JP4948977B2 - 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 - Google Patents
連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4948977B2 JP4948977B2 JP2006306910A JP2006306910A JP4948977B2 JP 4948977 B2 JP4948977 B2 JP 4948977B2 JP 2006306910 A JP2006306910 A JP 2006306910A JP 2006306910 A JP2006306910 A JP 2006306910A JP 4948977 B2 JP4948977 B2 JP 4948977B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slab
- reduction
- amount
- completion point
- value
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Description
前記3つの代表的なクレータエンド形状において、図11に示すクレータエンド形状であれば良好な冷却状態として問題ないが、図12に示すクレータエンド形状であると、コーナー部の過冷により、鋳片両端面にコーナー割れが入り易い。また、図10に示すクレータエンド形状ではコーナー割れは生じないものの、凝固完了点の末端の一部が、その他の凝固部分に対して出入りしている形状であるので偏析の発生、ポロシティの発生など、冷却管理上問題があると言われており、通常はこのようなクレータエンド形状が発生しないように冷却条件を含めた種々の鋳造条件を制御してこれらの問題を解消しようとしている。また、これらの鋳造条件の制御とは別に、圧下ロールを用いてクレータエンドの軽圧下を行ない、前述の偏析の問題解消に対処しているので、図10あるいは図12に示す状態が出現した場合であっても、軽圧下は行っているものである。(以降、軽圧下を行う際に使用している圧下ロールを軽圧下ロールと記載することがある。)
この軽圧下方法とは、先の偏析などの鋳片内部欠陥を防止するため、鋳片の凝固完了点近傍に僅かな塑性変形を伴う圧下を施す鋳造法として知られている。
また、連続鋳造機のシミュレーション装置として、ロールRi,Ri+1によって連続的に案内されて冷却水等を吹き付けられる鋳片の有限要素モデルMjから雰囲気への熱伝達率hwが、前回演算された有限要素モデルMj−1からの熱伝達率hwより求められた鋳片の表面温度と、上記冷却水等の吹き付け量に関する操業上の実測データである吹付量分布とに基づいて演算されることにより、鋳造中の鋳片の熱的挙動を精度良くシミュレーションすることができる方法が提供されている。(特許文献2参照)
また、前述の2次冷却帯にて2次冷却水を噴霧しないゾーンを前記(Tnin+Tnout)/4≦Ln≦(Tnin+Tnout)/2とする式に従って形成する方法では、鋳片の冷却状態を制御することによりクレータエンド形状を制御しようとする技術であるが、冷却水を噴霧しないゾーンでの冷却が不足し、やはりクレータエンド形状を十分には制御できず、図10に示す凝固形態になるという問題があった。
(2)本発明の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法は、(1)に記載の軽圧下方法において、メニスカスからの鋳造方向距離に応じた鋳型内での抜熱量と、鋳型下流側の冷却帯における冷却ノズルから鋳片に吹き付ける冷却水による抜熱量と、連続鋳造用ロールによる抜熱量と、未冷却部の輻射による抜熱量を基に、鋳造方向に垂直な鋳片断面における伝熱凝固計算を行い、凝固完了点近傍における鋳片厚み方向の中心固相率を算出することを特徴とする。
(3)本発明の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法は、(1)に記載の軽圧下方法において、非接触式のセンサーにより鋳片の凝固完了点近傍の鋳片厚み方向の中心固相率を測定することを特徴とする。
前記幅方向に求めた前記勾配の平均値について複数配置した対象セグメント内での圧下ロールのそれぞれに求めた値の平均値から、
前記幅方向に求めた前記勾配の最大値について複数配置した対象セグメント内での圧下ロールのそれぞれに求めた値の最大値まで、
の範囲内の任意の値から、鋳片の凝固収縮量を換算し、
該収縮量に応じた圧下勾配で圧下量を調整することを特徴とする。
(6)本発明の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法は、(4)または(5)に記載の軽圧下方法において、鋳片厚み方向の中心固相率の幅方向分布に応じて圧下量を調整する際に、下記の(II)式の圧下力F以下の範囲で圧下力を制御することを特徴とする。
(8)本発明の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法は、(7)に記載の軽圧下方法において、所望の圧下量を事前にセットして圧下を行う方法として、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置にセグメントを押し当てて、所望の圧下量となる様に、セグメントの圧下勾配を一定値に設定することを特徴とする。
(9)本発明の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法は、(7)に記載の軽圧下方法において、所望の圧下量を事前にセットして圧下を行う方法として、所望の圧下量となる様に、圧下力を制御することにより、セグメントの圧下勾配を一定値に調整することを特徴とする。
ここで、鋳片厚み方向の中心固相率とは、鋳片厚み方向中心の任意の位置における固相率である。(以降、鋳片厚み方向の中心固相率を、単に「中心固相率」と記載することがある。)
また、伝熱凝固計算に基づく中心固相率の算出結果から、あるいは、センサーによる中心固相率の計測結果から中心固相率を求めるため、これらを基に、いずれのクレータエンド形状であっても部位毎に望ましい軽圧下を行うことができる。
更に、具体的な軽圧下の状態制御として、中心固相率fs(x,y)から鋳片幅方向での積分値としてのB(x)を求め、B(x)の値が0よりも大きい場合、かつ、鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)が所定値以上の場合に前記ロールにより凝固完了部近傍を圧下するため、確実な軽圧下状態の把握ができる。
また、実際の軽圧下においては、通常、複数の圧下ロールが同一の圧下用セグメント内に配置されているため、セグメントの圧下勾配により圧下量を調整するが、セグメント内の各圧下ロールのB(x)の値の少なくとも1つが0よりも大きい場合、かつ、鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)の値の少なくとも1つが所定値以上の場合に、前記圧下ロールにより凝固完了部近傍を圧下するため、やはり確実な軽圧下状態の把握ができる。
更に、鋳片の鋳造方向への各圧下ロール位置における中心固相率fs(x,y)のx方向勾配の平均値について複数配置した対象セグメント内での圧下ロールのそれぞれに求めた値の平均値から、前記x方向勾配の最大値について複数配置した対象セグメント内での圧下ロールのそれぞれに求めた値の最大値まで、の範囲内の任意の値から鋳片の凝固収縮量を換算し、この凝固収縮量に応じた圧下勾配で前記ロールによる圧下量調整を行うため、クレータエンド形状に合わせたより好ましい条件の軽圧下ができる。
更に、本発明は、圧下量を調整する際に、中心固相率の圧下ロール位置での幅方向積分値のセグメント内各圧下ロールでの合計値に応じてセグメントの圧下力を制御することにより、既設の軽圧下設備の可能な範囲内で操業できているかどうかを把握しながら軽圧下を行うことができる。また、操業条件に応じて、事前にセグメントの必要剛性等を設計することもできる。
また、圧下量を事前にセットする際、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置にセグメントを押し当てて、所望の圧下量となる様に、セグメントの圧下勾配を一定値に設定するため、実操業への適用性が容易であり、かつ、確実に一定の圧下勾配を保持できる。
更に、圧下量を事前にセットする際に、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置にセグメントを押し当てて、所望の圧下量となる様に、セグメントの圧下勾配を一定値に設定しながら、圧下力を制御することにより、セグメントの圧下勾配を一定値に調整するため、中心固相率に応じて必要な圧下力で圧下されるため、精度良く圧下勾配を一定値に制御できる。また、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置にセグメントを押し当てることなく、圧下力のみで制御できる場合は、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置が不要なため、簡便な装置とすることができる。
図1は本発明が適用される垂直曲げ型の連続鋳造機について鋳片が製造されている状態における鋳片幅方向中央位置における側断面略図である。
図1においてタンデイッシュ1の下方に鋳型2が設けられ、タンデイッシュ1の底部中央にその下方に向いて延出する浸漬ノズル3が設けられ、前記タンデイッシュ1に収容されている溶鋼5を前記浸漬ノズル3を介して鋳型2に供給できるように構成されている。
図4は左右に配置されている液圧装置32、32の作動状態を調整してセグメント基盤30を傾斜させた状態を示すが、このように液圧装置32、32を制御することにより鋳片16に対して負荷する軽圧下力を調整できるように構成されている。勿論、セグメント基盤30、31をそれらの対向面が平行状態とすることで、セグメントによる圧下を解除することも可能である。
本実施形態において、クレータエンド15に対してその上流側に鋳片16を上下から挟み付けるように配置した上下一対の軽圧下ロール17aと軽圧下ロール17bと軽圧下ロール17cと軽圧下ロール17dが整列配置された4基構成の軽圧下ロール装置が構成されている。
この形態の軽圧下装置においては、後述する計算等で求めた最適な圧下勾配となるように各ロール17a〜17dの位置を制御し、結果として各ロールでの圧下力が変化するようにして最適圧下勾配で鋳片を軽圧下制御することができるように構成されている。
ここでは各ロール17a〜17dの圧下量を個別に調整しても良いが、装置構成上の観点からセグメント基盤30、31に傾斜勾配をつけて圧下勾配を規定し、圧下勾配を調整することが現実的である。
図6に示す状態は中心偏析やポロシティーの問題の生じ難い、良好と思われる凝固状態であり、鋳片幅方向中央部側の凝固完了点24が鋳片幅方向でほぼ同一位置で全幅Wに近い平滑な幅広形状となり、鋳片幅方向両端部側に幅の狭い凝固部25が存在している状態であり、図7に示す状態は、鋳片幅方向両端部側の凝固完了点26が鋳片幅方向中央部側の凝固完了点27よりも鋳造方向下流側に角状に伸びた形状となる状態である。
なお、先に図12を基に記載した凝固状態も考えられるが、図12に示す凝固状態ではコーナー割れを生じる危険性があり、この状態とならないように幅切りと称される鋳片端部側をスプレーノズルで冷却しない技術を利用して図12に示す状態を回避し、この回避の結果、鋳片両端部側の凝固完了点が下流側に角状に伸びて生成しやすくなり、図7に示す状態となった場合に本発明が有効となる。
なお、一般的な軽圧下自体は連続鋳造時に通常行うものなので、図7に示す状態となった場合に限らず、仮に図10〜図12のいずれのクレータエンド形状になっていたとしても行う操作として考える。
すなわち、鋳片の中心固相率の幅方向分布に新たに着目したものであり、中心固相率の幅方向分布に応じて圧下量を調整することにより、凝固完了点が不定形の状態で形成されて、種々の形態のクレータエンド形状となっていても、部位毎に望ましい軽圧下を行うことができ、偏析抑制を可能とするものである。
尚、凝固完了点近傍とは、凝固完了点から上流側の一定の領域であれば、特に規定するものではないが、軽圧下した場合に、偏析抑制等の効果が発揮される程度の中心固相率以上の領域であることが好ましい。
具体的に、鋳片の中心固相率の幅方向分布に応じて、凝固完了点近傍における軽圧下の適用範囲を求める方法を、以下に示す。
鋳片16の全幅をWとし、その鋳片16の幅方向の任意の位置をyとし、前記鋳片16の鋳造方向の任意の位置をxとし、鋳片16の任意の点(x,y)における鋳片厚み方向の中心の固相率をfs(x,y)と定義して、この中心固相率fs(x,y)が所定の範囲内の場合を0以外の値とし、それ以外の範囲の場合を0に2値化する関数をg(x,y)と定義する。ここでは、典型的な例として、中心固相率fs(x,y)が所定の範囲内の場合を0とし、それ以外の範囲の場合を1に2値化したケースについて示している。尚、中心固相率fs(x,y)の所定の範囲とは、特に規定するものではなく、鋳片の品質の要求等により、適宜、設定すれば良い。これらの関係を以下の式で示すことができる。
また、鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)を所定値以上とするのは、凝固完了点近傍を判別するためである。但し、この所定値についても、特に規定するものではなく、鋳片の品質の要求等により、適宜、設定すれば良い。但し、鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)が0.2未満では、軽圧下した場合に、偏析抑制等の効果が発揮されにくくなる場合があるため、0.2以上が好ましい。但し、全て固相の場合は軽圧下による偏析抑制等の効果がほとんどないため、前記鋳片幅中心の中心固相率の上限は1.0未満とする。
従って、上記(3)式に従い、B(x)>0の時、かつ、凝固完了点近傍を判別できる鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)が所定値以上の時に、軽圧下を実施すれば良い。
尚、B(x)を求める際の中心固相率fs(x,y)の所定の範囲や、鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)の所定値以上については、前記と同様である。
「fs(x,y)を計算により求める場合」
鋳片16の鋳造方向に垂直な断面(横断面)において伝熱凝固計算を行う場合、計算の境界条件として、鋳型2内は以下の公知の(4)式により鋳型への抜熱量qを求めることができる。以下の(4)式において、Xはメニスカスからの鋳造方向距離、α、βは定数を示す。
この係数の計算は、一例として特開平4−231158号公報に開示されている技術を適用することができる。例えば、ロールRi,Ri+1により案内されて冷却水が吹き付けられる鋳片16の有限要素モデルMjから雰囲気への熱伝達率hwが、先に演算された有限要素モデルMj−1からの熱伝達率hwより求められた鋳片の表面温度と、冷却水の吹き付け量に関する操業上の実測データである吹付量分布に基づいて演算することができる。鋳片16は図9に示すように楕円形状の吹き付け領域16aに吹き付けられる実測データとしての冷却水と空気により冷却され、吹き付け領域16aにおける吹き付け量分布16b、16cも実測データが用いられる。
hw=hw(T,W,A)=α×Tf×Wg×An
ただし、前記の式において、α、f、g、nは各ノズルNiについて予め実験等により得られた係数であって、前記ノズル毎の吹き付け領域及び吹き付け量とともに、それぞれデータベース等に記録しておき、それを基に計算すればよい。
以上の計算により、任意の鋳造方向位置x、幅方向位置yにおける温度を求めることができる。
なお、伝熱凝固計算として前記特開平4−231158号公報に開示されている技術の他に、「コンピュータ伝熱、凝固解析入門、大中著、丸善株式会社刊」に記載されているエンタルピー法、等価比熱法を適用しても行っても良い。
鋳片のクレータエンドの温度を測定するには、特開平10−325714号公報に記載されている放射線による測定方法を適用することができる。
概略を説明すると、2つ以上の異なったエネルギースペクトルを有する放射線の、鋳片の厚さ方向の透過度を測定する放射線透過度測定装置と、前記放射線透過度測定装置を鋳片幅方向に走査する幅方向走査装置と、前記放射線透過度測定装置と幅方向走査装置によって得られた透過度の鋳片幅方向の分布に基づいて、鋳片断面の凝固完了点近傍の形状を求める凝固完了点近傍の形状演算装置と、溶鋼温度、スプレー冷却水温度、冷却水ノズル状態および鋳造速度に基づいて鋳片の温度分布を求める伝熱計算装置と、前記鋳片の温度分布と前記断面の凝固完了点近傍の形状に基づいて温度分布を修正する温度修正演算装置と、前記修正された温度分布に基づいて3次元の凝固完了点近傍の形状を求める3次元凝固完了点近傍の形状演算装置とを備えた検出装置を用いる。
なお、鋳片の厚み中心の中心固相率fs(x,y)を求める場合、特開平10−325714号公報に記載されている如くクレータエンド前後の3次元の凝固完了点近傍の形状を全て把握しなくとも、鋳片の厚み中心の中心固相率fs(x,y)を概算するのであれば、放射線透過度測定装置を鋳片のクレータエンド前後に走査して鋳片厚み方向における凝固部と未凝固部の透過度の差異から凝固部と未凝固部を区別する操作を行ない、その値を利用しても良い。
軽圧下を実施するセグメント基盤20、21に図5に示す如く4本の軽圧下ロール17a、17b、17c、17dが組み込まれて1つのセグメントとされてなり、これらにより鋳片16を軽圧下する場合について各軽圧下ロールの制御方法を説明する。なお、各軽圧下ロール17a〜17dにより結果的に鋳片に圧下力を印加することになるが、この例では各軽圧下ロール17a〜17dの個々の加圧力を変更するのではなく、セグメント基盤の圧下力(クランプ力)で、各軽圧下ロール17a〜17dの圧下勾配を決める位置制御を行う。
前記軽圧下ロール17aの設置されている位置を鋳造方向におけるx1、軽圧下ロール17bの設置されている位置をx2、軽圧下ロール17cが設置されている位置をx3、軽圧下ロール17dが設置されている位置をx4とする。
先に定義した(3)式に従うB(x)を各軽圧下ロールの位置で求め、セグメント内の軽圧下ロールの中の少なくとも1本の位置においてB(x)>0の時、かつ、セグメント内の軽圧下ロールの中の少なくとも1本の位置において、鋳片幅中心の中心固相率fs(x,W/2)が所定値以上の時に、軽圧下を実施する。
その際に、中心固相率fs(x,y)のx方向勾配のy方向での最大値または平均値を求める。即ち、x1〜x4の位置(圧下する軽圧下ロールは4箇所)で各軽圧下ロールごとにfs(x,y)を計算し、∂・fs(x,y)/∂・x をy方向に計算し、その最大値または平均値を求める。
また、各軽圧下ロールそれぞれについて求めた前記∂・fs(x,y)/∂・x の値の最大値を用いて、さらにこれらの最大値を上限値として、
上記の下限値から上限値までの範囲内の任意の値をCとする。
例えば、中心固相率の変化量は、凝固収縮状況を示しているため、最も収縮しているものを対象として軽圧下する場合は、前記∂・fs(x,y)/∂・x の値の最大値を各軽圧下ロールごとに計算し、その最大値をCとすることが好ましい。
ちなみに、上記の下限値から上限値までの範囲内の任意の値を選択可能であるが、実際には平均値や最大値を用いることが現実的である。そこで、前記した平均値と最大値の組み合わせとしては、典型的なケースとして4つのパターンを例示することができ、具体的には、中心固相率の幅方向分布に応じて圧下量を調整する際に、中心固相率fs(x,y)のx方向の勾配を対象ロール位置(任意のx位置)で鋳片の幅方向(y方向)に求め、その値の平均値あるいは最大値を求め、更に、複数配置した対象セグメント内での軽圧下ロールのそれぞれに求めた値の平均値あるいは最大値を求めるとともに、
前記幅方向に求めた前記勾配の平均値と前記軽圧下ロールのそれぞれに求めた値の平均値とから鋳片の凝固収縮量を換算するか、前記幅方向に求めた勾配の最大値と前記軽圧下ロールのそれぞれに求めた値の最大値とから鋳片の凝固収縮量を換算するか、前記幅方向に求めた勾配の最大値と前記軽圧下ロールのそれぞれに求めた値の平均値とから鋳片の凝固収縮量を換算するか、前記幅方向に求めた勾配の平均値と前記軽圧下ロールのそれぞれに求めた値の最大値とから鋳片の凝固収縮量を換算し、前記いずれかの収縮量に応じた圧下勾配で圧下量を調整することができる。
上記の様に、鋳片の凝固収縮量に応じた圧下勾配で圧下量を調整する際に、必要な圧下力を考慮することは、操業の継続可能の判断を行う上で、重要である。
そこで、前記中心固相率fs(x,y)の軽圧下ロール位置での幅方向積分値のセグメント内各軽圧下ロールでの合計値に応じて、軽圧下するために必要なセグメントの圧下力を把握することに着目した。
具体的には、前記の中心固相率fs(x,y)から、鋳片厚み方向の中心の固相率を、幅方向へ積分したものをA(x)と定義し、以下の(5)式に基づいて求める。
即ち、固相率の積分値が小さい場合は小さな圧下力でよいが、固相率の積分値が大きくなるにつれて大きな圧下力が必要となり、その指標として固相率の積分値を把握することができる。
具体的には、圧下力F、係数Eとすると以下の(6)式にて示すことができることを本発明者は知見した。この圧下力Fが、軽圧下を行うために必要な圧下力の最大値となる。従って、この圧下力で軽圧下可能な装置を用いている場合、この圧下力以下の範囲で圧下力を制御することで、軽圧下が継続可能であることを判断できる。
さらに、既設の軽圧下セグメントにおいては、該合計値より、軽圧下可能範囲、圧下勾配の限界値の検討も可能になった。
これに対して、本発明の方法は、中心固相率の幅方向分布を考慮して、クレータエンド形状に応じて、望ましい軽圧下を行うものであるため、図7のクレータエンドの形状からは、F1位置からF4位置まで軽圧下を行えば良いことになる。しかし、F4ではほとんどが固相であるため、現実的には軽圧下できないため、軽圧下が可能な範囲である領域(例えば、固相率が0.7以下)であるF1位置からF3位置を軽圧下することにより、F1位置からF3位置までの圧下では、顕著な偏析部位は生じない。すなわち、中心固相率の幅方向分布に応じて、広い範囲で軽圧下できるため、偏析が防止できるため、良好な品質の鋳片を製造することができる。
すなわち、鋳造中の操業データ等から計算して制御するのではなく、計画している操業条件等から、所望の圧下量を予め求めておき、この圧下量を一定値に鋳造前に事前にセットし、その状態で操業を行うものである。
尚、所望の圧下量については、計画している操業条件等を用いて、前述の通り、一連の計算により中心固相率を凝固収縮量に換算して求めても良い。
また、計画している操業条件と同様の操業条件での実測結果を用いて所望の圧下量を求めても良く、あるいは、計画している操業条件を模擬した実験により所望の圧下量を求めても良い。
但し、高度な制御が可能であれば、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置として、例えばジャッキ等にセグメントを押し当てることなく、所望の圧下量になる様に事前にセグメントの圧下勾配を一定値に設定し、この圧下勾配を保持する様に、セグメントの圧下力を制御することで実施できる。
5 溶鋼、
11 メニスカス、
12 凝固層(凝固シェル)、
15 クレータエンド、
16 鋳片、
17 軽圧下ロール、
17a〜17d 軽圧下ロール、
20、21 セグメント基盤、
26 未凝固部、
27 凝固部、
30、31 セグメント基盤、
32 液圧装置、
Claims (9)
- 鋳型内に溶鋼を注入し、該溶鋼を冷却して形成した凝固シェルを鋳型下方に連続的に引き抜き、更に鋳型下流側の冷却帯で凝固シェル表面を冷却して鋳片の凝固を完了させる際に、鋳片の凝固完了点近傍の未凝固部分と凝固部分の状態を基に凝固完了点近傍に複数配置した圧下ロールの圧下量を制御しながら軽圧下する方法であり、鋳片厚み方向の中心固相率を求めて、該中心固相率の幅方向分布に応じて、圧下量を調整する方法であって、
幅Wの連続鋳造鋳片の幅方向の任意の位置をyとし、前記連続鋳造鋳片の鋳造方向の任意の位置をxとし、連続鋳造鋳片の任意の点(x,y)における鋳片厚み方向の中心固相率をfs(x,y)と定義して、この中心固相率fs(x,y)が所定の範囲内の場合を0以外の値とし、それ以外の範囲の場合を0に2値化する関数をg(x,y)と定義し、該g(x,y)で示される関数を連続鋳造鋳片の幅方向に0からWまで積分したB(x)を求め、このB(x)の値が0以外の値の場合で、かつ、鋳片幅中心における鋳片厚み方向の中心固相率fs(x,W/2)の値が所定値以上の場合に、前記圧下ロールにより凝固完了点近傍として凝固完了点から上流側の領域であって、軽圧下した場合に偏析抑制の効果が発揮される中心固相率以上の領域を圧下することを特徴とする連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。 - メニスカスからの鋳造方向距離に応じた鋳型内での抜熱量と、
鋳型下流側の冷却帯における冷却ノズルから鋳片に吹き付ける冷却水による抜熱量と、連続鋳造用ロールによる抜熱量と、未冷却部の輻射による抜熱量を基に、
鋳造方向に垂直な鋳片断面における伝熱凝固計算を行い、凝固完了点近傍における鋳片厚み方向の中心固相率を算出することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。 - 非接触式のセンサーにより鋳片の凝固完了点近傍の鋳片厚み方向の中心固相率を測定することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。
- 前記複数配置した圧下ロールの圧下量を制御する際に、複数の圧下ロールが同一の圧下用セグメント内に配置され、該セグメントの圧下勾配により圧下量を調整する場合、該セグメント内の各圧下ロール位置でのB(x)の値のうち少なくとも1つが0以外の値の場合で、かつ、該セグメント内の各圧下ロール位置での鋳片幅中心における鋳片厚み方向の中心固相率fs(x,W/2)の値のうち少なくとも1つが所定値以上の場合に、該セグメントで鋳片を圧下することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。
- 鋳片厚み方向の中心固相率の幅方向分布に応じて圧下量を調整する際に、前記中心固相率fs(x,y)のx方向の勾配を対象ロール位置(任意のx位置)で鋳片の幅方向(y方向)に求め、その値の平均値あるいは最大値を求め、
前記幅方向に求めた前記勾配の平均値について複数配置した対象セグメント内での圧下ロールのそれぞれに求めた値の平均値から、
前記幅方向に求めた前記勾配の最大値について複数配置した対象セグメント内での圧下ロールのそれぞれに求めた値の最大値まで、
の範囲内の任意の値から、鋳片の凝固収縮量を換算し、
該収縮量に応じた圧下勾配で圧下量を調整することを特徴とする請求項4に記載の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。 - 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下を行う際に、請求項5に記載の方法により所望の圧下量を求めておき、該圧下量を事前にセットして圧下を行うことを特徴とする連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。
- 所望の圧下量を事前にセットして圧下を行う方法として、セグメントの勾配を一定に保持する機能を有する装置にセグメントを押し当てて、所望の圧下量となる様に、セグメントの圧下勾配を一定値に設定することを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。
- 所望の圧下量を事前にセットして圧下を行う方法として、所望の圧下量となる様に、圧下力を制御することにより、セグメントの圧下勾配を一定値に調整することを特徴とする請求項7に記載の連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006306910A JP4948977B2 (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006306910A JP4948977B2 (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008119726A JP2008119726A (ja) | 2008-05-29 |
JP4948977B2 true JP4948977B2 (ja) | 2012-06-06 |
Family
ID=39505048
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006306910A Active JP4948977B2 (ja) | 2006-11-13 | 2006-11-13 | 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4948977B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019126811A (ja) * | 2018-01-22 | 2019-08-01 | 日本製鉄株式会社 | 鋳片の中心固相率の測定方法 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5691912B2 (ja) * | 2011-07-26 | 2015-04-01 | Jfeスチール株式会社 | 金属片の連続鋳造方法 |
CN114088503A (zh) * | 2021-11-19 | 2022-02-25 | 中天钢铁集团有限公司 | 一种验证二次冷却凝固模型准确性方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6137356A (ja) * | 1984-07-30 | 1986-02-22 | Kawasaki Steel Corp | 連続鋳造におけるクレ−タ−エンドの圧下方法 |
JPH06218510A (ja) * | 1993-01-28 | 1994-08-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 鋼の連続鋳造方法 |
JP3064832B2 (ja) * | 1994-11-10 | 2000-07-12 | 住友金属工業株式会社 | 連続鋳造方法 |
JPH10325714A (ja) * | 1997-05-23 | 1998-12-08 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 連続鋳造鋳片の未凝固部形状の検出方法および装置 |
JP3502070B2 (ja) * | 2001-07-12 | 2004-03-02 | 株式会社神戸製鋼所 | 鋼のスラブ連鋳法 |
JP2005193265A (ja) * | 2004-01-06 | 2005-07-21 | Nippon Steel Corp | 鋼の連続鋳造設備および連続鋳造方法 |
-
2006
- 2006-11-13 JP JP2006306910A patent/JP4948977B2/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019126811A (ja) * | 2018-01-22 | 2019-08-01 | 日本製鉄株式会社 | 鋳片の中心固相率の測定方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008119726A (ja) | 2008-05-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101781805B1 (ko) | 금속 스트랜드의 연속 주조 방법 | |
KR101739674B1 (ko) | 주편의 연속 주조 방법 | |
KR102635630B1 (ko) | 강의 연속 주조 방법 | |
JP4948977B2 (ja) | 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 | |
JP2009050913A (ja) | 連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法 | |
JP6384679B2 (ja) | 熱延鋼板の製造方法 | |
JP5949315B2 (ja) | 連続鋳造鋳片の製造方法 | |
KR20200041948A (ko) | 벨트 주조 경로 제어 | |
KR20170086094A (ko) | 연속 주조 주편과 그 제조 방법 및 제조 장치, 후강판의 제조 방법 및 제조 장치 | |
JP4556720B2 (ja) | 連続鋳造における鋳片の冷却方法 | |
KR20210123383A (ko) | 슬래브 주편의 연속 주조 방법 | |
JP2007245168A (ja) | 連続鋳造の凝固完了検出方法、装置及び連続鋳造方法、装置 | |
JP5131229B2 (ja) | スラブの連続鋳造方法 | |
JP2002079356A (ja) | 連続鋳造における2次冷却方法 | |
JP3958787B1 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP2014036999A (ja) | 連続鋳造鋳片の製造方法 | |
JP5939002B2 (ja) | 凝固状態推定装置および凝固状態推定方法ならびに鋼の連続鋳造方法 | |
US20240198413A1 (en) | Nosetip design for high-performance continuous casting | |
CN111199119B (zh) | 连铸异形坯坯头温度模拟方法 | |
JP7014203B2 (ja) | 連続鋳造における鋳造鋳片のクレータエンド位置の推定方法およびその装置 | |
JP5958036B2 (ja) | 鋳片の凝固状態推定装置及び連続鋳造方法 | |
JP5413284B2 (ja) | 連続鋳造鋳片の完全凝固位置検出方法 | |
KR100332645B1 (ko) | 오스테나이트계스테인레스강연주주편의제조방법 | |
JP4417899B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP2867894B2 (ja) | 連続鋳造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090216 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110909 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111021 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20111101 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120104 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120228 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120307 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4948977 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150316 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |