JP4948451B2 - 面発光レーザ素子および面発光レーザ素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、基板上に、p型半導体層領域とn型半導体層領域とに挟まれるとともに、上部反射鏡と下部反射鏡との間に配置された活性層を有する面発光レーザ素子および面発光レーザ素子の製造方法に関する。
従来の面発光レーザ素子は、活性層を挟むp型半導体層領域とn型半導体層領域とを介して活性層に電流を注入し、これによって活性層から発生した光を上部反射鏡と下部反射鏡とが形成する光共振器によってレーザ発振させている。
面発光レーザ素子を製造する際には、円状に設計された発光領域に電流を集中させる構造、すなわち電流狭窄構造を形成する技術が不可欠である。電流狭窄構造を形成する技術には、メサポスト構造、酸化電流狭窄法、イオン注入や熱拡散による水素注入法、埋め込みヘテロ(BH)構造などがある。この中で、水素注入法は、もっとも大量生産に向き、安価に容易に製作できることが知られている(特許文献1参照)。
水素注入法による電流狭窄構造の形成について説明する。p型半導体層領域に水素イオンを注入すると、通常は原子空孔である結晶欠陥が生じ、この結晶欠陥と水素イオンとが複合欠陥を形成する。その結果、水素イオンが注入された領域は高抵抗化するか、あるいはn型に変化する。一方、水素イオンが注入されない領域はp型のままであり、電流経路となる。したがって、たとえばフォトリソグラフィ法を用いて形成したフォトレジストによって注入マスクを形成し、所定の領域のみ水素イオンを注入する。すると、水素イオンの注入領域が高抵抗またはn型の電流狭窄領域となり、非注入領域が電流注入領域となって、電流狭窄構造が形成される。なお、水素イオン注入法を用いれば、水素イオンのドーズ量と加速エネルギーとの調整によって、それぞれ注入濃度と深さ方向の分布形状とを制御できるため、所望の電流注入領域を容易に形成できる。
ここで、電流狭窄構造は、通常は正孔電流の電流経路を限定することにより形成する。狭窄された正孔は、活性層に向かって移動する、すなわち電流として流れる際に、再び横方向に広がる傾向がある。これを防止するため、電流狭窄層は活性層の近くにあることが望ましい。
しかしながら、水素注入法によって製造された面発光レーザ素子は、水素の注入に起因して活性層に暗線欠陥(Dark Line Defect:DLD)が生じ、信頼性が低下することがある(非特許文献1参照)。暗線欠陥が生じる原因のひとつは、水素イオンは数百keVに加速されて注入されるため、半導体の原子によって散乱されて注入深さに分布が生じ、これによって意図せず活性層に水素が進入し、活性層にダメージを与えるためである。
一方、複合欠陥を形成した水素は、キャリア注入により簡単に中性化し、また、簡単に再イオン化することができるため、非常に不安定な状態である。このため、電流経路近傍に存在する不安定な状態のままの水素イオンは、面発光レーザ素子の動作時の電流注入により、素子内を動き回る。そして、やがて活性層に到達し、活性層内で複合欠陥を形成するため、長期動作において、素子の長期信頼性を損なう場合がある(非特許文献2参照)。
図8は、水素注入法を用いて製造した面発光レーザ素子の模式的な断面およびその一部を拡大した図である。図8に示すように、この面発光レーザ素子400は、n型半導体からなる基板401上に、n型半導体多層膜からなる下部DBRミラー403と、活性層405と、p型半導体多層膜からなる上部DBRミラー409とが順次積層し、上部DBRミラー409上には円環状のp側電極411が形成され、基板401の裏面にはn側電極414が形成されている。また、円環状の領域A2には水素が注入されており、n型の電流狭窄領域を形成している。また、正電極411からは、領域A2に囲まれた水素が注入されていない領域を通る経路P3を電流経路として、正孔電流が活性層405に注入される。
ここで、領域A2は活性層405を含んでいるため、活性層405に暗線欠陥Dが生じている。また、不安定な水素イオンHが電流注入に伴って経路P3に沿って移動し、活性層405に達して暗線欠陥Dや複合欠陥を形成する。ここで、複合欠陥とは、水素やその他の点欠陥、空孔やなどが複合的に集合した結晶欠陥を示し、暗線欠陥とは欠陥が集合した結果、その領域が光らなくなるタイプの結晶欠陥であり、発光観察において欠陥部分のみが線状に暗く観察されることから暗線欠陥と呼ばれる。暗線欠陥はダメージや転位などを起点として、電子とホールの再結合によりエネルギーを得て拡大するため、ダメージなどを含んだ発光デバイス中の活性層に出現し、発光デバイスの信頼性を著しく悪化させるものである。
これらの信頼性上の問題を解決するために、たとえば非特許文献2に記載のように、通常熱アニールを用いる。たとえば、水素イオン注入後に、500℃程度の熱アニールを行なうことによって、活性層のダメージを回復するとともに、不安定な水素イオンを脱離させ、水素イオンが素子内を動き回ることを防止することができる。
米国特許第5031187号明細書 W.Jiang、 C.Gaw、 P.Kiely、 B.Lawrence、 M.Lebby and P.R.Claisse、 "Effect of proton implantation on the degradation of GaAs/AlGaAs vertical cavity surface emitting lasers"、 Electron. Lett. Vol.33、 p137、 1997 Carl Wilmsen、 Henryk Temkin、 and Larry A.Coldren、 "Vertical-Cavity Surface-Emitting Lasers、 Design、 Fabrication、 Characterization and Applications"、New Edition、 米国、 Cambridge University Press、2001年11月15日、 p200-207
ところが、上記熱アニールを行なうと、活性層のダメージ回復と不安定な水素の離脱とが実現されると同時に、電流狭窄領域とすべき領域の結晶のダメージも回復してしまうため、結晶欠陥が消失し、この結晶欠陥と複合欠陥を形成していた水素が拡散してしまう。その結果、高抵抗化あるいはn型化した水素注入領域がp型に戻ってしまう現象がおこるため、電流狭窄の機能が低下し、電流注入効率が低下する。一方、熱アニールが不十分であると、信頼性上の問題が残ることとなる。したがって、素子の信頼性と電流注入効率との両立が非常に難しいという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高信頼性と高電流注入効率とを同時に実現する面発光レーザ素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る面発光レーザ素子は、基板上に、p型半導体層領域とn型半導体層領域とに挟まれるとともに、上部反射鏡と下部反射鏡との間に配置された活性層を有する面発光レーザ素子であって、前記p型半導体層領域内に配置され、砒素およびリンの少なくとも一方と5%以下の組成比の窒素とを含むIII−V族半導体からなり、p型の電流注入部と、該電流注入部および前記p型半導体層領域よりも高濃度の水素を含む電流狭窄部とを有する電流狭窄層を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記電流狭窄部は1×1019cm−3以上の濃度の水素を含み、前記電流注入部および前記p型半導体領域は5×1018cm−3以下の濃度の水素を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記電流狭窄部はn型であることを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記電流狭窄層のバンドギャップ波長は、レーザ発振波長よりも短いことを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記電流狭窄層は、前記基板に対する臨界膜厚以下の厚さを有することを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記上部反射鏡または前記下部反射鏡は、半導体多層膜反射鏡を含み、前記電流狭窄層は前記半導体多層膜反射鏡の一部を構成していることを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、前記電流狭窄層は、トンネル接合層の一部を構成していることを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子は、上記の発明において、レーザ発振波長が650〜2400nmであることを特徴とする。
また、本発明に係る面発光レーザ素子の製造方法は、基板上に、p型半導体層領域とn型半導体層領域とに挟まれるとともに、上部反射鏡と下部反射鏡との間に配置された活性層を有する面発光レーザ素子の製造方法であって、前記基板上に、前記n型半導体層領域と、前記活性層と、砒素およびリンの少なくとも一方と5%以下の組成比の窒素とを含むIII−V族半導体からなるp型の窒素含有層を含む前記p型半導体層領域とを形成する半導体層形成工程と、前記窒素含有層の電流狭窄部を形成すべき領域に水素を注入する水素注入工程と、500℃より高く700℃より低い温度で前記注入した水素を安定化させる熱アニールを行なう熱アニール工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、高信頼性と高電流注入効率とを同時に実現する面発光レーザ素子が実現されるという効果を奏する。
以下に、図面を参照して本発明に係る面発光レーザ素子および面発光レーザ素子の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
はじめに本発明の実施の形態1に係る面発光レーザ素子について説明する。本実施の形態1に係る面発光レーザ素子は、GaAs系の半導体からなり、レーザ発振波長が850nm帯のものである。
図1は、本実施の形態1に係る面発光レーザ素子の模式的な断面図である。図1に示すように、この面発光レーザ素子100は、n型GaAsからなる基板101上に、n型半導体層102と、分布ブラッグ反射鏡(DBR)である下部DBRミラー103と、下部クラッド層104と、活性層105と、上部クラッド層106と、p型半導体層107と、電流狭窄層108と、上部DBRミラー109と、p側コンタクト層110と、が順次積層している。なお、下部DBRミラー103の一部からp側コンタクト層110までは円柱状のメサポスト構造を有している。また、p側コンタクト層110上には円環状のp側電極111が形成されている。また、p側電極111の表面以外の表面には、絶縁膜112が形成されている。また、p側電極111に接するとともに、絶縁膜112上に延設したパッド電極113が形成されている。また、基板101の裏面にはn側電極114が形成されている。
n型半導体層102は、n型キャリア濃度が1×1018cm−3程度のAl0.2Ga0.8Asからなる。また、下部DBRミラー103は、n型キャリア濃度が1×1018cm−3程度であって、層厚がそれぞれ光学長に換算してλ/4(ただし、λはレーザ発振波長)のAl0.9Ga0.1As層103aとAl0.2Ga0.8As層103bとが交互に35.5ペアだけ積層した構造を有する。なお、光学長とは、層厚に屈折率を掛けたものである。また、下部クラッド層104は、n型のキャリア濃度が1×1018cm−3程度のAl0.3Ga0.7Asからなる。また、活性層105は、ノンドープAl0.2Ga0.8As/GaAsからなる3層量子井戸構造を有する。
また、上部クラッド層106は、p型キャリア濃度が5×1017cm−3程度のAl0.3Ga0.7Asからなる。なお、下部クラッド層104から上部クラッド層106までの厚さは、光学長に換算してλになるように形成され、いわゆるλ共振器Rを形成している。また、p型半導体層107は、p型のキャリア濃度が1×1018cm−3程度のAl0.9Ga0.1Asからなる。また、上部DBRミラー109は、p型キャリア濃度が1×1018cm−3程度であって、膜厚がそれぞれλ/4nのAl0.9Ga0.1As層109aとAl0.2Ga0.8As層109bとが交互に24.5ペアだけ積層した構造を有する。また、p側コンタクト層110は、p型キャリア濃度が1×1019cm−3程度の高濃度であるp−GaAsからなる。
上記したように、活性層105は、n型半導体層102から下部クラッド層104までのn型半導体層領域と、上部クラッド層106からp側コンタクト層110までのp型半導体層領域に挟まれているとともに、下部DBRミラー103と上部DBRミラー109との間に配置されている。
また、p側電極111はTi/Au構造を有する。また、絶縁膜112はSiOからなる。また、パッド電極113はCu/Au構造を有する。また、n側電極114はCr/Au構造を有する。
また、電流狭窄層108は、電流狭窄部108aと、メサポスト構造M1の中心に位置する円板形状の電流注入部108bとを有し、炭素を1×1018cm−3の濃度でドーピングしたAl0.25Ga0.750.01As0.99からなる。すなわち、電流狭窄層108は、1%の組成比の窒素を含んでいる。また、この電流狭窄層108は、層厚が178nmであり、光学長は3λ/4となっている。
電流狭窄層108において、電流注入部108bはp型ドーパントである炭素がドーピングされているため低抵抗のp型となっている。一方、電流狭窄部108aは、炭素がドーピングされているとともに、1×1019cm−3以上の濃度の水素を含んでいる。その結果、水素がp型を補償し、電流狭窄部108aはn型となっている。
したがって、図2に示すように、上部DBRミラー109を介して注入された電流は、その電流経路が経路P1のように狭窄されて、活性層105に到達する。電流狭窄部108aは窒素を含んでいるため、水素は窒素に強くひきつけられて、電流狭窄部108aに安定して存在しているため、素子内を動き回ることもないので、長期にわたって信頼性が高く、安定した特性を有するものとなる。また、電流狭窄層108は、活性層105の近くに形成されているので、電流狭窄層108によって経路が狭窄された電流は、p型半導体層107および上部クラッド層106において横方向に広がることなく活性層105に注入されるため、電流注入効率が高くなる。
また、電流狭窄層108のバンドギャップ波長λgは、806nmであり、この面発光レーザ素子100のレーザ発振波長である850nm帯よりも短い。したがって、電流狭窄層108はレーザ発振波長に対して透明であるので、電流狭窄層108において光吸収損失は生じない。なお、バンドギャップ波長λgとは、半導体のバンドギャップEg(eV)に対してλg=1240/Egの関係を満たす波長である。
なお、バンドギャップ波長λgは、適宜Alやリンを添加してバンドギャップを高くすれば、短波長側に移動する。また、バンドギャップについては、GaInNAs系の半導体の場合は、組成物のバンドギャップに対する寄与をベクトル的に足し算することによって求められる。たとえば、Al0.3Ga0.7As(Eg=1.78eV、λg=697nm)に1%の窒素を含有させたAl0.3Ga0.70.01As0.99のバンドギャップEgは1.60eVであり、バンドギャップ波長λgは775nmである。
つぎに、本実施の形態1に係る面発光レーザ素子100の製造方法について説明する。はじめに、たとえば分子線エピタキシー(MBE)法や有機金属気相成長(MOCVD)法を用いて、基板101上に、n型半導体層102と、下部DBRミラー103と、下部クラッド層104と、活性層105と、上部クラッド層106と、p型半導体層107と、窒素含有層115と、上部DBRミラー109と、p側コンタクト層110とを順次積層する。なお、窒素含有層115とは、濃度1×1018cm−3で炭素をドーピングしたAl0.25Ga0.750.01As0.99からなるものである。以降、基板に各半導体層を積層したものを積層基板と呼ぶ。
つぎに、フォトリソグラフィ法を用いて、積層基板のp側コンタクト層110上にリング状の電極パターンを形成し、Ti/Au構造の金属層を真空蒸着し、リフトオフしてp側電極111を形成する。つぎに、フォトリソグラフィ法を用いて、フォトレジストで積層基板上に注入マスクを形成する。つぎに、プロトンインプラント法を用いて、電流狭窄部を形成すべき領域に、加速電圧300keV、ドーズ量1×1014cm−2でプロトン(水素イオン)を注入する。その後、注入マスクを除去する。
図3は、注入マスクを除去した後の積層基板の断面を模式的に示す図であり、図4は、図3の一部を拡大して示した図である。図3に示すように、水素イオンは、領域A1に注入されている。その結果、領域A1はn型となっているので、この状態における電流経路は、図4に示す経路P2のように、領域A1に沿ったものとなる。ここで、領域A1の半導体は、水素イオンの注入によってダメージを受け、複合欠陥が生じている。特に、領域A1の深さ方向の分布は活性層105に到達しているため、活性層105にもダメージが含まれ、通電後に暗線欠陥Dが生じる。
つぎに、積層基板に、500℃より高く700℃より低い温度で熱アニールを60分行う。すると、領域A1における半導体のダメージが回復し、複合欠陥が消失するので、領域A1の窒素含有層115以外の領域において水素が離脱する。そして、活性層105におけるダメージも消失する。一方、窒素含有層115の領域A1に含まれる部分では、窒素にひきつけられて水素が残留する。その結果、水素が離脱した領域では半導体がp型に戻り、水素が残留した領域ではn型のままとなる。なお、上記のように、500℃より高く700℃より低い温度で熱アニールを行なうことによって、領域A1の窒素含有層115以外の領域における水素の離脱と、窒素含有層115の領域A1に含まれる部分における水素の残留とを実現することができる。なお、窒素含有層115の領域A1に含まれる部分には電流が流れないために、電子とホールの再結合は起きない。したがって、窒素含有層115の領域A1に含まれる部分にダメージが残っていても、ダメージが暗線欠陥に成長することは無い。
図5は、図4に示した部分の熱アニール後の様子を示した図である。図5に示すように、熱アニール後には、窒素含有層115は、電流狭窄部108aと電流注入部108bとを有する電流狭窄層108となり、電流経路は、経路P1に示すようなものとなる。
なお、上記のように、熱アニールによって活性層105の暗線欠陥Dが消失するので、電流狭窄層108を活性層105の近くに配置しても問題はない。また、上記のように、水素イオン注入法を用いれば、安価で容易に電流狭窄層108を形成することができる。
つぎに、p側電極111の外側を、活性層105より下方の下部DBRミラー103内に達する深さまでエッチングを行ない、メサポスト構造M1を形成する。このようなメサポスト構造にすることによって、素子の高速変調動作に悪影響を及ぼす寄生容量を減らすことができる。つぎに、プラズマCVD法を用いて積層基板の全面に絶縁膜112を形成する。つぎに、リソグラフィ法を用いてp側電極111部分の絶縁膜112をエッチング除去し、Cu/Au構造の金属膜を形成し、リフトオフ法にてパターンを形成することによってパッド電極113を形成する。なお、パッド電極113は、不図示の外部配線と電気的に接続するようにする。つぎに、基板101の裏面を基板厚さが250μm程度になるように研磨した後、研磨した裏面にCr/Auを蒸着してn側電極114を形成する。その後素子分離して面発光レーザ素子100が完成する。
以上説明したように、本実施の形態1に係る面発光レーザ素子100は、高信頼性と高電流注入効率とを同時に実現するものとなる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2に係る面発光レーザ素子について説明する。本実施の形態2に係る面発光レーザ素子は、GaAs系の半導体からなり、イントラキャビティコンタクト構造を有し、発振波長が1100nm帯のものである。
図6は、本実施の形態2に係る面発光レーザ素子の模式的な断面図である。図6に示すように、この面発光レーザ素子200は、半絶縁性GaAsからなる基板201上に、半導体層202と、下部DBRミラー203と、下部クラッド層204と、活性層205と、p型スペーサ層206と、電流狭窄層208と、p型スペーサ層216と、p側コンタクト層210と、が順次積層している。p型スペーサ層206は、上部クラッド層としても機能している。なお、下部クラッド層204の一部からp側コンタクト層210までは円柱状のメサポスト構造M2を有している。また、p側コンタクト層210上には円環状のp側電極211が形成されている。また、p側電極211の中心孔内のp側コンタクト層210上には、上部DBRミラー209が形成されている。また、メサポスト構造M2の外周の下部クラッド層204上には、半円環状のn側電極214が形成されている。下部クラッド層204は、n側電極214に対して、n側コンタクト層としても機能している。また、p側電極211、n側電極214の表面以外の表面には、絶縁膜212が形成されている。また、p側電極211に接するとともに、絶縁膜212上に延設したパッド電極213が形成されている。また、n側電極214に接するとともに、絶縁膜212上に延設したパッド電極217が形成されている。
すなわち、この面発光レーザ素子200は、p側電極211とn側電極214とが、下部DBRミラー203と上部DBRミラー209とが形成する光共振器の内側に位置するイントラキャビティコンタクト構造を有している。
半導体層202は、アンドープGaAsからなる。また、下部DBRミラー203は、層厚がそれぞれ光学長に換算してλ/4の、アンドープAlAs層203aとGaAs層203bとが交互に35.5ペアだけ積層した構造を有する。なお、GaAsの屈折率は3.483であり、AlAsの屈折率は2.951であるから、たとえばレーザ発振波長が1100nmとして、光学長がλのGaAsとは、厚さが1100nm/3.483=315nmのGaAsを意味する。また、下部クラッド層204は、n型ドーパントとしてのシリコンを1×1018cm−3程度の濃度でドーピングしたGaAsからなり、その厚さは光学長で(9λ)/4である。また、活性層205は、その中心部にノンドープInGaAs/GaAsからなる3層量子井戸構造を有する厚さλ/2の層である。
また、p型スペーサ層206は、炭素を1×1018cm−3程度の濃度でドーピングしたGaAsからなり、その厚さは光学長でλである。また、p型スペーサ層216は、炭素を1×1018cm−3程度の濃度でドーピングしたGaAsからなり、その厚さは光学長でλである。また、p側コンタクト層210は、炭素を1×1019cm−3程度の高濃度でドーピングしたp−GaAsからなり、その厚さは光学長でλ/4である。また、上部DBRミラー209は、誘電体多層膜反射ミラーであって、層厚がそれぞれ光学長でλ/4のTiO層209aとSiO層209bとが交互に6ペアだけ積層した構造を有する。
また、p側電極211はTi/Au構造を有する。また、絶縁膜212はSiOからなる。また、パッド電極213、217はCu/Au構造を有する。また、n側電極214はAuGe/Ni/Au構造を有する。
また、電流狭窄層208は、電流狭窄部208aと、メサポスト構造M2の中心に位置する円板形状の電流注入部208bとを有し、炭素を5×1018cm−3の濃度でドーピングしたGaN0.01As0.99からなり、その厚さは光学長でλ/2である。すなわち、電流狭窄層208は、1%の組成比の窒素を含んでいる。
この電流狭窄層208は、実施の形態1と同様に、電流注入部208bが低抵抗のp型となっている。一方、電流狭窄部208aは、1×1019cm−3以上の濃度かつ安定して存在する水素を含んでおり、n型となっている。したがって、電流は経路が適切に狭窄され、高い注入効率で活性層205に到達する。そして、水素がデバイス内を動き回ることもないので、長期にわたって信頼性が高く、安定した特性を有するものとなる。
また、電流狭窄層208のバンドギャップ波長λgは、990nmであり、この面発光レーザ素子200のレーザ発振波長である1100nm帯よりも短いので、電流狭窄層208において光吸収損失は生じない。
つぎに、本実施の形態2に係る面発光レーザ素子200の製造方法について説明する。はじめに、基板201上に、半導体層202と、下部DBRミラー203と、下部クラッド層204と、活性層205と、p型スペーサ層206と、電流狭窄層208を形成すべき窒素含有層と、p型スペーサ層216と、p側コンタクト層210とを順次積層する。なお、この窒素含有層は、炭素を5×1018cm−3の濃度でドーピングしたGaN0.01As0.99からなり、その厚さは光学長でλ/2である。
つぎに、実施の形態1の場合と同様にしてp側電極111を形成する。つぎに、フォトリソグラフィ法を用いて、フォトレジストで積層基板上に注入マスクを形成する。つぎに、プロトンインプラント法を用いて、電流狭窄部を形成すべき領域に、加速電圧100keV、ドーズ量1×1014cm−2で水素イオンを注入する。その後、注入マスクを除去する。
つぎに、積層基板に、650℃付近の温度で熱アニールを60分行う。これによって、窒素含有層は電流狭窄部208aと電流注入部208bとを有する電流狭窄層208となるとともに、半導体のダメージ回復と不要な水素の離脱が実現される。
つぎに、光学長モニタ付き電子ビーム蒸着装置をもちいて、積層基板の全面に上部DBRミラー209を形成した後、p側電極111の中心孔以外の部分をリフトオフにより除去する。
つぎに、p側電極211の外側を、塩素系ドライエッチングによって、活性層205より下方の下部クラッド層204内に達する深さまでエッチングを行ない、メサポスト構造M2を形成するとともに、メサポスト構造M2の外周に下部クラッド層204が露出するようにする。そして、下部クラッド層204の露出した表面に、AuGe/Ni/Au構造の金属膜を形成し、リフトオフによって、半円環状のn側電極214を形成する。
つぎに、プラズマCVD法を用いて積層基板の全面に絶縁膜212を形成する。つぎに、リソグラフィ法を用いてp側電極211、n側電極214部分の絶縁膜212をエッチング除去し、Cu/Au構造の金属膜を形成し、リフトオフ法にてパターンを形成することによってパッド電極213、217を形成する。その後素子分離して面発光レーザ素子200が完成する。
以上説明したように、本実施の形態2に係る面発光レーザ素子200は、高信頼性と高電流注入効率とを同時に実現するものとなる。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3に係る面発光レーザ素子について説明する。本実施の形態3に係る面発光レーザ素子は、AlGaInAs/InP系の半導体からなり、イントラキャビティコンタクト構造およびトンネル接合構造を有し、発振波長が1550nm帯のものである。
図7は、本実施の形態3に係る面発光レーザ素子の模式的な断面図である。図7に示すように、この面発光レーザ素子300は、半絶縁性InPからなる基板301上に、半導体層302と、下部DBRミラー303と、下部クラッド層304と、活性層305と、p型スペーサ層306と、トンネル接合層318と、n型スペーサ層316と、p側コンタクト層310と、が順次積層している。なお、下部クラッド層304の一部からp側コンタクト層310までは円柱状のメサポスト構造M3を有している。また、p側コンタクト層310上には円環状のp側電極311が形成されている。また、p側電極311の中心孔内のp側コンタクト層310上には、交互に積層したTiO層309aとSiO層309bとを備えた上部DBRミラー309が形成されている。また、メサポスト構造M3の外周の下部クラッド層304上には、半円環状のn側電極314が形成されている。下部クラッド層304は、n側電極314に対して、n側コンタクト層としても機能している。また、p側電極311、n側電極314の表面以外の表面には、絶縁膜312が形成されている。また、p側電極311に接するとともに、絶縁膜312上に延設したパッド電極313が形成されている。また、n側電極314に接するとともに、絶縁膜312上に延設したパッド電極317が形成されている。
半導体層302は、半絶縁性InPからなる。また、下部DBRミラー303は、層厚がそれぞれ光学長でλ/4の意図的にドーピングしないAlGaInAs層303aとInP層303bとが交互に50ペアだけ積層した構造を有する。また、下部クラッド層304は、n型ドーパントとしてのシリコンを1×1018cm−3程度の濃度でドーピングしたInPからなり、その厚さは光学長で(9λ)/4である。また、活性層305は、その中心部にノンドープ(Al0.25Ga0.750.35In0.65As/(Al0.25Ga0.750.55In0.45Asからなる6層量子井戸構造を有する厚さλ/2の層である。また、p型スペーサ層306は、炭素を1×1018cm−3程度の濃度でドーピングした(Al0.38Ga0.62)0.47In0.53Asからなり、その層厚は光学長でλである。
トンネル接合層318は、p型ドーパントである炭素を1×1020cm−3程度の高濃度でドーピングした(Al0.38Ga0.620.47In0.53As0.990.01からなる層厚が10nmの電流狭窄層318aと、シリコンを2×1019cm−3程度の高濃度でドーピングしたn型であり層厚が40nmの下部(Al0.38Ga0.62)0.47In0.53As層318bと、シリコンを1×1018cm−3程度の濃度でドーピングしたn型であり層厚が60nmの上部(Al0.15Ga0.85)0.47In0.53As層318cとが積層した構造を有している。さらに、電流狭窄層318aは、電流狭窄部318aaと、メサポスト構造M3の中心に位置する円板形状の電流注入部318abとを有する。電流注入部318abは、上記のように炭素がドーピングされていることによってp型の層となっているが、電流狭窄部318aaは、炭素がドーピングされていることに加え、1×1019cm−3以上の濃度かつ安定して存在する水素を含んでいるため、n型の層となっている。
したがって、電流注入部318abは、p型の(Al0.38Ga0.620.47In0.53As0.990.01層からなり、その直上に位置しn型となっている下部(Al0.38Ga0.620.47In0.53As0.990.01層318bとトンネル接合を形成するので、トンネル確率が高くなり、電流注入部318abにおいては低抵抗で電流が流れる。一方、電流狭窄部318aaは、n型の(Al0.38Ga0.620.47In0.53As0.990.01層からなり、その直下に位置するp型スペーサ層306とpn接合を形成するので、電流狭窄部318aaにおいては電流の流れが阻止される。その結果、電流は経路が適切に狭窄されて、高い注入効率で活性層305に到達する。そして、水素がデバイス内を動き回ることもないので、長期にわたって信頼性が高く、安定した特性を有するものとなる。
また、埋め込み成長などの複雑なプロセスを必要とせずに結晶成長を一括で行うことができるため、安価に製造することが可能であり、また水素注入後に高温で熱アニールを行うことにより活性層への残留水素濃度を低下することが可能であるため、高い信頼性を実現することができる。
また、電流狭窄層318aのバンドギャップ波長λgは、1450nmであり、この面発光レーザ素子300のレーザ発振波長である1550nm帯よりも短いので、電流狭窄層318aにおいて光吸収損失は生じない。
なお、トンネル接合層318上のn型スペーサ層316は、シリコンを1×1018cm−3程度の濃度でドーピングしたInPからなり、その厚さは光学長でλである。また、p側コンタクト層210は、シリコンを2×1018cm−3程度の高濃度でドーピングしたn−InPからなり、その厚さはλ/4である。また、上部DBRミラー309、絶縁膜312、n側電極314、パッド電極313、317は、それぞれ実施の形態2に係る面発光レーザ素子200の絶縁膜212、n側電極214、パッド電極213、217と同様の構造を有する。また、p側電極311はAuGe/Ni/Au構造を有する。
なお、面発光レーザ素子300は、実施の形態2に係る面発光レーザ素子200とほぼ同様の方法で製造できる。
以上説明したように、本実施の形態3に係る面発光レーザ素子300は、高信頼性と高電流注入効率とを同時に実現するものとなる。
なお、上記実施の形態では、エッチングによってメサポスト構造を形成して、寄生容量を低減しているが、p側電極の外側に活性層の下方に到る深さまで水素イオンを注入して高抵抗化し、寄生容量を低減してもよい。この場合、上述した製造工程において、電流狭窄層を形成するための水素イオン注入と熱アニールとを行なった後、改めて寄生容量低減のための水素イオン注入を行なう。
また、上記実施の形態では、水素を注入する方法としてプロトンインプラント法を用いているが、熱拡散法を用いてもよい。
また、上記実施の形態において、電流狭窄部が高抵抗化またはn型化されていれば、電流注入部およびp型半導体層領域に水素が含まれていてもよい。たとえば、電流狭窄部が1×1019cm−3以上の濃度の水素を含んでいる場合、電流注入部およびp型半導体層領域が含む水素の濃度が5×1018cm−3以下であれば、電流狭窄部はp型半導体層領域において周囲に比べて十分に高抵抗であり、電流経路が狭窄される。
また、上記実施の形態では、面発光レーザ素子の発振波長は850nm帯、1100nm帯、または1550nm帯であったが、半導体材料や誘電体材料を適宜選択することによって、発振波長が650〜2400nmの面発光レーザを実現できる。
また、上記実施の形態では、活性層に対して、p型半導体層領域が上層になり、n型半導体層領域が下層になるように配置されているが、p型半導体層領域が下層になるように配置してもよい。
また、上記実施の形態のいずれにおいても、上部DBRミラーについては、半導体多層膜または誘電体多層膜で形成したもの、あるいは半導体多層膜と誘電体多層膜とを組み合わせて形成したものを用いることができる。また、電流狭窄層は、p型半導体層領域内のいずれの位置に配置してもよいので、たとえば半導体多層膜で形成した上部または下部DBRミラーの一部を構成するようにしてもよい。このように電流狭窄層が上部または下部DBRミラーの一部を構成するようにするには、上部または下部DBRミラーの一部を、組成比が5%以下のNを含むIII−V族半導体層に置き換えたものを積層し、水素を注入すればよい。なお、電流狭窄層の厚さは、光学長でλ/4程度、あるいはMを自然数としてλ/4+(λ/2)M程度とする。また、電流狭窄層のAl組成を高くすれば、DBRミラーの低屈折率層として利用できる。
また、電流狭窄層の厚さについては、50nm以上であれば、電流狭窄部において電流をブロックする効果が高くなるので好ましく、基板に対して臨界膜厚以下の厚さであれば、転位などの発生が抑制されるので好ましい。
また、上記のように窒素が水素を引きつける特性は、一般のp型GaInNAsに対して起こると考えられ、添加するドーパント種に依存しないと考えられる。つまり、炭素、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)などをp型ドーパントとしてドーピングした場合にも同様な現象が起こる。
また、上記実施の形態では、電流狭窄層が窒素と砒素とを含んでいたが、窒素とリンとを含んでいてもよい。すなわち、上記のように窒素が水素を引きつける特性は、窒素と砒素との電気陰性度の差が大きいことによって生じているため、同様に電気陰性度の差が大きい窒素とリンとを含む電流狭窄層としても、窒素が水素を引きつけるようにすることができる。
また、アンドープのGaInNAsの場合、水素濃度が低い場合はp型になり、水素濃度が増加するとn型に転じ、アニールを行って水素を脱離させると再びp型になる。水素濃度が低い場合はp型になる理由は、以下の通りである。すなわち、アンドープのGaInNAsの場合は、一部の窒素原子が[N−As]結合としてV族原子のサイトに混入している(インタースティシャル欠陥)。また、GaNAs結晶はGa空孔を含みやすく、さらにGa空孔と窒素が複合欠陥を生成しやすい。これらの欠陥準位は価電子帯に近いために、アクセプターライクに振舞うのである(S.B. Zhang et.al.,Physical Review Letter,vol86,p1789,2001参照)。
さらに、電流狭窄層における窒素の組成比については、水素添加により導電型の反転が起こり得る濃度で決定される。すなわち、窒素の組成比については、窒素によって電流狭窄層の導電型がp型になるような値以上の値であればよい。たとえば、窒素濃度が2×1018cm−3程度、すなわち組成比が0.01%程度でも本発明の効果が得られる。また、P. Krispin et.al.,J.Appl. Phys. vol93、p6095、2003によると、GaNAs結晶においては、窒素の組成比がその熱溶解限度濃度である0.1%程度であってもインタースティシャル欠陥[N−As]Asが形成され、5×1015cm−3程度のインタースティシャル欠陥[N−As]Asを持つことが示されている。つまり、この場合は、5×1015cm−3程度以上のp型キャリア濃度がインタースティシャル欠陥[N−As]Asにより供給されることとなる。また、GaNAs結晶は、窒素組成比が0.5%、すなわち濃度が2.5×1019cm−3であると、1×1017cm−3程度のキャリア濃度をもつp型になることが同時に示されており、実際の半導体デバイス内においてp型領域として十分に使用可能なキャリア濃度になる。
一方、窒素組成比を高くしすぎると窒素と砒素との電気陰性度の差が大きいことによって、ミシビリティギャップの影響を受けて相分離を引き起こすので、結晶品質の観点からは、5%程度以下にすることが好ましい。また、より効果的に水素原子を結合させるためには、0.5〜3%程度であることが好ましい。
本発明の実施の形態1に係る面発光レーザ素子の模式的な断面図である。 図1に示した面発光レーザ素子の電流経路を示す図である。 図1に示す面発光レーザ素子の製造工程において、注入マスクを除去した後の積層基板の断面を模式的に示す図である。 図3の一部を拡大して示した図である。 図4に示した部分の熱アニール後の様子を示した図である。 本発明の実施の形態2に係る面発光レーザ素子の模式的な断面図である。 本発明の実施の形態3に係る面発光レーザ素子の模式的な断面図である。 従来の水素注入法を用いて製造した面発光レーザ素子の模式的な断面およびその一部を拡大した図である。
符号の説明
100〜300 面発光レーザ素子
101〜301 基板
102 n型半導体層
103〜303 下部DBRミラー
103a Al0.9Ga0.1As層
103b Al0.2Ga0.8As層
104〜304 下部クラッド層
105〜305 活性層
106 上部クラッド層
107 p型半導体層
108、208、318a 電流狭窄層
108a、208a、318aa 電流狭窄部
108b、208b、318ab 電流注入部
109〜309 上部DBRミラー
109a Al0.9Ga0.1As層
109b Al0.2Ga0.8As層
110〜310 p側コンタクト層
111〜311 p側電極
112〜312 絶縁膜
113〜313、217、317 パッド電極
114〜314 n側電極
115 窒素含有層
202、302 半導体層
203a AlAs層
203b GaAs層
206、216、306 p型スペーサ層
209a、309a TiO
209b、309b SiO
303a AlGaInAs
303b InP層
316 n型スペーサ層
318 トンネル接合層
318b 下部(Al0.38Ga0.62)0.47In0.53As層
318c 上部(Al0.15Ga0.85)0.47In0.53As層
M1〜M3 メサポスト構造

Claims (9)

  1. 基板上に、p型半導体層領域とn型半導体層領域とに挟まれるとともに、上部反射鏡と下部反射鏡との間に配置された活性層を有する面発光レーザ素子であって、
    前記p型半導体層領域内に配置され、砒素およびリンの少なくとも一方と5%以下の組成比の窒素とを含むIII−V族半導体からなり、p型の電流注入部と、該電流注入部および前記p型半導体層領域よりも高濃度の水素を含む電流狭窄部とを有する電流狭窄層を備えたことを特徴とする面発光レーザ素子。
  2. 前記電流狭窄部は1×1019cm−3以上の濃度の水素を含み、前記電流注入部および前記p型半導体領域は5×1018cm−3以下の濃度の水素を含むことを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザ素子。
  3. 前記電流狭窄部はn型であることを特徴とする請求項1または2に記載の面発光レーザ素子。
  4. 前記電流狭窄層のバンドギャップ波長は、レーザ発振波長よりも短いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子。
  5. 前記電流狭窄層は、前記基板に対する臨界膜厚以下の厚さを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子。
  6. 前記上部反射鏡または前記下部反射鏡は、半導体多層膜反射鏡を含み、前記電流狭窄層は前記半導体多層膜反射鏡の一部を構成していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子。
  7. 前記電流狭窄層は、トンネル接合層の一部を構成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子。
  8. レーザ発振波長が650〜2400nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の面発光レーザ素子。
  9. 基板上に、p型半導体層領域とn型半導体層領域とに挟まれるとともに、上部反射鏡と下部反射鏡との間に配置された活性層を有する面発光レーザ素子の製造方法であって、
    前記基板上に、前記n型半導体層領域と、前記活性層と、砒素およびリンの少なくとも一方と5%以下の組成比の窒素とを含むIII−V族半導体からなるp型の窒素含有層を含む前記p型半導体層領域とを形成する半導体層形成工程と、
    前記窒素含有層の電流狭窄部を形成すべき領域に水素を注入する水素注入工程と、
    500℃より高く700℃より低い温度で前記注入した水素を安定化させる熱アニールを行なう熱アニール工程と、
    を含むことを特徴とする面発光レーザ素子の製造方法。
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