JP4910969B2 - 吸音構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、吸音構造体に関するものであり、特に、薄型でなおかつ低音域の吸音特性に優れた吸音構造体に関するものである。
従来、吸音材として、グラスウール等の繊維系材料、多孔質材料または制振性樹脂組成物等からなるシートの背面側に、背後空気層を設けた吸音材が知られている。
繊維材料または多孔質材料からなるシートを備えた吸音材は、周波数が低くなるにつれて吸音率が低下する傾向があるので、低周波帯域の音を効率良く吸音させるために、繊維材料または多孔質材料からなるシートの厚みを大きくし、かつ充分な厚みの背面空気層を設ける必要がある。
また、下記特許文献1に示すような制振性樹脂組成物からなるシートを備えた吸音材においては、制振性樹脂組成物からなる樹脂シートの表面側から音による空気振動が印加された際に、樹脂シート自体が1次モードの振動を起こすことが知られている。この1次モード振動によって生じる吸音ピークの周波数は、樹脂シートの剛性や、樹脂シートと背後空気層とのバランスによって決まるので、例えば比較的低周波数の音を吸音するためには、一定の厚み以上の背後空気層が必要になると考えられている。
特開2006−52377号公報
このように、従来の吸音材においては、500Hz以下の低音域の音を効率良く吸音するために、背後空気層の厚みを相当大きくする必要があり、吸音材の薄型化と、低音域の吸音特性の向上の両立を図ることが困難な状況であった。
また、吸音材を設計するにあたっては、従来、評価指標として主に垂直入射吸音率が用いられているが、実際の吸音材の使用に際しては音がランダムな方向から入射するのが普通であることから、吸音材の設計に際して、垂直入射吸音率による評価だけでは不十分な場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、薄型化と、低音域の吸音特性の向上の両立を図るとともに、ランダム入射吸音率を向上することが可能な吸音構造体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の吸音構造体は、マトリックスポリマー中に有機低分子材料が分散されてなる有機ハイブリッドシートと、前記有機ハイブリッドシートの裏面側に隣接する気密空気室とが備えられ、前記有機ハイブリッドシートの表面側から音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率が0.3以上の吸音ピークと、前記吸音ピークよりも高周波帯域側においてランダム入射吸音率が0.3以上の別の吸音ピークとが同時に発現するように、前記有機ハイブリッドシートが前記気密空気室に対して振動自在に取り付けられていることを特徴とする。
また本発明の吸音構造体においては、前記気密空気室が複数備えられ、かつ各気密空気室同士が相互に分離されていることが好ましい。
更に本発明の吸音構造体においては、前記気密空気室が、前記有機ハイブリッドシートの裏面と、前記裏面に対向配置された背面部と、前記背面部の周縁部から前記有機ハイブリッドシート側に向けて立設された壁面部とによって区画形成されてなり、前記壁面部と前記有機ハイブリッドシートの裏面とが密着されていることが好ましい。
更にまた、本発明の吸音構造体においては、前記複数の気密空気室がそれぞれ、前記壁面部によって相互に分離されていることが好ましい。
また、本発明の吸音構造体においては、前記気密空気室の厚みが5mm以上30mm以下の範囲であることが好ましい。
更に、本発明の吸音構造体においては、前記有機ハイブリッドシートの厚みが0.3mm以上3mm以下の範囲であることが好ましい。
更にまた、本発明の吸音構造体においては、前記有機ハイブリッドシートが、塩素化ポリエチレンからなるマトリックスポリマー中にN,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルファミンアミドからなる有機低分子材料が分散されたものか、ポリ塩化ビニルからなるマトリックスポリマー中にフタル酸ジエチルヘキシルからなる有機低分子材料が分散されたものであることが好ましい。
上記の吸音構造体によれば、音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域において吸音率が0.3以上の吸音ピークと、前記吸音ピークよりも高周波帯域側において吸音率が0.3以上の別の吸音ピークとが同時発現するように、有機ハイブリッドシートが気密空気室に対して振動自在に取り付けられており、特にランダム入射吸音率を高めることができるので、低音域における吸音率を向上できる。
また上記の吸音構造体によれば、気密空気室が複数備えられるので、吸音構造体の大面積化が容易になり、建築材料としても利用できる。また、隣接する気密空気室が相互に分離されているので、気密空気室同士の間で空気が流通するおそれがなく、これにより気密空気室同士のクロストークが防止され、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率の吸音ピークを発現させることができる。
更に、上記の吸音構造体によれば、気密空気室の厚みが30mm以下なので、吸音構造体を従来よりも大幅に薄型にすることができる。
更にまた、上記の吸音構造体によれば、有機ハイブリッドシートの厚みが0.3〜3mmの範囲とされているので、シート自体の剛性が適正なものとなり、吸音ピークをより低周波数側にシフトさせることができる。
本発明の吸音構造体によれば、薄型化と、低音域の吸音特性の向上の両立を図るとともに、ランダム入射吸音率を向上することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の吸音構造体を示す分解斜視図であり、図2は、本実施形態の吸音構造体を示す拡大断面模式図であり、図3は、本実施形態の吸音構造体の内部構造を示す拡大平面模式図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の吸音構造体1は、有機ハイブリッドシート2と、有機ハイブリッドシート2の裏面2a側に隣接する気密空気室3とが備えられて概略構成されている。有機ハイブリッドシート2は、その表面2b側から音による空気振動が印加された際に、2つの吸音ピークが同時に発現するように、気密空気室3に対して振動自在に取り付けられている。より具体的には、500Hz未満、好ましくは400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率が0.3以上の吸音ピークと、この吸音ピークよりも高周波帯域側においてランダム入射吸音率が0.3以上の別の吸音ピークとが同時に発現するように、有機ハイブリッドシート2が気密空気室3に対して振動自在に取り付けられている。別の吸音ピークが発現する周波数帯域は、例えば400Hz超が好ましい。
「有機ハイブリッドシート」
有機ハイブリッドシート2は、マトリックスポリマー中に有機低分子材料が分散されて構成されている。有機ハイブリッドシートとしては、塩素化ポリエチレンからなるマトリックスポリマー中にN,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルファミンアミド(以下、DBSという。)からなる有機低分子材料が分散されたものか、ポリ塩化ビニルからなるマトリックスポリマー中にフタル酸ジエチルヘキシル(以下、DEHPという。)からなる有機低分子材料が分散されたものが好ましい。
マトリックスポリマーと有機低分子材料との混合比は、質量比で、80:20〜20:80の範囲が好ましく、50:50〜30:70の範囲がより好ましい。混合比がこの範囲から外れると、有機ハイブリッドシート2に音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率の吸音ピークが発現するように有機ハイブリッドシート2を振動させることが困難になるので好ましくない。
有機ハイブリッドシート2における有機低分子材料は、マトリックスポリマー中で比較的低融点の結晶と、比較的高融点の結晶との2つの結晶相を構成しているものと考えられる。2つの結晶相の融点は、有機低分子材料の材質によって異なるが、有機低分子材料がDBSの場合には、いずれも、50℃〜100℃、好ましくは60℃〜90℃の範囲に含まれるものと考えられる。このように前記の範囲で融点の異なる2種類の結晶相がマトリックスポリマー中に含まれることによって、音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率の吸音ピークと、この吸音ピークよりも高周波帯域側において別の吸音ピークとが同時に発現するように有機ハイブリッドシート2を振動させることが可能になる。
なお、有機ハイブリッドシート2には、マイカ、タルク、カーボンブラック等の無機フィラーを添加しても良い。
上記の有機ハイブリッドシート2は、例えば、マトリックスポリマー、有機低分子材料及び必要に応じて無機フィラーを例えば二軸混練機を用いて混練した後、熱プレスによってシート状に成形することによって製造される。また、マトリックスポリマー、有機低分子材料及び必要に応じて無機フィラーを例えば押出成型機に導入し、押出法によってシート状に成形して製造してもよい。また、成形後のシートに対して熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことで、マトリックスポリマー中の低融点結晶の含有率を増やすことができ、これにより、音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率が0.3以上の吸音ピークと、ランダム入射吸音率が0.3以上の別の吸音ピークとが同時に発現するように有機ハイブリッドシート2を振動させることが可能になる。
有機ハイブリッドシート2の厚みは、0.3mm以上3mm以下の範囲が好ましく、0.5mm以上1.5mm以下の範囲がより好ましい。厚みを0.3〜3mmの範囲にすることによって、シート2自体の剛性が適正なものとなり、吸音ピークをより低周波数側にシフトさせることができる。ここで、厚みが0.3mm未満になると、有機ハイブリッドシート2の剛性が低下して気密空気室3による空気バネの影響が高まり、特に気密空気室3の厚みが小さい場合に吸音ピークが高周波数寄りにシフトしてしまい、400Hz以下の低音域におけるランダム入射吸音率が低下してしまうので好ましくない。また、厚みが3mmを超えると、気密空気室3による空気バネの影響は弱まるが、吸音ピークが高周波数寄りにシフトしてしまい、400Hz以下の低音域におけるランダム入射吸音率が低下してしまうので好ましくない。このように、吸音ピークが極大値を示す周波数は、有機ハイブリッドシート2の剛性と、気密空気室3による空気バネとのバランスによって決まるので、有機ハイブリッドシート2の膜厚と気密空気室3の大きさとの関係を適宜設定すればよい。またこのとき、400Hz超の周波数帯域において別の吸音ピークが同時に発現するように、有機ハイブリッドシート2の膜厚と気密空気室3の大きさ(気密空気室3の厚み及び一辺長)との関係を適宜設定すれば更によい。
「気密空気室」
気密空気室3は、図2及び図3に示すように、有機ハイブリッドシート2の裏面2aと、裏面2aに対向配置された背面部3aと、背面部3aの周縁部から有機ハイブリッドシート2側に向けて立設された壁面部3bとによって区画形成されている。壁面部3bと、有機ハイブリッドシート2の裏面2a及び背面部3aとはそれぞれ、相互に密着されており、これにより気密空気室3が完全に密閉状態になっている。また、本実施形態の吸音構造体1においては、図1及び図3に示すように、複数の気密空気室3がマトリックス状に配列されており、各気密空気室3同士が相互に密閉状態のままで分離されている。
気密空気室3についてより具体的に説明すると、気密空気室3は、有機ハイブリッドシート2と、有機ハイブリッドシート2の裏面2a側に配置された格子状のスペーサ部材4と、スペーサ部材4の有機ハイブリッドシート2側とは反対側に配置された背面板5とが一体化されることによって区画形成されている。
スペーサ部材4は、気密空気室3の壁面部3bを構成する格子状の部材であって、このスペーサ部材4には、マトリックス状に配列された平面視略矩形状の開口部4aが備えられている。また背面板5は、気密空気室3の背面部3aを構成する板状の部材である。スペーサ部材4の複数の開口部4aが、有機ハイブリッドシート2と背面板5とに挟まれて密閉されることによって、複数の気密空気室3が形成されている。各気密空気室3は、壁面部3bによって相互に分離されており、各気密空気室3同士の間では空気の流通が完全に遮断されている。
スペーサ部材4及び背面板5は、金属、木材、樹脂、繊維強化樹脂、セラミックス、これらの複合材など、様々な材質で構成することができる。また、スペーサ部材4及び背面板5は、同一の材質でもよいし異なる材質でもよい。更に、スペーサ部材4のみまたはスペーサ部材4及び背面板5の両方を、有機ハイブリッドシート2と同じ材質で構成してもよい。
また、スペーサ部材4、有機ハイブリッドシート2及び背面板5はそれぞれ、接着剤、両面粘着テープを介して密着させればよい。また、スペーサ部材4及び背面板5が樹脂からなる場合は、これらを相互に熱融着させてもよい。また、スペーサ部材4及び背面板5が金属からなる場合は、これらを相互に溶接、ロウ付けまたはハンダ付けさせてもよい。更に、スペーサ部材4及び背面板5を、金属または樹脂などによって一体に成形してもよい。
気密空気室3の厚みdは、5mm以上30mm以下の範囲が好ましい。気密空気室3の厚みdが5mm未満だと、吸音ピークの周波数が500Hzよりも高音域側にシフトするおそれがあるので好ましくない。また、30mmを超えると、吸音構造体としての厚みが厚くなり、実用性が劣ってしまうので好ましくない。また、気密空気室3のより好ましい厚みは、有機ハイブリッドシート2の材質及び厚みにもよるが、20mm以上30mm以下の範囲がよい。厚みがこの範囲であれば、400Hz以下におけるランダム入射吸音率のピーク値を高めることができる。
また、気密空気室3を平面視したときの一辺長mは、10mmを超えて1000mm未満の範囲が好ましい。一辺長mが10mm以下または1000mm以上になると、音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークが発現するとともに別の吸音ピークが同時に発現するように、有機ハイブリッドシート2を振動させることが困難になるので好ましくない。また、気密空気室3のより好ましい一辺長mは、有機ハイブリッドシート2の材質及び厚みにもよるが、75mm以上150mm以下の範囲がよい。一辺長mがこの範囲であれば、400Hz以下におけるランダム入射吸音率のピーク値を高めることができる。
なお、図1〜3に示す吸音構造体1は、気密空気室3を構成する背面部3aとして背面板5を用いた例であるが、この背面板5に代えて、たとえば建築物を構成する壁面、床面または天井面を用いてもよい。すなわち、建築物を構成する壁面、床面または天井面に、スペーサ部材4を接着剤等で密着させるとともに、スペーサ部材4に有機ハイブリッドシート2を貼り合わせることによって吸音構造体1を構成してもよい。これにより、建築物の躯体自体を吸音構造体1の一部として利用できる。
以上説明したように、上記の吸音構造体1によれば、音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率が0.3以上の吸音ピークと、ランダム入射吸音率が0.3以上の別の吸音ピークとが同時に発現するように、有機ハイブリッドシート2が気密空気室3に対して振動自在に取り付けられているので、低音域におけるランダム入射吸音率を高めることができる。特に、気密空気室3を密閉状態にすることで、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークを確実に発現させることができる。また、400Hz以下の吸音ピークよりも高周波帯域側で別の吸音ピークが発現されるので、比較的広い範囲の音域における吸音率を向上できる。
また、上記構成の有機ハイブリッドシート2を用いることによって、低音域における吸音率を向上できる。
また上記の吸音構造体1によれば、気密空気室3が複数備えられるので、吸音構造体1の大面積化が容易になり、建築材料としても利用できる。また、隣接する気密空気室3が相互に分離されているので、気密空気室3同士の間で空気が流通するおそれがなく、これにより気密空気室3同士のクロストークが防止され、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率の吸音ピークを発現させることができる。
更に、上記の吸音構造体1によれば、気密空気室3の厚みが30mm以下なので、吸音構造体1を従来よりも大幅に薄型にすることができる。
更にまた、上記の吸音構造体1によれば、有機ハイブリッドシート2の厚みが0.3〜3mmの範囲とされているので、シート自体2の剛性が適正なものとなり、吸音ピークをより低周波数側にシフトさせることができる。
なお、上記の気密空気室3の厚みd及び一辺長mはあくまで例示であり、有機ハイブリッドシート2の表面2b側から音による空気振動が印加されたときに400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークが発現するように、有機ハイブリッドシート2が気密空気室3に取り付けられていれば、厚みd及び一辺長mはどのような範囲でもよい。
また、上記の実施形態では、平面視略矩形状の気密空気室3が、マトリックス状に配置された例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、気密空気室3の平面視形状を、円形、楕円形、三角形、長方形、ひし形、平行四辺形、5角形等の多角形、またはこれらの寄せ集めにしてもよい。また、気密空気室3の配列も、マトリックス状に限らず、ランダムに配列してもよい。
更に、気密空気室3の平面視したときの大きさも、上記実施形態のように、吸音構造体1の全ての気密空気室3について同一にしてもよいが、気密空気室3毎に大きさを変更してもよい。更にまた、気密空気室3の厚みdも、上記実施形態のように、吸音構造体1の全ての気密空気室3について同一にしてもよいが、気密空気室3毎に厚みdを変更してもよい。
また、上記の実施形態における吸音構造体1は平板状であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、吸音構造体1を凹面状、凸面状、凸球面状、凹球面状のいずれかの形状にしてもよい。
いずれの場合にも、有機ハイブリッドシート2の表面2b側から音による空気振動が印加されたときに、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークが発現するように、有機ハイブリッドシート2が気密空気室3に取り付けられていればよい。
また、上記の吸音構造体1は、様々な分野に適用することができる。例えば、上記の吸音構造体1は、厚みを従来よりも薄くできることから、自動車や電車などの車両の車内に設置することで、車内の音響環境の改善を図ることができる。特に上記の吸音構造体1は、平板状のみならず曲面状や球面状にもできるので、自動車の内装面などの複雑な形状の面にも装着することができる。
また、電器製品の内部に設置することで、電器製品から発する騒音を低減することが可能になり、電器製品の静音化を図ることができる。
更に、スピーカー、楽器、電子楽器等にも適用することができ、これら楽器等の製品における低音域の音響特性を改善することもできる。
更にまた、上述のように、建築物の躯体に対して直接スペーサ部材を密着させるとともに有機ハイブリッドシートを貼り合わせて、吸音構造体を構成できるので、リスニングルーム、防音室などの設計にも有利である。
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。
以下の実施例では、各種の吸音構造体を評価するにあたって、ランダム入射吸音率を評価指標として用いた。ランダム入射吸音率は、残響室法吸音率とも呼ばれるもので、JIS A 1409に準じた方法により、残響室内で音を出して急に止めた際の、残響音の減衰時間から算出したものである。本実施例では、図4に示すように、容積(V)64m、表面積(S)100m、V/S=0.64の残響室10内の床面10aのほぼ中央に、縦1m、横1mの大きさの実施例及び比較例の吸音構造体11を設置し、吸音構造体11の周囲には20mm厚のアクリル板からなる高さ800mmの拡散板枠12を設置した。そして、音源13を、吸音構造体11から離れた位置に配置した。このようにして、吸音構造体11の表面11aに対して、ランダムな方向から音(音による空気振動)が入射するようにした。
「実験例1」
(実施例1)
塩素化ポリエチレン(以下CPEという)とDBSとが質量比でDBS/CPE=50/50の割合で配合されてなる厚み0.7mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み5mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、縦1m、横1m、厚さ25.7mmの実施例1の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み5mmであった。
(実施例2)
厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例1と同様にして、実施例2の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10mmであった。
(比較例1)
有機ハイブリッドシートに代えて、シリコーンゴムからなる厚み0.7mmのSiゴムシートを用意したこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例1の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み5mmであった。
(比較例2)
有機ハイブリッドシートに代えて、シリコーンゴムからなる厚み0.7mmのSiゴムシートを用意するとともに、厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例2の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10mmであった。
実施例1〜2及び比較例1〜2の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表1及び図5に示す。
表1及び図5に示すように、実施例1では、400Hz付近に、ランダム入射吸音率0.4の吸音ピークが確認されるとともに、1000Hz付近に、ランダム入射吸音率0.56程度の吸音ピークが確認された。
また、実施例2では、315Hz付近に、ランダム入射吸音率0.36を示す吸音ピークが確認されるとともに、630Hz付近に、ランダム入射吸音率0.56の吸音ピークが確認された。
一方、比較例1では、1000Hz付近に、ランダム入射吸音率0.7の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域では吸音ピークが観察されなかった。同様に、比較例2では、630Hz付近に、ランダム入射吸音率0.56の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域では吸音ピークが観察されなかった。
このように、実施例1及び2では、有機ハイブリッドシートを備えることによって、400Hz以下の周波数帯域に吸音ピークが確認されたが、比較例1及び2では、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピーク自体が確認されなかった。このように、有機ハイブリッドシートを備えた実施例1及び2の吸音構造体では、400Hz以下のランダム入射吸音率が優れていることが分かる。
「実験例2」
(実施例3)
CPEとDBSとが質量比でDBS/CPE=50/50の割合で配合されてなる厚み1.0mmの有機ハイブリッドシート2を用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み10mmの木製のスペーサ部材4を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板5を用意した。これら有機ハイブリッドシート2、スペーサ部材4及び背面板5を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、図6(a)に示すような、縦1m、横1m、厚さ31mmの実施例3の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室3(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10mmであった。
(実施例4)
有機ハイブリッドシート2及びスペーサ部材4を接着剤で接合し、スペーサ部材4と背面板5とを厚さ0.1mmの粘土材14を介して重ね合わせたこと以外は実施例3と同様にして、図6(b)に示すような、実施例4の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室3(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10.1mmであった。なお、スペーサ部材4と背面板5との間に粘土材14を配置したことにより、背後空気室の気密状態は充分であった。
(実施例5)
実施例3と同じ有機ハイブリッドシートと、実施例3と同じスペーサ部材を用意し、これら有機ハイブリッドシート2及びスペーサ部材4を重ね合わせて相互に接着剤で接合し、厚み0.1mmの粘土材14を介して有機ハイブリッドシート2及びスペーサ部材4を、図4の残響室10の床面10a上に設置したこと以外は実施例3と同様にして、図6(c)に示すような、実施例5の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室3(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10.1mmであった。なお、床面10aとスペーサ部材4との間に粘土材14を配置したことにより、背後空気室の気密状態は充分であった。
(比較例3)
実施例3と同じ有機ハイブリッドシートと、実施例3と同じスペーサ部材を用意し、これら有機ハイブリッドシート2及びスペーサ部材4を重ね合わせて相互に接着剤で接合し、これら有機ハイブリッドシート2及びスペーサ部材4を残響室の床面10a上に単に設置したこと以外は実施例3と同様にして、図6(d)に示すような、比較例3の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室3(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10mmであった。なお、スペーサ部材4と残響室の床面10aとの間には僅かな隙間があり、このため背後空気室の気密状態は不十分であった。
実施例3〜5及び比較例3の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表1及び図7に示す。
表1及び図7に示すように、実施例3では、315Hz付近にランダム入射吸音率0.44の吸音ピークが確認されるとともに、500〜630Hz付近にランダム入射吸音率0.55程度の吸音ピークが確認された。
また、実施例4及び5では、400Hz付近にランダム入射吸音率0.42〜0.44の吸音ピークが確認されるとともに、630Hz付近にランダム入射吸音率0.60の吸音ピークが確認された。
一方、比較例3では、630Hz付近にランダム入射吸音率0.6を示す吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピークが観察されなかった。
このように、実施例3〜5では、気密空気室を完全に密閉することによって、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークが確認されたが、比較例3では、気密空気室が完全に密閉されなかったことで、気密空気室同士の間で空気バネによる振動が相互に伝搬し、これによりクロストークが発生したために、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピーク自体が確認されなかったものと考えられる。このように、密閉状態の気密空気室を備えた実施例3〜5の吸音構造体では、400Hz以下のランダム入射吸音率が優れていることが分かる。
「実験例3」
(実施例6)
CPEとDBSとが質量比でDBS/CPE=50/50の割合で配合されてなる厚み1.0mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦75mm、横75mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み10mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、縦1m、横1m、厚さ31mmの実施例6の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦75mm、横75mm、厚み10mmであった。
(実施例7)
縦100mm、横100mmの開口部を備え、厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例6と同様にして、実施例7の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦100mm、横100mm、厚み10mmであった。
(実施例8)
縦150mm、横150mmの開口部を備え、厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例6と同様にして、実施例8の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み10mmであった。
(比較例4)
有機ハイブリッドシートに代えて、シリコーンゴムからなる厚み1.0mmのSiゴムシートを用意するとともに、縦150mm、横150mmの開口部を備え、厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例6と同様にして、比較例4の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦150mm、横150mm、厚み10mmであった。
(比較例5)
厚みが10mmのグラスウールからなるシートを比較例5の吸音構造体とした。
(比較例6)
CPEとDBSとが質量比でDBS/CPE=70/30の割合で配合されてなる厚み1.0mmの有機ハイブリッドシートを用意するとともに、縦1000mm、横1000mmの開口部を備え、厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例6と同様にして、比較例6の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦1000mm、横1000mm、厚み10mmであった。
(比較例7)
CPEとDBSとが質量比でDBS/CPE=70/30の割合で配合されてなる厚み1.0mmの有機ハイブリッドシートを用意するとともに、縦10mm、横10mmの開口部を備え、厚みが10mmのスペーサ部材を用意したこと以外は上記実施例6と同様にして、比較例7の吸音構造体を製造した。製造された吸音構造体の気密空気室(背後空気室)の大きさは、縦10mm、横10mm、厚み10mmであった。
実施例6〜8及び比較例4〜7の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表1及び図8に示す。
表1及び図8に示すように、実施例6〜8では、250〜315Hz付近に、ランダム入射吸音率0.3〜0.36程度の吸音ピークが確認されるとともに、500〜630Hz付近に、ランダム入射吸音率0.55〜0.7程度の吸音ピークが確認された。
一方、比較例4では、630Hz付近にランダム入射吸音率0.55の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピークが観察されなかった。
また、比較例5では、3150Hz付近の高音域にランダム入射吸音率0.8の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークは観察されなかった。
更に、比較例6及び7では、400Hz以下の周波数帯域に吸音ピークは確認されなかった。
このように、実施例6〜8によれば、気密空気室の縦横の長さを75〜150mmの範囲とすることで、400Hz以下の周波数帯域にて吸音ピークが確認され、低音域での吸音特性に優れていることが分かる。一方、比較例4,6及び7では、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピーク自体が確認されず、低音域での吸音特性に劣ることが分かる。また、比較例5では、高音域での吸音特性に優れるものの、400Hz以下の低音域では吸音特性に劣ることが分かる。
「実験例4」
(実施例9〜14)
CPEとDBSとが質量比でDBS/CPE=70/30の割合で配合されてなる厚み1.0〜1.5mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み10〜30mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、表1に示すような、縦1m、横1m、厚さ31〜51.5mmの実施例9〜14の吸音構造体を製造した。
実施例9〜14の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表1、図9及び図10に示す。
表1、図9及び図10に示すように、実施例9〜14では、250〜400Hz付近に、ランダム入射吸音率0.33〜0.73の吸音ピークが確認されるとともに、500〜800Hz付近に吸音ピークが確認された。表1の結果から、気密空気室の厚みが10〜30mmの範囲で、400Hz以下の周波数帯域におけるランダム入射吸音率が改善されることがわかる。
Figure 0004910969
「実験例5」
(実施例15、16)
CPEとDBSとが質量比でDBS/CPE=70/30の割合で配合されてなる厚み0.3mm及び3mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み30mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、表2に示すような、縦1m、横1m、厚さ50.3〜53.0mmの実施例15及び16の吸音構造体を製造した。
(比較例8、9)
有機ハイブリッドシートの厚みが0.2mm及び5mmであること以外は上記実施例15及び16と同様にして、比較例8及び9の吸音構造体を製造した。
実施例15及び16と、比較例8及び9の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表2及び図11に示す。
表2及び図11に示すように、実施例15では、400Hz付近にランダム入射吸音率0.6程度の吸音ピークが確認されるとともに、500Hz付近にランダム入射吸音率0.8程度の吸音ピークが確認された。
また、実施例16では、250Hz付近にランダム入射吸音率0.4程度の吸音ピークが確認されるとともに、500Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークが確認された。
一方、比較例8では、500Hz付近にランダム入射吸音率0.60程度の吸音ピークと、1000Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークとが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピークが観察されなかった。
また、比較例9では、500Hz付近にランダム入射吸音率0.15程度の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピークが観察されなかった。
このように、実施例15及び16によれば、有機ハイブリッドシートの厚みを0.3〜3mmの範囲とすることで、ランダム入射吸音率0.3以上の吸音ピークが400Hz以下の周波数にて確認され、低音域での吸音特性に優れていることが分かる。一方、比較例8及び9では、400Hz以下の周波数帯域に吸音ピーク自体が確認されず、低音域での吸音特性に劣ることが分かる。
「実験例6」
(実施例17、18)
CPEとDBSとが質量比で、DBS/CPE=20/80と、DBS/CPE=80/20との割合でそれぞれ配合されてなる厚み1mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み10mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、表2に示すような、縦1m、横1m、厚さ31mmの実施例17及び18の吸音構造体を製造した。
(比較例10、11)
CPEとDBSとが質量比で、DBS/CPE=0/100と、DBS/CPE=90/10との割合でそれぞれ配合されてなる有機ハイブリッドシートを用意したこと以外は、上記実施例17及び18と同様にして、比較例10及び11の吸音構造体を製造した。
実施例17及び18と、比較例10及び11の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表2及び図12に示す。
表2及び図12に示すように、実施例17では、400Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークが確認されるとともに、800Hz付近にランダム入射吸音率0.70程度の吸音ピークが確認された。
また、実施例18では、315Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークが確認されるとともに、630Hz付近にランダム入射吸音率0.70程度の吸音ピークが確認された。
一方、比較例10では、500Hz付近にランダム入射吸音率0.65程度の吸音ピークと、1000Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークとが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピークが観察されなかった。
また、比較例11では、有機ハイブリッドシートが非常に脆くなり、吸音率の測定が不可能であった。
このように、実施例16及び17によれば、DBS/CPEが20/80〜80/20である有機ハイブリッドシートを用いることで、ランダム入射吸音率0.3以上の吸音ピークが400Hz以下の周波数にて確認され、低音域での吸音特性に優れていることが分かる。一方、比較例10では、塩素化ポリエチレンの配合が高すぎるため、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピーク自体が確認されず、低音域での吸音特性に劣ることが分かる。また、比較例11では、塩素化ポリエチレンの配合が低すぎてシート自体が脆くなり、吸音材として機能しないことが分かる。
「実験例7」
(比較例12)
CPEとDBSとが質量比で、DBS/CPE=50/50の割合で配合されてなる厚み1mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み3mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、表2に示すような、縦1m、横1m、厚さ24mmの比較例12の吸音構造体を製造した。
比較例12の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表2及び図13に示す。
表2及び図13に示すように、比較例12では、630Hz付近にランダム入射吸音率0.30程度の吸音ピークと、1000Hz付近にランダム入射吸音率0.36程度の吸音ピークとが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域には吸音ピークが観察されなかった。
このように、比較例12では、背後空気室の厚みが3mmと小さいために、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピーク自体が確認されず、低音域での吸音特性に劣ることが分かる。
「実験例8」
(実施例19、20)
フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP)とポリ塩化ビニル(PVC)とが質量比でDEHP/PVC=50/50の割合で配合されてなる厚み1mm及び1.5mmの有機ハイブリッドシートを用意した。また、縦100mm、横100mmの開口部が幅9mmの壁面部によって区画形成されてなる厚み30mmの木製のスペーサ部材を用意した。更に、厚み20mmのアクリル樹脂製の背面板を用意した。これら有機ハイブリッドシート、スペーサ部材及び背面板を重ね合わせ、相互に接着剤で接合することにより、表2に示すような、縦1m、横1m、厚さ51〜51.5mmの実施例19及び20の吸音構造体を製造した。
(比較例13、14)
有機ハイブリッドシートの厚みを0.1mm及び5mmとした以外は上記実施例19及び20と同様にして、比較例13及び14の吸音構造体を製造した。
実施例19及び20と、比較例13及び14の吸音構造体について、ランダム入射吸音率を測定した。結果を表2及び図14に示す。
表2及び図14に示すように、実施例19では、315Hz付近にランダム入射吸音率0.60程度の吸音ピークが確認されるとともに、630Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークが確認された。
また、実施例20では、250Hz付近にランダム入射吸音率0.60程度の吸音ピークが確認されるとともに、500Hz付近にランダム入射吸音率0.40程度の吸音ピークが確認された。
一方、比較例13では、630Hz付近にランダム入射吸音率0.64程度の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークは観察されなかった。
また、比較例14では、500Hz付近にランダム入射吸音率0.14程度の吸音ピークが確認されたが、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピークは観察されなかった。
このように、実施例19及び20によれば、有機ハイブリッドシートの厚みを1.0〜1.5mmの範囲とすることで、ランダム入射吸音率0.3以上の吸音ピークが400Hz以下の周波数にて確認され、低音域での吸音特性に優れていることが分かる。一方、比較例13及び14では、400Hz以下の周波数帯域において吸音ピーク自体が確認されず、低音域での吸音特性に劣ることが分かる。
Figure 0004910969
図1は、本発明の実施形態である吸音構造体を示す分解斜視図である。 図2は、本発明の実施形態である吸音構造体を示す拡大断面模式図である。 図3は、本発明の実施形態である吸音構造体の内部構造を示す拡大平面模式図である。 図4は、実施例におけるランダム入射吸音率の測定室を示す模式図である。 図5は、実施例1〜2及び比較例1〜2の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図6は、実施例の吸音構造体の拡大断面模式図であって、(a)は実施例3を示す図であり、(b)は実施例4を示す図であり、(c)は実施例5を示す図であり、(d)は比較例3を示す図である。 図7は、実施例3〜5及び比較例3の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図8は、実施例6〜8及び比較例4及び5の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図9は、実施例9〜11の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図10は、実施例12〜14の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図11は、実施例15及び16と比較例8及び9の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図12は、実施例17及び18と比較例10の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図13は、比較例12の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。 図14は、実施例19及び20と比較例13及び14の周波数とランダム入射吸音率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…吸音構造体、2…有機ハイブリッドシート、2a…裏面、2b…表面、3…気密空気室、3a…背面部、3b…壁面部

Claims (7)

  1. マトリックスポリマー中に有機低分子材料が分散されてなる有機ハイブリッドシートと、前記有機ハイブリッドシートの裏面側に隣接する気密空気室とが備えられ、前記有機ハイブリッドシートの表面側から音による空気振動が印加された際に、400Hz以下の周波数帯域においてランダム入射吸音率が0.3以上の吸音ピークと、前記吸音ピークよりも高周波帯域側においてランダム入射吸音率が0.3以上の別の吸音ピークとが同時に発現するように、前記有機ハイブリッドシートが前記気密空気室に対して振動自在に取り付けられていることを特徴とする吸音構造体。
  2. 前記気密空気室が複数備えられ、かつ各気密空気室同士が相互に分離されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
  3. 前記気密空気室が、前記有機ハイブリッドシートの裏面と、前記裏面に対向配置された背面部と、前記背面部の周縁部から前記有機ハイブリッドシート側に向けて立設された壁面部とによって区画形成されてなり、前記壁面部と前記有機ハイブリッドシートの裏面とが密着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸音構造体。
  4. 前記複数の気密空気室がそれぞれ、前記壁面部によって相互に分離されていることを特徴とする請求項3に記載の吸音構造体。
  5. 前記気密空気室の厚みが5mm以上30mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の吸音構造体。
  6. 前記有機ハイブリッドシートの厚みが0.3mm以上3mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の吸音構造体。
  7. 前記有機ハイブリッドシートが、塩素化ポリエチレンからなるマトリックスポリマー中にN,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルファミンアミドからなる有機低分子材料が分散されたものか、ポリ塩化ビニルからなるマトリックスポリマー中にフタル酸ジエチルヘキシルからなる有機低分子材料が分散されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の吸音構造体。
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