JP4954700B2 - 熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート Download PDF

Info

Publication number
JP4954700B2
JP4954700B2 JP2006356789A JP2006356789A JP4954700B2 JP 4954700 B2 JP4954700 B2 JP 4954700B2 JP 2006356789 A JP2006356789 A JP 2006356789A JP 2006356789 A JP2006356789 A JP 2006356789A JP 4954700 B2 JP4954700 B2 JP 4954700B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
acrylic resin
thermoplastic
film
ultraviolet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006356789A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008163265A (ja
Inventor
善知 中田
順啓 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2006356789A priority Critical patent/JP4954700B2/ja
Publication of JP2008163265A publication Critical patent/JP2008163265A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4954700B2 publication Critical patent/JP4954700B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシートに関する。より詳しくは、アクリル系樹脂と紫外線吸収剤を含む、紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成物、および、該樹脂組成物からなる押出しフィルムまたはシートに関する。
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に代表されるアクリル樹脂は、高い光線透過率といった光学特性に優れ、更に機械的強度、成形加工性、表面硬度のバランスがとれているので、自動車部品や家電製品、各種工業部品などにおける透明材料や光学関連用途に幅広く使用されている。しかしながら、紫外線を含む光に晒されると、黄変により透明度が低下するという問題を抱えていた。このため、一般にアクリル樹脂には、紫外線吸収剤が添加されているが、これらの紫外線吸収剤は分子量が低いため、成形時に発泡やブリードアウトが起こるなどの問題が有った。また、成形加工時の蒸散により添加量が減少し、紫外線吸収能が低下するとともに、製造工程が汚染される等、様々な問題を有していた。
これらの問題を解決するために、紫外線吸収剤として少量添加で効果の高い、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤がアクリル系樹脂との組合せで広く用いられてきた(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
しかし、これらの紫外線吸収剤は色相の点で問題があり、また、成形加工時の蒸散等についても満足の行くものではなかった。
一方、ベンゾオキサジノン系の紫外線吸収剤は比較的色相に優れ、また、高い融点を有するため成型加工時の蒸散の問題もない紫外線吸収剤であり、ポリエステル系樹脂との組合せに於いて広く用いられている(例えば特許文献4。)。ところが、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤はアクリル系樹脂との組合せに於いては、必要な紫外線吸収能を得るために、添加量が比較的多く必要なことと、高融点であるために析出しやすく、成形品の外観を損ねるという問題があり、用いられてこなかった。
このような問題を解決する試みとして、紫外線吸収性モノマーを単独又は共重合する方法が知られている。しかし、一般のアクリル樹脂では、耐熱性が十分ではないため、その樹脂そのものでは高温での形状安定性が悪く、他の樹脂に混練、積層又はコーティングする方法しかなかった。また、紫外線吸収モノマーは一般的に嵩高く、共重合した場合には樹脂の耐熱性が低下してしまう。特に、紫外線吸収能を向上させるために紫外線吸収モノマーの共重合量を多くした場合に耐熱性の低下が顕著となり、成形時に劣化や着色が起こりやすいという問題があった。
他方、透明性と耐熱性とを共に兼ね備えた熱可塑性樹脂として、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることによって得られるラクトン環含有重合体が知られている(例えば、特許文献5〜6参照。)。しかし、これらの重合体は、耐熱性が高いため、一般のアクリル樹脂に比べ成形温度が高く、成形品に発泡やシルバーストリークスが入りやすいことが知られている。特に、嵩高い紫外線吸収性モノマーを共重合した場合には成形時の熱安定性が悪化する傾向があった。また、低分子量の紫外線吸収剤を添加すると、成形時の添加剤の蒸散やそれによる製造工程の汚染がより生じ易かった。
特開2000−109766号公報 特開2001−195914号公報 特開2004−227843号公報 特開2006−126315号公報 特開2001−151814号公報 特開2002−138106号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明性、機械的強度、成形加工性などの所望の特性を備えると共に、特に成形時の熱安定性に優れ、かつ、着色の少ない、紫外線吸収能を有する熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ガラス転移温度が高いアクリル系樹脂に対して紫外線吸収性剤を配合した特定の条件を満たす熱可塑性樹脂組成物において、着色が少なく、さらに、紫外線吸収剤の配合で懸念される発泡などの成型性の問題が見られず、上記課題が全て解決できることを見出し、本発明を完成した。
また、従来、アクリル系樹脂との組合せでは不適とされていたベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤を、特定の配合量でガラス転移温度が高い耐熱アクリル樹脂と組合せることにより、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち本発明は、アクリル系樹脂を主成分とし、該アクリル系樹脂に対して0.5〜20重量%の紫外線吸収剤を含む熱可塑性アクリル系樹脂組成物であって、下の条件:
(A)ガラス転移温度110℃以上であること;
(B)密閉容器内で280℃において20分間保持した後、一方の開口部から溶融樹脂として排出した際に、発泡がないこと;
(C)厚さ100μmのフィルムにおけるb値が3.0以下であること;
を満足することを特徴とする、紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成物である。
前記紫外線吸収剤は、好ましくは、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤である。
更に、本発明は前記紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成からなる押出しフィルムまたはシートである。
本発明の紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成物によれば、熱可塑性アクリル系樹脂と紫外線吸収剤とを含有しているので、高い紫外線吸収能を有し、透明性、機械的強度、成形加工性などの所望の特性を備えると共に、特に色相に優れ、成形時の発泡がなく、外観の優れた成形品を与えることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「主成分」とは、50重量%以上含有していることが意図される。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、アクリル系樹脂と紫外線吸収剤とを含有する。
≪熱可塑性アクリル系樹脂≫
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂は、主に、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体を重合して得られる樹脂であり、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のアクリル系熱可塑性樹脂を用いることが出来る。アクリル酸、メタクリル酸の誘導体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどが挙げられ、これらのうち1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上併存してもよい。中でも、熱安定性に優れる点で(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
また、本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度は110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上である。耐熱性を挙げる点で、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミドなどのN−置換マレイミドを共重合してもよいし、分子鎖中(重合体の主骨格中、または主鎖中ともいう。)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造などを導入してもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子を含まない構造が好ましく、また、耐熱性と光学特性などから、主鎖にラクトン環構造を持つものが好ましい。主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、6員環が更に好ましい。また、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合、一般式(1)や特開2004−168882号公報で表される構造などが挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成する上において重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を得易い点、更にメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、一般式(1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 0004954700
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
本発明における熱可塑性アクリル系樹脂は、紫外線吸収性単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)を有していても構わない。紫外線吸収性単量体としては、紫外線吸収性を示す単量体であればいずれも使用し得るが、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、又は、ベンゾフェノン誘導体に重合性基を導入したものが好ましい。
上記紫外線吸収性単量体の具体例としては、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学製、商品名:RUVA−93)、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メタクリロイルオキシ〕フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、下記化学式で表されるUVA−5等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収単量体;下記化学式で表されるUVA−2、UVA−3、UVA−4等のトリアジン誘導体等が挙げられる。これらの紫外線吸収性単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、トリアジン誘導体、より好ましくは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体である。紫外線吸収能や成形後の着色の点から特に好ましくは、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールである。これらの単量体は、少量で高い紫外線吸収能を有することから、熱可塑性メタクリル系樹脂において該単量体由来の繰り返し単位が少量で充分に高い作用効果を発揮する。したがって、熱可塑性メタクリル系樹脂中の紫外線吸収単量体単位以外の構造単位の量を相対的に多くすることができるため、フィルム等の種々の用途に好適な熱可塑性を充分に有する熱可塑性メタクリル系樹脂とすることができる。また、紫外線吸収単量体に由来する構造単位が少ないことから、熱可塑性メタクリル系樹脂、及び、該樹脂から得られるフィルム等の製品の着色が充分に抑えられ、各種用途に好適に用いることができる。
UVA−2:
Figure 0004954700

UVA−3:
Figure 0004954700

UVA−4:
Figure 0004954700
UVA−5:
Figure 0004954700
本発明における熱可塑性メタクリル系樹脂に含まれる紫外線吸収性単量体単位の含有率は、20重量%以下であることが好ましい。上記紫外線吸収単量体の含有量が15質量%以下である形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。より好ましくは、1〜15重量%、更に好ましくは、2〜10重量%、特に好ましくは3〜10重量%である。紫外線吸収性単量体単位の含有率が1重量%未満であると、得られた重合体の紫外線吸収能が不充分になり、また、添加する紫外線吸収剤との相溶性が低下するために成形時に問題が起こることがあり、好ましくない。逆に、紫外線吸収モノマー単位の含有割合が20重量%を超えると、得られた重合体の耐熱性が低くなるうえ、経済的にも好ましくない。
本発明における熱可塑性メタクリル系樹脂は、紫外線吸収性単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)を有する熱可塑性メタクリル系樹脂であれば、特に限定されるものではない。その中でもガラス転移温度が120℃以上のものが好ましく、例えば、ラクトン環含有重合体、マレイミド系重合体、無水グルタル酸系重合体、グルタルイミド系重合体等が挙げられる。その中でも、透明性、色相、その他の光学的性質の上で、ラクトン環含有重合体が好ましい。
本発明における熱可塑性アクリル系樹脂は、重量平均分子量が好ましくは1,000〜300,000、より好ましくは5,000〜250,000、更に好ましくは10,000〜200,000、特に好ましくは、50,000〜200,000である。
≪紫外線吸収剤≫
本発明における紫外線吸収剤としては、好ましくは、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤である。ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤は、耐熱アクリル系樹脂、特に、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂との相溶性が良いため、フィルム成型時の発泡やブリードアウトなどの問題が起こりにくい。具体的には、2−p−メトキシフェニル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−α−ナフチル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−β−ナフチル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−p−フタルイミドフェニル(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジノン4−オン]、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−または1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)が挙げられ、その中でも特に融点が高いことと吸収特性の点から、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジノン4−オン](日本サイテックインダストリーズ(株)製、商品名:サイアソーブUV−3638)が特に好ましい。
本発明における紫外線吸収剤の融点は、250〜350℃が好ましい。融点が250℃未満の場合、成形時に発泡やブリードアウトが起こることがある。また、融点が350℃を超えると、成型時に樹脂に均一に混合せず、凝集して白濁してしまうことがある。
本発明における紫外線吸収剤の配合量は、アクリル系樹脂に対して、0.5〜20重量%である。好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、紫外線吸収剤の配合量が0.5重量%未満であると、紫外線吸収能が不十分になることがある。逆に、紫外線吸収剤の配合量が20重量%を越えると、成形時に発泡や発煙が起こることがある。
紫外線吸収剤を添加するタイミングは、樹脂組成物の物性を阻害しない限り、特に限定されるものではない。例えば、アクリル系樹脂を製造中に所定の段階で紫外線吸収剤を添加するか、あるいは、アクリル系樹脂を製造した後、アクリル系樹脂、紫外線吸収剤、その他の成分などを同時に加熱溶融させて混練する方法;アクリル系樹脂、その他の成分などを加熱溶融させておき、そこに紫外線吸収剤を添加して混練する方法;アクリル系樹脂を加熱溶融させておき、そこに紫外線吸収剤、その他の成分などを添加して混練する方法;などが挙げられる。
≪熱可塑性樹脂組成物≫
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は110℃以上である。好ましくは115℃以上、より好ましくは、120℃以上である。ここで、ガラス転移温度とは、ポリマー分子がミクロブラウン運動を始める温度であり、各種の測定方法があるが、本発明においては、示差走査熱熱量計(DSC)によって、JIS−K7121に準拠して、始点法で求めた温度と定義する。
ガラス転移温度の高いアクリル系熱可塑樹脂組成物を成型する場合、特に、分子鎖中にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造などの環構造を有するガラス転移温度の高い樹脂を含む場合、高温成型時の発泡が問題となる。そこで、本発明では、密閉容器内で280℃において20分間保持した後、一方の開口部から溶融樹脂として排出した際に、発泡がない、と規定した。具体的には、樹脂ペレットを循環型熱風乾燥機により80℃で5時間乾燥し、280℃に調温したJIS−K7210に規定されるメルトインデクサーに、乾燥したペレット6gを投入し、20分間280℃で保持する。その後、荷重4.85kgで樹脂をストランド状に押出し、ピストンの下部標線からのストランド10cm分の発泡状態を目視で観察して発泡性を評価する。ストランド10cm中に直径0.5mm以上の気泡が20個以上存在する場合を発泡する。気泡が20個未満である場合を発泡しないと定義する。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、成型後の着色が少なく、厚さ100μmのフィルムにおけるb値が3.0以下である。より好ましくは2.0以下である。b値をこのような範囲のものにすることにより種々の用途、特に光学材料の工学用途に好適に用いることが出来る。紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成物は黄色に着色することが多いが、光学材料としては、より無色に近いことが好ましく、樹脂組成物が着色していると光学材料としての価値を著しく下げることとなる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、熱重量分析(TG)における5%重量減少温度が、280℃以上であることが好ましく、より好ましくは290℃以上、更に好ましくは300℃以上である。熱重量分析(TG)における5%重量減少温度は、熱安定性の指標であり、これが、280℃未満であると、充分な熱安定性を発揮できないおそれがある。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下である。残存揮発分の総量が5000ppmよりも多いと、形成時の変質等によって、着色したり、揮発したり、シルバーストリーク等の形成不良の原因となることがある。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。これらの熱可塑性樹脂は、特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する熱可塑性アクリル系樹脂の方が、透明性や機械強度を向上させる点において好ましい。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性アクリル系樹脂中とその他の熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは60〜99:1〜40重量%、より好ましくは70〜97:3〜30重量%、さらに好ましくは80〜95:5〜20重量%である。熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性アクリル系樹脂の含有割合が60重量%よりも少ないと、本発明の効果を十分に発揮できないおそれがある。
本発明にかかるその他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール:ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド:ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン:ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。ゴム質重合体は、表面に本発明のラクトン環重合体と相溶し得る組成のグラフト部を有するのが好ましく、また、ゴム質重合体の平均粒子径は、押し出しフィルム状とした際の透明性向上の観点から、300nm以下である事が好ましく、150nm以下である事が更に好ましい。
熱可塑性アクリル系樹脂、特にラクトン環含有重合体と熱力学的に相溶しやすい熱可塑性樹脂としては、シアン化ビニル系単量体単位体と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体やポリ塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル類を50重量%以上含有する重合体を用いるとよい。それらの中でもアクリロニトリル−スチレン系共重合体が広範囲の共重合組成で相溶性が良く、また、ラクトン環の正の位相差とアクリロニトリル−スチレン系共重合体の負の位相差を組み合わせることで位相差のコントロールが可能になるため、特に好ましい。なお、熱可塑性アクリル系樹脂とその他の熱可塑性樹脂とが熱力学的に相溶することは、これらを混合して得られた熱可塑性樹脂組成物のガラス転移点を測定することによって確認することができる。具体的には、示差走査熱量測定器により測定されるガラス転移点が熱可塑性アクリル系樹脂とその他の熱可塑性樹脂との混合物について1点のみ観測されることによって、熱力学的に相溶していると言える。
その他の熱可塑性樹脂としてアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いる場合、その製造方法は、乳化重合法や懸濁重合法、溶液重合法、バルク重合法等を用いる事が可能であるが、得られる光学フィルムの透明性や光学性能の観点から溶液重合法かバルク重合法で得られたものである事が好ましい。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、酸化防止剤を含むことが好ましい。酸化防止剤としては特に限定されるものではないが、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の公知の酸化防止剤を単独で用いても2種類以上併用しても良い。その中でも、特に、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(住友化学工業(株)製、商品名:スミライザーGS)及び2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学工業(株)製、商品名:スミライザーGM)が好ましい。
酸化防止剤の添加量は、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、その他の添加剤を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤:ガラス繊維、炭素繊維等の補強材:近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー:樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。熱可塑性アクリル系樹脂成形体中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が80%以上、380nmでの光線透過率が30%未満であることが好ましい。光透過率をこのような範囲のものとすることにより、種々の用途、特に光学材料等の光学用途に好適に用いることができる。光学材料としては、より無色に近いことが好ましく、熱可塑性樹脂組成物が着色していると著しく光学材料としての製品価値を下げることとなる。500nmは可視光領域の波長であることから、この波長の光線透過率が80%以上である、すなわち、吸収が20%未満であることは、可視光の吸収が少なく、熱可塑性樹脂組成物が無色に近いものとなることことを意味する。500nmでの光線透過率が80%未満であると、可視光を吸収し、熱可塑性樹脂組成物の着色が顕著となり、透明性が低下し、光学材料として好適に使用できないおそれがある。本発明の熱可塑性樹脂組成物はまた、紫外線カット機能を有する光学材料として好適に用いられるものである。紫外線はエネルギーが高いため、各種材料の劣化の原因となる。紫外線から材料を保護するために紫外線をカットする材料が求められており、紫外線カットの材料とするためには、少なくとも380nmの透過率を30%未満にすることが好ましい。380nmの透過率が30%以上であると、紫外線カット機能として充分とはいえず、紫外線から充分に材料を保護できず、材料の黄変等の劣化を引き起こすおそれがある。上記熱可塑性樹脂組成物は、380nmでの光線透過率が30%未満であることにより、紫外線領域の波長である380nmの光の透過を30%未満に抑制し、紫外線の透過を抑制することができる。このように、熱可塑性樹脂組成物の光線透過率が上記範囲であることが好ましく、透明な外観を有する、紫外線カット機能を持ったフィルム又はシート等として好適に用いることができる。
すなわち、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、厚さ100μmにおける500nmでの光線透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは95%以上である。500nmでの光線透過率が80%未満であると、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できないおそれがある。また、厚さ100μmにおける380nmでの光線透過率が好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満、更に好ましくは10%未満である。380nmでの光線透過率が30%以上であると、紫外線が充分にカットできず、黄変のおそれがある。
〔熱可塑性樹脂組成物の用途および成形〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐熱性に優れるだけでなく、低着色性、機械的強度、成型加工性などの特性を備えるとともに、紫外線吸収能を有するので、押し出しフィルム又はシートとしても有用である。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物の好ましい実施形態としては、上記熱可塑性樹脂組成物からなる押し出しフィルム又はシートである。
以下に好ましい用途である一例として、本発明の熱可塑性樹脂組成物から押し出しフィルムを製造する方法について詳しく説明する。
〔押し出しフィルム〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物から押し出しフィルムを製造する方法は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物と、その他の熱可塑性樹脂やその他の添加剤などを、従来公知の混合方法にて混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、押し出しフィルムを製造する事ができる。この熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、例えば、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法を採用することができる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、例えば、従来公知の混練機を用いることができる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、押し出しフィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記Tダイ法で押し出しフィルム成形する場合は、公知の単軸押出し機や2軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得る事ができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
本発明の押し出しフィルムは、未延伸フィルムであっても良いし、延伸フィルムであっても良い。延伸する場合は、一軸延伸フィルムでも良いし、2軸延伸フィルムでも良い。2軸延伸フィルムとする場合は、同時2軸延伸したものでも良いし、逐次2軸廷伸したものでも良い。2軸延伸した場合は、機械強度が向上しフィルム性能が向上する。本発明のフィルムは、その他の熱可塑性樹脂組成物を混合する事により、延伸しても位相差の増大を抑制する事ができ、光学的等方性を保つ事ができる。
延伸温度としては、押し出しフィルム原料の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度近辺で行うことが好ましく、具体的には、(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+100)℃で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+80)℃である。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(ガラス転移温度+100)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した廷伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.3〜10倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う靱性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、延伸押し出しフィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
押し出しフィルムの光学等方性や力学特性を安定化させるため、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC−8230 (株)リガク社製)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとしてJIS−K7121に準拠して、試料約10mgを常温から200℃まで昇温速度20℃/minで昇温して得られたDSC曲線から始点法で算出した。
(発泡性)
樹脂ペレットを循環型熱風乾燥機により80℃で5時間乾燥した。280℃に調温したJIS−K7210に規定されるメルトインデクサーに、乾燥したペレット6gを投入し、20分間280℃で保持した。その後、荷重4.85kgで樹脂をストランド状に押出し、ピストンの下部標線からのストランド10cm分の発泡状態を目視で観察して発泡性を下記の基準で評価した。
発泡する ; ストランド10cm中に直径0.5mm以上の気泡が20個以上
発泡しない; ストランド10cm中に直径0.5mm以上の気泡が20個未満
(透過率)
厚さ100μm のフィルムを溶融押出し成形により作成し、分光光度計(島津製作所社製、装置名:UV−3100)を用いて380nmと500nmの透過率を測定した。
(b値)
透過色のb値は、厚さ100μm のフィルムを溶融押出し成形により作成し色差計(日本電色工業社製、製品名:SE2000)を用いてJIS−K7105に準拠して測定した。
<重量平均分子量>
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。
(合成例1)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、40部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、50部のトルエン、0.025部のアデカスタブ2112(旭電化工業(株)製)を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを3時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸2-エチルヘキシル(堺化学工業(株)製、商品名:Phoslex A−8)を加え、還流下(約90〜110℃)で2時間、環化縮合反応を行った。引き続きオートクレーブにより240℃で30分間加熱処理を行い、環化縮合反応を完全に行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度240℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、脱揮を行った。そのとき、別途準備しておいた酸化防止剤・失活剤混合溶液を、第1ベントの後から高圧ポンプを用いて0.03kg/時間の投入速度で注入した。また、第3ベントの後から高圧ポンプを用いてイオン交換水を0.01kg/時間の投入速度で注入した。
酸化防止剤・失活剤混合溶液はスミライザーGS(住友化学(株)製)50部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチクス亜鉛3.6% 日本化学産業(株)製)35部をトルエン200部に溶解したものである。
上記脱揮操作により、透明でラクトン環構造を有する熱可塑性メタクリル系樹脂(A)のペレットを得た。GPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は148000だった。
(合成例2)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、41.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、6部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、2.5部の2−〔2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシ〕エチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、商品名:RUVA-93)、50部のトルエン、0.025部のアデカスタブ2112(旭電化工業(株)製)、0.025部のn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させ、還流したところで、開始剤として0.05部のt−アミルパーオキシイソノナノエート(アトフィナ吉富(株)製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、0.10部のt−アミルパーオキシイソノナノエートを3時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、0.05部のリン酸2-エチルヘキシル(堺化学工業(株)製、商品名:Phoslex A−8)を加え、還流下(約90〜110℃)で2時間、環化縮合反応を行った。引き続きオートクレーブにより240℃で30分間加熱処理を行い、環化縮合反応を完全に行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度240℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、脱揮を行った。そのとき、別途準備しておいた酸化防止剤・失活剤混合溶液を、第1ベントの後から高圧ポンプを用いて0.03kg/時間の投入速度で注入した。また、第3ベントの後から高圧ポンプを用いてイオン交換水を0.01kg/時間の投入速度で注入した。
酸化防止剤・失活剤混合溶液はスミライザーGS(住友化学(株)製)50部、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチクス亜鉛3.6% 日本化学産業(株)製)35部をトルエン200部に溶解したものである。
上記脱揮操作により、透明で紫外線吸収性単量体単位を有する熱可塑性メタクリル系樹脂(B)のペレットを得た。GPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は145000だった。
〔実施例1〕
合成例1で得られた樹脂(A)のペレット100部に対して、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤サイアソーブUV−3638(日本サイテックインダストリーズ(株)製) 7部をドライブレンドし、20mmφのスクリューを有する2軸押出し機を用いて、バレル温度250℃で溶融混練した。得られた樹脂組成物のペレットの物性を評価した。結果
を表1にまとめた。
また、更に、得られた樹脂組成物のペレットを270℃の押出温度でシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、100μmの厚みのフィルムを作製した。
(T-ダイ:温度270℃、幅120mm、成膜:つや付き2本ロール、ロール温度110℃、引き取り速度:2.5m/分)。
得られたフィルムの物性を評価し結果を 表1にまとめた。
〔実施例2〕
合成例2で得られた樹脂(B)のペレット100部に対して、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤サイアソーブUV−3638(日本サイテックインダストリーズ(株)製) 3部をドライブレンドし、20mmφのスクリューを有する2軸押出し機を用いて、バレル温度250℃で溶融混練した。
得られた樹脂組成物のペレットの物性を評価した。結果を 表1にまとめた。
また、更に、得られた樹脂組成物のペレットを260℃の押出温度でシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、100μmの厚みのフィルムを作製した。
(T-ダイ:温度260℃、幅120mm、成膜:つや付き2本ロール、ロール温度110℃、引き取り速度:2.5m/分)。
得られたフィルムの物性を評価し結果を 表1にまとめた。
[比較例1]
合成例1で得られた樹脂(A)について、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤アデカスタブLA−31(旭電化工業(株)製)をドライブレンドし、20mmφのスクリューを有する2軸押出し機を用いて、バレル温度250℃で溶融混練した。
得られた樹脂組成物のペレットの物性を評価した。結果を 表1にまとめた。
また、更に、得られた樹脂組成物のペレットを270℃の押出温度でシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、100μmの厚みのフィルムを作製した。
(T-ダイ:温度270℃、幅120mm、成膜:つや付き2本ロール、ロール温度110℃、引き取り速度:2.5m/分)。
得られたフィルムの物性を評価し結果を 表1にまとめた。
Figure 0004954700
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収能を有し、耐熱性、透明性、機械的強度、成形加工性などの所望の特性を備えると共に、特に色相に優れ、成形時の発泡がなく、外観の優れた成形品を与えることができるので、耐光性が必要な透明材料や光学関連用途に幅広く使用することができ、光学材料に関連する分野、特に紫外線吸収能が必要とされる用途に関して多大の貢献をなすものである。

Claims (3)

  1. アクリル系樹脂を主成分とし、該アクリル系樹脂に対して0.5〜20重量%の紫外線吸収剤を含む熱可塑性アクリル系樹脂組成物であって、
    前記アクリル系樹脂が、(i)N−置換マレイミドの共重合体、または(ii)主鎖中にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、あるいはグルタルイミド構造を導入した樹脂であり、
    前記紫外線吸収剤が、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤であり、
    下の条件:
    (A)ガラス転移温度110℃以上であること;
    (B)密閉容器内で280℃において20分間保持した後、一方の開口部から溶融樹脂として排出した際に、発泡がないこと;
    (C)厚さ100μmのフィルムにおけるb値が3.0以下であること;
    を満足することを特徴とする、紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成物。
  2. 前記アクリル系樹脂が、一般式(1)
    Figure 0004954700
    (式中、R 、R 、R は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
    で表される構造である請求項1の熱可塑性アクリル系樹脂組成物。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項記載の紫外線吸収能を有する熱可塑性アクリル系樹脂組成物からなる押出しフィルムまたはシート。
JP2006356789A 2006-12-29 2006-12-29 熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート Active JP4954700B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006356789A JP4954700B2 (ja) 2006-12-29 2006-12-29 熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006356789A JP4954700B2 (ja) 2006-12-29 2006-12-29 熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008163265A JP2008163265A (ja) 2008-07-17
JP4954700B2 true JP4954700B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=39693166

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006356789A Active JP4954700B2 (ja) 2006-12-29 2006-12-29 熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4954700B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011016916A (ja) * 2009-07-08 2011-01-27 Kuraray Co Ltd 光学部材用メタクリル系樹脂組成物およびそれを用いた光学部材
KR20130141466A (ko) * 2010-08-31 2013-12-26 가부시키가이샤 구라레 중합체 조성물 및 성형품
JP2019077855A (ja) * 2017-10-24 2019-05-23 株式会社日本触媒 (メタ)アクリル系樹脂組成物、ならびにそれを用いた成形品およびフィルム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010043699A (ko) * 1999-03-18 2001-05-25 야스이 쇼사꾸 에틸렌-2,6-나프탈렌 디카르복실레이트 중합체를 함유하는중공 성형체 및 그의 제조 방법
JP2002138106A (ja) * 2000-11-01 2002-05-14 Nippon Shokubai Co Ltd 透明性耐熱樹脂とその製造方法およびその用途
US6774232B2 (en) * 2001-10-22 2004-08-10 Cytec Technology Corp. Low color, low sodium benzoxazinone UV absorbers and process for making same
JP4430922B2 (ja) * 2003-12-01 2010-03-10 株式会社日本触媒 光学用熱可塑性樹脂成形材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008163265A (ja) 2008-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5230363B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法
WO2007040182A1 (ja) 非晶性熱可塑性樹脂、及び、押し出しフィルム又はシート
JP6392516B2 (ja) 光学部材用熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、ならびに光学フィルム、偏光板および画像表示装置
JP5124433B2 (ja) 位相差フィルム
JPWO2008047836A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2018178095A (ja) メタクリル系樹脂成形体、光学部品又は自動車部品
JP2010072135A (ja) 光学フィルム
JP5601781B2 (ja) 光学フィルム
JP2007297619A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、及び、押出しフィルム又はシート
JP6220293B2 (ja) 光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板および画像表示装置
JP4954700B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、および、押出しフィルムまたはシート
JP2016094537A (ja) 熱可塑性樹脂組成物とその製造方法、成形体、および熱可塑性樹脂フィルム
JP5430187B2 (ja) 2軸延伸フィルム
JP6231839B2 (ja) 紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法
JP2010241883A (ja) 位相差調節剤とそれを用いた光学用樹脂組成物ならびに光学フィルム
JP6231864B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、光学フィルム、偏光子保護フィルム、偏光板および画像表示装置、ならびに熱可塑性樹脂組成物の製造方法および光学フィルムの製造方法
JP5350640B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物とそれを用いた樹脂成形品および偏光子保護フィルム
JP6082292B2 (ja) アクリル樹脂組成物の製造方法
JP2010243581A (ja) リン酸エステルを含むアクリル樹脂よりなる光学フィルム
EP3878876B1 (en) Acrylic polymer
JP5154147B2 (ja) 環含有(メタ)アクリル系重合体およびその製造方法
JP4963920B2 (ja) 非晶性熱可塑性樹脂、及び、押し出しフィルム又はシート
JP2008138044A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
EP3868800A1 (en) Methacrylic resin, method for producing methacrylic resin, methacrylic resin composition, molded body, optical component and automobile component
JP6392090B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルムとその製造方法、光学フィルム、偏光子保護フィルム、および位相差フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090806

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120207

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120313

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120314

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4954700

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150323

Year of fee payment: 3