JP4948162B2 - 新規アラビノガラクタン及び抗糖尿病薬 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なアラビノガラクタン及び抗糖尿病薬、具体的には抗糖尿病作用を有する新規なアラビノガラクタンに関するものである。
生活習慣病において、最も深刻な問題となっているのは糖尿病と言える。厚生労働省の「平成14年糖尿病実態調査」によると、糖尿病患者及び糖尿病予備軍を合計するとその数は約1620万人にのぼると推計されており、増加の一途を辿っている。糖尿病を含め生活習慣病の増加は、食生活の変化が主な原因であると言われており、特に、脂肪摂取量の増加や食塩の過剰摂取が大きな原因として指摘されている。中でも、食物繊維の不足が深く関与していると考えられている。生活習慣病の予防や治療には食物繊維の十分な摂取が重要であり、1日当たり20〜30gの摂取が推奨されている。
食物繊維には、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン等からなる不溶性食物繊維とコンニャクマンナン(グルコマンナン)、グアーガム(ガラクトマンナン)、アラビノキシラン、アラビノガラクタンなどからなる水溶性食物繊維がある。両者ともこれまで、人の消化酵素では分解されず栄養的な価値もなく、しかも栄養素の利用効率を阻害する物質とみなされ、食物の不要物として扱われてきた。しかし、腸内細菌叢の改善、消化管運動の活発化、糖質・脂質などの消化吸収を低下させるなど、その有用性が次第に明らかになり、注目されるようになった。そのメカニズムは未だ明らかにはされていないが、腸内細菌による発酵時に生じる短鎖脂肪酸などが体内のホルモン分泌調節をすることで、肝臓でのコレステロール合成や糖の代謝に影響を与えているのではないかと考えられている(J Am Diet Ass,103(1),86-96,2003、Diabetes care.,23(1),9-14,2000、Am J Gastroenterol.,85,549-553,1990)。この他にも、水溶性食物繊維は免疫活性、抗腫瘍活性など多くの生理機能を有することが明らかにされてきている(Carbohydr Polym.,25,269-276,1994、Phytochemistry,27(8),2511-2517,1988)。食物繊維の本質は多糖類であって、多糖類の中でも不溶性多糖類は高摂取量の必要性があると言われている。また、近年ではより低容量で効果が得られる水溶性多糖類に注目が注がれている。
これまでに、水溶性多糖類であるガラクトマンナン(Nutr. Res.,20(9),1301-1307,2000)やアラビノキシラン(Clin. Exper.Pharm.Phys.,27(1-2),41-45,2000)が抗糖尿病作用を有することが明らかにされている。しかし、同じく水溶性多糖類であるアラビノガラクタンについては、そのほとんどは免疫賦活作用を示す報告であって、わずかに、ガラクトース(Gal)がβ1,3結合したガラクタンを主鎖に持ち、そのガラクタンの6位にβアラビノピラノース(Arap)とαアラビノフラノース(Araf)がα1,3結合したオリゴ糖やArafとGalがβ1,3結合したオリゴ糖、GalとGalがβ1,6結合したオリゴ糖が側鎖として結合したアラビノガラクタン(AGII)が、高脂血症患者に対し血糖値を低下させたとの報告があるに過ぎない(2001 IFT Annual Meeting)。
アラビノガラクタンは、細分化されているが大別すると2つの種類に分類される。すなわちペクチン性アラビノガラクタン(以下タイプI−AG)とアラビノ−3,6−ガラクタン(以下タイプII−AG)とに分類される。前者のタイプI−AGは、ガラクトース(Gal)がβ1,4結合したβ1,4−ガラクタンを主鎖に持ち、その構成成分であるGal残基の3位に2個のαアラビノフラノース(αAraf)がα1,5結合したオリゴ糖(αAraf(1→5)αAraf(1→)が結合した構造を有する。一方タイプII−AGは、主にカラマツやアカシアの樹液などから得られ、アラビノ−3,6−ガラクタン構造を主鎖に持ち、Araf及びGalなどからなる側鎖が主鎖にβ1,3結合しているものが多い。また、Ara及びGalの構成比率は植物種により大きく異なるが、一般的にはGalが多く含まれている。また、アラビノガラクタンには、主要構成糖であるAra、Galの他にフコース(Fuc)、ラムノース(Rha)、キシロース(Xyl)、グルクロン酸(GlcUA)などを含むものもあり、その構造は非常に多岐にわたる。また、当帰中のAGIIaは、ガラクトースがβ1,6結合したβ1,6−ガラクタンを主鎖に持ち、その構成成分であるGal残基の3位に、αArafや2個のαArafがα1,5結合したオリゴ糖(αAraf(1→5)αAraf(1→)若しくはGalやαArafとGalがα1,3結合したオリゴ糖(αAraf(1→3)αGal(1→)が結合した構造を有している。
このような状況下において、糖尿病治療においては、長期にわたる自己管理を必要とすることから、食事療法によるのが最も負担が少なく優れている。また、副作用や摂取容易性を考慮すれば、好ましくは食品に由来し、または食品形態に近い抗糖尿病薬の開発が望まれるところである。
そこで、本出願人は、種々の食品から抗糖尿病作用物質を検索していたところ、白甘藷からの抽出物がヒトに対する抗糖尿病作用を有することを見出し、特願平8−293130(特許文献1:特開平10−120584号)として出願している。この抽出物は、約2万程度の分子量を有し、その主成分は蛋白質であるとされている。そして、本願発明者らは、さらに効果のよい抗糖尿病作用物質を調査していたところ、上記従来のアラビノガラクタンとは全く構造が異なるアラビノガラクタンが抗糖尿病作用を有していることを見出し、本願発明を完成するに至った。
特開平10−120584号公報
本発明は、食品中に存在する新たな抗糖尿病作用成分を見出し、より有効で安全に摂取可能な抗糖尿病薬若しくは抗糖尿病作用を有する機能性食品を提供することを目的としている。
本発明は、白甘藷の皮部分あるいは塊根部分の水系抽出液の透析内液に低級アルコール若しくは低級ケトンを加え、沈殿除去後に得られる上清部分を弱塩基性アニオン交換樹脂に吸着後、約200〜400mMの塩化ナトリウム水溶液が有するイオン強度の溶出液で溶出されるβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有するアラビノガラクタンであって、
当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6、フェノール硫酸による発色を示すが280nm付近に吸収をほとんど示さないアラビノガラクタンという新規な物質に係るものである。そして、本発明は、当該物質の抗糖尿病作用に着目したものである。
そして、本発明は、上記物質を有効成分として含有する抗糖尿病薬または血糖値を正常範囲に維持可能に含有せしめる食品の製造方法に及ぶ。


本発明のアラビノガラクタンの構造は、従来のアラビノガラクタンの構造と全く異なるものであり、抗糖尿病作用物質として利用することができる。このものは、主として白甘藷中に含まれるものであり、安全性に優れていると考えられる。また、本発明におけるアラビノガラクタンは、グリコマンナンやアラビノキシランと同様に水溶性食物繊維の一種であるために、抗糖尿病作用物質だけでなく排便促進など他の食物繊維と同じような作用も同時に期待できる。そして、水溶性であるために服用しやすく、しかも少量で効果を発揮するために、医薬品の形態はもちろんのこと種々の食品形態、例えばドリンクやゼリー状の食品、ふりかけのような粉末状の食品などとして提供することもできる。
本発明に係るアラビノガラクタンの基本骨格を示す図である。 本発明に係るアラビノガラクタンの基本骨格への側鎖の結合様式を例示する図である。 本発明に係るアラビノガラクタンの精製工程の概略を示す図である。 図3における粗抽出物のゲルろ過クロマトグラフィーの溶出パターンを示した図である。−■−はフェノール硫酸法による490nmにおける吸収を、−◆−は280nmにおける吸収を示す。また、図には分取したフラクション区分をF1〜F4で示した。 ろ過ゲルクロマトグラフィーにおけるF1フラクションのイオン交換クロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。−■−はフェノール硫酸法による490nmにおける吸収を、−◆−は280nmにおける吸収を示す。また、図には分取したフラクション区分を「200mMNaCl」及び「400mMNaCl」で示した。 イオン交換クロマトグラフィーにおける200mMNaClフラクションのMALLS−SECによる分析チャートである。図に示すドット状の線はアラビノガラクタンの分子量分布を示す。 イオン交換クロマトグラフィーにおける200mMNaClフラクションのHPAEC−PADによる分析チャートである。 イオン交換クロマトグラフィーにおける200mMNaClフラクションのGS−MSによる分析チャートである。 本発明に係るアラビノガラクタンのHMBC解析図である。 連続経口投与試験における血糖降下作用を示す図である。 糖負荷時における血糖値の経時変化を示す図である。
本発明の有効成分であるアラビノガラクタンは、主に白甘藷の皮から抽出、分離されて得られるものである。白甘藷は、その学名をIpomoea Batatas spといい、さつま芋(ヒルガオ科の草本Ipomoea Batatas Poiret)の一種であり、別名「シモン芋」「カイアポ芋」「白サツマイモ」などと称される場合もある。本発明においては、白甘藷の塊茎、特にその皮から得られたものが好ましく用いられる。しかし、以下の構造を有するものであれば、白甘藷及びその近縁植物から得られたものに限られるものではない。
このアラビノガラクタンは、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖からなり、β1,3結合によって高度に枝分かれした図1に示す基本骨格を有する。すなわち、ガラクトースがβ1,6結合した主鎖に対して、ガラクトースがβ1,6結合したオリゴ糖若しくはガラクトグリカンがβ1,3結合した側鎖を多数有し、またこの側鎖に対してガラクトースがβ1,6結合したオリゴ糖若しくはガラクトグリカンがβ1,3結合した側鎖を有するというように、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖がβ1,3結合によって複雑に分岐した骨格を有している。その結果、比較的かさ高な構造を有するものとなり、この点においてガラクトースよりなる直線状の糖鎖を主鎖とする従来のアラビノガラクタンとは著しく異なる特徴を有している。
そして、本発明のアラビノガラクタンは、図1に示すような基本骨格に対して、図2(A)(B)に示すように3種の側鎖(1)(2)(3)が結合している。側鎖(1)は末端αAraf、側鎖(2)は2個のアラビノフラノースがα1,5結合したオリゴ糖(αAraf(1→5)αAra(1→)、側鎖(3)はラムノースがグルクロン酸にα1,4結合したオリゴ糖(αRha(1→4)βGlcUA(1→)であって、側鎖(1)(2)はそれぞれ上記骨格を構成するガラクトースに対してβ1,3結合し、側鎖(3)はグルクロン酸が上記骨格を構成するガラクトースに対してβ1,6結合している。
側鎖(1)(2)(3)の結合位置やガラクトース糖鎖の分岐位置は不詳であるが、上記骨格を構成するGalの約65〜75%に側鎖(1)または側鎖(2)が結合し、上記骨格を構成するガラクトースの5〜10%に側鎖(3)が結合したものが抗糖尿病作用を有する。なお、側鎖(1)(2)(3)のGalへの結合比率はこの範囲から外れるものも考えられる。つまり、その結合比率は目安であって、得られたアラビノガラクタンの結合比率がこの範囲を外れたとしても、上記基本骨格及び上記側鎖(1)(2)(3)並びに平均分子量を有してさえいれば、本発明のアラビノガラクタンと同一の物質であると言える。
以上説明したように、本発明にかかる新規アラビノガラクタンは、図1に示すようにガラクトースがβ1,6結合した糖鎖に対して、ガラクトースがβ1,6結合した糖鎖が随所でβ1,3結合によって分岐するとともに、β1,6結合したガラクトース糖鎖に対して図2(A)(B)に示すように側鎖(1)または(2)が随所で前記糖鎖のガラクトースにβ1,3結合するとともに図2(B)に示すごとくガラクトースの糖鎖末端の一部若しくはその全てに側鎖(3)がβ1,6結合した構造を有している。
本発明におけるアラビノガラクタンの平均分子量は約10万〜20万であって、図6に示すようにその分子量分布の幅は他の多糖類に比べて極めて幅が狭いこともその特徴である。なお、ここにいう平均分子量とは実施例において述べる方法で求めた値を意味し、本発明におけるアラビノガラクタンはこの値が10万〜20万の間に存在するものである。従って、下記MALLS−SEC法によって分子量を測定した場合に、単一ピーク内において分子量が10万〜20万の範囲を外れるものが多少混ざっていても差し支えない。
このアラビノガラクタンの構成糖比は、実測によるとラムノース:アラビノース:ガラクトース:グルクロン酸=1.2:6.7:14.1:1.0であって、おおよそラムノース:グルクロン酸=1:1、アラビノース:ガラクトース=1:2、ラムノース:アラビノース=1:5〜6である。
本発明のアラビノガラクタンは、例えば図3に示す方法により得ることができる。まず、白甘藷、いわゆるカイアポイモの皮の乾燥物を破砕若しくは粉末にし、水を加える。アラビノガラクタンは主として塊茎の皮に多く存在していると考えられているので、収率の観点から原料には主として塊茎の皮が好ましく用いられる。もちろんイモ全体を原料として用いても差し支えなく、また、地上茎や全草を用いても差し支えない。他の植物等から抽出する場合も同様に、高い収率が見込まれる部分が好ましく用いられる。
アラビノガラクタンは、水溶性多糖の一種であるため、他の水溶性多糖類の抽出と同様にまず最初に水系の抽出溶媒が用いられる。抽出溶媒には水が最も好ましく、エタノールなどの低級アルコール(C1〜C4)、アセトンなどの親水性溶媒や水にこのような親水性溶媒を加えた混合物でもよい。また、抽出時には適宜、加温加熱してもよい。抽出方法も特に限定されるものではない。例えば、ジューサーやミキサ等にかけて破砕・搾汁し、その後遠心分離法やろ過等により不溶物を除去する。また、一度抽出した残渣に再度抽出溶媒を加えて、先の抽出液に加えてもよい。これらは、多糖類の一般的な抽出方法である。
次に、得られた抽出液を脱イオン交換水にて透析する。脱イオン交換水にて透析することによって、不純物である抽出液中の塩類や単糖類などの低分子物質が除去される。使用する透析膜は排斥分子量が12000〜15000Da程度以上のものが好適である。これよりも小さな排斥(限界)分子量のものでも十分目的を達成できるが透析時間が長くなるので不利となる。また、12000〜15000Da程度の透析膜には透析効率のよい透析膜、すなわちメンブレン当たりの透析孔の数が多いものが市販されており(たとえば、フナコシ社製スペクトラバイオテックメンブレン/ポア2.1)、効率性が望まれるため、上記範囲のものが好適とされる。また、透析によって沈殿物が生じる場合があるので、適宜遠心分離などにより生じた沈殿物を取り除く。こうして、10000Da程度以下の低分子量である夾雑物を除去する。この工程は必須の工程ではないが、この工程を行うことにより以下の工程であるゲルろ過クロマトグラフィーにおける作業効率を著しく高めることができる。そして、得られた透析内液を用いてさらに精製を進める。このとき、透析内液中の濃度は十分に高いものとは言えないので必要に応じて濃縮を行うのがよい。濃縮はエバポレータなどを用いて減圧下、好ましくは40℃程度の低い温度で行う。
そして、得られた透析内液(若しくはそれを濃縮した液)に低級アルコール若しくは低級ケトンを加えて静置し、さらに目的物質以外の不純物を沈殿除去する。この低級アルコールとしてはエタノール若しくはメタノールが、低級ケトンとしてはアセトンが好適である。この操作は繰り返されることが好まれる。この操作を繰り返す際には、アルコール等(エタノールやメタノール、アセトン)の濃度を次第に高めていくのが好ましい。すなわち、まず低い濃度でアルコール等を加えて沈殿物を生じさせ、これを除去する。そして、沈殿物を除去した液にさらにアルコール等を加えてアルコール等の濃度を高め、さらに沈殿物を生じさせる。そうして、アルコール等を加えた際に沈殿が生じなくなるまで繰り返される。しかしながら、アルコール濃度が約60v/v%を超えないように注意する必要がある。アルコール濃度が約60v/v%を超えてしまうと目的とする物質が沈殿されてしまうおそれがあるので、アルコール濃度に留意しながら添加する。また、アルコール濃度を少なくとも20v/v%以上の高濃度にして沈殿物を生じさせるのがよい。そして、遠心分離等によって分取された上澄液を、濃縮して粗抽出物を得る。なお、本発明のアラビノガラクタンは、構成糖としてラムノースを含んでいるので、アルコール等の濃度を60v/v%程度にまで高めても沈殿を生じにくいが、低温下における操作では、その濃度が低い場合でも目的物質が沈殿する場合(例えば、液温4℃では60v/v%エタノールで沈殿されてしまう。)もある。そこで、操作環境には十分な注意が必要である。また、放置時間も長時間、例えば48時間程度放置すれば目的物が沈殿する場合があるので、好ましくは24時間程度の静置に留めるのが好ましい。この精製手法は多糖類を精製するための一般的な手法である。また、ラムノース含有量の多さに鑑みると、本発明のアラビノガラクタンが沈殿しない程度の高濃度にアルコール等を一度に加えて不純物をほぼ沈殿除去した上で、さらもアルコール等を高濃度(少なくとも60v/v%以上)に添加して目的物を沈殿させ、粗抽出物を得ることもできる。
そして、次にこの粗抽出物をさらに分画して、目的であるアラビノガラクタンを得る。分画は、ゲルろ過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせにより行われる。
ゲルろ過クロマトグラフィーによる分画において、充填剤として、商品名トヨパールHW−65S(限界分子量デキストラン70〜130万、東ソー株式会社)や商品名Sephacryl S−400HR(限界分子量デキストラン1〜200万、球状タンパク2〜800万、アマシャムバイオサイエンス株式会社)が例示される。また、溶離液は、用いる充填剤によっても異なるが、好ましくは水である。そして、溶出液について波長280nm及びフェノール硫酸による発色後波長490nmにおける各吸光度を測定し、波長280nmの紫外領域に吸収がなく490nmに吸収を示す、分子量約10〜20万Daに相当するピークを分取する。
次にこの分取された物質を、イオン交換樹脂によりさらに分画して目的となるほぼ単一な物質であるアラビノガラクタンを得る。このとき、用いられるイオン交換樹脂は、例えばDEAE-セファデックスA50(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)やアンバーライトIRA96SB,IRA67などに代表される弱塩基性イオン交換樹脂である。そして、イオン交換樹脂に捕捉された抗糖尿病作用物質は、強イオン電解液で溶出される。この強イオン電解液には塩化ナトリウム水溶液が好ましく用いられ、そのときのイオン強度は、100〜400mM、好ましくは約200mMの塩化ナトリウム水溶液のイオン強度に匹敵するものが好適である。400mMを超えると目的物質以外の、例えばタンパク質のような塩基性物質までもが一緒に溶出される可能性がある。また、この分画に際しても、溶出液の波長280nm及びフェノール硫酸による発色後の波長490nmにおける吸光度が指標として用いられ、ほぼ単一のピークを示す画分が分取される。
そして、分取された溶出液を例えば減圧濃縮後、凍結乾燥することにより、粉末状をしたほぼ単一な物質としてのアラビノガラクタンが得られる。得られたアラビノガラクタンの比旋光度は、[α] 20=−37°±1°(c=0.08,水)であって、DEPT分析によるβ−1,6−ガラクタンを示す顕著なスペクトルと、HMBC分析によるαRha(1→4)βGlcUA(1→の存在を示す本発明のアラビノガラクタンに非常に特異的なピークが示される。また、この糖の構成比は、上記述べたような比率である。なお、抗糖尿病作用物質として実際に使用するためには、ゲルろ過クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーによる両分画工程は必須ではなく、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーの少なくとも一方でも差し支えなく、より好ましくはゲルろ過クロマトグラフィーにより分画され、タンパクがほぼ除去されたそのほとんどが多糖成分である抽出物を用いても差し支えない。もちろん、両分画工程を用いて精製するのが純度的に高いものが得られる。
このアラビノガラクタンは、以下に説明するように経口投与または静脈投与によって、血糖値を低下させ、あるいは血糖値を一定の範囲内に維持する作用を有する。このものは常温で粉末状であって水に溶けやすい。したがって、このアラビノガラクタンにデンプンや乳糖などの賦形剤を加え、散剤や錠剤、カプセル剤などの固形製剤とできるのはもちろん、生理食塩水に溶解して注射剤として提供することもできる。また、水に溶かして内服液剤としても提供されうる。
また、医薬品に限られず、錠剤やカプセル剤などの形態をしたいわゆる健康食品として、清涼飲料水に添加したり低カロリー食に添加したりするなどあらゆる形態の食品としても提供される。
このように、本発明のアラビノガラクタンは、抗糖尿病作用物質としてヒトあるいは動物用の医薬品に使用されるだけでなく、その形態を問わず、血糖値の維持、低下を図ることを目的とし、その旨を標榜、表示したいわゆる健康食品や特定保健用食品(機能性食品とも称される)、さらにはこれを添加した一般食品、動物用の餌などとして提供される。
その投与量は、投与対象や症状などによっても適宜増減されるが、概ね1日当たり当該物質0.1〜100mg/体重kgであり、血糖値を正常範囲に維持可能な量の上記物質が添加される。
以下、次の実施例に基づき本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
アラビノガラクタンは図3に準じた精製工程を経ることにより得られた。まず、白甘藷の皮乾燥粉末(皮破砕物)1kgに対し水10Lを加え、4時間室温にて攪拌抽出した。得られた混合液を遠心分離(7500rpm/30分間)して残渣を濾別した。次に得られた抽出液を脱イオン水を用いて3日間室温にて透析を行った。透析は、商品名ダイアライシスメンブランSize36(ポアサイズ24Å、限界分子量12000〜14000Da、和光純薬工業株式会社製)の透析用チューブに前記抽出液を入れ、抽出液1Lに対し脱イオン水5〜6Lを用い、1日3回脱イオン水を交換することにより行った。そして、透析内液に生じた不溶部分は遠心分離(7500rpm/30分間)により除去した。
上記沈殿除去した透析内液をエバポレータにて40℃程度で加温濃縮し、次いで約20v/v%の濃度となるようにエタノールを適量加え、4℃にて一晩静置した。生じた沈殿を遠心分離(7500rpm/30分間)により除去した。更に、その上清にエタノールを加えてアルコール濃度を約40v/v%とし上記と同様に静置して生じた沈殿を除去した。そして、再びエタノールを加えてアルコール濃度を約60v/v%にした上で1昼夜静置後(4℃下)、その上清液を分取して濃縮後凍結乾燥して粗多糖抽出物(3.8g)を得た。
この粗多糖抽出物についてゲルろ過クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーを行い、さらに精製を行った。上記粗多糖抽出物の1w/v%水溶液(1g/100mL)を調整し、遠心分離(15000rpm/20分間)を行い、水溶性部分を分取した。これをゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、4つのフラクション(以下F1〜F4と称す)に分画した。分画は、担体にトヨパールHW−65S(東ソー株式会社製:880mLを4.5×700cmカラムに充填)を、溶出液に流速0.5mL/minの水を用いて、15mL/1チューブで行った。各チューブごとにフェノール硫酸法(波長490nm)及びUV吸収(280nm)による検出を実施し、F1〜F4の4つのフラクションに分けた。その結果を図4に示す。得られたF1〜F4フラクションはそれぞれ、F1フラクション:チューブNo.19−24/濃縮質量246.5mg、F2フラクション:チューブNo.25−30/濃縮質量167.5mg、F3フラクション:チューブNo31−36/濃縮質量150.5mg、F4フラクション:チューブNo37−43/濃縮質量146.5mgであった。
次に予試験として、得られたフラクションF1〜F4の抽出物について血糖降下作用を調べた。7週齢のdb/db雄マウス各群5匹に、F1〜F4の各抽出濃縮物100mg/kgを2週間連続経口投与した後、血糖値を測定したところ、F1及びF2投与群に血糖値の低下が見られた。また、F2の抽出物に比べてF1の抽出物に優れた効果があったので、以下の分析にはフラクションF1の抽出物を用いることにした。
次に上記フラクションF1の抽出物について、イオン交換クロマトグラフィーを行いさらに精製を加えた。イオン交換樹脂にDEAESephadexA−50(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)に上記抽出物を負荷した後、脱イオン水及び200mM、400mMの塩化ナトリウム水溶液をステップワイズで溶出させた。溶出は流速0.5mLで行い、15mL/1チューブで溶出液を分取した。最初の10チューブは脱イオン水、次の10チューブは200mMの塩化ナトリウム水溶液で、それ以降は400mMの塩化ナトリウム水溶液で溶出した。溶出液は各チューブごとにフェノール硫酸法(波長490nm)及びUV吸収(280nm)による検出が行われた。その結果を図5に示す。その結果、水画分には活性成分とみられる物質は存在せず、400mM画分には多糖及びタンパク質の存在が見られた。一方200mM画分にはタンパク質がほとんどなく、多糖のみの存在であった。この結果とゲルろ過クロマトグラフィーによる結果とから、200mM塩化ナトリウム水溶液による溶出画分が血糖降下作用を有する成分に該当するものと思われた。なお、200mM画分から得られた抽出物の白甘藷皮乾燥物に対する収率は、約0.09%であった。
次に上記成分について、多角度光散乱検出器(MALLS)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて分子量及び分子サイズを明らかにした。測定条件は次の通りである。使用したカラムはOH−pak SB−806MHQ(昭和電工株式会社製)、検出器は多角度光散乱検出器DAWN・E(Wyatt社製)及び示差屈折率検出器RI−8020(東ソー株式会社製)、カラム温度は室温(25℃)、移動相は200mMNaCl水溶液、サンプル濃度は1mg/mL(移動相で溶解したもの)、流速は0.5mL/min、注入量は100μLである。なお、サンプルには上記200mM溶出画分を用い、注入時はシリンジにシリンジフィルター(ポアサイズ0.2μm)を装着、ろ過しながら注入した。その結果を図6に示す。図6から理解されるように、この物質の保持時間は約19分であって、ほぼ単一のピークであった。また、このものの分子量は小さいところでは約10万程度、大きなところでは約20万程度であって、その平均分子量は約13万程度であった。その分子量分布の幅は約10万程度と狭く、ほぼ単一のピークを示す高純度で比較的均質なものである。なお、ここにいう平均分子量は、上記測定装置を用いて測定して得られた当該物質を示す単一ピークにおける重量平均分子量を言う。
本発明のアラビノガラクタンの構造は次のようにして決定された。まず、最初に構成糖の組成比を検討した。イオン交換クロマトグラフィーによる200mM溶出画分を、ギ酸及びトリフルオロ酢酸による完全加水分解した後、HPAEC−PAD法により糖組成を明らかにした。測定条件は次のとおりである。使用カラムはCarboPac PA-1(4×250mm:日本ダイオネクス株式会社製)、溶出は0.2MNaOH(0→5分)の後リニアグラジエント0→0.45M酢酸ナトリウム(in0.2N NaOH/5→35分)、流速は1.0mL/min、検出器はパルスドアンペロメトリ検出器である。その結果を図7及び表1に示した。その結果、このアラビノガラクタンは、Rha、Ara、Gal及びGlcUAが、1.2:6.7:14.1:1.0の比率で構成されていることが判明した。
次に、200mM塩化ナトリウム水溶液による溶出画分について、部分メチル化分析を行った。分析は、ガスマス分析計(GC−17A、GCMS−QP5000:株式会社島津製作所製)、DB−225GC用カラム(J&W Scientific社製:0.25μm×30m×0.25μm)、170℃5分、170→210℃(昇温速度2℃/min)のカラム昇温プログラム下、気化室温度230℃、検出器温度230℃の条件下で行った。その結果を図8及び表2に示す。
図8及び表2から理解されるように、本発明のアラビノガラクタンは、末端αAraf若しくは末端Rha(ピーク1)及び末端Gal(ピーク3)、1,5結合を有するαAraf(ピーク2)、1,3結合を有するGal(ピーク5)、1,6結合を有するGal(ピーク7)、1,3,6結合を有するGal(ピーク8)並びに1,3,5結合を有するGal(ピーク4)の8種類の結合様式を有することが明らかになった。なお、Rha由来のピークが検出されていないが、末端Arafとの保持時間が非常に近接し、両者が十分に分離されずに同位置に検出されたものと考えられる。
次に、各糖の連結を明らかにするため各種NMRスペクトル(H、13C−NMR、H−HCOSY、HOHAHA、HMQC、HMBC)の解析を行った。まず、各糖のケミカルシフトを明らかにした。その結果を表3に示す。更に、この結果を元にHMBC解析(図9参照)を行い、図2に示す部分構造及び糖鎖の連結を明らかにした。即ち、Galがβ1,6結合をしたガラクトース鎖にβ1,3結合で枝分かれしたガラクトース鎖を有し、その65〜75%のガラストースに(1)末端αArafあるいは(2)2個のαアラビノフラノースがα1,5結合したオリゴ糖(2単糖)がβ1,3結合し、そして(3)ラムノースがグルクロン酸にα1,4結合したオリゴ糖(2単糖)がその5〜10%のガラクトースにβ1,6結合している。
〔血糖降下作用の確認〕
5週齢のdb/dbマウス(雄性)を用いて血糖降下作用試験を実施した。飼育環境は、明暗周期を7:00−19:00照明ONの12時間周期とし、温度23〜24℃、湿度60〜70%RH条件下で試験前1週間予備飼育を行った後、血糖値に群間有意差が出ないように2群(各群6匹)に分けた。投与群は無投与群(生理食塩水)と上記実施例で得たアラビノガラクタン投与群(20mg/kg)とにした。投与は一日1回ゾンデによる5週間連続経口投与とした。試験期間中、飼料及び飲料水はともに自由摂取とした。投与前及び投与開始後1週間ごとにマウス尾静脈より採血を行い、得られた血清を用いて血糖降下作用の確認を行った。その測定結果を表4及び図10に示す。
〔耐糖能改善作用の確認〕
血糖降下作用の確認試験終了後、各群にグルコースを2g/kgで経口投与し、0(糖負荷前)、60分後及び120分後と経時的にマウス尾静脈より採血を行い、血糖値の経時変化を調べた。その結果を表5及び図11に示す。なお、この試験は血糖降下作用試験終了後12時間絶食後に行った。
次に、液体クロマトグフラフィにおける200mM塩化ナトリウム水溶液による溶出画分(濃縮、凍結乾燥品)を用いて、次の処方(1錠あたり)に従って常法により本発明の健康食品である錠剤(1000錠)を作製した。
本発明によるアラビノガラクタン 140mg
ショ糖脂肪酸エステル 4mg
炭酸カルシウム 4mg
還元麦芽糖水あめ 10mg
無水乳酸 22mg
結晶セルロース 10mg
ミルクカルシウム 10mg
アラビノガラクタン(AG)は、セリ科トウキAngelica acutiloba KITAGAWA(Carbohydr Res,193,173-192,1989)、ヤドリギ科ヤドリギViscum album L.(Phytochemistry,27(8),2511-2517,1988)、マメ科アラビアゴムノキAcacia senegal gum(Carbohydr Res,2,104,1966)、オオバコ科オオバコPlantago major L.(Carbohydr Res,35,145-153,1998)、キク科エキナセアEchinacea purpurea(Carbohydr Res,327,497-504,2000)など多くの植物より分離されており、白甘藷由来アラビノガラクタンに見られるAraからなる部分構造(側鎖)を有するAGは多々存在している。しかしながら、本発明のアラビノガラクタンはそれらとは基本骨格あるいは側鎖が異なり、分子内で→6)βGal(1→から構成された糖鎖が3位で高度に分岐した基本骨格を有しており、その側鎖としてαRha(1→4)βGlcUA(1→が基本骨格末端でβ1,6結合した構造を有する多糖はこれまでに報告例が無く、本発明に係る白甘藷由来のアラビノガラクタンは全く新規なものであると結論づけられた。そして、このアラビノガラクタンは血糖降下作用を示すものであり、抗糖尿病作用物質として多いに利用価値の有するものである。

Claims (5)

  1. 白甘藷の皮部分あるいは塊根部分の水系抽出液の透析内液に低級アルコール若しくは低級ケトンを加え、沈殿除去後に得られる上清部分を弱塩基性アニオン交換樹脂に吸着後、約200〜400mMの塩化ナトリウム水溶液が有するイオン強度の溶出液で溶出されるβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有するアラビノガラクタンであって、
    当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6、フェノール硫酸による発色を示すが280nm付近に吸収をほとんど示さないアラビノガラクタン
  2. 請求項1に記載のアラビノガラクタンを有効成分とする抗糖尿病薬
  3. 白甘藷の皮部分あるいは塊根部分の水系抽出液の透析内液に低級アルコール若しくは低級ケトンを加え、沈殿除去後に得られる上清部分を弱塩基性アニオン交換樹脂に吸着後、約200〜400mMの塩化ナトリウム水溶液が有するイオン強度の溶出液で溶出されるβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有するアラビノガラクタンであって、当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6、フェノール硫酸による発色を示すが280nm付近に吸収をほとんど示さないアラビノガラクタン又は前記溶出液で溶出された抽出物を含有せしめる抗糖尿病薬の製造方法
  4. 白甘藷の皮部分あるいは塊根部分の水系抽出液の透析内液に低級アルコール若しくは低級ケトンを加え、沈殿除去後に得られる上清部分を弱塩基性アニオン交換樹脂に吸着後、約200〜400mMの塩化ナトリウム水溶液が有するイオン強度の溶出液で溶出されるβ1,6結合したGal糖鎖がβ1,3結合により高度に枝分かれした骨格を有するアラビノガラクタンであって、当該骨格を構成するGalに側鎖として(1)αArafがα1,3結合若しくは(2)αAraf(1→5)αArafがα1,3結合するとともに(3)αRha(1→4)βGlcUAが前記骨格の末端Galの一部若しくはその全部にβ1,6結合した平均分子量10万〜20万、ラムノース:グルクロン酸の構成比が概ね1:1、アラビノース:ガラクトースの構成比が概ね1:2、ラムノース:アラビノースの構成比が1:5〜6、フェノール硫酸による発色を示すが280nm付近に吸収をほとんど示さないアラビノガラクタン又は前記溶出液で溶出された抽出物を含有せしめる食品の製造方法。
  5. 血糖値を正常範囲に維持可能な量の前記アラビノガラクタン及び/又はアラビノガラクタンを含む抽出物を含有せしめる食品の製造方法。
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