JP2014156503A - 発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる発泡体を提供する。
【解決手段】パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルS2,S3より構成された発泡体1Aであって、発泡セルS2,S3は、発泡セル層3,3A,3Bと、前記発泡セル層3A,3Bの表面側に配置され、発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置された表面皮膜層2A,2Bとを構成し、少なくともいずれか一方の表面皮膜層2A,2Bは、全領域で剥ぎ取られている。
【選択図】図3
【解決手段】パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルS2,S3より構成された発泡体1Aであって、発泡セルS2,S3は、発泡セル層3,3A,3Bと、前記発泡セル層3A,3Bの表面側に配置され、発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置された表面皮膜層2A,2Bとを構成し、少なくともいずれか一方の表面皮膜層2A,2Bは、全領域で剥ぎ取られている。
【選択図】図3
Description
本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡材とする発泡体に関する。
従来より紙を発泡材の一部として利用した発泡体が提案されている(特許文献1、2参照)。この発泡体は、パルプ繊維成分として古紙を使用できるため、紙のリサイクルに好適である。発泡体50は、図16(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂成分と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の発泡セルS2,S3より構成される。各発泡セルS2,S3は、内部の空間(空気層)がセル皮膜によって被われている。発泡体50は、その位置によって発泡セルS2,S3の発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡セル層53とこの両面側に配置された2つの表面皮膜層52とから成る3層構造に概略構成されている。各表面皮膜層52は、極薄厚みであり、発泡セル層53より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。発泡セル層53は、各表面皮膜層52より発泡密度が低い発泡セルS3が密集配置されている。
次に、上記発泡体50を製造する押出し成形機60を説明する。図17(a)に示すように、押出し成形機60は、発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練した発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材61と、この口金部材61の外側を囲むように配置された規制枠壁70とを備えている。口金部材61は、図17(b)に示すように、水平方向に等間隔を置いて配置された複数の吐出口62を有する。吐出口62は、1段である。規制枠壁70は、この複数の吐出口62より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁70は、偏平長方形状の枠である。
次に、発泡体50の製造方法を説明する。押出し成形機60内に紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を複数の吐出口62より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口62より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、規制枠壁70によって規制されるため、規制枠壁70を断面積とする発泡体50が連続的に押し出される。各発泡セルS2,S3は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、密閉されたものとなる。
このような構造を有する発泡体50は、図18に示すような吸音特性を有する。この吸音特性は、共振効果によるものと多孔質型によるものを合わせたものと考えられる。つまり、共振効果による吸音性能は、外部から入射する音の内で、表面皮膜層52で反射する表面反射波と発泡体50の内部に進入し反射波として戻って来る透過反射波との相殺によるものである(図18の共振効果による特性線図参照)。共振効果による吸音性能は、1kHz〜2kHzの低周波数帯内でピーク性能を発揮する。多孔質型による吸音性能は、発泡体50の内部に進入した音が発泡セルS2,S3の内部空間や発泡セルS2,S3の皮膜で振動し、振動によるエネルギー吸収(熱エネルギー放出)によるものである(図18の多孔質効果による特性線図参照)。多孔質型の吸音性能は、低周波数帯域では効果が低く、2kHz以上の高周波帯で高い吸音性能を発揮する。多孔質型の吸音性能は、高周波数帯域でも周波数が高くなればなるほど高くなる。
上記した発泡体50とシンサレート(登録商標)との吸音特性を比較すると、図18に示すようになる。シンサレートは、合繊の極細繊維を絡み合わせたもの(不織布)であり、ほぼ多孔質型による吸音性能を発揮する。図18に示すように、発泡体50は、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHZの帯域)では、共振効果による吸音ピークを有するため、シンサレートより優れた吸音特性を発揮する。
しかしながら、上記した従来の発泡体50は、多孔質型による吸音性能がシンサレートより劣る。そのため、共振効果による吸音ピークの周波数帯域より高い周波数帯域、具体的にはほぼ2kHz以上の高周波数帯域で、シンサレートよりも吸音性能が極端に低下する帯域が存在する。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる発泡体を提供することを目的とする。
本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成された発泡体であって、前記発泡セルは、発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層とを構成し、少なくともいずれか一方の前記表面皮膜層は、全領域で剥ぎ取られたことを特徴とする発泡体である。
他の本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成された発泡体であって、前記発泡セルはほぼ均一な発泡密度で独泡であり、前記発泡セルが密集配置された発泡セル層のみで構成されたことを特徴とする発泡体である。
前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であっても良い。
発泡セル層は、その発泡セルは独泡であり、発泡セルが密集配置されているため、その表面でも音の反射はあると推測される。外部から発泡体に入射する音は、発泡セル層の表面で反射する表面反射波と内部に進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあり、表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。その一方で、外部から発泡体に入射する音は、表面皮膜層がないために発泡体の内部に進入し易いため、内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示す。図1に示すように、先ず、第1実施形態に係る発泡体1Aを作成する前段階のプレスのみ発泡体1aについて説明する。プレスのみ発泡体1aは、偏平長方形の板状である。プレスのみ発泡体1aは、図2(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂材であるポリプロピレン樹脂材と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の密閉された発泡セルS2,S3より構成されている。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/m3、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示す。図1に示すように、先ず、第1実施形態に係る発泡体1Aを作成する前段階のプレスのみ発泡体1aについて説明する。プレスのみ発泡体1aは、偏平長方形の板状である。プレスのみ発泡体1aは、図2(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂材であるポリプロピレン樹脂材と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の密閉された発泡セルS2,S3より構成されている。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/m3、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
各発泡セルS2,S3は、内部の空隙がセル皮膜によって被われている。各発泡セルS2,S3は、独泡であるため、プレスのみ発泡体1aは通気性がない。発泡セルS2,S3は、その位置によって発泡密度(発泡倍率)が異なり、プレスのみ発泡体1aは発泡セルS2,S3の密度によって以下のような層構造に形成されている。
つまり、プレスのみ発泡体1aは、厚み方向に沿って、第1表面皮膜層2Aと発泡セル層3と第2表面皮膜層2Bとから構成されている。各表面皮膜層2A,2Bは、極薄厚みであり、発泡セル層3の表面側に配置され、発泡時に外気との温度差で瞬時に合成樹脂成分が硬化してセル被膜が形成されて、発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。各表面皮膜層2A,2Bは、合成樹脂成分が多い。発泡セル層3は、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進されて、表面被膜層2A,2Bより発泡密度が低い発泡セルS3が密集配置されている。発泡セル層3は、構成材料が均一である。
発泡セル層3には、厚み方向の直交方向に沿って等間隔に複数の縦仕切皮膜層5が形成されている。発泡セル層3は、縦仕切皮膜層5によって分割されている。縦仕切皮膜層5は、発泡セル層3より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。
第1実施形態に係る発泡体1Aは、図3(a)〜(c)に示すように、プレスのみ発泡体1aの第1表面皮膜層2Aと第2表面皮膜層2Bの両面側がその全域で剥ぎ取られたものである。剥ぎ取りは、発泡セル層3に達する深さである。従って、発泡セル層3の両側の表面全ての発泡セルS3が外部に露出されている。つまり、発泡体1Aは、ほぼ均一な発泡密度で独泡である発泡セルS3が多数密集配置された発泡セル層3のみで構成されている。発泡体1Aは、発泡セル層3を構成する各発泡セルS3が独泡であるため、通気性がない。発泡体1Aは、多数の発泡セルS3が密集配置され、形態を維持するに十分な強度を有する。
発泡体1Aは、第1表面皮膜層2A側と第2表面皮膜層2B側の両面が約2mmずつ剥ぎ取られているため、厚みが6mmである。
次に、上記プレスのみ発泡体1aを製造する押出し成形機10Aとプレス装置30を説明する。押出し成形機10Aは、図4(a)、(b)及び図5に示すように、各発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練された発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材11と、この口金部材11の外側を囲むように配置された規制枠壁20とを備えている。口金部材11は、水平方向に等間隔P1に配置された複数の吐出口12を1段のみ有する。規制枠壁20は、この1段の吐出口12より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁20は、偏平長方形状の枠である。
また、規制枠壁20の押し出し方向の下流では、規制枠壁20の上面側が開放されている。この開放された位置には、複数のローラ21が押し出し方向に並んで設けられている。この各ローラ21は、押し出される発泡体1aに追従して回転するよう回転自在に支持されている。又、各ローラ21は、発泡体1の押出し速度で回転するよう構成しても良い。各ローラ21は、押し出される発泡体1の上面を圧縮する。各ローラ21の最下面の高さは、規制枠壁20の下面より10mmに設定されている。従って、プレスのみ発泡体1aは、10mm厚のものが製造される。
プレス装置30は、図6に示すように、互いに対向配置された固定プレス体31と可動プレス体32とを有する。可動プレス体32は、固定プレス体31の近接・離間方向に移動できる。
次に、プレスのみ発泡体1aの製造方法を説明する。押出し成形機10A内に、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を口金部材11の1段の吐出口12より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口12より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、図5に示すように、規制枠壁20、ローラ21によって規制されるため、規制枠壁20とローラ21によって規制されたスペースを断面積とする発泡体1aが連続的に押し出される。各発泡セルS2,S3は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、内部に空間(空気層)が形成されたものとなる。
また、各吐出口12から吐出された発泡材は、発泡する位置で外気の温度差が異なることで発泡の促進度合いが異なる。又、各吐出口12から吐出された発泡材は、自由に発泡できず、上記したように規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制されると共に、発泡セル同士が互いに干渉することによって発泡形成が抑制される。具体的には、規制枠壁20内周近傍、ローラ21の下方近傍に位置する発泡セルS2は、発泡時に外気との温度差で瞬時に合成樹脂成分が硬化してセル被膜が形成され、且つ、規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制される。これによって第1、第2表面皮膜層2A,2Bが形成される。第1、第2表面皮膜層2A,2Bより内部で、且つ、水平方向の隣り合う吐出口12の中間位置付近に位置する発泡セルS2は、互いの発泡セルS2同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって縦仕切皮膜層5が形成される。第1、第2表面皮膜層2A,2Bより内部で、且つ、縦仕切被膜層5の間に位置する発泡セルS3は、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進されると共に縦仕切被膜層5の発泡セルS2に較べて弱い抑制力しか働かない。これによって発泡セル層3が形成される。発泡体1aは、ローラ21の下方を通過し圧縮力を受けることにより、厚みが10mmとなる。
押出し成形機10Aより製造された発泡体1aは、所定寸法で裁断される。この裁断した発泡体1aは、図6に示すように、三枚重ねてプレス装置30にセットされる。プレス装置30は、発泡体1aを約10分の1程度にまで圧縮し、その後、圧縮を解除する。圧縮を解除すると、発泡体1aは、ほぼ元の厚みに戻る。ポリプロピレン樹脂材のJ830HVを合成樹成分とする発泡体1aは、押出し成形機10での押出し製造だけでは、発泡セルS2,S3の皮膜に芯部分(硬い部分)を有し、音による振動がし難い発泡構造である。押出し成形機10Aより押出された発泡体(バージン材)1aを一度圧縮変形させると、発泡セルS2,S3の皮膜の芯部分(硬い部分)が破壊されることにより、柔軟な皮膜になる。これにより、音によって振動し易い柔軟なプレスのみ発泡体1aに加工される。
発泡体1Aは、プレスのみ発泡体1aの第1表面皮膜層2Aと第2表面皮膜層2Bを全域に亘って剥ぎ取ることによって製造される。
以上、発泡体1Aは、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進された発泡セルS3の発泡セル層3のみから構成され、発泡セル層3の外側に表面皮膜層2A,2Bが存在しない構成である。換言すれば、発泡体1Aは、ほぼ均一な発泡密度で独泡である発泡セルS3が多数密集配置された発泡セル層3のみで構成されている。
発泡セル層3の発泡セルS3は独泡で通気性がなく、多数の発泡セルS3が密集配置され、形態を維持するに十分な強度を有するため、その表面でも音の反射はあると推測される。従って、外部から発泡体1Aに入射する音は、発泡セル層3の表面で反射する表面反射波と発泡体1Aの内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となり、表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。
その一方で、外部から発泡体1Aに入射する音は、第1又は第2表面皮膜層2A,2Bが剥ぎ取られて存在しないために内部に非常に進入し易いため、発泡体1Aの内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
発泡体1Aは、ポリプロピレン樹脂材としてJ830HVを使用するため、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bは、特定の周波数に対して振動し易いものとなる。これにより、特定の周波数について高い吸音ピーク値が得られる。
第1実施形態の発泡体1Aは、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bの双方が全領域で剥ぎ取られている。従って、発泡体1Aの厚みを薄くでき、配置スペースの狭い箇所にも対応できる。
第1実施形態の発泡体1Aは、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bの双方が全領域で剥ぎ取られているが、いずれか一方のみ剥ぎ取り、他方の表面皮膜層2A(又は2B)を残しても良い。このようにすれば、発泡体1Aが構造体として脆弱になるのを極力防止できる。
(第2実施形態)
図7〜図13は本発明の第2実施形態を示す。図7に示すように、先ず、第2実施形態に係る発泡体1Bを作成する前段階のプレスのみ発泡体1bについて説明する。プレスのみ発泡体1bは、偏平長方形の板状である。プレスのみ発泡体1bは、図8(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂材であるポリプロピレン樹脂材と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の密閉された発泡セルS1,S2,S3より構成されている。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/m3、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
図7〜図13は本発明の第2実施形態を示す。図7に示すように、先ず、第2実施形態に係る発泡体1Bを作成する前段階のプレスのみ発泡体1bについて説明する。プレスのみ発泡体1bは、偏平長方形の板状である。プレスのみ発泡体1bは、図8(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂材であるポリプロピレン樹脂材と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の密閉された発泡セルS1,S2,S3より構成されている。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/m3、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
各発泡セルS1,S2,S3は、内部の空隙がセル皮膜によって被われている。発泡セルS1,S2,S3は、その位置によって発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡体1Bは発泡セルS1,S2,S3の密度によって以下のような層構造に形成されている。
つまり、発泡体1Bは、厚み方向に沿って、第1表面皮膜層2Aと発泡セル層3Aと仕切皮膜層4と発泡セル層3Bと第2表面皮膜層2Bとから構成されている。各表面皮膜層2A,2Bは、極薄厚みであり、発泡時に外気との温度差で瞬時に合成樹脂成分が硬化してセル被膜が形成されて、発泡セル層3A,3Bより発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。各表面皮膜層2A,2Bは、合成樹脂成分が多い。
各発泡セル層3A,3Bは、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進されて、表面被膜層2A,2Bや仕切皮膜層4より発泡密度が低い発泡セルS3が密集配置されている。発泡セル層3A,3Bは、構成材料が均一である。仕切皮膜層4は、発泡セル層3A,3B及び各表面皮膜層2A,2Bより発泡密度が高い発泡セルS1が密集配置されている。仕切皮膜層4は、2層の発泡セル層3A,3Bの間を連続して仕切って遮断している。仕切皮膜層4は、厚み方向の直交方向にほぼ一直線状で、且つ、ほぼ同じ厚みである。
各発泡セル層3A,3Bには、厚み方向の直交方向に沿って等間隔に複数の縦仕切皮膜層5が形成されている。各発泡セル層3A,3Bは、縦仕切皮膜層5によって分割されている。縦仕切皮膜層5は、発泡セル層3A,3Bより発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。
第2実施形態に係る発泡体1Bは、図9(a)、(b)に示すように、プレスのみ発泡体1bの第1表面皮膜層2Aと第2表面皮膜層2Bの両面側がその全域で剥ぎ取られたものである。剥ぎ取りは、発泡セル層3A,3Bに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。従って、発泡セル層3Aと発泡セル層3Bの表面側全ての発泡セルS3が外部に露出されている。
発泡体1Bは、第1表面皮膜層2A側と第2表面皮膜層2B側の両面が約2mmずつ剥ぎ取られれいるため、厚みが6mmである。
次に、上記プレスのみ発泡体1bを製造する押出し成形機10Bとプレス装置30を説明する。押出し成形機10Bは、図10(a)、(b)及び図11に示すように、各発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練された発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材11と、この口金部材11の外側を囲むように配置された規制枠壁20とを備えている。口金部材11は、水平方向に等間隔P1に配置された複数の吐出口12,13を上下2段有する。上下2段の吐出口12,13は、水平方向に対し同じ位置に配置されている。規制枠壁20は、この2段の吐出口12,13より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁20は、偏平長方形状の枠である。
また、規制枠壁20の押し出し方向の下流では、規制枠壁20の上面側が開放されている。この開放された位置には、複数のローラ21が押し出し方向に並んで設けられている。この各ローラ21は、押し出される発泡体1bに追従して回転するよう回転自在に支持されている。又、各ローラ21は、発泡体1bの押出し速度で回転するよう構成しても良い。各ローラ21は、押し出される発泡体1bの上面を圧縮する。各ローラ21の最下面の高さは、規制枠壁20の下面より10mmに設定されている。従って、プレスのみ発泡体1bは、10mm厚のものが製造される。
プレス装置30は、図12に示すように、互いに対向配置された固定プレス体31と可動プレス体32とを有する。可動プレス体32は、固定プレス体31の近接・離間方向に移動できる。
次に、プレスのみ発泡体1bの製造方法を説明する。押出し成形機10B内に、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を口金部材11の上下2段の吐出口12,13より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口12,13より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、図11に示すように、規制枠壁20、ローラ21によって規制されるため、規制枠壁20とローラ21によって規制されたスペースを断面積とする発泡体1aが連続的に押し出される。各発泡セルS1,S2,S3は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、内部に空間(空気層)が形成されたものとなる。
また、各吐出口12から吐出された発泡材は、発泡する位置で外気の温度差が異なることで発泡の促進度合いが異なる。又、各吐出口12,13から吐出された発泡材は、自由に発泡できず、上記したように規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制されると共に、発泡セル同士が互いに干渉することによって発泡形成が抑制される。具体的には、規制枠壁20内周近傍、ローラ21の下方近傍に位置する発泡セルS2は、発泡時に外気との温度差で瞬時に合成樹脂成分が硬化してセル被膜が形成され、且つ、規制枠壁20、ローラ21で発泡形成が抑制される。これによって第1、第2表面皮膜層2A,2Bが形成される。第1、第2表面被膜層2A,2Bの内部で、且つ、上下の吐出口12,13の中間位置付近に位置する発泡セルS1は、互いの発泡セルS1同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって仕切皮膜層4が形成される。第1、第2表面被膜層2A,2Bの内部で、且つ、水平方向の隣り合う吐出口12(又は13)の中間位置付近の位置する発泡セルS2は、互いの発泡セルS2同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって縦仕切皮膜層5が形成される。第1、第2表面被膜層2A,2Bの内部で、且つ、縦仕切皮膜層5の間に位置する発泡セルS3は、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進されると共に上記発泡セルS1,S2に較べて弱い抑制力しか働かない。これによって発泡セル層3A,3Bが形成される。発泡体1bは、ローラ21の下方を通過し圧縮力を受けることにより、厚みが10mmとなる。
押出し成形機10Bより製造された発泡体1aは、所定寸法で裁断される。この裁断した発泡体1bは、図12に示すように、三枚重ねてプレス装置30にセットされる。プレス装置30は、発泡体1bを約10分の1程度にまで圧縮し、その後、圧縮を解除する。圧縮を解除すると、発泡体1bは、ほぼ元の厚みに戻る。ポリプロピレン樹脂材のJ830HVを合成樹成分とする発泡体1bは、押出し成形機10Bでの押出し製造だけでは、発泡セルS1,S2,S3の皮膜に芯部分(硬い部分)を有し、音による振動がし難い発泡構造である。押出し成形機10Bより押出された発泡体(バージン材)1bを一度圧縮変形させると、発泡セルS1,S2,S3の皮膜の芯部分(硬い部分)が破壊されることにより、柔軟な皮膜になる。これにより、音によって振動し易い柔軟なプレスのみ発泡体1bに加工される。
発泡体1Bは、プレスのみ発泡体1bの第1表面皮膜層2Aと第2表面皮膜層2Bを全域に亘って剥ぎ取ることにより製造される。
以上、発泡体1Bは、その発泡セルS1,S2,S3が、発泡時に内部に構成されており、外気との温度差が小さいために発泡が促進された発泡セル層3A,3Bと、発泡セル層3A.3Bに介在され、発泡セル層3A,3Bより密度の高い発泡セルS1が密集配置され、且つ、発泡セル層3A,3Bの間を連続してほぼ一直線状に仕切る仕切皮膜層4とを構成し、発泡セル層3A,3Bに表面皮膜層2A,2Bが存在しない構成である。発泡セル層3A,3Bの発泡セルS3は独泡で通気性がなく、ある程度の強度を有するため、その表面でも音の反射はあると推測される。従って、外部から発泡体1Bに入射する音は、発泡セル層3A,3Bの表面で反射する表面反射波と発泡体1Bの内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあり、表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。
その一方で、外部から発泡体1Bに入射する音は、第1又は第2表面皮膜層2A,2Bが剥ぎ取られてないために内部に進入し易いため、発泡体1B内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
また、第2実施形態の発泡体1Bは、内部に仕切皮膜層4を有する。従って、外部から発泡体1Bに入射する音は、仕切皮膜層4の表面で反射する表面反射波と仕切皮膜層4より内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域での吸音ピーク性能が向上する。発泡体1Bの発泡セル層3A,3B内を伝搬する振動は、仕切皮膜層4に達すると仕切皮膜層4でランダムな振動が平面振動にリセットされ、その後、更に発泡セル層3内を伝搬することになるため、仕切皮膜層4で振動吸収が促進されると考えられる。
発泡体1Bは、ポリプロピレン樹脂材としてJ830HVを使用するため、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bは、特定の周波数に対して振動し易いものとなる。これにより、特定の周波数について高い吸音ピーク値が得られる。
第2実施形態の発泡体1Bは、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bの双方が全領域で剥ぎ取られている。従って、発泡体1Bの厚みを薄くでき、配置スペースの狭い箇所にも対応できる。
第2実施形態の発泡体1Bは、第1及び第2表面皮膜層2A,2Bの双方が全領域で剥ぎ取られているが、いずれか一方のみ剥ぎ取り、他方の表面皮膜層2A(又は2B)を残しても良い。このようにすれば、発泡体1Bが構造体として脆弱になるのを極力防止できる。
(第1実施形態と第2実施形態の吸音特性評価)
図13は、全面剥ぎ取り仕切皮膜層なしの第1実施形態に係る発泡体(t=6)1Aと、全面剥ぎ取り仕切皮膜層4ありの第2実施形態に係る発泡体(t=6)1Bと、シンサレートとにおける残響室法による吸音特性線図である。
図13は、全面剥ぎ取り仕切皮膜層なしの第1実施形態に係る発泡体(t=6)1Aと、全面剥ぎ取り仕切皮膜層4ありの第2実施形態に係る発泡体(t=6)1Bと、シンサレートとにおける残響室法による吸音特性線図である。
図13に示すように、第1実施形態に係る発泡体1Aでは、2kHzを超える帯域ではあるが共振効果による吸音ピークと思われる波形が確認された。これにより、発泡セルS3の表面でも音の反射があるためと推測された。
第2実施形態に係る発泡体1Bでは、2kHzを超える帯域ではあるが共振効果による吸音ピークが確認された。発泡セルS3の表面と共に仕切皮膜層4の表面でも音の反射があるため、第1実施形態に係る発泡体1Aよりも吸音ピークが明確に現れたものと推測される。
第1実施形態に係る発泡体1Aと第2実施形態に係る発泡体1Bでは、共振効果による吸音ピークが2kHzを超える帯域に現れている。これは、第1実施形態に係る発泡体1A及び第2実施形態に係る発泡体1Bは、共に厚さが6mmと薄いために、図15の厚さ14mmの第3実施形態に係る発泡体1Cと比較して、吸音ピークが高周波数側にシフトしたものと推測される。従って、厚みを6mmを超える厚み(例えば10mm程度)とすれば、1.2kHz〜1.5kHz程度の低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる特性が得られる。
第1実施形態に係る発泡体1Aは、第2実施形態に係る発泡体1Bに比較して、上記した理由によって吸音ピーク値が低いが、吸音ピークによる落ち込みがほとんどなく、ほぼ1.6kHz以上の周波数帯域の全域において吸音率がシンサレートを上回る特性が得られた。これは、仕切皮膜層なしの第1実施形態に係る発泡体1Aは、仕切皮膜層による音の反射がなく、音の内部への進入量が増えるため、多孔質型による吸音特性が向上するためと推測される。
以上より、発泡セル層3の外側に表面皮膜層2A,2Bが存在しない第1実施形態に係る発泡体1Aは、シンサレートの吸音性能をほぼ1.6kHz以上の全ての周波数帯域で上回る吸音材になる。
(第3実施形態)
図14は本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態の発泡体1Cは、図14(a)、(b)に示すように、前記第1実施形態に係る発泡体1Aと、第1表面皮膜層2A側のみを全面剥ぎ取りした発泡体とを接合して形成されている。従って、発泡体1Cは、一方の表面皮膜層2Aのみが全面で剥ぎ取られ、内部に2層の仕切皮膜層4を有する。図面では、前記第1実施形態と同一構成箇所に第1実施形態と同一符号を付して明確化を図る。
図14は本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態の発泡体1Cは、図14(a)、(b)に示すように、前記第1実施形態に係る発泡体1Aと、第1表面皮膜層2A側のみを全面剥ぎ取りした発泡体とを接合して形成されている。従って、発泡体1Cは、一方の表面皮膜層2Aのみが全面で剥ぎ取られ、内部に2層の仕切皮膜層4を有する。図面では、前記第1実施形態と同一構成箇所に第1実施形態と同一符号を付して明確化を図る。
剥ぎ取りは、発泡セル層3Aに達する深さであるが、仕切皮膜層4にまで達しない深さである。発泡セル層3Aの表面側の発泡セルS3が外部に露出されている。発泡体1Cは、その厚みが14mmである。
この第3実施形態においても、発泡体1Cは、表面皮膜層2Aが存在せずに発泡セル層3Aが外部に露出された構成である。発泡セル層3Aの発泡セルS3は独泡で通気性がなく、ある程度の強度を有するため、その表面でも音の反射はあると推測される。従って、外部から発泡体1Cに入射する音は、発泡セル層3Aの表面で反射する表面反射波と発泡体1Cの内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあり、表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が得られる。
その一方で、外部から発泡体1Cに入射する音は、第1表面皮膜層2Aが全体に剥ぎ取られており、発泡体1Cの内部に進入し易いため、発泡体1Cの内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
特に、第3実施形態の発泡体1Cは、2層の仕切皮膜層4を内部に有する。従って、外部から発泡体1Cに入射する音は、2層の各仕切皮膜層4の表面で反射する表面反射波と仕切皮膜層4より内部を進入し反射して戻って来る透過反射波となるものがあり、これら表面反射波と透過反射波の相殺、つまり、共振効果による吸音特性によって低周波数帯域で吸音ピーク性能が更に向上する。
(第2実施形態と第3実施形態の吸音特性評価)
図15は、プレス加工後に第1表面皮膜層2Aにクロス方向の切り込みを形成した発泡体(クロス切り込み発泡体)と、プレス加工後に両側の表面皮膜層を全面で剥ぎ取った厚み6mmの第2実施形態に係る発泡体(全面剥ぎ取り発泡体)1Bと、プレス加工後に2つの剥ぎ取り加工した発泡体を合体させて形成した厚み14mmの第3実施形態に係る発泡体(全面剥ぎ取り発泡体)1Cと、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。各全面剥ぎ取り発泡体1B,1Cのサンプルは、横寸法:200cm、縦寸法:100cm、厚み寸法10mmである。クロス方向の切り込みを形成した発泡体は、第1表面皮膜層2A側に面状ではなく線状にクロス切り込みを形成したものである。
図15は、プレス加工後に第1表面皮膜層2Aにクロス方向の切り込みを形成した発泡体(クロス切り込み発泡体)と、プレス加工後に両側の表面皮膜層を全面で剥ぎ取った厚み6mmの第2実施形態に係る発泡体(全面剥ぎ取り発泡体)1Bと、プレス加工後に2つの剥ぎ取り加工した発泡体を合体させて形成した厚み14mmの第3実施形態に係る発泡体(全面剥ぎ取り発泡体)1Cと、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。各全面剥ぎ取り発泡体1B,1Cのサンプルは、横寸法:200cm、縦寸法:100cm、厚み寸法10mmである。クロス方向の切り込みを形成した発泡体は、第1表面皮膜層2A側に面状ではなく線状にクロス切り込みを形成したものである。
図15に示すように、第3実施形態に係る発泡体1Cは、音の入射側を第1表面皮膜層2A(剥ぎ取られて存在しない)とした場合、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、且つ、クロス方向の切り込みを形成した発泡体より若干だけ性能が落ちるものの、従来例の発泡体に比較して高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できることが確認された。具体的には、高周波数帯域でも0.6以上の吸音率を達成できる。
第2実施形態に係る発泡体1Bでは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体と比較して、低周波数帯域のピーク性能が高周波数側にシフトしている。これは、発泡体1Bの厚みが6mmと薄いため、ピーク性能が高周波数側にシフトしたものと推測される。
第3実施形態に係る発泡体1Cでは、クロス方向の切り込みを形成した発泡体より高周波数帯域での吸音性能が若干だけ低い。これは、発泡セル層3Aの露出面積が大きいが、2層の仕切皮膜層4によって内部への音の進入が制限を受けるためと推測される。
第3実施形態に係る発泡体1Cでは、第2実施形態に係る発泡体1Bのみならずクロス方向の切り込みを形成した発泡体に較べても、共振効果による吸音ピークが低周波数側にシフトしている。これは、発泡セル層3Aの表面でも反射に加えて、発泡体1Cの厚み効果と2層の仕切皮膜層4によって吸音ピークが大きく低周波数側にシフトしたのもと推測される。
この吸音ピークの低周波数側へのシフトによって、第3実施形態に係る発泡体1Cでは、音の入射側が第1表面皮膜層2A(ローラ21側の面)があった側の場合、ほぼ0.85kHz以上の周波数帯域の全域において吸音率が0.6以上を達成した。従って、会話明瞭度の周波数領域(1kHz〜2kHz)の全域をカバーする周波数帯域で非常に高い吸音特性を発揮する。又、1kHz周辺の周波数帯域は、従来では遮音で対応する帯域であったが、発泡体1Cでは吸音で対応できる。従って、例えば自動車内に使用する吸音材として、遮音材の負担を削減し若しくは遮音材を無くすことが可能な材料としても非常に好適である。
(変形例)
前記各実施形態では、合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)を使用しているが、これ以外のもの(ポリプロピレン樹脂のJ3000GP、J2000GP、J2003GP、J2041GA(いずれも株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)等を使用しても、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHz)で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域(ほぼ2kHz以上)での吸音性能の低下を抑制できる。J3000GP等を使用した場合には、押出し成形後の発泡体は柔軟性を有するため、その後のプレス加工は不要である。
前記各実施形態では、合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)を使用しているが、これ以外のもの(ポリプロピレン樹脂のJ3000GP、J2000GP、J2003GP、J2041GA(いずれも株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)等を使用しても、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHz)で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域(ほぼ2kHz以上)での吸音性能の低下を抑制できる。J3000GP等を使用した場合には、押出し成形後の発泡体は柔軟性を有するため、その後のプレス加工は不要である。
1A〜1C 発泡体
2A 第1表面皮膜層
2B 第2表面皮膜層
3,3A,3B 発泡セル層
S1,S2,S3 発泡セル
2A 第1表面皮膜層
2B 第2表面皮膜層
3,3A,3B 発泡セル層
S1,S2,S3 発泡セル
Claims (3)
- パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成された発泡体であって、
前記発泡セルは、発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層とを構成し、
少なくともいずれか一方の前記表面皮膜層は、全領域で剥ぎ取られたことを特徴とする発泡体。 - パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成された発泡体であって、
前記発泡セルはほぼ均一な発泡密度で独泡であり、前記発泡セルが密集配置された発泡セル層のみで構成されたことを特徴とする発泡体。 - 請求項1又は請求項2に記載の発泡体であって、
前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であることを特徴とする発泡体。
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