JPH06287561A - コークス炉への石炭の搬送、装入方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】コークス炉用原料石炭を搬送、装入する際の発
塵の防止とキャリーオーバーの抑制。 【構成】乾燥または予熱した石炭をコークス炉上に移動
可能に設置された貯槽可能な固気分離装置まで気流輸送
する。固気分離装置までの輸送配管はフレキシブルチュ
ーブ製とする。また、固気分離装置からコークス炉へ石
炭を装入するに際し、コークス排出ガスを強制的に固気
分離装置側に吸引し、吸引された微粉成分を原料石炭と
共に再度コークス炉へ装入する。 【効果】搬送、装入時の発塵を防止できる。装炭時のキ
ャリーオーバーを低減できる。石炭輸送用のキャリアガ
ス量を低減できる。微粉成分を有効利用できる。設備費
および運転費が安くつく。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コークスを製造する
際に、コークス炉へ乾燥または予熱した石炭を装入する
ための石炭の搬送、装入方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】コークス製造技術の一つとして、乾燥予
熱炭法がある。この技術は、コークス炉へ石炭を装入す
る際に、事前に原料石炭を乾燥もしくは予熱することに
よって、炭化室内における石炭のかさ密度の増大および
均等化を行い、乾留熱量の低減等の効果を発現させ、操
業の安定、生産性および品質の向上、安定化をはかる技
術である。

【０００３】しかし、この乾燥予熱炭法は上記のような
効果を有する反面、石炭中に含まれる水分の減少に伴い
乾燥、予熱から装炭までの搬送過程における発塵量の増
大、コークス炉への装炭時における上昇管からの石炭の
炉外流出（以下キャリーオーバーと称する）量の増大、
および粉塵爆発の危険性等の、環境上、操業上、ならび
に安全上の問題点も有しており、広く採用されるには至
っていない。

【０００４】これらの問題点を解決するために、例えば
密閉式のチェーンコンベアを用いる方法、不活性ガスを
輸送用キャリアガスとして気流輸送する方法等の密閉構
造体を用いた石炭搬送システムを採用し、搬送、装入時
の発塵を抑制するとともに粉塵爆発の危険性を回避する
技術が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、密閉構造体と
不活性ガスを用いる連続式の石炭搬送システムは、搬送
途中および装炭口での発塵抑制効果は高いが、キャリー
オーバーの減少には効果がない。また、バッチ式の気流
輸送を用いる方法では、各窯の上に固気分離装置が必要
となり、装入目標窯が替わる度に輸送配管系統を装入目
標窯上部にある固気分離装置に接続し直すことが必要と
なるため、設備が大がかりなものになる。

【０００６】一般に、空気輸送の場合は、輸送量は配管
中に存在するベンドの数、バルブの数、配管全長といっ
た輸送配管の取り回しの影響を強く受けることが知られ
ており、輸送配管系統の接続の変更に対応して配管全長
が変化することは、石炭の搬送条件の設定に対して大き
な障害となる。

【０００７】また、輸送配管の接続の変更の際には、石
炭の搬送を一次中断し、バルブの切替えを行う必要があ
る。気流輸送の場合、配管中に被搬送物を残存させたま
ま搬送を停止すると再始動が非常に困難となるため、配
管中の被搬送物を一掃しておく必要がある。このため、
輸送に必要なガス量が非常に多くなるとともに、コーク
ス炉への石炭の装入時間すなわち石炭の搬送時間が制限
されるため、単位時間当りの石炭の搬送量を非常に大き
くする必要がある。したがって、搬送設備が大規模化す
るとともに、運転費の増大を余儀なくされる。

【０００８】この発明は、このような従来技術の問題点
にかんがみ、乾燥または予熱した石炭をコークス炉へ気
流輸送する際の発塵を防止し、装炭時のキャリーオーバ
ーを効果的に抑制することができるとともに、設備費お
よび運転費も安価につくコークス炉への石炭の搬送、装
入方法を提案しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明は、乾燥または
予熱した石炭を、コークス炉上部に設置された固気分離
装置まで気流輸送により搬送し、この固気分離装置にお
いて輸送ガスと石炭とに分離し、分離された石炭をコー
クス炉へ装入する方法において、前記固気分離装置を移
動可能かつ貯炭可能とし、固気分離装置までの石炭輸送
配管を屈曲可能な配管で構成することを特徴とし、ま
た、この方法において、固気分離装置からコークス炉へ
石炭を装入するに際し、石炭との置換により排出される
ガスをコークス炉から強制的に固気分離装置側に吸引す
ることを特徴とする石炭の搬送、装入方法を要旨とす
る。

【００１０】

【作用】乾燥または予熱した石炭は直接、または中間貯
炭槽、輸送タンクを経て、気流輸送により貯炭可能な移
動式の固気分離装置へ搬送され、切出装置を介してコー
クス炉へ装入される。輸送タンクと固気分離装置間を接
続する屈曲可能な輸送配管は、固気分離装置がコークス
炉のすべての窯に対応できる長さを有している。したが
って、固気分離装置がコークス炉上のいかなる位置にあ
っても石炭の気流輸送が可能である。また、固気分離装
置は貯炭可能となしているので、装入終了から次の装入
目標窯へ石炭の転送先を変更するときにも、石炭の搬送
を停止することなく連続的に搬送することが可能であ
る。

【００１１】石炭との置換により排出されるガスをコー
クス炉から強制的に固気分離装置側に吸引するのは、石
炭充填層にてキャリーオーバーとなる微粉成分を捕集し
コークス炉へ再投入するためであり、その手段として
は、固気分離装置で分離された石炭をコークス炉へ装入
する切出装置を利用することができる。例えば、ロータ
リーフィーダーのように単体で原料炭の切出しと、コー
クス炉排出ガスの固気分離装置側への送給とを同時に行
うことが可能なもの、または原料炭の切出しとガスの送
給を別々に行うもののいずれでもよい。これにより、石
炭装入時にコークス炉から排出されるガスの大半を固気
分離装置に吸引し、キャリーオーバーとなる微粉成分を
該固気分離装置内の石炭充填層で捕集し、再度コークス
炉側へ装入することでキャリーオーバーを低減できる。

【００１２】

【実施例】図１はこの発明方法を実施するための装置構
成例を示す概略図で、１は乾燥機、２は輸送配管、３は
貯炭槽、４は気流輸送タンク、５はフレキシブルチュー
ブ製の気流輸送配管、６は貯炭可能な移動式固気分離装
置、７は切出装置、８はコークス炉である。

【００１３】すなわち、この発明ではまず、コークス炉
用原料炭（湿炭）を乾燥機１を用いて乾燥または予熱し
て水分を調整する。乾燥機としては、所定の予熱温度が
得られ、石炭中の水分を所定の値とすることができるも
のであれば特に制限はなく、例えば流動層加熱機等の一
般的な加熱機または予熱機を用いることができる。水分
は通常のコークス炉用原料炭である湿炭の水分量（８〜
９重量％）以下であれば特に問題はないが、気流輸送の
際の輸送の安定性、輸送効率、および搬送タンクからの
排出性等を考慮すると５重量％以下とするのが好まし
い。さらに、コークス炉内における石炭のかさ密度の増
大、乾留熱量の低減等による操業の安定化、生産性およ
び品質の向上ならびに安定化のためには、水分量は可及
的に少ない方が望ましい。石炭の予熱温度は、石炭の熱
分解温度以下であればよいが、熱効率を高め、品質なら
びに生産性を向上させるという観点から、１５０〜２０
０℃とするのが望ましい。

【００１４】乾燥機１で乾燥または予熱された石炭は、
輸送配管２より石炭塔の貯炭槽３に送られる。この場
合、中間貯炭槽（図示せず）に入れた後、貯炭槽３に送
給する場合もある。貯炭槽３内の石炭は、気流輸送タン
ク４に移された後、フレキシブルチューブ製の気流輸送
配管５により貯炭可能な移動式固気分離装置６に気流輸
送される。気流輸送タンク４と移動式固気分離装置６間
をつなぐフレキシブルチューブ製の気流輸送配管５は、
移動式固気分離装置６がコークス炉８上のいかなる位置
にあっても石炭の気流輸送が可能なように、コークス炉
８のすべての窯に対応できる長さを有している。また、
移動式固気分離装置６は貯炭機能も有しているので、該
固気分離装置６が移動中で石炭の装入を行っていない時
でも石炭を貯槽しておくことができる。したがって、バ
ッチ式のように石炭の搬送を停止する必要はない。

【００１５】例えば、移動５分、装入５分の条件で操業
している時に、バッチ式では５分間に必要量を搬送、装
入し、配管内の石炭をすべて除去しておく必要がある。
これに対し、連続式では同一の石炭量の搬送時間は１０
分でよいので、単位時間当たりの搬送量はバッチ式の半
分で済み、その上搬送を停止する必要がないので配管内
の石炭を除去する必要もない。

【００１６】切出装置７は、移動式固気分離装置６から
コークス炉８へ原料炭を装入すると同時に、コークス炉
から排出されるガスを固気分離装置６側へ吸引する機能
を有するものを用いる。例えば、ロータリーフィーダー
のように単体で原料炭の切出しと、コークス炉排出ガス
の固気分離装置側への送給とを同時に行うことが可能な
ものを用いる。このようなガス吸引機能付き切出装置７
を用いることにより、石炭装入時にコークス炉から排出
されるガスの大半を移動式固気分離装置６に吸引するこ
とができる。

【００１７】以上のごとく、上記装置による石炭の搬
送、装入方法は、バッチ式の搬送方法に比し単位時間当
たりの搬送量の低減と安定化、およびキャリアガス量の
低減がはかられる。また、キャリーオーバーとなる微粉
成分を固気分離装置６内の石炭充填層で捕集し、原料炭
と共に再度コークス炉へ装入することができるので、キ
ャリーオーバーの低減がはかられる。

【００１８】実施例１ この発明方法のキャリーオーバー量の低減効果を調べる
ため、図２に示す実験設備を用いて行った実験結果を以
下に示す。図２の実験設備は、タンクＡから原料炭（粒
度３ｍｍ以下が８０％、水分３．０ｗｔ％）が配管９を
通って、この発明の固気分離装置に見立てた切出タンク
Ｂへ送給され、このタンク内の原料炭が切出装置１０を
介してコークス炉に見立てたタンクＣへ装入されるよう
になっている。切出装置１０にはガス吸引機能付きのロ
ータリーフィーダーを用いた。実験は、コークス炉に見
立てたタンクＣからの排出ガス中の粉塵量を測定し、キ
ャリーオーバー量とした。その結果を表１に示す。な
お、表１には比較のため、従来のバルブの開閉のみの場
合を併せて示す。表１の結果より明らかなごとく、タン
クＣからの排出ガスを吸引して再度タンクＣへ装入する
本発明方法はキャリーオーバー量を低減できることがわ
かる。

【００１９】

【表１】

【００２０】

【発明の効果】以上説明したごとく、この発明方法によ
れば、気流輸送されてきた原料炭をキャリアガスと分離
する固気分離装置がコークス炉上の任意の位置で石炭の
気流輸送が可能なように移動でき、かつ貯炭可能である
から該固気分離装置が移動中であっても石炭を貯槽して
おくことができるので、石炭の搬送を停止することなく
連続的に搬送することが可能であり、搬送、装入時の発
塵を防止することができるのみならず、単位時間当りの
石炭搬送量の低減と安定化、およびキャリアガス量の低
減がはかられる。また、装炭時のキャリーオーバーとな
る微粉成分を固気分離装置内の石炭充填層で捕集し、原
料炭と共に再度コークス炉へ装入することができるの
で、装炭時のキャリーオーバーを効果的に抑制すること
ができるとともに、微粉成分をコークス炉用原料として
有効に利用することができる。さらに、設備的にも安価
で信頼性の高いものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明方法を実施するための装置構成例を示
す概略図である。

【図２】この発明の実施例１における実験設備を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ 乾燥機 ２ 輸送配管 ３ 貯炭槽 ４ 気流輸送タンク ５ フレキシブルチューブ製の気流輸送配管 ６ 貯炭可能な移動式固気分離装置 ７ 切出装置 ８ コークス炉

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乾燥または予熱した石炭を、コークス炉
   上部に設置された固気分離装置まで気流輸送により搬送
   し、この固気分離装置において輸送ガスと石炭とに分離
   し、分離された石炭をコークス炉へ装入する方法におい
   て、前記固気分離装置を移動可能かつ貯炭可能とし、固
   気分離装置までの石炭輸送配管を屈曲可能な配管で構成
   することを特徴とするコークス炉への石炭の搬送、装入
   方法。
2. 【請求項２】 固気分離装置からコークス炉へ石炭を装
   入するに際し、石炭との置換により排出されるガスをコ
   ークス炉から強制的に固気分離装置側に吸引することを
   特徴とする請求項１記載のコークス炉への石炭の搬送、
   装入方法。