JP2007224286A - 生体組織からの多糖類の取得方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大量の原料から大量の有用多糖類を短時間のうちに得るための、単純かつ効率的な方法を提供する。
【解決手段】生体組織抽出物をゲル濾過に供し、その素通し画分または高分子画分を得ることを特徴とする、生体組織からの多糖類の取得方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体組織からの多糖類の取得または製造方法に関する。詳細には、生体組織試料をゲル濾過に供し、その素通し画分または高分子画分を得ることを特徴とする、生体組織からの多糖類の取得または製造方法に関する。
多糖類は生体において様々な役割を果たしている。なかでも、最近注目されているのがコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリンなどのムコ多糖類である。例えば、コンドロイチン硫酸は関節炎に対する効果や神経痛の改善効果などが認められており健康食品、サプリメントおよび医薬品等に用いられている。ヒアルロン酸は水分保持効果を有することから化粧品等に多く用いられている。ヘパリンは抗血液凝固作用があり、医療現場で用いられている。これらの物質は従来から医薬品として用いられており、最近では健康食品やサプリメントとしての需要が激増しているのが特徴である。これらの多糖類は生体組織を原料として得られている。その方法も多くのものが開発されているが、とりわけ透析工程、限外濾過工程、有機溶媒による沈殿工程などに時間がかかるので効率が良いとはいえず、かつ、大規模で複雑かつ高価な施設を要することが多い(特許文献1〜3等参照)。
また、ムコ多糖類をはじめとする有用多糖類は動物(陸生、水生を含む)や真菌類の組織由来のものがほとんどであり、ほとんどの場合、ヒトが食用としている動物の組織から得られている。最近では、資源の有効利用の面から、従来は廃棄されていた食用動物の不可食部(調理には適さない部位)から有用多糖類を得る試みもなされている。しかも食用動物の不可食部の量は膨大である。
かかる事情に鑑みると、単純かつ効率的な方法にて、大量の原料から大量の有用多糖類を短時間のうちに得るための方法が必要である。
特開2000−273102号公報 特開2003−268004号公報 特開2004−189825号公報
本発明の解決課題は、単純かつ効率的な方法にて、大量の原料から大量の有用多糖類を短時間のうちに得るための方法を開発することであった。
本発明者は上記課題を解決せんと鋭意研究を重ね、ゲル濾過の素通し画分または高分子画分を取得することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)生体組織抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供し、その素通し画分または高分子画分を得ることを特徴とする、生体組織からの多糖類の取得方法;
(2)ゲル濾過の前に脱脂工程を行うことを特徴とする(1)記載の方法;
(3)さらに蛋白分解工程を行うことを特徴とする(1)または(2)記載の方法;
(4)さらにイオン交換クロマトグラフィー工程を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法;
(5)生体組織が軟体動物および魚類からなる群より選択される生物由来である(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法;
(6)生体組織がイカ由来である(5)記載の方法;
(7)生体組織が食肉用家畜または家禽由来である(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法;
(8)生体組織がニワトリ由来である(7)記載の方法;
(9)生体組織が担子菌由来である(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法;
(10)多糖類がムコ多糖類である(1)ないし(9)のいずれかに記載の方法;
(11)多糖類がコンドロイチン硫酸である(10)記載の方法;
(12)生体組織がイカの胴体を除く部分である(11)記載の方法;
(13)生体組織がウシ肝臓由来である(11)記載の方法;
(14)生体組織がニワトリ軟骨由来である(11)記載の方法;
(15)(1)ないし(14)のいずれかに記載の方法に使用される、生体組織から多糖類を取得するためのシステム
を提供するものである。
本発明によれば、単純かつ効率的な方法にて、大量の原料から大量の有用多糖類を短時間のうちに得ることができる。
上述のごとく、本発明は、生体組織抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供し、その素通し画分または高分子画分を得ることを特徴とする、生体組織からの多糖類の取得または製造方法に関するものである。本発明の方法に用いる生体組織はいずれの生物に由来するものであってもよい。目的の多糖類の種類に応じて生物種を選択すればよく、例えば、細菌、酵母、放線菌、カビなどの微生物、キノコ類、海草、植物、陸生および水生の動物、鳥類など様々な生物が挙げられる。取得した多糖類をヒトの医薬や食品、あるいは動物用の飼料に使用することを考慮すれば、毒性の低い、あるいは毒性のない生物から組織を得ることが望ましい。その意味からすれば、本発明に用いられる生体組織は、食用の魚類、イカ等の軟体動物、サメ等、あるいはウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリなどの食肉用家畜または家禽、アガリクス、サルノコシカケ、シイタケ等の無毒のキノコ類、あるいは食用植物に由来するものが好ましい。
有用多糖類を豊富に含有する生体組織としては、アガリクスなどの担子菌の菌糸体や子実体、魚類や動物の軟骨や内臓、イカの頭部などに由来するものが挙げられる。例えば、魚類(エイやサメを包含)の軟骨などからコンドロイチン硫酸を得ることができる。ニワトリのトサカなどからヒアルロン酸を得ることができる。あるいはブタ小腸粘膜などからヘパリンを得ることができる。さらに、食用生物の不可食部、例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ等の家畜、サケ、イワシ等の魚類、イカ、タコ等の軟体動物、エビ、カニ等の甲殻類の不可食部は量的に膨大であり、その廃棄処分が問題となっているので、そのような生物の不可食部から本発明の方法を用いて有用多糖類を取得することも好ましい。クラゲなどの組織から本発明の方法を用いて多糖類を取得することもできる。もちろん、上記生物の可食部から多糖類を得る場合にも本発明の方法を適用できることはいうまでもない。本発明の方法を用いれば、これらの生体組織を原料として有用多糖類を大量かつ迅速に取得することができる。
本発明の方法により得られる多糖はいずれの種類のものであってもよい。例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリンなどのムコ多糖類の取得や製造に本発明の方法を用いてもよい。例えば、本発明の方法を用いて、魚類(エイやサメを包含)の軟骨などからコンドロイチン硫酸を得ることができ、ニワトリのトサカなどからヒアルロン酸を得ることができ、あるいはブタ小腸粘膜などからヘパリンを得ることができる。本発明の方法を用いて、例えばソデイカ、スルメイカ、コウイカ、モンゴウイカ、ハリイカ、ケンサキイカ、ヤリイカ、アオリイカ、ジンドウイカ、アカイカ、マツイカなどのイカ、特にその胴体を除く部分(例えば頭部、足、皮、ひれ、眼球、軟骨ならびに他の不可食部)、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジなどの家畜や家禽類の臓器(例えば肝臓、腸、気道など)およびその他の部位(例えば、鼻軟骨などの軟骨、眼球、皮膚など)、特にニワトリ軟骨(例えば胸軟骨、関節軟骨など)、あるいは魚類軟骨などからコンドロイチン硫酸やその他の多糖類を取ることもできる。さらに本発明の方法を用いて、例えばアガリクスやサルノコシカケ等の担子菌からベータグルカン等の多糖類を得ることもできる。
生物由来の組織(生体組織)は、当業者に公知の手段・方法を用いて、生物の所望部位から取得することができる。例えば、動物の軟骨を包丁やハサミ等を用いて切り出してもよい。次いで、得られた生体組織から多糖類を含む抽出物を得て、ゲル濾過に供する。生体組織からの多糖類を含む抽出物の取得は、当業者に公知の手段・方法を用いて行うことができる。例えば、ミキサー、ミンチ、凍結粉砕、凍結乾燥等の手段を用いて生体組織を粉砕し、溶媒を用いて多糖類を含む抽出物を得てもよい。粉砕と抽出は同時に行ってもよく、粉砕後に抽出を行ってもよい。抽出溶媒としては水性溶媒が好ましく用いられ、例えば、水、中性付近の緩衝液(例えば、pH約5〜約9の酢酸緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液等)が例示されるがこれらに限らない。あるいは水性溶媒と有機溶媒(例えば、エタノール、アセトン等)との混合物を抽出に用いてもよい。
上記のようにして得られた生体組織抽出物をゲル濾過クロマトグラフィー工程に供する。生体組織抽出物中に粒子状物質や濁りがある場合には、遠心分離や濾過などの公知方法により、あらかじめそれらを除去することができる。
ゲル濾過工程は当業者に公知の手段・方法を用いて行うことができる。一般的には、ゲル濾過担体をカラムに充填してカラムクロマトグラフィーを行うことにより、ゲル濾過クロマトグラフィー工程を行う。ゲル濾過に用いる担体の種類、カラムのサイズ、溶出液の組成等、流速等の条件は、生体組織の由来、必要な多糖類の種類(および分子量や荷電状態等)、量、純度などの要因に応じて、当業者が適宜選択・決定することができる。これらの条件の選択・決定に際しては、必要な多糖類がゲル濾過担体にトラップされずに、あるいはほとんどトラップされずに素通し画分または高分子画分に溶出され、他の成分がゲル濾過担体にトラップされるようにする。本発明の方法に用いられるゲル濾過担体としては、デキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、ガラスビーズ等がある。具体例としては、各種セファロース、各種セファデックス、各種セファクリル、各種トヨパール、各種スーパーデックス、各種スーパーロース等があり、それらは市販もされている。ゲル濾過工程に用いる溶出液としては、水、中性付近の緩衝液(例えばpH約5〜約9の酢酸緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液等)などが例示されるがこれらに限らない。また、ゲル濾過担体と多糖類との相互作用を調節するために食塩等の塩類を溶出液に添加してもよい。ゲル濾過工程は自然落下式で行ってもよいが、液体クロマトグラフィーの装置を利用してもよい。工業的にはポンプにより加圧あるいは減圧して行ってもよい。本発明の方法において、ゲル濾過工程を複数回行ってもよいが、プロセスの迅速性を担保するという点からすれば、ゲル濾過工程の回数は少ないほど好ましく、1回であってもよい。ゲル濾過工程の回数は、必要な多糖類の量および純度、ならびに所要時間などによって決定されうる。実施例には1回のゲル濾過工程により十分な量あるいは実用的な純度の多糖類を得ることができた例を示した。
上記のクロマトグラフィー条件の選択において、好ましくは、目的とする多糖類が、送液開始後、ゲル濾過担体の総ベッド体積の約13〜約33%までの画分に溶出されるように、さらに好ましくはゲル濾過担体の総ベッド体積の約20%までの画分中に溶出されるように、ゲル濾過クロマトグラフィー条件を選択する。したがって、本明細書において、「素通し画分または高分子画分」とは、試料の粘度や試料に含まれる多糖の種類、所望多糖の分子量、使用担体の種類などにもよるが、通常、担体の総ベッド体積の約33%までの溶出液中に得られる画分をいう。例えば、ゲル濾過担体の総ベッド体積の約13%〜約20%までの溶出液中に得られる画分を「素通し画分または高分子画分」として集めて、多糖類を得てもよい。
ゲル濾過クロマトグラフィーからの画分中の多糖類の検出・確認には、種々の公知方法を用いることができ、例えば、カルバゾール法、ジメチルフェノール法、フェノール硫酸法、紫外吸収測定法、屈折率測定法などを用いてもよい。
本発明の方法では、ゲル濾過クロマトグラフィーによる素通し画分または高分子画分中に溶出される多糖類を取得するので、工程が単純であり、迅速かつ簡単に所望の多糖類を高収率かつ実用的な純度で得ることができる。また、ゲル濾過クロマトグラフィー工程にて、多糖類の取得とともに脱蛋白と脱塩を同時に行うこともできる。必要であれば、多糖類の分離・精製とは別に脱塩のためにゲル濾過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーなどの手法を用いてもよい。さらに、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いる本発明の方法は設備費用やルーチンコストが低くて済むという利点を有する。そのうえ、ゲル濾過クロマトグラフィーはスケールアップが容易である。さらにゲル濾過クロマトグラフィーにおいては担体の再生を行う必要がなく、短時間のうちに繰り返し操作をすることができる。したがって、本発明の方法は、生体組織からの多糖類の迅速な大量生産に適している。
後で説明するように、ゲル濾過クロマトグラフィー工程により得られた多糖を必要に応じてさらに分画・精製してもよい。
生体組織が脂質成分を多く含む場合にはゲル濾過や蛋白分解等の酵素処理に悪影響が出ることがあるので、本発明の方法に脱脂工程を含ませてもよい。脱脂工程はゲル濾過クロマトグラフィーに供する前に行うのが好ましく、ゲル濾過工程前のいずれの段階で行ってもよい。例えば、脱脂工程を粉砕と同時に、あるいは粉砕後であって抽出前に、抽出中または抽出後に行うことができる。脱脂工程は、当業者に公知の手段・方法にて行うことができ、例えば、生体組織抽出物にアセトン等の脂溶性溶媒を添加することにより行ってもよい。
また、必要とされる多糖類の純度、多糖類の用途、多糖類の活性、生体組織の蛋白含有量、その他の要因により、本発明の方法に蛋白分解(除蛋白)工程を含ませてもよい。蛋白分解工程は、蛋白分解酵素を用いて行うのが一般的であり、そのような蛋白分解酵素およびそれらの反応条件は当業者に公知である。また、蛋白分解工程は酸またはアルカリでの処理、有機溶媒での沈殿、硫安等での塩析などの方法によっても行うことができる。蛋白分解工程は、いずれの段階で行ってもよいが、生体組織抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供する前に行うことが好ましい。その理由は、蛋白分解により生じたアミノ酸やペプチドがゲル濾過により除去され、長時間を要する透析工程が省略可能になるからである。さらに、必要とされる多糖類の純度、多糖類の用途、多糖類の活性、生体組織の核酸含有量、その他の要因により、本発明の方法に核酸分解(除核酸)工程を含ませてもよい。除核酸法は当業者に公知である。除核酸工程は、いずれの段階で行ってもよいが、蛋白分解工程について述べたのと同様の理由で、生体組織抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供する前に行うことが好ましい。
さらに、必要とされる多糖類の純度、多糖類の用途、多糖類の活性、その他の要因により、当業者に公知の手段・方法により、さらなるクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなど)、有機溶媒による分別沈殿、遠心分離、濾過、除核酸等の処理を1つあるいはそれ以上行ってもよい。
かかる態様の例として、本発明の方法において、他のクロマトグラフィー工程を含めることにより、得られる多糖類の純度を飛躍的に向上させることができる。このような他のクロマトグラフィー工程として好ましいものとしてイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどがあり、極性基を有する多糖類を得る場合にはイオン交換クロマトグラフィーを用いることができる。イオン交換クロマトグラフィー工程は、ゲル濾過工程の前、後いずれに行ってもよいが、ゲル濾過クロマトグラフィー工程により多糖類の純度を高めておいてからイオン交換クロマトグラフィー工程を行うのが好ましい。本発明の方法において行うイオン交換クロマトグラフィーの回数についても特に制限はなく、必要とされる多糖類の純度および収量を考慮して決定することができる。本発明のプロセスの迅速性を担保する見地から、イオン交換クロマトグラフィー工程の回数は2回以内、好ましくは1回である。イオン交換クロマトグラフィー工程の回数は、必要な多糖類の量および純度、ならびに所要時間などによって決定されうる。
本発明の方法において使用するイオン交換体は、必要な多糖類の種類、必要とされる純度、原料の種類や量、必要とされる多糖類の収量などを考慮して、適宜選択することができる。イオン交換体は様々なものが市販されており、それらから選択することもできる。陰イオン交換体としては、ダウエックス、アンバーライト、ムロマックなどの陰イオン交換樹脂、ハイドロタルサイト、キトパール”ベーシック”、DEAE−キトパール、Capto Q、Mono Q、SAX、イグゼなどの陰イオン交換体、DEAE−セルロース、DEAE−セファデックスなどの陰イオン交換セルロースなどが挙げられ、市販もされている。硫酸基を有する多糖類の分離・精製には弱陰イオン交換体を用いることができ、例えば、DEAE−セルロース、DEAE−セファデックス、ダウエックスなどの陰イオン交換体を用いることができる。イオン交換クロマトグラフィー工程において、目的の多糖類を精製するためには、通常、目的の多糖類をイオン交換体に吸着させておいて、その後、例えば溶離液のイオン強度を上昇させる等の手法により目的の多糖類をイオン交換体から溶出させる。イオン強度の上昇法としては、ステップワイズ法、グラジエント法などがある。また、目的の多糖類を吸着しない、逆の電荷を有するイオン交換体によるクロマトグラフィー工程を用いることにより、目的の多糖類の純度をさらに高めることもできる。この目的には陽イオン交換体が好ましく用いられる。陽イオン交換体としては、ダウエックス、アンバーライト、ムロマックなどの陽イオン交換樹脂、ゼオライト、カルボキシル化キトパール、スルホン化キトパール、Capto S、Mono S、SCX、イグゼなどの陽イオン交換体などが挙げられ、市販もされている。本発明に用いるイオン交換クロマトグラフィー工程は、カラム式、バッチ式のいずれで行ってもよい。イオン交換クロマトグラフィー工程で使用するイオン交換体の選択、溶離液の種類、組成、各成分の濃度、pH、温度、流速などの条件の選択は、当業者が通常に行いうる範囲のことである。
さらに本発明は、上で説明した生体組織から多糖類を得るための本発明方法を実施するために用いられるシステムにも関する。本発明のシステムは、生体組織からの多糖類を得るために必要な手段を含む。本発明のシステムは、ゲル濾過工程に必要な手段を必須として含む。ゲル濾過に必要な手段としては、ゲル濾過担体、それを充填するカラム、送液手段(例えばポンプ等)、配管、弁などが挙げられる。本発明のシステムは、ゲル濾過クロマトグラフィーに必要な手段のほかに、イオン交換クロマトグラフィー工程などの他の分離・精製工程を行うための手段を含んでいてもよい。さらに本発明のシステムは、生体組織の粉砕、抽出のためのスライサー、ミキサー、ミンチ、粉砕などの手段、乾燥手段(例えば、凍結乾燥や噴霧乾燥を行うための手段、送風手段など)、遠心分離や沈殿槽などの手段、脱脂工程のための手段等を含んでいてもよい。本発明のシステムは大量生産に適したプラントの形態にすることもできる。
以下に実施例を示して本発明をより詳細かつ具体的に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
(A)ソデイカ頭部からの多糖(糖鎖)成分の抽出
(i)脂質除去
以下の操作(i)〜(iii)に用いた水は、すべてミリQ水であった。遠心分離には冷却遠心分離機を0℃で用いた。
生ソデイカの頭部870gに、−20℃のアセトン1400mlを加え、約1分間ミキサーで粉砕した。これを吸引濾過し、濾過物を−20℃のアセトン1400mlに懸濁させ、再び吸引濾過した。この濾過物をデシケーター内で乾燥させ、196gの粉末を得ることができた。
(ii)たんぱく質の酵素分解
(i)で得られた粉末の196gのうち1.00gを水(8ml)に懸濁させ、湯浴(100℃)で10分間加熱し、これに0.5M NaOHでpH7.53に調整した緩衝液(ホウ酸9.31g/水100ml)10mlを加え、アクチナーゼE(科研製薬)31.2mgを加えた。反応液のpHは7.5に1M NaOHで調整し、60℃の恒温槽で振とうした。2日後、アクチナーゼE 31.2mgを追加し、引き続き60℃の恒温槽で2日間振とうした。その後氷冷し、吸引濾過した。
(iii)ゲル濾過精製
(ii)で得られた酵素反応液を濃縮し、Sephadex LH−20[GEヘルスケアバイオサイエンス(株)]カラム(内径2.2cm x 高さ88cm、1%酢酸水溶液)により分離精製した。送液開始後75〜111mLの画分にコンドロイチン硫酸が含まれることを、カルバゾール反応により確認した。この画分のコンドロイチン硫酸の収量は42.9mg、純度は19%であった。この程度の純度であれば、食品素材として使用するには十分である。図1にカルバゾール反応の吸光度グラフを示す。なお、この工程により得られるコンドロイチン硫酸を、イオン交換クロマトグラフィー工程等によって、さらに純度の高いものに精製してもよい。
(B)得られた糖鎖の酵素分解と成分分析
(i)コンドロイチナーゼ分解
コンドロイチナーゼABCを用いてクジラ軟骨由来のコンドロイチン硫酸の消化を行ったSugaharaらの報告(K.Sugahara et al., Carbohydr. Res., 255, 145 (1994))を参考に、以下の操作を行った。以下の操作で用いた水は全て市販のHPLC用蒸留水であった。
ゲル濾過精製で得られた糖鎖懸濁液(1mg/水1ml)200μlに、20μlの牛血清アルブミン水溶液(10mg/ml MP Biomedicals, Inc)、0.5M NaOHでpH8.0に合わせた250mMトリス−塩酸緩衝液40μlを混合し、コンドロイチナーゼABC(5U/ml)(生化学工業)を100μl加えて、37℃の恒温槽で30時間インキュベートした。開始後6時間と30時間の反応液をそれぞれ10μlとり、HPLCの試料とした。
(ii)HPLC分析
HPLCでの分析には、アミン結合型カラム上でNaHPOの直線濃度勾配をかけるYoshidaらの方法(K.Yoshida et al., Anal. Biochem., 177, 327 (1989))を参考に、以下の操作を行った。カラムはYMC−Pack PA(S5μm,250×4.6mm)カラムを用い、溶離液(A:16mM NaHPO B:800mM NaHPO)は、すべてHPLCグレードを使用し、さらにPTFE FILTER(ポアサイズ0.2μm)(ADVANTEC)で濾過し、ヘリウム置換を行った。HPLCは2487、474、616、600(Waters社製)システムを使用し、232nmの吸収を測定した。NaHPOの濃度は、16mMに対して800mMを60分間に1ml/分の流速で0%から47%まで上昇させた。
図2のチャート(VII、VIII)から、イカから得られた糖鎖は、主にコンドロイチン硫酸E型とA型二糖および硫酸化されていないコンドロイチン二糖で構成されているといえる。いくつかの不飽和コンドロイチン硫酸二糖(生化学工業)を標準サンプルとしてHPLC分析した結果(チャートIII、IV)から、C型二糖も若干存在していることが確認されたものの、他のコンドロイチン硫酸単位は確認されなかった。なお、それ以外のピークは、酵素またはバッファー由来のものである。
(A)ウシ肝臓からの多糖(糖鎖)成分の抽出
(i)脂質除去
新鮮なウシ生肝臓263gに、−20℃のアセトン526mlを加え、約1分間ミキサーで粉砕した。これを吸引濾過し、濾過物を−20℃のアセトン526mlに懸濁させ、再び吸引濾過した。この濾過物をデシケーター内で乾燥させ、67gの粉末を得ることができた。
(ii)たんぱく質の酵素分解
(i)で得られた粉末の67gのうち1.00gを水(8ml)に懸濁させ、湯浴(100℃)で10分間加熱した。この懸濁液を実施例1と同様に、アクチナーゼEによりタンパク分解を行った。
(iii)ゲル濾過精製
(ii)で得られた酵素反応液を濃縮し、Sephadex LH−20[GEヘルスケアバイオサイエンス(株)]カラム(内径2.2cm x 高さ88cm、1%酢酸水溶液)により分離精製した。送液開始後75〜111mLの画分にコンドロイチン硫酸が含まれることを、カルバゾール反応により確認した。収量は135.2mgであった。図3に、カルバゾール反応の吸光度グラフを示す。
(B)得られた糖鎖の酵素分解と成分分析
(i)コンドロイチナーゼ分解とHPLC分析
(A)(iii)で得られた粗糖鎖(1mg)を、実施例1と同様にコンドロイチナーゼABCにより分解し、HPLC分析を行った(図4の上のチャート)。さらにこの粗糖鎖をDEAE−セルロースカラム(溶離液として0.15M、0.5M、1.0Mおよび2.0M塩化リチウム水溶液を使用)により精製し、その1.0M画分から得られた糖鎖のコンドロイチナーゼABC分解の結果を図4の下のチャートに示す。ウシ肝臓に存在する主なコンドロイチン種はコンドロイチン硫酸Aであり、少量のCとEも存在することがわかったが、肝臓重量全体に占めるコンドロイチン硫酸の含有量は少ない(肝臓100gあたりコンドロイチン硫酸2.9mg)。そのため、ゲル濾過で得たサンプルを酵素反応して検出される二糖のピークは低い(図4の上のチャート)。これらの結果から、ウシ肝臓の脱脂物には、ヘパリンやヘパラン硫酸など、コンドロイチナーゼで分解できない他のグリコサミノグリカンなどの多糖も多く含まれていると考えられる。
(A)冷凍ソデイカのひれからの多糖(糖鎖)成分の抽出
(i)脂質除去
冷凍ソデイカのひれ1734.7gに−20℃のアセトン3.46lを加え、約1分間ミキサーで粉砕した。これを吸引濾過し、濾過物を−20℃のアセトン3.46lに懸濁させ、再び吸引濾過した。この濾過物をデシケーター内で乾燥させ、356.38gの脱脂粉末を得ることができた。
(ii)たんぱく質の酵素分解
(i)で得られた脱脂粉末の356.38gのうち10.00gを水(80ml)に懸濁させ、湯浴(100℃)で10分間加熱し、これに0.5M NaOHでpH7.0に調整した緩衝液(ホウ酸30.9g/水1000ml)100mlを加え、プロテアーゼN「アマノ」G[天野エンザイム(株)]725mgを加えた。その反応液を、55℃の恒温槽で2日間振とうした。その後氷冷し、吸引濾過した。
(iii)ゲル濾過精製
(ii)で得られた酵素反応液を、Sephadex LH−20[GEヘルスケアバイオサイエンス(株)]カラム(内径4.8cm x 高さ136cm、1%酢酸水溶液)により分離精製した。送液にはぺリスタポンプ(8.3ml/min)を用いた。コンドロイチン硫酸の検出にはカルバゾール反応を用いた。このゲル濾過パターンを図5に示す。送液開始後325ml以降の画分にコンドロイチンが含まれていることをカルバゾール反応により確認した。230nmのUV吸収による追跡でも、同様の結果が得られた。ピークの立ち上がりである画分A(送液開始後325〜475ml)と、それに続く画分B(送液開始後475〜625ml)、画分C(送液開始後625〜775ml)に分けて凍結乾燥を行い、それぞれから24.7mg、388.9mg、367.1mgの生成物が得られた。
(B)得られた糖鎖の酵素分解と成分分析
(i)コンドロイチナーゼ分解とHPLC分析
画分A〜Cから得られた生成物1mgずつを、それぞれコンドロイチナーゼABCにより分解し、HPLC分析を行った。画分AおよびBのHPLCチャートを図6に示す。その結果、含まれる糖鎖は、硫酸基のついていないコンドロイチンがほぼ100%を占めた。ピーク面積と検量線から算出された画分AとB由来の糖鎖成分の純度は、それぞれ97%と40%であった。画分Cには糖鎖成分は検出されなかった。脱脂粉末100g(湿重量487g)あたりに換算すると、画分AとBの領域には、それぞれ240mgと1549mgの糖鎖(コンドロイチン)が含まれていることになる。
(A)冷凍ニワトリ胸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出
(i)脂質除去
冷凍ニワトリ胸軟骨105.0gに−20℃のアセトン200mlを加え、約2分間ミキサーで粉砕した。これを吸引濾過し、濾過物を−20℃のアセトン200mlに懸濁させ、再び吸引濾過した。この濾過物をデシケーター内で乾燥させ、22.95gの脱脂粉末を得ることができた。
(ii)たんぱく質の酵素分解
(i)で得られた脱脂粉末の22.95gのうち1.02gを水(8.0ml)に懸濁させ、湯浴(100℃)で10分間加熱し、これに0.5M NaOHでpH7.53に調整した緩衝液(ホウ酸9.31g/水100ml)10mlを加え、アクチナーゼE(科研製薬)33.4mgを加えた。その反応液を、60℃の恒温槽で2日間振とうした。2日後、アクチナーゼE 33.4mgを追加し、引き続き60℃の恒温槽で2日間振とうした。その後氷冷し、吸引濾過した。
(iii)ゲル濾過精製
(ii)で得られた酵素反応液を、Sephadex LH−20[GEヘルスケアバイオサイエンス(株)]カラム(内径3.0cm x 高さ80cm、1%酢酸水溶液)により分離精製した。コンドロイチン硫酸の検出にはカルバゾール反応を用いた。このゲル濾過パターンを図7に示す。送液開始後84〜108mlの画分(X)、108〜132mlの画分(Y)、132〜153mlの画分(Z)にカルバゾール反応陽性を確認した。収量はそれぞれ61.6mg(59.8mg)、80.6mg(63.0mg)、68.8mg(31.6mg)であった。カッコ内の値は、(B)の(i)の操作によって求めた純度を考慮して計算した「実際に含まれるコンドロイチン硫酸とコンドロイチンの重さ」を示す。
(B)得られた糖鎖の酵素分解と成分分析
(i)コンドロイチナーゼ分解とHPLC分析
(A)の(iii)で得られた糖鎖成分X、Y、Zのそれぞれ1mgを、コンドロイチナーゼABCにより分解し、HPLC分析を行った。その結果、Xに含まれる糖鎖は、硫酸基のついていないコンドロイチンが22%、4位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸A型が58%、6位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸C型が20%であった。また、Yに含まれる糖鎖は、コンドロイチンが4%、4位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸A型が74%、6位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸C型が22%であった。Zに含まれる糖鎖は、コンドロイチンが14%、4位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸A型が66%、6位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸C型が20%であった。ピーク面積と検量線から算出されたニワトリ丸軟骨由来の糖鎖成分の純度は、Xが97%、Yが78%、Zが46%であった。脱脂粉末100g(湿重量458g)あたりに換算すると、合計(5885+6137+3105=)15127mgの糖鎖(コンドロイチン硫酸とコンドロイチン)が含まれていることになる。図8に糖鎖成分X、YおよびZのHPLCチャートを示す。
(A)冷凍ニワトリ丸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出
(i)脂質除去
冷凍ニワトリ丸軟骨914.75gに−20℃のアセトン1.8Lを加え、約2分間ミキサーで粉砕した。これを吸引濾過し、濾過物を−20℃のアセトン1.8Lに懸濁させ、再び吸引濾過した。この濾過物をデシケーター内で乾燥させ、159.44gの脱脂粉末を得ることができた。
(ii)たんぱく質の酵素分解
(i)で得られた脱脂粉末の159.44gのうち4.37gを水(34.8ml)に懸濁させ、湯浴(100℃)で10分間加熱し、これに0.5M NaOHでpH7.0に調整した緩衝液(ホウ酸30.9g/水1000ml)43.5mlを加え、プロテアーゼN「アマノ」G[天野エンザイム(株)]328mgを加えた。その反応液を、55℃の恒温槽で2日間振とうした。その後氷冷し、吸引濾過した。
(iii)ゲル濾過精製
(ii)で得られた酵素反応液を、Sephadex LH−20[GEヘルスケアバイオサイエンス(株)]カラム(内径4.8cm x 高さ136cm、1%酢酸水溶液)により分離精製した。送液にはぺリスタポンプ(8.3ml/min)を用いた。このゲル濾過のパターンを図9に示す。送液開始後342ml以降の画分にコンドロイチン硫酸が含まれていることをカルバゾール反応により確認した。ピークの立ち上がりである画分D(送液開始後342〜504ml)と,それに続く画分E(送液開始後504〜728ml)に分けて凍結乾燥を行い,それぞれ591.7mgと2279.9mgの生成物が得られた。(B)の(i)で述べるコンドロイチナーゼ処理の結果、画分Eにはコンドロイチン硫酸もコンドロイチンも含まれていなかった。画分Dのコンドロイチン硫酸とコンドロイチンの純度は40%であった。
(iv)DEAE精製
(iii)で得られた生成物(D)の591.7mgのうち548.5mgをDEAE−セルロースカラム(内径4.2 x 高さ19cm、溶離液として0.15〜2.0M(0.15M、0.5M、1.0Mおよび2.0M塩化リチウム水溶液を使用)により分離精製した。このイオン交換クロマトグラフィーのパターンを図10に示す。送液開始後の928〜1312ml(0.5M画分F)と1600〜1840ml(1.0M画分G)がカルバゾール反応に陽性を示した。230nmのUV吸収による追跡でも、同様の結果が得られた。(B)の(i)で述べるコンドロイチナーゼ処理の結果、画分Fにはコンドロイチン硫酸もコンドロイチンもほとんど含まれていなかった。
(v)ゲル濾過脱塩
(iv)で得られた画分Gを、Sephadex LH−20[GEヘルスケアバイオサイエンス(株)]カラム(内径4.8cm x 高さ136cm、1%酢酸水溶液)により脱塩した。脱塩カラムのパターンを図11に示す。送液開始後の342〜828mlの画分(O〜Q)がカルバゾール反応陽性を示した。230nmのUV吸収による追跡でも、同様の結果が得られた。収量は、それぞれ52.3mgと158.6mgであった。
(B)得られた糖鎖の酵素分解と成分分析
(i)コンドロイチナーゼ分解とHPLC分析
(A)の(v)で得られた糖鎖成分O、P、Qのそれぞれ1mgを、コンドロイチナーゼABCにより分解し、HPLC分析を行った。画分O〜QのHPLCチャートはほぼ同じ傾向を示した。画分O〜Qに含まれる糖鎖は、硫酸基のついていないコンドロイチンが約30%、4位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸A型が約53%、6位に硫酸基を持ったコンドロイチン硫酸C型が約17%であった。ピーク面積と検量線から算出されたニワトリ丸軟骨由来のコンドロイチン硫酸とコンドロイチンの純度は100%であった。脱脂粉末100g(湿重量543g)あたりに換算すると、3702mgの糖鎖(コンドロイチン硫酸とコンドロイチン)が画分O〜Qに含まれていることになる。図12に画分PのHPLCチャートを示す。
本発明によれば多糖類を迅速かつ簡単に、しかも大量に得られるので、本発明は、健康食品、サプリメント、医薬品等の製造分野において利用可能である。
図1はソデイカ頭部からの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。吸光度は530nmにおけるものである。 図2は標準サンプルおよびソデイカ頭部から抽出された多糖(糖鎖)のHPLCの結果を示すチャートである。各チャートは以下のごとし:I,酵素反応液のみ(基質なし)II,コンドロイチン硫酸E型不飽和二糖(ΔDi−di4−6S)(標準サンプル)III,コンドロイチン硫酸A型不飽和二糖(ΔDi−4S)(標準サンプル)IV,コンドロイチン硫酸C型不飽和二糖(ΔDi−6S)(標準サンプル)V,コンドロイチン不飽和二糖(ΔDi−0S)(標準サンプル)VI,コンドロイチン硫酸E(多糖(生化学工業製))の酵素反応(6時間)の結果VII,ソデイカから得られた糖鎖(DEAEカラム精製、1.0M塩化リチウム画分)の酵素反応(6時間)の結果VIII,ソデイカから得られた糖鎖(ゲル濾過精製)の酵素反応(6時間)の結果。横軸は保持時間、縦軸は232nmにおける紫外光の吸収強度である。 図3はウシ肝臓からの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。吸光度は530nmにおけるものである。 図4の上のチャートは、ウシ肝臓から得られた脱脂物をタンパク分解後、ゲル濾過精製によって得た粗糖鎖の酵素反応(6時間)のHPLC結果を示す。図4の下のチャートは、脱脂物を同様にタンパク分解、透析し、DEAEカラムで精製した糖鎖の酵素反応(5時間)の結果を示す。横軸は保持時間、縦軸は232nmにおける紫外光の吸収強度である。 図5は冷凍ソデイカのひれからの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。吸光度は530nmにおけるものである。 は冷凍ソデイカのひれからの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーにより得られた画分A(上パネル)およびB(下パネル)のコンドロイチナーゼ分解物のHPLC分析チャートを示す。横軸は保持時間、縦軸は232nmにおける紫外光の吸収強度である。 図7は冷凍ニワトリ胸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。 図8は冷凍ニワトリ胸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーにより得られた画分X(上パネル)、Y(中パネル)およびZ(下パネル)のコンドロイチナーゼ分解物のHPLC分析チャートを示す。横軸は保持時間、縦軸は232nmにおける紫外光の吸収強度である。 図9は冷凍ニワトリ丸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。吸光度は530nmにおけるものである。 図10は冷凍ニワトリ丸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出におけるSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーにより得られた画分DのDEAE−セルロースカラムクロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。吸光度は530nmにおけるものである。 図11は冷凍ニワトリ丸軟骨からの多糖(糖鎖)成分の抽出における画分DのDEAE−セルロースカラムクロマトグラフィーにより得られた画分Gの、Sephadex LH−20カラムクロマトグラフィーによる脱塩の際の溶出パターンを示す図である。吸光度は530nmにおけるものである。 図12は図11のSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーによる脱塩の際に得られた画分Pのコンドロイチナーゼ分解物のHPLC分析チャートを示す。横軸は保持時間、縦軸は232nmにおける紫外光の吸収強度である。

Claims (15)

  1. 生体組織抽出物をゲル濾過クロマトグラフィーに供し、その素通し画分または高分子画分を得ることを特徴とする、生体組織からの多糖類の取得方法。
  2. ゲル濾過の前に脱脂工程を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. さらに蛋白分解工程を行うことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. さらにイオン交換クロマトグラフィー工程を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の方法。
  5. 生体組織が軟体動物および魚類からなる群より選択される生物由来である請求項1ないし4のいずれか1項記載の方法。
  6. 生体組織がイカ由来である請求項5記載の方法。
  7. 生体組織が食肉用家畜または家禽由来である請求項1ないし4のいずれか1項記載の方法。
  8. 生体組織がニワトリ由来である請求項7記載の方法。
  9. 生体組織が担子菌由来である請求項1ないし4のいずれか1項記載の方法。
  10. 多糖類がムコ多糖類である請求項1ないし9のいずれか1項記載の方法。
  11. 多糖類がコンドロイチン硫酸である請求項10記載の方法。
  12. 生体組織がイカの胴体を除く部分である請求項11記載の方法。
  13. 生体組織がウシ肝臓由来である請求項11記載の方法。
  14. 生体組織がニワトリ軟骨由来である請求項11記載の方法。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項記載の方法に使用される、生体組織から多糖類を取得するためのシステム。
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