユニットが構成され、前記プレート材のうち前記振動板に隣接するキャビティプレートに、圧力室となる複数のキャビティが配列状態で形成され、前記振動板の上側に圧電層が形成されている液滴吐出装置用ヘッドにおいて、
前記配列方向において隣り合う前記キャビティの間に位置する桁部は、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さく形成されるとともに、前記振動板側の部分の中央部に、凹溝部が形成されていることを特徴とする液滴吐出装置用ヘッド。 - 前記複数枚のプレート材および振動板は金属製であり、それらが金属拡散接合により接合されて流路ユニットとされていることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置用ヘッド。
- 前記キャビティプレートは、エッチングにより前記キャビティが貫通穴として形成され、前記貫通穴の振動板側の開口面積を、それとは反対側の開口面積より小さくすることで、前記桁部が、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さく形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の液滴吐出装置用ヘッド。
- 前記凹溝部が、エッチングにより形成されたものであることを特徴とする請求項3記載の液滴吐出装置用ヘッド。
- 前記凹溝部の幅寸法は、前記桁部のうち反振動板側の部分の幅寸法より小さく形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴吐出装置用ヘッド。
- 前記振動板は、前記凹溝部に対応してスリットが形成され、そのスリットの幅よりも前記凹溝部の幅が大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液滴吐出装置用ヘッド。
- 前記圧電層は、超微粒子材料を被処理面に高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法により前記振動板上に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液滴吐出装置用ヘッド。
- 複数枚のプレート材および振動板が接合されて流路ユニットが構成され、前記プレート材のうち前記振動板に隣接するキャビティプレートに、圧力室となる複数のキャビティが配列状態で形成され、前記振動板の上側に圧電層が形成されている液滴吐出装置用ヘッドの製造方法において、
前記キャビティプレートに、前記配列方向において隣り合う前記キャビティの間に位置する桁部を、前記振動板側の部分の幅寸法より反振動板側の部分の幅寸法が小さくなるように形成するとともに、前記桁部の、前記振動板側の部分の中央部に、凹溝部を形成し、
前記振動板およびキャビティプレートの下側に残りのプレート材を重ねて、金属拡散接合により接合して流路ユニットを形成することを特徴とする液滴吐出装置用ヘッドの製造方法。 - 前記流路ユニットを形成した後、前記振動板の上側に前記圧電層を、超微粒子材料を被処理面に高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法により形成することを特徴とする請求項8記載の液滴吐出装置用ヘッドの製造方法。
- 前記キャビティプレートは、複数枚のプレート材にて形成されていることを特徴とする請求項8または9記載の液滴吐出装置用ヘッドの製造方法。
- 前記キャビティおよび凹溝部は、エッチングにて形成されることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の液滴吐出装置用ヘッドの製造方法。
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JP2010105261A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Brother Ind Ltd | 液体移送装置の製造方法 |
JP2016155317A (ja) * | 2015-02-25 | 2016-09-01 | 株式会社リコー | 液体吐出ヘッド及び画像形成装置 |
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- 2006-09-26 JP JP2006259970A patent/JP2008080517A/ja active Pending
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