JP4951300B2 - ワイパー及びその製造方法 - Google Patents
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すなわち、本発明は、以下の通りである。
吸水繊維表面露出度={[第二層目付/(第一層目付+第二層目付)]×100}/(第一層目付)×100 (1)式
{式中、第一層目付は、第一層疎水性繊維層(A)の目付(g/m2)であり、そして第二層目付は、第二層吸水性繊維層(B)の目付(g/m2)である。}で表される該吸水繊維表面露出度が35〜300の範囲であり、そして該積層不織布の濡れ戻り量が1.0以上3.0g以下であることを特徴とする前記ワイパー。
(2)前記熱可塑性吸水性繊維が、ポリテトラメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルとポリアルキレングリコールとの共重合体からなり、かつ、ポリアルキレングリコールの共重合量が5〜90重量%である、(1)に記載のワイパー。
(3)前記不織布層(A)と(B)とが積層一体化された積層不織布に、前記不織布層(A)がさらに積層されている、(1)又は(2)に記載のワイパー。
(4)前記不織布層(B)が、メルトブロー法で形成されたものである、(1)〜(3)のいずれかに記載のワイパー。
(5)前記積層不織布の吸液速度が10秒/5ml以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載のワイパー。
(6)以下のステップ:
積層不織布表面への下記(1)式:
吸水繊維表面露出度={[第二層目付/(第一層目付+第二層目付)]×100}/(第一層目付)×100 (1)式
{式中、第一層目付は、第一層疎水性繊維層(A)の目付(g/m2)であり、そして第二層目付は、第二層吸水性繊維層(B)の目付(g/m2)である。}で表される吸水繊表面露出度が35〜300の範囲になるように、不織布層(A)及び(B)の目付をそれぞれ調整して、熱可塑性疎水性繊維からなる不織布層(A)上に、熱可塑性吸水性繊維からなる不織布層(B)を積層一体化する、
を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載のワイパーの製造方法。
(7)熱可塑性疎水性繊維からなる不織布層(A)上に、熱可塑性吸水性繊維からなる不織布層(B)を積層一体化するステップにおいて、該不織布層(B)を、メルトブロー法で形成し、そして得られた積層不織布を、熱エンボス処理により、部分熱圧着して一体化する、(6)に記載のワイパーの製造方法。
(8)以下のステップ:
不織布層(A)と(B)とが積層一体化された積層不織布に、前記不織布層(A)をさらに積層する、
をさらに含む、(6)又は(7)に記載のワイパーの製造方法。
本発明の吸湿率とは、JIS L1096一般織物試験方法の8.9水分率測定方法に準じ、温度40℃相対湿度80%での平衡水分率を吸湿率とした。
保水率T0(%)=〔(W2 −W1)/W1〕×100 (1)
吸水性樹脂は、ポリテトラメチレンテレフタレート主成分とするポリエステルとポリエチレングリコールとの共重合体からなる樹脂であり、ポリエチレングリコールの共重合量としては5〜90重量%、好ましくは10%〜80%であり、特に好ましくは30〜60wt%の範囲が適当である。
この共重合体の溶融粘度は特に制限はないが、常用のスパンボンド法やメルトブロー法にて繊維を得るためには、生産性の観点から、せん断速度1000秒−1での溶融粘度が100〜10000poiseの範囲のものを使用するのが好ましい。吸水性樹脂の粘度がこの範囲であると、特にメルトブロー法による極細繊維化が容易であり、吸水性を有する極細繊維不織布が得ることができる。この場合、極細繊維の繊径は0.5〜5μmの範囲が好ましく、不織布の目付は1.0〜100g/m2の範囲が可能であるが、低目付けの範囲(2〜10g/m2)でも、安定した不織布が得られる。
熱可塑性疎水性不織布層(以下、 熱可塑性不織布層と略称することがある)を構成する樹脂としては、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、またはポリオレフィン系ポリマー、およびこれらのブレンド等を挙げることができる。
ポリエステル系ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、生分解性ポリエステル等を挙げることができる。更にはこれらのポリエステルを主体とする共重合体、これらの混合物であってもよい。
また、熱可塑不織布層には、本発明の目的を損なわない範囲で前記の吸水性樹脂を混合した混合繊維、または吸水性樹脂との芯鞘、接合型の複合繊維を用いてもよい。不織布に用いる熱可塑性樹脂の溶融粘度は特に制限はないが、常用のスパンボンド法やメルトブロー法にて繊維を得るためには、生産性の観点から、せん断速度1000秒−1での溶融粘度が100〜10000poiseの範囲のものを使用するのが好ましい。
吸水繊維表面露出度={[第二層目付/(第一層目付+第二層目付)]×100}/(第一層目付)×100 (1)式
{式中、第一層目付は、第一層疎水性繊維層(A)の目付(g/m2)であり、そして第二層目付は、第二層吸水性繊維層(B)の目付(g/m2)である。}で表される。
本発明者らは、前述の吸水繊維表面露出度を適度に制御することが、二律背反する性能である吸液性、即ち速やかな吸液速度と、拭取り性の良さ、即ち濡れ戻り量が少なく、拭取り面に液残りが少ないことを両立させるために重要であることを見出し、(A)層と(B)層の不織布の目付を、上記露出度が35〜500になるように調整することにより、本発明の課題を解決するに到ったものである。
さらには、両外層を熱可塑性樹脂からなる疎水性不織布(好ましくは長繊維不織布)で構成し、かつ中間層として吸水繊維からなる不織布層を配置した、3層以上の不織布がオンラインで積層してなる不織布積層体であることが好ましい。
さらに、本発明の吸水性不織布積層体には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の後加工、例えば帯電防止剤などの付与をしてもよいし、染色、撥水加工などを施してもよい。
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
<リントフリー性>
20cm角の大きさの試料を測定容器内に吊るし、回転棒で叩きながら、試料から発生したリントの数を光散乱式粒子測定器(パーティカルカウンター、リオン(株)製KC-03)で測定し、カウンターに表示された0.3〜5ミクロンの粒子の合計数で試料からの粉塵発生を評価した。
不織布には、その製造方法によって、界面活性剤などの水に溶出しやすい成分が含まれている場合がある。下記の泡立ち試験により、定性的に不織布の不純物含有を比較評価した。
<泡立ち試験評価方法>
準備:サンプルを一晩恒温室で調湿する。(20℃、65%RH)
イ)純水150ccをビーカーに入れる。
ロ)調湿後のサンプル5gを、純水150ccの中に入れて5分間漬け込む。
ハ)5分後、ビーカーを1分間振りながら攪拌する。
ニ)上記ビーカーより60ccの液を、100ccシリンダーに採取する。
ホ)シリンダーを手にて蓋をし、上下に20回振る。
ヘ)シリンダーを立てて1分間放置し、泡立ちの状態を見て泡立ち性を判定する。
判定は、下記の基準で行った。
○:泡が無い状態か、ほとんど泡が目立たず液面に薄い筋状の泡が残る程度で壁面には泡は付着しない。
×:液面上に明らかに泡と分かる層が形成されており、シリンダーの壁面にも泡が付着
している。
下記式(1)で示す吸水倍率で不織布の吸水性を評価した。まず、20cm角の大きさの試料を温度20℃、相対湿度65%の雰囲気中で24時間調湿して重量W1(g)を測定し、次に温度20℃の水道水中に30分間浸漬した後取り出し、一箇所で1分間吊り下げた後の重量W2(g)を測定し、下記式(1)で吸水倍率T0 を求めた。
吸水倍率T0(倍)=〔(W2−W1 )/W1 〕 (1)
<吸水速度>
12.5mm×12.5mmの大きさの試料を用いて、試料が水5mlを吸水する速度を求めた。測定はEDANA法に準拠して実施。
<拭取り性>
ワイパーにて液体を拭取る際の拭取り性は、液が試料に吸収された後に荷重によって排出される濡れ戻りが少ない物が良好である。濡れ戻り性はエダナ法に準じて、以下の方法で測定を行った。
濡れ戻り性:自重の3.4倍の水を含んだ濾紙の上に12.5mm×12.5mmの試料を設置し、
その上に乾燥した濾紙を乗せ、さらにその上部に3.5kgの錘を2分間乗せて上部の濾紙への濡れ戻り量を測定。
<ポリエステルの固有粘度>オルトクロロフェノールを溶媒とし、試料濃度1g/100cc、温度35℃の条件で定法により測定した。
<メルトフローレート>JIS K 7210に記載の方法に準じてメルトフローレート(MFR)を測定した。
[実施例1]
次に固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45重量%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給し、270℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して2.5μmの吸水性繊維からなる目付が4g/m2の中間層の吸水繊維層ウェブを得た。この吸水繊維層ウェブの40℃相対湿度80%における吸湿率は11%、保水率は85%であった。
得られた吸水性ウェブを目付が30g/m2のポリエチレンテレフタレート繊維からなる表面第三層ウェブで挟み、165℃に加熱した長方形柄エンボス(圧着面積率11.4%)ロールとフラットロール間でとフラットロール間で線圧180N/cmにて部分熱圧着して、64g/m2の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表1に示す。
[実施例2〜8]
吸水性繊維の表面露出度は50〜200の範囲であり、実施例1と比較しても、吸水速度が3秒/5ml以下となり、更に性能が向上し、濡れ戻り量は2g以下であり、吸水速度と濡れ戻り量の両方の性能をより満足するクリーンルーム用ワイパーであった。
[実施例9]
吸水性繊維の表面露出度は267であり、吸水速度が2.6秒/5ml以下と向上するが、濡れ戻り量は3.0gとなった。比較例3〜4に比べて吸水速度は同程度であるが、濡れ戻り量が少なく、拭取り面への液の残りの少ない拭取り性に優れたクリーンルーム用ワイパーであった。
[比較例1〜2]
[比較例3〜4]
[比較例5]
[比較例6]
Claims (8)
- 熱可塑性疎水性繊維からなる不織布層(A)と、熱可塑性吸水性繊維からなる不織布層(B)とが積層一体化された積層不織布からなるワイパーであって、該熱可塑性疎水性繊維がスパンボンド法によって製造された長繊維であり、該熱可塑性吸水性繊維がポリアルキレングリコールを共重合させて得られた熱可塑性吸水性樹脂からなる繊維であり、該積層不織布表面への下記(1)式:
吸水繊維表面露出度={[第二層目付/(第一層目付+第二層目付)]×100}/(第一層目付)×100 (1)式
{式中、第一層目付は、第一層疎水性繊維層(A)の目付(g/m2)であり、そして第二層目付は、第二層吸水性繊維層(B)の目付(g/m2)である。}で表される該吸水繊維表面露出度が35〜300の範囲であり、そして該積層不織布の濡れ戻り量が1.0以上3.0g以下であることを特徴とする前記ワイパー。 - 前記熱可塑性吸水性繊維が、ポリテトラメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルとポリアルキレングリコールとの共重合体からなり、かつ、ポリアルキレングリコールの共重合量が5〜90重量%である、請求項1に記載のワイパー。
- 前記不織布層(A)と(B)とが積層一体化された積層不織布に、前記不織布層(A)がさらに積層されている、請求項1又は2に記載のワイパー。
- 前記不織布層(B)が、メルトブロー法で形成されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイパー。
- 前記積層不織布の吸液速度が10秒/5ml以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイパー。
- 以下のステップ:
積層不織布表面への下記(1)式:
吸水繊維表面露出度={[第二層目付/(第一層目付+第二層目付)]×100}/(第一層目付)×100 (1)式
{式中、第一層目付は、第一層疎水性繊維層(A)の目付(g/m2)であり、そして第二層目付は、第二層吸水性繊維層(B)の目付(g/m2)である。}で表される吸水繊表面露出度が35〜300の範囲になるように、不織布層(A)及び(B)の目付をそれぞれ調整して、熱可塑性疎水性繊維からなる不織布層(A)上に、熱可塑性吸水性繊維からなる不織布層(B)を積層一体化する、
を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のワイパーの製造方法。 - 熱可塑性疎水性繊維からなる不織布層(A)上に、熱可塑性吸水性繊維からなる不織布層(B)を積層一体化するステップにおいて、該不織布層(B)を、メルトブロー法で形成し、そして得られた積層不織布を、熱エンボス処理により、部分熱圧着して一体化する、請求項6に記載のワイパーの製造方法。
- 以下のステップ:
不織布層(A)と(B)とが積層一体化された積層不織布に、前記不織布層(A)をさらに積層する、
をさらに含む、請求項6又は7に記載のワイパーの製造方法。
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