JP4946326B2 - 積層板 - Google Patents

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Description

本発明は、積層板に関する。
従来、プリント配線板としては金属箔張積層板を回路形成して回路基板を製作し、又は及びその表裏側にビルドアップ材と呼ばれる絶縁層と、導体回路層とを交互に積層していくビルドアップ方式により製造される多層プリント配線板が主流となっている。前記金属箔張積層板は、プリプレグを金属箔とともに積層して加熱加圧成形することで得られるものである(特許文献1参照)。また、多層配線板の層間材料としても使われている積層板は、金属箔に代わって、離型フィルムとともに積層して加熱加圧成形することで得られるものである。
特開2004−123870号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法で製造したプリプレグを用いて作成されたこれら積層板は、曲げに対するクラックが発生しやすい、加熱した際にクラックが発生しやすいという課題があることがわかった。
本発明の目的は、クラックの発生を抑えることができる積層板を提供することである。
本発明者が検討を行った結果、従来の積層板の繊維束の断面形状は両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状であり、繊維束の断面の中心部の繊維本数が、断面両端部に比べて非常に高いものとなっている。
このような断面形状の繊維束を使用した繊維布では、たとえば横糸の長手方向に沿った断面において、隣接する縦糸の端部の距離が大きくなり、隣接する縦糸の端部間に大きなスペースが形成されることとなる。このような大きなスペースが形成されると、繊維布全体としてみた場合に、繊維密度が非常に小さい部分が存在することとなるため、この周辺をレーザやドリルを用いて孔を加工するとき、加工性に差が出て垂直な孔にならなかったり、細径のドリルであればドリル折れを発生したり、この部分からクラックが発生しやすくなったりしている。
本発明は、このような知見に基づいて発案されたものである。
本発明によれば、横糸となる複数本の繊維束と、縦糸となる複数本の繊維束とが織り込まれた繊維布に、樹脂組成物を含浸させたプリプレグを硬化してなる積層板であって、横糸となる繊維束および縦糸となる繊維束のうち、一方の前記繊維束の断面は、略半月形状であり、半月の弦側が他方の前記繊維束と反対側に位置し、前記他方の繊維束の長手方向に沿った前記繊維布の断面において、前記他方の繊維束を挟んで隣接する一対の前記一方の繊維束の端部は重なりあっている積層板が提供される。
従来の繊維束の断面形状は、両凸面が大きく湾曲した両凸レンズ形状であり、断面の中心部の繊維密度が端部の繊維密度に比べ非常に高いものであった。これに対し、繊維束の断面形状を略半月形状とすることで、繊維束の断面の中心部の繊維密度と、端部の繊維密度の差を小さくすることができ、繊維束の断面をより幅広の扁平形状とすることができる。
これにより、ドリル折れや、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、他方の繊維束を挟んで隣接する一対の一方の繊維束の端部を重なりあうものとすることで、一方の繊維束の端部間に形成されていたスペースを埋めることができる。これにより、繊維密度が非常に小さい部分が生じてしまうことを防止でき、ドリル折れや、クラックの発生を確実に防止することができる。
この際、前記一方の繊維束の前記断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、前記一方の面側の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記他方の面側の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離をBとした場合、0≦A/B≦0.5であることが好ましい。
換言すると、繊維束の断面形状が、従来の繊維束の断面形状に比べ、扁平形状となっているといえる。このように繊維束の断面形状を扁平形状とすることで、繊維束の中心部と、端部との繊維本数の差を小さくすることができるとともに、さらには、繊維束の断面形状が従来の繊維束に比べ、幅方向に広がった形状となる。これにより、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、隣接する縦糸の端部同士が接近し、縦糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができる。これにより、ドリル折れや、クラックの発生を抑制することができる。
ここで、一方の繊維束の断面の幅方向とは、一方の繊維束の長手方向と直交する方向である。
この際、前記繊維布の横糸となる繊維束、および、縦糸となる繊維束のうち少なくともいずれか一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、この一方の繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合、
1.0<D/C≦1.5
であることが好ましい。
このようにすることで、繊維束の断面をより幅広の扁平形状とすることができ、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、隣接する縦糸の端部同士をより接近させることができ、ドリル折れや、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
ここで、外郭線の長さとは、繊維束の長手方向と直交する断面において、その断面形状の外周部分の長さである。
また、前記繊維布は、横糸と縦糸とが平織りされたものであることが好ましい。
繊維布を平織りされたものとすることで、繊維布全体として繊維の密度のばらつきを確実に抑えることができる。
さらに、前記樹脂組成物は、無機充填材を含有し、前記無機充填材の含有量が前記樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上、400重量部以下であることが好ましい。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量を樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上とすることで、無機充填材が繊維束を押さえつけることとなり、繊維束を扁平形状に維持することが容易となる。
本発明によれば、ドリル折れや、クラックの発生を抑えることができる積層板が提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4を参照して本実施形態の積層板について説明する。
はじめに、本実施形態の積層板の概要について説明する。
図1〜図3に示すように、積層板1は、横糸となる複数本の繊維束11(11A)と、縦糸となる複数本の繊維束11(11B)とが織り込まれた繊維布12に樹脂組成物13を含浸させ硬化させたものである。
繊維布12の横糸となる繊維束11A、あるいは縦糸となる繊維束11Bのうち一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、前記一方の繊維束の前記断面は、略半月形状であり、半月の弦側が前記他方の繊維束と反対側に位置する。
また、図2〜図4に示すように、縦糸の断面形状は、略半月形状であり、横糸側の辺が略弓状、横糸と反対側の辺が略直線状となっている。換言すると半月の弦側が横糸と反対側に位置している。
以下に、本実施形態の積層板1について詳細に説明する。
図1は、積層板1を示す平面図であり、図2は、積層板1の断面図である。図2は、図1のII-II方向の断面を示す図となっている。
積層板1は、繊維布12に樹脂組成物13を含浸させたものであり、樹脂組成物13から構成される層中に、繊維布12が存在している。
繊維布12は、横糸となる複数本の繊維束11(11A)と、縦糸となる複数本の繊維束11(11B)とが織り込まれたものである。本実施形態では、繊維布12は、平織りされたものである。
繊維布12の材質としては特に限定されないが、種々の無機系または有機系の繊維布を用いることができる。その具体例としては、Eガラス(無アルカリガラス)、Sガラス、Dガラス、クォーツ、高誘電率ガラス等のガラスクロス、ケブラー(商品名:デュポン・東レ・ケブラー社製)、テクノーラ(商品名:帝人社製)、コーネックス(商品名:帝人社製)に代表されるポリ−p−フェニレンフタルアミド、ポリ−m−フェニレンフタルアミド、p−フェニレンフタルアミドおよび3,4'−ジフェニルエーテルフタルアミドの共重合体等からなる芳香族ポリアミド系繊維布やアラミド系繊維布、ポリエステル繊維布、ナイロン繊維布、ポリベンザゾール繊維布、炭素繊維布等が挙げられる。好ましくはガラスクロスである。
繊維布12の厚みも特に限定されるものではないが、15〜300μmであることが好ましい。上記繊維布としてガラス織布を用いる場合、その厚みとしては、一例を挙げると、15〜180μmのものを用いることができる。
横糸となる繊維束11Aと、縦糸となる繊維束11Bの断面形状は同じであり、図1のII-II方向(横糸となる繊維束11Aの長手方向に沿った方向)と直交する方向(縦糸となる繊維束11Bの長手方向に沿った)の断面も図2と同じである。
ここで、略半月状とは、従来の繊維束の断面形状に比べ、扁平形状になっているものである。こうすることにより、繊維束の中心部と端部の繊維本数の差を小さくすることができ、これによりクラックの発生やドリル折れを抑制することができる。また、弦の形状は、完全に平坦である場合に限らず、従来の繊維束の断面形状より扁平なものであって、クラックの発生やドリル折れを抑制する効果をもたらす形状であればよい。もっとも好ましい形状は、直線である。
この際、繊維布の縦糸の断面形状は、略半月形状であり、横糸側の辺が略弓状、横糸と反対側の辺が略直線状となっている。換言すると半月の弦側が横糸と反対側に位置している。こうすることにより、隣接する縦糸の端部間、隣接する横糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができるので、クラックの発生を抑えることができる。このような効果をもたらす範囲のものであれば、弦の形状は直線である場合に限られない。
このような作用効果をもたらす繊維の断面形状の具体例について、以下に説明する。
図2、図3に示すように、繊維布12の横糸となる繊維束11A、あるいは縦糸となる繊維束11Bのうち一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、前記一方の繊維束の前記断面は、略半月形状であり、半月の弦側が前記他方の繊維束と反対側に位置し、
繊維布12の縦糸となる繊維束11Bの長手方向と直交する断面において、この縦糸となる繊維束11Bの断面の幅方向の最も広い部分を通る直線Lを挟んで、他方の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記直線とAと反対側にある辺の最大距離をBとした場合、
0≦A/B≦0.5
であることが好ましい。
なかでも、A/Bは、0以上であることが好ましく、さらには、0.3以下であることが好ましい。
なお、図3は、1本の縦糸の断面図であり、図3の縦糸の下側が横糸側であり、図3の縦糸の上側が横糸と反対側である。
また、縦糸の断面の各最大距離の長さは画像処理等により計測することができる。
さらに、図4に示すように、繊維布の横糸となる繊維束、および、縦糸となる繊維束のうち少なくともいずれか一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、この一方の繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合、
1.0<D/C≦1.5
であることが好ましい。
なかでも、D/Cは、1.3以下であることが好ましく、さらには、1.2以下であることがより好ましい。
また、再度、図2に示すように、横糸の長手方向に沿った繊維布12の断面において、横糸を挟んで隣接する一対の縦糸の端部は非常に接近しており、前記一対の縦糸の端部間の間隔は70μm以下である。
また、横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士は重なりあっている。
換言すると、縦糸を構成する繊維束11Bの織り密度をE本/25mmとし、縦糸を構成する繊維束11Bの断面の最大幅をFmmとした場合、E×F≧25mmとなっている。好ましくは、E×Fは、25mm以上、35mm以下である。
なお、ここでは、縦糸を構成する繊維束11Bの断面形状や、配置について述べてきたが、横糸を構成する繊維束11Aの断面形状や配置についても同様である。
樹脂組成物13は、樹脂成分として、絶縁性の樹脂を含んでいる。樹脂成分としては、たとえば、エポキシ樹脂、BTレジン、シアネート樹脂等が挙げられる。なかでも、シアネート樹脂を使用することが好ましい。シアネート樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂、またはこれらのプレポリマー等があげられる。なかでも、ノボラック型シアネート樹脂を使用することが好ましい。
ノボラック型シアネート樹脂としては、たとえば、下記一般式(1)で示されるものを使用することができる。
Figure 0004946326
また、シアネート樹脂に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の他の熱硬化樹脂、フェノキシ樹脂、溶剤可溶性ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン等の一種類以上の熱可塑性樹脂を併用しても良い。特にエポキシ樹脂の併用は、耐薬品性を悪化させずに吸水率を低減できるので好ましい。併用するエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂などが挙げられ、特にジシクロペンタジエン骨格エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。ここでアリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に1つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいい、キシリレン型エポキシ樹脂やビフェニレンジメチル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
さらに、樹脂組成物13は、無機充填材を含有することが好ましい。無機充填材としては、例えばタルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ等が挙げられる。これらの中でもシリカが好ましく、溶融シリカが低熱膨張性に優れる点で好ましい。
溶融シリカの形状としては例えば、破砕形状、球状等があるが、特に、球状の溶融シリカを用いると、樹脂組成物13の溶融粘度を低くすることができるので、繊維布12への含浸性を向上させることができる。
上記無機充填材の平均粒子径としては、例えば、0.01〜5.0μmであるものを用いることができ、特に、0.2〜2.0μmであるものを好適に用いることができる。
これにより、樹脂組成物13を調製する際の作業性を良好なものとすることができる。
上記平均粒子径が小さすぎると、樹脂組成物13を有機溶剤等により溶解及び/又は分散させた液状樹脂組成物を調製する際に、その粘度が高くなって作業性に影響を与えることがある。一方、上記平均粒子径が大きすぎると、樹脂組成物13中で無機充填材の沈降が起こることがある。
上記無機充填材としては、好ましくは平均粒子径が上記範囲内であるものを1種用いることもできるし、平均粒子径が異なる2種以上を併用することもできる。
この平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置(HORIBA社製・「LA−500」)により測定することができる。
上記無機充填材としては、平均粒子径が0.01〜5.0μmである球状の溶融シリカ、特に、平均粒子径が0.2〜2.0μmである球状の溶融シリカを用いることが好ましい。
これにより、樹脂組成物13中の無機充填材の高充填性を向上させることができる。
上記無機充填材の含有量としては、例えば、樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上、400重量部以下とすることが好ましい。
無機充填材を20重量部以上含有させることで、樹脂組成物13中の無機充填材が繊維束11A,11Bを押さえつけることとなり、繊維束11A,11Bを扁平形状に維持することが容易となる。
また、無機充填材の含有量を400重量部以下とすることで、樹脂の流動性を成形できる範囲とすることができる。
なかでも、樹脂成分100重量部に対して、無機充填材の含有量を40重量部以上とすることがより好ましく、さらには、樹脂成分100重量部に対して、無機充填材の含有量を250重量部以下とすることがより好ましい。
これにより、低熱膨張性を高めることができる。また、樹脂組成物13の吸水性を小さなものとすることができるので、吸湿半田耐熱性を向上させることができる。
さらに、樹脂組成物13においては、特に、上記無機充填材を含有する場合、カップリング剤を配合することが好ましい。
このカップリング剤は、シアネート樹脂などの樹脂成分と、無機充填材との界面の濡れ性を向上させることができるので、繊維布に対して樹脂成分及び無機充填材を均一に定着させ、硬化物の耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を高めることができる。
上記カップリング剤としては、通常用いられるものであれば何でも使用できるが、例えば、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤、及び、シリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、上記濡れ性を高くすることができ、硬化物の耐熱性をより向上させることできる。
カップリング剤を用いる場合、その含有量としては、例えば、上記無機充填材100重量部に対して、0.05〜3重量部とすることができ、特に、0.1〜2重量部とすることが好ましい。
これにより、無機充填材を被覆することによる作用効果を充分に発現できるとともに、硬化物特性を良好なものとすることができ、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
カップリング剤の含有量が少なすぎると、無機充填材を被覆する作用が充分でないことがある。一方、カップリング剤の含有量が大きすぎると、樹脂成分の反応に影響を与え、硬化物の機械的強度が低下することがある。
樹脂組成物13には、このほか、必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。
硬化促進剤としては公知のものを用いることができるが、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2'−メチルイミダゾリル−(1')〕−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2'−ウンデシルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2'−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1')〕−エチル−s−トリアジン、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。
これらの中でも、樹脂組成物13として、シアネート樹脂と、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂とを含有するものを用いた場合には、硬化促進剤として、イミダゾール化合物を好適に用いることができる。これにより、樹脂組成物の絶縁性を低下させることなく、シアネート樹脂やエポキシ樹脂の反応を促進することができる。
イミダゾール化合物としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロキシアルキル基、及び、シアノアルキル基の中から選ばれる官能基を2個以上有しているイミダゾール化合物が好ましく、特に2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。このようなイミダゾール化合物の使用により、樹脂組成物の耐熱性を向上させることができるとともに、多層プリント配線板に低熱膨張性、低吸水性を付与することができる。
上記硬化促進剤を用いる場合、その配合量としては、例えば、樹脂組成物全体に対して0.05〜5重量%とすることができ、特に、0.2〜2重量%とすることが好ましい。
これにより、樹脂組成物13の硬化を促進できるとともに、積層板1の保存性を良好なものとすることができ、これらの特性のバランスに優れたものとすることができる。
硬化促進剤の含有量が少なすぎると、硬化促進する効果が充分に発現しないことがある。一方、硬化促進剤の含有量が多すぎると積層板1の保存性が低下する場合がある。
さらに、樹脂組成物13には、このほか、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂を併用することもできる。
また、必要に応じて、顔料、酸化防止剤等の上記成分以外の添加物を添加することもできる。
次に、図5〜図8を参照して、積層板1の製造方法について説明する。
まず、図5(A)、図5(B)に示すような、樹脂層付きキャリア16を用意する。この樹脂層付きキャリア16は、キャリア161上に積層板の樹脂組成物13を構成する樹脂層162が設けられたものである。キャリア161としては、長尺のシート状のものを使用することができる。
ここで、樹脂層付きキャリア16のキャリア161の幅寸法W1(長手方向と直交する方向の寸法)は、樹脂層162の幅寸法W2(長手方向と直交する方向の寸法)よりも大きく、キャリア161の短辺方向の端部は、樹脂層162に覆われていない。
なお、図5(A)は、樹脂層付きキャリア16の平面図であり、図5(B)は、樹脂層付きキャリア16の長手方向と直交する方向の断面図である。
このような樹脂層付きキャリア16を図6に示した製造装置2の真空ラミネート装置21の一対の樹脂層付きキャリア供給手段211(供給ローラ)にそれぞれセットする。
真空ラミネート装置21の内部は、図示されない真空ポンプなどの減圧手段により、所定の減圧条件に設定されている。
また、製造装置2の真空ラミネート装置21の内部には、繊維布12Aを供給する繊維布供給手段(供給ローラ)212がある。
ここで、繊維布12Aは、繊維布12となるものであるが、前述したA/Bの数値範囲、D/Cの数値範囲、E×Fを満たすものではなく、縦糸、横糸の断面形状が、両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状となっている。また、繊維布12Aの横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士、縦糸を挟んで隣接する一部の一対の横糸の端部同士は重なり合っていない。
一対の樹脂層付きキャリア供給手段211から、樹脂層付きキャリア16を供給するとともに、繊維布供給手段212から繊維布12Aを供給することで、図7(A)に示すように、一対の樹脂層付きキャリア16により、繊維布12Aが挟まれることとなる。
なお、繊維布12Aの幅寸法は、樹脂層付きキャリア16の樹脂層の幅寸法よりも狭いものとなっている。
重ねあわされた一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12Aは、ラミネートロール213により接合される。
ラミネートロール213,213間のクリアランスは、樹脂層付きキャリア16と繊維布12との接合に際して、実質的に圧力が作用しない程度に設定することもできるし、任意の圧力が作用するように設定することもできる。
接合された一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12Aは、ラミネートロール214,215,216により、温度と圧力とを作用させて、接合程度及び上下方向から線圧が加えられ、繊維布12Aのつぶされる度合いが調整され縦糸、横糸が扁平形状となった繊維布12が得られる。
なお、ラミネートロール216は、真空ラミネート装置21の内部を所定の減圧条件に維持するため、真空ラミネート装置21の外部から内部への空気の侵入を抑制するシールロールとしての機能をも有している。
これに加え、ラミネートロール216を通った一対の樹脂層付きキャリア16は大気圧を面でうけることとなり、内部の繊維布12Aは面で加圧され、縦糸、横糸の扁平形状が維持されることとなる。
接合された一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12は、横搬送型の熱風乾燥装置22間を移送され、樹脂層の溶融温度以上の温度で加熱処理する。これにより、キャリアが付いた状態の積層板1を得ることができ、また、積層板1内部に残存している非充填部分を消失させることができる。
次に、積層板1は、ピンチロール23で挟みながら、これを連続的に巻き取ることにより、巻物形態の積層板1(キャリアが付いた状態の積層板)を得ることができる。
次に、図8を参照して、枚葉での積層板1の製造方法について説明する。
まず、図5(A)、図5(B)に示すような、樹脂層付きキャリア16を用意する。この樹脂層付きキャリア16は、キャリア161上に積層板の樹脂組成物13を構成する樹脂層162が設けられたものである。キャリア161としては、任意のサイズに切断したシート状のものを使用することができる。
ここで、樹脂層付きキャリア16のキャリア161の幅寸法W1(長手方向と直交する方向の寸法)は、樹脂層162の幅寸法W2(長手方向と直交する方向の寸法)と同じでもよい。
なお、図5(A)は、樹脂層付きキャリア16の平面図であり、図5(B)は、樹脂層付きキャリア16の長手方向と直交する方向の断面図である。枚葉での製造時には流れ方向を図8に示す鏡面板241のサイズに合わせカットし枚葉シートとする。
このような樹脂層付きキャリア16及び繊維布12Aを、図8に示す真空ボックス24内でクッション材242、鏡面板241に挟み込みそれぞれセットする。ここで、枚葉に裁断された繊維布12Aの幅及び裁断された長さは、枚葉に裁断された樹脂層付キャリア16の樹脂層の幅及び長さより小さいサイズでなければならない。又、鏡面板241の幅及び長さは、繊維布12Aの幅及び長さより大きいサイズでなければならない。
図8に示される真空プレス装置内部は、図示されない真空ポンプなどの減圧手段により、所定の減圧条件に設定できる。
ここで、繊維布12Aは、繊維布12となるものであるが、前述したA/Bの数値範囲、D/Cの数値範囲、E×Fを満たすものではなく、縦糸、横糸の断面形状が、両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状となっている。また、繊維布12Aの横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士、縦糸を挟んで隣接する一部の一対の横糸の端部同士は重なり合っていない。
図8のように構成された一対の樹脂層付キャリア16とそれに挟まれた繊維布12Aを鏡面板241に挟み込み、上下にクッション材242をあてがいプレスの熱盤243に挟み込む。なお、繊維布12Aの幅寸法は、樹脂層付きキャリア16の樹脂層の幅寸法よりも狭いものとなっている。
重ねあわされた一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12Aは、真空ポンプなどの減圧手段により所定の減圧条件の中、熱盤243で加熱、加圧し接合される。熱盤243の圧力、温度は、任意に設定し、接合程度及び上下方向から圧力が加えられ、繊維布12Aのつぶされる度合いが調整され縦糸、横糸が扁平形状となった繊維布12が得られる。
接合された一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12は、大気圧以上の圧力をかけた状態で樹脂の溶融温度以上の温度まで熱盤温度をあげて加熱処理し硬化することが出来る。このとき真空プレス内は真空状態を維持したままでも良いし、真空を解除しても良い。これにより、キャリアが付いた状態の積層板を得ることができ、また、積層板内部に残存している非充填部分を消失させることができる。
又、接合された一対の樹脂層付きキャリア16、繊維布12を真空プレスより取り出し、熱風乾燥機で、樹脂層の溶融温度以上の温度で加熱処理し硬化させても良い。これにより、キャリアが付いた状態の積層板を得ることができ、また、積層板内部に残存している非充填部分を消失させることができる。このようにして、枚葉の積層板1(キャリアが付いた状態の積層板)を得ることができる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、繊維布12の繊維束11A,11Bの断面形状を略半月形状としているため、繊維束11A,11Bの断面の中心部の繊維密度と、端部の繊維密度の差を小さくすることができ、繊維束11A,11Bの断面をより幅広の扁平形状とすることができる。
これにより、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、繊維布12の横糸となる繊維束11Aの長手方向と直交する断面において、前記一方の繊維束の前記断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、他方の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記直線とAと反対側にある辺の最大距離をBとした場合、
0≦A/B≦0.5
となっている。
また、同様に、繊維布12の縦糸となる繊維束11Bの長手方向と直交する断面において、この一方の繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束にある外郭線の長さをDとした場合、1.0<D/C≦1.5
となっている。
換言すると、繊維束11A,11Bの断面形状が、従来の繊維束の断面形状に比べ、扁平形状となっているといえる。このように繊維束11A,11Bの断面形状を扁平形状とすることで、繊維束11A,11Bの中心部と、端部との繊維本数の差を小さくすることができるとともに、さらには、繊維束11A,11Bの断面形状が従来の繊維束に比べ、幅方向に広がった形状となる。これにより、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、横糸を挟んで隣接する縦糸の端部同士が接近し、縦糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができる。これにより、クラックの発生を抑制することができる。
なお、図9に示すように、従来の繊維束101の断面は、両凸面が大きく湾曲したいわゆる両凸レンズ形状であり、A/Bは、限りなく1.0に近い値であると考えられる。
また、従来のように、繊維束の断面の中心部の繊維本数が端部に比べて非常に高くさらには、隣接する縦糸の端部間、隣接する横糸の端部間に大きなスペースが空いている場合には、積層板1にスルーホールを形成する際に、加工しやすさが大きく異なる部分が生じることとなる。
これに対し、本実施形態では、繊維束11A,11Bの中心部と、端部との繊維本数の差を小さくするとともに、縦糸の端部、横糸の端部間に形成されていた大きなスペースを狭めることができるので、スルーホールを形成する際に、スルーホールの加工のしやすさの均一性を保つことができる。
また、本実施形態では、横糸の長手方向に沿った繊維布12の断面において、横糸を挟んで隣接する一対の縦糸の端部は非常に接近しており、前記一対の縦糸の端部間の間隔は70μm以下である。
同様に、縦糸を挟んで隣接する一対の横糸の端部同士は、非常に接近しており、一対の横糸の端部間の間隔は70μm以下である。
このように、縦糸の端部間、横糸の端部間間隔を非常に狭いものとすることで、図10に示すように、従来、縦糸101Aの端部間、横糸101Bの端部間に形成されていた大きなスペースSを狭めることができる。これにより、積層板1のクラックの発生を抑制することができる。
これに加え、本実施形態では、横糸を挟んで隣接する一部の一対の縦糸の端部同士、縦糸を挟んで隣接する一部の一対の横糸同士は重なりあっている。これにより、繊維束の端部間に形成されていたスペースを埋めることができる。従って、繊維密度が非常に小さい部分が生じてしまうことを防止でき、積層板のクラックの発生を確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、縦糸となる繊維束11Bの断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合、
1.0<D/C≦1.5
となっている。
このようにすることで、繊維束の断面をより幅広の扁平形状とすることができ、たとえば、横糸の長手方向に沿った断面において、横糸を挟んで隣接する縦糸の端部同士をより接近させることができ、クラックの発生をより確実に抑制することができる。
なお、横糸の断面においても同様の効果がある。
また、本実施形態では、繊維布12を平織りされたものとすることで、繊維布12全体として繊維の密度のばらつきを確実に抑えることができる。
さらに、本実施形態では、積層板1の樹脂組成物13中の無機充填材の含有量を樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上とすることが好ましいとしている。無機充填材の含有量をこのようにすることで無機充填材が繊維束11A,11Bを押さえつけることとなり、繊維束11A,11Bを扁平形状に維持することが容易となる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、繊維布12は、平織りであるとしたがこれに限らず、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の構造であってもよい。
さらに、一方の繊維束の前記断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、他方の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記直線とAと反対側にある辺の最大距離をBとした場合、0≦A/B≦0.5を満たせば、繊維束11A,11Bの断面形状が両凸レンズ形状であってもよい。
前記実施形態では、隣接する一部の一対の縦糸(一対の横糸)の端部同士は重なりあっているとしたが、隣接する全ての縦糸同士、横糸同士の端部が重なりあっていてもよい
た、前記実施形態では、繊維束11A,11Bは、1.0<D/C≦1.5を満たすとしたが、これに限られるものではない。


次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−30」、Mw約700)を15重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−60」、Mw約2,600)を5重量部、エポキシ樹脂を10重量部、フェノール樹脂を10重量部、各々用い、これらを常温でメチルエチルケトンに溶解した。
次いで、無機充填材1を10重量部、無機充填材2を50重量部、及び、無機充填材1と無機充填材2との合計100重量部に対して、カップリング剤を0.5重量部添加し、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌混合して液状樹脂組成物を調製した。
キャリアとして厚み12μm、幅580mmの電解銅箔(日本電解(株)社製・YGP−12LP(580))を用いた。
上記キャリアに、上記で得られた液状樹脂組成物をコンマコーター装置で塗工し、150℃の乾燥装置で3分間乾燥させ、厚さ55μm、幅520mmの絶縁樹脂層を、幅方向においてキャリアの中心に位置するように形成した。
この絶縁樹脂層側に、保護フィルム(ポリエチレン)をラミネートして、樹脂層付きキャリアを製造した。
また、繊維布としてガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、80℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
(実施例2)
樹脂層付きキャリアを製造するまでは実施例1と同じとした。又、使用する繊維布についても実施例1と同じくガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、100℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
(比較例1)
ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−30」、Mw約700)を15重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン社製、「プリマセット PT−60」、Mw約2,600)を5重量部、エポキシ樹脂を10重量部、フェノール樹脂を10重量部、各々用い、これらを常温でメチルエチルケトンに溶解し液状樹脂組成物を調製した。
キャリアとして厚み12μm、幅580mmの電解銅箔(日本電解(株)社製・YGP−12LP(580))を用いた。
上記キャリアに、上記で得られた液状樹脂組成物をコンマコーター装置で塗工し、150℃の乾燥装置で3分間乾燥させ、厚さ55μm、幅520mmの絶縁樹脂層を、幅方向においてキャリアの中心に位置するように形成した。
この絶縁樹脂層側に、保護フィルム(ポリエチレン)をラミネートして、樹脂層付きキャリアを製造した。
また、繊維布としてガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、120℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
(比較例2)
樹脂層付きキャリアを製造するまでは比較例1と同じとした。又、使用する繊維布についても実施例1と同じくガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E10T−04−480TT」、幅480mm、坪量105g/m)を用いた。
図6に示した形態の装置を用いて、樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、樹脂層付きキャリアの樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、60℃のラミネートロールを用いて接合した。
次いで、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、キャリア付き積層板を製造した。
(結果)
実施例および比較例で得られたプリプレグの断面を顕微鏡で観察した。
図11には、実施例1の断面が示されており、図12には、比較例1の断面が示されている。
なお、図11、図12は、プリプレグを使用した積層板の断面を示している。
繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線Lを挟んで、他方の繊維束側にある辺の前記直線Lとの最大距離Aと、前記直線とAと反対側にある辺の最大距離をBとした場合のA/Bを測定した。
又、縦糸となる繊維束のうち少なくともいずれか一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、この一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合のD/Cを測定した。
結果は、以下の表1に示す。
Figure 0004946326
また、実施例1の積層板では、図11に示すように、隣接する繊維束の端部間の距離は70μm以下であり、さらに、隣接する端部の一部が重なりあっている。また、実施例1の積層板では、図10に示すように、繊維束の断面が半月形状であることがわかる。
実施例2の積層板も同様の配置、および断面形状である。
これに対し、比較例1,2の積層板では、図12に示すように隣接する繊維束の端部間の距離は、100μm以上であり、隣接する繊維束の端部同士が重なりあっている部分はなかった。
さらに、実施例1,2の積層板と、比較例1,2の積層板のクラックの発生しやすさを検討した。
評価方法は以下の通りである。
各積層板にドリル加工を実施した。ドリル加工条件は以下通りである。
積層板重ね枚数:4枚
使用ドリル径:0.15mmφ、
ヒット数:2000hits、
ドリル回転数:120krpm、
送り速度:1.2m/min

4000hit目の断面観察を実施した。クラックの評価方法は次の通り。
クラック発生無し(10μm以下壁面粗さと判別不可):○
クラック長10〜20μm以下:△
クラック長20μm以上 :×

結果は、以下の表2に示す。比較例1,2ではクラックが発生したのに対し、実施例1,2の積層板では、クラックが発生しなかった。
Figure 0004946326
本発明の一実施形態にかかるプリプレグを示す平面図である。 図1のII-II方向の断面図である。 繊維束の長手方向と直交する方向の断面図である。 繊維束の長手方向と直交する方向の断面図である。 図5(A)は、樹脂層付きキャリアの平面図であり、図5(B)は、樹脂層付きキャリアの長手方向と直交する方向の断面図である。 積層板の製造装置を示す模式図である。 積層板の製造工程を示す断面図である。 積層板の製造工程を示す断面図である。 従来の積層板の繊維束の断面図である。 従来の積層板の断面図である。 実施例1のプリプレグを使用した多層プリント配線板の断面を示す図である。 比較例1のプリプレグを使用した多層プリント配線板の断面を示す図である。
符号の説明
1 プリプレグ
2 製造装置
11 繊維束
11A 繊維束
11B 繊維束
12 繊維布
12A 繊維布
13 樹脂組成物
16 樹脂層付きキャリア
21 真空ラミネート装置
22 熱風乾燥装置
23 ピンチロール
101 繊維束
101A 縦糸
101B 横糸
161 キャリア
162 樹脂層
211 キャリア供給手段
212 繊維布供給手段
213 ラミネートロール
214,215,216 ラミネートロール
24 真空ボックス
241 鏡面板
242 クッション材
243 熱盤
244 圧力が掛かっていない部分

Claims (5)

  1. 横糸となる複数本の繊維束と、縦糸となる複数本の繊維束とが織り込まれた繊維布に、樹脂組成物を含浸させたプリプレグを硬化してなる積層板であって、
    横糸となる繊維束および縦糸となる繊維束のうち、一方の前記繊維束の断面は、略半月形状であり、半月の弦側が他方の前記繊維束と反対側に位置し、
    前記他方の繊維束の長手方向に沿った前記繊維布の断面において、前記他方の繊維束を挟んで隣接する一対の前記一方の繊維束の端部は重なりあっている積層板。
  2. 請求項1に記載の積層板において、
    前記一方の繊維束の前記断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、前記一方の面側の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離Aと、前記他方の面側の繊維束側にある辺の前記直線との最大距離をBとした場合、
    0≦A/B≦0.5
    である積層板。
  3. 請求項1または2に記載の積層板において、
    前記繊維布の横糸となる繊維束、および、縦糸となる繊維束のうち少なくともいずれか一方の繊維束の長手方向と直交する断面において、この一方の繊維束の断面の幅方向の最も広い部分を通る直線を挟んで、一方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをC、他方の面側の繊維束側にある外郭線の長さをDとした場合、
    1.0<D/C≦1.5
    である積層板。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の積層板において、
    前記繊維布は、横糸と縦糸とが平織りされたものである積層板。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の積層板において、
    前記樹脂組成物は、無機充填材を含有し、
    前記無機充填材の含有量が前記樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、20重量部以上、400重量部以下である積層板。
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