JP4956387B2 - 角度変換器 - Google Patents

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Description

本発明は2つの相対的に回転可能な部分の間の回転角度の正確な決定に使用する角度変換器または角度エンコーダに関する。
角度変換器は工業における案内及び制御の目的で広く使用される機械的要素である。変換器の毎年の消費は非常に大きい。そのような変換器はしばしば案内され、または制御される軸の分解能を増加するために歯車装置と共に使用される。例えば、10,000増分/回転(increments/revolution)の分解能とi=26倍の歯車をもった角度変換器によって、ほぼ5秒の弧の出力軸の分解能を得ることができる。
この方法の欠点は、この方法が歯車の精度に依存し、伝達において遊び、磨耗等により影響されるので、システムの最終精度の制御が貧弱になることである。
そのような制御出来ない誤差の影響を避けるため、機会製造者は伝達系列の末端、すなわち制御され/監視される機械部分と直接関連して測定/角度変換器を配置せんと努力する。しかし、これは数秒のオーダの弧、またはそれ以上の分解能をもった高い分解能の角度変換器を必要とする。このような性能をもった幾つかの製品が市場で入手可能である。
しかしながら、現存の角度変換器の欠点はそれらが非常に高価であり、それらの取付けにおける精密性(precision)と正確性(accuracy)に高い要求をもつことである。
現存の変換器の多くは、例えばシステムの電力消滅または電力遮断に続いて角度位置が変化すると全ての情報が失われるような光学的増分型(optical incremental type)である。従って角度変換機は絶対値を示すことが非常に要望されるものであり、すなわち電力の開閉の間に起こった事象に関係なく常に正確な情報が得られるべきである。これは安全の問題が大きな関心であるシステムにおいて利点となる。絶対測定の機能はまた、測定システムを測定動作と動作の間に全体的に電力遮断することができるので、長期測定の測定装置を小さな電力消費で設計することを可能とする。
本発明について、従来技術の背景とそれに関する問題点を考慮して添付の図面を参照して説明する。
(従来技術)
本発明は、基本的にスエーデン特許7714010−1に記載されている様な従来公知の容量性技術(capacitive technology)に基づく製造が容易で安価な角度変換器に関する。図1の第1のディスク1はスケールを形成する1組の電極2が設けられる。第1のディスク1の上に位置し、それから狭い空隙で分離されている第2のディスク4には第2の1組の電極3が設けられ、各電極3には交流電圧が供給される。交流電圧の供給されるディスクは本明細書において以下しばしば“固定子”と表示する。第1のディスク1の電極の1つは適当な変位位置において第2のディスク4の電極の1つまたは2つとコンデンサを形成し、それにより第2のディスクの電極に印加された交流電圧が第1のディスク1の電極2の1つに転送される。第1、第2のディスクの何れの電極がコンデンサを形成するかは、両ディスクの相対的変位により決められる。このように、第1のディスクに転送される信号もまたディスク1、2の相対的位置に依存するので、両ディスク間の変位の大きさを決めるのに使用できる。
この技術の主要な利点の1つは、組み込まれるスケールの要素が通常のプリント回路技術を用いて製造することができ、このため製造が容易で安価であることである。
角度変換器の製造もまたスエーデン特許7714010−1により公知である。図2に示すように、半径方向に向けられた電極2、3が、スケールディスク1と供給パターンディスク4を形成するように、両電極パターンに共通の中心をもって円形の型に配置される。このように、スケールディスクを固定して供給パターンディスクを回転可能に、またはその逆の何れでも選択できる。あるいは、スケールディスク1と供給パターンディスク4の両者を固定位置に対して相対的に回転可能にすることもできる。もし、スケールディスク1を移動可能要素、すなわち回転可能要素とし、供給パターンディスク4を固定的に取り付けるなら最も簡単である。本明細書では以下これを好ましい実施例と見做し、スケールディスク1は以下回転子と呼び、供給パターンディスク4を固定子と呼ぶ。
(従来技術の欠点と問題)
スエーデン特許7714010−1に記載の技術は、相対的観点から見て相当に低い分解能と精密度をもった長い測定スケールの製造を意図したものである。高い分解能の角度変換器に必要な高い精密度を得るためには、測定システムを形成する電極の間隔の精密度に極めて高い要求を置かねばならない。同様に、図2において回転子電極2を担持するディスク1と固定子電極を担持するディスク4の間の軸に平行な距離が一定であることに、厳密な要求が置かれる。もしこの距離が全ての電極組について同一でなければ、電極は信号に関して異なるウエイトが与えられることになり、誤差値となる。回転子ディスクと固定子ディスクの間の距離が変化する原因としては、例えば図10に示される回転子ディスク1の軸方向ぐらつき、あるいは図12に示される回転子板1の平坦性の欠陥がある。そのような誤差の他の原因には、回転子ディスクと固定子ディスクの間の貧弱な平行性、すなわち図1のディスク1と4の間、または図4のディスク1と4の間の図4aに示されるような貧弱な平行性がある。回転子ディスク1と固定子ディスク4の取り付けには、2つのディスクの回転の中心が同じ位置にあることが保証されねばならない。上記に記載の全ての場合に、図5、図6に示される形式の誤差が発生し、図7に示されるようにスケール間隔の1周期にわたる周期的な誤差となる。
同様に、回転子ディスク1は半径方向ぐらつきを避けるように軸受けに取り付けねばならない。それは、ディスクの回転の共通の中心に対する相対的な回転子ディスクの半径方向変位は回転子ディスクの電極間の間隔の有効角度(effective angle)の1回転にわたる間の周期的変動を生じるからである。
スエーデン特許7714010−1はまた、直線スケールにそった絶対位置の決定の方法を開示し、それは原理的に角度スケールに使用することができる。開示された方法の欠点は、図1のディスク1と4の間の相対的運動の近似的位置を“フローテング”により決定するため、特許に従って使用される2つの副スケールの製造のとき非常に高い精密度を必要とすることである。
(本発明)
従って本発明の目的は、上述の製造と取付けにおける要求を解消または最小化し、しかも非常に正確な角度の測定能力を与えることのできる角度変換器を得ることである。
本発明の上記の目的は以下に述べる角度変換器により達成される。該角度変換器は、第1のディスク、円形に配置され半径方向に向かう受信機電極をもった回転子と、第2のディスク、円形に配置され半径方向に向かい、前記受信機電極と同じ半径に配置された送信機電極をもった固定子とを含み、前記2つのディスク上の前記受信機電極と送信機電極の間に一定の間隔が設けられ、それにより前記ディスクは互いに同軸かつ相対的に回転可能に配置され、また前記両ディスクは薄い空隙により隔離されていて前記受信機ディスクと送信機ディスクの上の前記電極システムの間の容量的または誘導的結合を可能にする。そこで前記送信機電極は各々異なる相の交流電圧が供給され、また供給位相の数Φは2より大きく、送信機電極の間隔=受信機電極の間隔/Φである。さらに、本発明によれば、受信機電極の幾何学的配置に対する相対的な送信機電極の幾何学的配置の誤差が回転子の受信機電極に同じだが、反対の誤差信号を発生するように、固定子の送信機電極が幾何学的に配置されている。
スエーデン特許7714010−1に記載された容量性原理に従って角度変換器が機能する。システムの構成の原理の図面が直線スケールで図1に示される。
図2は、角度変換器における回転角度の測定のシステムの構成を示す。図2において、電極2は“回転子”1として公知のシステムの移動する構成部分の上に等間隔で配置され、“固定子”として公知の固定ディスク4の上の電極3と組み合わされて可変コンデンサを形成する。両電極システムは回転の共通中心に向かって半径方向に延びる。
固定子上のコンデンサ板に同一の周波数と振幅をもつが、位相が相対的に異なる交流電圧が供給される。
1つの好ましい実施例においては、4つの交流電圧R−S−T−Uがその間に90°の位相の変位をもって使用され、それにより固定子板4上の電極3の間の電極間隔は、板1上の回転子電極2の間の角度間隔の1/4である。一般に、相数Φ個の位相の交流電圧、ここにΦ>2、が供給電圧として利用され、それにより固定子の間隔=回転子の間隔/Φである。板1と4の間の回転角度が変化するとき、交流電圧R−S−T−Uを供給される電極は順次に回転子板1の上の電極2の1つと容量結合を形成する位置にくる。このようにして、スケール上に存在する電極2は固定子4の電極3の1つから容量性伝達によって信号を取り込む。スケールにより取り込まれる信号の位相は回転子電極2が容量性結合を形成する1つまたは2つの固定子電極3の各位相により決定され、このようにして、スケールにより取り込まれる信号の位相は静止固定子板4に対するスケール1の相対的角度位置に依存する。1スケール周期内、すなわち2つの回転子電極2の間の角度内の角度位置はこのようにして独特に決定される。
さらに本発明で考慮される容量性構成は、360°の完全1回転内の角度位置を決定するために必要である。回転子電極と固定子電極の間の有効容量は各個々の電極の対について非常に小さいので、図1の電極3において受信スケール信号に許容できる信号強度が得られるように、電気的背景(perspective)から並列に結合される多数の送信機群R;S;T;Uが固定子において使用される。
スエーデン特許7714010−1に従って、電極は図1に示されるように回転子と固定子に配置される。これは、固定子電極間の最も簡単な電気的接続と最良の“パッキング”、すなわち与えられた空間内で最も効率的な電極領域を与える。同じ原理に従った角度変換器が図2に示される。
スエーデン特許7714010−1及び図2に従った実施の欠点は、電極のそのような明確な(obvious)配置は回転子板と固定子板の電極システムに実際に発生する幾何学的誤差に対して敏感性を導入することである。大なり小なり不可避的なこの形式の誤差は次の通りである:
1.必要な組立の許容誤差による、図2の回転子板1と固定子ディスク4の間の静的半径方向変位。
2.回転子ディスク1の半径方向ぐらつきによる、図2の回転子ディスク1と固定子ディスク4の間の動的半径方向誤差。
3.必要な組み立て許容誤差による傾きで起こる、図2の回転子1と固定子4の間の空隙の静的距離誤差及び平行性誤差。
4.図10のような、可動ディスク1の回転の間の半径方向ぐらつきにより起こる回転子と固定子の間の空隙の動的距離誤差及び平行性誤差。
5.図12のような、可動ディスク1の回転の間のその欠陥的形状により起こる回転子と固定子の間の空隙の動的距離誤差及び平行性誤差。
6.回転子と固定子のディスク製造に使用される光学的マスタにより起こる回転子と固定子の電極の幾何学的配列における組立間隔誤差。
本発明は角度変換器を形成する2つの電極ディスク1、4の製造許容誤差を減少すること、及び電極パターンの誤差と前に述べたような取付けの幾何学的配列の影響を無くすことにより取付けにおける要求を減少すること、を目的とする。本特許に記載されている方法は、回転子及び/又は固定子の幾何学的配列の誤差が、+δの誤差寄与(error contribution)をもったスケール信号(scaling signal)に加えて、−δの差動誤差寄与(differential error contribution)を含むスケール信号を与えるように電極システムを構成することによる差動幾何学的バランスによって、製造または取付けによる回転子電極の幾何学的配列に起こる誤差を除くことに基づいている。好ましい結果、δ=0、が前記2つのスケール信号を加算することにより得られる。
全体の構成は1つの協同作業システムとして作動するが、以下においては段階的に分割して誤差1乃至5の各形式を個々に説明するように記載する。
(誤差形式1及び2)
固定子ディスクの半径方向ぐらつき、または半径方向変位の影響を避ける1つの方法は、例えば図2の角度変換器に、ディスク4に既に配置されている固定子電極と同一であるが第1のディスク4に対して相対的に180°変位している第2の組の固定子電極を設けることである。図3はそのような構成を示す。図は電極2をもった回転子ディスク1を示す。さらに固定子ディスク4は固定子電極3を備え、またディスク4と直径方向で反対側に電極3’をもった第2の固定子ディスク4’が配置される。2つの固定子ディスクは実際には図3に示されるように1つの共通固定子ディスク5に統合される。ディスク5の回転の中心に対して相対的にディスク1の回転の中心が、例えば矢印の方向に一定の静的変位を生じた場合は、ディスク4により回転子ディスク1に励起される信号は角度変位を示すがそれは非常に小さいことが分かった。何故なら、固定子電極と実際の回転の中心の距離が小さく、それは固定子電極間の有効角度が大きくなったことを意味するからである。均等的に、ディスク4’により回転子ディスク1に励起される信号は角運動を大きく示し過ぎる。2つの隣接する電極間の有効角度の正の変化と負の変化は一般には大きさが同じではないが、その差はもし半径方向の移動が小さければ無視できる。2つのディスク4と4’から励起される信号は加算されるとき、誤差の合計は互いに打消す。
図8、8aに示すような動的軸方向ぐらつきの場合、すなわち、回転子ディスク1の軸受けの中心が回転子電極の幾何学的中心と一致しない場合、誤差の完全な消去を達成するためには固定子ディスク4”、4'''の対をディスク4、4’の対に対して相対的に90°変位することが必要である。一般に、誤差消去の効果を得るためには少なくとも3組のディスク4が必要であることに間違いない。
図9に示されるような実施例では、固定子電極3が完全な1回転、すなわち360°の回転角度を含むようにして、多数の位相群R−S−T−Uが均等に2で分割できるようにして、完全な差動消去(differential cancellation)が得られるようにしている。
(誤差形式3、4及び5)
図4は前面から、及び矢印aの方向から見たシステムを示す。図4aの如く、回転子1と固定子4の間に静的平行性の誤差のある場合、楔型空隙が回転子1と固定子4の間に形成される。この状態が図5にさらに詳細に示され、そこでは送信機電極の4つの群R−S−T−Uを含む固定子が示され、システムの運動方向の傾きはΔである。
図6はさらに詳細に、回転子電極2の1つと電極群R−S−T−U内に長手方向に分布する電極の間の結合が前記傾きによりどの様に影響されるかを示す。図6で明らかなように、固定子電極Sと回転子電極2の間の容量と固定子電極Rと回転子電極2の間の容量を較べると、それぞれ固定子電極が回転子電極の直上に位置するときに前者は後者よりも小さい。同様に同等な位置において、固定子電極Tと回転子電極2間の容量は固定子電極Sと回転子電極2の間の容量よりも小さく、一方Uに対する容量はTに対する容量よりも小さい。回転子ディスクの運動が全ての4つの位相R−S−T−Uを通り過ぎたとき、固定子電極Rは再び回転子電極2の1つの直上の位置に配置される。シーケンスR−S−T−Uの間に蓄積され増加する誤差は、そこで“ゼロ誤差”に復帰する。周期的かつ規則的な誤差が図7aの図形の如く得られる。図で、縦軸γは誤差の大きさを示し、横軸は角運動を示す。誤差の周期の長さλは2つの回転子電極2の間の間隔に等しい。図3のように、第1の組に対して相対的に180°変位した固定子電極3’の追加の組を用い、第1の電極組3と第2の電極組3’を1つの同じディスク上に統合して、前に述べた特許の原理に従って幾何学的差動消去(geometrical differential cancellation)を適用することにより、前記傾きは前記電極組3’に対して同じ大きさであるが、位相方向R−S−T−Uにおいては反対の符号をもち、従って図7bによる誤差カーブ、すなわち電極3の上部組に対する図7aの誤差カーブと反対の誤差カーブを生じるであろう。図7aと図7bの2つの誤差カーブを加算する結果として、図7cに示されるように誤差図面において横軸と一定の偏差距離oをもった直線が得られる。
図10に示す回転する回転子ディスク1の回転軸6に対する相対的な軸方向ぐらつきの形の回転子と固定子の間の動的平行性誤差の場合、あるいは回転子または固定子ディスクの1つが図12に非常に誇張して示すように欠陥のある形状をもつ場合、1対のディスク4と4’に対して相対的に90°変位している固定子ディスク4”と4'''の追加の組、図8に示す、は誤差の完全消去のために必要である。
図9に示される好ましい実施例では、固定子電極3が回転角度360°を取り囲んでおり、それにより多数の位相群R−S−T−Uは完全な差動消去を得るために2により均等に分割されねばならない。図11、13は(静止)回転子ディスク1と固定子ディスク4の間の距離dが回転子ディスクの周縁の回りでどのように変化して、0°における最大距離から180°における最小距離に、ついで360°で最大に戻るかを示す。固定子ディスクは360°を囲んでいるので、回転子と固定子ディスクの間の距離dの平均値は回転子ディスク1の全回転位置において一定であり、このようにして回転子に励起される信号は一定の振幅をもち、従って位相位置(phase position)は回転子電極の固定子電極に対する相対的な変位に依存するのみで、回転子1の軸方向ぐらつきや不良形状に影響されることはない。
(概要)
軸方向ぐらつきの一般的形において、回転子1と固定子4の両者の回転軸に対する相対的な角度は90°に等しくない。これは図18、19に誇張した形で示される。図18においてシステムの回転の共通軸に対して相対的に、回転子ディスクは角度誤差αをもち、固定子ディスク4は角度誤差βをもつ。システムは固定子ディスクに対する相対的な1つの角度位置において図18に示す位置をとる。回転子が180°回転すると、システムは図19に示す位置を取る。
図20、21は2つの極端な位置におけるシステムを図式的に示す。回転子ディスクの回転の中心と固定子ディスクの対応する点(equivalent point)との距離が“d”で示される。回転子と固定子の電極システムの平均半径は“r”で示される。回転の中心に対する相対的な角度誤差はαで、固定子のそれはβである。
図20において回転子ディスクと固定子ディスクの間の最小距離aは、
a=d−r(sin α+sin β)
であり、最大距離bは、
b=d+r(sin α+sin β)
である。360°にわたる平均値は(a+b)/2で、これは“a”と“b”を図面から得られる値に置換すると“d”に等しい。
図21において回転子ディスクと固定子ディスクの間の距離aはa=d+r(sin α−sin β)であり、また距離bはb=d−r(−sin α+sin β)である。360°の平均値は(a+b)/2で、“a”と“b”に対して図面から得られる値に置換すると“d”に等しくなる。
上記の説明は、回転子ディスクと固定子ディスクの両者に角度誤差が存在する一般の場合における本発明の実施例において電極ディスクの間の平均距離が一定であることを示している。
(誤差形式6)
組立の間隔誤差は回転子と固定子の電極の幾何学的配列で起こりうる。例えば、これらは回転子と固定子の製造に用いる光学マスタから起こり得る。回転子電極間または固定子電極間の間隔の組織的誤差の場合、電極の誤差位置、電極1------電極nは単調な関数として増加する。完全な1回転の終わりに、電極1と電極nの間の最終間隔に、その前のn−1の間隔の間に累積された誤差と符号は逆であるが、同じ大きさの誤差を生じる。何故なら、1回転の間の全ての誤差の合計はゼロに等しいからである。好ましい実施例による回転子と固定子の電極は360°の完全な回転を含むので、幾何学的誤差の補償がこの場合にも働いて、その結果回転子ディスクに励起される信号の誤差の合計ゼロとなるであろう。
(スケールの幾何学的配列(scaling geometry)から起こる他の誤差)
スエーデン特許7714010−1に記載されているスケールの幾何学的配列は、4つの供給位相が用いられ、固定子電極の幅は最大で回転子電極間の間隔の1/4である、という好ましい実施例の条件に基づいている。一般に、もし供給位相の数がΦならば、固定子電極の幅は最大で回転子電極の間隔の1/Φである。しかし理論的にそうであるように、固定子電極と回転子電極の間に正弦波形の伝達特性を得るためには、固定子電極は正弦形状であるのみならず、4つの供給位相を備える好ましい実施例においてその幅は回転子電極間の間隔の半分でなければならない。
これを達成する1つの方法が図14に示される。電極の配列は簡単のため直線形状に示される。固定子の送信機電極は図面で垂直に離れている2つの面r1 とr2 に配列される。そこで、回転子電極は図14の両方の面の固定子電極を含むに充分な長さとなるように設計される。
この配列の1つの欠点は半径方向の電極の範囲が大きくなることである。これは、組立に大きな径が必要となり、角度変換器を設計するときの欠点である。
しかしながら、前記構成の最大の欠点は高い平均半径r2 に位置する電極が低い平均半径r1 に位置する電極より大きな領域をもつことである。電極の異なる高さを選ぶことにより、正弦波形の伝達特性と正しい表面係合機能(surface engagement function)が充分に保持されるという変換が完全には可能でない、ということである。しかし、もしそのような変換が実行されるなら、図14において相補的位相R、T、すなわち0°と180°をもった全ての電極は高い半径に組織的に置かれ、一方2つの他の位相S、U、90°と270°は低い半径r1 に置かれる。これは、固定子と回転子の間の伝達機能に組織的かつ周期的誤差を起こす可能性がある。そのような誤差はより正確なシステムと比較し回転子電極の1周期にわたり規則正しい間隔で偏差を記録して、補正するこにより取り除くことができる。これは変換器からの角度位置を記録する間、現在位置において必要な補正事項を得るため照合されて、適当な方法でメモリユニットに格納される。
しかし上記方法は複雑でありまた実際的でない。しかし、本発明は上述のような組織的な誤差を避けるため電極を配置する他の方法を含む。
図15、16、17は、図14の好ましい電極パターンにより得られる最初の表面係合特性に影響することなく図14のシステムからどの様にして完全な消去パターンが抽出されるか、を段階的に示す。
図15は上方の列の4つの第1の固定子電極R−T−R−T(灰色で示される)に続く5つの電極R−T−R−T−R(無色)が除去され、その後再び4つの電極が保持される、ことを示している。5つの電極が除去されると、このグループの順序は変更されT−R−T−Rとなる。このグループに続いて5つの電極T−R−T−R−Tが除去される。位相源RとTをもった第3のグループは第1のグループR−T−R−Tと同じ順序で再び出発する。電極が同じ方法で供給位相SとUをもった低い列から取り除かれる。図15で灰色に着色された電極は残される。
図16は、どの様にしてR−Tの群とS−Uの群が変位されて、同一の半径rに置かれるかを示す。
それぞれ回転子電極の間隔の1/の間隔をもった36の1次の電極間隔の後、同じパターンが繰り返される。固定子電極の組における2次間隔λ2はこのようにして36×1次固定子間隔、すなわち9つの回転子電極間隔に等しい。電極の配置において幾何学的対称を達成するため、2次固定子周期λ2の数は整数でなければならない。λ2=9つの回転子電極間隔であるので、回転当たり完全数の周期λ2が得られるためには、回転子電極の数はn×9であらねばならず、ここにnは1より大きい正の整数である。
固定子電極は実際的理由により図14−16に示されるように位置することはできない。回転子ディスクの電極に励起される信号の最良の直線性を得るためには、各電極は正確に回転子電極間隔の1/2をカバーしなければならない。位相グループR−TとS−Uの分離した送信機電極はもし図面に示されるように位置すると、電極間に空隙ができないので互いに短絡されるであろう。
電極は図17に示されるような状態に互いに180°回転することによって、各電極の回りに理想的な電極幅と間隔を保持しながら、許容出来る絶縁間隙が形成される。回転子電極2と固定子電極R−S−T−Uは、それらの広い側面が外側と内側にくるようにそれぞれ回転されるので、これら電極を構成する楔型の半径方向切片間の表面係合機能が異なることは更に説明することなく理解されるであろう。さらに、最も薄い部分が内側に向いている電極の重力の中心は、最も薄い部分が外側に向いている電極のそれよりも高い半径に置かれる。
そこで1つの利点は、図17に図示される方法で得られる電極の方向が次のように変換されることである。すなわち、その先端が半径方向において内側に向くような方向にある第1のグループの電極、例えば図17の最左端にある電極グループaの電極Rが、同じ供給位相を含む次の電極グループcにおいては半径の中心に向かう反対の方向に向くようにされる。同じ効果は、電極グループb、c、dにおける他の位相の電極S−T−Uについても得られる。このようにして、スケールの幾何学的配列(scaling geometry)が受ける個々の誤差の完全な差動消去(complete differential cancellation)が得られる。
上述の幾何学的位相変換(geometrical phase permutation)は当然に4つの供給位相をもった好ましい実施例に限定されるものでなく、他の数の供給位相に対しても同様に適用される。
(絶対変換器)
絶対角度位置を決めるため、半径方向に向かい正弦波形の形をもった別の1組の電極が使用され、“精密(fine)電極”とは異なる半径位置に配置される。1つの好ましい実施例が図22に示され、4つの供給電極3を含み、位相R−S−T−Uの電気信号を供給され、システムの固定子ディスク上に置かれる。4つの送信機電極は本発明の目的に従って差動幾何学的消去を実行するため360°にわたり分布される。図23は回転子ディスク上に配置され固定子電極からの信号を収集する単一の受信機電極2を示す。
回転の角度の絶対値の決定は次の方法に従って行われる。その方法の1例は次の通りである:
位置は2つの回転子電極の間の間隔の1/2048の分解能をもった測定ユニットにおいて確実な評価技術を用いて決定される。1回転に126の回転子電極を含む回転子ディスクをもち、2048×126=258,048/回転の角度分解能、すなわち近似的に12秒の弧の分解能を達成する。1回転当たり1電極の絶対変換器のスケールをもって、1/2048の分解能が達成される。絶対変換器は“精密”変換器の126の位置の何れの1つが有効であるかを決定するのに使用される。従って、精密位置を決定するとき“粗”変換器と“精密”変換器の間に重複が存在し、それは分解能の1/126の冗長度を生じ、粗い計算機のほぼ16単位である。
角度の絶対値が計算される計算は基本的に次の通りである:
“精密”スケールの126の位置の何れにその値が存在するかを計算するため、粗い計算機の値を16で割る。或る特定の原理に従って整数に丸めて、整数“p”を得る。さらに、計算機の“精密”スケールが例えば数1432を含むとする。原理的に次のようなアルゴリズムが全角度の絶対値を得るために使用される:
全絶対角度=(p−1)*2048+精密スケールの内容
上記の例において、p=27とする:
全絶対角度=(27−1)*2048+1432
=精密計算機の54,680単位
1回転360°=精密計算機の258,048単位であるので、現在の絶対角度は:360/258,048*54,680=76.28348°から得られる。
より高い分解能をもった変換器、例えば回転子電極の数=1008の変換器については、必要ならば異なる分解能をもった2またはそれ以上の絶対変換器の場(field)が回転子と固定子のディスクの上に配置される。
例えば上記の例において、“精密”変換器“1”に対して回転当たり1回転子電極が選ばれ、“粗”変換器“2”に対しては回転当たり24回転子電極が選ばれる。“粗”変換器“2”は24*2048=49,512段階/回転の分解能を与える。そこで、冗長度は回転子の各“精密”間隔に対し粗計算機のほぼ49,512/1008=49段階である。
(電気的差動測定)
上述の全ての場合においてシステムの説明は、本発明の特徴である差動幾何学的配列(diferential geometry)の機能を説明することに向けられた。簡明にするため、固定子ディスク4に送信機電極3をもち、回転子ディスク1に受信電極2をもったシステムを本発明の原理に従った実施例の各種の変形についてスエーデン特許7714010−1により既知の技術に従って記載した。これは、図1でディスク4の供給電極3がスライダ(回転子電極)1の受信機電極2の単一システムと相互作用することを意味する。本発明の好ましい1実施例、図24において、相対的に電極の間隔の1/2だけ幾何学的に変位しているが、同じ平均半径をもっている2つのスケールが使用される。前述のように、供給位相R−S−T−Uは互いに90°位相が変位している。その結果、位相TはRに対して180°変位し、Uは同様にSに対して180°変位する。回転子電極の2つのシステムが、それら2つのシステムに共通の固定子上の送信機電極により励起されるとき、これは電極2に対して相対的に電極間隔の半分変位している電極2’の信号もまた互いに180°位相が変位することを意味する。その結果として、電極システム2、2’からの信号が公知の形式の電気的差動増幅機の入力に印加される。電極2、2’により反射された2つの信号は加算されて図1の単一スケールに較べて2倍の振幅となる。
しかし大きな利点は他の面にある:妨害電気パルスや電界が外部から印加されたとき、これらは両電極システムに同様の形状の擾乱パルスを生じ、差動増幅機のCMRを通して消去される。さらに、電極の構成が誤差の幾何学的均一化を助け、それにより平均値が物理的に接続されている2つの別個の電極システムに形成される。
スエーデン特許7714010−1及び図1によれば、ディスク1の電極等に受信される信号は容量性通路を介して別の伝達電極を通して供給ディスク4に戻される。さらに、全ての受信機電極2、3等は電気的に互いに絶縁されている。本発明によれば、これらの1つまたは両方の実施例を本発明の装置に適用することができる。例えば、連続的に回転している軸の角度位置を測定するときに、固定子ディスクに容量性フィードバックを利用することは有利であろう。
本発明による角度変換器を応用する主な領域は、測定または位置決めシステム、工業ロボット等におけるリンクアームのような通常限定された運動角度をもったシステムであると考えられる。これらの場合、その後の差動増幅器や付随する評価電子回路が回転子ディスクの電極システムに直接接続される。完全な電子システムが集積回路の形で回転子ディスクに適用されるか、または信号がケーブルまたは光学ファイバを介して別の場所に配置された集積または分離電子回路に与えられる。信号が容量性伝達を通すことなく回転子から直接読み取られるとき、より雑音や歪みのない信号が得られる。
(誤差の他の実際的原因)
1つまたは複数の接続された結合アームを含む測定または位置決め装置を使用するとき、もしその作動点におけるシステムの精度を維持せんとすると、アームの軸受上に従来型の角度変換器を使用するときは大きな負担が生じる。軸受けの貧弱な精度は図25に示されるような形式の確率的傾き、又は図26に示されるような半径方向変位を生じる。これにより結合アームシステム11の作動点が図25に示される傾き及び/又は図26に示される半径方向と軸方向変位に依存する余弦誤差(cosine error)を受けるようになる。
しかしここに説明する本発明を使用するとき、図25の固定子4に対する回転子1の相対的傾斜または図26の固定子に対する回転子の相対的な単なる軸方向変位の影響は、図9における電極2、3のパターンの特別な設計により直接読み取られる回転の角度に関して補償され除去される。電極システムの余弦誤差または半径方向変位が無視できる、ということも本発明の第1の特徴である。しかし、実際のシステムに適用したとき、システムの作動点への影響もまた考慮しなければならない。システムの運動の完全な制御のために、システムは図25に示される形式の確率的(stochastic)角度誤差、図26に示される確率的半径方向変位に関する情報を、図25、26に示されるような確率的軸方向変位に関する情報と共に集めねばならない。これらの現象は通常共通の用語“遊び”で表される。
本発明によるさらに別の図27、27aに示されるシステムは電極システムに関する。円形送信機電極13は固定子ディスク4の上に配置される。受信機電極14、15は回転子ディスク1の上に配置され、容量性伝達により送信機電極13から信号を集める。14、15で受信する信号の振幅は14/15と供給電極13の間の相対的位置に依存する。電極14、15に於ける振幅は対称の場合に同じ大きさである。対称位置から変位するときは、電極14、15の一方で増加し、他方で減少する。
角度変換器の周辺に等間隔に分布して電極14、15の少なくとも3組の対を配置することにより、結合アーム11の半径方向変位は電極14、15からの振幅値の適当な数学的処理の助けにより計算できる。
図25による誤差角度の設定を決めるため、図28の別のシステムが電極システムに設けられる。円形送信機電極16が固定子ディスク4に配置される。少なくとも3つの受信機電極17が回転子ディスク1の上に、角度変換器の周辺に均等に分布するように配置される。電極17と電極16の容量性結合が全ての可能な半径方向変位により影響されなくするため、電極17の半径方向幅は電極16の半径方向幅より短くされる。
受信機電極17は各々送信機電極16から容量的伝達により信号を取り込む。電極17で受信する信号の振幅は17と送信機電極16の間の距離に依存する。全ての電極17の振幅は対称の場合に同じ大きさである。図25のように結合アーム11が傾斜するとき、各電極17における信号の振幅は誤差の大きさと方向に依存する。結合アーム11の角度誤差と軸方向変位は電極17からの振幅の値の適当な数学的処理により計算できる。
図29は好ましい実施例を示す。送信機電極13、16は好ましい実施例においては同じ半径に位置し、1つの同じ電極18により構成される。受信機電極14、15、17は好ましくは角度変換器の周辺の1つ置きの位置が電極14、15により占有され、また1つ置きの位置が電極17により占有されるように配置される。この配置は半径方向の空間の使用を最小にする。
半径方向空間の重要性が小さい場合は、上記に代えて、送信機電極を充分に広くして、電極14、15、17が角度変換器の周辺に互いに独立に分布されるようにする。
(回転子電極)
本発明による角度変換器に使用する完全な回転子ディスクが図30に示される。
スエーデン特許7714010−1による容量性測定システムの特性の1つは、受信機電極の間隔より小さい相対的回転角度の大きさ、実施例では1回転の1/81より小さい、を直接かつ高い精度で決定できることである。一方、受信機電極の複数の間隔の何れが(実施例では81の可能な間隔の何れかである)現在関連の1つであるか、についての情報は得られていない。従って、変換器は360°の受信機電極間隔、すなわち完全な1回転、をもった第2の角度測定システムを備えている。この第2のシステムは“粗測定システム”として公知であり、実施例においては81の受信機電極間隔の何れが現在の1つであるかを決定するのに役立つのみである。
図30は回転子ディスク1、受信機電極2、2’及び粗測定システム(図34と35)から信号を受信するように設けられている内部受信機電極2c、2c’を示す。
外部受信機電極2と2’はこのように、固定子ディスク4上の対応する電極3と共に高い分解能の角度測定システムを形成し、一方内部受信機電極2cと2c’は固定子ディスク4上の対応する電極3’と共に360°の回転以内の角度位置を決定する粗測定システムを形成する。図31はより高いスケールでの回転子ディスクの切断面を示す。
ディスクは好ましくは薄い圧延された銅フォイルにより構成された導電性コートで被覆される。黒の線は例えば写真平版エッチングにより得られる絶縁線を示す。
図31の線19、20は受信機電極の限界の極線(polar lines)を形成し、ディスク上に存在する全ての円形極要素の共通の中心に向かっている。従って好ましくは、電極の幅が大きさにおいて電極間の空間に等しくなるように電極の幅が選ばれる。図30から明らかであり、図31にさらに詳細に示すように、好ましくは導電性材料の薄い細片21が電極2の上部境界の上方に残される。このようにして、回転子ディスク上の全ての電極2は並列接続の形で電気的に接触し、これは個々の回転子電極により受信される非常に弱い信号強度が、ディスク上の回転子電極2の数に原則的に依存する係数により乗算されことを意味する。
1つの可能な実施例において、回転子電極間の角度間隔は81の電極が完全な1回転360°の回りに存在するように選択される。
受信信号の強度をさらに強めるため、かつ特に回転子ディスクの電極2により収集される交流電界を発生する外部擾乱源に対する変換器の感度を弱くする目的で、図30、31に示すように、回転子ディスクには第2のシステムの回転子電極2’が設けられる。第2の組の電極2’は第1の組の電極2を形成するのと同様の電気的絶縁の線により形成され、電極の幅は好ましくは、電極幅が電極間の空間の大きさと同じになるように選択されているので、第2の組の電極2’の形状、面積、幅は第1の組の電極2のそれらと同一である。
この第2の組の電極2’は第1の組の電極2と同様に電極の下部に残される導電性材料の薄い細片22により電気的に接続される。
1つの好ましい実施例において、電極の場(field)2、2’に発生する信号は、図24の差動増幅機7のような信号処理の電子回路に接続さるように、図31の板貫通孔(through-plated holes)23、24を通してディスクの反対側にある設備に送付される。
図32は回転子上の電極の組2、2’における差動信号の形成を説明するためのものである。回転子ディスクと固定子ディスクの両者は図32で、組み込まれた角度変換器内に両者の配置される場所に“X線”像として示される。受信回転子電極の配列2、2’をもった回転子ディスク1は細い線で示され、一方心臓形状の“送信”固定子電極R、S、T、Uを備えた固定子ディスク4は太い線で示される。差動信号の幾何学的配列は、位相S、Uをもった交流電圧の供給される図32の電極から最も簡単に見ることができる。
ここに説明される好ましいシステムにおいては4つの供給信号R、S、T、Uが使用される。スエーデン特許7714010−1によれば、これら信号は位相が相互に次の表の如く変位している。
Figure 0004956387
表1は供給信号R、T間の相対的位相の変位が180°であることを示している。同様に、供給信号S、Uの間の位相変位も180°である。
図32は、位相Sをもった全ての固定子(送信機)電極がある位置において内方の中心に向かう回転子電極2の直接上方に置かれることを示している。同時に、位相Uをもった全ての固定子電極は外方に向かう回転子電極2’の直接上方に位置する。
上に説明したように、2組の回転子電極は幾何学的に互いに回転子電極の間隔の1/2変位している。送信機電極S、Uは大きさが同じで、位相が互いに180°変位している電圧を供給されるので、回転子電極2、2’の受信する信号は大きさが等しいが符号は反対であろう。これが一般的に図33に示される。2つの図面は回転子の受信機電極2、2’により受信される信号の振幅Uが回転子と固定子の間の角度αの相対的変化に従ってどのように変化するかを、示している。
上方の図面は一般的に回転子電極2に発生する信号の振幅を示し、一方下方の図面は回転子電極2’に発生する信号のその対応を示している。図面から明らかなように、電極組2’から受ける信号は電極組2の信号のミラー像を構成する。これは、上記2つの信号が図24に示すように各々差動増幅器7の1つの入力に与えるに極めて適していることを意味する。このようにして、2つの信号が加算され、その結果の増幅器の出力信号が大きさが2倍の振幅をもつようにすることが出来る。さらに外部の交流電界により受信機電極2、2’に発生する擾乱信号の影響は、このように同じ位相をもった入力の信号を弱くするという差動増幅器の性質(共通モード阻止(common mode rejection))を用いて低下される。
(固定子電極)
回転子ディスクと相互作用し、固定子(送信機)電極を含む固定子ディスクが図34に示される。電極はこのディスク上に図17に示される原理及びそれと関連する記載に従って円形に配置される。図34は固定子ディスク4を示し、その表面上に送信機電極3と粗測定システムの送信機電極3’が配置される。固定子ディスクは回転子ディスクについて説明したのと同様の方法で製造される。図35は固定子ディスクの断面を高い尺度で示す。図35はまた送信機電極の順序を変えた幾何学的位置が前述の特許に記載された原理に従っていることを示し、さらに全電極グループに対する供給信号の位相位置を示している。角度変換器の1回転は整数組のそのようなグループを構成する。
(順列の説明)
ここに記載の原理の4−相の容量性システムの送信機電極はこれら電極間の間隔が(回転子(受信機)電極の間隔)/Φ、すなわち、この場合(回転子(受信機)電極の間隔)/4に等しくなければならない、という条件を満たさなければならない。これは、この実施例において送信機電極の間隔が1回転の1/81*1/4、すなわち1/324でなければならない、ことを意味している。
これは図14に示される電極配置を与える。しかし、幾つかの理由によりこの配置は角度変換器に適用するには適当でない。その中で最も重要なのは、図14に示される配置は垂直方向、すなわち固定子ディスクへの応用に対して半径方向に相当の広がりをもつことである。これは、重心が短い半径r1 に位置する電極の領域は、長い半径r2 に位置する電極の領域より小さいことを意味する。なぜなら、短い半径にある電極も長い半径にある電極と同じ角度の分布をもつにしても、より短い長さの弧を含むからである。これは、短い半径にある電極の幾何学的配列を補正して、長い半径にある電極とその領域及び領域係合関数(area engagement function)が同じになるようにすることにより、補償される。そのような方法の欠点は組織的対称誤差(systematic symmetry error)を導入する顕著な危険である。これは、図14から明らかなように、短い半径r1 にある全ての電極は位相SまたはUの交流電圧を供給され、一方長い半径r2 にある全ての電極は位相RまたはTの交流電圧を供給されるからである。
それは、送信固定子ディスクから受信回転子ディスクへの全ての送信信号は差動誤差補正(differential error correction)が行われるように構成されるべきである、というこの特許の基本的原理と矛盾するであろう。これを達成するために、半径の変位、領域の変位、係合配列(engagement geometry)の変位、または寄生容量間の漏話等を起こす如何なる誤差も位相電極組R、S、T、Uの各々に同じ程度に表れるように電極位置の完全な対称が必要である。この対称の1例が図34、35及び図17に示される。図面に示されるように、電極は最も狭い部分が回転の中心の内方に向かうのみでなく、回転の中心から離れて外方に向かうようにも配置されている。全ての電極が同じ領域をもち同じ半径に位置しているが、システムの高い感度は、固定子電極の対向する方向に依存して幾分異なる信号も依然として回転子ディスクの受信機電極に送信される、ことを意味している。そのような誤差は、例えば固定子電極の配置の僅かな誤差、または相間漏話により起こるかもしれない。差動対称(differential symmetry)に関する特許の基本的ルールは従って、固定子の送信機電極は同じ数の内方に向く電極と外方に向く電極とが各位相R、S、T、Uのグループに存在することを意味している。さらに、グループR、S、T、Uは内方に向く電極と外方に向く電極を同じ数含んでいる。
電極の配置を変更するために、全体の信号の振幅を減少する以外の方法で信号伝送機能に影響することなく、電極の場(electrode field)を薄める(thinning out)ために、送信機電極R、S、T、Uの任意に選択された数を除くことが可能である。
送信機の間隔は“(受信機電極の間隔)/Φ、ここにΦ=供給位相の数”であらねばならない、というスエーデン特許7714010−1に開示されている条件に拘らず、上記特許に開示されている条件を維持しながら、図14−17に示される順列がどの様にして可能であるか、送信機電極の間隔がどの様にして変更できるか、を図38、39はさらに詳細に説明している。この節の最初に記載したように、図38に示すように送信機電極は、ある可能な出発位置において、第1の位相の電極Rが幾何学的に回転子ディスク上の受信機電極2の直上に位置するように配置されるべきである。この状態において、次の位相の電極Sは受信機電極の間隔の1/4変位されるべきであり、従って同じ受信機電極2上の中間に置かれる。次の相電極Tは受信機電極の間隔の2*1/4、すなわち1/2だけ変位されるべきで、受信機電極2の間の空間の直上に、すなわち受信機電極2’の直上に位置する。同様にして、Uは受信機電極の間隔の3/4だけ変位する。
グループR、S、T、Uの送信機電極は図14と38に示すように1つの同じ受信機電極に対する受信機電極の相対的な間隔の0、1/4、1/2、及び3/4だけ変位している。しかし、信号伝達機能のために変位が1つの同じ受信機電極に対して相対的である必要はない。
全ての受信機電極2が電気的に接続されているとき、同様の機能は前に説明し、図39に示すように、もしRが受信機電極1の直上に位置し、位相Sの送信機電極がそれから離れて受信機電極の間隔の1+1/4に位置するならば、同じ作用が得られる。この場合、送信機電極は次の受信機電極2の上の中間に位置する。しかし電極Tは受信機電極の間隔の2+2/4の変位に置かれ、受信機電極の間隔の3+3/4の変位に置かれる。この場合、このようにして得られる送信機電極の実際の間隔は受信機電極の間隔の1 1/4倍であり、一方送信機電極の機能的間隔、すなわち受信機電極に対する相対的変位は受信機電極の間隔のそれぞれ1/4、2/4、3/4に保たれるであろう。
上記説明は信号の発生に関しては正しい送信機電極の状態を与えるが、非常に簡易化したもので、送信機電極の数が回転子の受信機電極の数よりも少ない(係数1.25だけ)ものである。上記実施例を通して、送信機電極R、S、T、Uは以下の基本ルールに従う限り、基本的に任意にグループ分けされ、移動される:
1.送信機電極は、任意に選択された受信機電極の位置に対して相対的に受信機電極の間隔の0、1/4、2/4または3/4の限定された幾何学的変位を維持しなければならない。
2.固定子は同じ数の各位相の送信機電極を含まなければならない。
3.例えば、同じ数の外向きの電極と内向きの電極の順列、配置により幾何学的対称を維持するか、またはそれを創らねばならない。
前述のように、電極の場を薄めることは多数の方法で実行できる。図14−17は本明細書において好ましい薄めの1つの方法を示す。
従って、図17に示すような固定子の位相供給電極の順列により、それに続く位相供給電極R、S、T、Uの間の回転子電極間隔の1/4の本来の機能的間隔が維持される。
これは図32に示される。図において、図示の位置において送信機電極Rは受信機電極2’の上方中間に位置する。送信機電極Sは受信機電極2の直上に位置し、従って電極Rに対して相対的に受信機電極の間隔の1/4だけ機能的に変位する。次の電極Tは受信機電極2の上方中間で、受信機電極2’の上方中間に位置し、従って、電極Rに対して相対的に受信機電極の間隔の1/2だけ、電極Sに対して相対的に受信機電極の間隔の1/4だけ変位する。このようにして、全ての電極は依然として受信機電極の1つに対して相対的に受信機電極の間隔の1/4の間隔をもって機能的に分布される。しかし、この分布は図14の場合のように1つの同じ電極に対して相対的関係にあるのではない。反対に、これは前述のように全ての受信機電極が電気的に接続されているので、重要な意味はない。
(角度変換器をその一部とする機械システムにおいて半径方向及び軸方向の遊びの大きさを測定する手段をもったシステムの補足)
本発明により実施された角度変換器は変換器の取り付けられた機械要素の軸受けの欠陥により生じる角度の特定における誤りを除去するけれど、位置決めの精度は、その軸受けの遊びやぐらつきにより依然として全体のシステムに機械的、幾何学的に影響を受ける。たとえ角度位置が角度測定システムにより正しく読まれたとしても、図25、26に示される形式の機械システムの遊びにより依然として誤差が生じることがある。
そのような誤差はさらに電極システムを付加することにより実時間に測定し、補正できる。そのような電極システムは[0064]乃至[0071]に記載され、図27、28、29に例示されており、ここで図27、28はそれぞれ半径方向ぐらつきと軸方向変位をどのように測定するかを示す。図29はこれら2つのシステムを1つの共通システムにどのように組合すかを示す。
図27、29において各個々のディスク14、15、からの出力信号が電子ユニットに接続されているという事実をこの機能の最初の記載に付加すべきである。電子ユニットは如何なる半径方向のぐらつきもその方向と大きさを、6つの板14、15に存在する振幅を測定することにより直ちに決定するこができる。
図28、29の各個々の板17は、同じ方法で電子ユニットに接続され、電子ユニットは図25による軸方向変位を、もし存在すれば、その大きさと角度を直ちに決定できる。
図36は遊びを測定する電極を備えた回転子ディスクの全体を示す。14、15は先に説明した半径方向遊びを測定するための電極であり、17は軸方向遊びを測定するための電極である。点付ダッシュ符号の線は固定子ディスク上に配置された信号測定電極16が電極14、15、17とどのように相互作用するかを示す。
図37は遊びを測定する電極を備えた固定子ディスクの全体を示し、信号測定電極16が遊び測定のため付加された要素である。
スエーデン特許7714010−1による長さと角度の容量的測定の基本的原理を示す図面。 スエーデン特許7714010−1による角度変換器を示す図面。 固定子ディスクの欠陥のある軸方向取付けに対して信頼性の改良された従来技術による角度変換器を示す図面。 固定子の取付けで平行性に欠陥をもった角度変換器を示す図面。 図4における角度変換器の側面図。 固定子が平行性に欠陥をもって取付けられたときの誤差機構を示す図面。 固定子の取付けに平行性の欠陥があるときの誤差機構をさらに詳細に示す図面。 固定子が平行性に欠陥をもって取付けられたときの2つの回転子の間の角度変化に対応した誤差曲線を示す図面。 固定子が平行性に欠陥をもって取付けられたときの2つの回転子の間の角度変化に対応した誤差曲線を示す図面。 固定子が平行性に欠陥をもって取付けられたときの2つの回転子の間の角度変化に対応した誤差曲線を示す図面。 回転子の欠陥のある半径方向取付けと半径方向ぐらつきに対して改良された対策をもった従来技術の角度変換器の側面図。 図8の角度変換器の概略平面図。 回転子の欠陥のある半径方向取付けと半径方向ぐらつきに対して好ましい1実施例による改良された対策をもった従来技術の角度変換器の図面。 回転子ディスクの軸受に軸方向ぐらつきのある角度変換器を示す図面。 図10による軸方向ぐらつきの存在において360°の間の回転子ディスクと固定子の間の距離の変化を図式に表した図面。 回転子ディスクの平坦性の欠陥を示す図面。 図12による平坦性の欠陥の存在において360°の間の回転子ディスクと固定子の間の距離の変化を図式に表した図面。 固定子電極の間隔が回転子電極の間隔の半分の場合の固定子電極を示す図面。 図14の電極システムの半径方向圧縮の間の電極除去の原理を示す図面。 半径方向圧縮の第1段階の結果を示す図面。 最終の幾何学的置換の後の図16の電極システムを示す図面。 回転子と固定子の両者が回転の角度に対して相対的な角度誤差を受ける一般的な例を示す図面で、極端な位置において誇張して示される。 回転子と固定子の両者が回転軸に対して相対的に角度誤差を受ける一般的な例を示す図面で、別の極端な位置において誇張して示される。 図18に示される位置の解析を示す図面。 図19に示される位置の解析を示す図面。 絶対変換器のスケールの固定子ディスク上の供給電極の好ましい1実施例を示す図面。 絶対変換器のスケールの固定子ディスク上の受信機電極の好ましい1実施例を示す図面。 改良された信号対雑音比を達成するため回転子ディスク上に差動的に設けられたスケールを示す図面。 本発明により角度変換器の取付けられた装置の傾きを示す図面。 図25による装置の半径方向変位を示す図面。 機械システムの回転の中心からの半径方向変位(ぐらつき)を調べるための追加的電極を示す図面。 図27による電極の側面を示す図面。 回転の中心に対する機械システムの相対的な角度変位(軸方向移動又はぐらつき)を調べるための追加電極を示す図面。 図27、図28の電極の改良された構成を示す図面。 本発明による回転子ディスクの全体の1例を示す図面、但し遊びを測定する構成を欠く。 図30の拡大された断面を示す図面。 固定子電極と回転子電極との相互作用を示す図面。 2つの差動受信機電極の場2、2’における信号の状態の推定される1例を示す図面。 本発明による固定子ディスクの全体の1例を示す図面、但し遊びを測定する構成を欠く。 図34の拡大された断面を示す図面。 本発明による回転子ディスクの全体の1例で、含まれる遊びを測定する構成をもった例を示す図面。 本発明による固定子ディスクの全体の1例で、含まれる遊びを測定する構成をもった例を示す図面。 送信機電極の間隔=受信機電極の間隔/Φのときの電極位置を示す図面。 他の構成における電極位置を示す図面。

Claims (14)

  1. 第1のディスク、円形に配列され半径方向に向く受信機電極(2)をもった回転子(1)と、第2のディスク、円形に配列され半径方向に向き前記受信機電極(2)と同じ半径に配置された送信機電極(3)をもった固定子(4)と、を備え、前記2つのディスク(1、4)上の前記受信機電極(2)と送信機電極(3)の間に固定の間隔をもつようにした角度変換器において、前記2つのディスク(1、4)は同心に配置され互いに相対的に回転可能であり、前記2つのディスク(1、4)は薄い空隙で分離されて前記回転子ディスク(1)と固定子ディスク(4)上の前記電極システムの間の容量的または誘導的結合を可能にし、さらに前記送信機電極(3)は隣接する電極に対して各々異なる位相の交流位相が供給され、供給される位相の数Φは2より大きく、送信機電極の間隔=受信機電極の間隔/Φ、であるものにおいて、前記回転子ディスク(1)と前記固定子ディスク(4)は、前記回転子の受信機電極(2)に等しい大きさで反対の極性の誤差信号を発生させることによって、電極パターンの不完全性または構成機械部品の不十分な誤差許容によって発生される誤差を単独に補償するための付加電極(13−18)を備えている、ことを特徴とする前記角度変換器。
  2. m個の受信機電極(2)が前記回転子(1)の全周辺に均等に分布され、ここにmは整数であり、またm*Φの送信機電極(3)が固定子(4)の全周辺に均等に分布されている、ことを特徴とする請求項1に記載の角度変換器。
  3. 前記送信機電極(3)がグループに分割され、各グループが少なくともΦの電極を含み、各電極は異なる位相の交流電圧が供給され、前記固定子(4)は送信機電極のそのような少なくとも3つのグループを含むことを特徴とする、請求項2に記載の角度変換器。
  4. 回転子ディスクの電極の数mは、1配列周期λ2にわたる回転子電極の数に等しいかまたはその整数倍である、ことを特徴とする請求項2または3に記載の角度変換器。
  5. mが偶数であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の角度変換器。
  6. 各グループがΦ個の電極を有するΦ個の連続固定子電極グループを含み、それら連続固定子電極グループは、それぞれ特有の信号供給形態を有し、該特有の信号供給形態が所定の配列周期λ2の後に繰り返されるように配列したことを特徴とする請求項4または5に記載の角度変換器。
  7. 回転子ディスク(1)と固定子ディスク(4)は、回転子ディスク(1)の角度位置を360°の完全な1回転内で直接測定するために粗測定電極を備えた、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の角度変換器。
  8. 更に、該システムの遊びから起こる、該角度変換機を保持する機械要素の、運動を測定するように配置された電極構造(13−17)を備えた、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の角度変換器。
  9. 前記運動が半径方向の運動であることを特徴とする請求項8に記載の角度変換器。
  10. 前記電極構造は、前記回転子ディスク(1)に組み込まれた受信機電極(17)と、前記固定子ディスク(4)に組み込まれ前記受信機電極(17)を励起する送信機電極(17)とを備えいる、ことを特徴とする請求項9に記載の角度変換器。
  11. 前記運動が軸方向の運動である、ことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の角度変換器。
  12. 前記電極構造は、前記回転子ディスク(1)に組み込まれた受信機電極(14,15)と、前記固定子ディスク(4)に組み込まれ前記受信機電極(14,15)を励起する送信機電極(17)とを備えている、ことを特徴とする請求項9に記載の角度変換器。
  13. 前記回転子ディスク(1)上の前記受信機電極(14,15;17)は前記固定子電極(4)に組み込まれた前記送信機電極(18)からの信号を受信するようにした、ことを特徴とする請求項10または12に記載の角度変換器。
  14. 前記運動は組み込まれた静止部分(10)に対する角度誤差であることを特徴とする、請求項8から13のいずれか1項に記載の角度変換器。
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