JP4945123B2 - 吸音ボード - Google Patents

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本発明は吸音ボードに関し、更に詳細には鉄筋コンクリート製又は木造の建造物における室やホールなどに内壁として設置され、室又はホール内の音が外に漏洩するのを防止したり、室又はホール内の音響効果のために音を吸収する吸音ボードに関する。
従来、鉄筋コンクリート製又は木造の建造物における室、コンサートホール或いは音響スタジオなどには、発生する音を外に漏れ難くしたり、室又はホール内の音響効果のために吸音材が内装材又は下地材として設置されている。一般的に、吸音材は大別して次の三つのタイプがある。第1のタイプの吸音材は、空気の通る小さな孔をたくさんもつ多孔質型で、グラスウール、綿や布などである。この多孔質型吸音材は、高音をよく吸収するが、低音には効果が少ない。第2のタイプの吸音材は、振動板型と呼ばれ、ある周波数の音に共振して振動する薄くて軽い板であり、該板が共振する周波数付近の音を吸収する。振動板型吸音材では、主に低音域における共振周波数の音を吸収する。第3のタイプの吸音材は、壺や瓶のような共鳴器型である。この共鳴器型吸音材も、ある周波数の音に対して共振するので、その周波数付近の音を吸収する。こ共鳴器型吸音材は振動板型吸音材よりも狭い周波数範囲の音を吸収し、吸音率も高い。
ところで、特許文献1には、吸音材として用いるための有孔パネル構体が開示されている。この有孔パネル構体は、複数の発泡スチロール製ケースを相互に所定の間隔をあけて配列したケース複合体を合板や不燃板からなる矩形の有孔ボードの裏面に接着剤で接着し、各ケースと有孔ボードとの間にはグラスウール或いはロックウールなどの吸音材を充填して構成されたものである。
特開2004−270261号公報
特許文献1に開示された有孔パネル構体では、有孔ボードの裏面に設置される発泡スチロール製のケース複合体が、複数のケースを組み合わせて形成されていることからこのケース複合体を製作するのに手間が掛かり、したがってその製造コストも高価になる、という問題があった。
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、吸音性能を低下させずに構造を単純化し、それにより製作が容易でかつ安価な吸音ボードを提供することにある。
この発明は、表裏面を貫通する多数の吸音孔が形成された多孔金属板と、平行な2つの取付け面を有し、一方の前記取付け面が前記多孔金属板の前記裏面に固着された少なくとも2つのスペーサ部材と、前記多孔金属板における前記表面の外形とほぼ同じ外形を有すると共に前記多孔金属板の前記裏面に対面しかつ該裏面にほぼ並行に配置され、前記スペーサ部材における他方の前記取付け面に固着された吸音体とを含む吸音ボードである。
かかる発明の特徴は、前記吸音体が、20〜40重量%のポリオレフィン系合成樹脂と、平均粒径が30〜100μmの範囲にある40〜60重量%の紙パウダーと、平均粒径が5〜150μmの範囲にある20〜30重量%の親水性合成高分子とを含み、前記ポリオレフィン系合成樹脂、前記紙パウダー、及び前記親水性合成高分子を混合加熱して110〜170℃の高温溶融物とすると共に該高温溶融物に水を混入して得られる発泡部材で形成されていることにある。
本発明の実施形態に係る吸音ボードでは、前記スペーサ部材を介して張り合わせた前記多孔金属板と前記発泡部材との間の空間部に繊維状材料が充填されている。また、本発明に係る他の実施形態の吸音ボードでは、前記多孔金属板が、3〜7mmの厚みのアルミニウム板であり、前記多孔金属板に形成される前記吸音孔の総面積が、前記多孔金属板の単位面積(m)あたり15〜40%である。さらに、本発明に係る他の実施形態の吸音ボードでは、前記繊維状材料が、セルロースファイバーである。
この発明に係る吸音ボードでは、多孔金属板の表面が室内側に向くように配置される。室内で発生した音は、空気の振動となって伝搬し、空気振動の一部は多孔金属板を振動することにより吸収され、また空気振動の一部は多孔金属板の多数の吸音孔を通って吸音体に衝突する。吸音体は、ポリオレフィン系合成樹脂と、紙パウダーと、親水性合成高分子とを含み、これらを混合加熱して高温溶融物にすると共にこの高温溶融物に水を混入して得られる発泡部材から形成されているため、表面には無数の小さな凹部が形成され、また内部には無数の気泡が形成されていることから発泡部材が多孔質型吸音材および共鳴器型吸音材として機能し、伝搬された空気振動が吸収され、その結果、吸音される。この吸音ボードは、多孔金属板にスペーサ部材を介して発泡部材からなる吸音体を張り合わせているだけなので、構造が非常に単純で、従来の吸音構造体に比べて容易にかつ安価に製作することができる。
また、多孔金属板と吸音体との間に形成されている空間部に繊維状材料を充填した本発明の吸音ボードでは、繊維状材料が多孔質型吸音材として機能すると共に多孔金属板の振動を繊維状材料で吸収するため、より吸音効果が高まる。このような吸音ボードは、多孔金属板と吸音体との間の空間部に繊維状材料を充填するだけなので、構造が複雑化することもなく、従って製作の容易性を低下させることはない。
以下、本発明の吸音ボードを図に示される実施形態について更に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る吸音ボード10を概略的に示す斜視図、図2は図1の2−2線で切断して示す吸音ボード10の断面図である。図1,2において吸音ボード10の縦方向をY、横方向をX、厚み方向をZで示している。この吸音ボード10は、表裏面11a,11bを貫通する多数の吸音孔12を有する多孔金属板、即ちパンチングメタル11と、この多孔金属板11における表面11aの外形とほぼ同じ外形を有すると共に多孔金属板11の裏面11bに対面し、かつほぼ並行に配置された吸音体13とを備えている。
多孔金属板11と吸音体13とは、2つのスペーサ部材14を介して相互に固着され、一体化されている。各スペーサ部材14は、多孔金属板11と吸音体13の横方向Xにおける対面する側縁部どうしの間に、横方向Xにおける外側面が多孔金属板11および吸音体13の横方向Xに向いた側面と同一面になるように、また縦方向Yにおける両端面が多孔金属板11および吸音体13の縦方向Yに向いた端面と同一面になるように配置されている。スペーサ部材14の横方向Xにおける寸法は多孔金属板11および吸音体13のそれよりも小さく、したがって2つのスペーサ部材14どうしは間隔をあけている。スペーサ部材14は2つの取付け面14a,14bを有し、一方の取付け面14aが多孔金属板11の裏面に、また該取付け面14aとは反対側に位置する他方の取付け面14bが吸音体13の表面に接着され、それら多孔金属板11、吸音体13およびスペーサ部材14が一体化されている。
吸音体13は、20〜40重量%のポリオレフィン系合成樹脂と、平均粒径が30〜100μmの範囲にある40〜60重量%の紙パウダーと、平均粒径が5〜150μmの範囲にある20〜30重量%の親水性合成高分子とを含み、ポリオレフィン系合成樹脂、紙パウダー、及び親水性合成高分子を混合加熱して110〜170℃の高温溶融物とすると共に該高温溶融物に水を混入して得られる発泡部材15で形成されている。この発泡部材15は、図3および図4に示されている。
このような発泡部材15を多孔金属板11の表面に接着剤などで直接貼り付けようとすると発泡部材15の表面が脆いため、接着状態が悪く、必要な接合強度を得ることができない。そこで、吸音体13として用いられる発泡部材15は、多孔金属板11にスペーサ部材14を介して取り付けられる。
発泡部材15を示す図3および図4では、図1および図2と同様に縦方向をX、横方向をY、厚み方向をZで示している。発泡部材15は、所定の厚み寸法を有する縦方向Yへ長い略矩形を呈し、ポリオレフィン系合成樹脂と、紙パウダーと、親水性合成高分子と、それらを加熱下に混合した高温溶融物に混入する水とから構成されている。発泡部材15の内部には、多数の独立した気泡15aが形成されている。気泡15aは、その形状や大きさが一様ではなく、縦横方向Y,Xと厚み方向Zとに不連続かつ不規則に延びている。発泡部材15の内部では、親水性高分子が気泡15aを包被する膜15bを形成している。発泡部材15は、その燃焼カロリーが4500cal/g以上であって6000cal/g以下の範囲にあり、その比重が0.025g/cm以上であって0.040g/cm以下の範囲にある。発泡部材15は、その帯電電圧が2.0〜2.4KVの範囲にあり、帯電した発泡部材15の帯電電圧減衰時間が1.8〜2.0秒の範囲にある。
図3,4では発泡部材15における無機化合物と紙パウダーとが目視不能であるのでそれらの図示を省略している。発泡部材15は、単位体積当たりの発泡倍率が5〜60倍に範囲にある。発泡倍率は、5〜40倍の範囲にあることが好ましい。発泡倍率が5倍未満では、発泡部材15の内部に気泡15aが十分に形成されず、発泡部材15の硬度が増加してそれのクッション性が低下する。発泡倍率が60倍を超過すると、発泡部材15の強度が著しく低下する。発泡部材15は、独立気泡が50%以上であり、平均気泡径が2.0mm以下である。独立気泡率は、60%以上が好ましく、平均気泡径は、1.5mm以下が好ましい。
ポリオレフィン系合成樹脂には、ポリプロピレンとポリエチレンとのうちのいずれか一方、または、それらを所与の割合で混合したものを使用することができる。ポリプロピレンには、ブロック重合ポリプロピレン、ランダム重合ポリプロピレン、ホモ重合ポリプロピレン、メタロセン−ポリプロピレン、のうちから選択された少なくとも1種類を使用することができる。ポリエチレンには、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒ポリエチレン、変成ポリエチレン、エチレンビニルアセテート(EVA)のうちから選択された少なくとも1種類を使用することができる。
なお、ポリプロピレンには、線状ポリプロピレンとイソプレンとラジカル重合開始剤とを反応させた改質ポリプロピレンを使用することもできる。線状ポリプロピレンには、プロピレンの単独重合体や共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体のうちの少なくとも1つを使用することができる。ラジカル重合開始剤には、過酸化物やアゾ化合物を使用することができる。
ポリオレフィン系合成樹脂は、それが改質物質を含有していてもよい。改質物質は、ポリオレフィン系合成樹脂の全重量に対するその重量比が0.1重量%以上かつ10重量%以下の範囲にあることが好ましい。改質物質は、ポリオレフィン系合成樹脂と相互に親和性を有する樹脂で、そのメルトフローインデックスが0.1〜15g/10分の範囲にあり、ポリオレフィン系合成樹脂の流動性を向上させることができる。また、改質物質は、無機化合物と紙パウダーとをポリオレフィン系合成樹脂に接着するバインダーとして機能する。改質物質には、エチレン−プロピレンエラストマー、水素添加スチレン−ブタジエンラバー、スチレン−エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックポリマーのうちの少なくとも1つを使用することができる。
水素添加スチレン−ブタジエンラバーやスチレン−エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロックコポリマーは、エチレンとブテン−1とから形成されたランダム性の高い共重合体であり、ポリマー分子中に二重結合を持たず、かつ、低結晶性で柔軟性のある透明性の高い合成樹脂である。無機化合物には、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、マイカ、クレー等のうちの少なくとも1つを使用することができる。無機化合物は、発泡部材14の平均気泡径を調整する発泡核剤となる。
紙パウダーには、広葉樹パルプと針葉樹パルプとのうちの少なくとも一方を原料としてそれらパルプを粉状に粉砕したセルロース主体の粉砕パルプが使用されている。なお、紙パウダーには、古紙を粉状に粉砕したものを使用することもでき、粉砕パルプと古紙を粉状に粉砕したものとを所定の割合で混合したものを使用することもできる。広葉樹パルプや針葉樹パルプを原料とした紙パウダーは、リグニン成分が1%以下のものを使用することが好ましく、古紙を原料とした紙パウダーは、セルロース成分が95重量%以上含まれていることが好ましい。
パルプは、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半化学的パルプ、化学的パルプのいずれであってもよい。古紙には、新聞古紙や雑誌古紙、印刷古紙、包装古紙、段ボール古紙、OA古紙等を使用することができる。
親水性合成高分子には、ポリビニルアルコールとアクリル酸塩とマレイン酸塩とのうちの少なくとも1つが使用されている。なお、親水性合成高分子に代えて、親水性天然高分子を使用することもできる。親水性天然高分子には、デンプンを使用することが好ましい。デンプンには、特に限定はなく、とうもろこし、さつまいも、バレイショ、小麦、大麦、米等に含まれるデンプンを使用することができる。親水性天然高分子には、デンプンの他に、ニカワや天然ゴム、寒天を使用することもできる。
水は、水道水を使用することができる。水には、特に限定はなく、軟水や硬水、純水のいずれであっても使用することができる。
発泡部材15は、ポリオレフィン系合成樹脂と紙パウダーと親水性合成高分子とを加熱下に混合し、それらの高温溶融物に水を混入することにより製造することができるが、その際の溶融物には、合成樹脂に紙パウダーと親水性合成高分子とが略均一に分散している。発泡部材15は、押出機(図示せず)を使用して製造され、押出機の先端部に取り付けられたダイから押し出すことで、板状に成形される。発泡部材15は、ダイの形状によって、板状のみならず、シート状やペレット状に成形することができる。
合成樹脂と紙パウダーと親水性合成高分子との重量比は、合成樹脂が20重量%以上であって40重量%以下、紙パウダーが40重量%以上であって60重量%以下、親水性合成高分子が20重量%以上であって30重量%以下の範囲にある。合成樹脂と紙パウダーと親水性合成高分子とを混合した溶融物に対する水の重量比は、10重量%以上であって30重量%以下の範囲にある。
合成樹脂が20重量%未満では、溶融物の内部における発泡が不十分となり、発泡部材15にわずかしか気泡15aが形成されず、断熱性能が低下する。合成樹脂が40重量%を超過した場合では、紙パウダーや親水性合成高分子よりも燃焼カロリーが高い合成樹脂の割合が増え、発泡部材15の燃焼カロリーが6000cal/gを超過してしまう場合がある。
紙パウダーが60重量%を超過しかつ親水性合成高分子が30重量%を超過した場合では、加熱しても流動性を示さない紙パウダーと親水性合成高分子とが押出機の内部における合成樹脂の流動性を妨げ、押出機の内部において合成樹脂と紙パウダーと親水性合成高分子とが均一に混合されない場合がある。紙パウダーが40重量%未満かつ親水性合成高分子が20重量%未満では、発泡部材15の比重が0.025g/cmを超過してしまう場合がある。
紙パウダーは、その平均粒径が30μm以上であって100μm以下の範囲にある。紙パウダーの平均粒径が30μm未満の場合では、パルプや古紙を30μm未満の粒径に加工するために複数の工程を必要とするので、紙パウダーの生産コストが高くなってしまう。その結果、発泡部材15の生産コストが上昇する。紙パウダーの平均粒径が100μmを超過した場合では、紙パウダーが合成樹脂の中で分散不良を起こし、紙パウダーが合成樹脂の中に嵩高な継粉を形成する場合があり、発泡部材15の内部に紙パウダーの塊が形成され、発泡部材15が脆弱となってその耐衝撃性が低下してしまう。
親水性合成高分子は、その平均粒径が5μm以上であって150μm以下の範囲にある。親水性合成高分子の平均粒径が5μm未満の場合では、親水性合成高分子を5μm未満の粒径に加工するために複数の工程を必要とするので、使用する親水性合成高分子の生産コストが高くなってしまう。親水性合成高分子の平均粒径が150μmを超過した場合は、親水性合成高分子が合成樹脂の中で分散不良を起こし、親水性合成高分子が合成樹脂の中に嵩高な継粉を形成する場合があり、発泡部材15の内部に親水性合成高分子の塊が形成されてしまう。
押出機内において水を混入する以前の溶融物の温度は110℃以上〜170℃以下の範囲にあることが好ましい。溶融物の温度が110℃未満では、混入する水の量にもよるが、水が溶融物の内部で瞬時に気化せず、溶融物の内部に多数の気泡15aを作ることができない。溶融物の温度が170℃を超過した場合では、合成樹脂や紙パウダー、親水性合成高分子の性状が温度によって変化し、特に、紙パウダーが黄ばんだり、黒ずんだりすることで、発泡部材15自体が変色してしまう。
発泡部材15を製造するとき、押出機に発泡部材15を着色する着色剤や発泡部材15の嵩を増すための増量剤、合成高分子からなる相溶剤を混入することもできる。相溶剤は、合成樹脂と相互に親和性を有するもので、合成樹脂と混合物を形成し、合成樹脂の流動性を向上させることができ、合成樹脂と紙パウダーとを接着するバインダーとしての作用を有する。相溶剤の溶融物に対する重量比は、3重量%以上であって5重量%以下の範囲にあることが好ましい。発泡部材15の製造方法では、押出機にポリオレフィン系合成樹脂と紙パウダーと親水性合成高分子とを投入し、それらを加熱下に混合するとともに、それらの高温溶融物に水を加えるだけなので、その製造が簡単である。この製造方法では、水の気化を利用して発泡を行っているので、環境に与える負荷を少なくすることができ、さらに、窒素ガスやプロパン、ブタン等の液化ガスを使用していないので、製造時の安全性が向上する。
多孔金属板11は、板厚が3〜7mmのアルミニウム板で形成され、このアルミニウム板に表裏面11a,11bを貫通する多数の吸音孔12が形成されている。多孔金属板11の板厚が3mm未満であると強度が低下するので好ましくない。また、板厚が7mmを越えると多孔金属板11が振動し難くなるので吸音効果が低下する。したがって、多孔金属板11の厚みは、約3mmとすることが好ましい。多孔金属板11は、ステンレス板或いは鋼板などで形成することもできる。
吸音孔12は、直径12.0mmの円形をした開口であり、金属板の表面を打ち抜いて形成されている。この吸音孔12は円形に限定されるものではなく、どのような形状であってもよい。また、多数の吸音孔12は、相互に間隔をあけて規則的に配列されているが、この配列態様には限定されない。しかし、多数の吸音孔12の総面積が、多孔金属板11における表面11aの単位面積(m)に対して15〜40%であることが好ましい。吸音孔12の総面積が多孔金属板11における表面11aの単位面積(m)に対して15%未満になると、吸音孔12を通過して吸音体13へ向かう空気振動が少なくなるので、吸音効果が低下する。また、吸音孔12の総面積が、多孔金属板11における表面11aの単位面積(m)に対して40%を越えると、多孔金属板11の全体強度が低下するため、その厚み寸法を大きくする必要がある。多孔金属板11の厚み寸法が大きくなると多孔金属板11が振動し難くなるので、やはり吸音効果が低下する。
多孔金属板11に吸音体13を固着する際に介在されるスペーサ部材14は、多孔金属板11と吸音体13とのいずれにも堅固に接着可能な材質のものが選択される。その一例として、スペーサ部材14は、スタイロフォームで形成することが好ましいが、他の合成樹脂材料で形成することもできる。この実施形態では、スペーサ部材14の厚み方向Zにおける寸法は、25mmであるが、この厚みが25mmを越えると内装材としての吸音ボード10の厚みが大きくなるため室内の有孔面積を減少させることになる。
上述した実施形態に係る吸音ボード10では、多孔金属板11の表面11aが室内側に向くように配置される。室内で発生した音は、空気の振動となって伝搬し、その一部は、多孔金属板11を振動させて吸収される。多孔金属板11で吸収される音の周波数帯は主に低音域である。また空気振動の一部は、多孔金属板11の多数の吸音孔12を通って吸音体13である発泡部材15に衝突する。発泡部材15の表面には無数の小さな凹部が形成され、また内部には無数の気泡15aが形成されていることから、発泡部材15が多孔質型吸音材および共鳴器型吸音材として機能して、伝搬された空気振動が吸収され、その結果、音が吸収される。この吸音ボード10は、多孔金属板11にスペーサ部材14を介して吸音体13を張り合わせているだけなので、構造が非常に単純で、従来の吸音構造体に比べて容易にかつ安価に製作することができる。
また、上述した発泡部材15は、内部に形成されている気泡15aにより優れた断熱作用も併せ持っているため室内の壁材として吸音ボード10を設置したとき断熱材としてもその効果を発揮するので、断熱材を別途設置する必要性がなく、経済的である。
図5は、本発明に係る他の実施形態の吸音ボード20を示す図1と同様な斜視図であり、図6は、図5の6−6線で切断して示すこの吸音ボード20の断面図である。図5および図6に示される吸音ボード20では、多孔金属板11と吸音体13と2つのスペーサ部材14とによって画成された空間部21内に、例えばセルロースファイバーからなる繊維状吸音材22が詰められている。
この実施形態に係る吸音ボード20において、繊維状吸音材22が空間部21に詰められていることの他は、図1および図2に示された吸音ボード10と同じであるので、他の構成要素については図5及び図6に同一の参照符号を付してその説明を省略する。この実施形態の吸音ボード20では、繊維状吸音材22としてセルロースファイバーを用いているが、それに限定されるものではなく、例えばグラスウール、合成繊維、或いは半合成繊維などを用いてもよい。
この実施形態の吸音ボード20によると、室内で発生した音は、空気の振動となって伝搬し、その一部は、多孔金属板11を振動させて吸収される。また空気振動の一部は、多孔金属板11の多数の吸音孔12を通って繊維状吸音材22に衝突しながら通過する。繊維状吸音材22は、多孔質型吸音材として機能し、繊維状吸音材22に衝突した空気振動は、これを振動させることにより吸収される。繊維状吸音材22は多孔質型吸音材として機能することから吸収する音の周波数帯域は主に高音域である。さらに、繊維状吸音材22を通り抜けた空気の振動は発泡部材15からなる吸音体13に衝突し、前述したように吸収される。このように、この実施形態の吸音ボード20では、多孔金属板11で低音域の音が吸収され、繊維状吸音材22で高音域の音が吸収される、さらに発泡部材15からなる吸音体13により共振周波数の帯域の音が吸収されるため、図1に示される実施形態の吸音ボード10よりも優れた吸音効果を発揮すると共に断熱性能も向上する。
前述した各実施形態に係る吸音ボード10,20では、多孔金属板11と吸音体13とを張り合わせるスペーサ部材14として、吸音体13の両側縁部に沿ってその上下端部にまで延びる細長い部材を用いたが、本発明ではこのような形のスペーサ部材に限定されるものではない。例えば、図7に示されるように相反する方向に向いた2つの取付け面が円形をした複数のスペーサ部材24を相互に間隔をあけ、一方の取付け面を吸音体13の表面に接着し、多孔金属板11をスペーサ部材24の他方の取付け面に接着して、多孔金属板11、吸音体13およびスペーサ部材24を一体化させてもよい。
また、取付け面が円形をしたスペーサ部材24の介在により形成された多孔金属板11と吸音体13との間の空間部21に、図5および図6に示される実施形態と同じように繊維状の吸音材22を充填してもよい。
前述した本発明の各実施形態に係る吸音ボード10,20は、説明の便宜上、一枚の吸音ボードとしてその構造を説明したが、建造物における室やホールなどに内壁として設置するときには、一枚の吸音ボードをブロックとし、多数のブロックを連結して施工される。したがって、一枚の吸音ボードの大きさや形は(表面の広さや形状)は、図1,図2などに示されている例に限定されるべきではない。
本発明の吸音ボードにおける一実施形態を概略的に示す斜視図。 図1に示す吸音ボードを2−2線で切断して示す概略的な断面図。 吸音体を構成する発泡部材を示す斜視図。 図3に示す発泡部材を4−4線で切断して示す断面図。 本発明の他の実施形態である吸音ボードを概略的に示す図1と同様な斜視図。 図5に示す吸音ボードを6−6線で切断して示す概略的な断面図。 本発明の他の実施形態である吸音ボードを概略的に示す図1と同様な斜視図。
符号の説明
10,20 吸音ボード
11 多孔金属板
11a 多孔金属板の表面
11b 多孔金属板の裏面
12 吸音孔
13 吸音体
14,24 スペーサ部材
14a,14b 取付け面
15 発泡部材
15a 気泡
21 空間部
22 繊維状吸音材

Claims (4)

  1. 表裏面を貫通する多数の吸音孔が形成された多孔金属板と、平行な2つの取付け面を有し、一方の前記取付け面が前記多孔金属板の前記裏面に固着された少なくとも2つのスペーサ部材と、前記多孔金属板における前記表面の外形とほぼ同じ外形を有すると共に前記多孔金属板の前記裏面に対面しかつ該裏面にほぼ並行に配置され、前記スペーサ部材における他方の前記取付け面に固着された吸音体とを含み、
    前記吸音体が、20〜40重量%のポリオレフィン系合成樹脂と、平均粒径が30〜100μmの範囲にある40〜60重量%の紙パウダーと、平均粒径が5〜150μmの範囲にある20〜30重量%の親水性合成高分子とを含み、前記ポリオレフィン系合成樹脂、前記紙パウダー、及び前記親水性合成高分子を混合加熱して110〜170℃の高温溶融物とすると共に該高温溶融物に水を混入して得られる発泡部材で形成されていることを特徴とする吸音ボード。
  2. 前記スペーサ部材を介して張り合わされた前記多孔金属板と前記発泡部材との間の空間部に繊維状材料の吸音材が充填されている請求項1に記載の吸音ボード。
  3. 前記多孔金属板が、3〜7mmの厚みのアルミニウム板であり、前記多孔金属板に形成される多数の前記吸音孔の総面積が、前記多孔金属板の単位面積(m)あたり15〜40%である請求項1又は2に記載の吸音ボード。
  4. 前記繊維状材料からなる前記吸音材が、セルロースファイバーである請求項2又は3に記載の吸音ボード。
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