JP6294590B2 - 発泡体 - Google Patents

発泡体 Download PDF

Info

Publication number
JP6294590B2
JP6294590B2 JP2013026564A JP2013026564A JP6294590B2 JP 6294590 B2 JP6294590 B2 JP 6294590B2 JP 2013026564 A JP2013026564 A JP 2013026564A JP 2013026564 A JP2013026564 A JP 2013026564A JP 6294590 B2 JP6294590 B2 JP 6294590B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foam
coating layer
layer
sound absorption
surface coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013026564A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014156502A (ja
Inventor
上原 建彦
建彦 上原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yazaki Corp filed Critical Yazaki Corp
Priority to JP2013026564A priority Critical patent/JP6294590B2/ja
Publication of JP2014156502A publication Critical patent/JP2014156502A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6294590B2 publication Critical patent/JP6294590B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡材とする発泡体に関する。
従来より紙を発泡材の一部として利用した発泡体が提案されている(特許文献1、2参照)。この発泡体は、パルプ繊維成分として古紙を使用できるため、紙のリサイクルに好適である。発泡体50は、図15(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂成分と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の発泡セルS2,S3より構成される。各発泡セルS2,S3は、内部の空間(空気層)がセル皮膜によって被われている。発泡体50は、その位置によって発泡セルS2,S3の発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡セル層53とこの両面側に配置された2つの表面皮膜層52とから成る3層構造に概略構成されている。各表面皮膜層52は、極薄厚みであり、発泡セル層53より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。発泡セル層53は、各表面皮膜層52より発泡密度が低い発泡セルS3が密集配置されている。
次に、上記発泡体50を製造する押出し成形機60を説明する。図16(a)に示すように、押出し成形機60は、発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練した発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材61と、この口金部材61の外側を囲むように配置された規制枠壁70とを備えている。口金部材61は、図16(b)に示すように、水平方向に等間隔を置いて配置された複数の吐出口62を有する。吐出口62は、1段である。規制枠壁70は、この複数の吐出口62より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁70は、偏平長方形状の枠である。
次に、発泡体50の製造方法を説明する。押出し成形機60内に紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を複数の吐出口62より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口62より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、規制枠壁70によって規制されるため、規制枠壁70を断面積とする発泡体50が連続的に押し出される。各発泡セルS2,S3は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、密閉されたものとなる。
このような構造を有する発泡体50は、図17に示すような吸音特性を有する。この吸音特性は、共振効果によるものと多孔質型によるものを合わせたものと考えられる。つまり、共振効果による吸音性能は、外部から入射する音の内で、表面皮膜層52で反射する表面反射波と発泡体50の内部に進入し反射波として戻って来る透過反射波との相殺によるものである(図17の共振効果による特性線図参照)。共振効果による吸音性能は、1kHz〜2kHzの低周波数帯内でピーク性能を発揮する。多孔質型による吸音性能は、発泡体50の内部に進入した音が発泡セルS2,S3の内部空間や発泡セルS2,S3の皮膜で振動し、振動によるエネルギー吸収(熱エネルギー放出)によるものである(図17の多孔質効果による特性線図参照)。多孔質型の吸音性能は、低周波数帯域では効果が低く、2kHz以上の高周波帯で高い吸音性能を発揮する。多孔質型の吸音性能は、高周波数帯域でも周波数が高くなればなるほど高くなる。
上記した発泡体50とシンサレート(登録商標)との吸音特性を比較すると、図17に示すようになる。シンサレートは、合繊の極細繊維を絡み合わせたもの(不織布)であり、ほぼ多孔質型による吸音性能を発揮する。図17に示すように、発泡体50は、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHZの帯域)では、共振効果による吸音ピークを有するため、シンサレートより優れた吸音特性を発揮する。
特許第3326156号公報 特開2000−273800号公報 特開平8−207170号公報
しかしながら、上記した従来の発泡体50は、多孔質型による吸音性能がシンサレートより劣る。そのため、共振効果による吸音ピークの周波数帯域より高い周波数帯域、具体的にはほぼ2kHz以上の高周波数帯域で、シンサレートよりも吸音性能が極端に低下する帯域が存在する。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる発泡体を提供することを目的とする。
本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成され前記発泡セルは、発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層と、前記発泡セル層に介在され、前記発泡セル層より密度の高い前記発泡セルが密集配置され、且つ、前記発泡セル層の間を連続してほぼ一直線状に仕切る仕切皮膜層とを構成し、少なくともいずれか一方の前記表面皮膜層側には、前記発泡セル層に達し、前記表面皮膜層を面状に剥ぎ取った剥ぎ取り部が設けられている発泡体であって、前記表面皮膜層を構成する第1表面皮膜層と第2表面皮膜層の両面側で、且つ、全領域に形成される剥ぎ取り部を有する第1の発泡体と、前記表面皮膜層を構成する第1表面皮膜層側のみを全面剥ぎ取りした第2の発泡体と、から構成され、前記第2の発泡体の剥ぎ取り部と、前記第1の発泡体の剥ぎ取り部とを接合して形成されることを特徴とする発泡体である。
前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマ
ーの商品名プライムポリプロ(登録商標)の一種)であっても良い。
外部から発泡体に入射する音は、仕切皮膜層の表面で反射する表面反射波と仕切皮膜層より内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあると共に、発泡体の表面で反射する表面反射波と発泡体の内部に進入し反射波として戻って来る透過反射波となるものがあり、これら表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。その一方で、外部から発泡体に入射する音は、表面皮膜層に皮膜破断部があるために発泡体の内部に進入し易いため、内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
本発明の第1実施形態を示し、発泡体の外観斜視図である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)は図1のA−A線に沿う発泡体の構造模式図、(b)は(a)の要部拡大図である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)は発泡体の第1表面皮膜層側(ローラ側)の表面図、(b)は発泡体の概略断面図(明確化のため、厚み方向の寸法を拡大表示)である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)は押出し成形機の要部斜視図、(b)は口金部材の正面図である。 本発明の第1実施形態を示し、押し出し成形機の概略断面図である。 本発明の第1実施形態を示し、プレス機の側面図である。 格子状剥ぎ取り発泡体(第1実施形態)、クロス切込み発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。 本発明の第2実施形態を示し、(a)は発泡体の第1表面皮膜層側(ローラ側)の表面図、(b)は発泡体の概略断面図(明確化のため、厚み方向の寸法を拡大表示)である。 縞状剥ぎ取り発泡体(第2実施形態)、格子状剥ぎ取り発泡体、クロス切込み発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。 本発明の第3実施形態を示し、(a)は発泡体の第1表面皮膜層側(ローラ側)の表面図、(b)は発泡体の概略断面図(明確化のため、厚み方向の寸法を拡大表示)である。 半面剥ぎ取り発泡体(第3実施形態)、クロス切り込み発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。 本発明の第4実施形態を示し、(a)は発泡体の第1表面皮膜層(ローラ側)の表面図、(b)は発泡体の概略断面図(明確化のため、厚み方向の寸法を拡大表示)である。 本発明の第5実施形態を示し、(a)は発泡体の第1表面皮膜層(ローラ側)の表面図、(b)は発泡体の概略断面図(明確化のため、厚み方向の寸法を拡大表示)である。 全面剥ぎ取り発泡体(t=6、第4実施形態)、全面剥ぎ取り発泡体(t=14、第5実施形態)、クロス切り込み発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。 従来例を示し、(a)は発泡体の外観斜視図、(b)は発泡体の構造模式図である。 従来例を示し、(a)は押出し成形機の要部斜視図、(b)は口金部材の正面図である。 従来例の発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示す。図1に示すように、発泡体1Aは、偏平長方形の板状である。発泡体1Aは、図2(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂材であるポリプロピレン樹脂材と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の密閉された発泡セルS1,S2,S3より構成されている。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロ(登録商標)の一種)である。J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/ 、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
各発泡セルS1,S2,S3は、内部の空隙がセル皮膜によって被われている。発泡セルS1,S2,S3は、その位置によって発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡体1Aは発泡セルS1,S2,S3の密度によって以下のような層構造に形成されている。
つまり、発泡体1Aは、厚み方向に沿って、第1表面皮膜層2Aと発泡セル層3Aと仕切皮膜層4と発泡セル層3Bと第2表面皮膜層2Bとから構成されている。第1及び第2表面皮膜層2A,2Bは、極薄厚みであり、発泡セル層3A,3Bより発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。各発泡セル層3A,3Bは、仕切皮膜層4より発泡密度が低い発泡セルS3が密集配置されている。仕切皮膜層4は、発泡セル層3A,3B及び各表面皮膜層2A,2Bより発泡密度が高い発泡セルS1が密集配置されている。仕切皮膜層4は、2層の発泡セル層3A,3Bの間を連続して仕切って遮断している。仕切皮膜層4は、厚み方向の直交方向にほぼ一直線状で、且つ、ほぼ同じ厚みである。
各発泡セル層3A,3Bには、厚み方向の直交方向に沿って等間隔に複数の縦仕切皮膜層5が形成されている。各発泡セル層3A,3Bは、縦仕切皮膜層5によって分割されている。縦仕切皮膜層5は、発泡セル層3A,3Bより発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。
更に詳細には、第1表面皮膜層2Aは、下記する押出し成形機10のローラ21側の面である。上段の吐出口12から押し出された発泡体は、吐出口12付近の上面が開口していることにより薄皮状まで発泡後、ローラ21によって真上からプレスされる。そのため、第1表面皮膜層2Aは、第2表面皮膜層2Bより厚みが薄く、フラットな表面に形成される。又、第1表面皮膜層2Aは、薄膜状の発泡セルS2が密集配置された構造と推測される。これにより、多孔質型の吸音特性が顕著に現れると推測される。
第2表面皮膜層2Bは、下記する押出し成形機10の金型面20a側である。下段の吐出口13から押し出された発泡材は、限られたスペースの中で発泡し、上面からプレスされながら金型面20a上を摺動する。そのため、第2表面皮膜層2Bは、フラットで波を打ったような波紋ができ、第1表面皮膜層2Aに較べると、厚みが厚く少し固め(密度が高い質感)となる。換言すれば、表面が平らで皮膜がしっかりしているため、表面反射し易く、共振による吸音効果が出やすい構造となっていることが推測される。
図3(a)〜(c)に詳しく示すように、第1表面皮膜層2A側には、多数の剥ぎ取り部9が形成されている。多数の剥ぎ取り部9は、直交方向に共に等間隔で形成されている。各剥ぎ取り部9は、方形状であり、発泡セル層3Aに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。各剥ぎ取り部9は、第1表面皮膜層2Aを点状ではなく面状に剥ぎ取っている。従って、発泡セル層3Aの少なくとも複数の発泡セルS3全体が外部に露出されている。第2表面皮膜層2B側には、剥ぎ取り部9が形成されていない。
次に、上記発泡体1Aを製造する押出し成形機10とプレス装置30を説明する。押出し成形機10は、図4(a)、(b)及び図5に示すように、各発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練された発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材11と、この口金部材11の外側を囲むように配置された規制枠壁20とを備えている。口金部材11は、水平方向に等間隔P1に配置された複数の吐出口12,13を上下2段有する。上下2段の吐出口12,13は、水平方向に対し同じ位置に配置されている。規制枠壁20は、この2段の吐出口12,13より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁20は、偏平長方形状の枠である。
また、規制枠壁20の押し出し方向の下流では、規制枠壁20の上面側が開放されている。この開放された位置には、複数のローラ21が押し出し方向に並んで設けられている。この各ローラ21は、押し出される発泡体1に追従して回転するよう回転自在に支持されている。又、各ローラ21は、発泡体1の押出し速度で回転するよう構成しても良い。各ローラ21は、押し出される発泡体1の上面を圧縮する。各ローラ21の最下面の高さは、規制枠壁20の下面より10mmに設定されている。従って、発泡体1は、10mm厚のものが製造される。
プレス装置30は、図6に示すように、互いに対向配置された固定プレス体31と可動プレス体32とを有する。可動プレス体32は、固定プレス体31の近接・離間方向に移動できる。
次に、発泡体1Aの製造方法を説明する。押出し成形機10内に、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を口金部材11の上下2段の吐出口12,13より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口12,13より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、図5に示すように、規制枠壁20、ローラ21によって規制されるため、規制枠壁20とローラ21によって規制されたスペースを断面積とする発泡体1が連続的に押し出される。各発泡セルS1,S2,S3は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、内部に空間(空気層)が形成されたものとなる。
また、各吐出口12,13から吐出された発泡材は、自由に発泡できず、上記したように規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制されると共に、発泡セル同士が互いに干渉することによって発泡形成が抑制される。具体的には、規制枠壁20内周近傍、ローラ21の下方近傍に位置する発泡セルS2は、規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制される。これによって第1、第2表面皮膜層2A,2Bが形成される。上下の吐出口12,13の中間位置付近に位置する発泡セルS1は、互いの発泡セルS1同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって仕切皮膜層4が形成される。水平方向の隣り合う吐出口12(又は13)の中間位置付近の位置する発泡セルS2は、互いの発泡セルS2同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって縦仕切皮膜層5が形成される。これらより内側位置に位置する発泡セルS3は、上記発泡セルS1,S2に較べて弱い抑制力しか働かない。これによって発泡セル層3A,3Bが形成される。発泡体1は、ローラ21の下方を通過し圧縮力を受けることにより、厚みが10mmとなる。
押出し成形機10より製造された発泡体1は、所定寸法で裁断される。この裁断した発泡体1は、図6に示すように、三枚重ねてプレス装置30にセットされる。プレス装置30は、発泡体1を約10分の1程度にまで圧縮し、その後、圧縮を解除する。圧縮を解除すると、発泡体1は、ほぼ元の厚みに戻る。ポリプロピレン樹脂材のJ830HVを合成樹成分とする発泡体1は、押出し成形機10での押出し製造だけでは、発泡セルS1,S2,S3の皮膜に芯部分(硬い部分)を有し、音による振動がし難い発泡構造である。押出し成形機10より押出された発泡体(バージン材)1を一度圧縮変形させると、発泡セルS1,S2,S3の皮膜の芯部分(硬い部分)が破壊されることにより、柔軟な皮膜になる。これにより、音によって振動し易い柔軟な発泡体1に加工される。
最後に、発泡体1の第1表面皮膜層2A側に多数の剥ぎ取り部9を形成する。これで、発泡体1Aが製造される。
以上、このように構成された発泡体1Aは、その発泡セルS1,S2,S3が、発泡セル層3A,3Bと、各発泡セル層3A,3Bの表面側に配置され、発泡セル層3A,3Bより発泡密度が高い発泡セルS3が密集配置された第1及び第2表面皮膜層2A,2Bと、発泡セル層3A.3Bに介在され、発泡セル層3A,3Bより密度の高い発泡セルS1が密集配置され、且つ、発泡セル層3A,3Bの間を連続してほぼ一直線状に仕切る仕切皮膜層4とを構成し、第1表面皮膜層2A側には、発泡セル層3Aに達する剥ぎ取り部7が設けられている。従って、外部から発泡体1Aに入射する音は、仕切皮膜層4の表面で反射する表面反射波と仕切皮膜層4より内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあると共に、表面皮膜層2Aで反射する表面反射波と発泡体1Aの内部に進入し反射波として戻って来る透過反射波となるものがあり、これら表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。
その一方で、外部から発泡体1Aに入射する音は、第1又は第2表面皮膜層2A,2Bに剥ぎ取り部9があるために内部に進入し易いため、発泡体1Aの内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
また、発泡体1Aの発泡セル層3A,3B内を伝搬する振動は、仕切皮膜層4に達すると仕切皮膜層4でランダムな振動が平面振動にリセットされ、その後、更に発泡セル層3A,3B内を伝搬することになるため、仕切皮膜層4で振動吸収が促進され、仕切皮膜層4がないものに較べて吸音特性が向上すると考えられる。又、仕切皮膜層4を有する発泡体1Aは、仕切皮膜層4のない発泡体(従来例)に較べて、仕切皮膜層4の箇所で発泡体1Aの内部を通過する際の音の位相速度を遅らせることができる。これにより、共振効果による吸音ピークが低周波数側にシフトする。従って、従来の発泡体では厚みを厚くすることでしか達成できなかった吸音ピークの低周波数側シフトを、第1実施形態の発泡体1Aでは厚みを厚くすることなく達成できる。
発泡体1Aは、ポリプロピレン樹脂材としてJ830HVを使用するため、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bは、特定の周波数に対して振動し易いものとなる。これにより、特定の周波数について高い吸音ピーク値が得られる。
図7は、プレス加工後に第1表面皮膜層2Aにクロス方向の切り込みを形成した発泡体(クロス切り込み発泡体)と、プレス加工後に格子状の剥ぎ取り部9を形成した第1実施形態に係る発泡体(格子状剥ぎ取り発泡体)1Aと、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aのサンプルは、横寸法:200cm、縦寸法:100cm、厚み寸法10mmである。クロス切り込み発泡体は、第1表面皮膜層2A側に面状ではなく線状にクロス方向に切り込みを形成したものである。
図7に示すように、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aは、音の入射側を第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)とした場合、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、クロス方向の切り込みを形成した発泡体と比較して、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できることが確認された。
その上、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体と比較して、高周波数帯域での吸音特性の低下を更に抑制できた。これは、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aは、発泡セル層3Aが面で露出しており、発泡体1Aの内部への音の進入量が増加したためであると推測される。
格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体と比較して、共振効果による吸音ピークの周波数が高周波側に移行した。これは、第1表面皮膜層2Aの剥ぎ取り面積が拡大し、トータルの厚みが薄くなったことによると考えられる。格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aは、クロス切り込み発泡体と比較して、共振効果による吸音ピーク値がほぼ同じである。これは、格子状に剥ぎ取られたものの第1表面皮膜層2Aが表皮効果を維持したためと考えられる。
格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aでは、音の入射側が第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)の場合には、ほぼ1.3kHz以上の周波数帯域の全域において吸音率が0.72以上である。従って、会話明瞭度の周波数領域(1kHz〜2kHz)の大部分をカバーする周波数帯域で高い吸音特性を発揮し、例えば自動車内に使用する吸音材として好適である。
尚、第2表面皮膜層2Bにも格子状の剥ぎ取り部9を形成すれば、第1表面皮膜層2A側と同様な効果が得られると推測できる。
(第2実施形態)
図8及び図9は本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態の発泡体1Bは、前記第1実施形態のものと比較するに、剥ぎ取り部9aの構造のみが相違する。他の構造は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。図面の同一構成箇所には、第1実施形態と同一符号を付して明確化を図る。
図8(a),(b)に示すように、剥ぎ取り部9aは、第1表面皮膜層2A側に縞状に多数配置されている。縞状の剥ぎ取り部9aは、等間隔で形成されている。各縞状の剥ぎ取り部9aは、細長い方形状であり、発泡セル層3Aに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。各剥ぎ取り部9は、第1表面皮膜層2Aを点状ではなく面状に剥ぎ取っている。従って、発泡セル層3Aの少なくとも複数の発泡セルS3全体が外部に露出されている。第2表面皮膜層2Bには、縞状の剥ぎ取り部9aが形成されていない。
この第2実施形態においても、前記第1実施形態のものと同様の理由によって、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
図9は、プレス加工後にクロス方向の切り込みを形成した発泡体(クロス切り込み発泡体)と、プレス加工後に格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体(格子状剥ぎ取り発泡体)1Aと、プレス加工後に縞状の剥ぎ取り部9aを形成した第2実施形態に係る発泡体(縞状剥ぎ取り発泡体)1Bと、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bのサンプルは、横寸法:200cm、縦寸法:10cm、厚み寸法10mmである。
縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bは、図9に示すように、音の入射側を第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)とした場合、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できることが確認された。
その上、縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bは、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aと比較して、高周波数帯域での吸音特性の低下を更に抑制できた。これは、縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bは、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aと比較して、発泡セル層3Aの露出面積が増加し、発泡体1Bの内部への音の進入量が更に増加したためであると推測される。
縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bは、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aと比較して、共振効果による吸音ピークの周波数が若干だけ高周波側に移行した。これは、第1表面皮膜層2Aの剥ぎ取り面積が拡大し、トータルの厚みが薄くなったことによると考えられる。縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bは、格子状の剥ぎ取り部9を形成した発泡体1Aと比較して、共振効果による吸音ピーク値が少し低下した。これは、第1表面皮膜層2Aによる表皮効果が維持できたが、剥ぎ取り面積が増加した分、第1表面皮膜層2Aの表皮効果が減少したためと考えられる。
縞状の剥ぎ取り部9aを形成した発泡体1Bでは、音の入射側が第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)の場合には、ほぼ1.5kHz以上の周波数帯域の全域において吸音率が0.77以上である。従って、会話明瞭度の周波数領域(1kHz〜2kHz)の半分をカバーする周波数帯域で非常に高い吸音特性を発揮する。例えば自動車内に使用する吸音材としても使用可能である。
尚、第2表面皮膜層2Bにも縞状の剥ぎ取り部9aを形成すれば、第1表面皮膜層2A側と同様な効果が得られると推測できる。
(第3実施形態)
図10及び図11は本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態の発泡体1Cは、前記第1実施形態のものと比較するに、剥ぎ取り部9bの構造のみが相違する。他の構造は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。図面の同一構成箇所には、第1実施形態と同一符号を付して明確化を図る。
剥ぎ取り部9bは、図10(a),(b)に示すように、第1表面皮膜層2A側 のほぼ半分の面積に相当する領域に形成されている。第1表面皮膜層2Aは、そのほぼ半分の面積に相当する領域が一括して剥ぎ取られている。従って、発泡セル層3Aの複数の発泡セルS3全体が外部に露出されている。剥ぎ取り部9bは、広い方形状であり、発泡セル層3Aに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。
この第3実施形態においても、前記第1実施形態のものと同様の理由によって、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
図11は、プレス加工後に第1表面皮膜層2Aにクロス方向の切り込みを形成した発泡体(クロス切り込み発泡体)と、プレス加工後に第1表面皮膜層2A側の半面に剥ぎ取り部9bを形成した第3実施形態に係る発泡体(半面剥ぎ取り発泡体)1Cと、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。半面に剥ぎ取り部9bを形成した発泡体1Cのサンプルは、横寸法:200cm、縦寸法:100cm、厚み寸法10mmである。クロス方向の切り込みを形成した発泡体は、第1表面皮膜層2A側に面状ではなく線状にクロス切り込みを形成したものである。
図11に示すように、半面に剥ぎ取り部9bを形成した発泡体1Cは、音の入射側を第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)とした場合、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、クロス方向の切り込みを形成した発泡体と比較して、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できることが確認された。
半面に剥ぎ取り部9bを形成した発泡体1Cは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体より高周波数帯域での吸音性能が高い。これは、発泡セル層3Aの露出面積が大きいために内部への音の進入が向上したためと推測される。
半面に剥ぎ取り部9bを形成した発泡体1Cでは、音の入射側が第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)の場合には、ほぼ1.5kHz以上の周波数帯域の全域において吸音率が0.72以上である。従って、会話明瞭度の周波数領域(1kHz〜2kHz)の半分をカバーする周波数帯域で非常に高い吸音特性を発揮する。例えば自動車内に使用する吸音材としても使用可能である。
尚、第2表面皮膜層2Bにも半面に剥ぎ取り部9bを形成すれば、第1表面皮膜層2A側と同様な効果が得られると推測できる。
(第4実施形態)
図12は本発明の第4実施形態を示す。第4実施形態の発泡体1Dは、前記第1実施形態のものと比較するに、剥ぎ取り部9cの構造のみが相違する。他の構造は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。図面の同一構成箇所には、第1実施形態と同一符号を付して明確化を図る。
剥ぎ取り部9cは、図12(a),(b)に示すように、第1表面皮膜層2Aと第2表面皮膜層2Bの両面側で、且つ、全領域に形成されている。つまり、第1表面皮膜層2Aと第2表面皮膜層2Bは、その全面積で剥ぎ取られている。剥ぎ取り部9cは、発泡セル層3Aに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。発泡セル層3Aと発泡セル層3Bの表面側全ての発泡セルS3が外部に露出されている。
発泡体1Dは、第1表面皮膜層2A側と第2表面皮膜層2B側の両面が約2mmずつ剥ぎ取られているため、厚みが6mmである。
この第4実施形態において、外部から発泡体1Dに入射する音は、仕切皮膜層4の表面で反射する表面反射波と仕切皮膜層4より内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがある。又、発泡セル層3A(又は3B)の発泡セルS3は独泡であり、ある程度の強度を有するため、その表面でも音の反射はあると推測される。従って、外部から発泡体1Dに入射する音は、発泡セル層3A(又は3B)の表面で反射する表面反射波と発泡体1Bの内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがある。このような表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。
その一方で、外部から発泡体1Dに入射する音は、第1又は第2表面皮膜層2A,2Bが全面で剥ぎ取られており、発泡体1Dの内部に非常に進入し易いため、発泡体1Dの内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
(第5実施形態)
図13は本発明の第5実施形態を示す。第5実施形態の発泡体1Eは、図13(a)、(b)に示すように、前記第4実施形態の発泡体と、第1表面皮膜層2A側のみを全面剥ぎ取りした発泡体とを接合して形成されている。従って、発泡体1Eは、一方の外面側にのみ全面の剥ぎ取り部9cを有し、内部に2層の仕切皮膜層4を有する。図面では、前記第1実施形態と同一構成箇所に第1実施形態と同一符号を付して明確化を図る。
剥ぎ取り部9cは、発泡セル層3Aに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。発泡セル層3Aの表面側の発泡セルS3が外部に露出されている。発泡体1Eは、その厚みが14mmである。
この第5実施形態において、外部から発泡体1Dに入射する音は、2層の各仕切皮膜層4の表面で反射する表面反射波と仕切皮膜層4より内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがある。又、発泡セル層3Aの発泡セルS3は独泡であり、ある程度の強度を有するため、その表面でも音の反射はあると推測される。従って、外部から発泡体1Dに入射する音は、発泡セル層3Aの表面で反射する表面反射波と発泡体1Bの内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがある。このような表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。
その一方で、外部から発泡体1Eに入射する音は、第1表面皮膜層2Aが全て剥ぎ取られており、発泡体1Eの内部に進入し易いため、発泡体1Eの内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
図14は、プレス加工後に第1表面皮膜層2Aにクロス方向の切り込みを形成した発泡体(クロス切り込み発泡体)と、プレス加工後に第1及び第2表面皮膜層2A,2Bの両側の全面に剥ぎ取り部9cを形成した厚み6mmの第4実施形態に係る発泡体(全面剥ぎ取り発泡体)1Dと、プレス加工後に2つの剥ぎ取り加工した発泡体を合体させて形成した厚み14mmの第5実施形態に係る発泡体(全面剥ぎ取り発泡体)1Eと、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。各全面剥ぎ取り発泡体1D,1Eのサンプルは、横寸法:200cm、縦寸法:100cm、厚み寸法10mmである。クロス方向の切り込みを形成した発泡体は、第1表面皮膜層2A側に面状ではなく線状にクロス切り込みを形成したものである。
図14に示すように、厚さ14mmの全剥ぎ取り発泡体1Eは、音の入射側を第1表面皮膜層2A(剥ぎ取られて存在しない)とした場合、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、且つ、クロス切り込み発泡体より若干だけ性能が落ちるものの、従来例の発泡体に比較して高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できることが確認された。
厚さ6mmの全面剥ぎ取り発泡体1Dは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体と比較して、低周波数帯域のピーク性能が高周波数側にシフトしている。これは、共振効果によるピーク性能が仕切皮膜層4によって生じているためと推測される。しかし、これによって、2kHz以上の高周波数帯域での吸音率の落ち込みが非常に低下した吸音特性が得られる。
厚さ14mmの全面剥ぎ取り発泡体1Eは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体より高周波数帯域での吸音性能が若干だけ低い。これは、発泡セル層3Aの露出面積が大きいが、2層の仕切皮膜層4によって内部への音の進入が制限を受けるためと推測される。
厚さ14mmの全面剥ぎ取り発泡体1Eは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体に較べて、共振効果による吸音ピークが低周波数側にシフトしている。これは、発泡体1Eの厚み効果と2層の仕切皮膜層4によって吸音ピークが大きく低周波数側にシフトしたのもと推測される。
この吸音ピークの低周波数側へのシフトによって、厚さ14mmの全面剥ぎ取り発泡体1Eでは、音の入射側が第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)の場合、ほぼ0.85kHz以上の周波数帯域の全域において吸音率が0.6以上を達成した。従って、会話明瞭度の周波数領域(1kHz〜2kHz)の全域をカバーする周波数帯域で非常に高い吸音特性を発揮する。又、1kHz周辺の周波数帯域は、従来では遮音で対応する帯域であったが、発泡体1Eでは吸音で対応できる。従って、例えば自動車内に使用する吸音材として、遮音材の負担を削減し若しくは遮音材を無くすことが可能な材料としても非常に好適である。
(変形例)
第1及び第2実施形態では、剥ぎ取り部9,9aは、格子状や縞状であるが、第1表面皮膜層2Aや第2表面皮膜層2Bを面状に剥ぎ取る形状であれば形状を問わない。
各実施形態では、合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロ(登録商標)の一種)を使用しているが、これ以外のもの(ポリプロピレン樹脂のJ3000GP、J2000GP、J2003GP、J2041GA(いずれも株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロ(登録商標)の一種)等を使用しても、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHz)で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域(ほぼ2kHz以上)での吸音性能の低下を抑制できる。J3000GP等を使用した場合には、押出し成形後の発泡体は柔軟性を有するため、その後のプレス加工は不要である。
1A〜1G 発泡体
2A 第1表面皮膜層
2B 第2表面皮膜層
3A,3B 発泡セル層
4 仕切皮膜層
9、9a〜9c 剥ぎ取り部
S1,S2,S3 発泡セル

Claims (2)

  1. パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、発泡セルが多数集まって構成され、
    発泡セル層と、
    該発泡セル層の表面側に配置され、該発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層と、
    前記発泡セル層に介在され、前記発泡セル層より密度の高い発泡セルが密集配置され、且つ、前記発泡セル層の間を連続してほぼ一直線状に仕切る仕切皮膜層とを備えた発泡体であって、
    前記表面皮膜層を構成する第1表面皮膜層と第2表面皮膜層を全面剥ぎ取った第1の発泡体の剥ぎ取り部の一方と、
    前記表面皮膜層を構成する第1表面皮膜層のみを全面剥ぎ取った第2の発泡体の剥ぎ取り部とを接合して形成されていることを特徴とする発泡体。
  2. 請求項1に記載の発泡体であって、
    前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロ(登録商標)の一種)であることを特徴とする発泡体。
JP2013026564A 2013-02-14 2013-02-14 発泡体 Active JP6294590B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013026564A JP6294590B2 (ja) 2013-02-14 2013-02-14 発泡体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013026564A JP6294590B2 (ja) 2013-02-14 2013-02-14 発泡体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014156502A JP2014156502A (ja) 2014-08-28
JP6294590B2 true JP6294590B2 (ja) 2018-03-14

Family

ID=51577594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013026564A Active JP6294590B2 (ja) 2013-02-14 2013-02-14 発泡体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6294590B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6906977B2 (ja) * 2016-11-29 2021-07-21 矢崎総業株式会社 ワイヤハーネス組付体及び車両

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59222893A (ja) * 1983-05-31 1984-12-14 住友電気工業株式会社 吸音板
DE60118720T2 (de) * 2000-03-17 2007-01-18 Dow Global Technologies, Inc., Midland Polyolefinschaum mit hoher betriebstemperatur zur akustischen verwendung
JP2002082671A (ja) * 2000-09-06 2002-03-22 Nichias Corp 吸音構造体
JP3609384B2 (ja) * 2001-04-04 2005-01-12 トキワ印刷株式会社 発泡体製造法及びその発泡体
JP3664441B2 (ja) * 2002-02-20 2005-06-29 昭和電線電纜株式会社 発泡体及びそれを用いた吸音材並びにその製造方法
JP2007106304A (ja) * 2005-10-14 2007-04-26 Hayashi Telempu Co Ltd 吸音パネル
JP4945123B2 (ja) * 2005-12-09 2012-06-06 株式会社環境経営総合研究所 吸音ボード
JP2008143147A (ja) * 2006-12-13 2008-06-26 Prime Polymer:Kk プロピレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014156502A (ja) 2014-08-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8770344B2 (en) Acoustic panel
CN103443372A (zh) 波纹隔音面板和生产方法
WO2004107313A1 (ja) 遮音・吸音構造体、並びにこれらを適用した構造物
EP2469508B1 (en) Sound-absorbing body
JP6294590B2 (ja) 発泡体
JP2008248618A (ja) 断熱遮音材
JP6215566B2 (ja) 発泡体の製造方法、発泡体の製造装置、及び、発泡体
JP6084819B2 (ja) 発泡体及び発泡体の製造方法
JP6055318B2 (ja) 発泡体
JP5902565B2 (ja) 吸音材及び吸音材の製造方法
JP2014004731A (ja) 吸音材及び吸音材の製造方法
US9230533B2 (en) Sound absorbing body and manufacturing method thereof
JP2014156503A (ja) 発泡体
Subramonian et al. Acoustics and forming of novel polyolefin blend foams
CN109389965B (zh) 宽频带声波吸收器及其构造方法
JP6084818B2 (ja) 発泡体及び発泡体の製造方法
JP6534288B2 (ja) 発泡体
JP2019168001A (ja) 真空断熱材及び真空断熱材を用いた冷蔵庫
JP6342686B2 (ja) 発泡体及び発泡体の製造方法
JP6092605B2 (ja) 吸音材及びこの吸音材を用いた自動車のドア構造
JP2015132743A (ja) 上部改良型透光型膜振動吸音遮音壁
Ba et al. Soft 3d printed membrane type-acoustic metamaterials
JP6534287B2 (ja) 発泡体
JP2014098076A (ja) 発泡体、及び、発泡体の製造方法
JP6441705B2 (ja) 防音材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6294590

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250