以下、本発明の実施形態を図1〜図11に基づき説明する。
最初に、本発明の実施形態に係る原稿搬送装置を搭載した画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。図中の、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には、給紙部である給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3は、その内部に、印刷前のカットペーパー等の用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは、図1において給紙カセット3の左上方に向けて、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は、本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
本体2の内部であって、給紙カセット3の左方には、第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は、本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は、給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部10まで搬送する。
給紙カセット3の上方であって、第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には、手差し給紙部5が備えられている。手差し給紙部5には、給紙カセット3に入っていないサイズの用紙Pや、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。
手差し給紙部5の左方には、第2用紙搬送部6が備えられている。第2用紙搬送部6は、給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部5から第1用紙搬送部4まで略水平に延び、第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部6は、手差し給紙部5から送り出された用紙P等を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置20が、その下方には画像読取装置7が備えられている。ユーザーが原稿の複写を行う場合には、原稿搬送装置20に、文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿搬送装置20では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取装置7によってその画像データが読み取られる。
原稿画像の読み取り、すなわち印刷の開始は、本体2の上部であって、画像読取装置7の正面側に備えられた操作パネル(図示せず)を用いて実行される。ユーザーは、この操作パネルから、使用する用紙サイズや拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件などを入力して設定することが可能である。
原稿の画像データの情報は、第2用紙搬送部6の上方であって、本体2の中央部に配置された露光装置8に送られる。露光装置8により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、画像形成部9に向かって照射される。
第1用紙搬送部4の上方であって、露光装置8の左方には、画像形成部9及び転写部10が備えられている。画像形成部9では、露光装置8によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは、露光装置8の上方に備えられたトナーコンテナ11から画像形成部9に補給される。画像形成部9で形成されたトナー像は、第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部10にて転写される。
転写部10の上方には、定着装置12が備えられている。転写部10にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置12へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
定着装置12の上方には、用紙案内装置13が備えられている。定着装置12から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合、用紙案内装置13から画像形成装置1の胴内に設けられた胴内用紙排出部14に排出される。
用紙案内装置13から胴内用紙排出部14に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部15としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部15において、定着装置12から排出された用紙Pの搬送方向が変更される。そして、用紙Pは、用紙案内装置13を通過し、定着装置12の左方、及び転写部10の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路16を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て転写部10へと送られる。
続いて、本体2の上面に搭載された原稿搬送装置20について、図2を用いてその構造の概略を説明する。図2は、原稿搬送装置の模型的垂直断面正面図である。図2中の実線矢印は、原稿の搬送経路及び搬送方向を示す。
原稿搬送装置20は、図2に示すように、原稿載置トレイ21、リフト部材22、原稿送り部30、及び原稿排出トレイ23を備えている。
原稿載置トレイ21は、原稿搬送装置20の上部に設けられている。原稿載置トレイ21には、原稿を上方から載置して、積み上げることができる。原稿載置トレイ21は、原稿搬送方向の上流から下流、すなわち図2において右方から左方に向かって下る傾斜をなす構成となっている。
リフト部材22は、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流部に設けられている。リフト部材22は、原稿載置トレイ21の載置面に沿った形をなす板状部材で構成されている。そして、リフト部材22は、その上流部に設けられた略水平な支軸(図示せず)を中心とし、下流端を自由端として、原稿搬送方向に沿った垂直面内で回転可能にして設けられている。リフト部材22は、原稿供給時、図示しないモータにより前記支軸を中心として回転変位せしめられ、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿の下流端が、その上方に配置された原稿供給装置60に接触するように、上方に向かって付勢される。
原稿送り部30は、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口31と、原稿供給装置60とを備えている。原稿供給装置60は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿を、最上層から1枚ずつ分離し、原稿供給口31を通して原稿送り部30の内部に向かって供給する。原稿供給口31の下流側には、原稿送り部30の内部に向かって第1原稿搬送路32が延びている。
第1原稿搬送路32の先は、原稿搬送装置20の底面に到達し、この箇所に原稿読取部33が設けられている。また、第1原稿搬送路32に続いて、原稿読取部33の箇所から第2原稿搬送路34が延びている。原稿読取部33に送り込まれた原稿は、第1原稿搬送路32から第2原稿搬送路34へとさらに下流側へ、すなわち図2において原稿読取部33の箇所を左方から右方へと移動する最中に、その下方に設けられた本体2の画像読取装置7(図1参照)により、下側の面である第1面の画像データが読み取られる。
第2原稿搬送路34の、原稿読取部33の下流には、原稿切替部35が設けられている。原稿の、表裏両面の画像データの読み取りが必要な場合、原稿切替部35に到達した原稿は、第2原稿搬送路34の上方へと振り分けられ、その原稿搬送方向下流側に続く原稿反転部36にて搬送方向が変更される。搬送方向が変更された原稿は、原稿切替部35の上側を経て、原稿読取部33の上流側の第1原稿搬送路32に送り込まれ、再度原稿読取部33で第2面の画像データが読み取られる。
原稿切替部35の下流であって、第2原稿搬送路34の下流端には、原稿排出口37が設けられている。画像データの読み取りが済んだ原稿は、原稿排出口37から原稿排出トレイ23に排出される。
原稿排出トレイ23は、原稿載置トレイ21の下方に備えられ、これらのトレイが上下二段にして構成されている。原稿排出トレイ23に排出された原稿は、原稿搬送装置20の手前側から取り出すことができる。
原稿載置トレイ21と、原稿排出トレイ23とは、互いの原稿搬送方向を逆にして、すなわち図2において原稿載置トレイ21は原稿を左方に向かって送り出し、原稿排出トレイ23は原稿を右方に向かって排出する形にして構成されている。これにより、原稿供給口31と原稿排出口37とが、原稿読取部33が存在する方向に対して各トレイの同じ側、すなわち図2において左側に設けられている。そして、原稿供給口31から原稿読取部33の箇所を経て原稿排出口37まで延びる第1原稿搬送路32及び第2原稿搬送路34は、図2に示すように、上下方向にU字形状に、すなわち横方向から見てU字形状に湾曲した形で設けられている。
上記構成により、原稿搬送装置20は、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿を、一枚ずつ分離して原稿送り部30内に送り込み、原稿読取部33でその画像データを読み取った後、原稿排出トレイ23に排出する。
次に、原稿搬送装置20の原稿送り部30の詳細な構成について、図2に加えて、図3を用いて説明する。図3は、原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図である。なお、図3において、実線矢印は原稿の搬送経路及び搬送方向を示す。
原稿送り部30は、前述のように、原稿載置トレイ21の原稿搬送方向下流端に、原稿供給口31と、原稿供給装置60とを備えている(図3参照)。そして、第1原稿搬送路32が、図3に示すように、原稿供給口31の下流側に、下方に向かって延びている。
原稿供給装置60は、原稿搬送方向と直角をなす原稿幅方向略中央部の上方に設けられ、ピックアップローラ61、供給ベルト62、及び分離ローラ63を備えている。
ピックアップローラ61は、原稿供給口31のすぐ下流側に備えられている。原稿供給時、原稿載置トレイ21に積み上げられた原稿の下流部がリフト部材22によって持ち上げられ、ピックアップローラ61には、原稿の下流端最上層が下方から接触する。この原稿の最上層は、ピックアップローラ61によって供給ベルト62へと引き渡され、供給ベルト62により原稿送り部30の内部へと搬送される。
供給ベルト62は、ピックアップローラ61の下流側において、その表面下部が第1原稿搬送路32に突出するように配置されている。また、供給ベルト62は、原稿搬送方向に回転する、すなわち図3において原稿供給口31から左方に原稿を搬送できるように、2個のプーリに巻き掛けられている。そして、分離ローラ63が、供給ベルト62の下方に配置され、供給ベルト62に接触している。この供給ベルト62と分離ローラ63とが接触して形成される搬送ニップに原稿が挿通される。
供給ベルト62と分離ローラ63とが接触して形成される搬送ニップに原稿が重なって複数枚進入したとき、重なった上側の原稿だけが供給ベルト62によって送り出される。分離ローラ63の作用により、重なった下側の原稿が送り出されることがないので、原稿が重なって送られてしまう重送という問題が起こるのを防止できる。
第1原稿搬送路32上において、原稿供給装置60の箇所の下流には、搬送ローラ対38と、レジストローラ対39とが設けられている。レジストローラ対39は、互いに圧接し合うレジストローラ39aとコロ39bとで構成され、原稿読取部33へと向かう原稿に対して、正確な読み取りが実行できるよう、斜め送りを矯正し、好適なタイミングを計って送り出す。
また、レジストローラ対39の箇所のすぐ上流側には、タイミングスイッチ40が備えられている。タイミングスイッチ40は、原稿後端の通過を検知する。このタイミングスイッチ40が得た原稿後端の通過時間情報は、原稿送り部30に設けられた各搬送ローラや駆動部の動作タイミングや動作時間の基準として用いられる。
レジストローラ対39の箇所の下流には、原稿読取部33が設けられている。ここで、原稿供給口31から延びる第1原稿搬送路32は、原稿供給装置60、レジストローラ対39、及び原稿読取部33の箇所まで、正面から見て反時計方向に回転するように湾曲している。したがって、第1原稿搬送路32は、原稿読取部33の上流側で図3において左方及び下方に向かって延び、第1原稿搬送路32から続いて延びる第2原稿搬送路34は、原稿読取部33の下流側で右斜め上方に向かって、原稿排出口37及び原稿排出トレイ23まで延びている。
原稿読取部33には、読取ガイド部材41が備えられている。読取ガイド部材41は、原稿読取部33の下方に設けられた本体2の画像読取装置7のコンタクトガラス7aに対向して配置されている。読取ガイド部材41は、原稿幅方向、すなわち原稿搬送装置20の前後方向に長く延び、原稿を案内する部分が下方に凸となる形状をなしている。そして、原稿搬送装置20の、画像読取装置7に対する閉鎖状態において、読取ガイド部材41は、その下方であって、コンタクトガラス7aとの間を搬送される原稿が、コンタクトガラス7aに接触するように案内している。
原稿読取部33に送り込まれた原稿は、第1原稿搬送路32から第2原稿搬送路34へと、図3において読取ガイド部材41の下側の箇所を左方から右方へと移動する最中に、すなわちコンタクトガラス7a上を通過する際、コンタクトガラス7aの下方に配置された読取ユニット(図示せず)により画像データが読み取られる。
第2原稿搬送路34の、原稿読取部33の下流には、原稿切替部35が設けられている。原稿切替部35には、略水平に前後方向に延びる支軸(図示せず)を中心として、垂直面内で揺動可能な切替ガイド42が備えられている。切替ガイド42は、原稿搬送装置20の前後方向、すなわち原稿幅方向に長く延び、原稿搬送方向上流側の先端部の正面から見た垂直断面形状が、原稿を振り分け易いようにくさび形をなしている。また、切替ガイド42は、その背面側に配置された駆動装置であるソレノイド(図示せず)によって駆動せしめられ、原稿搬送方向上流側の先端部を上下に振るように姿勢変更する。
原稿切替部35の下流側であって、第2原稿搬送路34の下流端には、原稿排出口37、及び原稿排出ローラ対43が設けられている。画像データの読み取りが済んだ原稿は、原稿排出ローラ対43によって原稿排出口37から原稿排出トレイ23(図2参照)に排出される。
また、原稿切替部35の下流には、図3において略右方に延びる第2原稿搬送路34に対して右斜め上方に、第3原稿搬送路44が延びている。原稿の、表裏両面の画像データの読み取りが必要な場合、原稿切替部35の切替ガイド42を下方へと姿勢変更し(図4参照)、原稿読取部33で第1面の画像データが読み取られた原稿を、第2原稿搬送路34の途中から第3原稿搬送路44を経て、原稿反転部36へと送り込む。
第3原稿搬送路44の、原稿切替部35の下流には、第1原稿分岐部45が設けられている。第1原稿分岐部45には、第1分岐ガイド46が備えられている。第1分岐ガイド46は、原稿搬送装置20の前後方向(原稿幅方向)に長く延び、第3原稿搬送路44の下流側先端部、すなわち上端部の正面から見た垂直断面形状がくさび形をなしている。また、第1分岐ガイド46は、その下部が原稿搬送装置20のフレームにバネ材(図示せず)で連結されて支持され、この支持部を中心として垂直面内で揺動可能である。この第1分岐ガイド46を支持するバネ材は、原稿の第1分岐ガイド46への当接によって湾曲する程度の弾発力を有している。これにより、第1分岐ガイド46は、原稿が第3原稿搬送路44を通過するとき、下流側先端部、すなわち上端部を図3において右方に振るように姿勢変更する。そして、原稿が第1分岐ガイド46の箇所を通過し終わったとき、或いは原稿が当接していないとき、第1分岐ガイド46は、上端部を左方に振り、図3に示す姿勢を保持する。
第3原稿搬送路44の下流端であって、原稿反転部36との間には、第2原稿分岐部47が設けられている。第2原稿分岐部47には、第2分岐ガイド48が備えられている。第2分岐ガイド48は、原稿搬送装置20の前後方向(原稿幅方向)に長く延び、第3原稿搬送路44の下流側先端部、すなわち図3における右端部の正面から見た垂直断面形状がくさび形をなしている。また、第2分岐ガイド48は、その左側部分に、略水平に前後方向に延びる支軸(図示せず)を有し、この支軸を中心として垂直面内で揺動可能である。そして、第2分岐ガイド48は、第2分岐ガイド48右端部への原稿の当接により、前記支軸中心に揺動可能な程度の重さで形成されている。これにより、第2分岐ガイド48は、原稿が第3原稿搬送路44を通過するとき、下流側先端部、すなわち右端部を図3において上方に振るように姿勢変更する。そして、原稿が第2分岐ガイド48の箇所を通過し終わったとき、或いは原稿が当接していないとき、第2分岐ガイド48は、重力及び図示しないストッパの作用により、右端部を下方に振り、図3に示す姿勢を保持する。
原稿反転部36は、第3原稿搬送路44の下流であって、第2原稿搬送路34下流部の上方に配置され、反転ローラ対49と、反転用トレイ50とを備えている。
反転ローラ対49は、第3原稿搬送路44に対して原稿反転部36の最上流部に配置され、互いに当接し合って原稿を搬送するための搬送ニップを形成する反転ローラ49aと、従動コロ49bとで構成されている。反転ローラ49aは、図示しないモータにより、図3における時計方向及び反時計方向に回転せしめられる。従動コロ49bは、図示しないソレノイドの作用により、その下流側に配置された支軸49cを中心として垂直面内で揺動可能であって、下側に配置された反転ローラ49aとの接触/離間を選択できる。反転用トレイ50は、原稿載置トレイ21のすぐ下方に比較的狭い隙間を隔てて配置され、原稿載置トレイ21と同様に斜め上方に向かって延びている(図2参照)。
原稿反転部36では、第3原稿搬送路44を通って図3において左方から右方へと搬送されてきた原稿の下流部分を反転用トレイ50へと一旦送り込み、その原稿の上流部分が反転ローラ対49の箇所に差し掛かったとき、反転ローラ49aと従動コロ49bとの搬送ニップに原稿を保持した状態で反転ローラ49aの回転を逆転させることにより、原稿の搬送方向を右方から左方へと変更する。
図3において、原稿反転部36及び第2原稿分岐部47の左方であって、第3原稿搬送路44及び原稿読取部33の上方には、第4原稿搬送路51が設けられている。第4原稿搬送路51は、原稿反転部36及び第2原稿分岐部47の箇所から、図3において左方に向かって延び、その先で第1原稿搬送路32の、搬送ローラ対38の上流の箇所に合流している。これにより、第2原稿分岐部47を完全に通過して原稿反転部36で搬送方向が変更された原稿は、第4原稿搬送路51を通り、原稿読取部33の上流側で再度第1原稿搬送路32に送り込まれ、原稿読取部33に到達して、下側の面である第2面の画像データが読み取られる。
一方、第3原稿搬送路44の途中であって、第4原稿搬送路51との分岐部である第2原稿分岐部47の上流側の第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐する形で、第5原稿搬送路52が設けられている。第5原稿搬送路52は、第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐して、切替ガイド42を有する原稿切替部35の下流側で第2原稿搬送路34に合流している。第5原稿搬送路52の途中には、搬送ローラ対53が備えられている。第5原稿搬送路52は、表裏両面の画像データの読取が完了した原稿を、再度原稿反転部36に送り込んでスイッチバックさせることによって、当初原稿載置トレイ21に積み上げられていた状態と表裏を合わせて原稿排出トレイ23に排出すべく、第2原稿搬送路34の原稿排出トレイ23方向に搬送する。
続いて、原稿搬送装置20の原稿搬送動作について、図3に加えて、図4〜図11を用いて説明する。図4は図3と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿載置トレイから搬送した原稿が原稿読取部を経て第3原稿搬送路に進入した状態を示すもの、図5は図4と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が第3原稿搬送路から原稿反転部に進入した状態を示すもの、図6は図5と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が完全に原稿反転部内に搬送された状態を示すもの、図7は図6と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿反転部から搬送した原稿が第4原稿搬送路を経て第1原稿搬送路に進入した状態を示すもの、図8は図7と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、第4原稿搬送路から搬送した原稿が再度原稿読取部を経て第3原稿搬送路に進入した状態を示すもの、図9は図8と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿反転部に進入した原稿後端が第1原稿分岐部の箇所で停止した状態を示すもの、図10は図9と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、原稿が第1原稿分岐部から第5原稿搬送路を経て排出される状態を示すもの、図11は図10と同様の原稿搬送装置の原稿送り部を示す垂直断面正面図にして、連続する2枚の原稿が第1及び第2原稿分岐部で交差する状態を示すものである。なお、図4〜図11では、原稿Dを太い実線で描画している。
表裏一方の画像データのみの読み取りを行う原稿を用いる場合、原稿搬送装置20は図3に示す形態となる。すなわち、図示しないソレノイドを作動させ、原稿切替部35の切替ガイド42の、第2原稿搬送路34に対する上流側先端部を上方に振るように、切替ガイド42を姿勢変更させる。これにより、原稿読取部33の箇所を通過して第2原稿搬送路34に進入した原稿は、第3原稿搬送路44及び原稿反転部36の方に送り出されることはなく、原稿排出ローラ対43によって原稿排出口37から原稿排出トレイ23に排出される。
ここで、両面印刷を行う場合、原稿の表裏両面の画像データを読み取る必要がある。このとき、図4に示すように、原稿切替部35では、切替ガイド42の、第2原稿搬送路34に対する上流側先端部を下方に振るように、切替ガイド42を姿勢変更させる。その結果、原稿読取部33の箇所を通過して第1面の画像データが読み取られた原稿Dは、第2原稿搬送路34の途中から第3原稿搬送路44に進入し、原稿反転部36に向かって搬送される。
第3原稿搬送路44に進入した原稿Dは、図5に示すように、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所を通過する。原稿Dは、第1原稿分岐部45の箇所を通過するとき、第1分岐ガイド46に当接することにより、第1分岐ガイド46を支持するバネ材の弾発力に抗して、図5における右方に上端部を振るように第1分岐ガイド46を姿勢変更させる。また、原稿Dは、第2原稿分岐部47の箇所を通過するとき、第2分岐ガイド48に当接することにより、重力の作用に抗して、上方に図5における右端部を振るように第2分岐ガイド48を姿勢変更させる。
原稿Dは、第2原稿分岐部47を通過すると、原稿反転部36に進入する。原稿Dの上流部は、反転ローラ対49の箇所を経て、反転用トレイ50上に搬送される。
なお、図5に示すように、原稿反転部36に進入する原稿Dの先端が反転ローラ対49の箇所に差し掛かるとき、従動コロ49bは、反転ローラ49aに対して離間している。引き続き、原稿Dの先端が従動コロ49bの箇所を通過すると、図6に示すように、従動コロ49bは、反転ローラ49aと当接して搬送ニップを形成する。したがって、反転ローラ対49を使用して、原稿反転部36に進入した原稿Dを搬送したり、スイッチバックさせて搬送方向の変更を実行したりすることができる。
そして、図6に示すように、原稿反転部36への原稿Dの搬送が完了すると、原稿D後端が反転ローラ対49の搬送ニップを通過する前に、その搬送ニップに原稿Dの上流部を挟んだ状態で反転ローラ49aを逆転させ、原稿Dをスイッチバックさせる。なお、この原稿Dのスイッチバックのタイミングは、レジストローラ対39の箇所のすぐ上流側に設けられたタイミングスイッチ40が得た原稿D後端の通過時間情報を基準として計られている。
原稿反転部36でスイッチバックされ、方向転換された原稿Dの先端は、続いて第2原稿分岐部47に到達する。これより前、第3原稿搬送路44から原稿反転部36に原稿Dが移動するとき、原稿D後端が第2原稿分岐部47の箇所を完全に通過すると、第2分岐ガイド48は、重力及び図示しないストッパの作用により、右端部を下方に振り、図7に示す状態に姿勢変更して第3原稿搬送路44を閉塞している。したがって、原稿反転部36でスイッチバックされ、方向転換された原稿Dは、第3原稿搬送路44に進入することなく、第4原稿搬送路51に進入する。
続いて、原稿Dは、図7に示すように、搬送ローラ対38の上流で第4原稿搬送路51から再度第1原稿搬送路32に送り込まれる。そして、原稿D先端が搬送ローラ対38の搬送ニップに挿通されると、原稿反転部36の反転ローラ対49の箇所では、従動コロ49bが、反転ローラ49aに対して離間する。
第4原稿搬送路51から第1原稿搬送路32に搬送された原稿Dが、図8に示すように再度原稿読取部33の箇所を通過するとき、第2面の画像データの読み取りが実行される。このとき、原稿切替部35では、切替ガイド42の、第2原稿搬送路34に対する上流側先端部を下方に振るように、切替ガイド42を姿勢変更させたままである。したがって、第2面の画像データが読み取られた原稿Dは、第2原稿搬送路34の途中から再度第3原稿搬送路44に進入し、原稿反転部36に向かって搬送される。
再度第3原稿搬送路44に進入した原稿Dは、第1原稿分岐部45の箇所を通過する。原稿D先端が第2原稿分岐部47の箇所を通過して原稿反転部36に進入すると、原稿反転部36の反転ローラ対49の箇所では、従動コロ49bが反転ローラ49aに当接して搬送ニップを形成する。そして、タイミングスイッチ40から得た時間情報に基づき、図9に示すように、原稿D後端が第2原稿分岐部47の箇所を通過する前に、原稿Dの搬送を停止させる。このとき、第1原稿分岐部45では、原稿D後端が第1分岐ガイド46の箇所を通過し終わっているので、第1分岐ガイド46が、バネ材の作用によって上端部を左方に振り、図9に示す姿勢を保持している。
この後、原稿反転部36の反転ローラ対49を逆転すると、原稿Dは、スイッチバックされ、図10に示すように、第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐して、第5原稿搬送路52に進入する。そして、原稿Dは、第2原稿搬送路34の下流部を経て、原稿排出ローラ対43によって原稿排出口37から原稿排出トレイ23(図2参照)に排出される。
なお、第5原稿搬送路52に進入した原稿Dの先端が、第5原稿搬送路52途中の搬送ローラ対53の搬送ニップに挿通されると、原稿反転部36の反転ローラ対49の箇所では、従動コロ49bが、反転ローラ49aに対して離間する。
これに関連して、連続して複数枚の原稿Dの、表裏両面の画像データを読み取るとき、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所では、図11に示す状態になることがある。図11では、第2面の画像データの読み取りが済んだ前の原稿D1の先端が第5原稿搬送路52途中の搬送ローラ対53の搬送ニップに挿通され、原稿反転部36の従動コロ49b及び反転ローラ49aが離間している。これと同時に、原稿読取部33における第1面或いは第2面の読み取りが途中の状態にある次の原稿D2が、第3原稿搬送路44を経て、第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所に進入している。第1原稿分岐部45及び第2原稿分岐部47の箇所では、下側を通過する前の原稿D1と上側を通過する次の原稿D2とが擦れ合うように交差している。これにより、原稿搬送の時間短縮を図ることができる。
また、連続して複数枚の原稿Dの、表裏両面の画像データを読み取るとき、原稿切替部35の切替ガイド42は、最初の原稿Dの画像データ読取開始時、図4に示すように、第2原稿搬送路34に進入する原稿を第3原稿搬送路44に送り込むように姿勢変更する。そして、切替ガイド42は、最終の原稿Dの排出終了後、図3に示すように、第2原稿搬送路34に進入する原稿を原稿排出トレイ23方向に搬送するように姿勢変更する。
上記のように、原稿搬送装置20は、原稿Dを原稿載置トレイ21から原稿読取部33まで搬送する第1原稿搬送路32と、原稿Dを原稿読取部33から原稿排出トレイ23まで搬送する第2原稿搬送路34と、原稿Dをスイッチバックさせて搬送方向を変更する原稿反転部36と、原稿Dを第2原稿搬送路34の途中から原稿反転部36まで搬送する第3原稿搬送路44と、第2原稿搬送路34の途中に設けられ、原稿Dを原稿排出トレイ23方向または第3原稿搬送路44に振り分ける切替ガイド42と、原稿反転部36でスイッチバックさせた原稿Dを原稿読取部33の上流側で再度第1原稿搬送路32に送り込む第4原稿搬送路51と、第3原稿搬送路44の途中であって、第4原稿搬送路との分岐部である第2原稿分岐部47より上流側の第1原稿分岐部45で第3原稿搬送路44から分岐して、切替ガイド42の箇所の下流側で第2原稿搬送路34に合流するとともに、原稿反転部36でスイッチバックさせた原稿Dを第2原稿搬送路34の原稿排出トレイ23方向に搬送する第5原稿搬送路52とを備えているので、装置内で上下方向に延びる第3原稿搬送路44と第5原稿搬送路52とが非常に近接した構造にすることが可能である。これにより、原稿搬送路が形設された部分である原稿送り部30を小型化でき、さらに原稿搬送装置20全体を小型化することが可能であって、使用する材料、部品を低減することができる。また、第2面を読み終えた原稿Dの表裏を反転させて排出するとき、画像読取部33の下流において通過する分岐部を、3箇所に低減することができる。これにより、ジャムの発生を抑制することができ、分岐部における原稿D後端の搬送ガイドへの衝突音も低減可能である。さらに、原稿Dの搬送距離を短くすることができるので、原稿読取に掛かる処理時間を短縮でき、且つ原稿反転部36で原稿Dを反転させるローラの駆動時間を短縮することも可能である。このようにして、小型化、低コスト化が図られ、原稿搬送に係る安定性、高速化、低騒音化が高められた原稿搬送装置20を提供することができる。
また、原稿Dを、表裏両面の画像データを読み取るべく搬送するとき、切替ガイド42は、最初の原稿Dの画像データ読取開始時、第2原稿搬送路34に進入する原稿Dを第3原稿搬送路44に送り込むように姿勢変更し、最終の原稿Dの排出終了後、第2原稿搬送路34に進入する原稿Dを原稿排出トレイ23方向に搬送するように姿勢変更するので、切替ガイド42の姿勢変更に係る駆動機構の動作回数を少なくすることができる。これにより、動作音の低減や、駆動源の発熱に起因する搬送ガイドの変形の抑制を図ることができる。したがって、原稿搬送に係る低騒音化、搬送安定性を高めることが可能になる。また、切替ガイド42の駆動機構の動作回数を少なくできることは、ソレノイドやモータなどといった駆動源として短寿命のものを選択できるので、さらに低コスト化を図ることが可能である。
そして、原稿反転部36が、互いに当接し合って原稿Dを搬送するものであって、互いの接触/離間が選択可能な反転ローラ49a及び従動コロ49bを備え、この反転ローラ49a及び従動コロ49bは、原稿Dを原稿反転部36から第5原稿搬送路52に向かって搬送するとき、原稿D先端が他の搬送ローラ対53の箇所に到達するとともに互いが離間するので、その後直ちに、反転ローラ49aの箇所に、次の原稿Dを送り込むことができる。これにより、連続して原稿読取部33の箇所を通過する原稿Dの間隔を短くすることができる。したがって、原稿読取に掛かる処理時間をより一層短縮することができ、原稿搬送装置20の高速化をさらに向上させることが可能である。
また本発明では、上記原稿搬送装置20を画像形成装置1に搭載したので、小型化、低コスト化が図られ、原稿搬送に係る安定性、高速化、低騒音化が高められた信頼性の高い画像形成装置1を得ることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、原稿搬送装置20を搭載した画像形成装置1は、上記実施形態ではブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置であるが、このような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリーラック方式のカラー印刷用画像形成装置であっても構わない。