JP4949005B2 - 高温石炭の事前処理方法 - Google Patents
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一方、コークスの製造に関しては、その生産効率の向上のため、加熱した高温状態(例えば、100℃以上)の石炭(以下、高温石炭ともいう)をコークス炉の炭化室に装入して、コークスを製造する方式が検討されている。
そこで、石炭を処理する複数の処理装置を搬送管でそれぞれ接続した事前処理設備に不活性ガスを流して、事前処理設備内部の酸素濃度を低減し、高温石炭を大気と接触させることなく搬送する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、このような方法で、不活性ガスの供給を行った場合、不活性ガスの供給圧力により、事前処理設備に局所的に過剰な圧力がかかる部分が発生し、事前処理設備が損傷する恐れもある。
そして、高温石炭の搬送が急遽停止する場合のように、突発的に起こるトラブルの際には、ガス温度が低下して事前処理設備内部が負圧化し、事前処理設備内に大気が侵入する恐れがある。
前記複数の処理装置とこれらを接続する搬送路を複数のブロックに分割し、該各ブロックの前記処理装置と前記搬送路をケーシングでそれぞれ覆い、該ブロック毎に前記ケーシング内への不活性ガスの供給と該ケーシング内からの不活性ガスの排出を行って、該ケーシング内を正圧に維持する。
ここで、処理装置をケーシングで覆うとは、処理装置が密閉された状態(石炭の供給口と排出口、および不活性ガスの供給口と排出口は除く)であればよいことを意味する。従って、処理装置が予め密閉された状態、即ちその処理装置自体がケーシングを備えている場合は、更にケーシングで覆う必要はなく、また処理装置が大気へ開放された状態の場合は、処理装置が密閉状態となるように、ケーシングで覆うことになる。
手段(3)は、手段(1)および手段(2)において、前記各ブロックの前記ケーシングからの不活性ガスの排出を、該ブロックの前記処理装置および前記搬送路のうちで、最も高所に位置する部分から行う。
手段(5)は、手段(1)〜手段(4)において、前記ケーシング内の圧力を20mmH2O以下に維持する。
前記石炭を乾燥して該石炭を粉状物と粗粒物に分級する乾燥分級工程と、
前記乾燥分級工程で得られた前記粉状物を成形機によって成形炭にする微粉炭成形工程と、
前記乾燥分級工程で得られた前記粗粒物を更に加熱処理する粗粒炭加熱工程と、
前記微粉炭成形工程で得られた前記成形炭および前記粗粒炭加熱工程で処理された前記粗粒物を、前記コークス炉の上流側に配置される貯炭槽まで搬送して貯留する高温炭搬送工程よりなっている。
また、ブロック毎に不活性ガスを供給するので、一時的に多量の不活性ガスを用いることなく、不活性ガスを効率的に供給でき、例えば、供給される不活性ガスにより局所的に過剰な圧力がかかることを抑制、更には防止できる。
そして、ケーシング内への不活性ガスの供給とケーシング内からの不活性ガスの排出を行って、ケーシング内を正圧に維持しているので、例えば、処理装置が突発的に停止(トリップ、停電)した場合でも、ケーシング内の温度が低下して外気がケーシング内へ侵入しようとすることを防止でき、トラブルの発生を未然に防止できる。
更に、コークス炉へ供給される石炭の温度を100℃以上300℃以下の高温としているので、コークス炉における石炭の加熱に要する時間を短縮でき、コークスの生産効率を向上できる。
不活性ガスの排出を各ブロックで最も高所に位置する部分から行う場合、不活性ガスとしてその分子量が空気より重いガスを使用することで、例えば、ケーシング内に溜まった石炭から発生したガスを、各ブロックの下方から上方へかけて追い出すことができる。
そして、ケーシング内の酸素濃度を3体積%以下とした場合、石炭の表層部の酸化による品質劣化を抑制でき、石炭の品質低下を抑制できる。
そして、複数のブロックで、それぞれ乾燥分級工程、微粉炭成形工程、粗粒炭加熱工程、および高温炭搬送工程の処理を行う場合、例えば、1つの工程が急遽停止した際にも、他の工程の稼動に影響を及ぼすことなく、復旧作業を実施でき、作業性が良好である。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る高温石炭の事前処理方法を使用する高温石炭の事前処理設備の説明図である。
まず、本発明の一実施の形態に係る高温石炭の事前処理方法を使用する高温石炭の事前処理設備(以下、単に事前処理設備ともいう)11について説明した後、高温石炭の事前処理方法について説明する。
各ブロックでは、それぞれ乾燥分級工程、微粉炭成形工程、粗粒炭加熱工程、および高温炭搬送工程の処理が行われている。この事前処理設備11により、粉状物の石炭からなる微粉炭(例えば、粒径が0.5mm以下)と、粗粒物の石炭からなる粗粒炭(例えば、粒径が0.5mm超)とを含む石炭を、山積みされたヤード(図示しない)から所定量ずつ切り出し、乾燥して高温の状態でコークス炉10へ搬送している。
なお、本実施の形態では、4つのブロックに分割して、4つの工程の処理を行う場合について説明するが、これに限定されるものではなく、他の工程を含む5以上の工程を有するように、ブロックを分割してもよい。
この流動床乾燥機12は、下方から熱風が吹き込まれ、石炭を加熱しながら乾燥させるものである。ここで、粗粒炭の周囲に付着した微粉炭(温度:165℃程度)は、上方へ吹き上げられ配管を介して捕集機13で回収され、下流側の微粉炭成形工程へ搬送される。一方、粗粒炭(温度:350℃程度)は、下方へ落下して回収され、粗粒炭加熱工程へ搬送される。捕集機13に吸引されたガスは、排気管を介して大気へ放散される。
なお、流動床乾燥機12と捕集機13は、それぞれケーシングで覆われており、搬送される石炭が、外気と直接接触することを抑制、更には防止している。
また、振動篩15は、成形機14によって成形された篩上の成形炭と、成形されなかった、あるいは成形されたが崩れてしまった篩下の粉炭とを、篩い分けする装置である。
この振動篩15によって篩い分けされた成形炭は高温炭搬送工程へ搬送され、一方、粉炭は、バケットコンベア17まで搬送され、再度成形機14にかけられ成形される。
なお、成形機14と振動篩15、および各コンベア16、18とバケットコンベア17は、それぞれケーシングで覆われており、搬送される石炭が、外気と直接接触することを抑制、更には防止している。
なお、気流加熱塔19の上流側には、乾燥分級工程の流動床乾燥機12で分級された粗粒炭を目標とする高さ位置まで上昇させるバケットコンベア21と、このバケットコンベア21で搬送された粗粒炭を気流加熱塔19へ搬送するコンベア22が設けられている。
なお、気流加熱塔19と集塵器20、およびコンベア22とバケットコンベア21は、それぞれケーシングで覆われており、搬送される石炭が、外気と直接接触することを抑制、更には防止している。
この貯炭槽23の上流側には、微粉炭成形工程で得られた成形炭と、粗粒炭加熱工程で加熱した粗粒炭とを搬送するコンベア24と、コンベア24で搬送された成形炭と粗粒炭を目標とする高さ位置まで上昇させるバケットコンベア25と、この成形炭と粗粒炭を貯炭槽23内へ供給するコンベア26とが、順次配置されている。
なお、貯炭槽23、および各コンベア24、26とバケットコンベア25は、それぞれケーシングで覆われており、搬送される石炭が、外気と直接接触することを抑制、更には防止している。
また、前記した各工程の接続部分のコンベア16、24およびバケットコンベア21には、隣り合う工程間を連通または遮断するための仕切り弁(シール性を有するゲート材)27〜30が設けられている。なお、図1においては、図示の便宜上、コンベア16を微粉炭成形工程に、コンベア24を高温炭搬送工程に、バケットコンベア21を粗粒炭加熱工程にそれぞれ配置している。
なお、排気管を、ブロックの処理装置および搬送路のうちで、最も高所に位置する部分に設け、ここから不活性ガスの排出を行うことが好ましい。これにより、ケーシング内に溜まった石炭から発生したガスを、各ブロックの下方から上方へかけて追い出すことができる。
以上のように構成することで、例えば、事前処理設備の立上げ時においては、各工程の処理装置および搬送路をそれぞれ覆うケーシング内に残存する大気を、各工程ごとに排気できる。また、各ケーシング内に不活性ガスを充満させた後、即ち石炭の搬送開始時には、各排気管31〜34に設けた圧力調整弁35〜38により、各工程でのケーシング内部の圧力調整を行う。なお、乾燥分級工程についても、排気管に設けられた圧力調整弁により、ケーシング内部の圧力調整を行うことができる。
また、各排気管31〜34には、雰囲気ガスの酸素濃度管理用として、ガス分析計(O2、CO、CO2濃度計)40が装備されている。なお、ガス分析計は、乾燥分級工程の排気管にも装備することができる。
事前処理設備11の立上げ(操業開始)に際しては、予め、以下に示す作業を行っておく。
まず、隣り合うブロック間でのガスの流入および流出を遮断する仕切り弁27〜30を閉じる。これにより、各ブロックの中のみで、各ケーシング内に残存する気体が移動する。
次に、全てのブロックで、以下に示す手順により、各ブロックの処理装置およびこれを接続する搬送路に不活性ガスを供給してガス置換を行う。なお、不活性ガスとしては、例えば、N2ガス、Arガスを使用できるが、N2ガスを使用することが経済的である。
ここで、ガス置換は、各ブロックごとに供給される置換ガス(不活性ガス)が、各ブロック内の処理装置および搬送路を充満させることが十分に可能な時間を確保して、各ブロックの端部から排気管31〜34へ向けて不活性ガスを流し、ガス置換を行う。
そして、各ブロックごとに、各排気管31〜34までガス置換を継続して行い、ガス分析計40の酸素濃度が5質量%以下となった時点で予備ガス置換完了とし、各ブロックへの不活性ガスの供給を停止する。
各ブロックのケーシング内に保圧用の不活性ガスを供給し、排気管31〜34に設けられた圧力調整弁35〜38により、各ブロックのケーシング内の圧力を正圧の範囲になるように制御する。このとき、高温石炭の酸化反応を起こさない条件を、事前処理設備11のケーシング内において維持させるように、以下のように条件を制御する。
ここで、ケーシング内の圧力を20mmH2O以下に維持することが好ましい。
ここで、ケーシング内の圧力が20mmH2Oを超える(圧力が高過ぎる)場合、ケーシングに対して内部から過剰に大きな圧力がかかり、例えば、シールした部分からガスが漏洩する恐れがあり、不活性ガスの使用量が多くなって経済的でない。
一方、ケーシング内の圧力が負圧となる(圧力が低過ぎる)場合、ケーシング内に外気を吸い込む恐れがあり、石炭の劣化、更には内部で発火する恐れがある。
そして、高温石炭の搬送中は、ケーシング内に連続的に不活性ガスを供給して、その圧力を正圧に維持し、ケーシング内への外気の吸い込みを防止しながら、酸素濃度の低減と、ケーシングからのガスの漏洩を防止する。
これにより、冶金コークス用の石炭を、前記した4つの工程、即ち乾燥分級工程、微粉炭成形工程、粗粒炭加熱工程、および高温炭搬送工程を順次通過させ、加熱し乾燥して、100℃以上300℃以下の高温の状態でコークス炉10の炭化室へ搬送し、コークスを製造する。
また、前記実施の形態のコンベアとバケットコンベアの台数および設置位置は、本実施の形態に限定されるものではなく、例えば、事前処理設備の設置場所、および事前処理設備の規模に応じて、適宜変更可能である。
Claims (7)
- 冶金コークス用の石炭を、複数の処理装置を通じて加熱し乾燥して、100℃以上300℃以下の高温の状態でコークス炉へ搬送する高温石炭の事前処理方法であって、
前記複数の処理装置とこれらを接続する搬送路を複数のブロックに分割し、該各ブロックの前記処理装置と前記搬送路をケーシングでそれぞれ覆い、該ブロック毎に前記ケーシング内への不活性ガスの供給と該ケーシング内からの不活性ガスの排出を行って、該ケーシング内を正圧に維持することを特徴とする高温石炭の事前処理方法。 - 請求項1記載の高温石炭の事前処理方法において、前記各ブロックの前記ケーシングへの不活性ガスの供給を、該ブロックの上流側端部および下流側端部のいずれか1または2から行うことを特徴とする高温石炭の事前処理方法。
- 請求項1および2のいずれか1項に記載の高温石炭の事前処理方法において、前記各ブロックの前記ケーシングからの不活性ガスの排出を、該ブロックの前記処理装置および前記搬送路のうちで、最も高所に位置する部分から行うことを特徴とする高温石炭の事前処理方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の高温石炭の事前処理方法において、前記ケーシング内の酸素濃度が3体積%以下であることを特徴とする高温石炭の事前処理方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高温石炭の事前処理方法において、前記ケーシング内の圧力を20mmH2O以下に維持することを特徴とする高温石炭の事前処理方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の高温石炭の事前処理方法において、前記複数のブロックが、
前記石炭を乾燥して該石炭を粉状物と粗粒物に分級する乾燥分級工程と、
前記乾燥分級工程で得られた前記粉状物を成形機によって成形炭にする微粉炭成形工程と、
前記乾燥分級工程で得られた前記粗粒物を更に加熱処理する粗粒炭加熱工程と、
前記微粉炭成形工程で得られた前記成形炭および前記粗粒炭加熱工程で処理された前記粗粒物を、前記コークス炉の上流側に配置される貯炭槽まで搬送して貯留する高温炭搬送工程よりなることを特徴とする高温石炭の事前処理方法。 - 請求項6記載の高温石炭の事前処理方法において、前記各工程で前記ケーシングへの不活性ガスの供給により排出されるガスを燃焼処理した後、その燃焼排ガスを前記乾燥分級工程および前記粗粒炭加熱工程のいずれか一方または両方に供給することを特徴とする高温石炭の事前処理方法。
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