JP3502070B2 - 鋼のスラブ連鋳法 - Google Patents
鋼のスラブ連鋳法Info
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Description
行なう際に、連鋳機内における溶鋼の凝固完了位置近傍
で連鋳機のロール間隙を絞り込んで圧下することによ
り、スラブの厚み中心部に生じる偏析を可及的に軽減し
得る様に改善された方法に関するものである。
ブ鋳片の厚み中心部に発生する偏析を軽減することは重
要課題の一つである。かかる課題の下で従来から実施さ
れている中心偏析の改善手法としては、電磁攪拌の適
用、低温鋳造、あるいは、連鋳機内でのバルジングを防
止するためのロールピッチの短縮など、多くの手法が提
案示されており、それなりの効果を得ている。
よって引き起こされる偏析については、凝固末期におけ
るロールの間隙を狭めて未凝固鋳片を軽圧下する方法が
有効であるとの報告が見られる(例えば、「わが国にお
ける鋼の連続鋳造技術史」第515−524頁など)。
おいて、上記の如く凝固末期のロール間隙を狭めて未凝
固鋳片を軽圧下する技術を適用すれば、平均的には中心
偏析の改善効果を得ることができるが、鋳片の幅方向で
中心偏析レベルのバラツキが発生し問題となる。そし
て、幅方向に一部でも中心偏析の高い部分が存在する
と、当該偏析部分が使用環境の最も厳しい部分と合致し
たとき、重大な問題となる。
れる典型的な幅方向中心偏析(鋼中炭素濃度)のバラツ
キを幅方向に一定間隔で測定し、その分析値をバルクの
分析値で徐した値(C/C0)として示したものであ
る。この図からも明らかな様に、鋳片幅方向でC/C0
が1.0付近に多く認められるものの、当該値が1.4
にも達する偏析部位も散見される。
が生じる原因については、幅方向での凝固進行状態の違
いに起因するとの報文[CAMP−ISIJ vol.
2(1989)−1154やNKK技報No.160
(1997,12)P12、またはCAMP−ISIJ
vo1.2(1989)P1158など]、或は、幅
方向に分割された圧下ロールの軸受部での圧下の不均一
に起因するとの見解(特開2001−25850号公
報)等が見られる。
凝固バラツキを低減するため、連鋳機における2次冷却
水量を幅方向で調整し、幅方向における凝固の進行をで
きるだけ均一にしようという試みがなされている。しか
し、スラブ連鋳における2次冷却水は、連鋳機内での鋳
片表面温度をコントロールして表面割れを防止する手段
となっており、表面割れ感受性の高い鋼種については、
凝固完了位置を幅方向に均一化するための冷却と両立す
るとは限らず、完全な解決策とは言い難い。また、圧下
ロールの隙間を意識的に広げた後に圧下する方法も提案
されているが、この方法を採用すると、内部割れの如き
他の欠陥を誘起させる恐れがある。
置を鋳片幅方向で調整可能にする技術が提案されてい
る。ところがこの方法を実現するには、既存設備を大幅
に改造しなければならず、多大な費用負担が強いられ
る。
鑑みてなされたものであり、その目的は、多大な設備負
担を要することなく、しかも表面割れ感受性の高い鋼種
に対しても支障なく適用できて、鋳片幅方向中心偏析の
バラツキをより確実に低減することのできる技術を確立
することにある。
のできた本発明にかかるスラブ連鋳法とは、鋼のスラブ
連鋳を行なうに当たり、連鋳機内のスラブ幅方向で凝固
が先行する領域の凝固完了位置(A)と、凝固が遅延す
る領域の凝固完了位置(B)を求め、上記凝固完了位置
(A)近傍のロール対で、下記式によって求められるR
1 (mm)以上の圧下を鋳片に加えるところに要旨を有
している。 R 1 =T×[1−√(Xmin/Xmax)] 式中、Xminは、前記凝固完了位置(A)のメニスカ
スからの距離(m)、Xmaxは、前記凝固完了位置
(B)のメニスカスからの距離(m)、Tは鋳片厚み
(mm)を夫々表わす。 また本発明の他の構成は、鋼の
スラブ連鋳を行なうに当たり、連鋳機内のスラブ幅方向
で凝固が先行する領域の凝固完了位置(A)と、凝固が
遅延する領域の凝固完了位置(B)を求め、上記凝固完
了位置(A)近傍のロール対で、上記式によって求めら
れるR 1 (mm)と下記式によって求められるR 2 (m
m)のいずれか小さい方の値以上の圧下を鋳片に加える
ところに要旨を有している。 R 2 =0.2×√(Xmin/Vc) 式中、Xminは前記と同じ、Vcは鋳造速度(m/m
in)を表わす。
って求められるR2とR1の値が異なる場合は、それらの
うち何れか小さい方の値以上の圧下を鋳片に加えること
で、鋳片中心部の溶鋼の流動は充分に阻止され中心偏析
防止の目的を果たすことができる。
術の下で、鋳片幅方向に生じる中心偏析のバラツキを効
果的に低減することのできる方法の確立すべく鋭意研究
を進めてきた。その結果、鋳片幅方向で凝固進行状態に
違いがある領域の圧下条件を適切に制御すれば、鋳片幅
方向の中心偏析のバラツキを大幅に低減できることを突
き止めた。
2次冷却条件、鋼種、鋳片厚みなど)下における凝固完
了点の鋳片幅方向でのバラツキを調査し、該鋳片幅方向
における、近接する他の位置より凝固が相対的に先行す
る領域(以下、凝固先行領域という)と、逆に他の位置
より凝固が相対的に遅延する領域(以下、凝固遅延領域
という)とについて、それぞれメニスカスからの距離を
求め、凝固先行領域における凝固完了点近傍に位置する
1対のロール或は2対以上のロール群を、その上流側に
位置するロール対の間隙よりも一定値以上狭くしてスラ
ブ鋳片に強圧下を加えれば、鋳片幅方向の中心偏析のバ
ラツキが大幅に低減することを突き止めた。
隙間を鋳造方向に一定としたとき、鋳片厚み中心で凝固
収縮による溶鋼の流動がなくなる位置を意味し、本発明
者らの経験によると、この位置は鋳片厚み中心の固相率
が0.6〜0.8の範囲にある位置であることを確認し
ている。そしてこの凝固完了点は、1)鋳片内にトレーサ
ーの入った鋲などを打ち込んで調査する方法、2)連鋳に
おける溶鋼の凝固進捗状況から計算によって求める方
法、若しくはこれら1)、2)を組み合わせることによって
求めることができる。
キは、例えば図2の概念平面図に示す如く、凝固界面の
濃化溶鋼が鋳片幅方向に凝固の早い部位から凝固の遅い
部位へ流動することによって発生すると考えられ、該鋳
片幅方向の流動は、鋳片厚み中心での濃化溶鋼が、凝固
の早い部位で凝固の遅い部位よりも移動し難くなった時
に生じると思われる。
向で溶鋼の流動し易さが異なる領域が隣接している部位
にロール圧下が加わると、凝固の早い部位の濃化溶鋼は
凝固の遅い部位に流れ込み、凝固の遅い部位に濃化溶鋼
が集中して中心偏析が助長される。
凝固遅延領域における凝固界面の位置を短片側からみた
様子を模式的に示したものである。この図の凝固先行領
域で鋳片厚み中央が溶鋼の流動し難い遷移領域に入った
後、凝固の遅い部位が遷移領域に入るまで(図3のXm
inからXmaxまでの区間)を、圧下によって溶鋼の
流動を抑制すれば、鋳片幅方向の中心偏析のバラツキを
低減できるのである。
流動を抑制するための圧下条件について更に検討を重ね
た結果、この領域での圧下量を大きくし、且つできるだ
け少ないロール対で鋳片に圧下を加えることが重要であ
るとの知見を得た。より具体的には、凝固先行領域を濃
化溶鋼が移動しない領域に速やかに移行させるか(図3
においてR2以上の圧下を可及的速やかに行うか)、凝
固遅延領域を濃化溶鋼が移動し難い遷移領域に速やかに
移行させるか(図3のR1以上の圧下を速やかに行う
か)が重要であり、望ましくは、1本のロール対により
R1あるいはR2のいずれか小さい方の値以上に圧下すれ
ば、中心偏析のバラツキを最小限に抑え得ることが確認
された。
を測定あるいは計算することで、下記式によって求める
ことができる。 (R1の算出法)凝固シェルの厚みは、凝固時間の平方
根に比例することが知られており、このことから下記式
(I)の関係が成立する。 T/2=C1×√(Xmax/Vc)……(I) [式中、Tは鋳片の厚み(mm)、Vcは鋳造速度(m
/min)、Xmaxは最も凝固完了が遅い部位の凝固
完了位置をメニスカスから測った距離(m)、C1定数
(未知)を表わす]。
中心部が流動可能な液状であるとき、これを遷移領域に
まで圧下するのに必要な圧下量R1は、図4に示す如く
幅方向で凝固が遅延している部位が、幅方向で凝固が先
行している部位の厚み中心部が流動しなくなるまで凝固
したときに何mm未凝固で流動する領域の厚みが残って
いるかを表わしているから、凝固シェル厚みTとの関係
で下記式(II)が成り立つ。 R1/2=T/2−C1×√(Xmin/Vc)……(II) [式中、R1、T、Vc、C1は前記と同じ、Xminは
最も凝固完了が早い部位の凝固完了位置をメニスカスか
ら測った距離(m)を表わす]。
すると R1=T×[1−√(Xmin/Xmax)]……(III) が導かれる。
内のスラブ幅方向における凝固先行領域の凝固完了位置
(A)(即ち、メニスカスからの距離Xmin)と、凝
固遅延領域の凝固完了位置(B)(即ち、メニスカスか
らの距離Xmax)とを求め、上記凝固完了位置
(A)、即ちメニスカスからの距離Xminの近傍に位
置するロール対で、前記式(III)によって求められるR1
(mm)以上の圧下を鋳片に加えれば、凝固遅延領域内
に存在する流動溶鋼が存在しなくなり、偏析要因が解消
される。
は、前述の如く凝固時間の平方根に比例するので、上記
と同様に下記式(IV)の関係が成立する。 T/2=C2×√(Xmin/Vc)……(IV) [式中、R2、T、Vc、Xminは前記と同じ、C2は
定数(未知)を表わす]
中心部が流動可能な液状であるとき、該遷移領域を圧下
するのに必要な圧下量R2は、図5に示す如く幅方向で
凝固が先行している部位で、当該部位の厚み中心部が流
動しなくなる部位まで凝固したときの遷移領域の厚みを
表わしているから、凝固シェル厚みTとの関係で下記式
(V)が成り立つ。 R2/2=T/2−(C2−0.1)×√(Xmin/Vc)……(V) [式中、T、C2、Xmin、Vcは前記と同じであ
る]よって、これらの式(IV),(V)からC2を消去する
と R2=2×0.1×√(Xmin/Vc)=0.2×√(Xmin/Vc)…(VI) が導かれる。
内のスラブ幅方向における凝固先行領域の凝固完了位置
(A)(即ち、メニスカスからの距離Xmin)を求
め、上記凝固完了位置(A)、即ちメニスカスからの距
離Xminの近傍に位置するロール対で、前記式(VI)に
よって求められるR2(mm)以上の圧下を鋳片に加え
れば、凝固先行領域内への溶鋼の流動が起こり得なくな
り、偏析要因が解消される。
向における凝固先行領域の凝固完了位置(A)、即ちメ
ニスカスからの距離Xminの近傍に位置するロール対
によって、ロール圧下の程度を前記R1またはR2以上と
なる様に制御すれば、中心偏析防止の目的を果たすこと
ができる。但し、上記圧下量を示すR1とR2は同一では
ないので、これらの値が異なる場合は、これらのうち何
れか小さい方の圧下量以上となる様に制御すれば、結果
的に鋳片内部に存在する溶鋼の流動は阻止されるので、
本発明の目的は充分に達成される。
凝固先行領域および凝固遅延領域がそれぞれ1ヵ所ずつ
存在する場合を代表的に取り上げて説明したが、これら
凝固先行領域および凝固遅延領域がスラブ鋳片の幅方向
で複数存在する場合は、凝固が最も先行し或は遅延する
領域を基準にして同様の制御を行なえば、本発明の目的
を充分に果たすことができる。
下該当位置に近接する唯1対のロールで行なうのが最も
効率的であるが、場合によってはこれに隣接する2対も
しくは3対以上のロール群を適用して段階的に圧下を加
える様にすることも有効である。圧下量の調整手段も格
別特殊な機構が求められるわけではなく、従来から知ら
れた圧下量調整手段、例えば、厚みの異なるスペーサー
あるいはネジ機構などを用いてロール対の間隙を調整す
る方法、或は、ロール対を鋳片に押し付ける圧力を事前
に若しくはオンラインで測定されたロール間隙に応じて
制御する方法などを利用して行なえばよい。
とより下記実施例によって制限を受けるものではなく、
前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて
実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発
明の技術的範囲に包含される。
00mm、鋳造速度1.2m/min)を使用し、C含
量が0.15質量%の普通鋼を鋳造し凝固末期の鋳片圧
下テストを行なった。鋳型内での注入ノズルからの溶鋼
の噴出方向と、鋳型下方部での2次冷却水量を変化させ
ることにより、鋳片幅方向で凝固完了点の異なる鋳片を
意識的に製造し、凝固末期部位に330mmピッチで配
置された径280mmの圧下用ロール群により鋳片の圧
下を実施した。
凝固溶鋼内に添加し、Auが拡散した領域をその時点で
の未凝固領域と判定してXmin,Xmaxの値を求め
た。凝固完了部でのロール隙間の絞込み量は0.5mm
/m一定とし、Xmin部位近傍のロールの圧下量を変
化させるテストを行なった。なお圧下量の調整は、ネジ
機構を有する隙間調整装置でロール隙間を調整すること
により行なった。
のドリルで幅方向に20mmピッチで孔を空けてCの分
析を行い、鋳片幅方向で測定された最大C濃度(Cma
x)とバルクのC分析値C0との比(Cmax/C0)に
より幅方向の中心偏析のバラツキを評価した。
した実験結果を基に、横軸にXmax−Xminの値、
縦軸にXmin近傍での最大のロール1対での圧下量を
とってグラフ化したもので、○は(Cmax/C0)が
1.2未満でC偏析のバラツキが小さいもの、×は(C
max/C0)が1.2以上でC偏析のバラツキが相対
的に大きいものを示している。またこのグラフには、R
1及びR2の値も同時に示した。
R1,R2の小さい方より多い圧下量をロール1対で実施
したときには、幅方向の中心偏析のバラツキが軽減する
ことを確認できる。
御を実施したときのスラブ鋳片幅方向のC偏析状態を調
べた結果を示したものである。この図を前記図1に示し
た従来例と比較すれば明らかな様に、極端なC偏析部は
なくなり、C/C0が高いものでも1.2未満に抑えら
れていることが分かる。
続鋳造で製造されるスラブ幅方向の中心偏析のバラツキ
を低減し、幅全体に亘って均質で安定した品質のスラブ
を確実に製造し得ることになった。
おける偏析のバラツキを示す図である。
末期近傍の凝固プロフィール模式図である。
た凝固末期近傍の凝固プロフィール模式図である。
る。
る。
示すグラフである。
なった時の、鋳片幅方向の偏析のバラツキを示す図であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼のスラブ連鋳を行なうに当たり、連鋳
機内のスラブ幅方向で凝固が先行する領域の凝固完了位
置(A)と、凝固が遅延する領域の凝固完了位置(B)
を求め、上記凝固完了位置(A)近傍のロール対で、下
記式によって求められるR1(mm)以上の圧下を鋳片
に加えることを特徴とする鋼のスラブ連鋳法。 R1=T×[1−√(Xmin/Xmax)] 式中、Xminは、前記凝固完了位置(A)のメニスカ
スからの距離(m)、Xmaxは、前記凝固完了位置
(B)のメニスカスからの距離(m)、Tは鋳片厚み
(mm)を夫々表わす。 - 【請求項2】 鋼のスラブ連鋳を行なうに当たり、連鋳
機内のスラブ幅方向で凝固が先行する領域の凝固完了位
置(A)と、凝固が遅延する領域の凝固完了位置(B)
を求め、上記凝固完了位置(A)近傍のロール対で、下
記式によって求められるR 1 (mm)とR 2 (mm)のい
ずれか小さい方の値以上の圧下を鋳片に加えることを特
徴とする鋼のスラブ連鋳法。 R 1 =T×[1−√(Xmin/Xmax)] R 2 =0.2×√(Xmin/Vc) 式中、Xminは、前記凝固完了位置(A)のメニスカ
スからの距離(m)、Xmaxは、前記凝固完了位置
(B)のメニスカスからの距離(m)、Tは鋳片厚み
(mm)、Vcは鋳造速度(m/min)を夫々表わ
す。
Priority Applications (1)
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JP2001212661A JP3502070B2 (ja) | 2001-07-12 | 2001-07-12 | 鋼のスラブ連鋳法 |
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JP3502070B2 true JP3502070B2 (ja) | 2004-03-02 |
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JP4948977B2 (ja) * | 2006-11-13 | 2012-06-06 | 新日本製鐵株式会社 | 連続鋳造鋳片の凝固完了点近傍の軽圧下方法 |
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2001
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