JP4949335B2 - ゴム製緩衝部材およびバケットシリンダ - Google Patents

ゴム製緩衝部材およびバケットシリンダ Download PDF

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Description

本発明は、所定の圧縮弾性を有するゴム素材から作られたゴム製緩衝部材、または、ゴム製緩衝部材の複数個が着脱可能に取り付けられたバケットシリンダに関する。
バケットシリンダの外側に油圧装置の破損を防ぐ保護カバーが取り付けられ、バケットシリンダの伸縮を利用してバケットの掘削とバケットの開放とを行うバックホウがある(特許文献1参照)。このバックホウでは、ブームシリンダの伸縮を利用してブームの上げ下げを行い、アームシリンダの伸縮を利用してアームの曲げ伸ばしを行う。バックホウでは、バケットシリンダのシリンダロッドのクレビスがバケットのブラケットに連結されており、油圧を利用してシリンダロッドをその軸方向へ伸長させることでバケットに掘削動作を行わせることができ、シリンダロッドをその軸方向へ収縮させることでバケットに開放動作を行わせることができる。
特開2004−162292号公報
前記特許文献1に開示のバックホウは、バケットの開放動作を行う場合、シリンダロッドをその軸方向へ収縮させるが、シリンダロッドを最小に縮めた時(バケット最大解放時)に、シリンダロッドの後端に取り付けられたシリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突する。シリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突すると、それらの衝突音が不快な騒音となって周囲に伝播する。バックホウでは、その稼働中にバケットの掘削動作と開放動作とが繰り返されるから、衝突音が断続的に発生し、騒音公害の原因となる場合がある。
本発明の目的は、シリンダピストンとシリンダチューブの後端部との衝突を防ぐことができ、それらが衝突することによる不快な騒音の発生を防ぐことができるゴム製緩衝部材およびバケットシリンダを提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、所定の圧縮弾性を有するゴム素材から作られたゴム製緩衝部材である。
前記第1の前提における本発明の特徴は、緩衝部材が、所定面積を有する環状の第1および第2当接面と、それら当接面の間に位置して周り方向へ延びる周面と、第1および第2当接面の中央部にそれら当接面間を厚み方向へ貫通する挿入孔と、周面から挿入孔に向かって径方向へ延びていて第1および第2当接面間を切断する切り込みとを有し、緩衝部材では、挿入孔がバックホウに取り付けられたバケットシリンダのシリンダロッドのうちのシリンダチューブから外側に露出する露出部分に着脱可能に挿入され、緩衝部材の複数個が露出部分の軸方向へ互いに重なり合った状態で並び、複数個の緩衝部材の重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも僅かに大きいことにある。
本発明の一例としては、緩衝部材の第1および第2当接面間の厚み寸法が10〜25mmの範囲にある。
本発明の他の一例としては、複数個の緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも10〜50mm大きい。
本発明の他の一例としては、ゴム素材が硬質ゴムである。
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、バックホウに取り付けられてバケットを掘削開放動作させるバケットシリンダである。
前記第2の前提における本発明の特徴は、バケットシリンダが、そのシリンダロッドのうちのシリンダチューブから外側に露出する露出部分に、所定の圧縮弾性を有するゴム素材から作られた複数個のゴム製緩衝部材を備え、緩衝部材が、所定面積を有する環状の第1および第2当接面と、それら当接面の間に位置して周り方向へ延びる周面と、第1および第2当接面の中央部にそれら当接面間を厚み方向へ貫通する挿入孔と、周面から挿入孔に向かって径方向へ延びていて第1および第2当接面間を切断する切り込みとを有し、バケットシリンダでは、シリンダロッドの露出部分が緩衝部材の挿入孔に着脱可能に挿入され、緩衝部材の複数個が露出部分の軸方向へ互いに重なり合った状態で並び、複数個の緩衝部材の重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも僅かに大きいことにある。
本発明の一例として、バケットシリンダでは、緩衝部材の第1および第2当接面間の厚み寸法が10〜25mmの範囲にある。
本発明の他の一例として、バケットシリンダでは、複数個の緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも10〜50mm大きい。
本発明の他の一例として、バケットシリンダでは、緩衝部材が硬質ゴムから作られている。
本発明にかかるゴム製緩衝部材によれば、複数個の緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時(シリンダロッド最大収縮時)における軸方向の露出寸法よりも僅かに大きいから、バケットの開放動作を行うためにシリンダロッドを収縮させたとしても、シリンダロッドが最小に縮まる前に、緩衝部材がシリンダチューブの前端部とシリンダロッドのクレビスとの間に挟まれ、緩衝部材によってシリンダロッドの収縮が停止する。ゆえに、シリンダロッドの後端に取り付けられたシリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突することはなく、シリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突することによる衝突音の発生を防ぐことができる。なお、ゴム製緩衝部材を使用して騒音測定(緩衝部材を取り付けてバケットの掘削動作と開放動作とを繰り返したときの騒音の測定)を行った結果、ゴム製緩衝部材を使用しない場合(緩衝部材を取り付けずにバケットの掘削動作と開放動作とを繰り返したときの騒音の測定)に比較して騒音レベルが約10dB減少した。ゴム製緩衝部材は、その周面から挿入孔に向かって径方向へ延びる切り込みが形成されており、緩衝部材を切り込みにおいて周り方向かつ厚み方向へ開きつつ、シリンダロッドの露出部分を切り込みを通して挿入孔に挿入することができるから、緩衝部材をシリンダロッドの露出部分に容易に装着することができ、緩衝部材をシリンダロッドの露出部分から容易に取り外すことができる。このゴム製緩衝部材は、互いに重なり合う複数個の緩衝部材のうち、シリンダチューブの前端部に衝突する緩衝部材やシリンダロッドのクレビスに衝突する緩衝部材が消耗するが、消耗した緩衝部材のみを交換すればよく、すべての緩衝部材を交換する必要はないから、緩衝部材の交換に要する手間と費用とを省くことができる。
厚み寸法が10〜25mmの範囲にあるゴム製緩衝部材は、緩衝部材を切り込みにおいて周り方向かつ厚み方向へ簡単に開くことができ、シリンダロッドの露出部分を切り込みを通して挿入孔に挿入することができるから、その複数個をシリンダロッドの露出部分に容易に装着することができ、その複数個をシリンダロッドの露出部分から容易に取り外すことができる。このゴム製緩衝部材は、互いに重なり合う複数個の緩衝部材のうち、シリンダチューブの前端部に衝突する緩衝部材やシリンダロッドのクレビスに衝突する緩衝部材が消耗するが、消耗した緩衝部材のみを交換すればよく、すべての緩衝部材を交換する必要はないから、緩衝部材の交換に要する手間と費用とを省くことができる。
複数個のゴム製緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大解放時における軸方向の露出寸法よりも10〜50mm大きいゴム製緩衝部材は、バケットの開放動作を行う際において緩衝部材がシリンダチューブの前端部とシリンダロッドのクレビスとの間に挟まれた場合でも、バケットの開放動作がそれら緩衝部材によって阻止されることはなく、バケットの開放動作を円滑に行うことができる。このゴム製緩衝部材は、バケットの開放動作を円滑に行いつつ、シリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突することによる衝突音の発生を確実に防ぐことができる。
ゴム素材として硬質ゴムが使用されたゴム製緩衝部材は、シリンダチューブの前端部に衝突する緩衝部材やシリンダロッドのクレビスに衝突する緩衝部材の早期の消耗を防ぐことができ、それらを早期に交換する手間と費用とを省くことができる。このゴム製緩衝部材は、バケットの開放動作を行う際において緩衝部材がシリンダチューブの前端部とシリンダロッドのクレビスとの間に挟まれた場合でも、それら緩衝部材がシリンダとバケットとを互いに離間させる方向へ反撥させることはなく、バケットの開放動作を円滑に行うことができる。
本発明にかかるバケットシリンダによれば、複数個のゴム製緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット開放最大時(シリンダロッド最大収縮時)における軸方向の露出寸法よりも僅かに大きいから、バケットの開放動作を行うためにシリンダロッドを収縮させたとしても、シリンダロッドが最小に縮まる前に、緩衝部材がシリンダチューブの前端部とシリンダロッドのクレビスとの間に挟まれ、緩衝部材にシリンダロッドの収縮が停止する。ゆえに、シリンダロッドの後端に取り付けられたシリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突することはなく、シリンダピストンとシリンダチューブの後端部とが衝突することによる衝突音の発生を防ぐことができる。バケットシリンダでは、ゴム製緩衝部材を使用して騒音測定(緩衝部材を取り付けてバケットの掘削動作と開放動作とを繰り返したときの騒音の測定)を行った結果、ゴム製緩衝部材を使用しない場合(緩衝部材を取り付けずにバケットの掘削動作と開放動作とを繰り返したときの騒音の測定)に比較して騒音レベルが約10dB減少した。このバケットシリンダは、互いに重なり合う複数個の緩衝部材のうち、シリンダチューブの前端部に衝突する緩衝部材やシリンダロッドのクレビスに衝突する緩衝部材が消耗するが、消耗した緩衝部材のみを交換すればよく、すべての緩衝部材を交換する必要はないから、緩衝部材の交換に要する手間と費用とを省くことができる。
ゴム製緩衝部材の厚み寸法が10〜25mmの範囲にあるバケットシリンダは、緩衝部材を切り込みにおいて周り方向かつ厚み方向へ簡単に開くことができ、シリンダロッドの露出部分を切り込みを通して挿入孔に挿入することができるから、その複数個をシリンダロッドの露出部分に容易に装着することができ、その複数個をシリンダロッドの露出部分から容易に取り外すことができる。このバケットシリンダは、複数個の緩衝部材のうち、シリンダチューブの前端部に衝突する緩衝部材やシリンダロッドのクレビスに衝突する緩衝部材が消耗するが、消耗した緩衝部材のみを交換すればよく、すべての緩衝部材を交換する必要はないから、緩衝部材の交換に要する手間と費用とを省くことができる。
複数個のゴム製緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法がシリンダロッドの露出部分のバケット最大解放時における軸方向の露出寸法よりも10〜50mm大きいバケットシリンダは、バケットの開放動作を行う際において緩衝部材がシリンダチューブの前端部とシリンダロッドのクレビスとの間に挟まれた場合でも、バケットの開放動作がそれら緩衝部材によって阻止されることはなく、バケットの開放動作を円滑に行うことができる。このバケットシリンダは、バケットの開放動作を円滑に行いつつ、シリンダピストンとシリンダチューブのエンド部とが衝突することによる衝突音の発生を確実に防ぐことができる。
ゴム製緩衝部材が硬質ゴムから作られたバケットシリンダは、シリンダチューブの前端部に衝突する緩衝部材やシリンダロッドのクレビスに衝突する緩衝部材の早期の消耗を防ぐことができ、それらを早期に交換する手間と費用とを省くことができる。このバケットシリンダは、バケットの開放動作を行う際において緩衝部材がシリンダチューブの前端部とシリンダロッドのクレビスとの間に挟まれた場合でも、それら緩衝部材がシリンダとバケットとを互いに離間させる方向へ反撥させることはなく、バケットの開放動作を円滑に行うことができる。
添付の図面を参照し、本発明に係るゴム製緩衝部材およびバケットシリンダの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示すゴム製緩衝部材10の斜視図であり、図2は、緩衝部材10を切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ開いた状態で示す図である。図3は、緩衝部材10を取り付ける以前の状態で示すバケットシリンダ18の斜視図であり、図4は、複数個の緩衝部材10を取り付けた状態で示すバケットシリンダ18の斜視図である。図1では、厚み方向を矢印A、周り方向を矢印Bで示し、径方向を矢印Cで示す。図3,4では、軸方向を矢印Dで示し、油圧機構の図示を省略している。図3のバケットシリンダ18では、シリンダロッド20の露出部分25に緩衝部材10が取り付けられておらず、シリンダロッド20の大部分がシリンダチューブ19の内部に収納された状態(シリンダロッド最大収縮状態)で示す。
ゴム製緩衝部材10は、所定の圧縮弾性を有する硬質ゴムから作られ、円環状(ドーナツ状)に成形されている。緩衝部材10は、所定面積を有する円環状かつ扁平の第1当接面11および第2当接面12と、それら当接面11,12の間に位置して周り方向へ延びる周面13とを有する。緩衝部材10の第1および第2当接面11,12間の厚み寸法L1は、10〜25mmの範囲、好ましくは、10〜20mmの範囲にある。第1および第2当接面11,12の中央部には、それら当接面11,12間を厚み方向へ貫通する円形の挿入孔14が形成されている。周面13と挿入孔14の内周面15との間には、周面13から挿入孔14に向かって径方向へ延びていて、第1および第2当接面11,12間を切断する切り込み16が形成されている。
緩衝部材10は、図2に示すように、それを切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ開くことで、緩衝部材10が弾性変形し、切り込み16の間に所定寸法の間隙17を作ることができる。緩衝部材10は、それを切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ開きつつ、後記するシリンダロッド20の露出部分25を間隙17を通して挿入孔14に挿入することができる。また、緩衝部材10を切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ開きつつ、シリンダロッド20の露出部分25を間隙17を通して挿入孔14から取り外すことができる。
バケットシリンダ18は、シリンダチューブ19と、チューブ19の内部に設置されたシリンダロッド20とから形成されている。シリンダチューブ19は、前端部21と後端部22とを有する。シリンダロッド20は、その後端にシリンダピストン23が取り付けられ、その前端にクレビス24が設置されている。シリンダチューブ19の前端部21から軸方向外方には、前端部21から外側に露出するシリンダロッド20の露出部分25が延びている。バケットシリンダ18では、油圧を利用することで、シリンダチューブ19の内部においてシリンダロッド20を軸方向へ伸長または収縮させることができる。緩衝部材10を取り付ける以前の状態においてシリンダロッド20を最大に縮め、ロッド20の露出部分25の露出寸法L2を最小にすると、シリンダチューブ19の後端部22と図3に点線で示すシリンダピストン22とが互いに当接する。シリンダチューブ19の後端部22とシリンダピストン22とが当接すると、それらの衝突音が不快な騒音となって周囲に伝播する場合がある。
図4では、シリンダロッド20の露出部分25に複数個の緩衝部材10が着脱可能に装着され、それら緩衝部材10が軸方向へ互いに重なり合った状態で並んでいる。露出部分25では、一方の緩衝部材10の当接面11,12に他方の緩衝部材10の当接面11,12が当接している。露出部分25に対する緩衝部材10の取り付けは、緩衝部材10を切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ開き、切り込み16の間に所定寸法の間隙17を作った後、露出部分25をその間隙17に通し、挿入孔14を露出部分25に挿入する。挿入孔14の半径はシリンダロッド20のそれよりも僅かに大きく、緩衝部材10をシリンダロッド20に取り付けたときに、挿入孔14の内周面15がロッド20の外周面に摺動可能、かつ、緩衝部材10がロッド20の軸方向へ移動可能である。なお、挿入孔14の半径はクレビス24の半径よりも小さく、緩衝部材10がクレビス24から不用意に抜け落ちることはない。露出部分25からの緩衝部材10の取り外しは、緩衝部材10を切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ開き、切り込み16の間に所定寸法の間隙17を作った後、露出部分25をその間隙17に通し、緩衝部材10を露出部分25から取り外す。
シリンダロッド20では、複数個の緩衝部材10の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法L3がシリンダロッド20の露出部分25のバケット最大開放時(シリンダロッド20の最大収縮時)における軸方向の露出寸法L2よりも僅かに大きい。厚み寸法L3と露出寸法L2との差は、10〜50mmの範囲、好ましくは、10〜20mmの範囲にある。換言すれば、露出部分25のバケット最大開放時(シリンダロッド20の最大収縮時)におけるシリンダチューブ19の後端部22とシリンダピストン22との離間寸法L4が10〜50mmの範囲、好ましくは、10〜20mmの範囲にある。ここで、シリンダロッド20の露出部分25のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法L2は、図3に示すように、シリンダロッド20をシリンダチューブ19の内部に最大限収納した場合のシリンダチューブ19の前端部21から軸方向外方に延びるロッド20の軸方向の長さ寸法(クレビス24の寸法を除く)である。
図5は、一例として示すバックホウ26の斜視図であり、図6は、バケット27を掘削状態にした場合のバケットシリンダ18の斜視図である。図7は、バケット27を開放状態にした場合のバケットシリンダ18の斜視図である。図6は、バケット27の最大掘削時を示し、図7は、バケット27の最大開放時を示す。図6,7では、バケットシリンダ18とバケット27のみを示し、バックホウ26の他の部分は省略している。
バックホウ26には、バケットシリンダ18の他に、ブームシリンダ28とアームシリンダ29とが取り付けられている。バックホウ26では、ブームシリンダ28の伸縮を利用してブーム30の上げ下げを行い、アームシリンダ29の伸縮を利用してアーム31の曲げ伸ばしを行う。バックホウ26では、バケットシリンダ18のシリンダロッド20のクレビス24がバケット27のブラケット32に連結されており、油圧を利用してシリンダロッド20をその軸方向へ伸長させることでバケット27に掘削動作を行わせることができ、シリンダロッド20をその軸方向へ収縮させることでバケット27に開放動作を行わせることができる。
バケット27に掘削動作を行わせる場合、シリンダロッド20をシリンダチューブ19から軸方向外方へ伸長させる。バケット27の最大掘削時では、シリンダロッド20の露出部分25の露出寸法が最大になる。逆に、バケット27に開放動作を行わせる場合、シリンダロッド20をシリンダチューブ19の軸方向内方へ収縮させる。バケット27を開放させるためにシリンダロッド20を次第に縮めると、緩衝部材10のうちのシリンダチューブ19の前端部21の側に位置する緩衝部材10Aの当接面11,12が前端部21に衝突し、緩衝部材10のうちのシリンダロッド20のクレビス24の側に位置する緩衝部材10Bの当接面11,12がクレビス24に衝突する。ゆえに、シリンダロッド20が最大に縮まる前に、緩衝部材10がシリンダチューブ19の前端部21とシリンダロッド20のクレビス24との間に挟まれ、それら緩衝部材10によってシリンダロッド20の収縮が停止する。ゆえに、このバケットシリンダ18では、バケット27の最大開放時にシリンダロッド20の後端に取り付けられたシリンダピストン23とシリンダチューブ19の後端部22とが衝突することはない。
バックホウ26の稼働中にバケット27の掘削動作と開放動作とが繰り返されると、緩衝部材10Aの当接面11,12とシリンダチューブ19の前端部21との衝突が繰り返され、緩衝部材10Bの当接面11,12とシリンダロッド20のクレビス24との衝突が繰り返される。緩衝部材10Aと前端部21との衝突や緩衝部材10Bとクレビス24との衝突が繰り返されると、緩衝部材10A,10Bの当接面11,12が次第に摩耗(消耗)し、緩衝部材10A,10Bの緩衝機能が低下する。この場合、摩耗した緩衝部材10A,10Bのみをロッド20から取り外し、新たな緩衝部材10をロッド20に取り付ければよく、すべての緩衝部材10を交換する必要はなく、緩衝部材10の交換に要する手間と費用とを省くことができる。
バックホウ26では、バケット27に開放動作を行わせるためにシリンダロッド20の露出部分25をシリンダチューブ19の内部に向かって収縮させたとしても、シリンダロッド20が最大に縮まる前に、それら緩衝部材10がシリンダチューブ19の前端部21とシリンダロッド20のクレビス24との間に挟まれ、それら緩衝部材10によってシリンダロッド20の収縮が停止するから、シリンダピストン23とシリンダチューブ19の後端部22とが衝突することはなく、それらが衝突することによる不快な衝突音の発生を防ぐことができる。バックホウ26では、ゴム製緩衝部材10を使用して騒音測定(緩衝部材10を取り付けてバケット27の掘削動作と開放動作とを繰り返したときの騒音の測定)を行った結果、ゴム製緩衝部材10を使用しない場合(緩衝部材10を取り付けずにバケット27の掘削動作と開放動作とを繰り返したときの騒音の測定)に比較して騒音レベルが約10dB減少した。
緩衝部材10は、その厚み寸法L1が10〜25mmの範囲にあるから、緩衝部材10を切り込み16において周り方向かつ厚み方向へ簡単に開くことができ、シリンダロッド20の露出部分25を間隙17を通して挿入孔14に挿入することができる。ゆえに、緩衝部材10の複数個をシリンダロッド20の露出部分25に容易に装着することができ、緩衝部材10の複数個をシリンダロッド20の露出部分25から容易に取り外すことができる。なお、厚み寸法L1が10mm未満では、緩衝部材10と前端部21との衝突や緩衝部材10とクレビス24との衝突が繰り返された場合、緩衝部材10の緩衝機能が早期に低下する場合がある。また、衝突の衝撃によって緩衝部材10が破損してしまう場合がある。厚み寸法L1が25mmを超過すると、緩衝部材10を切り込み16において周り方向や厚み方向へ開くことが困難となり、緩衝部材10のシリンダロッド20の露出部分25への取り付けや緩衝部材10のシリンダロッド20の露出部分25からの取り外しに手間と時間とを要する。
バケットシリンダ18では、複数個のゴム製緩衝部材10の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法L3がシリンダロッド20の露出部分25のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法L2よりも10〜50mm大きいから、バケット27の開放動作を行う際において緩衝部材10がシリンダチューブ19の前端部21とシリンダロッド20のクレビス24との間に挟まれた場合でも、バケット27の開放動作がそれら緩衝部材10によって阻止されることはなく、バケット27の開放動作を円滑に行うことができる。
厚み寸法L3と露出寸法L2との差が10mm未満では、シリンダロッド20の収縮力にもよるが、バケット27の開放動作時にシリンダピストン23とシリンダチューブ19の後端部22とが衝突する場合があり、衝突音の発生を防ぐことができない場合がある。厚み寸法L3と露出寸法L2との差が50mmを超過すると、バケット27の開放動作がそれら緩衝部材10によって阻止され、バケット27の開放動作を円滑に行うことができない場合がある。
バケットシリンダ18では、それら緩衝部材10が硬質ゴムから作られているから、シリンダチューブ19の前端部21に衝突する緩衝部材10やシリンダロッド20のクレビス24に衝突する緩衝部材10の早期の摩耗を防ぐことができ、それらを早期に交換する手間と費用とを省くことができる。また、バケット27の開放動作を行う際において緩衝部材10がシリンダチューブ19の前端部21とシリンダロッド20のクレビス24との間に挟まれた場合でも、それら緩衝部材10がシリンダチューブ19とバケット27とを互いに離間させる方向へ反撥させることはなく、バケット27の開放動作を円滑に行うことができる。
一例として示すゴム製緩衝部材の斜視図。 緩衝部材を切り込みにおいて周り方向かつ厚み方向へ開いた状態で示す図。 緩衝部材を取り付ける以前の状態で示すバケットシリンダの斜視図。 緩衝部材を取り付けた状態で示すバケットシリンダの斜視図。 一例として示すバックホウの斜視図。 バケットを掘削状態にした場合のバケットシリンダの側面図。 バケットを開放状態にした場合のバケットシリンダの側面図。
符号の説明
10 ゴム製緩衝部材
10A ゴム製緩衝部材
10B ゴム製緩衝部材
11 第1当接面
12 第2当接面
13 周面
14 挿入孔
16 切り込み
18 バケットシリンダ
19 シリンダチューブ
20 シリンダロッド
21 前端部
22 後端部
23 シリンダピストン
24 クレビス
25 露出部分
26 バックホウ
27 バケット

Claims (8)

  1. 所定の圧縮弾性を有するゴム素材から作られたゴム製緩衝部材であって、
    前記緩衝部材が、所定面積を有する環状の第1および第2当接面と、それら当接面の間に位置して周り方向へ延びる周面と、前記第1および第2当接面の中央部にそれら当接面間を厚み方向へ貫通する挿入孔と、前記周面から前記挿入孔に向かって径方向へ延びていて前記第1および第2当接面間を切断する切り込みとを有し、
    前記緩衝部材では、前記挿入孔がバックホウに取り付けられたバケットシリンダのシリンダロッドのうちのシリンダチューブから外側に露出する露出部分に着脱可能に挿入され、該緩衝部材の複数個が前記露出部分の軸方向へ互いに重なり合った状態で並び、前記複数個の緩衝部材の重なり合った状態における軸方向の厚み寸法が前記シリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも僅かに大きいことを特徴とするゴム製緩衝部材。
  2. 前記緩衝部材の第1および第2当接面間の厚み寸法が、10〜25mmの範囲にある請求項1記載のゴム製緩衝部材。
  3. 前記複数個の緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法が、前記シリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも10〜50mm大きい請求項1または請求項2に記載のゴム製緩衝部材。
  4. 前記ゴム素材が、硬質ゴムである請求項1ないし請求項3いずれかに記載のゴム製緩衝部材。
  5. バックホウに取り付けられてバケットを掘削開放動作させるバケットシリンダにおいて、
    前記バケットシリンダが、そのシリンダロッドのうちのシリンダチューブから外側に露出する露出部分に、所定の圧縮弾性を有するゴム素材から作られた複数個のゴム製緩衝部材を備え、
    前記緩衝部材が、所定面積を有する環状の第1および第2当接面と、それら当接面の間に位置して周り方向へ延びる周面と、前記第1および第2当接面の中央部にそれら当接面間を厚み方向へ貫通する挿入孔と、前記周面から前記挿入孔に向かって径方向へ延びていて前記第1および第2当接面間を切断する切り込みとを有し、
    前記バケットシリンダでは、前記シリンダロッドの露出部分が前記緩衝部材の挿入孔に着脱可能に挿入され、該緩衝部材の複数個が前記露出部分の軸方向へ互いに重なり合った状態で並び、前記複数個の緩衝部材の重なり合った状態における軸方向の厚み寸法が前記シリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも僅かに大きいことを特徴とするバケットシリンダ。
  6. 前記バケットシリンダでは、前記緩衝部材の第1および第2当接面間の厚み寸法が10〜25mmの範囲にある請求項5記載のバケットシリンダ。
  7. 前記バケットシリンダでは、前記複数個の緩衝部材の互いに重なり合った状態における軸方向の厚み寸法が前記シリンダロッドの露出部分のバケット最大開放時における軸方向の露出寸法よりも10〜50mm大きい請求項5または請求項6に記載のバケットシリンダ。
  8. 前記バケットシリンダでは、前記緩衝部材が硬質ゴムから作られている請求項5ないし請求項7いずれかに記載のバケットシリンダ。
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