JP4954391B2 - 撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は撮像装置に関し、より詳細には指紋などのように測定対象物の表面に存在する凹凸パターンを検出するための撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる撮像装置として、例えば特開平7−174947号公報(以下、文献1という)には、複数の光ファイバを一体化してなるファイバ光学プレートと、CCD(電荷結合素子)イメージセンサなどの固体撮像素子とを接合してなる指紋検出装置が開示されている。しかしながら、文献1に開示の撮像装置では、光ファイバの光軸に対して出射面が傾斜しているため、入斜面に接触した指を通じて指紋の像がプレート内へ入射されたとしても、出射面において光が反射されて出射面から出射される光量が非常に小さく、検出すべき指紋の像は暗くなってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、特開平9−288223号公報(以下、文献2という)には、第1のファイバ光学プレートと、その第1のファイバ光学プレートよりも傾斜角が大きい第2のファイバ光学プレートとを接合し、これをCCDイメージセンサなどの固体撮像素子と接合してなる指紋検出装置が開示されている。この指紋検出装置では、第1の光学プレートから第2の光学プレートへ光が入射し易く、また第2のファイバ光学プレートの出射面から出射する光の出射角度が広くなるため、出射される光量が大きくなって、検出すべき指紋の像が明るくなり、撮像特性が向上する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した文献2に開示の撮像装置では、2枚のファイバ光学プレートを接合するに際して高度の位置合わせを必要とし、製造が容易ではなかった。
【0005】
そこで本発明は、製造作業の簡略化を図ることが可能な構造を有すると共に、撮像特性に優れた撮像装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る撮像装置は、(1)半導体基板の主面上に2次元状に配列形成された光電変換部を有する固体撮像素子と、(2)コアとコアの外周を覆うクラッドとを有する光ファイバを複数束ねて形成されており、光ファイバの光軸に対して傾斜する入射面及び出射面を有するファイバ光学プレートと、(3)固体撮像素子とファイバ光学プレートの出射面との間に設けられた光拡散部材と、を備え、固体撮像素子は、ファイバ光学プレートの出射面から出射された光を、光拡散部材を介して受光することを特徴とする。ここで本明細書において「光拡散部材」とは、単体あるいは混合物として、光の直進をランダムに妨げながら、光を最終的に透過させる作用を有する部材を指す。
【0007】
この撮像装置では、ファイバ光学プレートを伝搬した光は出射面における反射が抑制されて光拡散部材に入射され、光拡散部材の光拡散作用により直進をランダムに妨げられながら最終的に透過されて、固体撮像素子に受光される。このように、光拡散部材により拡散されてより多くの光が固体撮像素子に受光されるため、より鮮明な画像を得ることが可能となり、撮像特性の向上が図られる。また、この撮像装置では固体撮像素子とファイバ光学プレートの出射面との間に光拡散部材を設けるだけであるため、2枚のファイバ光学プレートを用いる場合のような精密な位置合わせが不要となり、製造作業の簡略化が図られる。
【0008】
本発明に係る撮像装置では、光拡散部材は、バインダ樹脂中に粉体を分散してなることを特徴としてもよい。このようにすれば、バインダ樹脂中に分散された粉体によりファイバ光学プレートの出射面から出射された光が拡散される。
【0009】
また本発明に係る撮像装置では、バインダ樹脂は接着機能を有することを特徴としてもよい。このようにすれば、光拡散部材とファイバ光学プレートとを直接接合することが可能となり、製造作業の一層の簡略化が図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る撮像装置の好適な一実施形態について説明する。なお、図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。図1に示すように、指紋検出装置などとして用いられる本実施形態に係る撮像装置10は、固体撮像素子20とファイバ光学プレート30と光拡散部材40とを備える。
【0012】
固体撮像素子20は、半導体基板の主面上に2次元状に配列形成された光電変換部を有する。かかる固体撮像素子20としては、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどが挙げられる。本実施形態では、固体撮像素子20としてインターライン転送方式CCDイメージセンサ(ITCCD)について説明する。
【0013】
固体撮像素子20としてのITCCDでは、N型半導体基板の主面に形成されたP型ウェル21内に、光電変換部22が2次元状に配列形成されている。光電変換部22それぞれの間には、該光電変換部22に蓄積された信号電荷を垂直方向及び水平方向に転送する垂直CCD及び水平CCD(図示しない)が形成されており、その上部には遮光膜23が設けられている。これにより、遮光膜23の間を通って光電変換部22で受光され光は、光電変換されて信号電荷として蓄積される。そして、この信号電荷が垂直CCD及び水平CCDにより転送され、図示しない出力部から画像処理系に向けて出力される。
【0014】
ファイバ光学プレート30は、光ファイバ31を複数束ねて形成されている。このファイバ光学プレート30は、光ファイバ31の光軸に対して平行でなく、かつ垂直でない所定の傾斜角θで傾斜する入射面32及び出射面33を有し、これら入斜面32及び出射面33は互いに平行に対面している。このファイバ光学プレート30を構成する光ファイバ31は、コア34とコア34の外周を覆うクラッド35とを有し、クラッド35の屈折率に対してコア34の屈折率が大きくなるように設定され、コア34に沿って光が伝搬できるようになっている。更に、それぞれの光ファイバ31の間には吸収体36が設けられており、光ファイバ31に入射した光がクラッド35の外部へ進行すると吸収体36により吸収されて消滅し、隣接する光ファイバ31へ導光されないようになっている。
【0015】
ここで傾斜角θは、空気中から光ファイバ31のコア34に入射した光がクラッド35との境界面において全反射を生じないような角度に設定されていると好ましい。例えば、図2に示すように、入斜面32とほぼ平行となる向きから光ファイバ31内へ光が入射するときの光ファイバ31内における屈折角をβ、その光がコア34、クラッド35の境界面で全反射を繰り返して進行するときの境界面への臨界入射角をα、空気の屈折率をn0、コア34の屈折率をn1、クラッド35の屈折率をn2とすると、次に示す式(1)、(2)を満たすα、βを式(3)に代入することにより、設定すべき傾斜角θの角度が求められる。
【0016】
n1sinβ=n0sin90° (入射角90°の条件) … (1)
n1sinα=n2sin90° (全反射の条件) … (2)
θ+(90°+β)+(90°−α)=180° … (3)
n0=1、n1=1.56、n2=1.52とすると、これらの式(1)、(2)、(3)により、傾斜角θ=37°が算出される。このため、傾斜角θを37°より小さい角度に設定することにより、空気中からファイバ光学プレート30の光ファイバ31に光が入射されても、その光ファイバ31内で伝搬されないようになる。つまり、このように傾斜角θを設定すれば、空気中からファイバ光学プレート30へ入射した光がファイバ光学プレート30から出射されることなく、入斜面32に接触した物を通じてファイバ光学プレート30へ入射された光のみが出射面33から出射されることとなり、撮像特性が向上する。
【0017】
光拡散部材40は、固体撮像素子20とファイバ光学プレート30の出射面33との間に設けられている。この光拡散部材40は、バインダ樹脂41中に粉体42を分散してなる。バインダ樹脂41としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの透光性を有する樹脂を用いることができる。粉体42としては、TiO2、Nb2O5、ZnO、MgO、ZrO2、La2O3、Al2O3などの金属酸化物類、CaCO3、BaCO3、PbCO3などの炭酸塩類、BaSO4、CaSO4などの硫酸塩類、Al(OH)3、Pb(OH)2などの水酸化物類、その他CaF2、BNや、P−20、P−47などの蛍光体を用いることができる。
【0018】
これら粉体42の大きさとしては、平均粒径で3μm〜15μm程度であると好ましい。また光拡散部材40の全体における粉体42の含有割合は、20体積%〜80体積%程度であると好ましい。
【0019】
ここで、上記したバインダ樹脂41は接着機能を有していると好ましい。このようにすれば、ファイバ光学プレート30及び固体撮像素子20と光拡散部材40とを直接接合することが可能となり、撮像装置10の製造作業の簡略化を図ることが可能となる。
【0020】
かかる撮像装置10の製造方法の一例について説明する。まず、上記した構成の固体撮像素子20と、ファイバ光学プレート30と、バインダ樹脂41としての接着剤と、粉体42を準備する。接着剤は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などを用いることができる。なお、バインダ樹脂41としての接着剤と粉体42とは屈折率差が大きいと好ましい。典型的な屈折率としては、バインダ樹脂41としての接着剤の屈折率が1.4〜1.7程度であり、TiO2の屈折率が2.52程度である。また、粉体42は反射率が大きいと好ましい。典型的な反射率として、TiO2の波長500μmにおける反射率は94〜95%程度である。
【0021】
次に、バインダ樹脂41としての接着剤に粉体42を分散させ、この粉体42が分散された接着剤をファイバ光学プレート30の出射面33に塗布する。塗布する厚みは、5μm〜50μm程度であると好ましい。そして、粉体42が分散された接着剤が出射面33に塗布されたファイバ光学プレート30を固体撮像素子20の上面に接合する。
【0022】
次に、本実施形態に係る撮像装置10の作用及び効果について説明する。
【0023】
まず、ファイバ光学プレート30の入斜面32に接触した接触部(例えば、指紋隆線部)を通じて各光ファイバ31へ入射された光は、コア34内を伝搬して出射面33に至る。ファイバ光学プレート30の出射面33に至った光は、出射面33における反射が抑制されて光拡散部材40に入射される。そして、光拡散部材40に入射した光は光拡散されて直進をランダムに妨げられながら最終的に透過され、固体撮像素子20に受光される。
【0024】
このように本実施形態に係る撮像装置10では、光拡散部材40により出射特性が向上されて出射面33における光の反射が抑制されると共に、光拡散部材40に入射した光が拡散され、光拡散部材40がいわばスクリーンの機能を果たし、より多くの光が固体撮像素子20に受光される。よって、非常に明るくコントラスの良い鮮明な画像を得ることができ、撮像特性の向上を図ることが可能となる。
【0025】
また、この撮像装置10では固体撮像素子20とファイバ光学プレート30の出射面33との間に光拡散部材40を設けるだけであるため、2枚のファイバ光学プレートを用いる場合のような精密な位置合わせが不要となり、製造作業の簡略化を図ることが可能となる。特に、光拡散部材40のバインダ樹脂41を接着剤により構成した場合は、ファイバ光学プレート30及び固体撮像素子20と光拡散部材40とを直接接合することが可能となり、撮像装置10の製造作業のより一層の簡略化を図ることが可能となる。
【0026】
また、この撮像装置10では極めて高価なファイバ光学プレートの使用枚数を減らすことができるため、製造コストの低減を図ることが可能となる。さらに、ファイバ光学プレートを2枚用いる場合と比べて薄く形成することが可能であるため、撮像装置10の小型化を図ることが可能となる。
【0027】
なお、本発明に係る撮像装置は上記した実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
【0028】
例えば、上記した撮像装置10では光拡散部材40はバインダ樹脂41中に粉体42を分散して構成されていたが、光拡散部材40はパラフィン紙、硫酸紙などの紙、セルロースアセテート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのメンブランフィルター、アクリル、ポリエステル、PTFEなどの乳白シート等のシート状物であってもよい。この場合、これら光拡散部材40としてのシート状物は、接着剤を介してファイバ光学プレート30と固体撮像素子20との間に接合すると好ましい。あるいは、これら光拡散部材40としてのシート状物を接着剤を介して固体撮像素子20に接合する一方、出射面33がシート状物に当接した状態でファイバ光学プレート30を固体撮像素子20の縁部などに固定してもよい。
【0029】
また、光拡散部材40はファイバ光学プレート30の出射面33、あるいは固体撮像素子20の上面にAl、Ti、Zrなどの金属を酸化蒸着してなる乳白色の蒸着膜であってもよい。また、光拡散部材40は液晶スペーサなどに用いられるマイクロビーズやマイクロロッドなどをアクリル樹脂中に分散してなるものであってもよい。また、光拡散部材40はTiO2などの顔料をアクリル樹脂などの溶け込んでいる溶媒と混ぜたものを、ファイバ光学プレート30の出射面33、あるいは固体撮像素子20の上面にスクリーン印刷やスプレイ印刷して形成したものであってもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る撮像装置では、ファイバ光学プレートを伝搬した光は出射面における反射が抑制されて光拡散部材に入射され易く、また光拡散部材に入射した光は拡散されてより多くの光が固体撮像素子に受光されるため、より鮮明な画像を得ることが可能となり、撮像特性の向上を図ることが可能となる。また本発明に係る撮像装置では、固体撮像素子とファイバ光学プレートの出射面との間に光拡散部材を設けるだけであるため、2枚のファイバ光学プレートを用いる場合のような精密な位置合わせが不要となり、製造作業の簡略化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る撮像装置の構成を示す図である。
【図2】ファイバ光学プレートの傾斜角を説明するための図である。
【符号の説明】
10…撮像装置、20…固体撮像素子、22…光電変換部、30…ファイバ光学プレート、31…光ファイバ、32…入斜面、33…出射面、34…コア、35…クラッド、40…光拡散部材、41…バインダ樹脂、42…粉体。
Claims (3)
- 半導体基板の主面上に2次元状に配列形成された光電変換部を有する固体撮像素子と、
コアと該コアの外周を覆うクラッドとを有する光ファイバを複数束ねて形成されており、該光ファイバの光軸に対して傾斜する入射面及び出射面を有するファイバ光学プレートと、
前記固体撮像素子と前記ファイバ光学プレートの前記出射面との間に設けられた光拡散部材と、
を備え、
前記固体撮像素子は、前記ファイバ光学プレートの前記出射面から出射された光を、前記光拡散部材を介して受光することを特徴とする撮像装置。 - 前記光拡散部材は、バインダ樹脂中に粉体を分散してなることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記バインダ樹脂は接着機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
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