JP4951167B2 - 生分解性樹脂組成物 - Google Patents
生分解性樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4951167B2 JP4951167B2 JP27064799A JP27064799A JP4951167B2 JP 4951167 B2 JP4951167 B2 JP 4951167B2 JP 27064799 A JP27064799 A JP 27064799A JP 27064799 A JP27064799 A JP 27064799A JP 4951167 B2 JP4951167 B2 JP 4951167B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- biodegradable resin
- clay mineral
- layered clay
- organic
- composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Biological Depolymerization Polymers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は有機化された層状粘土鉱物を含む生分解性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂との共重合物等は生分解性を有する樹脂として知られている。これらの生分解性樹脂は微生物や酵素の働きにより分解されるが、その生分解速度は必ずしも早いものではない。したがって、澱粉等の天然樹脂を添加することにより生分解速度の向上を図ることが従来より行われてきた。しかしながら、澱粉等の天然樹脂の添加により樹脂の剛性や耐熱性が低下するため、適用可能な用途が限定されるという問題があった。
【0003】
生分解性樹脂に添加物を加えて性能向上を図るその他の方法として、例えば、特開平9−169893号公報に開示された方法が知られている。すなわち、生分解性を有するポリエステル樹脂に層状珪酸塩を添加することにより得られた樹脂組成物を用いる方法である。この公報によれば、層状珪酸塩の添加によって、生分解性という本来の性質を損なうことなくポリエステル樹脂の結晶化速度を速くすることができ、そのためにカッティング性や成形性等の向上が可能であるとされる。しかしながら、開示された樹脂組成物には剛性の向上や生分解速度の向上が施されておらず、上記した問題点を解消するには到っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、剛性が十分に高く、且つ生分解速度も速い生分解性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、有機化剤により有機化された層状粘土鉱物を生分解性樹脂中に微分散することにより、生分解性樹脂組成物の剛性を十分に高くすることができ、且つ生分解性速度を速くすることも可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明の生分解性樹脂樹脂組成物は、生分解性樹脂と、該生分解性樹脂中に分散されている有機化剤により有機化された層状粘土鉱物とを含み、前記有機化された層状粘土鉱物の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記有機化剤が、有機オニウム化合物であることが好ましく、前記生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステル、ポリサッカライド、ポリペプチド及びリグニンからなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂若しくはこれらの誘導体であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂と、該生分解性樹脂中に分散されている有機化剤により有機化された層状粘土鉱物とを含み、前記有機化された層状粘土鉱物の平均粒径が1μm以下であることを特徴とする組成物である。
【0009】
本発明において用いられる生分解性樹脂は、微生物や酵素等によって分解若しくは低分子量化されうる樹脂であればよく特に制限されないが、脂肪族ポリエステル、ポリサッカライド、ポリペプチド、リグニン又はこれらの誘導体であることが好ましい。これらの樹脂は、基本的に単独で生分解性樹脂として用いることができるものであるが、実用上、剛性及び/又は生分解速度が必ずしも十分でないため、本発明において用いる生分解性樹脂として好適である。
【0010】
脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等に代表される、少なくとも1種類のグリコールと少なくとも1種類の脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応により得られるポリエステルが挙げられる。
【0011】
上記ポリエステルの原料としては、主成分のグリコールに3官能以上のポリオールを一部添加したものを用いてもよく、また、主成分の脂肪族ジカルボン酸に芳香族ジカルボン酸及び/又は3官能以上のポリカルボン酸を一部添加したものを用いてもよい。また、本発明に用いられる脂肪族ポリエステルは、上記したポリエステルの2種以上のブレンド物若しくは共重合物であってもよい。
【0012】
上記の脂肪族ポリエステルに加えて、ポリ乳酸やポリグリコール酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸)又はこれらの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロキオラクトン)、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシカプレート)等の脂肪族ポリエステルも生分解性樹脂として用いることができる。
【0013】
本発明の生分解性樹脂として用いられるポリサッカライドとしては、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン等が挙げられる。これらのポリサッカライドは、その分子の少なくとも一部が他の化学物質で置換されたり、分子の少なくとも一部に他の化学物質が付加したようなポリサッカライド誘導体であってもよい。セルロースの誘導体としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0014】
本発明の生分解性樹脂として用いられるポリペプチドとしては、例えば、コラーゲン及びコラーゲン誘導体が挙げられる。また、生分解性樹脂として用いられるリグニンは、木化した植物体から得られるフェニルプロパン骨格の樹脂及びその誘導体であればよく、その単離方法には制限はない。
【0015】
上記した脂肪族ポリエステル、ポリサッカライド、ポリペプチド及びリグニンは、単独で用いてもよく2種以上混合及び/又は反応させて用いてもよい。
【0016】
本発明において用いられる層状粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロサイト等のカオリナイト族;モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、マイカ等のスメクタイト族;バーミキュライト族等の層状粘土鉱物が挙げられる。層状粘土鉱物は天然物由来のものでも、天然物の処理品でも、膨潤性のフッ素化マイカのように合成品でもよい。上記の層状粘土鉱物は単独で用いてもよく2種類以上の混合物として用いてもよい。なお、イオン交換容量は50〜200meq/100gであることが好ましい。
【0017】
本発明において有機化とは、有機物を上記の層状粘土鉱物の表面及び/又は層間に物理的、化学的方法により吸着及び/又は結合させることを意味する。また、有機化剤とはこのような吸着及び/又は結合が可能な有機物をいい、溶媒中でイオンを生じる極性基を有する有機化合物が通常用いられる。
【0018】
このような有機化剤としては、層状粘土鉱物に対する反応性及び生分解性樹脂中での層状粘土鉱物の分散性の観点から、有機アンモニウム化合物、有機ホスホニウム化合物、有機ピリジニウム化合物、有機スルホニウム化合物等の有機オニウム化合物を用いることが好ましい。なかでも、生じる有機オニウムイオンの反応性が良好なことから、有機アンモニウム化合物及び有機ホスホニウム化合物を用いることがより好ましい。
【0019】
上記の有機オニウム化合物における孤立電子対を有する化合物(例えば、有機アンモニウム化合物においては窒素)に結合する有機基の炭素数は特に制限されないが、最長鎖の有機基の炭素数は6〜24であることが好ましく、6〜18であることがより好ましい。最長鎖の炭素数が6未満である場合は、層状粘土鉱物の有機化の効果が不十分になる傾向にあり、24を超す場合は生分解性樹脂中における層状粘土鉱物の分散が不十分になる傾向にある。また、上記の有機オニウム化合物における孤立電子対を有する化合物に結合する有機基の数は1以上、結合が許される最大数以下である。なお、この有機基はカルボキシル基、水酸基、チオール基、ニトリル基等を有していてもよい。
【0020】
有機化剤として用いられる有機アンモニウム化合物としては、第一級、第二級、第三級及び第四級の有機アンモニウム化合物がいずれも使用できる。このようなアンモニウム化合物としては、ヘキシルアンモニウム化合物、オクチルアンモニウム化合物、デシルアンモニウム化合物、ドデシルアンモニウム化合物、テトラデシルアンモニウム化合物、ヘキサデシルアンモニウム化合物、オクタデシルアンモニウム化合物、ヘキシルトリメチルアンモニウム化合物、オクチルトリメチルアンモニウム化合物、デシルトリメチルアンモニウム化合物、ドデシルトリメチルアンモニウム化合物、テトラデシルトリメチルアンモニウム化合物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム化合物、オクタデシルトリメチルアンモニウム化合物、ドデシルジメチルアンモニウム化合物、ドデシルメチルアンモニウム化合物、ジオクタデシルアンモニウム化合物、ジオクタデシルジメチルアンモニウム化合物等が挙げられる。これらの有機アンモニウム化合物は単独で使用してもよいが2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
層状粘土鉱物の有機化は、例えば、本出願人による特許第2627194号公報に開示されている方法により行うことができる。すなわち、層状粘土鉱物中の無機イオンを、上記の有機オニウム化合物から生じる有機オニウムイオン(例えば、有機アンモニウム化合物においては有機アンモニウムイオン)によりイオン交換することにより行うことができる。
【0022】
有機アンモニウム化合物を用いる場合においては、例えば、次のような方法により有機化を行うことができる。すなわち、塊状の層状粘土鉱物を用いる場合は、まずこれをボールミル等により粉砕し粉体化する。次いで、ミキサー等を用いてこの粉体を水中に分散させ層状粘土鉱物の水分散物を得る。これとは別に、水に塩酸等の酸及び有機アミンを加え有機アンモニウム化合物の水溶液を調製する。この水溶液を上記層状粘土鉱物の水分散物に加え混合することにより、層状粘土鉱物中の無機イオンが有機アンモニウム化合物から生じた有機アンモニウムイオンによりイオン交換される。この混合物から水を除去することにより有機化された層状粘土鉱物を得ることができる。有機アンモニウム化合物や層状粘土鉱物の分散媒体としては、水以外にもメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、これらの混合物及びこれらと水の混合物等も使用することが可能である
【0023】
本発明の生分解性樹脂組成物は、上記の生分解性樹脂と有機化された層状粘土鉱物を含むものであるが、この生分解性樹脂組成物は、例えば、生分解性樹脂と有機化された層状粘土鉱物とを水や有機溶剤等の溶媒に分散若しくは溶解させた後、溶媒を除去することにより得ることができる。
【0024】
また、生分解性樹脂と有機化された層状粘土鉱物とを混ぜ合わせた後、当該生分解性樹脂の融点若しくは軟化点以上に加熱することにより得ることもできる。加熱時には、せん断力を加え有機化された層状粘土鉱物を均一に分散させることが好ましく、加熱しつつせん断力を加える手段としては押出機を用いることが好ましい。この際、有機溶媒、オイル等を添加することができ、層状粘土鉱物の分散後あるいは分散過程において生分解性樹脂の架橋を行ってもよい。
【0025】
上記の方法以外にも、例えば、生分解性樹脂を形成するモノマーに有機化された層状粘土鉱物を加え、有機化された層状粘土鉱物の存在下でモノマーの重合を行い、生分解性樹脂組成物を得ることが可能である。
【0026】
生分解性樹脂と有機化された層状粘土鉱物の混合比は、前者100重量部に対して後者が好ましくは0.01〜200重量部であり、より好ましくは0.1〜100重量部であり、特に好ましくは0.1〜30重量部である。層状粘土鉱物の重量部が0.01重量部未満である場合は、生分解性樹脂組成物の剛性および生分解速度の向上の程度が十分でなくなる傾向にあり、他方、200重量部を超す場合は、生分解性樹脂が連続層を形成できなくなる傾向にあり、生分解性樹脂組成物の剛性が低下する恐れがある。
【0027】
なお、本発明においては、生分解性樹脂組成物の特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、難燃剤、酸化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、強化剤等を加えることができる。
【0028】
有機化された層状粘土鉱物は、上記のような方法により生分解性樹脂中に分散させることが可能であり、分散した層状粘土鉱物は1μm以下の平均粒径を有する。すなわち、層状粘土鉱物は有機化が施されているために生分解性樹脂とのなじみがよく、両者を混合する際に一方が凝集・分離することが防止され分散が効果的に行われるために、生分解性樹脂中に分散する層状粘土鉱物の平均粒径を上述のように1μm以下にすることが可能となる。
【0029】
また、層状粘土鉱物は粘土鉱物が層状に積層した構造を有しているが、有機化が施されていることによりこの層の間への生分解性樹脂の挿入が可能となる。この結果、1μmよりもかなり小さい平均粒径(例えば、数〜数百nmの平均粒径)で、層状粘土鉱物を生分解性樹脂中に分散することが可能になる。一方で、有機化が施されていない層状粘土鉱物は生分解性樹脂とのなじみが悪く、また層間への生分解性樹脂の挿入が起こらないために、平均粒径1μm以下で層状粘土鉱物を分散させることは非常に困難である。
【0030】
本発明においては、生分解性樹脂中に分散された、有機化された層状粘土鉱物は、0.01〜1μmの平均粒径を有していることが好ましく、0.05〜1μmの平均粒径を有していることがより好ましい。有機化された層状粘土鉱物の平均粒径が1μmを超える場合は、生分解性樹脂の剛性が十分に高くならない傾向にある。
【0031】
また、本発明においては、生分解性樹脂が、有機化された層状粘土鉱物の層間に挿入(インターカレーション)された状態にあることが好ましい。インターカレーションにより層状粘土鉱物と生分解性樹脂との界面が大きくなり、層状粘土鉱物による生分解性樹脂の補強効果がより向上する。
【0032】
層状粘土鉱物の層間距離は、インターカレーションによりもとの層間距離よりも10オングストローム以上広がることが好ましく、20オングストローム以上広がることがより好ましい。層間距離は、30オングストローム以上広がることが更に好ましく、100オングストローム以上広がることが特に好ましい。また、層状粘土鉱物の層構造が消失する程度にまで層間距離が広がることが最も好ましい。層間距離が広がるにつれて、層状粘土鉱物により拘束される生分解性樹脂の割合が増加し、層状粘土鉱物による生分解性樹脂の補強効果が向上する。
【0033】
以上で説明した本発明の生分解性樹脂組成物において特徴的なことは、生分解性樹脂に添加する層状粘土鉱物として、有機化された層状粘土鉱物を用いることである。また、生分解性樹脂中に分散された、有機化された層状粘土鉱物が1μm以下の平均粒径を有していることである。
【0034】
有機化された層状粘土鉱物の平均粒径を1μm以下とすることにより、上記のように生分解性樹脂との界面(接触面)が増加し、これにより運動が拘束される生分解性樹脂の割合が増加し、生分解性樹脂組成物の剛性(曲げ弾性率、曲げ強度等)が向上すると考えられる。
【0035】
また、有機化された層状粘土鉱物を用いることによって、層状粘土鉱物を用いない場合や有機化されていない層状粘土鉱物を用いる場合に比べて、生分解速度が速くなる。かかる効果を発揮するメカニズムについては、まだ必ずしも明らかではないが、層状粘土鉱物が有機化されていること及び層状粘土鉱物が微分散していること等が、分解菌の繁殖の場を増加させたり繁殖を容易にする等の効果をもたらすものと考えられる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
ナトリウムモンモリロナイト(クニミネ工業社製層状粘土鉱物、商品名:クニピアF)80gを80℃の水5000mlに分散させた。デシルアミン17.9g、濃塩酸4.2gを80℃の水2000mlに溶解し、この溶液を先のモンモリロナイト分散液中に加えたところ沈殿物を得た。この沈殿物を濾過し80℃の水で3回洗浄し、凍結乾燥することによりデシルアンモニウムで有機化したモンモリロナイトを得た。以下、このモンモリロナイトをC10−Mtと呼ぶ。
【0038】
C10−Mtとポリ乳酸(島津製作所製、ラクティ9000)を、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX−30αII、L/D=45.5、スクリュ径30mm)のホッパーから投入し、160℃で溶融混練した。なお、ポリ乳酸とC10−Mtの混合比は、前者100重量部に対して後者3.9重量部であった。また、得られた組成物のモンモリロナイトの含有量は無機量で3重量%であった。次いで、この組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したC10−Mtが100nmの平均粒径を有していることが確かめられた。
【0039】
また、得られた組成物を、シート状に成形して試験片とし、60℃のコンポスト(堆肥)中に埋めて、組成物の重量が5%減、30%減、90%減になるまでの日数を調べた。更に、ASTM D−790に準じて150mm×10mm×6mmの試験片を作製し、変形速度1mm/分で荷重をかけ、曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
【0040】
(実施例2)
デシルアミン17.9gに代えてデシルトリメチルアミン22.8gを用いた他は実施例1と同様にして、デシルトリメチルアンモニウムで有機化したモンモリロナイトを得た。以下、このモンモリロナイトをC10TM−Mtと呼ぶ。また、C10−Mtの代わりにC10TM−Mtを用いた他は実施例1と同様にして、二軸押出機でポリ乳酸との混練を行った。なお、ポリ乳酸とC10TM−Mtの混合比は、前者100重量部に対して後者4.0重量部であり、得られた組成物のモンモリロナイト含有量は無機量で3重量%であった。
次いで、得られた組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したC10TM−Mtが100nmの平均粒径を有していることが確かめられた。更に、実施例1と同様と同様の試験片を作製して生分解性試験、曲げ弾性率試験及び曲げ強度試験を行った。
【0041】
(実施例3)
デシルアミン17.9gに代えてオクタデシルアミン30.7gを用いた他は実施例1と同様にして、オクタデシルアンモニウムで有機化したモンモリロナイトを得た。以下、このモンモリロナイトをC18−Mtと呼ぶ。また、C10−Mtの代わりにC18−Mtを用いた他は実施例1と同様にして、二軸押出機でポリ乳酸との混練を行った。なお、ポリ乳酸とC18−Mtの混合比は、前者100重量部に対して後者4.4重量部であり、得られた組成物のモンモリロナイト含有量は無機量で3重量%であった。
次いで、得られた組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したC18−Mtが100nmの平均粒径を有していることが確かめられた。更に、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験、曲げ弾性率試験及び曲げ強度試験を行った。
【0042】
(実施例4)
デシルアミン17.9gに代えてオクタデシルトリメチルアミン35.6gを用いた他は実施例1と同様にして、オクタデシルトリメチルアンモニウムで有機化したモンモリロナイトを得た。以下、このモンモリロナイトをC18TM−Mtと呼ぶ。また、C10−Mtの代わりにC18TM−Mtを用いた他は実施例1と同様にして、二軸押出機でポリ乳酸との混練を行った。なお、ポリ乳酸とC18TM−Mtの混合比は、前者100重量部に対して後者4.5重量部であり、得られた組成物のモンモリロナイト含有量は無機量で3重量%であった。
次いで、得られた組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したC18TM−Mtが100nmの平均粒径を有していることが確かめられた。更に、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験、曲げ弾性率試験及び曲げ強度試験を行った。
【0043】
(実施例5)
実施例3と同様にしてC18−Mtを作製した。次いで、セルロース誘導体(信越化学社製:セルロース誘導体90SH)19gをジメチルアセトアミド50mlに溶解させた溶液に、C18−Mt450mgをジメチルアセトアミド10mlに分散させた分散液を添加し、これを混合した。次に、溶媒であるジメチルアセトアミドを除去することにより組成物を得た。この組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したC18−Mtが120nmの平均粒径を有していることが確かめられた。また、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験を行った。
【0044】
(実施例6)
実施例4と同様にしてC18TM−Mtを作製した。次いで、リグニン誘導体(日本製紙社製:リグニン誘導体パールレックスCP)10gをジメチルアセトアミド50mlに溶解させた溶液に、C18TM−Mt450mgをジメチルアセトアミド10mlに分散させた分散液を添加し、これを混合した。次に、溶媒であるジメチルアセトアミドを除去することにより組成物を得た。この組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したC18TM−Mtが120nmの平均粒径を有していることが確かめられた。また、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験を行った。
【0045】
(比較例1)
実施例1〜4で用いたポリ乳酸と同一であり、有機化モンモリロナイトが未添加のポリ乳酸を用いて、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験、曲げ弾性率試験及び曲げ強度試験を行った。
【0046】
(比較例2)
実施例1〜4で用いたポリ乳酸と同一のポリ乳酸と、実施例1〜4で用いたものと同一であり有機化されていないナトリウムモンモリノナイトとを用い、実施例1と同様にして二軸押出機にてこれらを混練し組成物を得た。なお、ポリ乳酸と有機化されていないナトリウムモンモリノナイトの混合比は、前者100重量部に対して後者3.1重量部であり、得られた組成物のモンモリロナイト含有量は無機量で3重量%であった。この組成物を透過型電子顕微鏡で観察したところ、組成物中に分散したナトリウムモンモリロナイトは数十〜百μmの粒径(平均粒径:20μm)を有していることがわかった。また、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験、曲げ弾性率試験及び曲げ強度試験を行った。
【0047】
(比較例3)
実施例5で用いたセルロース誘導体と同一であり、有機化モンモリロナイトが未添加のセルロース誘導体を用いて、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験を行った。
【0048】
(比較例4)
実施例6で用いたリグニン誘導体と同一であり、有機化モンモリロナイトが未添加のリグニン誘導体を用いて、実施例1と同様の試験片を作製して生分解性試験を行った。
【0049】
実施例1〜6及び比較例1〜4の生分解性試験の結果、曲げ弾性率及び曲げ強度試験の結果を表1に示す。合成高分子であるポリ乳酸に有機化された層状粘土鉱物(モンモリロナイト)を加えた場合(実施例1〜4)は、層状粘土鉱物を加えない場合(比較例1)及び有機化されていない層状粘土鉱物を加えた場合(比較例2)に比較して、生分解速度が速く且つ剛性が高いことがわかった。また、天然高分子であるセルロース誘導体に有機化された層状粘土鉱物(モンモリロナイト)を加えた場合(実施例5)及び天然高分子であるリグニン誘導体に有機化された層状粘土鉱物(モンモリロナイト)を加えた場合(実施例6)は、層状粘土鉱物を用いない場合(比較例3及び4)に比較して、ポリ乳酸を用いた場合ほど顕著ではないものの、生分解速度が速くなることがわかった。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、剛性が十分に高く、且つ生分解速度も速い生分解性樹脂組成物を提供することが可能となる。
Claims (2)
- 生分解性樹脂と、該生分解性樹脂中に分散されている有機化剤により有機化された層状粘土鉱物とを含み、前記生分解性樹脂100重量部に対して、有機化された前記層状粘土鉱物が0.1〜30重量部含まれ、
前記生分解性樹脂が、ポリサッカライドからなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂若しくはこれらの誘導体であることを特徴とする生分解性樹脂組成物。 - 前記有機化剤が、有機オニウム化合物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27064799A JP4951167B2 (ja) | 1999-09-24 | 1999-09-24 | 生分解性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27064799A JP4951167B2 (ja) | 1999-09-24 | 1999-09-24 | 生分解性樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001089646A JP2001089646A (ja) | 2001-04-03 |
JP4951167B2 true JP4951167B2 (ja) | 2012-06-13 |
Family
ID=17489015
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27064799A Expired - Fee Related JP4951167B2 (ja) | 1999-09-24 | 1999-09-24 | 生分解性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4951167B2 (ja) |
Families Citing this family (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002363393A (ja) * | 2001-06-07 | 2002-12-18 | Unitika Ltd | 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びそれより得られる発泡体 |
JP2003089751A (ja) * | 2001-07-09 | 2003-03-28 | Sony Corp | 筐体用ポリエステル成形物 |
JP4120776B2 (ja) | 2001-07-09 | 2008-07-16 | ソニー株式会社 | 生分解性プラスチック素材及び生分解性プラスチック成形物、並びにこの生分解性プラスチック成形物の製造方法 |
JP4334345B2 (ja) | 2001-09-06 | 2009-09-30 | ユニチカ株式会社 | 成形体用の生分解性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 |
JP2003082212A (ja) * | 2001-09-13 | 2003-03-19 | Unitika Ltd | 生分解性樹脂フィルム |
KR20030027155A (ko) * | 2001-09-13 | 2003-04-07 | 주식회사 코오롱 | 기계적 물성이 향상된 생분해성 수지 |
JP4570864B2 (ja) | 2003-11-25 | 2010-10-27 | 株式会社資生堂 | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
JP2005194415A (ja) * | 2004-01-08 | 2005-07-21 | Unitika Ltd | ポリ乳酸系シートおよびそれからなる成形体 |
JP2006077059A (ja) * | 2004-09-07 | 2006-03-23 | Shiseido Co Ltd | 樹脂組成物及び樹脂成形体 |
WO2008010318A1 (fr) * | 2006-07-18 | 2008-01-24 | Unitika Ltd. | Composition de résine biodégradable, son procédé de production et corps moulé l'utilisant |
EP2188332B1 (en) * | 2007-06-01 | 2018-01-17 | Plantic Technologies LTD | Starch nanocomposite materials |
KR101082841B1 (ko) * | 2009-05-21 | 2011-11-14 | 한국산업기술대학교산학협력단 | 폴리유산과 폴리부틸렌숙시네이트 블렌드의 생분해성 나노복합체 조성물 |
KR20130052774A (ko) * | 2011-11-14 | 2013-05-23 | 한국산업기술대학교산학협력단 | 폴리유산과 폴리부틸렌 숙시네이트 아디페이트의 블렌드를 이용한 생분해성 나노복합체 조성물 |
WO2013186778A1 (en) * | 2012-06-13 | 2013-12-19 | Tipa Corp. Ltd | Biodegradable sheet |
JP6964881B2 (ja) * | 2018-02-28 | 2021-11-10 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | リグニン粘土複合膜およびその製造方法 |
CN112898550B (zh) * | 2021-01-27 | 2022-10-18 | 江苏睿安应用生物技术股份有限公司 | 一种生物降解聚酯及其制备方法 |
-
1999
- 1999-09-24 JP JP27064799A patent/JP4951167B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001089646A (ja) | 2001-04-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4951167B2 (ja) | 生分解性樹脂組成物 | |
Ray et al. | Biodegradable polymers and their layered silicate nanocomposites: in greening the 21st century materials world | |
Mousa et al. | Recent advances in bionanocomposites: preparation, properties, and applications | |
Shesan et al. | Fiber-matrix relationship for composites preparation | |
Abdurrahim | Water sorption, antimicrobial activity, and thermal and mechanical properties of chitosan/clay/glycerol nanocomposite films | |
JP4334345B2 (ja) | 成形体用の生分解性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 | |
EP1860138A1 (en) | Biodegradable thermoplastic nanocomposite polymers | |
US6811599B2 (en) | Biodegradable thermoplastic material | |
Shibata et al. | Thermal and mechanical properties of plasticized poly (l‐lactide) nanocomposites with organo‐modified montmorillonites | |
Salam et al. | Development of biobased polymer/clay nanocomposites: A critical review | |
CN1212716A (zh) | 聚合物-有机粘土复合材料及其制备 | |
DE3131781A1 (de) | "verbesserte thermoplastische formmasse mit verbesserter verformungsbestaendigkeit und verfahren zu ihrer herstellung" | |
KR20080063788A (ko) | 가스 배리어성 적층체 | |
Mohanty et al. | Aromatic‐aliphatic poly (butylene adipate‐co‐terephthalate) bionanocomposite: Influence of organic modification on structure and properties | |
Athawale et al. | Unsaturated polyester resins, blends, interpenetrating polymer networks, composites, and nanocomposites: State of the art and new challenges | |
DE60319733T2 (de) | Wärmehärtbare anorganische ton-nanodispersionen und ihre verwendung | |
Mohanty et al. | Starch based biodegradable PBAT nanocomposites: Effect of starch modification on mechanical, thermal, morphological and biodegradability behavior | |
Raquez et al. | Preparation and characterization of maleated thermoplastic starch‐based nanocomposites | |
JP2003082212A (ja) | 生分解性樹脂フィルム | |
Jena et al. | Simultaneous improvement of mechanical and fire retardant properties of synthesised biodegradable guar gum-g-poly (butyl acrylate)/montmorillonite nanocomposite | |
TW200932816A (en) | Nanocomposite, polymer composition comprising the same and method for preparing a polymer composition | |
JP2003113326A (ja) | 生分解性樹脂組成物 | |
JP2003073524A (ja) | 塩基性硫酸マグネシウム繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いて得られる射出成形体 | |
WO2020138496A1 (ja) | リグノセルロースファイバーの製造方法、リグノセルロースファイバーおよび複合材 | |
Ou | Nanocomposites of poly (trimethylene terephthalate) with organoclay |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060323 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080902 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081118 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090115 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090210 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090410 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090430 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090512 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090515 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20090717 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120123 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120312 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |