JP4952900B2 - 電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Description
しかし、従来の有機系電解液を用いた電気二重層キャパシタでは、2.5V程度以上の比較的高い電圧を印加すると、正負極ともに反応電位に達して電解液の分解が生じ、キャパシタの耐久性や、サイクル特性が低下するなどの問題があった。
この点に鑑み、正負の分極性電極の静電容量比を適正範囲に制御することで、正負極それぞれの反応電位(分解電位)に到達しない範囲内でキャパシタの定格電圧を高める方法が検討されている。
特許文献2(特開平8−107047号公報)には、正負の分極性電極に用いる活性炭の比表面積と、活性炭の重量比とを適正な範囲に制御した電気二重層キャパシタが開示されている。
特許文献3(特開平9−92583号公報)には、正負の分極性電極の目付け比を制御することにより、正負極それぞれに不可逆電流が発生する電位に応じて正負の分極性電極の静電容量比を決定した電気二重層キャパシタが開示されている。
特許文献5(特開2000−188244号公報)には、分極性電極として使用する正極と負極との静電容量比が少なくとも1.5倍以上である電気二重層キャパシタが開示されている。
特許文献6(特開2003−289022号公報)には、正負の分極性電極の固体体積あるいは重量の配分の最適化を行った電気二重層キャパシタが開示されている。
このため、上記特許文献1〜6のキャパシタにおいても、正極側活性炭の目付量を負極側のそれよりも大きくすることで、正極の静電容量を高めて正極分極電位を小さくし、結果として、正極側反応電位への到達を遅らせるという手法が採用されている。
しかし、正負極電位の制御は一過性であって、正負の分極性電極の静電容量比や、目付量比を正極過多にするだけで、必ずしも耐久性やサイクル特性に優れたキャパシタが得られるわけではない。
しかし、この技術では、用いられる電解質との関連性等の記載が無く、正負の細孔径分布の組み合わせと、キャパシタ特性について具体的に示唆するものではないうえに、正負各極に用いられる活性炭の目付量は同じである。
1. 一対の集電体と、この一対の集電体の一方に設けられ、質量W+の活性炭を含んで構成された静電容量C+を有する正の分極性電極と、前記一対の集電体の他方に設けられ、質量W-の活性炭を含んで構成された静電容量C-を有する負の分極性電極と、これら正負の分極性電極間に介在するセパレータと、少なくとも前記正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液とを備え、前記正の分極性電極の静電容量C+と、前記負の分極性電極の静電容量C-とが、C-/C+=0.7〜1.0を満たし、かつ、前記正の分極性電極に含まれる活性炭の質量W+と、前記負の分極性電極に含まれる活性炭の質量W-とが、W-/W+=1.1〜2.0を満たすことを特徴とする電気二重層キャパシタ、
2. 前記正の分極性電極に含まれる活性炭の質量W+と、前記負の分極性電極に含まれる活性炭の質量W-とが、W-/W+=1.2〜2.0を満たす1の電気二重層キャパシタ、
3. 温度70℃の恒温槽中で、設定電圧3.0V、保持時間1000時間の定電圧充電を行った後の、静電容量維持率が78.9%以上であり、かつ、25℃における内部抵抗上昇率が7.0倍以下である1または2の電気二重層キャパシタ、
4. 前記有機系電解液が、少なくとも式(1)で示されるイオン液体を含む1〜3のいずれかの電気二重層キャパシタ、
5. 前記有機系電解液が、非水系有機溶媒を含む1〜4のいずれかの電気二重層キャパシタ、
6. 前記負の分極性電極に含まれる活性炭が、MP法により求めたマイクロ孔の細孔半径分布のピークが4.0×10-10〜1.0×10-9mの範囲内の水蒸気賦活活性炭を主成分とする1〜5のいずれかの電気二重層キャパシタ、
7. 前記正の分極性電極に含まれる活性炭が、アルカリ賦活活性炭を主成分とする1〜6のいずれかの電気二重層キャパシタ
を提供する。
本発明に係る電気二重層キャパシタは、一対の集電体と、この一対の集電体の一方に設けられ、質量W+の活性炭を含んで構成された静電容量C+を有する正の分極性電極と、一対の集電体の他方に設けられ、質量W-の活性炭を含んで構成された静電容量C-を有する負の分極性電極と、これら正負の分極性電極間に介在するセパレータと、少なくとも正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液とを備え、正の分極性電極の静電容量C+と、負の分極性電極の静電容量C-とが、C-/C+=0.6〜1.0を満たし、かつ、正の分極性電極に含まれる活性炭の質量W+と、負の分極性電極に含まれる活性炭の質量W-とが、W-/W+=1.1〜2.0を満たす。
なお、正の分極性電極の静電容量C+と、負の分極性電極の静電容量C-とは、電気二重層キャパシタに、Ag/Ag+イオン参照極等の参照極を組み込み、一時間率に相当する電流値で定格電圧から0Vまで定電流放電を行った際の、正負ごとの放電曲線の傾きから算出する。
なお、正の分極性電極に含まれる活性炭質量W+と、負の分極性電極に含まれる活性炭質量W-とは、電気二重層キャパシタに含まれる、正負それぞれの分極性電極中に含まれる活性炭質量の総量を表し、集電体の両面に形成された最外層の分極性電極中の活性炭もこれに含まれる。
負の分極性電極の活性炭(以下、負極活性炭という)としては、電気二重層キャパシタに一般に用いられる活性炭を任意に選択して使用できるが、水蒸気賦活により得られ、かつMP法により求めたマイクロ孔の細孔半径分布のピークが4.0×10-10〜1.0×10-9m(4.0〜10Å)の範囲内にある活性炭を主成分とするものが好ましい。このピークが4.0×10-10m未満であると、大電流充放電特性が低下するとともに、低温下での充放電特性が悪くなる虞がある。一方、1.0×10-9mを超えると、活性炭の比表面積を大きく保つことが困難で、比表面積が小さくなって静電容量が低下する虞がある。
なお、「主成分」とは、当該活性炭が、50質量%超含まれることを意味するが、上述の大電流充放電特性などを考慮すると、当該活性炭が60質量%以上、好ましくは80質量%以上含まれることが好ましく、さらには全て(100質量%)が当該活性炭であることが最適である。
文献1:J.C.P.BROEKHOFF,J.H.DE BOER,[J.CATALYSIS] 9,15(1967)
文献2:R.SH.MIKHAIL,S.BRUNAUER,E.E.BODOR,[JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE]26,45−53(1968)
BET比表面積が1500m2/g未満であると、十分な静電容量が得られない虞があり、2500m2/gを超えると、得られる分極性電極の密度が低下する虞がある。より好ましいBET比表面積の範囲は、1700〜2200m2/g、特に、1800〜2100m2/gである。
全細孔容積が0.8mL/g未満であると、十分な静電容量を得ることができない虞があり、1.5mL/gを超えると、メソ孔やマクロ孔が増大して得られる分極性電極の密度が低下する結果、容積あたりの静電容量が低減する虞がある。
分極性電極に用いる際の50%粒径が3.0μm未満であると、分極性電極の密度が低下する虞があり、15.0μmを超えると、電極抵抗が増大する虞がある。より好ましい50%粒径の範囲は、5.0〜13.0μm、特に、7.0〜11.0μmである。
正の分極性電極の活性炭(以下、正極活性炭という)としては、電気二重層キャパシタに一般に用いられる活性炭を任意に選択して使用できるが、アルカリ賦活により得られる活性炭を主成分とするものが、静電容量密度が大きく、キャパシタの出力密度、エネルギー密度を高くできることから好ましい。
なお、この場合も「主成分」とは、当該活性炭が、50質量%超含まれることを意味するが、上述のキャパシタのエネルギー密度の向上などを考慮すると、当該活性炭が60質量%以上、好ましくは80質量%以上含まれることが好ましく、さらには全て(100質量%)が当該活性炭であることが最適である。
正極活性炭の原料としては、特に限定されるものではないが、アルカリ賦活により活性炭が得られるものが好ましく、例えば、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、コークス、メソフェーズカーボン、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂等の種々の原料を用いることができる。
BET比表面積が1800m2/g未満であると、十分な静電容量が得られない虞があり、2500m2/gを超えると、得られる分極性電極の密度が低下する虞がある。より好ましいBET比表面積の範囲は、1900〜2400m2/g、特に2000〜2300m2/gである。
全細孔容積が0.8mL/g未満であると、十分な静電容量を得ることができない虞があり、1.5mL/gを超えると、メソ孔やマクロ孔が増大して得られる分極性電極の密度が低下する結果、容積あたりの静電容量が低減する虞がある。
分極性電極に用いる際の50%粒径が3.0μm未満であると、分極性電極の密度が低下する虞があり、15.0μmを超えると、電極抵抗が増大する虞がある。より好ましい50%粒径の範囲は、5.0〜13.0μm、特に7.0〜11.0μmである。
本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極は、上述した活性炭とバインダとを混合分散した状態で、集電体の両面または片面に塗布などの方法によって形成される。この際、正負の分極性電極に用いる活性炭を選定し、さらに各分極性電極中の活性炭質量を調製することで、上述の(C-/C+)および(W-/W+)を適正な範囲に制御する。
分極性電極の電極密度は特に制限はないが、0.4〜0.6g/cm3が好ましく、0.45〜0.57g/cm3がより好ましい。電極密度が0.4g/cm3より小さいと、キャパシタのエネルギー密度が小さくなる虞があり、0.6g/cm3より大きいと、電解液の存在する空間が少なくなり、大電流充放電特性が低下する虞がある。なお、電極密度とは、分極性電極の乾燥時質量を、分極性電極の面積、厚みから算出した見かけ体積で割り返した数値である。
また、集電体上に形成された片面の分極性電極の厚みは、20〜200μmが好ましく、より好ましくは30〜150μm、さらに好ましくは40〜120μmである。
上記集電体を構成する箔の形状としては、一般的な箔状、孔が形成されたメッシュ状、立体的な網目状等の各種形状を適宜採用できる。また、集電体の厚みは、通常、10〜200μm程度であるが、集電体の導電性および強度等を考慮すると、15〜100μmが好ましく、20〜70μmがより好ましい。
これらのバインダの添加量は、活性炭100質量部に対して、0.5〜20質量部、特に、1〜10質量部であることが好ましい。
また、その添加量も、特に限定されるものではないが、静電容量および導電性付与効果等を考慮すると、活性炭100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
なお、活性炭、バインダ、および必要に応じて添加される導電剤からなる分極性電極用組成物の調製法には、特に制限はなく、例えば、活性炭、導電剤およびバインダを、バインダが可溶の溶媒の存在下で混合して溶液状に調製する方法が挙げられる。
本発明の電気二重層キャパシタのセパレータとしては、電気二重層キャパシタ用のセパレータとして一般に用いられているものが挙げられ、例えば、ガラス繊維、ポリオレフィン、ポリアミドイミド、ポリエステル、フッ素樹脂、セルロース系材料などから構成されるものが挙げられる。具体的には、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等からなる多孔体フィルム;ポリオレフィン,ポリエステルの不織布;ガラス繊維シート;セルロース紙等を使用することができる。絶縁性の無機微粒子や無機フィラーを含むものを用いてもよい。なお、電解液中のイオン量が大きい場合は、セルロース系以外の材料からなるセパレータを用いることが好ましい。
空隙容積を上記の範囲に調節することで、高電圧印加時の耐久性、大電流充放電特性、およびサイクル特性などをより一層高めることができる。
本発明の電気二重層キャパシタの有機系電解液は、一般式(1)で示されるイオン液体のみか、電解質(イオン液体でもよい)を非水系有機溶媒に溶解させたものからなる。
また、R1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成している化合物としては、Xに窒素原子を採用した場合には、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を有する4級アンモニウム塩、一方、Xにリン原子を採用した場合には、ペンタメチレンホスフィン(ホスホリナン)環等を有する4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
好ましいカチオンとしては、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオンが挙げられる。
好ましいイオン液体としては、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムテトラフルオロボレート、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムトリフルオロメチルトリフルオロボレート、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムトリフルオロメチルトリフルオロボレート、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレート、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムトリフルオロメチルペンタフルオロエチルトリフルオロボレート等が挙げられる。なお、イオン液体は、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソランなどが挙げられ、これらの溶媒の中から1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
なお、本発明の電気二重層キャパシタに用いられる有機系電解液には、界面活性剤、分解抑制剤、脱水剤、ハロゲン除去剤、難燃剤等の一般的に有機系電解液に用いられる各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は、特に限定されるものではないが、有機系電解液に対し、通常、20質量%以下とされる。
この場合、上記式(1)で示されるイオン液体は、キャパシタの低温特性を考慮すると、融点が25℃以下であることが好ましい。なお、式(1)で示される好適なイオン液体は上述のとおりである。
また、結晶性電解質としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の四級アンモニウムのBF4塩、PF6塩、ClO4塩、CF3SO3塩、N(CF3SO2)2塩等が挙げられ、陽イオン径が陰イオン径よりも大きい塩が好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタの構造および形態は、一対の集電体、正負の各分極性電極、これら電極間に介在するセパレータ、並びに少なくとも正負各分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液を備えて構成されるものであれば、特に限定されるものではなく、図1に示されるようないわゆる積層型のキャパシタや、コイン型のキャパシタなど、公知の種々の構造を採用できる。
本発明の電気二重層キャパシタの実施の一形態を、図1,2を参照しつつ説明すると、電気二重層キャパシタ1は、外装容器10と、この外装容器10内に収納された電極群11と、少なくともこの電極群11に含浸する有機系電解液(図示省略)とを備えて構成されている。
なお、有機系電解液は少なくとも電極群に含浸していればよく、例えば、有機系電解液が、電極群がこれに浸る程度に外装容器内に満たされていてもよい。
この場合、電極構造体の積層枚数は、多ければ多いほど内部抵抗が低減できて有利であるが、電極群体積に占める集電体とセパレータとの体積割合が増加し、体積出力密度が減少するので、所望の内部抵抗に合わせて積層数の上限を決定すればよい。正負の電極構造体の枚数は、同数でもよく、どちらかが1枚多くてもよいが、正負合計で5枚以上、好ましくは7枚以上、さらに好ましくは9枚以上である。電極群の最外層に位置する電極構造体は、同数であれば正負両極となり、どちらかが1枚多い場合は、多い方の電極構造体が最外層となる。
特に、本発明の電気二重層キャパシタでは、最外層の電極構造体が負の分極性電極、つまり負の電極構造体が1枚多くなるように積層することが、耐久性の面から好ましい。
弁機構13は、略円形の板状樹脂弾性体のほぼ中心にニードルで孔13Aが形成されたもので、熱溶着により外装容器10に固着されている。孔13Aは、通常の状態では、樹脂弾性体の弾性により閉塞しているが、容器10の内圧が上昇すると、同じく樹脂弾性体の弾性により開き、容器10の内部に溜まったガス等を放出する。
なお、携帯電話、ノート型パソコンや携帯用端末等のメモリーバックアップ電源用途、携帯電話、携帯用音響機器等の電源、パソコン等の瞬時停電対策用電源、太陽光発電、風力発電等と組み合わせることによるロードレベリング電源等の種々の小電流用キャパシタとして用いることももちろん可能である。
(1)正の電極構造体の作製
活性炭マックスソーブMSP20(関西熱化学(株)製、BET比表面積:2300m2/g、細孔容積:1.07ml/g、50%粒径:9.5μm)と、導電剤(HS−100、電気化学工業(株)製)と、バインダであるPVDF(アルドリッチ社製、重量平均分子量:534,000)とを85:8:7の質量組成になるように、塗工溶媒であるN−メチルピロリドン(以下NMP)中で混合し、正の分極性電極用塗工液を調製した。
得られた塗工液を、正の集電体111であるエッチドアルミ箔(30CB、日本蓄電器工業(株)製)の両面に塗工した後、ロールプレスで圧延し、さらにNMPを乾燥除去して正の分極性電極112を形成し、正の分極性電極構造体11Aを得た。この電極構造体11Aにおける分極性電極112のみかけ面積は130cm2、電極密度は0.54g/cm3、集電体の片面に形成された分極性電極の厚みは65μmであった。
なお、BET比表面積および細孔容積は、窒素ガス吸着法により算出した値であり、50%粒径は、日機装(株)製レーザー回折式粒度分布測定装置マイクロトラックHRAを用いて測定した値である。
活性炭LPY039(日本エンバイロケミカルズ(株)製、MP法におけるピーク細孔半径:4.1×10-10m、比表面積:1900m2/g、細孔容積:0.90ml/g、50%:粒径10.3μm)と、導電剤(HS−100、電気化学工業(株)製)と、バインダであるPVDF(アルドリッチ社製、重量平均分子量:534,000)とを85:7:8の質量組成になるように、塗工溶媒であるN−メチルピロリドン(以下NMP)中で混合し、負の分極性電極用塗工液を調製した。
得られた塗工液を、負の集電体113であるエッチドアルミ箔(30CB、日本蓄電器工業(株)製)の両面に塗工した後、ロールプレスで圧延し、さらにNMPを乾燥除去して負の分極性電極114を形成し、負の分極性電極構造体11Bを得た。この電極構造体11Bにおける分極性電極114のみかけ面積は130cm2、電極密度は0.50g/cm3、集電体の片面に形成された分極性電極の厚みは75μmであった。
なお、ピーク細孔半径は、上記BET測定結果に基づいてMP法により算出した値である。
正の分極性電極構造体11A 9枚と、負の分極性電極構造体11B 10枚とを、セパレータ11C(NI040A、日本板硝子(株)製、空隙率79.0%、厚さ40μm)を介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて20枚)、正負ごとにまとめてアルミ製の電流取出し端子12A,12Bと溶接して電極群11を得た。
次に電極群11をアルミラミネート(大日本印刷(株)製、外層:6−ナイロン/厚25μm、ガス遮断層:軟質アルミニウム/厚40μm、内層:ポリプロピレン+変性ポリプロピレン/30+15μm)からなる弁13のついた外装容器10に挿入し、有機系電解液38mlを注入して含浸させた後、外装容器10を封止部10Bにて熱融着して図1に示される電気二重層キャパシタ1を得た。有機系電解液としては、電解質であるジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムテトラフルオロボレート(イオン液体、DEME−BF4)を、電解液溶媒である炭酸プロピレン(以下PC)に1.3モル/Lになるように溶解させたものを使用した。また、電解液の含浸は、25℃、10kPa以下の減圧下で12時間以上静置する条件で行った。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを85μmにし、有機系電解液を39ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを90μmにし、有機系電解液を41ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを100μmにし、有機系電解液を42ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを60μmにし、同じく負の分極性電極の厚みを105μmにし、有機系電解液を43ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを110μmにし、有機系電解液を44ml注入した以外は、実施例3と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを113μmにした以外は、実施例3と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
負の分極性電極の活性炭として、活性炭RP25(クラレコール、クラレケミカル(株)製、MP法におけるピーク細孔半径:4.7×10-10m、BET比表面積:2500m2/g、細孔容積:1.30ml/g、50%粒径:7.5μm)を用い、集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを80μmにし、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を40ml注入した以外は、実施例3と同様にして電気二重層キャパシタを得た。負の分極性電極の電極密度は0.52g/cm3であった。
負の分極性電極の活性炭として、活性炭YP20(クラレコール、クラレケミカル(株)製、MP法におけるピーク細孔半径:4.3×10-10m、BET比表面積:2100m2/g、細孔容積:1.06ml/g、50%粒径:5.5μm)を用い、集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを100μmにし、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を45ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。負の分極性電極の電極密度は0.50g/cm3であった。
正負の分極性電極の活性炭として活性炭YP20を用い、集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを70μmに、同じく負の分極性電極の厚みを85μmにし、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を44ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。正負の分極性電極の電極密度は0.50g/cm3であった。
正負の分極性電極のバインダとしてポリアミドイミド(バイロマックス、東洋紡績(株)製、固形分濃度:20%、溶剤:NMP、溶液粘度:46.5dPa・s)を用い、セパレータとしてポリエステル不織布(空隙率62.0%、厚さ35μm)を用い、有機系電解液としてN−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(イオン液体、PROME−BF4)濃度0.9モル/LのPC溶液を用い、この電解液を43ml注入した以外は、実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
セパレータとしてセパレータNI040Aを用い、有機系電解液としてPROME−BF4濃度1.5モル/LのPC溶液を用いた以外は、実施例9と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを110μm、同じく負の分極性電極の厚みを170μmとし、正の電極構造体5枚および負の電極構造体6枚を、セパレータNI040Aを介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて12枚)、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を38ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。分極性電極の電極密度は、正0.54g/cm3、負0.50g/cm3であった。
有機系電解液としてDEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を用いた以外は、実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを45μmに、同じく負の分極性電極の厚みを70μmにし、正の電極構造体13枚と負の電極構造体14枚を、セパレータNI040Aを介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて28枚)、有機系電解液としてDEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を用い、この電解液を47ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。分極性電極の電極密度は、正0.54g/cm3、負0.50g/cm3であった。
セパレータNI040Aを2枚介して正負の電極構造体を交互に積層し、有機系電解液として、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(以下TEA−BF4)濃度1.2モル/LのPC溶液を用い、この電解液を52ml注入した以外は、実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
セパレータとしてポリアミドイミド多孔体フィルム(空隙率65.0%、厚さ40μm)を用い、有機系電解液としてTEA−BF4濃度1.2モル/LのPC溶液を用い、この電解液を41ml注入した以外は、実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
正の電極構造体17枚と負の電極構造体18枚を、セパレータNI040Aを介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて36枚)、有機系電解液としてPROME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を用い、この電解液を78ml注入した以外は、実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
分極性電極の見かけ面積を33cm2にし、有機系電解液を20ml注入した以外は、実施例16と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを65μmにし、有機系電解液を36ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを130μmにし、有機系電解液を49ml注入した以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを60μmにし、有機系電解液を36ml注入した以外は、実施例8と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを65μmに、同じく負の分極性電極の厚みを100μmにし、有機系電解液を43ml注入した以外は、実施例8と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
なお、表1において、正負の分極性電極の静電容量C+、C-は電気二重層キャパシタに、Ag/Ag+イオン参照極等の参照極を組み込み、一時間率に相当する電流値で定格電圧から0Vまで定電流放電を行った際の、正負ごとの放電曲線から算出した。セパレータの空隙容積Vsおよび正負の分極性電極の空隙容積V+、V-は、各実施例および比較例で用いたものと同じセパレータおよび正負分極性電極に、電気二重層キャパシタの作製時の条件と同じ条件で電解液を十分に含浸させた後、含浸した電解液の質量と、電解液の比重とから求めた。セパレータの空隙率は、セパレータの見かけ体積と空隙容積Vsとから求めた。キャパシタの全空孔体積Vpは、セパレータ、および正負の分極性電極の空隙容積の和(Vs+V++V-)である。
[初期特性]
製造後の静電容量および内部抵抗(25℃、−30℃)を測定した。
一時間率の電流値で3.0Vまで定電流充電を行い、そのまま30分間、定電圧充電を行い、続いて、一時間率の電流値で3.0Vから0Vまで定電流放電した時の全放電エネルギー量から静電容量を算出した。
内部抵抗は、一時間率の電流値で3.0Vまで定電流充電を行い、そのまま30分間、定電圧充電を行い、次に3.0Vから1/30時間率の電流値で定電流放電させた放電カーブの、放電後5〜10秒の間の近似直線と0秒Y軸との交点から直流抵抗を求めた。低温時の内部抵抗を測定する場合は、キャパシタを−30℃の恒温槽で6時間放置した後、同様にして測定した。
温度70℃の恒温槽中で、設定電圧3.0V、保持時間1000時間の定電圧充電を行い、耐久性試験後の静電容量と内部抵抗(25℃)を、上記と同様の方法で測定し、初期値と比較した。
[大電流サイクル試験]
実施例2,9,10,12,14および15で得られた各キャパシタについて、耐久性試験として、25℃環境下、下限電圧1.5V、上限電圧3.0V、40Aの充放電電流値、定電圧、休止無しで10000サイクルの大電流サイクル試験を行った。耐久性試験前後の静電容量を比較した。
なお、静電容量および内部抵抗の測定時や、耐久性試験時には、キャパシタの積層方向に0.1MPaの応力を加えて試験を行った。
10 外装容器
11 電極群
11A 正の電極構造体
11B 負の電極構造体
11C セパレータ
111 正の集電体(一対の集電体)
112 正の分極性電極
113 負の集電体(一対の集電体)
114 負の分極性電極
Claims (7)
- 一対の集電体と、この一対の集電体の一方に設けられ、質量W+の活性炭を含んで構成された静電容量C+を有する正の分極性電極と、前記一対の集電体の他方に設けられ、質量W-の活性炭を含んで構成された静電容量C-を有する負の分極性電極と、これら正負の分極性電極間に介在するセパレータと、少なくとも前記正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液とを備え、
前記正の分極性電極の静電容量C+と、前記負の分極性電極の静電容量C-とが、C-/C+=0.7〜1.0を満たし、かつ、
前記正の分極性電極に含まれる活性炭の質量W+と、前記負の分極性電極に含まれる活性炭の質量W-とが、W-/W+=1.1〜2.0を満たすことを特徴とする電気二重層キャパシタ。 - 前記正の分極性電極に含まれる活性炭の質量W+と、前記負の分極性電極に含まれる活性炭の質量W-とが、W-/W+=1.2〜2.0を満たす請求項1記載の電気二重層キャパシタ。
- 温度70℃の恒温槽中で、設定電圧3.0V、保持時間1000時間の定電圧充電を行った後の静電容量維持率が78.9%以上であり、25℃における内部抵抗上昇率が7.0倍以下である請求項1または2記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記有機系電解液が、非水系有機溶媒を含む請求項1〜4のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記負の分極性電極に含まれる活性炭が、MP法により求めたマイクロ孔の細孔半径分布のピークが4.0×10-10〜1.0×10-9mの範囲内の水蒸気賦活活性炭を主成分とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記正の分極性電極に含まれる活性炭が、アルカリ賦活活性炭を主成分とする請求項1〜6のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
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