JP5035510B2 - 電気二重層キャパシタ - Google Patents
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例えば、特許文献1〜5(特許第3008399号公報、特開2001−196273号公報、特開2002−93663号公報、特開2004−253562号公報、特開2005−45180号公報)では、分極性電極およびセパレータの空隙容積に対する電解液量の容積比を適正値に調整することによって、耐久性および温度特性に優れるうえに、低抵抗の電気二重層キャパシタが得られることが報告されている。
しかし、電気二重層キャパシタのさらなる高電圧化を達成するためには、上記従来技術に示されるような電解液量の適正化だけでは不十分である。
このため、これらの技術では、電気二重層キャパシタのエネルギー密度は高くなるものの、満充電に近くなるほど内部抵抗が大きくなることから、大電流充放電時に、充放電効率の低下や、放電エネルギーの減少を招来し、サイクル特性の低下が生じるという問題がある。また、電解質濃度を低くすると、低温環境下での内部抵抗が著しく増大し、充放電ができなくなる場合もある。
1. 一対の集電体と、この一対の集電体の一方に設けられた正の分極性電極と、その他方に設けられた負の分極性電極と、これら正負の分極性電極間に介在するセパレータと、少なくとも前記正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液とを備え、定格静電容量C(F)を有する電気二重層キャパシタであって、
前記定格静電容量C(F)および当該キャパシタに許容される上限電圧である定格電圧V(V)から下記式(I)で求められる理論イオン量Qtと、前記正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液中のイオン量Qeとが、Qe/Qt=2.4〜3.5を満たすことを特徴とする電気二重層キャパシタ、
Qt=C×V÷96500〔モル〕 ・・・(I)
2. 前記Vが3.0V以上である1の電気二重層キャパシタ、
3. 温度70℃の恒温槽中で、設定電圧3.0V、保持時間1000時間の定電圧充電を行った後の静電容量維持率が78.9%以上であり、25℃における内部抵抗上昇率が7.0倍以下である1または2の電気二重層キャパシタ、
4. 前記正の分極性電極が空隙容積V+を、前記負の分極性電極が空隙容積V-をそれぞれ有し、これらの空隙容積V+と空隙容積V-とが、V-/V+=1.0〜2.5を満たす1〜3のいずれかの電気二重層キャパシタ、
5. 前記正の分極性電極が空隙容積V+を、前記負の分極性電極が空隙容積V-を、前記セパレータが空隙容積Vsをそれぞれ有し、この空隙容積Vsと、前記空隙容積V+および空隙容積V-とが、(V++V-)/Vs=2.0〜4.0を満たす1〜4のいずれかの電気二重層キャパシタ、
6. 前記正負の分極性電極とセパレータとの空隙容積に含浸する電解液の容積Vpと、当該キャパシタに含まれる全電解液の容積Vaとが、Va/Vp=1.0〜1.2を満たす1〜5のいずれかの電気二重層キャパシタ、
7. 前記有機系電解液が、電解質を0.9〜1.8モル/L含む1〜6のいずれかの電気二重層キャパシタ、
8. 前記有機系電解液が、少なくとも下記一般式(1)で示されるイオン液体を含む1〜7のいずれかの電気二重層キャパシタ、
9. 前記セパレータが、ガラス繊維、ポリオレフィン、ポリアミドイミド、またはポリエステルからなり、空隙率60〜95%である1〜8のいずれかの電気二重層キャパシタ
を提供する。
また、本発明の電気二重層キャパシタは、高電圧印加時の耐久性、低温時の充放電特性にも優れている。
本発明に係る電気二重層キャパシタは、一対の集電体と、この一対の集電体の一方に設けられた正の分極性電極と、その他方に設けられた負の分極性電極と、これら正負の分極性電極間に介在するセパレータと、少なくとも正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液とを備え、定格静電容量C(F)および当該キャパシタに許容される上限電圧である定格電圧V(V)から下記式(I)で求められる理論イオン量Qtと、正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液中のイオン量Qeとが、Qe/Qt=1.7〜3.5を満たすものである。
Qt=C×V÷96500〔モル〕 ・・・(I)
なお、本発明における定格静電容量C(F)は、一時間率の電流値で3.0Vまで定電流充電を行い、そのまま30分間、定電圧充電を行い、続いて、一時間率の電流値で3.0Vから0Vまで定電流放電した時の全放電エネルギー量から算出される。
したがって、大電流充放電特性をより高めるとともに、低温下での内部抵抗増大をより抑えることを考慮すると、イオン量比Qe/Qtは、1.7〜3.2が好ましく、2.0〜3.2がより好ましく、2.4〜3.0がより一層好ましい。
なお、正負の分極性電極、およびセパレータの空隙容積とは、上記特許文献1に記載の空隙容積と同義である。すなわち、セパレータの空隙体積は、短絡防止のために電極よりも大きめのサイズにした部分についても含まれる。また、空隙容積に含浸された電解液中のイオン量Qeとは、製品としてのキャパシタに含まれる全電解液の電解質濃度と空隙容積との積から算出され、キャパシタの充電状態等のイオン吸着の影響や、製造時の電解液ダンピング等は考慮されない。
この設定で、高エネルギー密度を目指そうとすると、正負の分極性電極とセパレータとの空隙容積は減少するので、有機系電解液の電解質濃度を一定とすれば、含浸される電解液中のイオン量Qeは少なくなってしまう。一方、高電圧印加条件下でも、本発明のキャパシタは、低内部抵抗、低温下での大電流充放電特性、高温下での耐久性、および大電流サイクル特性等の各特性を有している必要があるため、電解質濃度を高く保つことでイオン量Qeを増加させるには限界が出てくる。
正の分極性電極の空隙容積をV+、負の分極性電極の空隙容積をV-、セパレータの空隙容積をVsとすると、これら3つの空隙容積の和が、後述の分極性電極とセパレータとの空隙容積に含浸された電解液容積Vpになる(式(II))。
Vp=V++V-+Vs ・・・(II)
ここで、キャパシタの定格静電容量を一定にし、使用するセパレータを同一として、電極構造体の積層数を増加させた場合を考えると、V+およびV-に変化は無いが、Vsは積層数に伴って増加するため、結果的にVpは増加する。
すなわち、2.0よりも小さいと、理論イオン量Qtに対して空隙容積に含浸された有機系電解液中のイオン量Qeが多くなりすぎ、逆に4.0よりも大きいと、理論イオン量Qtに対してイオン量Qeが少なくなり、いずれにしてもイオン量比Qe/Qtが上記の範囲を外れる可能性が生じる。
さらに、本発明の電気二重層キャパシタでは、正負の分極性電極近傍に存在するイオン量を調整して正負それぞれの分極性電極の容量低下を防止するため、容積比V-/V+についても、1.0〜2.5を満たすことが好ましく、1.3〜2.0を満たすことがより好ましい。この比が、1.0よりも小さいと、負の分極性電極の空隙容積が小さくなるため、負の分極性電極近傍に存在するイオン量が少なくなると同時に、負の分極性電極の内部抵抗が高くなる結果、正の分極性電極の方の容量維持率がより低下する可能性が高い。また、2.5より大きいと、負の分極性電極の空隙容積が多くなり、厚みが増すことから、エネルギー密度が低下し過ぎる可能性が高い。
本発明の電気二重層キャパシタの分極性電極は、活性炭とバインダとを混合分散した状態で、集電体の両面または片面に塗布などの方法によって形成される。
分極性電極の電極密度は特に制限はないが、0.4〜0.6g/cm3が好ましく、0.45〜0.57g/cm3がより好ましい。電極密度が0.4g/cm3より小さいと、キャパシタのエネルギー密度が小さくなる虞があり、0.6g/cm3より大きいと、電解液の存在する空間が少なくなり、含浸される電解液中のイオン量Qeが不十分となる虞がある。なお、電極密度とは、分極性電極の乾燥時質量を、分極性電極の面積、厚みから算出した見かけ体積で割り返した数値である。
上記集電体を構成する箔の形状としては、一般的な箔状、孔が形成されたメッシュ状、立体的な網目状等の各種形状を適宜採用できる。また、集電体の厚みは、通常、10〜200μm程度であるが、集電体の導電性および強度等を考慮すると、15〜100μmが好ましく、20〜70μmがより好ましい。
これらのバインダの添加量は、活性炭100質量部に対して、0.5〜20質量部、特に、1〜10質量部であることが好ましい。
文献1:J.C.P.BROEKHOFF,J.H.DE BOER,[J.CATALYSIS] 9,15(1967)
文献2:R.SH.MIKHAIL,S.BRUNAUER,E.E.BODOR,[JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE]26,45−53(1968)
また、その添加量も、特に限定されるものではないが、静電容量および導電性付与効果等を考慮すると、活性炭100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
なお、活性炭、バインダ、および必要に応じて添加される導電剤からなる分極性電極用組成物の調製法には、特に制限はなく、例えば、活性炭、導電剤およびバインダを、バインダが可溶の溶媒の存在下で混合して溶液状に調製する方法が挙げられる。
本発明の電気二重層キャパシタのセパレータとしては、電気二重層キャパシタ用のセパレータとして一般に用いられているものが挙げられ、例えば、ガラス繊維、ポリオレフィン、ポリアミドイミド、ポリエステル、フッ素樹脂、セルロース系材料などから構成されるものが挙げられる。具体的には、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等からなる多孔体フィルム;ポリオレフィン,ポリエステルの不織布;ガラス繊維シート;セルロース紙等を使用することができる。絶縁性の無機微粒子や無機フィラーを含むものを用いてもよい。なお、イオン量比Qe/Qtが大きい場合は、セルロース系以外の材料からなるセパレータを用いることが好ましい。
また、本発明においては、セパレータの厚み、見かけ面積、および材料の真密度とから算出される空隙率が、好ましくは60〜95%、より好ましくは70〜92%、さらに好ましくは75〜90%である。空隙率が60%より小さいと、セパレータの空隙容積が小さくなり、空隙容積に含浸された電解液中のイオン量Qeが小さくなる場合がある。空隙率が95%より大きいと、強度が弱く、使用中にセパレータが薄くなる結果、空隙容積が小さくなる場合がある。
本発明の電気二重層キャパシタの有機系電解液は、一般式(1)で示されるイオン液体のみか、電解質(イオン液体でもよい)を有機溶媒に溶解させたものからなる。
また、R1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成している化合物としては、Xに窒素原子を採用した場合には、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を有する4級アンモニウム塩、一方、Xにリン原子を採用した場合には、ペンタメチレンホスフィン(ホスホリナン)環等を有する4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
好ましいカチオンとしては、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオンが挙げられる。
好ましいイオン液体としては、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムテトラフルオロボレート、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムトリフルオロメチルトリフルオロボレート、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムトリフルオロメチルトリフルオロボレート、ジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレート、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムトリフルオロメチルペンタフルオロエチルトリフルオロボレート等が挙げられる。なお、イオン液体は、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチルジオキソランなどが挙げられ、これらの溶媒の中から1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることもできる。
なお、本発明の電気二重層キャパシタに用いられる有機系電解液には、界面活性剤、分解抑制剤、脱水剤、ハロゲン除去剤、難燃剤等の一般的に有機系電解液に用いられる各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は、特に限定されるものではないが、有機系電解液に対し、通常、20質量%以下とされる。
この場合、上記式(1)で示されるイオン液体は、キャパシタの低温特性を考慮すると、融点が25℃以下であることが好ましい。なお、式(1)で示される好適なイオン液体は上述のとおりである。
また、結晶性電解質としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の四級アンモニウムのBF4塩、PF6塩、ClO4塩、CF3SO3塩、N(CF3SO2)2塩等が挙げられ、陽イオン径が陰イオン径よりも大きい塩が好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタの構造および形態は、一対の集電体、正負の各分極性電極、これら電極間に介在するセパレータ、並びに少なくとも正負各分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液を備えて構成されるものであれば、特に限定されるものではなく、図1に示されるようないわゆる積層型のキャパシタや、コイン型のキャパシタなど、公知の種々の構造を採用できる。
本発明の電気二重層キャパシタの実施の一形態を、図1,2を参照しつつ説明すると、電気二重層キャパシタ1は、外装容器10と、この外装容器10内に収納された電極群11と、少なくともこの電極群11に含浸する有機系電解液(図示省略)とを備えて構成されている。
なお、有機系電解液は少なくとも電極群に含浸していればよく、例えば、有機系電解液が、電極群がこれに浸る程度に外装容器内に満たされていてもよい。
この場合、電極構造体の積層枚数は、多ければ多いほど内部抵抗が低減できて有利であると同時に、キャパシタ全体の空隙容積に占めるセパレータの空隙容積の比率が大きくなるため、理論イオン量Qtと、正負の分極性電極とセパレータとの空隙容積に含浸された電解液中のイオン量Qeとの比Qe/Qtを調整する上で好適である。一方、積層枚数が多くなりすぎると、電極群体積に占める集電体とセパレータの体積割合が増加し、体積出力密度が減少するので、所望の内部抵抗に合わせて積層数の上限を決定すればよい。
特に、本発明の電気二重層キャパシタでは、最外層の電極構造体が負の分極性電極、つまり負の電極構造体が1枚多くなるように積層することが、耐久性の面から好ましい。
弁機構13は、略円形の板状樹脂弾性体のほぼ中心にニードルで孔13Aが形成されたもので、熱溶着により外装容器10に固着されている。孔13Aは、通常の状態では、樹脂弾性体の弾性により閉塞しているが、容器10の内圧が上昇すると、同じく樹脂弾性体の弾性により開き、容器10の内部に溜まったガス等を放出する。
なお、携帯電話、ノート型パソコンや携帯用端末等のメモリーバックアップ電源用途、携帯電話、携帯用音響機器等の電源、パソコン等の瞬時停電対策用電源、太陽光発電、風力発電等と組み合わせることによるロードレベリング電源等の種々の小電流用キャパシタとして用いることももちろん可能である。
(1)正の電極構造体の作製
活性炭マックスソーブMSP20(関西熱化学(株)製、BET比表面積:2300m2/g、細孔容積:1.07ml/g、50%粒径:9.5μm)と、導電剤(HS−100、電気化学工業(株)製)と、バインダであるPVDF(アルドリッチ社製、重量平均分子量:534,000)とを85:8:7の質量組成になるように、塗工溶媒であるN−メチルピロリドン(以下NMP)中で混合し、正の分極性電極用塗工液を調製した。
得られた塗工液を、正の集電体111であるエッチドアルミ箔(30CB、日本蓄電器工業(株)製)の両面に塗工した後、ロールプレスで圧延し、さらにNMPを乾燥除去して正の分極性電極112を形成し、正の分極性電極構造体11Aを得た。この電極構造体11Aにおける分極性電極112のみかけ面積は130cm2、電極密度は0.54g/cm3、集電体の片面に形成された分極性電極の厚みは65μmであった。
なお、BET比表面積および細孔容積は、窒素ガス吸着法により算出した値であり、50%粒径は、日機装(株)製レーザー回折式粒度分布測定装置マイクロトラックHRAを用いて測定した値である。
活性炭LPY039(日本エンバイロケミカルズ(株)製、MP法におけるピーク細孔半径:4.1×10-10m、比表面積:1900m2/g、細孔容積:0.90ml/g、50%:粒径10.3μm)と、導電剤(HS−100、電気化学工業(株)製)と、バインダであるPVDF(アルドリッチ社製、重量平均分子量:534,000)とを85:7:8の質量組成になるように、塗工溶媒であるN−メチルピロリドン(以下NMP)中で混合し、負の分極性電極用塗工液を調製した。
得られた塗工液を、負の集電体113であるエッチドアルミ箔(30CB、日本蓄電器工業(株)製)の両面に塗工した後、ロールプレスで圧延し、さらにNMPを乾燥除去して負の分極性電極114を形成し、負の分極性電極構造体11Bを得た。この電極構造体11Bにおける分極性電極114のみかけ面積は130cm2、電極密度は0.50g/cm3、集電体の片面に形成された分極性電極の厚みは75μmであった。
なお、ピーク細孔半径は、上記BET測定結果に基づいてMP法により算出した値である。
正の分極性電極構造体11A 9枚と、負の分極性電極構造体11B 10枚とを、セパレータ11C(NI040A、日本板硝子(株)製、空隙率79.0%、厚さ40μm)を介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて20枚)、正負ごとにまとめてアルミ製の電流取出し端子12A,12Bと溶接して電極群11を得た。
次に電極群11をアルミラミネート(大日本印刷(株)製、外層:6−ナイロン/厚25μm、ガス遮断層:軟質アルミニウム/厚40μm、内層:ポリプロピレン+変性ポリプロピレン/30+15μm)からなる弁13のついた外装容器10に挿入し、有機系電解液38mlを注入して含浸させた後、外装容器10を封止部10Bにて熱融着して図1に示される電気二重層キャパシタ1を得た。有機系電解液としては、電解質であるジエチル(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムテトラフルオロボレート(イオン液体、DEME−BF4)を、電解液溶媒である炭酸プロピレン(以下PC)に1.3モル/Lになるように溶解させたものを使用した。また、電解液の含浸は、25℃、10kPa以下の減圧下で12時間以上静置する条件で行った。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを85μmにし、有機系電解液を39ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを90μmにし、有機系電解液を41ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを100μmにし、有機系電解液を42ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを60μmにし、同じく負の分極性電極の厚みを105μmにし、有機系電解液を43ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを110μmにし、有機系電解液を44ml注入した以外は、実施例5と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを113μmにした以外は、実施例5と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
負の分極性電極の活性炭として、活性炭RP25(クラレコール、クラレケミカル(株)製、MP法におけるピーク細孔半径:4.7×10-10m、BET比表面積:2500m2/g、細孔容積:1.30ml/g、50%粒径:7.5μm)を用い、集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを80μmにし、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を40ml注入した以外は、実施例5と同様にして電気二重層キャパシタを得た。負の分極性電極の電極密度は0.52g/cm3であった。
負の分極性電極の活性炭として、活性炭YP20(クラレコール、クラレケミカル(株)製、MP法におけるピーク細孔半径:4.3×10-10m、BET比表面積:2100m2/g、細孔容積:1.06ml/g、50%粒径:5.5μm)を用い、集電体の片面に形成された負の分極性電極の厚みを100μmにし、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を45ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。負の分極性電極の電極密度は0.50g/cm3であった。
正負の分極性電極の活性炭として活性炭YP20を用い、集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを70μmに、同じく負の分極性電極の厚みを85μmにし、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を44ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。正負の分極性電極の電極密度は0.50g/cm3であった。
正負の分極性電極のバインダとしてポリアミドイミド(バイロマックス、東洋紡績(株)製、固形分濃度:20%、溶剤:NMP、溶液粘度:46.5dPa・s)を用い、セパレータとしてポリエステル不織布(空隙率62.0%、厚さ35μm)を用い、有機系電解液としてN−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート(イオン液体、PROME−BF4)濃度0.9モル/LのPC溶液を用い、この電解液を43ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
セパレータとしてセパレータNI040Aを用い、有機系電解液としてPROME−BF4濃度1.5モル/LのPC溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを110μm、同じく負の分極性電極の厚みを170μmとし、正の電極構造体5枚および負の電極構造体6枚を、セパレータNI040Aを介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて12枚)、DEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を38ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。分極性電極の電極密度は、正0.54g/cm3、負0.50g/cm3であった。
有機系電解液としてDEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
集電体の片面に形成された正の分極性電極の厚みを45μmに、同じく負の分極性電極の厚みを70μmにし、正の電極構造体13枚と負の電極構造体14枚を、セパレータNI040Aを介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて28枚)、有機系電解液としてDEME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を用い、この電解液を47ml注入した以外は、実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。分極性電極の電極密度は、正0.54g/cm3、負0.50g/cm3であった。
セパレータNI040Aを2枚介して正負の電極構造体を交互に積層し、有機系電解液として、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(以下TEA−BF4)濃度1.2モル/LのPC溶液を用い、この電解液を52ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
セパレータとしてポリアミドイミド多孔体フィルム(空隙率65.0%、厚さ40μm)を用い、有機系電解液としてTEA−BF4濃度1.2モル/LのPC溶液を用い、この電解液を41ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
正の電極構造体17枚と負の電極構造体18枚を、セパレータNI040Aを介して交互に積層し(セパレータ枚数は最外層を含めて36枚)、有機系電解液としてPROME−BF4濃度1.1モル/LのPC溶液を用い、この電解液を78ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
分極性電極の見かけ面積を33cm2にし、有機系電解液を20ml注入した以外は、実施例18と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
有機系電解液として、DEME−BF4濃度0.7モル/Lのものを使用し、この電解液を43ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
セパレータとしてポリアミドイミド多孔体フィルム(空隙率65.0%、厚さ40μm)を介して交互に積層し、有機系電解液としてDEME−BF4濃度1.7モル/Lのものを使用し、この電解液を43ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
セパレータとしてポリエステル不織布(空隙率55.0%、厚さ40μm)を介して交互に積層し、有機系電解液として、DEME−BF4濃度0.7モル/Lのものを使用し、この電解液を41ml注入した以外は、実施例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
なお、表1において、セパレータの空隙容積Vsおよび正負の分極性電極の空隙容積V+、V-は、各実施例および比較例で用いたものと同じセパレータおよび正負分極性電極に、電気二重層キャパシタの作製時の条件と同じ条件で電解液を十分に含浸させた後、含浸した電解液の質量と、電解液の比重とから求めた。セパレータの空隙率は、セパレータの見かけ体積と空隙容積Vsとから求めた。キャパシタの全空孔体積Vpは、セパレータ、および正負の分極性電極の空隙容積の和(Vs+V++V-)である。
[初期特性]
製造後の静電容量および内部抵抗(25℃、−30℃)を測定した。
一時間率の電流値で3.0Vまで定電流充電を行い、そのまま30分間、定電圧充電を行い、続いて、一時間率の電流値で3.0Vから0Vまで定電流放電した時の全放電エネルギー量から静電容量を算出した。
内部抵抗は、一時間率の電流値で3.0Vまで定電流充電を行い、そのまま30分間、定電圧充電を行い、次に3.0Vから1/30時間率の電流値で定電流放電させた放電カーブの、放電後5〜10秒の間の近似直線と0秒Y軸との交点から直流抵抗を求めた。低温時の内部抵抗を測定する場合は、キャパシタを−30℃の恒温槽で6時間放置した後、同様にして測定した。
温度70℃の恒温槽中で、設定電圧3.0V、保持時間1000時間の定電圧充電を行い、耐久性試験後の静電容量と内部抵抗(25℃)を、上記と同様の方法で測定し、初期値と比較した。
[大電流サイクル試験]
実施例4,11,12,14,16,17、および比較例1〜3で得られた各キャパシタについて、耐久性試験として、25℃環境下、下限電圧1.5V、上限電圧3.0V、40Aの充放電電流値、定電圧、休止無しで10000サイクルの大電流サイクル試験を行った。耐久性試験前後の静電容量を比較した。
なお、静電容量および内部抵抗の測定時や、耐久性試験時には、キャパシタの積層方向に0.1MPaの応力を加えて試験を行った。
また、各実施例の電気二重層キャパシタは、連続充電後の静電容量維持率が高く、かつ、内部抵抗の増加率が低く、3.0Vという高電圧下で連続充電しても耐久性に優れていることがわかる。
10 外装容器
11 電極群
11A 正の電極構造体
11B 負の電極構造体
11C セパレータ
111 正の集電体(一対の集電体)
112 正の分極性電極
113 負の集電体(一対の集電体)
114 負の分極性電極
Claims (9)
- 一対の集電体と、この一対の集電体の一方に設けられた正の分極性電極と、その他方に設けられた負の分極性電極と、これら正負の分極性電極間に介在するセパレータと、少なくとも前記正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液とを備え、定格静電容量C(F)を有する電気二重層キャパシタであって、
前記定格静電容量C(F)および当該キャパシタに許容される上限電圧である定格電圧V(V)から下記式(I)で求められる理論イオン量Qtと、前記正負の分極性電極およびセパレータに含浸する有機系電解液中のイオン量Qeとが、Qe/Qt=2.4〜3.5を満たすことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
Qt=C×V÷96500〔モル〕 ・・・(I) - 前記Vが3.0V以上である請求項1記載の電気二重層キャパシタ。
- 温度70℃の恒温槽中で、設定電圧3.0V、保持時間1000時間の定電圧充電を行った後の静電容量維持率が78.9%以上であり、25℃における内部抵抗上昇率が7.0倍以下である請求項1または2記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記正の分極性電極が空隙容積V+を、前記負の分極性電極が空隙容積V-をそれぞれ有し、これらの空隙容積V+と空隙容積V-とが、V-/V+=1.0〜2.5を満たす請求項1〜3のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記正の分極性電極が空隙容積V+を、前記負の分極性電極が空隙容積V-を、前記セパレータが空隙容積Vsをそれぞれ有し、この空隙容積Vsと、前記空隙容積V+および空隙容積V-とが、(V++V-)/Vs=2.0〜4.0を満たす請求項1〜4のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記正負の分極性電極とセパレータとの空隙容積に含浸する電解液の容積Vpと、当該キャパシタに含まれる全電解液の容積Vaとが、Va/Vp=1.0〜1.2を満たす請求項1〜5のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記有機系電解液が、電解質を0.9〜1.8モル/L含む請求項1〜6のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記セパレータが、ガラス繊維、ポリオレフィン、ポリアミドイミド、またはポリエステルからなり、空隙率60〜95%である請求項1〜8のいずれか1項記載の電気二重層キャパシタ。
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