JP2007207929A - Iii−v化合物半導体光装置を作製する方法 - Google Patents

Iii−v化合物半導体光装置を作製する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光特性を改善可能なIII−V化合物半導体光装置を作製する方法を提供する。
【解決手段】この方法では、活性層のための第1のIII−V化合物半導体層19を有機金属気相成長炉25で形成する。次いで、第1のIII−V化合物半導体層19上に有機金属気相成長炉25を用いて、III族構成元素としてガリウムおよびV族構成元素としてヒ素を含む第2のIII−V化合物半導体層21を形成する。この後に、第2のIII−V化合物半導体層21を形成した後に、有機金属気相成長炉25に熱処理ガスGasを供給すると共に有機金属ガスを供給することなく、第1のIII−V化合物半導体層19を熱処理して第1のIII−V化合物半導体層中の水素濃度を低減する。熱処理ガスGasは、水素ガス、窒素ガス、不活性ガスの少なくともいずれかを含むと共に、水素化物を含まない。
【選択図】図1

Description

本発明は、III−V化合物半導体光装置を作製する方法に関する。
特許文献1には、化合物半導体の結晶を成長する方法が記載されている。この結晶成長方法は、有機金属気相成長法により水素雰囲気中でGaInNAs半導体を結晶成長した後に、他の半導体層を形成すること無くGaInNAs半導体を窒素雰囲気中で熱処理を行う。必要な場合には、結晶中のヒ素が熱処理中に抜けることを防止するために、ヒ素原料を供給しながら行われる。
特開2004−165349号公報
特許文献1に記載された方法では、GaInNAs半導体を結晶成長した後に、他の半導体層を形成すること無く有機金属気相成長炉を用いGaInNAs半導体を窒素雰囲気中で熱処理を行う。ヒ素が抜けることを防止するために、熱処理中にヒ素原料を供給している。
また、この熱処理は、GaInNAs半導体の表面を他の半導体で覆うことなく行われる。GaInNAs半導体が活性層のために堆積されるので、その界面は非常に重要である。GaInNAs半導体表面のダメージは、窒素雰囲気中の熱処理によっても避けられない。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、発光特性を改善可能なIII−V化合物半導体光装置を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、III−V化合物半導体光装置を作製する方法である。この方法は、(a)少なくとも窒素およびヒ素をV族構成元素として含んでおり活性層のための第1のIII−V化合物半導体層を有機金属気相成長炉でIII−V化合物半導体領域上に形成する工程と、(b)前記第1のIII−V化合物半導体層上に前記有機金属気相成長炉を用いて、III族構成元素として少なくともガリウムを含むと共にV族構成元素として少なくともヒ素を含む第2のIII−V化合物半導体層を形成する工程と、(c)前記第2のIII−V化合物半導体層を形成した後に、前記有機金属気相成長炉に熱処理ガスを供給し、且つ有機金属ガスを供給することなく、前記第1のIII−V化合物半導体層中の水素濃度を低減するように前記第1のIII−V化合物半導体層を熱処理する工程と、(d)前記第2のIII−V化合物半導体層上に前記有機金属気相成長炉を用いて、第3のIII−V化合物半導体層を形成する工程とを備え、前記熱処理ガスは、水素ガス、窒素ガス、不活性ガスの少なくともいずれかを含むと共に、水素化物を含まない。
この方法によれば、活性層のための第1のIII−V化合物半導体層上に第2のIII−V化合物半導体層を形成した後に該熱処理を行うので、活性層のための第1のIII−V化合物半導体層の表面が熱処理によるダメージを受けることがない。また、水素ガス、窒素ガス、不活性ガスの少なくともいずれかを含むと共に水素化物を含まないガスを用いて熱処理を行うので、活性水素を含まない雰囲気中で熱処理が行われる。
本発明に係るIII−V化合物半導体光装置を作製する方法では、前記前記熱処理の温度は摂氏500度以上であることが好ましい。
この方法によれば、上記の熱処理ガスを用いると共に摂氏500度以上の温度で熱処理を行うことにより、第1のIII−V化合物半導体層中の水素を低減することができる。
本発明に係るIII−V化合物半導体光装置を作製する方法では、前記熱処理は、摂氏500度以上の温度および15秒以上の時間の条件で行われることが好ましい。
この方法によれば、比較的短時間の熱処理で水素濃度の低減が可能である。
本発明に係るIII−V化合物半導体光装置を作製する方法では、前記第1のIII−V化合物半導体層の材料は、GaInNAsまたはGaNAsである。
この方法は、半導体光デバイスに用いられるGaInNAsまたはGaNAsに用いることが特に有用である。
本発明に係るIII−V化合物半導体光装置を作製する方法では、前記第2のIII−V化合物半導体層を形成した後に、前記有機金属気相成長炉でクラッド層を形成する工程を更に備え、前記熱処理は前記クラッド層を形成するに先立って行われることが好ましい。
この方法によれば、活性層のための半導体層の表面を保護しなくてはならないが、活性層上に形成される半導体層が厚くなる前に、活性層内の第1のIII−V化合物半導体層の脱水素を行うことが好ましい。
本発明に係るIII−V化合物半導体光装置を作製する方法では、前記活性層は多重量子井戸構造を含む。
この方法によれば、活性層のために複数の第1のIII−V化合物半導体層を形成した後に熱処理の工程を設けるので、活性層内の第1のIII−V化合物半導体層の水素濃度を低減できる。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明によれば、発光特性を改善可能なIII−V化合物半導体光装置を作製する方法が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のIII−V化合物半導体光装置を作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係るIII−V化合物半導体光装置を作製する方法を示す図面である。
図1(A)に示されるように、導電性を有する基板11を準備する。基板11は、例えばGaAs基板であることができる。或いは、GaAs基板に替えて、GaAs表面を有する基板を用いることができる。第1導電型III−V化合物半導体から成るバッファ膜13を基板11の表面11a上に形成する。バッファ膜13としては、例えばn型GaAs半導体膜を用いることができる。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。引き続く製造法の説明では、有機金属気相成長のためのガリウム原料としてトリエチルガリウム(TEGa)、インジウム原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、窒素原料としてジメチルヒドラジン(DMHy)、ヒ素原料としてターシャリブチルアルシン(TBAs)等を用いる。
図1(B)に示されるように、III−V化合物半導体から成るクラッド膜15をバッファ膜13上に形成する。クラッド膜15としては、例えばn型AlGaAs半導体膜を用いることができる。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。クラッド膜15のバンドギャップ波長は、後ほど形成されるIII−V化合物半導体層17のバンドギャップ波長より小さく、クラッド膜15はIII−V化合物半導体層17および活性層にキャリアを閉じ込めるように働く。
図1(C)に示されるように、III−V化合物半導体から成る光ガイド層17aをクラッド膜15上に形成する。光ガイド層17aとしては、例えばアンドープGaAs半導体膜を用いることができる。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。
次いで、活性層の形成を行う。図1(C)に示されるように、III−V化合物半導体から成るバリア層17bを光ガイド層17a上に形成する。バリア層17bとしては、例えばアンドープGaAs半導体膜を用いることができる。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。この実施例では、光ガイド層17aの材料がバリア層17bの材料と同じなので、光ガイド層17aおよびバリア層17bのためのIII−V化合物半導体膜17を一緒に形成するようにしてもよい。
図2(A)に示されるように、活性層のための第1のIII−V化合物半導体層19を形成する。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。第1のIII−V化合物半導体層19のバンドギャップ波長はバリア層17bのバンドギャップ波長よりも大きく、第1のIII−V化合物半導体層19は井戸層として働く。第1のIII−V化合物半導体層19は、少なくとも窒素およびヒ素をV族構成元素として含んでいる。第1のIII−V化合物半導体層の材料は、例えばGaInNAsまたはGaNAsであることができる。これらの材料は、光通信用の半導体光デバイスの分野において特に有用である。GaInNAsの成長は、例えば摂氏510度程度で行われる。この成長は有機金属気相成長法を用いて行われるので、成長された膜中には多数の水素Hが含まれる。
活性層の形成を引き続き行う。図2(B)に示されるように、III族構成元素として少なくともガリウムおよびV族構成元素として少なくともヒ素を含むIII−V化合物半導体から成るバリア層21bをIII−V化合物半導体層19(井戸層)上に形成する。バリア層21bとしては、例えばアンドープGaAs半導体膜を用いることができる。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。
本実施の形態では、これにより単一量子井戸構造の活性層が完成した。活性層の構造はこれに限定されることなく、バルクまたは多重量子井戸構造であってもよい。
次いで、図2(B)に示されるように、III族構成元素として少なくともガリウムおよびV族構成元素として少なくともヒ素を含むIII−V化合物半導体から成る光ガイド層21aをバリア層21b上に形成する。光ガイド層21aとしては、例えばアンドープGaAs半導体膜を用いることができる。この形成は、有機金属気相成長炉を用いて行われる。この実施例では、光ガイド層21aの材料がバリア層21bの材料と同じなので、第2のIII−V化合物半導体膜21を成長して光ガイド層21aおよびバリア層21bを一緒に形成するようにしてもよい。
キャップ膜として作用する半導体(21および/又は21b)を第1のIII−V化合物半導体層19上に堆積した後に、第1のIII−V化合物半導体層19中の水素を追い出すための熱処理23を行う。この熱処理23は、第2のIII−V化合物半導体層21を形成した後に、第1のIII−V化合物半導体層19に脱水素処理のための熱処理23を施す。この熱処理23は、有機金属気相成長炉25に熱処理ガスGasを供給することにより行われる。また、熱処理23は、有機金属ガスを供給することなく行われる。熱処理23により、第1のIII−V化合物半導体層19中の水素濃度が小さくなる。熱処理ガスGasは、水素ガス、窒素ガス、不活性ガスの少なくともいずれかを含むと共に、水素化物(例えば、AsH、TBAs、TMAs、MEAs、TEAs、PH、TBP、TMP、TEP、DEP、DMHy、MMHy、TEGa、TMGa、TEIn、TMIn、TEAl、TMAl、TMSb、TESb、SiH、Si、TeESi、DEZn、DMZn)を含まない。
この方法によれば、活性層のための第1のIII−V化合物半導体層19上に第2のIII−V化合物半導体層21a及び/又は21bを形成した後に熱処理23を行うので、第1のIII−V化合物半導体層19の表面が熱処理23によるダメージを受けることがない。また、水素ガス、窒素ガス、不活性ガスの少なくともいずれかを含むと共に水素化物を含まないガスGasを用いるので、活性水素を含まない雰囲気中で熱処理が行われる。これ故に、第1のIII−V化合物半導体層19からの脱水素過程が促進される。
この方法では、熱処理23の温度Tは摂氏500度以上であることが好ましい。上記の熱処理ガスを用いると共に摂氏500度以上の温度で熱処理を行うことにより、第1のIII−V化合物半導体層19中の水素濃度を低減できる。また、熱処理23の温度Tは摂氏720度以下であることが好ましい。GaInNAs/GaAsヘテロ界面において相互拡散が起こりやすくなる、また、最表面のIII-V化合物半導体においてAs抜けが起こりやすくなるからである。
熱処理23は、摂氏500度以上の温度および15秒以上の時間の条件で行われることが好ましい。この方法によれば、比較的短時間の熱処理で水素濃度の低減が可能である。
一例として、活性層は多重量子井戸構造を含むことが好ましい。この方法によれば、複数の第1のIII−V化合物半導体層19を活性層のために成長した後に熱処理23を行うので、活性層内の第1のIII−V化合物半導体層19の水素濃度を低減できる。
図3(A)に示されるように、第2のIII−V化合物半導体層21を形成した後に、III−V化合物半導体層からなるクラッド膜27を有機金属気相成長炉25で形成する。クラッド膜27のバンドギャップ波長は第2のIII−V化合物半導体層21のバンドギャップ波長より小さく、クラッド膜27は第2のIII−V化合物半導体層21および活性層にキャリアを閉じ込めるように働く。熱処理23は、このクラッド層27を形成するに先立って行われることが好ましい。この方法によれば、活性層19上に多層の半導体層が形成される前に、活性層内の第1のIII−V化合物半導体層19の脱水素が行われる。
次いで、図3(A)に示されるように、有機金属気相成長炉25でクラッド層27上にコンタクト膜を形成する。コンタクト膜のキャリア濃度はクラッド層27のキャリア濃度より大きいことが好ましい。また、コンタクト膜のバンドギャップ波長はクラッド層27のバンドギャップ波長より大きいことが好ましい。
図3(B)に示されるように、コンタクト膜をフォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、パターン形成されたコンタクト層29を形成する。コンタクト層29は、例えばストライプ形状を有する。次いで、クラッド層27およびコンタクト層29上に気相成長法で無機絶縁膜を堆積する。無機絶縁膜は、フォトリソグラフィおよびエッチングを用いて、コンタクト層29に位置を合わせて設けられた開口を有する無機絶縁層31を形成する。
図3(C)に示されるように、コンタクト層29にオーミック接触を成す第1の電極33を形成する。第1の電極33は、コンタクト層29および無機絶縁層31上に形成されることができる。また、基板11の裏面11aにオーミック接触を成す第2の電極35を形成する。第1の電極33は、例えばアノード電極として使用されることができ、第2の電極35は、例えばカソード電極として使用されることができる。
以上により、例えば半導体レーザといったIII−V化合物半導体光装置を作製する方法の主要な工程が説明された。
(実施例1)
減圧MOVPE法により、図4に示されるようなGaInNAs/GaAs単一量子井戸(SQW)構造41を作製する。基板43はSiドープGaAs(100)面2度オフ基板を用いる。ガリウム(Ga)原料、インジウム原料(In)、窒素原料(N)、ヒ素(As)原料としてはそれぞれ、TEGa、TMIn、DMHy、TBAsを用いる。量子井戸層45はGaInNAs半導体からなる。量子井戸層は7nmの厚さを有する。量子井戸層45では、インジウム組成は34%であり、窒素組成は1%である。量子井戸層45の下にはGaAsバッファ層47が設けられている。GaAsバッファ層47の厚さは200nmである。量子井戸層の上には、GaAsキャップ層49が設けられている。GaAsキャップ層49の厚さは100nmである。GaInNAs量子井戸層45の成長条件の一例は、摂氏510度の成長温度、0.9μm/時間の成長速度、0.99のモル比[DMHy]/[全V族元素]、76Torrの成長圧力である。GaAsキャップ層49を成長した後に、MOVPE炉内において15秒間のアニール(in−situ)を水素雰囲気で行う。アニール温度は摂氏500度〜650度の範囲にある。アニールされたGaInNAs量子井戸層中の水素濃度を二次イオン質量分析法(SIMS)により評価する。
図5は、GaInNAs量子井戸層中の水素濃度とアニール温度との関係を示す。
測定点 温度(摂氏) 水素濃度
P1 450度 3.0×1019cm−3
P2 500度 8.4×1018cm−3
P3 550度 7.0×1018cm−3
P4 600度 4.3×1018cm−3
P5 650度 1.0×1018cm−3
摂氏500度以上のアニールによりGaInNAs中の水素濃度は低下される。故に、摂氏500度付近がN−H結合の解離エネルギーであると推測される。また、摂氏550度以上において解離が促進される。さらに、摂氏600度以上において水素濃度が急激に小さくなる。
(実施例2)
減圧MOVPE法によりGaInNAs/GaAs単一量子井戸(SQW)構造の活性層を有するレーザ構造のためのエピタキシャル膜積層51を作製する。このエピタキシャル膜積層51は、GaAs基板53上に形成されたGaAsバッファ層55を有する。GaAs基板53としては、SiドープGaAs(100)2度オフ基板を用いる。GaAsバッファ層55上には、GaInNAs量子井戸層57が設けられている。GaInNAs量子井戸層57は7nmの厚さを有する。そのインジウム組成は34%であり、窒素組成は1%である。GaInNAs量子井戸層57は、GaAs半導体層59とGaAs半導体層61との間に設けられている。GaAs半導体層59は、バリア層59aとしてだけでなくSCH層59bとしても機能するように、140nmの厚さを有する。また、GaAs半導体層61は、バリア層61aとしてだけでなくSCH層61bとしても機能するように、140nmの厚さを有する。GaInNAs量子井戸層57、GaAs半導体層59とGaAs半導体層61は、n型クラッド層63とp型クラッド層65との間に設けられている。n型クラッド層63およびp型クラッド層65には、それぞれn型AlGaAs半導体およびp型AlGaAs半導体を用いる。このAlGaAs半導体は、30%のアルミニウム組成を有する。n型クラッド層63およびp型クラッド層65の厚みは、例えば各々1.5μmである。また、n型ドーパントとしてシリコンを用い、p型ドーパントとして亜鉛を用いてドーピングする。p型クラッド層65の成長後、0.2μmのp型GaAsコンタクト層を成長する。Al、Ga、In、N、As原料としてはそれぞれTMAl、TEGa、TMIn、DMHy、TBAsを用いた。SiおよびZnのドーピング原料としては、テトラエチルシラン(TeESi)、ジメチル亜鉛(DMZn)をそれぞれ用いる。
井戸層の成長条件として、例えば摂氏510度の成長温度、0.9μm/時間の成長速度、0.99のV族モル比[DMHy]/[全V族原料]、76Torrの成長圧力を用いることができる。GaInNAs井戸層成長後に、続けて厚さ100nmのGaAsバリア層を成長することができる。この成長の後に、半導体成長を一旦中断して、摂氏650度の水素雰囲気で15秒の時間でアニール(in−situアニール)を有機金属気相成長炉を用いて行って、脱水素を実行することができる。続けて、有機金属気相成長炉を用いて、その場で(in−situ)にてp型AlGaAsクラッド層65およびp型GaAsコンタクト層を順に成長する。これらの工程により、レーザ構造のためのエピタキシャル基板の作製が完了する。
エピタキシャル成長工程が終了した後、GaInNAs井戸層の光学特性向上のために、MOVPE炉の中で摂氏650度、10分間のアニールを行う。脱水素の効果およびその条件を評価するために、以下の3種類の評価条件におけるレーザ構造を有するエピタキシャル基板も追加して準備する。
(1)脱水素処理なし
(2)半導体層(キャップ層)なしで脱水素処理
(3)TBAs原料(水素化物)雰囲気で脱水素処理。
図6に示されるように、成長したレーザ構造エピタキシャル基板をgain−guide型レーザに加工する。まず、フォトリソグラフィにより、パターン形成されたフォトレジストを形成する。この後に、メサエッチングによりp型GaAsコンタクト層をストライプ状に加工して、p型GaAsコンタクト層67を形成する。ストライプ幅は例えば5μmである。プラズマCVD法により、ウェハ全面にSiN絶縁膜69を形成し、フォトリソグラフィおよびフッ酸エッチングによりSiN絶縁膜を部分的に除去してストライプ形成の開口を形成する。その後、p型GaAsコンタクト層67上にアノード電極71aを形成すると共に、GaAs基板の裏面にカソード電極71bを形成して、加工プロセスを終了する。処理済みエピタキシャルウェハを共振器長600μm幅で劈開し、レーザバーを形成する。レーザ特性評価および長期通電試験は、レーザバーを利用して行われる。
図7は、脱水素を行ったGaInNAsレーザAと脱水素無しGaInNAsレーザBの電流−光出力特性を示す。特性線CA1は、本実施の形態に示されるような脱水素処理が行われた半導体レーザAを示し、特性線CB1は、脱水素処理が行われていない半導体レーザBを示す。なお、キャップ層なしで脱水素したレーザバー試料(条件(2))はレーザ発振しない。また、TBAs雰囲気中で脱水素したレーザバー試料(条件(3))は脱水素処理なしのレーザバー試料(条件(1))と同等の特性である。
GaInNAsの脱水素によりレーザ特性(閾値電流、スロープ効率)が向上することについて説明する。GaInNAs結晶において、窒素と結合しやすい水素は、種々のN−H結合を形成する。単純なN−H結合は、窒素と結合していたIII族原子のダングリングボンドを生成するので、該ダングリングボンドが非発光中心として働き、光学特性を劣化させる可能性がある。また、NとHとの種々の複合欠陥について報告もあり、水素はGaInNAs中において結晶欠陥を生成させる可能性がある。本実施の形態におけるアニールによる脱水素処理によって、GaInNAs中の水素を除去し、水素に関連した欠陥を低減させることができる。この結果、発光効率の向上、吸収ロスの低減により、低閾値電流、高スロープ効率が得られる。
図7に示されるように、本実施の形態に示される脱水素処理は、レーザ特性、例えば閾値電流を低くし、かつ、スロープ効率を高める。これは、該脱水素処理により非発光中心の起源となる水素が活性層中から除去され、水素に関連した結晶欠陥が低減したことにより発光効率が向上した結果と考えられる。
図8は、GaInNAsレーザAおよびGaInNAsレーザBに関する連続通電試験の結果を示す。通電試験では、摂氏25度において、光出力2mW(一定値)になるように電流を供給している。特性線CB2に示されるように、脱水素しなかったレーザBは通電初期から動作電流が増加し徐々に劣化が進んでいる。一方、特性線CA2に示されるように、脱水素を行ったレーザAは1000時間まで動作電流が安定しており、通電による劣化がほとんど現れない。
GaInNAsの脱水素により、半導体レーザの長期信頼性が向上することについて説明する。GaInNAs中には、N−H結合の他に、
(a)窒素およびその隣のIII族原子と水素(H)が結合したN−H結合
(b)ダングリングボンド欠陥と結合した水素(H)
等の欠陥を生成しない水素結合も存在している。これらの水素結合(a、b)は解離エネルギーが小さく非常に不安定であり、通電により与えられるエネルギーでも、水素結合が容易に切れることが考えられる。これ故に、脱水素処理がされない半導体レーザでは、これらの水素結合が通電中に切れてダングリングボンド欠陥が活性化し、それらが非発光中心として働くことで劣化が進行したものと考えられる。脱水素処理により、このような不安定な水素結合を無くすことにより、通電における劣化に関する信頼性を向上できると考えられる。
脱水素処理を行わないときは、活性層中のN−H結合やダングリングボンド欠陥と水素原子との結合が通電中に切れて、結果的にダングリングボンド欠陥が活性化され、これらが非発光中心として働いて劣化を進行させると考えられる。このように、脱水素処理により非発光中心の起源である水素を除去すれば、結晶欠陥の少ない高品質なGaInNAs活性層を形成できる。この結果、低閾値電流、高スロープ効率が得られる。また、水素結合は不安定であり該結合を無くすと、通電における長期信頼性にも大幅な改善が得られる。
以上説明したように、MOVPE成長によるGaInNAs結晶では、通常、高濃度の水素が結晶中に取り込まれる。これらの水素は窒素と結合しやすく、種々のN−H結合を形成する。単純なN−H結合はIII族原子のダングリングボンドを生成するので、この結合が非発光中心として働き、光学特性を劣化させる可能性がある。ダングリングボンドを生成しないN−H結合、或いは何らかのダングリングボンドと水素との結合では、これらの結合が維持されている限り非発光中心としては働かない。しかし、水素結合の結合エネルギーは小さく、これ故に通電により容易に結合が切れる。したがって、通電によりダングリングボンドと水素との結合が切れて欠陥が活性化されることも考えられ、結晶中の水素原子は半導体光デバイスの信頼性に大きな影響を与える。本実施の形態は、非発光中心の起源になり信頼性にも悪影響を与える可能性がある水素を、活性層からダメージなしに簡単に脱離させる方法を提供する。まず、熱アニールによる活性層へのダメージを無くすために、活性層上には1原子層以上のキャップ層(保護層)を設ける。また、アニール雰囲気に活性水素(水素ラジカルあるいは水素イオン)が含まれていると水素の脱離が妨げられ、また逆に水素が結晶中に混入する可能性がある。これを防ぐために、水素の脱離は活性水素が存在しないガス雰囲気で行う。これにより、熱分解により活性水素が生成される水素化物原料は避けて、水素や窒素といった不活性ガス雰囲気で熱アニールを行う。更に、半導体表面を大気にさらすことなくin−situでアニールを行う。これにより、清浄な表面を維持し汚染防止ができると共に、デバイス作製時間の短縮も可能となる。
この方法を用いて脱水素処理を行うことにより、N−H結合の生成抑制により非発光中心を低減できる。この結果、GaInNAs系デバイスの光学特性の向上が期待できる。また、不安定な水素結合の低減により信頼性の向上が期待され、低閾値、高出力、高信頼性の半導体光デバイスを低コストで作製することが可能となる。
また、比較的低い摂氏500度程度の温度で水素の脱離が可能となる。これ故に、熱アニールにおける表面ダメージがほとんどなく、半導体光デバイスの特性が良好になる。加えて、多層薄膜から成る半導体光デバイスでは、低温アニールによってヘテロ接合界面における相互拡散を最小限に抑制でき、半導体光デバイス特性の劣化を極力抑えることができる。
さらに、比較的短時間である15秒程度で脱水素処理が可能となる。これ故に、上述のように、アニールによるヘテロ接合界面での相互拡散を最小限に抑制でき、デバイス特性の劣化を極力抑えることができる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本実施の形態では、例えば、GaInNAsといった、少なくとも窒素およびヒ素をV族構成元素として含むIII−V化合物半導体層を含むIII−V化合物半導体光装置を説明したけれども、本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
図1(A)は、バッファ層を成長する工程を示す図面である。図1(B)は、クラッド層を成長する工程を示す図面である。図1(C)は、光ガイド層およびバリア層を成長する工程を示す図面である。 図2(A)は、量子井戸層を形成する工程を示す図面である。図2(B)は、光ガイド層およびバリア層を成長する工程を示す図面である。図2(C)は、熱アニールを行う工程を示す図面である。 図3(A)は、クラッド層を成長する工程を示す図面である。図3(B)は、コンタクト層にパターン形成する工程およびパッシベーションを形成する工程を示す図面である。図3(C)は、電極を形成する工程を示す図面である。 図4は、GaInNAs/GaAs単一量子井戸(SQW)構造を示す図面である。 図5は、GaInNAs量子井戸層中の水素濃度とアニール温度との関係を示す。 図6は、GaInNAs/GaAs単一量子井戸(SQW)構造の活性層を有する半導体レーザを示す図面である。 図7は、脱水素を行ったGaInNAsレーザと脱水素無しGaInNAsレーザAの電流−光出力特性を示す図面である。 図8は、GaInNAsレーザAおよびGaInNAsレーザBに関する連続通電試験の結果を示す図面である。
符号の説明
11…基板、13…バッファ膜、15…クラッド膜、17…III−V化合物半導体層、17a…光ガイド層、17b…バリア層、19…第1のIII−V化合物半導体層、21…第2のIII−V化合物半導体膜、21b…バリア層、21…光ガイド層、23…熱処理、27…クラッド膜、29…コンタクト層、31…無機絶縁層、33…第1の電極、35…第2の電極、41…GaInNAs/GaAs単一量子井戸構造、43…基板、45…量子井戸層、47…GaAsバッファ層、49…GaAsキャップ層、51…エピタキシャル膜積層、53…GaAs基板、55…GaAsバッファ層、57…GaInNAs量子井戸層、59…GaAs半導体層、59a…バリア層、59b…SCH層、61…GaAs半導体層、61a…バリア層、61b…SCH層、63…n型クラッド層、65…p型クラッド層、67…p型GaAsコンタクト層、69…SiN絶縁膜、71a…アノード電極、71b…カソード電極

Claims (5)

  1. III−V化合物半導体光装置を作製する方法であって、
    少なくとも窒素およびヒ素をV族構成元素として含んでおり活性層のための第1のIII−V化合物半導体層を有機金属気相成長炉でIII−V化合物半導体領域上に形成する工程と、
    前記第1のIII−V化合物半導体層上に前記有機金属気相成長炉を用いて、III族構成元素として少なくともガリウムを含むと共にV族構成元素として少なくともヒ素を含む第2のIII−V化合物半導体層を形成する工程と、
    前記第2のIII−V化合物半導体層を形成した後に、前記有機金属気相成長炉に熱処理ガスを供給し、且つ有機金属ガスを供給することなく、前記第1のIII−V化合物半導体層中の水素濃度を低減するように前記第1のIII−V化合物半導体層を熱処理する工程と、
    前記第2のIII−V化合物半導体層上に前記有機金属気相成長炉を用いて、第3のIII−V化合物半導体層を形成する工程と
    を備え、
    前記熱処理ガスは、水素ガス、窒素ガス、不活性ガスの少なくともいずれかを含むと共に、水素化物を含まないことを特徴とする方法。
  2. 前記熱処理の温度は摂氏500度以上である、ことを特徴とする請求項1に記載された方法。
  3. 前記熱処理は、摂氏500度以上の温度で15秒以上の時間で行われる、ことを特徴とする、ことを特徴とする請求項1に記載された方法。
  4. 前記第1のIII−V化合物半導体層の材料は、GaInNAsまたはGaNAsである、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載された方法。
  5. 前記活性層は多重量子井戸構造を有する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載された方法。
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JP2009218281A (ja) * 2008-03-07 2009-09-24 Furukawa Electric Co Ltd:The 面発光レーザ素子および面発光レーザ素子の製造方法

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