JP4946326B2 - 積層板 - Google Patents
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Description
このような断面形状の繊維束を使用した繊維布では、たとえば横糸の長手方向に沿った断面において、隣接する縦糸の端部の距離が大きくなり、隣接する縦糸の端部間に大きなスペースが形成されることとなる。このような大きなスペースが形成されると、繊維布全体としてみた場合に、繊維密度が非常に小さい部分が存在することとなるため、この周辺をレーザやドリルを用いて孔を加工するとき、加工性に差が出て垂直な孔にならなかったり、細径のドリルであればドリル折れを発生したり、この部分からクラックが発生しやすくなったりしている。
本発明は、このような知見に基づいて発案されたものである。
これにより、ドリル折れや、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、他方の繊維束を挟んで隣接する一対の一方の繊維束の端部を重なりあうものとすることで、一方の繊維束の端部間に形成されていたスペースを埋めることができる。これにより、繊維密度が非常に小さい部分が生じてしまうことを防止でき、ドリル折れや、クラックの発生を確実に防止することができる。
1.0<D/C≦1.5
であることが好ましい。
このようにすることで、繊維束の断面をより幅広の扁平形状とすることができ、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、隣接する縦糸の端部同士をより接近させることができ、ドリル折れや、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
ここで、外郭線の長さとは、繊維束の長手方向と直交する断面において、その断面形状の外周部分の長さである。
繊維布を平織りされたものとすることで、繊維布全体として繊維の密度のばらつきを確実に抑えることができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量を樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上とすることで、無機充填材が繊維束を押さえつけることとなり、繊維束を扁平形状に維持することが容易となる。
図1〜図4を参照して本実施形態の積層板について説明する。
はじめに、本実施形態の積層板の概要について説明する。
図1〜図3に示すように、積層板1は、横糸となる複数本の繊維束11(11A)と、縦糸となる複数本の繊維束11(11B)とが織り込まれた繊維布12に樹脂組成物13を含浸させ硬化させたものである。
繊維布12の横糸となる繊維束11A、あるいは縦糸となる繊維束11Bのうち一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、前記一方の繊維束の前記断面は、略半月形状であり、半月の弦側が前記他方の繊維束と反対側に位置する。
また、図2〜図4に示すように、縦糸の断面形状は、略半月形状であり、横糸側の辺が略弓状、横糸と反対側の辺が略直線状となっている。換言すると半月の弦側が横糸と反対側に位置している。
図1は、積層板1を示す平面図であり、図2は、積層板1の断面図である。図2は、図1のII-II方向の断面を示す図となっている。
積層板1は、繊維布12に樹脂組成物13を含浸させたものであり、樹脂組成物13から構成される層中に、繊維布12が存在している。
繊維布12は、横糸となる複数本の繊維束11(11A)と、縦糸となる複数本の繊維束11(11B)とが織り込まれたものである。本実施形態では、繊維布12は、平織りされたものである。
繊維布12の厚みも特に限定されるものではないが、15〜300μmであることが好ましい。上記繊維布としてガラス織布を用いる場合、その厚みとしては、一例を挙げると、15〜180μmのものを用いることができる。
ここで、略半月状とは、従来の繊維束の断面形状に比べ、扁平形状になっているものである。こうすることにより、繊維束の中心部と端部の繊維本数の差を小さくすることができ、これによりクラックの発生やドリル折れを抑制することができる。また、弦の形状は、完全に平坦である場合に限らず、従来の繊維束の断面形状より扁平なものであって、クラックの発生やドリル折れを抑制する効果をもたらす形状であればよい。もっとも好ましい形状は、直線である。
この際、繊維布の縦糸の断面形状は、略半月形状であり、横糸側の辺が略弓状、横糸と反対側の辺が略直線状となっている。換言すると半月の弦側が横糸と反対側に位置している。こうすることにより、隣接する縦糸の端部間、隣接する横糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができるので、クラックの発生を抑えることができる。このような効果をもたらす範囲のものであれば、弦の形状は直線である場合に限られない。
このような作用効果をもたらす繊維の断面形状の具体例について、以下に説明する。
図2、図3に示すように、繊維布12の横糸となる繊維束11A、あるいは縦糸となる繊維束11Bのうち一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、前記一方の繊維束の前記断面は、略半月形状であり、半月の弦側が前記他方の繊維束と反対側に位置し、
繊維布12の縦糸となる繊維束11Bの長手方向と直交する断面において、この縦糸となる繊維束11Bの断面の幅方向の最も広い部分を通る直線Lを挟んで、他方の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記直線とAと反対側にある辺の最大距離をBとした場合、
0≦A/B≦0.5
であることが好ましい。
なかでも、A/Bは、0以上であることが好ましく、さらには、0.3以下であることが好ましい。
なお、図3は、1本の縦糸の断面図であり、図3の縦糸の下側が横糸側であり、図3の縦糸の上側が横糸と反対側である。
また、縦糸の断面の各最大距離の長さは画像処理等により計測することができる。
1.0<D/C≦1.5
であることが好ましい。
なかでも、D/Cは、1.3以下であることが好ましく、さらには、1.2以下であることがより好ましい。
また、横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士は重なりあっている。
換言すると、縦糸を構成する繊維束11Bの織り密度をE本/25mmとし、縦糸を構成する繊維束11Bの断面の最大幅をFmmとした場合、E×F≧25mmとなっている。好ましくは、E×Fは、25mm以上、35mm以下である。
ノボラック型シアネート樹脂としては、たとえば、下記一般式(1)で示されるものを使用することができる。
溶融シリカの形状としては例えば、破砕形状、球状等があるが、特に、球状の溶融シリカを用いると、樹脂組成物13の溶融粘度を低くすることができるので、繊維布12への含浸性を向上させることができる。
これにより、樹脂組成物13を調製する際の作業性を良好なものとすることができる。
上記平均粒子径が小さすぎると、樹脂組成物13を有機溶剤等により溶解及び/又は分散させた液状樹脂組成物を調製する際に、その粘度が高くなって作業性に影響を与えることがある。一方、上記平均粒子径が大きすぎると、樹脂組成物13中で無機充填材の沈降が起こることがある。
上記無機充填材としては、好ましくは平均粒子径が上記範囲内であるものを1種用いることもできるし、平均粒子径が異なる2種以上を併用することもできる。
この平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置(HORIBA社製・「LA−500」)により測定することができる。
これにより、樹脂組成物13中の無機充填材の高充填性を向上させることができる。
無機充填材を20重量部以上含有させることで、樹脂組成物13中の無機充填材が繊維束11A,11Bを押さえつけることとなり、繊維束11A,11Bを扁平形状に維持することが容易となる。
また、無機充填材の含有量を400重量部以下とすることで、樹脂の流動性を成形できる範囲とすることができる。
なかでも、樹脂成分100重量部に対して、無機充填材の含有量を40重量部以上とすることがより好ましく、さらには、樹脂成分100重量部に対して、無機充填材の含有量を250重量部以下とすることがより好ましい。
これにより、低熱膨張性を高めることができる。また、樹脂組成物13の吸水性を小さなものとすることができるので、吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
このカップリング剤は、シアネート樹脂などの樹脂成分と、無機充填材との界面の濡れ性を向上させることができるので、繊維布に対して樹脂成分及び無機充填材を均一に定着させ、硬化物の耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を高めることができる。
上記カップリング剤としては、通常用いられるものであれば何でも使用できるが、例えば、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤、及び、シリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、上記濡れ性を高くすることができ、硬化物の耐熱性をより向上させることできる。
これにより、無機充填材を被覆することによる作用効果を充分に発現できるとともに、硬化物特性を良好なものとすることができ、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
カップリング剤の含有量が少なすぎると、無機充填材を被覆する作用が充分でないことがある。一方、カップリング剤の含有量が大きすぎると、樹脂成分の反応に影響を与え、硬化物の機械的強度が低下することがある。
硬化促進剤としては公知のものを用いることができるが、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2'−メチルイミダゾリル−(1')〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2'−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2'−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1')〕−エチル−s−トリアジン、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。
これらの中でも、樹脂組成物13として、シアネート樹脂と、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂とを含有するものを用いた場合には、硬化促進剤として、イミダゾール化合物を好適に用いることができる。これにより、樹脂組成物の絶縁性を低下させることなく、シアネート樹脂やエポキシ樹脂の反応を促進することができる。
イミダゾール化合物としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、及び、シアノアルキル基の中から選ばれる官能基を2個以上有しているイミダゾール化合物が好ましく、特に2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。このようなイミダゾール化合物の使用により、樹脂組成物の耐熱性を向上させることができるとともに、多層プリント配線板に低熱膨張性、低吸水性を付与することができる。
これにより、樹脂組成物13の硬化を促進できるとともに、積層板1の保存性を良好なものとすることができ、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
硬化促進剤の含有量が少なすぎると、硬化促進する効果が充分に発現しないことがある。一方、硬化促進剤の含有量が多すぎると積層板1の保存性が低下する場合がある。
また、必要に応じて、顔料、酸化防止剤等の上記成分以外の添加物を添加することもできる。
まず、図5(A)、図5(B)に示すような、樹脂層付きキャリア16を用意する。この樹脂層付きキャリア16は、キャリア161上に積層板の樹脂組成物13を構成する樹脂層162が設けられたものである。キャリア161としては、長尺のシート状のものを使用することができる。
ここで、樹脂層付きキャリア16のキャリア161の幅寸法W1(長手方向と直交する方向の寸法)は、樹脂層162の幅寸法W2(長手方向と直交する方向の寸法)よりも大きく、キャリア161の短辺方向の端部は、樹脂層162に覆われていない。
なお、図5(A)は、樹脂層付きキャリア16の平面図であり、図5(B)は、樹脂層付きキャリア16の長手方向と直交する方向の断面図である。
このような樹脂層付きキャリア16を図6に示した製造装置2の真空ラミネート装置21の一対の樹脂層付きキャリア供給手段211(供給ローラ)にそれぞれセットする。
真空ラミネート装置21の内部は、図示されない真空ポンプなどの減圧手段により、所定の減圧条件に設定されている。
また、製造装置2の真空ラミネート装置21の内部には、繊維布12Aを供給する繊維布供給手段(供給ローラ)212がある。
ここで、繊維布12Aは、繊維布12となるものであるが、前述したA/Bの数値範囲、D/Cの数値範囲、E×Fを満たすものではなく、縦糸、横糸の断面形状が、両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状となっている。また、繊維布12Aの横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士、縦糸を挟んで隣接する一部の一対の横糸の端部同士は重なり合っていない。
なお、繊維布12Aの幅寸法は、樹脂層付きキャリア16の樹脂層の幅寸法よりも狭いものとなっている。
重ねあわされた一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12Aは、ラミネートロール213により接合される。
ラミネートロール213,213間のクリアランスは、樹脂層付きキャリア16と繊維布12との接合に際して、実質的に圧力が作用しない程度に設定することもできるし、任意の圧力が作用するように設定することもできる。
接合された一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12Aは、ラミネートロール214,215,216により、温度と圧力とを作用させて、接合程度及び上下方向から線圧が加えられ、繊維布12Aのつぶされる度合いが調整され縦糸、横糸が扁平形状となった繊維布12が得られる。
なお、ラミネートロール216は、真空ラミネート装置21の内部を所定の減圧条件に維持するため、真空ラミネート装置21の外部から内部への空気の侵入を抑制するシールロールとしての機能をも有している。
これに加え、ラミネートロール216を通った一対の樹脂層付きキャリア16は大気圧を面でうけることとなり、内部の繊維布12Aは面で加圧され、縦糸、横糸の扁平形状が維持されることとなる。
次に、積層板1は、ピンチロール23で挟みながら、これを連続的に巻き取ることにより、巻物形態の積層板1(キャリアが付いた状態の積層板)を得ることができる。
まず、図5(A)、図5(B)に示すような、樹脂層付きキャリア16を用意する。この樹脂層付きキャリア16は、キャリア161上に積層板の樹脂組成物13を構成する樹脂層162が設けられたものである。キャリア161としては、任意のサイズに切断したシート状のものを使用することができる。
ここで、樹脂層付きキャリア16のキャリア161の幅寸法W1(長手方向と直交する方向の寸法)は、樹脂層162の幅寸法W2(長手方向と直交する方向の寸法)と同じでもよい。
なお、図5(A)は、樹脂層付きキャリア16の平面図であり、図5(B)は、樹脂層付きキャリア16の長手方向と直交する方向の断面図である。枚葉での製造時には流れ方向を図8に示す鏡面板241のサイズに合わせカットし枚葉シートとする。
このような樹脂層付きキャリア16及び繊維布12Aを、図8に示す真空ボックス24内でクッション材242、鏡面板241に挟み込みそれぞれセットする。ここで、枚葉に裁断された繊維布12Aの幅及び裁断された長さは、枚葉に裁断された樹脂層付キャリア16の樹脂層の幅及び長さより小さいサイズでなければならない。又、鏡面板241の幅及び長さは、繊維布12Aの幅及び長さより大きいサイズでなければならない。
図8に示される真空プレス装置内部は、図示されない真空ポンプなどの減圧手段により、所定の減圧条件に設定できる。
ここで、繊維布12Aは、繊維布12となるものであるが、前述したA/Bの数値範囲、D/Cの数値範囲、E×Fを満たすものではなく、縦糸、横糸の断面形状が、両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状となっている。また、繊維布12Aの横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士、縦糸を挟んで隣接する一部の一対の横糸の端部同士は重なり合っていない。
図8のように構成された一対の樹脂層付キャリア16とそれに挟まれた繊維布12Aを鏡面板241に挟み込み、上下にクッション材242をあてがいプレスの熱盤243に挟み込む。なお、繊維布12Aの幅寸法は、樹脂層付きキャリア16の樹脂層の幅寸法よりも狭いものとなっている。
重ねあわされた一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12Aは、真空ポンプなどの減圧手段により所定の減圧条件の中、熱盤243で加熱、加圧し接合される。熱盤243の圧力、温度は、任意に設定し、接合程度及び上下方向から圧力が加えられ、繊維布12Aのつぶされる度合いが調整され縦糸、横糸が扁平形状となった繊維布12が得られる。
又、接合された一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12を真空プレスより取り出し、熱風乾燥機で、樹脂層の溶融温度以上の温度で加熱処理し硬化させても良い。これにより、キャリアが付いた状態の積層板を得ることができ、また、積層板内部に残存している非充填部分を消失させることができる。このようにして、枚葉の積層板1(キャリアが付いた状態の積層板)を得ることができる。
本実施形態では、繊維布12の繊維束11A,11Bの断面形状を略半月形状としているため、繊維束11A,11Bの断面の中心部の繊維密度と、端部の繊維密度の差を小さくすることができ、繊維束11A,11Bの断面をより幅広の扁平形状とすることができる。
これにより、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
0≦A/B≦0.5
となっている。
また、同様に、繊維布12の縦糸となる繊維束11Bの長手方向と直交する断面において、この一方の繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束にある外郭線の長さをDとした場合、1.0<D/C≦1.5
となっている。
換言すると、繊維束11A,11Bの断面形状が、従来の繊維束の断面形状に比べ、扁平形状となっているといえる。このように繊維束11A,11Bの断面形状を扁平形状とすることで、繊維束11A,11Bの中心部と、端部との繊維本数の差を小さくすることができるとともに、さらには、繊維束11A,11Bの断面形状が従来の繊維束に比べ、幅方向に広がった形状となる。これにより、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、横糸を挟んで隣接する縦糸の端部同士が接近し、縦糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができる。これにより、クラックの発生を抑制することができる。
なお、図9に示すように、従来の繊維束101の断面は、両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状であり、A/Bは、限りなく1.0に近い値であると考えられる。
これに対し、本実施形態では、繊維束11A,11Bの中心部と、端部との繊維本数の差を小さくするとともに、縦糸の端部、横糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができるので、スルーホールを形成する際に、スルーホールの加工のしやすさの均一性を保つことができる。
同様に、縦糸を挟んで隣接する一対の横糸の端部同士は、非常に接近しており、一対の横糸の端部間の間隔は70μm以下である。
このように、縦糸の端部間、横糸の端部間間隔を非常に狭いものとすることで、図10に示すように、従来、縦糸101Aの端部間、横糸101Bの端部間に形成されていた大きなスペースSを狭めることができる。これにより、積層板1のクラックの発生を抑制することができる。
これに加え、本実施形態では、横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士、縦糸を挟んで隣接する一部の一対の横糸同士は重なりあっている。これにより、繊維束の端部間に形成されていたスペースを埋めることができる。従って、繊維密度が非常に小さい部分が生じてしまうことを防止でき、積層板のクラックの発生を確実に抑制することができる。
1.0<D/C≦1.5
となっている。
このようにすることで、繊維束の断面をより幅広の扁平形状とすることができ、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、横糸を挟んで隣接する縦糸の端部同士をより接近させることができ、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
なお、横糸の断面においても同様の効果がある。
前記実施形態では、繊維布12は、平織りであるとしたがこれに限らず、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の構造であってもよい。
さらに、一方の繊維束の前記断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、他方の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記直線とAと反対側にある辺の最大距離をBとした場合、0≦A/B≦0.5を満たせば、繊維束11A,11Bの断面形状が両凸レンズ形状であってもよい。
前記実施形態では、隣接する一部の一対の縦糸(一対の横糸)の端部同士は重なりあっているとしたが、隣接する全ての縦糸同士、横糸同士の端部が重なりあっていてもよい。
また、前記実施形態では、繊維束11A,11Bは、1.0<D/C≦1.5を満たすとしたが、これに限られるものではない。
(実施例1)
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−30」、Mw約700)を15重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−60」、Mw約2,600)を5重量部、エポキシ樹脂を10重量部、フェノール樹脂を10重量部、各々用い、これらを常温でメチルエチルケトンに溶解した。
次いで、無機充填材1を10重量部、無機充填材2を50重量部、及び、無機充填材1と無機充填材2との合計100重量部に対して、カップリング剤を0.5重量部添加し、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌混合して液状樹脂組成物を調製した。
キャリアとして厚み12μm、幅580mmの電解銅箔(日本電解(株)社製・YGP−12LP(580))を用いた。
上記キャリアに、上記で得られた液状樹脂組成物をコンマコーター装置で塗工し、150℃の乾燥装置で3分間乾燥させ、厚さ55μm、幅520mmの絶縁樹脂層を、幅方向においてキャリアの中心に位置するように形成した。
この絶縁樹脂層側に、保護フィルム(ポリエチレン)をラミネートして、樹脂層付きキャリアを製造した。
また、繊維布としてガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m2)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、80℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
樹脂層付きキャリアを製造するまでは実施例1と同じとした。又、使用する繊維布についても実施例1と同じくガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m2)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、100℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−30」、Mw約700)を15重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−60」、Mw約2,600)を5重量部、エポキシ樹脂を10重量部、フェノール樹脂を10重量部、各々用い、これらを常温でメチルエチルケトンに溶解し液状樹脂組成物を調製した。
キャリアとして厚み12μm、幅580mmの電解銅箔(日本電解(株)社製・YGP−12LP(580))を用いた。
上記キャリアに、上記で得られた液状樹脂組成物をコンマコーター装置で塗工し、150℃の乾燥装置で3分間乾燥させ、厚さ55μm、幅520mmの絶縁樹脂層を、幅方向においてキャリアの中心に位置するように形成した。
この絶縁樹脂層側に、保護フィルム(ポリエチレン)をラミネートして、樹脂層付きキャリアを製造した。
また、繊維布としてガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m2)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、120℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
樹脂層付きキャリアを製造するまでは比較例1と同じとした。又、使用する繊維布についても実施例1と同じくガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m2)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、60℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
実施例および比較例で得られたプリプレグの断面を顕微鏡で観察した。
図11には、実施例1の断面が示されており、図12には、比較例1の断面が示されている。
なお、図11、図12は、プリプレグを使用した積層板の断面を示している。
又、縦糸となる繊維束のうち少なくともいずれか一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、この一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合のD/Cを測定した。
結果は、以下の表1に示す。
実施例2の積層板も同様の配置、および断面形状である。
これに対し、比較例1,2の積層板では、図12に示すように隣接する繊維束の端部間の距離は、100μm以上であり、隣接する繊維束の端部同士が重なりあっている部分はなかった。
評価方法は以下の通りである。
各積層板にドリル加工を実施した。ドリル加工条件は以下通りである。
積層板重ね枚数:4枚
使用ドリル径:0.15mmφ、
ヒット数:2000hits、
ドリル回転数:120krpm、
送り速度:1.2m/min
4000hit目の断面観察を実施した。クラックの評価方法は次の通り。
クラック発生無し(10μm以下壁面粗さと判別不可):○
クラック長10〜20μm以下:△
クラック長20μm以上 :×
結果は、以下の表2に示す。比較例1,2ではクラックが発生したのに対し、実施例1,2の積層板では、クラックが発生しなかった。
2 製造装置
11 繊維束
11A 繊維束
11B 繊維束
12 繊維布
12A 繊維布
13 樹脂組成物
16 樹脂層付きキャリア
21 真空ラミネート装置
22 熱風乾燥装置
23 ピンチロール
101 繊維束
101A 縦糸
101B 横糸
161 キャリア
162 樹脂層
211 キャリア供給手段
212 繊維布供給手段
213 ラミネートロール
214,215,216 ラミネートロール
24 真空ボックス
241 鏡面板
242 クッション材
243 熱盤
244 圧力が掛かっていない部分
Claims (5)
- 横糸となる複数本の繊維束と、縦糸となる複数本の繊維束とが織り込まれた繊維布に、樹脂組成物を含浸させたプリプレグを硬化してなる積層板であって、
横糸となる繊維束および縦糸となる繊維束のうち、一方の前記繊維束の断面は、略半月形状であり、半月の弦側が他方の前記繊維束と反対側に位置し、
前記他方の繊維束の長手方向に沿った前記繊維布の断面において、前記他方の繊維束を挟んで隣接する一対の前記一方の繊維束の端部は重なりあっている積層板。 - 請求項1に記載の積層板において、
前記一方の繊維束の前記断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、前記一方の面側の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離をAとし、前記他方の面側の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離をBとした場合、
0≦A/B≦0.5
である積層板。 - 請求項1または2に記載の積層板において、
前記繊維布の横糸となる繊維束、および、縦糸となる繊維束のうち少なくともいずれか一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、この一方の繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合、
1.0<D/C≦1.5
である積層板。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の積層板において、
前記繊維布は、横糸と縦糸とが平織りされたものである積層板。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の積層板において、
前記樹脂組成物は、無機充填材を含有し、
前記無機充填材の含有量が前記樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上、400重量部以下である積層板。
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