JP4951970B2 - 非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレン及びそのファインパウダー - Google Patents

非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレン及びそのファインパウダー Download PDF

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Description

本発明は、非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレン及びそのファインパウダーに関する。
テトラフルオロエチレン〔TFE〕の単独重合体のファインパウダーは、押出助剤を加えペースト押出して得られる押出成形体を未焼成のままシール用材料等に使用しているが、押出成形体に延伸を行うと、延伸前と比較して断面積をほとんど減少させることなく空孔率のみが低下し、多孔質の延伸体が得られることが知られている。
TFEの単独重合体からなる延伸体は、一般に、TFEの単独重合体一次粒子が延伸されることによりノードやフィブリルを生じて多孔質となり、同重量のファインパウダーと比較して比表面積が大きくなることが知られている。この多孔質の延伸体は、未焼成のままシール用材料として使用したり、焼成し強靭な連続延伸体シートにして種々の用途に使用されている。
多孔質の延伸体を得るための押出成形体の延伸は、押出成形体を破断させることなくノードとフィブリルとが均一に存在する延伸体を得られる延伸性に優れたものであることが好ましい。ノードとフィブリルとが均一に存在する延伸体は、一般に、引張り破断強度に優れるものである。延伸性は、重合体の結晶性が高いほど良好であり、TFEの単独重合体は、通常、結晶性が高い。
延伸性に優れたTFEの単独重合体のファインパウダーを得る方法として、55〜120℃の水性媒体中でTFEの重合を開始し、重合停止剤を添加した後も重合を続ける方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、TFEの単独重合体のファインパウダーを用いて得られる延伸体が有する比表面積及び引張り破断強度については、記載されていない。
延伸性に優れたTFEの単独重合体のファインパウダーを得る方法として、低温でTFEの重合を開始して重合開始後に温度を上げ、液体安定剤の存在下で重合を終了させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、得られたTFEの単独重合体のファインパウダーの押出成形体を300℃で24倍延伸して得られる延伸体は、比表面積の記載がなく、実施例では引張り破断強度が最大で3.25kgf(31.87N)に過ぎないという問題があった。
TFEの単独重合体のファインパウダーは、引張り破断強度が不充分であるという問題の他に、ペースト押出する場合、押出圧力が高く、押出加工性に劣るという問題がある。押出加工性を改善するために、ペースト押出時に加える押出助剤を増量させると押出圧力を下げることができるが、押出助剤を増量させると延伸体の引張り破断強度を低下させるという問題があった。
押出加工性を改善する方法としては、他に、TFEと少量の他の単量体とを共重合させて変性ポリテトラフルオロエチレン〔変性PTFE〕にする方法が知られている。変性PTFEのファインパウダーは、TFEの単独重合体のファインパウダーと比べて押出加工性に優れるが、ペースト押出により得られる押出成形体を延伸する場合、変性PTFEはTFEの単独重合体より結晶性が低下しているので延伸の途中で押出成形体が破断したり、延伸できたとしても、得られる延伸体の分子配向性が悪く、延伸体の引張り破断強度を大きく低下させるという問題があった。
変性PTFEのファインパウダーとしては、TFEにヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕等を共重合させた変性PTFEのファインパウダーを得る方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。HFP、PPVE等の単量体が含まれる量は、得られる変性PTFEのファインパウダーの0.5重量%未満であるが、この変性PTFEのファインパウダーを成形し延伸して得られる延伸体の比表面積及び引張り破断強度については、記載されていない。
変性PTFEのファインパウダーとしては、他に、TFEと0.005〜0.05モル%のCH=CH−Rf(式中、Rfは炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基を表す。)で示されるフルオロ単量体とを共重合して得られる変性PTFEのファインパウダーが開示されている(例えば、特許文献4参照)。この変性PTFEの重合方法は、未反応の単量体を放出し反応系内を常圧にして終了させるという通常の方法である。
特許文献4記載のポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーは、押出加工性と延伸体の外観及び均一性を向上させることを目的としており、成形して250℃で10倍延伸して得られる延伸体の強度は6.76Nであるに過ぎないという問題があり、延伸体についての比表面積及び引張り破断強度は記載されていない。
延伸性に優れたポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーとしては、標準比重2.160以下であり、引張り破断強度が32.0〜49.0Nであるポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーが変性PTFEであってもよいことが知られている(例えば、特許文献5参照)。この変性PTFEについて、しかしながら、延伸体に加工した際の比表面積は知られていない。
特公昭58−39443号公報 特開2000−143727号公報 特開2000−143707号公報 特開平11−240917号公報 特開2002−201217号公報
本発明の目的は、上記現状に鑑み、引張り破断強度に優れた延伸体を与える非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー及び非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンを提供することにある。
本発明は、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Aは引張り破断強度が32.0N以上、比表面積が11000m/kg以上であることを特徴とする非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである。
本発明は、押出成形体を320℃で延伸することにより得られた測定用320℃延伸体Aは、引張り破断強度が34.0N以上であることを特徴とする非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである。
本発明は、押出成形体を320℃で延伸することにより得られた測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の115%以上であることを特徴とする非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである。
本発明は、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Cは、非晶係数が0.08〜0.19であることを特徴とする非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである。
本発明は、押出成形体を320℃で延伸することにより得られた測定用320℃延伸体Cは、非晶係数が0.08〜0.19であることを特徴とする非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーである。
本発明は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテルとを共重合して得られる非溶融加工性PTFEであって、非晶係数が0.06〜0.22であることを特徴とする非溶融加工性PTFEである。
本発明は、上記非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーからペースト押出により得られる押出成形体を延伸することにより得られることを特徴とする延伸体である。
本発明は、上記非溶融加工性PTFEからなる延伸体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、非溶融加工性PTFE〔非溶融加工性PTFE〕からなるファインパウダーである。本明細書において、上記「非溶融加工性PTFE」とは、テトラフルオロエチレン〔TFE〕とともにごく微量の共単量体(以下、「微量共単量体」ということがある。)を重合することにより得られた微量変性PTFEであって、溶融加工性でないものを意味する。上記「微量変性PTFE」における「微量変性」とは、TFEの単独重合体の性質を大きく損なわない程度にTFEとともにごく微量の共単量体を重合させることを意味する。本明細書において、上記「微量共単量体」とは、TFE以外のTFEと共重合可能な単量体であって、TFEに対して後述のごく微量を共重合させるものを意味する。
上記非溶融加工性PTFEは、一般に、TFEを主な単量体とする重合体であることが共通する点で、「ポリテトラフルオロエチレン」と称されるものに含まれる概念である。本明細書において、単に「ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕」というときは、TFEの単独重合体、及び/又は、TFEの単独重合体の性質を大きく損なわない程度にTFEとともにTFE以外の単量体を重合して得られた変性PTFEを意味するものである。上記「変性PTFE」における「変性」とは、TFEの単独重合体の性質を大きく損なわない程度にTFEとともにTFE以外の単量体を重合させることを意味する。上記「変性PTFE」における「変性」は、TFE以外の単量体の量が上記「微量変性」のようにTFEに対してごく微量であるものに限るものではない点で、上記「微量変性PTFE」における「微量変性」と概念上異なるものであり、同様に、上記「変性PTFE」は上記「微量変性PTFE」と概念上異なるものである。
上記非溶融加工性PTFEが上述の微量変性を行ったものに限定されることから明らかであるように、上記「非溶融加工性PTFE」なる用語における「PTFE」は、TFEの単独重合体及び/又は変性PTFEを指すものではなく、単に上記「非溶融加工性PTFE」という用語の一部分であるに過ぎない。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーからペースト押出により得られる押出成形体を後述の特定の条件下に延伸することにより得られる各種測定用延伸体が、後述の物性を有することを特徴とするものである。本明細書において、以下、上記「押出成形体」とは、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーからペースト押出により得られる成形体であって、非溶融加工性PTFEの融点以上の温度で焼成を行っていないものを意味する。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、後述の特性(1)、特性(2)、特性(3)、特性(5)及び特性(6)からなる群より選ばれる少なくとも1つの特性を有するものである。
特性(1)は、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であるということである。
上記測定用300℃延伸体Aは、引張り破断強度を測定するための延伸体であり、押出成形体を300℃に加熱した状態で後述の条件に従い延伸して得られるものである。
上記特性(1)は、上記測定用300℃延伸体Aについて上記範囲内の引張り破断強度を有し、更に、上記測定用300℃延伸体Aについての比表面積が11000m/kg以上であることが好ましい。上記測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であり、比表面積が11000m/kg以上であることをまとめて「特性(1−1)」ということがある。
PTFEは、一般に、平均一次粒子径が小さいと、得られる押出成形体において一次粒子同士の間の接点の数が多いので、この押出成形体を延伸して得られる測定用300℃延伸体Aにおいて比表面積が大きくなる傾向にある。一方、上記平均一次粒子径が大きいと、押出成形体において一次粒子同士の間の接点の数が少ないので、上記測定用300℃延伸体Aにおいて比表面積が小さくなる傾向にある。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記範囲内に示されるように比表面積が大きいので、平均一次粒子径が小さいと考えられる。TFEの単独重合体からなるファインパウダーであると、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーにおける平均一次粒子径ほど小さい平均一次粒子径は得られない。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、平均一次粒子径が0.1〜0.5μmであることが好ましい。好ましい下限は、0.2μmであり、好ましい上限は、0.3μmである。
本明細書において、上記「一次粒子」とは、後述の凝集前におけるPTFEからなる粒子であって、重合反応後にPTFEの融点以上の温度で熱処理を行った履歴がないものを意味する。
上記「平均一次粒子径」とは、上記「一次粒子」の数平均粒子径を意味する。
上記「平均一次粒子径」は、一定の固形分濃度にしたPTFE水性分散液について、単位長さに対する550nmの投射光の透過率と電子顕微鏡写真により決定された平均粒子径との検量線を作成し、測定対象である含フッ素重合体水性分散液について、上記透過率を測定し、上記検量線を基に間接的に求められる値である。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であることにより、延伸体にして使用する場合、従来のPTFEの延伸体と比較して優れた耐久性を発揮できるものである。PTFEの延伸体は、一般に、PTFE一次粒子が延伸されることにより、ノードとも呼ばれる結節部と、フィブリルとも呼ばれる繊維部とに構造を変化させるので、延伸前と比較して比表面積が増加したものである。PTFEの延伸体は、後述の熱固定が行われる前の状態において、比表面積が大きいほど、同重量あたりにノードとフィブリルとが数多く均一に存在し、引張り破断強度が大きくなる。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用300℃延伸体Aについての比表面積が11000m/kg以上であることにより、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度を32.0N以上にすることができるものである。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、微量変性したものであり、後述のように非溶融加工性PTFEコロイド状粒子の表面が高分子量体からなるので、測定用300℃延伸体Aについての比表面積がTFEの単独重合体のファインパウダーから得られる延伸体の比表面積と比較して増大すると考えられ、更に、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が大きくなるものであると考えられる。
上記測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の好ましい下限は、32.5N、より好ましい下限は、33.0Nである。測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度は、上記範囲内であれば、耐久性の点で40.0N以下であってもよい。
上記測定用300℃延伸体Aについての比表面積の好ましい下限は、11500m/kgである。測定用300℃延伸体Aについての比表面積は、上記範囲内であれば、17000m/kg以下であっても、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が上記範囲内の値を有する。
上記測定用300℃延伸体Aとしては、引張り破断強度が32.0N以上であり、比表面積が11500m/kg以上であるものであってもよい。
特性(2)は、押出成形体を320℃で延伸することにより得られた測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であるということである。
上記測定用320℃延伸体Aは、引張り破断強度を測定するための延伸体であり、押出成形体を320℃に加熱した状態で後述の条件に従い延伸して得られるものである。
上記特性(2)は、上記測定用320℃延伸体Aについて、上記範囲内の引張り破断強度を有し、更に、上記測定用320℃延伸体Aについての比表面積が9000m/kg以上であることが好ましい。上記測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であり、比表面積が9000m/kg以上であることをまとめて「特性(2−1)」ということがある。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であることにより、延伸体にして使用する場合、従来のPTFEの延伸体と比較して優れた耐久性を発揮できるものである。上記測定用320℃延伸体Aについての比表面積は、TFEの単独重合体のファインパウダーから得られる延伸体の比表面積と同程度であり、測定用300℃延伸体Aについての比表面積と比べて減少している。一般に、延伸体は、その比表面積が大きくなると、その引張り破断強度も大きくなるが、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーでは、測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度は、測定用320℃延伸体Aについての比表面積が測定用300℃延伸体Aについての比表面積より小さいにもかかわらず、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度より著しく増大している。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度よりも著しく増大しているが、この引張り破断強度の変化は、押出成形体を320℃で延伸する際に押出成形体の一部に熱固定が起こることによるものと考えられる。上記熱固定は、ヒートセットと呼ばれることもある。
上記「熱固定」とは、張力が与えられた状態で押出成形体を加熱することにより、延伸によって延伸体の内部に発生した局部的なひずみを安定させることを意味する。上記加熱の温度が300℃程度である場合、上記熱固定は起こらない。延伸体は、上記熱固定を行うことにより、後収縮、たるみ、しわの発生等を大幅に減少させることができる。PTFEの延伸体は、一般に、延伸を行った後で熱固定を行うことにより、引張り破断強度が大きくなるものである。従来のPTFEのファインパウダーを用いて得られた延伸体の熱固定は、PTFEの融点以上に加熱して行われており、融点以上に加熱することによりPTFEの分子鎖の切断等が起こり延伸体を破断させるおそれがある。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを用いて得られた延伸体の熱固定は、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーが微量変性したものであるので、320℃というPTFEの融点より低い温度で、非溶融加工性PTFEの分子鎖を切断させることなく安定に行うことができるものと考えられる。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用320℃延伸体Aについての比表面積が9000m/kg以上であることにより、熱固定を行ったものであるので、測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度を34.0N以上にすることができるものである。
上記測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度の好ましい下限は、35.0N、より好ましい下限は、40.0Nである。測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度は、上記範囲内であれば、耐久性の点で49.0N以下であってもよい。
上記測定用320℃延伸体Aについての比表面積の好ましい下限は、9400m/kgである。測定用320℃延伸体Aについての比表面積は、上記範囲内であれば、15000m/kg以下であっても、測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が上記範囲内の値を有する。
上記測定用320℃延伸体Aとしては、引張り破断強度が35.0N以上であり、比表面積が9000m/kg以上であるものであってもよい。
特性(3)は、押出成形体を320℃で延伸することにより得られた測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の115%以上であるということである。
上記測定用300℃延伸体Aは、上記特性(1)における測定用300℃延伸体Aと同じであり、上記測定用320℃延伸体Aは、上記特性(2)における測定用320℃延伸体Aと同じである。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の115%以上であるので、押出成形体を延伸するときの温度を調整することにより得られる延伸体の引張り破断強度を大きくすることができるものである。PTFEのファインパウダーは、通常、延伸体についての引張り破断強度を大きくするためにペースト押出する際に添加する押出助剤(潤滑剤)の使用量を少なくすることがあるが、押出助剤の使用量を少なくすると押出圧力が高くなり、押出加工性に劣るものである。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、微量変性したものであるので、上述のように320℃というPTFEの融点より低い温度であっても延伸体の少なくとも一部に熱固定が起こり、ペースト押出する際に押出助剤の使用量を少なくすることなく、延伸時の温度だけを調整することにより延伸体についての引張り破断強度を大きくすることができるものであると考えられる。得られる延伸体の引張り破断強度を延伸温度を高く設定することにより向上させることができるという特性は、図1の延伸温度と引張り破断強度との関係を示すグラフから明らかであるように、延伸温度が上述の300℃と320℃である場合は一例にすぎず、280℃付近以上、330℃付近以下である温度範囲において見られるものである。
一方、TFEの単独重合体では、上記図1のグラフから明らかであるように、延伸温度を280℃付近以上、330℃付近以下の温度範囲内で高めに設定しても、得られる延伸体の引張り破断強度の向上は殆どないか又はあってもごく僅かである。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、このように、延伸温度が280℃付近以上、330℃付近以下である温度範囲において、同じ延伸温度であっても、TFEの単独重合体よりも引張り破断強度が大きい延伸体を作製することができるので、エネルギー効率がよい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度〔p(N)〕と、上記測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度〔q(N)〕との比〔(p/q)×100(%)〕の好ましい下限が117%、より好ましい下限が120%、更に好ましい下限が130%である。上記比は、通常、140%以下である。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(3)を有する場合、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N未満であってもよいし、29.4N未満であってもよい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、
上記特性(1):測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であること、及び/又は、
上記特性(2):測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であること、並びに、
上記特性(3):測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の115%以上であること
を併有することが好ましく、上記特性(1)は、
上記特性(1−1)測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であり、上記測定用300℃延伸体Aについての比表面積が11000m/kg以上であること
が好ましく、
上記特性(2)は、
上記特性(2−1)測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であり、上記測定用320℃延伸体Aについての比表面積が9000m/kg以上であること
が好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(1−1)、上記特性(2−1)及び上記特性(3)を併有することがより好ましい。
本明細書において、上記特性(1−1)、上記特性(2−2)及び上記特性(3)をまとめて「特性(3−1)」ということがある。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(3−1)及び下記特性(4)を併有することが特に好ましい。
特性(4)は、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Bについての応力緩和時間が400秒以上であるということである。
上記測定用300℃延伸体Bは、応力緩和時間を測定するための延伸体であり、押出成形体を300℃に加熱した状態で後述の条件に従い延伸して得られるものである。
従来のPTFEの延伸体は、PTFEの融点以上の温度で焼成すると破断が起こるおそれがあったが、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用300℃延伸体Bについての応力緩和時間が400秒以上であることにより、非溶融加工性PTFEの融点以上の温度で焼成しても、延伸体を破断させることを抑制することができるものである。従って、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを用いると、得られる製品の歩留りを向上させることができる。
上記測定用300℃延伸体Bについての応力緩和時間についてのより好ましい下限は、410秒である。測定用300℃延伸体Bについての応力緩和時間は、上記範囲内であれば650秒以下、更に550秒以下であっても、焼成時における延伸体の破断を抑制することができる。
特性(5)は、押出成形体を300℃で延伸することにより得られた測定用300℃延伸体Cについての非晶係数が0.08以上、0.19以下であるということである。
上記測定用300℃延伸体Cは、非晶係数を測定するための延伸体であり、押出成形体を300℃に加熱した状態で後述の条件に従い延伸して得られるものである。
上記非晶係数〔Amorphous Index;A.I.〕は、非晶性の程度を示すものであり、本明細書において、上記「非晶係数」は、延伸体の赤外吸収スペクトルを測定し、波数778cm−1における吸光度を波数2367cm−1における吸光度で除して得られる値である。
波数778cm−1はPTFEの結晶性に関係する吸収帯であり、波数2367cm−1は−CF−の伸縮振動の倍音の吸収帯である(R.E.Moymhan,J.Am.Chem.Soc.,81,1045(1959))。
上記非晶係数が大きいと非晶性が大きくなるが、非晶性が大きいPTFEは、非晶性が小さいPTFEと比べてペースト押出時の押出圧力が低いので押出加工性に優れる。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用300℃延伸体Cについての非晶係数が上記範囲内であることにより、延伸体の引張り破断強度を下げることなく、ペースト押出時の押出加工性を上げることができるものである。非晶性が大きい従来のPTFEは、延伸して得られる延伸体の分子配向性が悪く、延伸体の引張り破断強度を大きく低下させるおそれがあったが、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、微量変性したものであり、後述のように非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面が高分子量体からなるので、延伸体の引張り破断強度を下げることなく、ペースト押出時の押出加工性を上げることができるものである。
上記測定用300℃延伸体Cについての非晶係数は、好ましい下限が0.09であり、より好ましい下限が0.12であり、好ましい上限は0.18である。
特性(6)は、押出成形体を320℃で延伸することにより得られた測定用320℃延伸体Cについての非晶係数が0.08以上、0.19以下であるということである。
上記測定用320℃延伸体Cは、非晶係数を測定するための延伸体であり、押出成形体を320℃に加熱した状態で、後述の条件に従い延伸して得られるものである。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用320℃延伸体Cについての非晶係数が上記範囲にあっても、延伸体の引張り破断強度を下げることなく、ペースト押出時の押出加工性を上げることができるものである。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、微量変性したものであり、後述のように非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面が高分子量体からなるものであるので、延伸体の引張り破断強度を下げることなく、ペースト押出時の押出加工性を上げることができるものである。
上記測定用320℃延伸体Cについての非晶係数は、好ましい下限が0.10であり、好ましい上限は0.18である。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、
上記特性(1):測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であること、
上記特性(2):測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であること、及び/又は、
上記特性(3):測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の115%以上であること、並びに、
上記特性(5):測定用300℃延伸体Cについての非晶係数が0.08以上、0.19以下であること、及び/又は、
上記特性(6):測定用320℃延伸体Cについての非晶係数が0.08以上、0.19以下であること、
を併有することが好ましく、上記特性(1)は、
上記特性(1−1)測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であり、上記測定用300℃延伸体Aについての比表面積が11000m/kg以上であること、
が好ましく、上記特性(2)は、
上記特性(2−1)測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が34.0N以上であり、上記測定用320℃延伸体Aについての比表面積が9000m/kg以上であること、
が好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(1−1)、上記特性(2−1)、上記特性(3)、上記特性(5)及び上記特性(6)をすべて併有することがより好ましい。上記特性(1−1)、上記特性(2−1)及び上記特性(3)をまとめて、上述のように、以下、特性(3−1)ともいう。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(3−1)、上記特性(5)及び上記特性(6)をすべて併有し、更に、
上記特性(4)測定用300℃延伸体Bについての応力緩和時間が400秒以上であること、
を有するものであることが更に好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、また、上記特性(3−1)、上記特性(5)及び上記特性(6)をすべて併有し、更に、下記特性(7)を有するものであることが更に好ましい。
特性(7)は、非溶融加工性PTFEファインパウダーの標準比重〔Standard Specific Gravity;SSG〕が2.165以下であるということである。上記標準比重の値は、低いほどPTFEの平均分子量が大きく、高いほどPTFEの平均分子量が小さい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、標準比重が2.165以下であるので、延伸加工に有利である。
上記標準比重の好ましい上限は、2.164である。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、延伸加工の点で、上記標準比重が2.145以上であってもよい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(3−1)、上記特性(4)、上記特性(5)、上記特性(6)及び上記特性(7)をすべて有するものであることが特に好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法は、水性媒体中において、テトラフルオロエチレン〔TFE〕と、上記TFEと共重合可能な微量共単量体との重合反応を通常55〜120℃で一定の重合時間行うことにより非溶融加工性PTFEを得る重合工程を有することからなるものである。上記重合工程により得られる非溶融加工性PTFEは、通常、後述の水性媒体中においてコロイド状粒子である。
上記微量共単量体は、ごく微量、即ち、上記TFEの全重合量の0.0001〜0.04モル%添加するものである。上記微量共単量体は、上記範囲内であると、後述の凝集及び乾燥を行って得られる非溶融加工性PTFEファインパウダーのペースト押出時の押出加工性を下げることなく、延伸体としたときの引張り破断強度を優れたものにすることができるものである。好ましい下限は、0.001モル%であり、好ましい上限は、0.03モル%である。
本明細書において、上記「全重合量」とは、上記重合工程において重合すべきTFEの全量を意味する。上記全重合量は、上記重合工程により非溶融加工性PTFEのポリマー鎖に取り込まれた量の全てであり、必ずしも添加量と同じであるとは限らない。
上記重合工程から得られる非溶融加工性PTFEは、微量共単量体単位が0.0001〜0.022モル%であるものである。好ましい下限は、0.001モル%であり、好ましい上限は0.020モル%である。上記微量共単量体を用いない場合、得られるTFE単独重合体から作製した測定用300℃延伸体Aは、引張り破断強度が32.0N未満となる。一方、上記微量共単量体単位が、上記範囲より大き過ぎると、却って上述の引張り破断強度が低下するので、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造するにあたっては、非溶融加工性PTFEの重合時における微量共単量体の添加量が重要である。
本明細書において、上記微量共単量体単位等の「単量体単位」は、PTFEの分子構造上の一部分であって、対応する単量体に由来する部分を意味する。例えば、TFE単位は、PTFEの分子構造上の一部分であって、TFEに由来する部分であり、−(CF−CF)−で表される。上記「全単量体単位」は、PTFEの分子構造上、単量体に由来する部分の全てである。
本明細書において、「全単量体単位に占める微量共単量体単位の含有率(モル%)」とは、上記「全単量体単位」が由来する単量体、即ち、PTFEを構成することとなった単量体全量に占める、上記微量共単量体単位が由来する微量共単量体のモル分率(モル%)を意味する。
なお、上記微量共単量体単位がごく微量である場合、本願出願時点で可能な測定方法では検出限界により、微量共単量体単位のモル%を直接測定することができない場合があるが、TFEの単独重合体と比べて非晶係数が有意に大きい値を示すことから、ごく微量であっても微量共単量体を重合して得られた微量変性PTFEであることがわかる。
上記微量共単量体は、上記重合反応の開始前に添加するものである。上記重合反応の開始前に上記微量共単量体を添加することにより、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部は、上記微量共単量体が比較的多く重合された微量変性PTFEになり、上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部から表面に向かって、徐々にTFEの単独重合体の組成に近くなっている。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法は、特公昭58−39443号公報に開示されているPTFEのファインパウダー製造方法において、重合反応を開始させる前に上記の微量共単量体を所定量添加する方法である。従って、重合反応条件、重合開始剤、ラジカル捕捉剤、水性媒体等は、特公昭58−39443号公報に記載された条件や化合物等を採用することができる。
上記重合反応は、ラジカル捕捉剤を添加して行うものである。上記ラジカル捕捉剤は、上記TFEの全重合量の10質量%を超え、85質量%以下である量が消費されたときに添加するものである。上記範囲内であると、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子を後述のグラデーション粒子とすることができる。好ましい下限は、上記TFEの全重合量の30質量%であり、好ましい上限は、上記TFEの全重合量の40質量%である。
上記ラジカル捕捉剤は、上記水性媒体の0.7〜20ppmの濃度で添加するものである。上記ラジカル捕捉剤は、上記濃度で添加することにより重合反応を完全に停止させることなく重合反応速度を遅延させるので、上記重合反応は、上記ラジカル捕捉剤を添加した後も行うことができる。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法において、上記TFEと上記微量共単量体との重合反応は、一定の重合時間行うものである。上記一定の重合時間は、上記重合工程において、上記ラジカル捕捉剤を添加しないこと以外は同一の重合条件下に、重合反応の開始から上記TFEの全重合量が消費されるまでの時間の130%以上の時間である。上記範囲内で重合を行うことにより、ラジカル捕捉剤を添加した後も充分に重合反応を行い、得られる非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面を高分子量体とすることができる。好ましい下限は、140%、より好ましい下限は、145%である。上記範囲内であれば、350%以下であっても、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面を高分子量体にすることができる。
上記「同一の重合条件下」とは、重合温度、圧力、TFEの添加量、微量共単量体の種類及び添加量等の重合に関する全ての条件が、上記重合工程と同じであることを意味する。上記一定の重合時間は、上記ラジカル捕捉剤を上記TFEの全重合量の10質量%を超え、85質量%以下である量が消費されたときに添加することから明らかであるように、上記ラジカル捕捉剤を添加する前の重合時間、及び、上記ラジカル捕捉剤を添加した後の重合時間の合計時間である。
上記重合反応は、通常、55〜120℃で行うものである。上記重合反応は、ラジカル捕捉剤を添加する前だけではなく、ラジカル捕捉剤を添加した後も上記温度範囲で行うものである。上記温度範囲の好ましい下限は、60℃であり、好ましい上限は、90℃である。
上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子は、微量共単量体を重合反応の開始前に添加すること、ラジカル捕捉剤を添加して重合反応を遅らせること、及び、上記一定の重合時間反応を行うことにより、通常、上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部が微量共単量体を比較的多く重合させた微量変性PTFEからなり、上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部から表面に近づくに従って徐々にTFEの比率が上昇し、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面が高分子量体となっているグラデーション粒子となるものである。本明細書において、上記「非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部」とは、非溶融加工性PTFEの1つのコロイド状粒子の全質量のうち中心のM質量%を占める部分であって、上記Mは、上記重合工程により得られる非溶融加工性PTFEの全てのコロイド状粒子の値の平均値が、50質量%であるものを意味する。
特開平11−240917号公報に記載されている重合法では、初期にのみTFEと共重合させるフルオロ単量体を仕込んでいるので、得られるTFE系共重合体のコロイド状粒子は、TFE系共重合体のコロイド状粒子の中心部がフルオロ単量体を比較的多く重合させたPTFEからなり、TFE系共重合体のコロイド状粒子中心部から表面に近づくに従って徐々にTFEの比率が上昇している。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法は、重合反応の開始前に微量共単量体を添加する点で、特開平11−240917号公報に記載されている重合法と一見共通するようではあるが、ラジカル捕捉剤を重合の途中で添加して重合反応速度を遅延させること、及び、ラジカル捕捉剤を添加した後においても重合を継続させることよりなるものであるのに対し、特開平11−240917号公報に記載されている重合法は、ラジカル捕捉剤を添加せず重合反応の途中で反応速度を変えるための手段をとらないものである点で、異なるものである。上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子は、このように表面が重合反応速度を制御して得られたものであるので、特開平11−240917号公報に記載されているTFE系共重合体のコロイド状粒子の表面と比較して重合度が高いものと考えられる。
また、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、上記特性(3)「測定用320℃延伸体Aについての引張り破断強度が、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度の115%以上であること」を有し、且つ、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N未満(29.0N未満であってもよい。)である場合、ラジカル捕捉剤を重合の途中で添加して重合反応速度を遅延させ、ラジカル捕捉剤を添加した後においても重合を継続させることよりなるものであれば、(i)上述のように、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部が微量共単量体を比較的多く重合させた微量変性PTFEからなり、上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部から表面に近づくに従って徐々にTFEの比率が上昇し、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面が高分子量体となっているグラデーション粒子となるものであってもよいし、又は、(ii)重合開始時に微量共単量体を添加せずにTFEホモポリマーを重合したのち(例えば、ラジカル捕捉剤を添加した後等)に微量共単量体を添加することにより製造するものであってもよい。
コア−シェル型PTFE粒子は、コア部とシェル部とで明確又はほぼ明確に組成が異なるものである。本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法は、ラジカル捕捉剤を添加した後においても重合反応を完全に停止させることなく重合反応速度を遅延させて継続し、重合反応の開始から終了まで連続的に行うものであるのに対し、コア−シェル型PTFE粒子の重合方法は、一般に、コア部の重合と、シェル部の重合とを段階的に分けて行うものである点で、異なるものである。上述の重合方法の違いにより、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子は、明確な構造の境界を有さないものであるのに対し、コア−シェル型PTFE粒子は、粒子構造がコア部とシェル部とに明確又はほぼ明確に分かれているという粒子構造上の相違が生じる。非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子は、また、その中心部が微量共単量体を比較的多く重合した微量変性PTFEから構成されていて、上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の中心部から表面に近づくに従って徐々にTFEの比率が上昇し、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子の表面が高分子量体となっているグラデーション粒子であることに対し、コア−シェル型PTFE粒子は、組成分布がコア部とシェル部とで明確又はほぼ明確に異なるという点で異なるものである。上記コア−シェル型PTFE粒子のファインパウダーは、延伸体についての引張り破断強度が本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーほど高くない。
上記非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子は、上述のように、特開平11−240917号公報に記載されているTFE系共重合体のコロイド状粒子と、コア−シェル型PTFE粒子とは明確に異なって、上述のような重合度、構造及び組成分布を有するものであるので、得られる延伸体に優れた引張り破断強度を与えることができると考えられる。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法に用いる上記微量共単量体は、CF=CFCl、下記一般式(I)
CF=CFX (I)
(式中、Xは、−Rf又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基を表し、末端に水素原子又は塩素原子を有していてもよい。)で表されるパーフルオロビニル基含有化合物、下記一般式(II)
CH=CX (II)
(式中、Xは、水素原子又はフッ素原子を表す。Xは、フッ素原子、−Rf又は−ORfを表す。Rfは、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基を表し、末端にフッ素原子又は塩素原子を有していてもよい。)で表される水素含有ビニル化合物、及び/又は、下記一般式(III)
Figure 0004951970
(式中、X及びXは、同一又は異なって、フッ素原子若しくは塩素原子を表す。Yは、−CF=CF−、又は、−CZ−を表す。Z及びZは、同一又は異なって、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で表される環状エーテル化合物である。上記微量共単量体は、上述の4種からなる群の少なくとも1種であればよく、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記パーフルオロビニル基含有化合物は、上記一般式(I)から明らかであるように、パーフルオロビニル基〔CF=CF−〕を有するものである。上記パーフルオロビニル基含有化合物としては特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ1−ヘキセン、パーフルオロ1−ノネン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等が挙げられる。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては特に限定されず、例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(n−プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。上記パーフルオロビニル基含有化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記水素含有ビニル化合物は、上記一般式(II)から明らかであるように、水素含有ビニル基〔CH=CX−〕を有するものである。上記水素含有ビニル化合物としては特に限定されず、例えば、上記一般式(II)における上記Xとしての−Rfがパーフルオロメチル基である(パーフルオロメチル)エチレン、−Rfがパーフルオロブチル基である(パーフルオロブチル)エチレン等が挙げられる。上記水素含有ビニル化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記環状エーテル化合物は、上記一般式(III)の−CZ−におけるZ及びZが、それぞれ独立して、上記−CZ−における炭素原子に結合しているものである。上記環状エーテル化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記微量共単量体としては、パーフルオロビニル基含有化合物、なかでも、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(n−プロピルビニルエーテル)がより好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)が更に好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法に用いる上記ラジカル捕捉剤は、重合系内の遊離基に付加したのち、又は、重合系内の遊離基に連鎖移動したのち、再開始能力を有しないものであることが好ましい。上記ラジカル捕捉剤としては、芳香族ヒドロキシ化合物、芳香族アミン類及び/又はキノン化合物が好ましく、これらは、更に、25℃における水への溶解度が2.5×10−6mol/L以上であることが好ましい。上記ラジカル捕捉剤は、1種又は2種以上用いることができる。
上記芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香環上にヒドロキシル基を有する化合物である。上記芳香族ヒドロキシ化合物としては特に限定されず、例えば、置換又は非置換のフェノール類、置換又は非置換の多価フェノール類、ヒドロキシ安息香酸が挙げられ、なかでも、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、p−ニトロソフェノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、ナフトール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログルシン、ナフトレゾルシノール、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、没食子酸等が好ましい。
上記芳香族アミン化合物は、芳香環上にアミノ基を有する化合物である。上記芳香族アミン化合物としては特に限定されず、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン等が挙げられる。本明細書において、上記o−アミノフェノール等のヒドロキシル基とアミノ基とを併有する芳香族化合物は、上記芳香族ヒドロキシ化合物に分類する。
上記キノン化合物としては特に限定されず、例えば、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、アリザリン等が挙げられる。
上記ラジカル捕捉剤としては、芳香族ヒドロキシ化合物が好ましく、ヒドロキノンがより好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法において、上記重合工程は、水性媒体中において重合反応を行うものである。上記水性媒体は、その中で上記重合反応を行わせることができる媒体であって、主として水からなるものである。上記水性媒体は、主として水からなるものであれば、低分子量のアルコール等の水溶性有機液体を含むものであってもよいが、上記水溶性有機液体を含まないものであることが好ましい。上記重合反応は、水溶性重合開始剤と非テロゲン性界面活性剤とを添加して行うものである。上記重合反応は、上記水性媒体と重合安定剤としてパラフィンを含む反応媒体中で行うこともできる。
上記水溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸アルカリ金属塩等が挙げられ、なかでも、過硫酸アンモニウムが好ましい。上記水溶性重合開始剤の添加量は、上記水性媒体の0.004質量%以下であることが好ましい。好ましい下限は、上記水性媒体の0.0001質量%である。
上記非テロゲン性界面活性剤は、非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子を水性媒体中に安定に存在させるために加えられるものである。上記非テロゲン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、炭素原子に結合しているフッ素原子を有する酸又はその塩である含フッ素非テロゲン性界面活性剤等が挙げられ、上記酸である含フッ素非テロゲン性界面活性剤としては、例えば、X(CFCOOH(式中、Xは水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、nは6〜12の整数を表す。)、Cl(CFCFCl)CFCOOH(式中、mは2〜6の整数を表す。)、C2p+1SOH(式中、pは5〜9の整数を表す。)で表されるもの等が挙げられる。上記非テロゲン性界面活性剤の添加量は、上記水性媒体の0.01〜0.5質量%であることが好ましい。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法において、上記重合工程により得られる非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子は、後述の凝集を行う前において、平均一次粒子径が0.1〜0.5μmであるものである。好ましい下限は、0.2μmであり、好ましい上限は、0.3μmである。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法は、上記重合工程を有し、通常、更に、上記重合工程で得られた非溶融加工性PTFEのコロイド状粒子を凝集し、乾燥する工程を有するものである。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、通常、非晶係数が0.06〜0.22であることが好ましい。
上記非晶係数のより好ましい下限は0.09であり、より好ましい上限は0.21である。上記非晶係数は、ペースト押出成形や延伸等を行う前の非溶融加工性PTFEファインパウダーそのものについて測定した値である。
上記非溶融加工性PTFEファインパウダーは、非溶融加工性PTFEファインパウダーそのものについて測定した非晶係数が上述の範囲内の値を示すことから、微量変性PTFEであることがわかる。
上記非溶融加工性PTFEファインパウダーは、非晶係数が、上述の延伸体について測定した非晶係数と同様、上述の範囲内のように比較的大きい値であるので、引張り破断強度を下げることなくペースト押出時の押出加工性を向上させた延伸体を作製することができ、引張り破断強度に優れた延伸体を効率よく作製することができる。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーは、測定用300℃延伸体A及び/又は測定用320℃延伸体Aが、上述のような引張り破断強度を有するので、延伸体にして使用する場合に優れた耐久性を発揮することができ、例えば、テント、シール材等の製造用材料及び各種被覆用途の材料に好適に用いることができ、上記製造用材料としては、更に、衣料材料;フィルタープレスの濾布、バグフィルターのフェルト地基布等の繊維材料;薬液フィルター膜等の膜用材料が挙げられる。
本発明の非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーからペースト押出により得られる押出成形体を延伸することにより得られることを特徴とする延伸体もまた、本発明の一つである。
上述の本発明の非溶融加工性PTFEは、テトラフルオロエチレン〔TFE〕とパーフルオロメチルビニルエーテル〔PMVE〕とを共重合して得られるものであることが好ましい。
上記TFEとPMVEとを共重合して得られる非溶融加工性PTFEもまた、本発明の一つである。本明細書において、上記「TFEとPMVEとを共重合して得られる非溶融加工性PTFE」を以下、「非溶融加工性PTFE(A)」ということがある。本明細書において、上記「(A)」を付すことなく単に「非溶融加工性PTFE」というときは、上記非溶融加工性PTFE(A)をも含むが上記非溶融加工性PTFE(A)に限定されない上述の本発明の非溶融加工性PTFEを意味する。
上記非溶融加工性PTFE(A)は、微量共単量体としてPMVEを用いたものであるが、微量共単量体単位は、0モル%を超え、0.022モル%以下であることが好ましい。より好ましい上限は0.020モル%、より好ましい下限は0.001モル%である。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)としては特に限定されず、例えば、上述の非溶融加工性PTFEファインパウダーを構成するものであるほか、水性分散体、溶液、ペレット、各種成形体、水性分散体若しくは溶液を塗装して得られる被膜等を構成するものであってよい。
上記共重合の方法としては、上述した本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを製造する方法に関する説明において記載した重合方法と同様の方法が挙げられる。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)は、非晶係数が0.06〜0.22であるものである。
上記非晶係数は、上述の延伸体について測定した非晶係数とは異なり、上述の本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーと同様にファインパウダーを調製し、ペースト押出成形や延伸等を行う前の上記ファインパウダーそのものについて測定した値である。
上記非晶係数は、一般に、変性の程度と関連性があり、上記非晶係数の値から、測定対象物がTFEの単独重合体であるか又は微量変性PTFEであるかが分かる。特に、延伸体ではないファインパウダーそのものについて測定した非晶係数は、変性の程度との関連性が高く、上記範囲内の非晶係数であると、測定対象物がTFEの単独重合体ではなく微量変性PTFEであることがわかる。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)は、上記範囲内の非晶係数を有するものであるので、ペースト押出時の押出圧力が低く、押出加工性に優れている。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)は、微量共単量体単位の含有率がごく微量であるので、引張り破断強度に優れ、比表面積が大きい延伸体の材料として有用である。
例えば、本発明の非溶融加工性PTFE(A)を用いて、測定用300℃延伸体Aを作製する場合、引張り破断強度が32.0N以上であるものを作製することができる。
上記引張り破断強度のより好ましい下限は32.5N、更に好ましい下限は、33.0Nである。測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度は、上記範囲内であれば、耐久性の点で40.0N以下であってもよい。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)を用いて、測定用300℃延伸体Aを作製する場合、比表面積が11000m/kg以上であるものを作製することができる。
上記比表面積は、11500m/kg以上であることが好ましいが、上記範囲内であれば、17000m/kg以下であってもよい。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)を用いて、測定用300℃延伸体Aを作製する場合、更に、引張り破断強度が32.0N以上であり、比表面積が11000m/kg以上であるものを作製することができる。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)は、上述した特性を有する本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを好適に構成することができる。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)は、本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを好適に構成することができるものであるので、延伸体にして使用する場合に、上述のような引張り破断強度を示し、優れた耐久性を発揮することができる。本発明の非溶融加工性PTFE(A)は、例えば、上述した本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーに関する用途において好適に用いることができる。
本発明の非溶融加工性PTFE(A)からなる延伸体もまた、本発明の一つである。
以下に本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダーを特定するために使用している各種の測定用試料、要素等について、作製方法及び測定方法を説明する。実施例におけるデータは、下記の作製方法及び測定方法で得られたものである。
(ペースト押出方法)
特開2000−143727号公報の〔0046〕に開示されている方法に本質的に従う。
「微粉樹脂(非溶融加工性PTFEファインパウダー)のサンプル(100g)を樹脂及び潤滑剤を合わせた質量に基づき、18.0質量%の潤滑剤(商品名:IP1620(登録商標)、出光石油化学社製)と室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、サンプルビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置する。潤滑化樹脂は、オリフィス(直径2.4mm、ランドの長さ5mm、導入角30゜)を通して、100:1の減速比、室温で均一なビード(beading;押出成形体)にペースト押出される。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)である。潤滑剤は、230℃で30分加熱することにより、ビードから除かれる。」
(押出圧力)
押出圧力は、上述のペースト押出方法において、押出負荷が平衡状態になったときの負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの面積で除した値とする。
(微量共単量体含有量)
非溶融加工性PTFEファインパウダーを高温下で溶融させて、F19−NMR測定を行い、得られる微量共単量体中の官能基に由来するシグナルから算出した。
例えば、本願実施例にて使用したPMVEの含有量は、360℃にてF19−NMR測定を行い、以下の式に基づき算出した。
微量共単量体含有量(mol%)=(4B/3)/(A+(B/3))×100
(A=−118ppm付近に現れるCFシグナルとCFシグナルとの合計、B=−52ppm付近に現れるPMVE由来のCFシグナルの積分値)
(測定用300℃延伸体Aの作製方法)
「ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間が1.5インチ(38mm)または2.0インチ(51mm)のいずれかの間隔となるよう、各末端を固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、長さの増加であり、通常元の長さと関連して表わされる。」
上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、100%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。
(測定用320℃延伸体Aの作製方法)
320℃に加熱する以外は、測定用300℃延伸体Aの作製方法と同じ条件で延伸を行う。
(測定用300℃延伸体Bの作製方法)
クランプ間隔を1.5インチ(38mm)とし、ストレッチ速度を1000%/秒とすること以外は、上記測定用300℃延伸体Aの作製方法と同様に延伸を行う。
(測定用300℃延伸体Cの作製方法)
上記測定用300℃延伸体Aの作製方法と同じ条件で延伸を行う。
(測定用320℃延伸体Cの作製方法)
上記測定用320℃延伸体Aの作製方法と同じ条件で延伸を行う。
(延伸体の引張り破断強度)
測定用300℃延伸体A及び測定用320℃延伸体Aについてそれぞれ、引張試験機(商品名:AGS−500D、島津製作所社製)を用いて、室温で300mm/分の速度で測定する。
(延伸体の比表面積)
測定用300℃延伸体A及び測定用320℃延伸体Aの作製方法に従って得られた測定用320℃延伸体Aについて、それぞれBET式1点法比表面積測定装置(商品名:MONOSORB、ユアサアイオニクス社製)を用いて測定する。キャリアガスは、ヘリウム70%、窒素30%のものを使用する。
(応力緩和時間)
応力緩和時間の測定は、上述の測定用300℃延伸体Bの作製方法に従って得られた測定用300℃延伸体Bを試料として用いて、特開2000−143727号公報の〔0047〕に開示されている方法に従う。
「このビードサンプル(測定用300℃延伸体B)の両方の末端は、固定具につなげることにより、ぴんと張られた全長8インチ(15cm)のビードである。応力緩和時間とは、この標本が390℃、すなわち、米国特許第5,470,655号に開示されている延長鎖形状(extended chain configuration)の溶ける380℃より高い温度でオーブン中に放置した後に破断するのに要する時間である。固定具における標本は、オーブンの側部にある(覆われた)スロットを通してオーブンに挿入されるので、標本を配置する間に温度は下降することがなく、それゆえに米国特許第4,576,869号に開示されたように回復にしばしの時間を必要としない。」
(非晶係数)
PTFEファインパウダー、測定用300℃延伸体C及び測定用320℃延伸体Cについてそれぞれ、赤外分光分析装置(商品名:FT−IR spectrometer 1760X、PERKIN ELMER社製)を用いて赤外スペクトルを測定し、それぞれ波数778cm−1における吸光度を波数2367cm−1における吸光度で除して得られる値を非晶係数とする。
(標準比重)
ASTM D 4895−89に準拠して、試料を作製し、得られた試料の比重を水置換法によって測定する。
(PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径)
PTFEのコロイド状粒子のラテックスを水で固形分濃度が0.15質量%になるまで希釈し、得られた希釈ラテックスの単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して決定した数基準長さ平均粒子径とを測定して、検量線を作成する。この検量線を用いて、各試料の550nmの投射光の実測透過率から数平均粒子径を決定する。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダー及び非溶融加工性PTFEは、上述の構成を有するので、引張り破断強度に優れた延伸体を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
ステンレススチール製アンカー型攪拌翼と温度調節用ジャケットを備えた内容量6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、脱イオン水2960ml、パラフィンワックス120g及び非テロゲン性界面活性剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム4.5gを仕込み、70℃に加温しながらオートクレーブ内を窒素ガスで3回、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスで2回置換して酸素を除いた。その後、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕2ml(TFEの全重合量1000gに対して0.0015質量%)を仕込み、TFEを圧入して系内圧力を0.74MPaとし、250rpmの速度で攪拌しながら系内温度を70℃に保った。
次いで、水20mlに過硫酸アンモニウム15.0mgを溶解した水溶液をTFEで圧入後、TFEを追加して系内圧力を0.78MPaにし、重合反応を開始した。重合反応の進行に伴い系内圧力が低下するが、250rpmの速度で攪拌しながらTFEを追加して系内温度を70℃、系内圧力を0.78±0.05MPaに維持した。
重合開始からTFEが350g(TFEの全重合量1000gに対して35.0質量%)消費された時点で、ラジカル捕捉剤としてヒドロキノン12.0mgを水20mlに溶解した水溶液をTFEで圧入した(水性媒体に対して濃度4.0ppm)。重合はその後も継続し、TFEの重合量が重合開始から1000gになった時点でTFEの供給を止め、直ちに系内のガスを放出して常圧とし、重合反応を終了してPTFEのコロイド状粒子からなるラテックスを得た。反応時間は、10.5時間であった。この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が重合開始から1000gになるまでの反応時間(6時間)の175%に相当した。
得られたPTFEのコロイド状粒子からなるラテックスについて、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径を測定すると、0.242μmであり、また、PTFEのコロイド状粒子からなるラテックス中におけるPTFEのコロイド状粒子の濃度は25.0質量%であった。
このPTFEのコロイド状粒子からなるラテックスを凝析して洗浄した後、210℃で18時間乾燥して、PTFEファインパウダーを得た。得られたPTFEファインパウダーの物性と、PTFEファインパウダーから得られる各種測定用延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。
実施例2
PMVEの仕込み量を5ml(TFEの全重合量1053gに対して0.0035質量%)とし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が379g(TFEの全重合量1000gに対して36.8質量%)となった時点とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径、PTFEファインパウダーの物性及びPTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が1053gになるまでの反応時間(6時間)の175%に相当した。
実施例3
PMVEの仕込み量を10ml(TFEの全重合量1053gに対して0.0070質量%)とし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が379g(TFEの全重合量1053gに対して36.0質量%)となった時点とし、反応時間を9時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径、PTFEファインパウダーの物性及びPTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が1053gになるまでの反応時間(6時間)の150%に相当した。
実施例4
PMVEの仕込み量を20ml(TFEの全重合量1000gに対して0.015質量%)とし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が355g(TFEの全重合量1000gに対して35.5質量%)となった時点とし、反応時間を11.6時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径、PTFEファインパウダーの物性及びPTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が1000gになるまでの反応時間(6時間)の193%に相当した。
実施例5
PMVEの仕込み量を50ml(TFEの全重合量1000gに対して0.037質量%)とし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が356g(TFEの全重合量1000gに対して35.6質量%)となった時点とし、反応時間を17.9時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径、PTFEファインパウダーの物性及びPTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が1000gになるまでの反応時間(6時間)の298%に相当した。
実施例6
PMVEの仕込み量を50ml(TFEの全重合量1000gに対して0.037質量%)とし、パーフルオロオクタン酸アンモニウム0.45gを重合初期に仕込み、TFEの重合量が134g(TFEの全重合量1000gに対して13.4質量%)となった時点でパーフルオロオクタン酸アンモニウム4.05gを追加仕込みし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が348g(TFEの全重合量1000gに対して34.8質量%)となった時点とし、反応時間を26.8時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径、PTFEファインパウダーの物性及びPTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が1000gになるまでの反応時間(6時間)の447%に相当した。
実施例7
PMVEの仕込み量を50ml(TFEの全重合量1000gに対して0.037質量%)とし、パーフルオロオクタン酸アンモニウム0.90gを重合初期に仕込み、TFEの重合量が134g(TFEの全重合量1000gに対して13.4質量%)となった時点でパーフルオロオクタン酸アンモニウム3.60gを追加仕込みし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が356g(TFEの全重合量1000gに対して35.6質量%)となった時点とし、反応時間を20.4時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEのコロイド状粒子の数平均粒子径、PTFEファインパウダーの物性及びPTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が1000gになるまでの反応時間(6時間)の340%に相当した。
実施例8
ステンレススチール製アンカー型攪拌翼と温度調節用ジャケットを備えた内容量6リットルのステンレススチール製オートクレーブに、脱イオン水2960ml、パラフィンワックス120g及び非テロゲン性界面活性剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウム4.5gを仕込み、70℃に加温しながらオートクレーブ内を窒素ガスで3回、テトラフルオロエチレン〔TFE〕ガスで2回置換して酸素を除いた。TFEを圧入して系内圧力を0.74MPaとし、250rpmの速度で攪拌しながら系内温度を70℃に保った。
次いで、水20mlに過硫酸アンモニウム15.0mgを溶解した水溶液をTFEで圧入後、TFEを追加して系内圧力を0.78MPaにし、重合反応を開始した。重合反応の進行に伴い系内圧力が低下するが、250rpmの速度で攪拌しながらTFEを追加して系内温度を70℃、系内圧力を0.78±0.05MPaに維持した。
重合開始からTFEが363g(TFEの全重合量1000gに対して36.3質量%)消費された時点で、ラジカル捕捉剤としてヒドロキノン12.0mgを水20mlに溶解した水溶液をTFEで圧入した(水性媒体に対して濃度4.0ppm)。重合はその後も継続し、TFEが920g(TFEの全重合量1000gに対して92.0質量%)消費された時点でパーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕15ml(TFEの全重合量1000gに対して0.0105質量%)を仕込み重合を継続した。
TFEの重合量が重合開始から1000gになった時点でTFEの供給を止め、直ちに系内のガスを放出して常圧とし、重合反応を終了してPTFEのコロイド状粒子からなるラテックスを得た。反応時間は、28.9時間であった。この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を続けた場合、TFEの重合量が重合開始から1000gになるまでの反応時間(6時間)の482%に相当した。
比較例1
PMVEの仕込み量を100ml(TFEの全重合量1000gに対して0.074質量%)とし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が350g(TFEの全重合量1000gに対して35質量%)となった時点とし、反応時間を22.8時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEファインパウダーの物性と、PTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を行った場合、TFEの重合量が1000gになるまでの反応時間(6時間)の380%に相当した。
比較例2
PMVEの仕込み量を200ml(TFEの全重合量1000gに対して0.150質量%)とし、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が380g(TFEの全重合量1000gに対して38質量%)となった時点とし、反応時間を26.6時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEファインパウダーの物性と、PTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を行った場合、TFEの重合量が1000gになるまでの反応時間(6時間)の443%に相当した。
比較例3
PMVEを添加せず、ヒドロキノンの添加時期を、TFEの重合量が367g(TFEの全重合量1032gに対して35.6質量%)となった時点とし、反応時間を12.5時間とした以外は実施例1と同様にしてPTFEのコロイド状粒子からなるラテックス及びPTFEファインパウダーを得、PTFEファインパウダーの物性と、PTFEファインパウダーから得られる延伸体の物性とを測定した。結果を表1に示す。なお、この反応時間は、ヒドロキノンを添加せずに重合を行った場合、TFEの重合量が1032gになるまでの反応時間(6時間)の208%に相当した。
各実施例及び各比較例の結果を、表1に示す。
Figure 0004951970
更に、実施例5から得られたPTFEファインパウダー及び比較例3から得られたPTFEファインパウダーについて、280〜330℃の範囲内における特定の延伸温度にて延伸体を作製し、破断強度について測定した。その結果を、図1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、微量共単量体をごく微量の量で用いた実施例1〜5では、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が32.0N以上であったのに対し、微量共単量体の量を多くした比較例1〜2では、延伸温度300℃では延伸体を得ることができず、延伸温度320℃では延伸体を得ることができたが、その引張り破断強度は低くかった。また、微量共単量体を用いなかった比較例3では、測定用300℃延伸体Aの引張り破断強度が32.0N未満であった。なかでも、実施例4、実施例5では、測定用300℃延伸体Aについての引張り破断強度が比較例3に比べて著しく大きくなっていた。
図1に示す結果から明らかなように、TFEの単独重合体を用いた比較例3は、延伸温度を上げても少しずつしか引張り破断強度が向上しないが、実施例5は延伸温度上昇に伴い引張り破断強度が著しく向上することが分かった。
本発明の非溶融加工性PTFEファインパウダー及び非溶融加工性PTFEは、上述の構成を有するので、引張り破断強度に優れた延伸体を得ることができる。
実施例5から得られたPTFEファインパウダー及び比較例3から得られたPTFEファインパウダーについて、280〜330℃の範囲内における特定の延伸温度にて延伸体を作製した時に測定した破断強度を表す図である。

Claims (3)

  1. テトラフルオロエチレンと微量共単量体を重合することにより得られた非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンからなり、
    前記微量共単量体はパーフルオロ(メチルビニルエーテル)であり、
    非晶係数が0.06〜0.22であることを特徴とする延伸体成形用非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー。
  2. 標準比重が2.165以下である請求項1記載の非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダー。
  3. 請求項1又は2記載の非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンファインパウダーからペースト押出により得られる押出成形体を延伸することにより得られることを特徴とする延伸体。
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