ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)渋滞防止処理:
(2−1)渋滞要因情報取得処理:
(2−2)自車両動作情報取得処理:
(2−3)渋滞誘発動作判定処理:
(2−4)運転支援処理:
(3)渋滞防止動作:
(4)他の実施形態:
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる渋滞防止装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして自車両が渋滞誘発動作を行ったときに、渋滞の発生を抑えるための運転支援を行う機能を備えている。
自車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)には、ナビゲーションプログラム21による機能を実現するためにGPS受信部40と車速センサ41とミリ波レーダ42とブレーキセンサ43aを含むブレーキ43とアクセル開度センサ44aを含むエンジン44とスピーカー45と表示部46とが備えられており、これらの各部と制御部20との信号の授受は図示しないインタフェースによって実現されている。
GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して自車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して自車両の現在位置を取得する。自車両の現在位置は、後述する地図情報30aの渋滞要因情報が示す渋滞要因の位置に基づいて、自車両が走行する道路に渋滞要因が存在するか否かを判定するために利用される。
車速センサ41は、自車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の速度を取得する。ミリ波レーダ42は自車両の周囲にミリ波を出力し、その反射波を取得して当該反射波が示す情報を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の周囲の構造物の有無や当該構造物との距離を取得する。本実施形態においては、自車両の前後を走行する他車両の有無および当該他車両との距離を取得する。
ブレーキセンサ43aは車両に搭載されたブレーキ43に設けられたセンサであり、自車両のブレーキペダルに対する操作がなされていることを検出し、ブレーキペダルが操作されているときにはその旨を示す信号を出力する。アクセル開度センサ44aは車両に搭載されたエンジン44に設けられたセンサであり、自車両におけるアクセル操作に対応したアクセル開度を検出し、当該アクセル開度を示す信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してブレーキセンサ43aやアクセル開度センサ44aからの信号を取得し、ブレーキ操作の有無およびアクセル開度を取得する。なお、本実施形態においては、以上の車速センサ41,ミリ波レーダ42,ブレーキセンサ43a,アクセル開度センサ44aが出力する情報が自車両動作情報である。
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、上述のようにして取得した各種情報に基づいて、自車両が渋滞要因に対応した渋滞誘発動作を行ったか否かを判定し、渋滞誘発動作を行った場合に、渋滞の発生を抑えるための運転支援を行う。本実施形態において当該運転支援は、自車両の自動制御である。
すなわち、本実施形態におけるブレーキ43は、図示しない制御部20からの信号を受け取って信号が示す指示内容に応じたブレーキ制御を実施可能であり、エンジン44は、図示しない制御部20からの信号を受け取って信号が示す指示内容に応じたアクセル制御を実施可能である。制御部20は、これらの制御によって自車両の速度や自車両と他車両との距離を調整する、いわゆるオートクルーズコントロールを実施可能である。なお、本実施形態において、制御部20は、運転支援部21dの制御に基づいて音声によって各種の案内を行うための制御信号をスピーカー45に出力し、画像によって各種の案内を行うための制御信号を表示部46に出力し、スピーカー45および表示部46から任意の案内を出力することが可能であり、この案内の一つとして上述の渋滞要因を取得したときに、速度低下について注意喚起を行う警告を行う。
本実施形態においては、ナビゲーションプログラム21が前記オートクルーズコントロールを行うことにより、ナビゲーション装置10を本発明にかかる渋滞防止装置として機能させる。ナビゲーションプログラム21は、渋滞要因取得部21aと自車両動作情報取得部21bと渋滞誘発動作判定部21cと運転支援部21dとを備えている。
また、記憶媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ、目標物を示すデータ、渋滞要因を示す渋滞要因情報30b等を含み、自車両の位置の特定や渋滞要因の特定,路面形状の特定,目的地への案内等に利用される。
なお、本実施形態においては、運転者による無意識的な減速によって渋滞が誘発される位置を渋滞要因としており、道路の勾配変化が所定値以上になっている位置とトンネルが存在する位置を渋滞要因情報30bとして記録している。例えば、走行中の道路にトンネルが存在すると、多くの運転者はトンネルによって心理的影響,不安,圧迫等を受け、無意識に減速を行ってしまい、この減速が渋滞を誘発する可能性があるので、このような渋滞を誘発する可能性がある位置を渋滞要因情報30bとして記録する。
より具体的には、本実施形態において、勾配変化点以後の勾配値−勾配変化点以前の勾配値(以下、勾配値の差分と呼ぶ)が1.5%以上である道路(サグ)の位置と、勾配値の差分が−3%以下である道路の位置と、トンネルの入口位置とを渋滞要因情報30bとして記録している。なお、上述の勾配変化やトンネル等の構造物は、当該構造物によって運転者が無意識に減速し、この減速が渋滞を引き起こす場合があり得ることが統計上明らかになっている構造物であり、勾配値の差分が1.5%以上である道路における渋滞の発生比率は他の道路上の位置における渋滞の発生率(例えば、平均的な道路上の渋滞発生率)より高い。
また、勾配値の差分が−3%以下である道路における渋滞の発生比率は他の道路上の位置における渋滞の発生率より高い。ここで、勾配値は、道路において水平方向へ単位距離進む間の鉛直上方への高度変化を%で表した値であり、上り勾配で正の値、下り勾配で負の値となる。従って、勾配値の差分が正の値であるときには、道路上の勾配が下りから上りに変化したり、上りからより勾配の急な上りに変化したり、急な下りから緩やかな下りに変化する状態である。また、勾配値の差分が負の値であるときには、道路上の勾配が上りから下りに変化したり、下りからより勾配の急な下りに変化したり、急な上りから緩やかな上りに変化する状態である。本実施形態においては、上述のように勾配値の差分に関して正負2個の閾値を利用しているが、これは、上述の統計において有意な渋滞発生率となる勾配変化を与える閾値を作用したものである。なお、勾配値の差分としては正負の値を採用しているが、勾配変化(勾配値の差分の絶対値)としては所定値(1.5%、3%)以上であるといえる。
渋滞要因取得部21aは、GPS受信部40が出力する信号に基づいて自車両の位置を特定し、地図情報30aおよび渋滞要因情報30bを取得して、自車両が走行する道路において自車両の前方に上述の渋滞要因が存在することを検出する。なお、本実施形態においては、渋滞要因が存在することを検出したときに、後述する渋滞誘発動作(減速動作)がなされることを防止するため、運転支援部21dは渋滞要因に達する以前において速度低下に対する注意喚起を行う。すなわち、運転支援部21dは、渋滞要因が存在することが検出されたときに当該注意喚起を行うための情報をスピーカー45と表示部46とのいずれかまたは双方に対して出力する。この結果、スピーカー45と表示部46とのいずれかまたは双方から自車両における速度低下を防止するための注意喚起が出力される。
自車両動作情報取得部21bは、車速センサ41,ミリ波レーダ42,ブレーキセンサ43a,アクセル開度センサ44aが出力する信号に基づいて自車両の動作を示す自車両動作情報を取得し、渋滞誘発動作判定部21cは、当該自車両の動作が各渋滞要因に対応した渋滞誘発動作であるか否かを判定する。すなわち、渋滞要因に対応した渋滞誘発動作は予め特定されており、本実施形態においては、上述のすべての渋滞要因において渋滞要因に達した後の車速が渋滞要因に達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より遅い場合(すなわち、減速時)に前記自車両の動作が渋滞誘発動作であると判定する。
なお、上述の平坦面を走行していたときの車速は、平坦面走行中に自車両動作情報習得部21bが取得した情報に基づいて算出される平均車速を図示しないRAMに記録しておくことによって実施される。また、本実施形態において、渋滞要因に達した後の車速の実測値と予測値とに基づいて減速が生じたか否かを判定しており、当該実測値は上述の車速センサ41の出力値に基づいて取得され、前記予測値は上述のアクセル開度センサ44aの出力値に基づいて取得される。
運転支援部21dは、渋滞誘発動作判定部21cによって自車両の渋滞誘発動作がなされたと判別された場合に、渋滞の発生を抑えるための運転支援を行う。すなわち、運転支援部21dは、渋滞誘発動作がなされたと判別された場合に、自車両の動作を取得し、自車両の前方を走行する他車両との車間を一定以上に保ち、かつ、自車両の速度が過度に低下しないように制御するための信号をブレーキ43とエンジン44とに出力し、渋滞の発生を防止するためのオートクルーズコントロールを行う。なお、渋滞要因を通過したことが後述する条件によって判別されたときには当該オートクルーズコントロールが停止される。
また、本実施形態においては、自車両において他車両との関係を安全に保つための動作を行っている場合および渋滞を誘発し得ない場合に当該オートクルーズコントロールを実施しないようにするため、渋滞誘発動作がなされたか否かの判定を行わないようにする例外状態を設定している。すなわち、自車両においてブレーキ操作が行われている場合,アクセル操作が行われていない場合、自車両の前方を走行する他車両との距離が一定値以下である場合、自車両の後方を走行する他車両との距離が一定値以上である場合は例外状態としている。
このため、渋滞誘発動作判定部21cは、自車両動作情報取得部21bが取得した自車両動作情報に基づいて、自車両においてブレーキ操作が行われていると判別される場合,アクセル操作が行われていないと判別される場合、自車両の前方を走行する他車両との距離が一定値以下であると判別される場合には渋滞誘発動作がなされたか否かを判別しない。また、自車両動作情報取得部21bが取得した自車両動作情報に基づいて、自車両の後方を走行する他車両との距離が一定値以上であると判別される場合には渋滞誘発動作がなされたか否かを判別しない。
(2)渋滞防止処理:
(2−1)渋滞要因情報取得処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する案内処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行されているとき、渋滞要因取得部21aと自車両動作情報取得部21bと渋滞誘発動作判定部21cと運転支援部21dとは一定期間毎に図2〜図8に示す処理を実施する。
図2,図3は、渋滞要因取得部21aによる渋滞要因情報取得処理を示すフローチャートであり、この処理においては渋滞要因となる構造物が検出されたときに所定のフラグを設定する。なお、本実施形態においては、勾配値の差分が1.5%以上である道路の存在を示す「サグ検知フラグ」と、勾配値の差分が−3%以下である道路の存在を示す「上り→下り変化点検知フラグ」と、トンネルの入口位置の存在を示す「トンネル検知フラグ」とがフラグとして予め設定されている。
以上のフラグによって渋滞要因が存在することを示す情報を設定するため、渋滞要因情報取得処理においては、まず、自車両が走行する道路の前方の所定距離(例えば、1000m)以内に存在する構造物(勾配変化およびトンネルを示す情報)を取得する(ステップS100)。すなわち、渋滞要因取得部21aは、GPS受信部40の出力信号に基づいて自車両の現在位置を特定し、地図情報30aおよび渋滞要因情報30bを参照して自車両が走行する道路の前方の所定距離に存在する構造物を示す情報を取得する。
次に、渋滞要因取得部21aは、上述の「サグ検知フラグ」がOFFであるか否かを判別する(ステップS105)。すなわち、図2,図3に示す渋滞要因情報取得処理は一定時間毎に実施され、処理の繰り返しによって「サグ検知フラグ」が既にONに設定されていることもあり得るので、「サグ検知フラグ」をONに設定する前にその状態を確認する。
ステップS105にて「サグ検知フラグ」がOFFであると判別されたときには、自車両の前方の所定距離L0(例えば、500m)以内に勾配変化点が存在するか否かを判定し(ステップS110)、当該所定距離L0以内に勾配変化点が存在すると判別されないときには、ステップS115〜S120をスキップする。ステップS110にて自車両の前方の所定距離L0以内に勾配変化点が存在すると判別されたときには、前記ステップS110にて検出された勾配変化点が運転者による無意識的な減速を引き起こす勾配変化であるか否かを判別するため、当該勾配変化点における勾配値の差分が1.5%以上であるか否かを判別する(ステップS115)。
そして、ステップS115にて勾配変化点における勾配値の差分が1.5%以上であると判別されたときには「サグ検知フラグ」をONに設定し(ステップS120)、ステップS115にて勾配変化点における勾配値の差分が1.5%以上であると判別されないときにはステップS120をスキップする。図9は勾配変化点の付近を模式的に示す図であり、図9においては、紙面の右側から左側に車両が進行する道路において勾配変化点P以前が下り勾配、勾配変化点P以後が上り勾配となっている道路を示している。この例において、勾配変化点P以前の道路の勾配値がX(%)、勾配変化点P以後の道路の勾配値がY(%)である。従って、勾配値の差分はY−X(%)であり、Y−X≧1.5であるときに「サグ検知フラグ」がONに設定される。
一方、ステップS105にて「サグ検知フラグ」がOFFであると判別されないときには、当該「サグ検知フラグ」をOFFに設定するか否かを判別するため、自車両動作情報を取得し、当該自車両が平坦な領域(例えば、−1%≦勾配値≦1%の領域)を所定距離L1以上走行したか否かを判別する(ステップS125)。そして、当該ステップS125にて自車両が平坦な領域を所定距離L1以上走行したと判別されたときには「サグ検知フラグ」をOFFに設定し(ステップS130)、自車両が平坦な領域を所定距離L1以上走行したと判別されないときには、ステップS130をスキップする。
なお、「サグ検知フラグ」がONであることは、オートクルーズコントロールを実施するか否かを指示するフラグ(後述する「サグ制御フラグ」)をONに設定するための前提条件となる。従って、ステップS130において「サグ検知フラグ」をOFFにする処理は、基準位置(この場合は平坦な領域と勾配との境界位置)を通過した後、所定距離L1以上走行したときにオートクルーズコントロールの実施を停止する設定を行っていることと等価である。このため、上述の所定距離L1は自車両がサグにおける渋滞を誘発し得る状態を抜けるための距離を設定すればよく、例えば、1000mなど、適宜設定可能である。
次に、渋滞要因取得部21aは、上述の「上り→下り変化点検知フラグ」がOFFであるか否かを判別する(ステップS135)。すなわち、図2,図3に示す渋滞要因情報取得処理は一定時間毎に実施され、処理の繰り返しによって「上り→下り変化点検知フラグ」が既にONに設定されていることもあり得るので、「上り→下り変化点検知フラグ」をONに設定する前にその状態を確認する。
ステップS135にて「上り→下り変化点検知フラグ」がOFFであると判別されたときには、自車両の前方の所定距離L2(例えば、1000m)以内に勾配変化点が存在するか否かを判定し(ステップS140)、当該所定距離L2以内に勾配変化点が存在すると判別されないときには、ステップS145〜S150をスキップする。ステップS140にて自車両の前方の所定距離L0以内に勾配変化点が存在すると判別されたときには、前記ステップS140にて検出された勾配変化点が運転者による無意識的な減速を引き起こす勾配変化であるか否かを判別するため、当該勾配変化点における勾配値の差分が−3%以下であるか否かを判別する(ステップS145)。
そして、ステップS145にて勾配変化点における勾配値の差分が−3%以下であると判別されたときには「上り→下り変化点検知フラグ」をONに設定し(ステップS150)、ステップS145にて勾配変化点における勾配値の差分が−3%以下であると判別されないときにはステップS150をスキップする。図10は勾配変化点の付近を模式的に示す図であり、図10においては、紙面の右側から左側に車両が進行する道路において勾配変化点P以前が上り勾配、勾配変化点P以後が下り勾配となっている道路を示している。この例において、勾配変化点P以前の道路の勾配値がX(%)、勾配変化点P以後の道路の勾配値がY(%)である。従って、勾配値の差分はY−X(%)であり、Y−X≦−3%であるときに「上り→下り変化点検知フラグ」がONに設定される。
一方、ステップS135にて「上り→下り変化点検知フラグ」がOFFであると判別されないときには、当該「上り→下り変化点検知フラグ」をOFFに設定するか否かを判別するため、自車両動作情報を取得し、当該自車両が勾配変化点Pを通過してから所定距離L3以上(例えば、500m)走行したか否かを判別する(ステップS155)。そして、当該ステップS155にて自車両が勾配変化点Pを通過してから所定距離L3以上走行したと判別されたときには「上り→下り変化点検知フラグ」をOFFに設定し(ステップS160)、自車両が勾配変化点Pを通過してから所定距離L3以上走行したと判別されないときには、ステップS160をスキップする。
なお、「上り→下り変化点検知フラグ」がONであることも、オートクルーズコントロールを実施するか否かを指示するフラグ(後述する「上り→下り変化点制御フラグ」)をONに設定するための前提条件となる。従って、ステップS160において「上り→下り変化点検知フラグ」をOFFにする処理は、基準位置(この場合は勾配変化点)を通過した後、所定距離L3以上走行したときにオートクルーズコントロールの実施を停止する設定を行っていることと等価である。このため、上述の所定距離L3は自車両が上り勾配から下り勾配に至る道路における渋滞を誘発し得る状態を抜けるための距離を設定すればよく、例えば、500mなど、適宜設定可能である。
次に、渋滞要因取得部21aは、上述の「トンネル検知フラグ」がOFFであるか否かを判別する(ステップS165)。すなわち、図2,図3に示す渋滞要因情報取得処理は一定時間毎に実施され、処理の繰り返しによって「トンネル検知フラグ」が既にONに設定されていることもあり得るので、「トンネル検知フラグ」をONに設定する前にその状態を確認する。
ステップS165にて「トンネル検知フラグ」がOFFであると判別されたときには、自車両の前方の所定距離L4(例えば、500m)以内にトンネルの入口が存在するか否かを判定し(ステップS170)、当該所定距離L4以内にトンネルの入口が存在すると判別されたときには、当該トンネルの入口が運転者による無意識的な減速を引き起こす構造物であるとして「トンネル検知フラグ」をONに設定する(ステップS175)。ステップS170にて所定距離L4以内にトンネルの入口が存在すると判別されないときにはステップS175をスキップする。
図11はトンネル付近を模式的に示す図であり、図11においては、紙面の右側から左側に車両が進行する道路において自車両の前方にトンネルが存在する状況を示している。この例において、トンネルの入口Tiが自車両の前方の所定距離L4以内に存在するときに「トンネル検知フラグ」がONに設定される。
一方、ステップS165にて「トンネル検知フラグ」がOFFであると判別されないときには、「トンネル検知フラグ」をOFFに設定するか否かを判別するため、自車両動作情報を取得し、自車両がトンネルの出口Toを通過して所定距離L5以上走行したか否かを判別する(ステップS180)。そして、当該ステップS180にて自車両がトンネルの出口Toを通過して所定距離L5以上走行したと判別されたときには「トンネル検知フラグ」をOFFに設定し(ステップS185)、自車両がトンネルの出口Toを通過して所定距離L5以上走行したと判別されないときには、ステップS185をスキップする。
なお、「トンネル検知フラグ」がONであることは、オートクルーズコントロールを実施するか否かを指示するフラグ(後述する「トンネル制御フラグ」)をONに設定するための前提条件となる。従って、ステップS185において「トンネル検知フラグ」をOFFにする処理は、基準位置(この場合はトンネルの出口)を通過した後、所定距離L5以上走行したときにオートクルーズコントロールの実施を停止する設定を行っていることと等価である。このため、上述の所定距離L5はトンネルにおける渋滞を誘発し得る状態を抜けるための距離を設定すればよく、例えば、500mなど、適宜設定可能である。
本実施形態においては、上述のように、渋滞要因として3つの要因(サグ、上り→下りの勾配変化、トンネル)を想定しており、渋滞要因が検出されたときにその旨を示すフラグをONに設定し、渋滞の発生を抑えるためのオートクルーズコントロールを停止するために各フラグをOFFに設定する。このとき、上述のように、各渋滞要因において設定された基準位置から所定距離以上走行したときにフラグをOFFにするが、本実施形態においては、各渋滞要因において適切なタイミングでオートクルーズコントロールを停止されるため、基準位置および所定距離を渋滞要因毎に決定している。
例えば、「サグ検知フラグ」の基準位置は上述のように平坦な領域と勾配との境界位置であるが、「上り→下り変化点検知フラグ」の基準位置は上述のように勾配変化点であり、互いに異なっている。また、基準位置通過後の所定距離もそれぞれ1000mと500mとで互いに異なっている。これらの差異は渋滞要因の特性に依存しており、例えば、下りから上りに勾配が変化するサグにおいては上りが続く間は減速が発生し得るので、路面が平坦な状況になってからの走行距離によってオートクルーズコントロールの停止タイミングを決定する。
また、上りから下りへの勾配変化においては勾配変化点を通過する以前の上り勾配では減速が発生しやすいが、勾配変化点を通過した後の下り勾配では自車両の自重による加速度が加わることから勾配変化点を通過した後の長距離に渡って減速が発生することは少ない。そこで、本実施形態においては、「サグ検知フラグ」の基準位置を平坦な領域と勾配との境界位置とし、「上り→下り変化点検知フラグ」の基準位置を勾配変化点とし、さらに、基準位値通過後の所定距離は、「サグ検知フラグ」についての距離の方が「上り→下り変化点検知フラグ」についての距離よりも長くなるように設定している。
むろん、「トンネル検知フラグ」についても同様であり、トンネルにおいて誘発される渋滞に合わせて基準位置と所定距離とを設定すればよく、本実施形態においては、トンネルの出口を通過した後も、トンネルの内外における明暗差によって減速を誘発し得るとして、基準位置をトンネルの出口としている。
(2−2)自車両動作情報取得処理:
次に、図4に示すフローチャートに基づいて自車両動作情報取得部21bにおける処理を説明する。この処理においては、自車両動作情報取得部21bが、ミリ波レーダ42の出力信号に基づいて自車両の前方を走行する他車両の有無を取得し、他車両が存在する場合には当該他車両と自車両との距離を取得する(ステップS200)。
また、ミリ波レーダ42の出力信号に基づいて自車両の後方を走行する他車両の有無を取得し、他車両が存在する場合には当該他車両と自車両との距離を取得する(ステップS210)。さらに、車速センサ41の出力信号に基づいて自車両の車速を取得する(ステップS220)。また、アクセル開度センサ44aの出力信号に基づいてアクセル開度を取得し(ステップS230)、ブレーキセンサ43aの出力信号に基づいてブレーキペダルの操作状態を取得する(ステップS240)。
(2−3)渋滞誘発動作判定処理:
次に、図5〜図7に示すフローチャートに基づいて渋滞誘発動作判定部21cにおける処理を説明する。この処理において、渋滞誘発動作判定部21cは、上述の各フラグの設定値や自車両動作情報取得部21bにて取得した自車両動作情報に基づいて運転支援を行うための各種フラグを設定する。なお、本実施形態においては、勾配値の差分が1.5%以上である道路において運転支援を行うか否かを設定するための「サグ制御フラグ」およびこの道路にて速度の注意喚起を行うか否かを設定するための「サグ案内フラグ」がフラグとして予め設定されている。
また、勾配値の差分が−3%以下である道路において運転支援を行うか否かを設定するための「上り→下り変化点制御フラグ」およびこの道路にて速度の注意喚起を行うか否かを設定するための「上り→下り変化点案内フラグ」がフラグとして設定されている。さらに、トンネルにおいて運転支援を行うか否かを設定するための「トンネル制御フラグ」およびトンネルが存在する道路にて速度の注意喚起を行うか否かを設定するための「トンネル案内フラグ」がフラグとして設定されている。
以上のフラグにおいて、運転支援を行うか否かを示す情報を設定するため、渋滞誘発動作判定処理においては、まず、「サグ案内フラグ」と「サグ制御フラグ」とをOFFに設定し、両フラグを初期化する(ステップS300)。次に、渋滞誘発動作判定部21cは、「サグ検知フラグ」がONになっているか否かを判別し(ステップS303)、「サグ検知フラグ」がONになっていると判別されない場合にはサグにおける渋滞の発生を防止する必要がないため、「サグ案内フラグ」と「サグ制御フラグ」とを設定するための処理(ステップS305〜S327)をスキップする。
ステップS303にて、「サグ検知フラグ」がONになっていると判別されたときには、検出済のサグに関して上述の注意喚起が未実施であるか否かを判別し(ステップS305)、注意喚起が未実施であると判別されたときには「サグ案内フラグ」をONに設定する(ステップS307)。ステップS305にて、注意喚起が未実施であると判別されないときにはステップS307をスキップする。当該「サグ案内フラグ」がONに設定されているときには、運転支援部21dによって後述するように速度に対する注意喚起がなされる。従って、以上のステップS305,S307は、同一のサグにおいて複数回の注意喚起を実施しないように設定する処理である。
次に、渋滞誘発動作判定部21cは、自車両動作情報に基づいて自車両が勾配変化点に到達したか否かを判別し(ステップS310)、勾配変化点に到達したと判別されない場合にはステップS313〜ステップS327をスキップする。ステップS310にて、勾配変化点に到達したと判別された場合には、自車両動作情報に基づいて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であるか否かを判別する(ステップS313)。そして、当該ステップS310にて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であると判別されないときにはステップS315〜S327をスキップする。
すなわち、ここでは、安全を確保するために自車両の前方を走行する他車両との車間が所定以上の距離であることが好ましいとし、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以下(自車両の速度を維持した場合に他車両が走行していた位置に到達するまでの時間が3秒以下)である場合には、「サグ制御フラグ」をONに設定するための処理をスキップする。また、自車両の後方を走行する他車両との車間が所定以下の距離である場合には渋滞を誘発し得ないので、自車両の後方を走行する他車両と野距離が10秒以上(他車両が速度を維持ししたときに自車両が走行していた位置に達するまでの時間が10秒以上)である場合には、「サグ制御フラグ」をONに設定するための処理をスキップする。
ステップS313にて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であると判別されたときには、さらに、自車両動作情報に基づいてブレーキがOFFであるか否かを判別し(ステップS315)、ブレーキがOFFであると判別されたときには、現在の車速がサグに達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下したか否かを判別する(ステップS317)。すなわち、ブレーキがONである場合には、自車両の運転者が意図的にブレーキ操作を行っている場合もあり得るので、その意図に反した自車両の制御を行わないようにするため、ブレーキがOFFになっている場合に自車両の動作が渋滞誘発動作であるか否かを判別する。
そして、ステップS317において、現在の車速がサグに達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下したと判別されたときには「サグ制御フラグ」をONに設定し(ステップS320)、現在の車速がサグに達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下したと判別されないときにはステップS320をスキップする。また、上述のステップS315にて、ブレーキがOFFであると判別されないときにはステップS317,S320をスキップする。
以上の処理は、自車両が実際に渋滞誘発動作を行った場合に「サグ制御フラグ」をONに設定する処理であるが、本実施形態においては自車両が渋滞誘発動作を行うことが予測される場合にも「サグ制御フラグ」をONに設定することにしている。このため、渋滞誘発動作判定部21cは、自車両動作情報に基づいてアクセル開度を示す情報を取得し、まず、当該アクセル開度が0より大きいか否かを判別する(ステップS323)。
ステップS323にてアクセル開度が0より大きい(すなわち、アクセルが操作されている)と判別されたときには、自車両動作情報に基づいて平坦面を走行していたときの平均車速および前記アクセル開度における自車両の減速度(負の加速度)を取得して、所定時間(例えば、3秒)走行したときに自車両の速度が平坦面を走行していたときの平均車速より低くなるか否かを判別する(ステップS325)。すなわち、減速度に基づいて、自車両の速度が平坦面を走行していたときの平均車速より低くなるという渋滞誘発動作を行うか否かを予測する。
そして、ステップS325にて、所定時間走行したときに自車両の速度が平坦面を走行していたときの平均車速より低くなると判別されたときには、「サグ制御フラグ」をONに設定し、所定時間走行したときに自車両の速度が平坦面を走行していたときの平均車速より低くなると判別されないときには、ステップS327をスキップする。なお、上述のステップS323にてアクセル開度が0より大きいと判別されないときには、ステップS325,S327をスキップする。
以上のようにして、「サグ案内フラグ」と「サグ制御フラグ」の設定処理を終えると、次に「上り→下り変化点案内フラグ」と「上り→下り変化点制御フラグ」の設定処理を行う。このための処理は、上述の「サグ案内フラグ」および「サグ制御フラグ」の設定処理とほぼ同様である。すなわち、ステップS330にて「上り→下り変化点案内フラグ」と「上り→下り変化点制御フラグ」とを初期化し、ステップS333にて「上り→下り変化点検知フラグ」がONになっていると判別されなければ、ステップS335〜S357をスキップする。
ステップS333にて「上り→下り変化点検知フラグ」がONになっていると判別された場合には、ステップS335,S337において、検出済の上り→下り変化点に関して注意喚起が未実施である場合に「上り→下り変化点案内フラグ」をONに設定する処理を行う。さらに、ステップS340〜S357の処理により、「上り→下り変化点制御フラグ」をONに設定するための処理を行う。すなわち、ステップS340においては、自車両が勾配変化点から手前に所定距離L6(例えば、500m)の位置へ到達したか否かを判別し、自車両が勾配変化点から手前に所定距離L6の位置へ到達したと判別されたときに「上り→下り変化点制御フラグ」をONに設定するか否かの判定を行う。
この判定のため、ステップS343にて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であるか否かを判別し、当該ステップS343にて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であると判別されないときにはステップS345〜S357をスキップする。すなわち、ここでも、自車両の前方を走行する他車両との車間を参照して安全走行を優先し、自車両の後方を走行する他車両との車間を参照して渋滞を誘発し得ない状況での処理を排除している。
さらに、ステップS345〜S350において、自車両のブレーキがOFFである場合に自車両で渋滞誘発動作が実施されたか否か、すなわち、現在の車速が勾配変化点に達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下したか否かを判別し、渋滞誘発動作がなされた場合には「上り→下り変化点制御フラグ」をONに設定する(ステップS350)。さらに、ステップS353〜S357において、アクセル開度に基づいて自車両が渋滞誘発動作を行うことが予測されるか否か、すなわち、予測される車速が勾配変化点に達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下するか否かを判別し、渋滞誘発動作を行うことが予測される場合には、「上り→下り変化点制御フラグ」をONに設定する。
以上のようにして、「上り→下り変化点案内フラグ」と「上り→下り変化点制御フラグ」の設定処理を終えると、次に「トンネル案内フラグ」と「トンネル制御フラグ」の設定処理を行う。このための処理も、上述の「サグ案内フラグ」および「サグ制御フラグ」の設定処理とほぼ同様である。すなわち、ステップS360にて「トンネル案内フラグ」と「トンネル制御フラグ」とを初期化し、ステップS363にて「トンネル検知フラグ」がONになっていると判別されなければ、ステップS365〜S387をスキップする。
ステップS363にて「トンネル検知フラグ」がONになっていると判別された場合には、ステップS365,S367において、検出済のトンネルに関して注意喚起が未実施である場合に「トンネル案内フラグ」をONに設定する処理を行う。さらに、ステップS370〜S387の処理により、「トンネル制御フラグ」をONに設定するための処理を行う。すなわち、ステップS370においては、自車両がトンネルから手前に所定距離L7(例えば、500m)の位置へ到達したか否かを判別し、自車両がトンネルから手前に所定距離L7の位置へ到達したと判別されたときに「トンネル制御フラグ」をONに設定するか否かの判定を行う。
この判定のため、ステップS373にて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であるか否かを判別し、当該ステップS373にて、自車両の前方を走行する他車両との車間が3秒以上、または、自車両の後方を走行する他車両との車間が10秒以下であると判別されないときにはステップS375〜S387をスキップする。すなわち、ここでも、自車両の前方を走行する他車両との車間を参照して安全走行を優先し、自車両の後方を走行する他車両との車間を参照して渋滞を誘発し得ない状況での処理を排除している。
さらに、ステップS375〜S380において、自車両のブレーキがOFFである場合に自車両で渋滞誘発動作が実施されたか否か、すなわち、現在の車速がトンネルに達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下したか否かを判別し、渋滞誘発動作がなされた場合には「トンネル制御フラグ」をONに設定する(ステップS380)。さらに、ステップS383〜S387において、アクセル開度に基づいて自車両が渋滞誘発動作を行うことが予測されるか否か、すなわち、予測される車速がトンネルに達する以前の平坦面を走行していたときの平均車速より低下するか否かを判別し、渋滞誘発動作を行うことが予測される場合には、「トンネル制御フラグ」をONに設定する。
以上のように、「サグ制御フラグ」,「上り→下り変化点制御フラグ」,「トンネル制御フラグ」を設定するための処理はほぼ同様である。ただし、各フラグを設定するための判別をスキップするか否かの判別条件が異なっている。すなわち、ステップS310,S340,S370の条件は互いに異なっている。これは、上述のように、渋滞の発生を抑えるための動作を開始する地点がそれぞれの渋滞要因によって異なるからである。
(2−4)運転支援処理:
次に、図8に示すフローチャートに基づいて運転支援部21dにおける処理を説明する。この処理においては、上述のようにして設定したフラグに基づいて制御を実施するか否かを決定しており、このために、まず「サグ案内フラグ」,「上り→下り変化点案内フラグ」,「トンネル案内フラグ」のいずれか1つでもONに設定されているか否かを判別する(ステップS400)。
当該ステップS400にて、「サグ案内フラグ」,「上り→下り変化点案内フラグ」,「トンネル案内フラグ」のいずれか1つでもONに設定されていると判別されると、そのフラグに対応した案内パターンを選択し(ステップS410)、当該案内パターンにて案内を行うように出力装置に対して制御指示を行う(ステップS420)。例えば、「前方にサグ(あるいは勾配変化,トンネル)を検知しました、速度低下にご注意ください」という音声など、各渋滞要因(各フラグ)に対応した注意喚起を行う音声パターンを示す情報を記憶媒体30に書き込んでおき、各フラグの設定内容に応じて当該情報を取得し、スピーカー45に対して出力して音声案内を出力させる。むろん、出力装置が表示部46であっても良いし、両者を併用しても良い。
次に、「サグ制御フラグ」,「上り→下り変化点制御フラグ」,「トンネル制御フラグ」のいずれか1つでもONに設定されているか否かを判別する(ステップS430)。当該ステップS430にて、「サグ制御フラグ」,「上り→下り変化点制御フラグ」,「トンネル制御フラグ」のいずれか1つでもONに設定されていると判別されると、そのフラグに対応した制御パターンを選択し(ステップS440)、当該制御パターンにてオートクルーズコントロールを実施する(ステップS450)。
すなわち、本実施形態のオートクルーズコントロールにおいては、自車両と当該自車両の前方を走行する他車両との車間を一定以上に保ち、かつ、自車両の速度が過度に低下しないように制御するが、この制御の際のパラメータを予め各渋滞要因(各フラグ)に対応づけて設定しておく。そして、各フラグの設定内容に応じて当該パラメータを取得し、各パラメータをブレーキ43とエンジン44とに出力し、渋滞の発生を防止するためのオートクルーズコントロールを行う。
(3)渋滞防止動作:
次に、以上の処理による動作を実際の例に則して説明する。自車両が図9に示すサグの手前からサグに向かって走行する際には、自車両が勾配変化点Pまで所定距離L0の位置に到達したときに、上述のステップS110において自車両の前方の所定距離L0以内に勾配変化点Pが存在すると判別される。このとき、ステップS115において勾配値の差分が1.5%以上であると判別されることによって「サグ検知フラグ」がONに設定される。
このように「サグ検知フラグ」がONに設定されるとステップS307において「サグ案内フラグ」がONに設定されるので、ステップS400の判別を経てステップS410,S420が実施され、速度低下に対する注意喚起が行われる。すなわち、自車両がサグの手前の所定距離L0に達したときに速度低下に対する注意喚起が行われる。
さらに、「サグ検知フラグ」がONに設定されているときには、図5に示す処理においてステップS310以降の処理が行われる。従って、自車両が勾配変化点Pに到達した後においては、自車両の前方の他車両との車間が3秒以下,自車両の後方の他車両との車間が10秒以上,ブレーキ操作中などといった例外的な条件になっていない限り、「サグ制御フラグ」がONに設定される。このため、ステップS430の判別を経てステップS440,S450が実施され、渋滞の発生を防止するための制御が行われる。
さらに、自車両が走行を続け、上り勾配を通過した後に平坦面を所定距離L1以上走行すると、ステップS125の判別によって「サグ検知フラグ」がOFFに設定される。当該「サグ検知フラグ」がOFFに設定されると、「サグ案内フラグ」および「サグ制御フラグ」がステップS300にてOFFに設定された後、ステップS303の判別によってステップS305〜S327がスキップされる。従って、「サグ案内フラグ」および「サグ制御フラグ」はOFFに設定されたままになり、図8に示す運転支援処理においてステップS450におけるオートクルーズコントロールは停止する。
以上のように、サグにおいては、勾配変化点Pから手前に所定距離L0の位置において注意喚起が行われ、勾配変化点Pを通過した後に上り勾配を通過して所定距離L1(勾配変化点Pから距離L8)以上走行したときにオートクルーズコントロールを停止していることになる。このような処理のタイミングは、勾配変化点Pを通過した後、道路が上り勾配である間はサグにおける渋滞誘発動作が行われ易いという思想の元に設定されている。
一方、自車両が図10に示す上りから下りに変化する道路において勾配変化点Pに向かって走行する際には、自車両が勾配変化点Pまで所定距離L2の位置に到達したときに、上述のステップS140において自車両の前方の所定距離L2以内に勾配変化点Pが存在すると判別される。このとき、ステップS145において勾配値の差分が3%以下であると判別されることによって「上り→下り変化点検知フラグ」がONに設定される。
このように「上り→下り変化点検知フラグ」がONに設定されるとステップS337において「上り→下り変化点案内フラグ」がONに設定されるので、ステップS400の判別を経てステップS410,S420が実施され、速度低下に対する注意喚起が行われる。すなわち、自車両が勾配変化点Pの手前の所定距離L2に達したときに速度低下に対する注意喚起が行われる。
さらに、「上り→下り変化点検知フラグ」がONに設定されているときには、図6に示す処理においてステップS340以降の処理が行われる。従って、自車両が勾配変化点Pから手前に所定距離L6の位置に到達した後においては、自車両の前方の他車両との車間が3秒以下,自車両の後方の他車両との車間が10秒以上,ブレーキ操作中などといった例外的な条件になっていない限り、「上り→下り変化点制御フラグ」がONに設定される。このため、ステップS430の判別を経てステップS440,S450が実施され、渋滞の発生を防止するための制御が行われる。
さらに、自車両が走行を続け、勾配変化点Pを通過した後に所定距離L3以上走行すると、ステップS155の判別によって「上り→下り変化点検知フラグ」がOFFに設定される。当該「上り→下り変化点検知フラグ」がOFFに設定されると、「上り→下り変化点案内フラグ」および「上り→下り変化点制御フラグ」がステップS330にてOFFに設定された後、ステップS333の判別によってステップS335〜S357がスキップされる。従って、「上り→下り変化点案内フラグ」および「上り→下り変化点制御フラグ」はOFFに設定されたままになり、図8に示す運転支援処理においてステップS450におけるオートクルーズコントロールは停止する。
以上のように、上りから下りに変化する勾配においては、勾配変化点Pから手前に所定距離L2の位置おいて注意喚起が行われ、勾配変化点Pから手前に所定距離L6の位置にてオートクルーズコントロールが開始され、勾配変化点Pを通過して所定距離L3以上走行したときにオートクルーズコントロールを停止していることになる。このような処理のタイミングは、上りから下りに変化する勾配においては、勾配変化点Pを通過する前の上り勾配において渋滞誘発動作が行われ易いという思想の元に設定されている。
さらに、自車両が図11に示すトンネルに向かって走行する際には、自車両がトンネルの入口まで所定距離L4の位置に到達したときに、上述のステップS170において自車両の前方の所定距離L4以内にトンネルの入口が存在すると判別される。このとき、ステップS175において「トンネル検知フラグ」がONに設定される。
このように「トンネル検知フラグ」がONに設定されるとステップS367において「トンネル案内フラグ」がONに設定されるので、ステップS400の判別を経てステップS410,S420が実施され、速度低下に対する注意喚起が行われる。すなわち、自車両がトンネル入口Tiの手前の所定距離L4に達したときに速度低下に対する注意喚起が行われる。
さらに、「トンネル検知フラグ」がONに設定されているときには、図7に示す処理においてステップS370以降の処理が行われる。従って、自車両がトンネルの入口から手前に所定距離L7の位置に到達した後においては、自車両の前方の他車両との車間が3秒以下,自車両の後方の他車両との車間が10秒以上,ブレーキ操作中などといった例外的な条件になっていない限り、「トンネル制御フラグ」がONに設定される。このため、ステップS430の判別を経てステップS440,S450が実施され、渋滞の発生を防止するための制御が行われる。
さらに、自車両が走行を続け、トンネルの出口を通過した後に所定距離L5以上走行すると、ステップS180の判別によって「トンネル検知フラグ」がOFFに設定される。当該「トンネル検知フラグ」がOFFに設定されると、「トンネル案内フラグ」および「トンネル制御フラグ」がステップS360にてOFFに設定された後、ステップS363の判別によってステップS365〜S387がスキップされる。従って、「トンネル案内フラグ」および「トンネル制御フラグ」はOFFに設定されたままになり、図8に示す運転支援処理においてステップS450におけるオートクルーズコントロールは停止する。
以上のように、トンネルにおいては、トンネル入口から手前に所定距離L4の位置おいて注意喚起が行われ、トンネル入口から手前に所定距離L7の位置からオートクルーズコントロールが開始され、トンネル出口を通過して所定距離L5以上走行したときにオートクルーズコントロールを停止していることになる。このような処理のタイミングは、トンネルにおいて入口の手前において心理的圧迫から渋滞誘発動作が行われ易く、トンネルの出口を通過した後においても明暗の変化に影響されて渋滞誘発動作が行われ易いという思想の元に設定されている。
以上説明したように、本実施形態においては、運転支援を行うべき区間を予め自車両の走行距離に基づいて規定しており、必要な区間にのみ運転支援を行う。このため、渋滞防止に寄与しない区間にて運転支援を実施することによって運転者を煩わせることがない。さらに、渋滞を誘発する渋滞要因には各種の要因があり得るが、渋滞要因毎に上述の所定距離として異なる値を設定すれば、渋滞要因毎に適切な区間において運転支援を実施し、不必要な区間においては運転支援を停止するように構成することができる。
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、運転支援を行うことによって渋滞の発生を防止することができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、渋滞要因は上述のように道路上の固定的な構造物に限定されず、他車両と自車両との状況によって渋滞要因を定義しても良い。すなわち、渋滞要因となり得る状況等を示す情報を記憶媒体に書き込んでおき、その情報を取得することで渋滞要因を取得する構成を採用可能である。例えば、自車両より速い他車両が自車両の走行車線に存在する場合や自車両より速い他車両が自車両の走行車線以外の車線に存在し、この車線に対して自車両が車線変更する場合には渋滞が発生し得る。この場合には、自車両の周囲に自車両より速い他車両が存在することをもって渋滞要因が存在することを定義してもよい。
なお、自車両において車速を維持することによって渋滞を誘発し得るような渋滞要因(例えば、自車両より速い他車両が自車両の走行車線に存在する状況)であれば自車両における低速走行動作が渋滞誘発動作となる。また、自車両において車線変更をすることによって渋滞を誘発し得るような渋滞要因(例えば、自車両より速い他車両が自車両の走行車線以外の車線に存在する状況)であれば自車両における車線変更が渋滞誘発動作となる。
また、上述の渋滞要因情報30bは、道路における固定的な構造物の位置を示す情報であり、渋滞要因が勾配変化である場合に勾配値の差分を判定する構成であったが、むろん、構造物の位置によって渋滞要因の位置を特定する構成のみならず、自車両が搭載する記憶媒体に自車両が走行する道路の形状や高度等を示す情報を書き込んでおき、当該道路があらかじめ決められた渋滞要因となる形状や高度変化となっているか否かを判定することによって渋滞要因の位置を特定してもよい。さらに、通信可能な機器を自車両に搭載しておき、通信を介して渋滞要因となり得る構造物が存在する位置や渋滞要因となり得る状況等を示す情報を取得する構成を採用してもよい。
さらに、自車両動作情報を取得する手段は図1に示す各手段に限定されず、車両の位置、速度、加速度等を他のセンサやカメラによって特定する構成や、自車両の軌跡を示す情報や車車間通信,路車間通信等によって車両の位置,速度,加速度等を取得する構成を採用可能である。
さらに、自車両の動作が渋滞を誘発する動作である場合に行う運転支援は、上述のオートクルーズコントロールに限られず、自車両に起因する渋滞が発生し得ることの通知であっても良い。すなわち、自車両に起因する渋滞が発生し得ることが通知して、当該自車両の運転者に渋滞の発生要因となり得ることを認識させることによって運転者が自発的に渋滞回避動作を行うように促しても良い。
また、上述の自車両に起因する渋滞が発生し得ることの通知においては、自車両の運転動作を改善し、渋滞の発生を防止することができればよい。従って、このための通知としては種々の通知を採用可能であり、渋滞誘発動作を行った時に運転者に対して通知してもよいし、渋滞誘発動作を行った後に運転者に対して通知してもよい。
すなわち、前者であれば、渋滞誘発動作を行った時点でその動作を改善することによって渋滞の発生を未然に防止することができる。また、後者であれば、渋滞誘発動作を行った後に、再度類似した渋滞要因が生じているときに渋滞誘発動作を行うことを防止し、渋滞の発生を未然に防止することができる。むろん、以上の通知は種々の態様を採用可能である。例えば、自車両に搭載されたスピーカーから出力する音声や警告音等によって通知してもよいし、自車両に搭載されたディスプレイ上への表示によって通知してもよい。
なお、上述の実施形態においては、道路における勾配変化を渋滞要因としているが、その勾配変化においては、勾配の変化が所定値以上であればよく、勾配が下りから上り、上りから下りに変化する場合のみならず、上りからさらに急な上りに勾配が変化したり、下りからさらに急な下りに勾配が変化したりする場合であっても良い。さらに、勾配変化が運転者に認識されない所定範囲(所定の下限値以上、所定の上限値以下)の変化となっている場合に、その変化が生じている位置を示す情報を渋滞要因としてもよい。
すなわち、勾配の変化が所定値以上である場合に渋滞誘発動作となる自車両の減速が生じやすく、勾配の変化が当該所定値以上であるが、勾配変化が比較的小さく、運転者に認識されにくいときには無意識に減速が生じ得る。そこで、勾配変化に対して下限値と上限値とを設定し、当該下限値から上限値までの所定範囲で勾配が変化しているときに上述の運転支援を行うことにより、渋滞の発生を効果的に防止することが可能になる。例えば、勾配値の差分が1.5%以上、10%以下のサグを渋滞要因とする構成等を採用可能である。むろん、上りから下りに変化する道路にて上限値−3%に加えて下限値を設定しても良い。
さらに、上述の実施形態においては、渋滞を誘発する減速を行ったか否かを判定するため、平坦面走行時の平均車速と自車両の実際の車速あるいは予測される車速を比較していたが、ここで、渋滞誘発動作は、渋滞の発生を抑えるための運転支援を行うか否かを判定するためのトリガとなり、このトリガによって渋滞の発生を未然に防止することができるように定義すればよい。従って、自車両が渋滞要因の前後で車両のスムーズな流れを抑える動作を行ったか否かを判定できるように渋滞誘発動作を定義すれば良く、上述の平均車速は平坦面走行時の平均車速に限定されない。例えば、渋滞要因の位置に到達する前の所定区間における自車両の平均車速を取得する構成等を採用可能である。
さらに、上述の実施形態においては、自車両の周囲を走行する他車両との車間を間接的に秒数によって定義していたが、むろん、直接的に距離によって定義しても良い。また、自車両の前後を走行する他車両との距離によって渋滞誘発動作であるか否かの判定を行い、または判定を行わないようにする処理は、自車両の前後いずれか一方の他車両について行っても良いし、自車両の前後双方の他車両について行っても良い。
さらに、上述のクルーズコントロールは一例であり、車速あるいは車間のみを制御対象としても良いし、自動制御対象として他の機器、例えば変速機等を追加してもよく、種々の構成を採用可能である。
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…渋滞要因取得部、21b…自車両動作情報取得部、21b…自車両動作情報習得部、21b…自車両動作情報取得部、21c…渋滞誘発動作判定部、21d…運転支援部、30…記憶媒体、30a…地図情報、30b…渋滞要因情報、40…受信部、41…車速センサ、41,…車速センサ、42…ミリ波レーダ、42,…ミリ波レーダ、43…ブレーキ、43a…ブレーキセンサ、43a,…ブレーキセンサ、44…エンジン、44a…アクセル開度センサ、45…スピーカー、46…表示部